JP3811228B2 - メモリレコーダにおける波形表示処理方法 - Google Patents
メモリレコーダにおける波形表示処理方法 Download PDFInfo
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメモリレコーダにおける波形表示処理方法に関し、さらに詳しく言えば、原波形を微分演算してその微分波形を表示する際の波形表示処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に示されているように、メモリレコーダはその基本的な構成として、A/D変換器1、ストレージコントローラ2、メモリ3、CPU(中央演算処理ユニット)4および表示手段(例えばディスプレイ)5を備えている。
【0003】
被測定信号はA/D変換器1にて所定のサンプリング速度でA/D変換され、そのデータがストレージコントローラ2を介してメモリ3に格納される。CPU4は図示しない操作部からの指示に基づいてメモリ3からデータを読み出し、それに所定の演算を施して適宜ディスプレイ5に表示するが、その機能の一つとして微分波形表示がある。
【0004】
微分波形を表示するにあたって、図7に示されているように被測定信号(原波形)の微分すべき微分点データをdiとすると、CPU4はメモリ3からその微分点データdiおよびそれを中心とする周辺の下位、上位の各2アドレスからそれぞれデータdi−2,di−1,di+1,di+2を読み出す。
【0005】
そして、この隣接5点のデータに例えばラグランジェの補間公式に基づいた数値微分の演算を行ない、その演算結果としての微分波形をディスプレイ5に表示する。ちなみに、この数値微分によれば、微分点データdiの微分値yiは、
yi=(di−2−8di−1+8di+1−di+2)/12h
として得られる(hはサンプリング周期である)。
【0006】
ラグランジェの補間公式に基づく数値微分は一般的であり、これによれば演算量が比較的少ないという利点がある。すなわち、式を変形することにより加減算2回、乗算2回で数値微分を済ませることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図9の微分の周波数特性図に示されているように、ラグランジェの補間公式による隣接5点の微分は、サンプリング速度の約1/4にゲインのピークが存在する。これはナイキストの定理による測定可能な最高周波数の半分である。サンプリング周波数の1/5位までは連続系の微分と一致しているが、各種ノイズの多い周波数である。
【0008】
このように、高い周波数に対しても大きなゲインを持っているため、わずかなノイズでも微分波形にそれが大きく現れ、ノイズのない場合の原波形と全く異なる波形となってしまうことがある。例えば図8(a)の正弦波を数値微分する場合、本来その余弦波形がきれいに表示されるはずであるが、同図(b)のようにノイズが多く現れその微分波形の概形すらつかめなくなってしまうという問題が指摘されている。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、微分点を含む複数のデータについて補間公式に基づく数値微分を演算するにあたって、その微分点周辺の波形形状に応じてメモリから読み出すデータの間隔を変更することにより、ノイズの影響を低減させてより鮮明な微分波形を表示することができるようにしたメモリレコーダにおける波形表示処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、被測定信号を所定のサンプリング速度にてA/D変換してなる入力データをメモリに格納し、CPU(中央演算処理ユニット)によりその入力データの所定のサンプリング点データについて補間公式に基づいた数値微分の演算を実行し、その演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示するにあたって、上記CPUは、上記メモリから微分すべき微分点データを中心として少なくとも一つおき以上の読み出し間隔で複数のデータを選択して読み出すデータ選択ステップと、その読み出された各データの大小関係から原波形(被測定信号)の概形を推定する概形推定ステップと、同概形推定ステップにてその概形が推定された場合に上記各データに上記補間公式に基づく数値微分の演算を実行する演算ステップと、上記各データ中の両端に位置するデータの微分値から上記微分点データの二次微分絶対値を推定する二次微分推定ステップと、その二次微分絶対値とあらかじめ設定されている比較上限値とを比較する比較ステップとを順次実行し、同比較ステップにて上記二次微分絶対値が上記比較上限値より小さい場合には、上記演算ステップによる演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示することを特徴としている。
【0011】
要するに、本発明は概形推定ステップまでの第1ステージと、それ以降の数値微分実行ステップを含む第2ステージとに大別され、第1ステージにおいて原波形の概形が推定可能な場合にのみ引き続いて第2ステージに移行し、そして第2ステージで二次微分絶対値が上限比較値よりも小さい場合に、その微分波形が表示されることになり、したがって視覚的に原波形と同程度に滑らかな微分波形が得られる。
【0012】
請求項2においては、上記概形推定ステップにおいて、原波形の概形が推定できない場合には、データの読み出し間隔を狭めて再度メモリから複数のデータを読み出して原波形の概形推定を行なうことを特徴としている。
【0013】
すなわち、微分点周辺の波形形状が単調増加もしくは単調減少であれば、当初設定されたデータの読み出し間隔(間引き間隔)でその概形が容易に推定され、その間引き間隔量が大きいことにより数値微分の周波数特性が下げられ、ノイズが低減される。これに対して、概形が推定できない場合には逐次その間引き間隔が狭められ、最終的には従来と同じくデータの間引き間隔を0として数値微分が実行される。
【0014】
また、請求項3においては、上記比較ステップにおいて、上記二次微分絶対値が上記比較上限値より大きい場合には、データの読み出し間隔を狭めて再度上記演算ステップ以下を実行することを特徴としており、これによれば微分波形の表示上より適正なデータについて数値微分が実行され、微分波形が所定の滑らかさにされる。
【0015】
この場合、請求項4のように、比較上限値は上記概形推定ステップにて推定された原波形の最大値、最小値に基づいて設定されるが、波形が変わるたびに最大値、最小値を求めるのはCPUにとって処理負担が大きくなる。そこで、表示ディスプレイ上での上限値と下限値とから比較上限値を求めるようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するうえで、その実施の形態について説明する。なお、この実施例におけるメモリレコーダのハード的な構成については、先に説明した図6のものと同じであるため、参照符号を含めてそれを援用する。
【0017】
図1は微分波形を表示する際に、本発明にしたがってCPU4にて実行される動作のフローチャートである。なお、A/D変換器1およびストレージコントローラ2を介して被測定信号(原波形)のデータがあらかじめメモリ3に取り込まれているものとする。
【0018】
まず、CPU4によりメモリ3内から数値微分に必要とされるデータが読み出される(ステップST1)。この場合、図2の原波形における微分すべき微分点データをdiとすると、この実施例では微分点diを中心としてその下位アドレスおよび上位アドレスから、まず最初に2つおきにデータが読み出される。すなわち、間引き間隔2としてdi−6,di−3,di,di+3,di+6の合計5点のデータが読み出される。
【0019】
次に、この5点のデータの大小関係から原波形の概形推定が行なわれる(ステップST2)。すなわち、各データの値が下位アドレスから上位アドレスにかけて順次大きくなっていれば単調増加波形(図3のA部参照)、これとは反対に各データの値が下位アドレスから上位アドレスにかけて順次小さくなっていれば単調減少波形(図3のB部参照)と推定される。
【0020】
また、各データの値を下位アドレスから上位アドレスにかけて順次比較していく過程において、ある部分の1箇所のみで減少から増加に転じていれば凹形波形(図3のC部参照)、これに対してある部分の1箇所のみで増加から減少に転じていれば凸形波形(図3のD部参照)と推定される。
【0021】
このような基準で原波形の概形が推定されるのであるが、次の判定ステップST3で推定困難(NO)と判定された場合には、続く次のステップST4でデータの間引き間隔に余裕があるかが判定され、YESの場合にはその間引き間隔を狭く(この実施例では間引き間隔を2から1に変更)してステップST1に戻り、メモリ3からその間引き間隔に基づいて再度データが読み出される。
【0022】
すなわち、新たにdi−4,di−2,di,di+2,di+4の合計5点のデータが読み出され、これらのデータに基づいてステップST2,ST3が繰り返される。原波形の概形が推定できるまで、間引き間隔に余裕がある限り、ステップST5でさらに間引き間隔が狭められステップST1に戻るが、原波形の概形が推定できた時点でステップST3からステップST6に移行する。
【0023】
なお、原波形の概形が推定できない状態でも、間引き間隔に余裕がなくなった場合には、ステップST4からステップST6に移行する。大別して、ここまでが第1ステージであり、ステップST6以降が第2ステージとなる。
【0024】
ステップST6では、上記の5点のデータについて例えばラグランジェの補間公式に基づく数値微分が実行され、しかる後、ステップST7において微分点データdiについての二次微分絶対値の推定が行なわれる。なお、ステップST4からこのステップST6に移行された場合には、従来の数値微分と同じく例えば隣接5点のデータによる数値微分が実行されることになる。
【0025】
この二次微分絶対値の推定には上記5点のデータの両端に位置するデータの微分値、すなわち間引き間隔2の場合にはdi−6(左端データ)とdi+6(右端データ)、間引き間隔1の場合にはdi−4(左端データ)とdi+4(右端データ)の各微分値が用いられる。
【0026】
ここで、微分点データdiの左端データによる推定値(左端データと得られた微分値から計算(推定)された微分点での原波形データ)をfl、右端データによる推定値(右端データと得られた微分値から計算(推定)された微分点での原波形データ)をfr、そして微分点データdiの真値をfとすると、微分点データdiの二次微分絶対値は、
例えば、(|f−fl|+|f−fr|)/2
により推定される(図4参照)。
【0027】
このようにして、微分点データdiの二次微分絶対値を推定した後、ステップST8においてこの二次微分絶対値とあらかじめ設定されている上限比較値との大小判定が行なわれる。なお、上限比較値は第1ステージで推定された原波形の最大値、最小値に基づいて適宜設定される。なお、表示ディスプレイ上での上限値と下限値とから比較上限値を求めるようにしてもよい。
【0028】
ステップST8で、二次微分絶対値が上限比較値よりも小さい場合には、微分波形表示が適正になされると判定し、この数値微分が完了となる。これに対して、二次微分絶対値が上限比較値よりも大きい場合には、ステップST9でデータの間引き間隔に余裕があるかが判定され、YESの場合にはステップST10でデータの間引き間隔を狭めた後、ステップST6に戻り、以下ステップST8で二次微分絶対値<上限比較値と判定されるまでこれを繰り返す。なお、ステップST9において、データの間引き間隔に余裕がないと判定された場合(NOの場合)には、その時点でこの数値微分を完了する。
【0029】
ステップST10は先に説明した第1ステージのステップST5と実質的に同じで、その間引き間隔に基づいてメモリ3から新たに5点のデータが読み出され、ステップST6でこれらの各データについて再度数値微分が実行され、次いでステップST7で微分点データdiの二次微分絶対値が推定される。
【0030】
図5(a)には図8(a)に示されている正弦波を原波形として、本発明により数値微分した微分波形の一例が示されており、従来の図8(B)の微分波形に比べてノイズが大幅に低減され、視覚的に原波形と同程度の微分波形が得られる。また、図5(b)は方形波を本発明により数値微分したものであるが、インパルス状の表示が得られており、周波数特性も良好であることが分かる。
【0031】
本発明によれば、データの間引き間隔はステップST2で推定される原波形の概形に依存するが、基本的にはデータの間引き間隔を可能な限り大きくすることにより、数値微分の高域周波数特性をさげて微分波形に対するノイズを減らすようにしている。
【0032】
これを先に説明の図9を再度参照して説明すると、ラグランジェの補間公式に基づく隣接5点の数値微分によれば、サンプリング周波数の0.2倍位までは連続系微分とほぼ一致しているが、実際の問題として、波形の概形を知るにはサンプリングレートは1/20=0.05程度で十分であり、データの間引き間隔を大きくすることにより、ノイズの影響を減らすことができる。図9にデータの間引き間隔を1点おき、2点おきとした場合の数値微分の周波数特性を併せて示すが、これによると高域におけるゲインが抑えられ、しかも0近傍では連続系微分の特性に近い直線性があることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、原波形データ(被測定信号)をメモリに格納し、その入力データの所定のサンプリング点データについて例えばラグランジェの補間公式に基づいた数値微分の演算を実行し、その演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示するにあたって、原波形の概形が推定できる範囲内で、できるだけデータの間引き間隔を大きくしてメモリから複数のデータを読み出して高域の周波数特性を下げるようにしたことにより、ノイズの少ない微分波形を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により実行される数値微分に関しての動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図2】本発明において、メモリからデータを読み出す際の間引き間隔を説明するための説明図。
【図3】本発明において、原波形を推定する際の説明図。
【図4】本発明において、微分点データの二次微分値を推定する際の説明図。
【図5】本発明により表示される微分波形を例示した波形表示図。
【図6】メモリレコーダの一般的な構成例を概略的に示したブロック線図。
【図7】従来の数値微分に供される隣接5点のデータ配列を示した説明図。
【図8】数値微分される前の原波形と従来法により数値微分された微分波形とを示した波形表示図。
【図9】数値微分についてのサンプル幅を変えた際の特性を示した周波数特性図。
【符号の説明】
1 A/D変換器
2 ストレージコントローラ
3 メモリ
4 CPU
5 ディスプレイ
【発明の属する技術分野】
本発明はメモリレコーダにおける波形表示処理方法に関し、さらに詳しく言えば、原波形を微分演算してその微分波形を表示する際の波形表示処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6に示されているように、メモリレコーダはその基本的な構成として、A/D変換器1、ストレージコントローラ2、メモリ3、CPU(中央演算処理ユニット)4および表示手段(例えばディスプレイ)5を備えている。
【0003】
被測定信号はA/D変換器1にて所定のサンプリング速度でA/D変換され、そのデータがストレージコントローラ2を介してメモリ3に格納される。CPU4は図示しない操作部からの指示に基づいてメモリ3からデータを読み出し、それに所定の演算を施して適宜ディスプレイ5に表示するが、その機能の一つとして微分波形表示がある。
【0004】
微分波形を表示するにあたって、図7に示されているように被測定信号(原波形)の微分すべき微分点データをdiとすると、CPU4はメモリ3からその微分点データdiおよびそれを中心とする周辺の下位、上位の各2アドレスからそれぞれデータdi−2,di−1,di+1,di+2を読み出す。
【0005】
そして、この隣接5点のデータに例えばラグランジェの補間公式に基づいた数値微分の演算を行ない、その演算結果としての微分波形をディスプレイ5に表示する。ちなみに、この数値微分によれば、微分点データdiの微分値yiは、
yi=(di−2−8di−1+8di+1−di+2)/12h
として得られる(hはサンプリング周期である)。
【0006】
ラグランジェの補間公式に基づく数値微分は一般的であり、これによれば演算量が比較的少ないという利点がある。すなわち、式を変形することにより加減算2回、乗算2回で数値微分を済ませることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図9の微分の周波数特性図に示されているように、ラグランジェの補間公式による隣接5点の微分は、サンプリング速度の約1/4にゲインのピークが存在する。これはナイキストの定理による測定可能な最高周波数の半分である。サンプリング周波数の1/5位までは連続系の微分と一致しているが、各種ノイズの多い周波数である。
【0008】
このように、高い周波数に対しても大きなゲインを持っているため、わずかなノイズでも微分波形にそれが大きく現れ、ノイズのない場合の原波形と全く異なる波形となってしまうことがある。例えば図8(a)の正弦波を数値微分する場合、本来その余弦波形がきれいに表示されるはずであるが、同図(b)のようにノイズが多く現れその微分波形の概形すらつかめなくなってしまうという問題が指摘されている。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、微分点を含む複数のデータについて補間公式に基づく数値微分を演算するにあたって、その微分点周辺の波形形状に応じてメモリから読み出すデータの間隔を変更することにより、ノイズの影響を低減させてより鮮明な微分波形を表示することができるようにしたメモリレコーダにおける波形表示処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、被測定信号を所定のサンプリング速度にてA/D変換してなる入力データをメモリに格納し、CPU(中央演算処理ユニット)によりその入力データの所定のサンプリング点データについて補間公式に基づいた数値微分の演算を実行し、その演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示するにあたって、上記CPUは、上記メモリから微分すべき微分点データを中心として少なくとも一つおき以上の読み出し間隔で複数のデータを選択して読み出すデータ選択ステップと、その読み出された各データの大小関係から原波形(被測定信号)の概形を推定する概形推定ステップと、同概形推定ステップにてその概形が推定された場合に上記各データに上記補間公式に基づく数値微分の演算を実行する演算ステップと、上記各データ中の両端に位置するデータの微分値から上記微分点データの二次微分絶対値を推定する二次微分推定ステップと、その二次微分絶対値とあらかじめ設定されている比較上限値とを比較する比較ステップとを順次実行し、同比較ステップにて上記二次微分絶対値が上記比較上限値より小さい場合には、上記演算ステップによる演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示することを特徴としている。
【0011】
要するに、本発明は概形推定ステップまでの第1ステージと、それ以降の数値微分実行ステップを含む第2ステージとに大別され、第1ステージにおいて原波形の概形が推定可能な場合にのみ引き続いて第2ステージに移行し、そして第2ステージで二次微分絶対値が上限比較値よりも小さい場合に、その微分波形が表示されることになり、したがって視覚的に原波形と同程度に滑らかな微分波形が得られる。
【0012】
請求項2においては、上記概形推定ステップにおいて、原波形の概形が推定できない場合には、データの読み出し間隔を狭めて再度メモリから複数のデータを読み出して原波形の概形推定を行なうことを特徴としている。
【0013】
すなわち、微分点周辺の波形形状が単調増加もしくは単調減少であれば、当初設定されたデータの読み出し間隔(間引き間隔)でその概形が容易に推定され、その間引き間隔量が大きいことにより数値微分の周波数特性が下げられ、ノイズが低減される。これに対して、概形が推定できない場合には逐次その間引き間隔が狭められ、最終的には従来と同じくデータの間引き間隔を0として数値微分が実行される。
【0014】
また、請求項3においては、上記比較ステップにおいて、上記二次微分絶対値が上記比較上限値より大きい場合には、データの読み出し間隔を狭めて再度上記演算ステップ以下を実行することを特徴としており、これによれば微分波形の表示上より適正なデータについて数値微分が実行され、微分波形が所定の滑らかさにされる。
【0015】
この場合、請求項4のように、比較上限値は上記概形推定ステップにて推定された原波形の最大値、最小値に基づいて設定されるが、波形が変わるたびに最大値、最小値を求めるのはCPUにとって処理負担が大きくなる。そこで、表示ディスプレイ上での上限値と下限値とから比較上限値を求めるようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するうえで、その実施の形態について説明する。なお、この実施例におけるメモリレコーダのハード的な構成については、先に説明した図6のものと同じであるため、参照符号を含めてそれを援用する。
【0017】
図1は微分波形を表示する際に、本発明にしたがってCPU4にて実行される動作のフローチャートである。なお、A/D変換器1およびストレージコントローラ2を介して被測定信号(原波形)のデータがあらかじめメモリ3に取り込まれているものとする。
【0018】
まず、CPU4によりメモリ3内から数値微分に必要とされるデータが読み出される(ステップST1)。この場合、図2の原波形における微分すべき微分点データをdiとすると、この実施例では微分点diを中心としてその下位アドレスおよび上位アドレスから、まず最初に2つおきにデータが読み出される。すなわち、間引き間隔2としてdi−6,di−3,di,di+3,di+6の合計5点のデータが読み出される。
【0019】
次に、この5点のデータの大小関係から原波形の概形推定が行なわれる(ステップST2)。すなわち、各データの値が下位アドレスから上位アドレスにかけて順次大きくなっていれば単調増加波形(図3のA部参照)、これとは反対に各データの値が下位アドレスから上位アドレスにかけて順次小さくなっていれば単調減少波形(図3のB部参照)と推定される。
【0020】
また、各データの値を下位アドレスから上位アドレスにかけて順次比較していく過程において、ある部分の1箇所のみで減少から増加に転じていれば凹形波形(図3のC部参照)、これに対してある部分の1箇所のみで増加から減少に転じていれば凸形波形(図3のD部参照)と推定される。
【0021】
このような基準で原波形の概形が推定されるのであるが、次の判定ステップST3で推定困難(NO)と判定された場合には、続く次のステップST4でデータの間引き間隔に余裕があるかが判定され、YESの場合にはその間引き間隔を狭く(この実施例では間引き間隔を2から1に変更)してステップST1に戻り、メモリ3からその間引き間隔に基づいて再度データが読み出される。
【0022】
すなわち、新たにdi−4,di−2,di,di+2,di+4の合計5点のデータが読み出され、これらのデータに基づいてステップST2,ST3が繰り返される。原波形の概形が推定できるまで、間引き間隔に余裕がある限り、ステップST5でさらに間引き間隔が狭められステップST1に戻るが、原波形の概形が推定できた時点でステップST3からステップST6に移行する。
【0023】
なお、原波形の概形が推定できない状態でも、間引き間隔に余裕がなくなった場合には、ステップST4からステップST6に移行する。大別して、ここまでが第1ステージであり、ステップST6以降が第2ステージとなる。
【0024】
ステップST6では、上記の5点のデータについて例えばラグランジェの補間公式に基づく数値微分が実行され、しかる後、ステップST7において微分点データdiについての二次微分絶対値の推定が行なわれる。なお、ステップST4からこのステップST6に移行された場合には、従来の数値微分と同じく例えば隣接5点のデータによる数値微分が実行されることになる。
【0025】
この二次微分絶対値の推定には上記5点のデータの両端に位置するデータの微分値、すなわち間引き間隔2の場合にはdi−6(左端データ)とdi+6(右端データ)、間引き間隔1の場合にはdi−4(左端データ)とdi+4(右端データ)の各微分値が用いられる。
【0026】
ここで、微分点データdiの左端データによる推定値(左端データと得られた微分値から計算(推定)された微分点での原波形データ)をfl、右端データによる推定値(右端データと得られた微分値から計算(推定)された微分点での原波形データ)をfr、そして微分点データdiの真値をfとすると、微分点データdiの二次微分絶対値は、
例えば、(|f−fl|+|f−fr|)/2
により推定される(図4参照)。
【0027】
このようにして、微分点データdiの二次微分絶対値を推定した後、ステップST8においてこの二次微分絶対値とあらかじめ設定されている上限比較値との大小判定が行なわれる。なお、上限比較値は第1ステージで推定された原波形の最大値、最小値に基づいて適宜設定される。なお、表示ディスプレイ上での上限値と下限値とから比較上限値を求めるようにしてもよい。
【0028】
ステップST8で、二次微分絶対値が上限比較値よりも小さい場合には、微分波形表示が適正になされると判定し、この数値微分が完了となる。これに対して、二次微分絶対値が上限比較値よりも大きい場合には、ステップST9でデータの間引き間隔に余裕があるかが判定され、YESの場合にはステップST10でデータの間引き間隔を狭めた後、ステップST6に戻り、以下ステップST8で二次微分絶対値<上限比較値と判定されるまでこれを繰り返す。なお、ステップST9において、データの間引き間隔に余裕がないと判定された場合(NOの場合)には、その時点でこの数値微分を完了する。
【0029】
ステップST10は先に説明した第1ステージのステップST5と実質的に同じで、その間引き間隔に基づいてメモリ3から新たに5点のデータが読み出され、ステップST6でこれらの各データについて再度数値微分が実行され、次いでステップST7で微分点データdiの二次微分絶対値が推定される。
【0030】
図5(a)には図8(a)に示されている正弦波を原波形として、本発明により数値微分した微分波形の一例が示されており、従来の図8(B)の微分波形に比べてノイズが大幅に低減され、視覚的に原波形と同程度の微分波形が得られる。また、図5(b)は方形波を本発明により数値微分したものであるが、インパルス状の表示が得られており、周波数特性も良好であることが分かる。
【0031】
本発明によれば、データの間引き間隔はステップST2で推定される原波形の概形に依存するが、基本的にはデータの間引き間隔を可能な限り大きくすることにより、数値微分の高域周波数特性をさげて微分波形に対するノイズを減らすようにしている。
【0032】
これを先に説明の図9を再度参照して説明すると、ラグランジェの補間公式に基づく隣接5点の数値微分によれば、サンプリング周波数の0.2倍位までは連続系微分とほぼ一致しているが、実際の問題として、波形の概形を知るにはサンプリングレートは1/20=0.05程度で十分であり、データの間引き間隔を大きくすることにより、ノイズの影響を減らすことができる。図9にデータの間引き間隔を1点おき、2点おきとした場合の数値微分の周波数特性を併せて示すが、これによると高域におけるゲインが抑えられ、しかも0近傍では連続系微分の特性に近い直線性があることが分かる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、原波形データ(被測定信号)をメモリに格納し、その入力データの所定のサンプリング点データについて例えばラグランジェの補間公式に基づいた数値微分の演算を実行し、その演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示するにあたって、原波形の概形が推定できる範囲内で、できるだけデータの間引き間隔を大きくしてメモリから複数のデータを読み出して高域の周波数特性を下げるようにしたことにより、ノイズの少ない微分波形を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により実行される数値微分に関しての動作の一例を説明するためのフローチャート。
【図2】本発明において、メモリからデータを読み出す際の間引き間隔を説明するための説明図。
【図3】本発明において、原波形を推定する際の説明図。
【図4】本発明において、微分点データの二次微分値を推定する際の説明図。
【図5】本発明により表示される微分波形を例示した波形表示図。
【図6】メモリレコーダの一般的な構成例を概略的に示したブロック線図。
【図7】従来の数値微分に供される隣接5点のデータ配列を示した説明図。
【図8】数値微分される前の原波形と従来法により数値微分された微分波形とを示した波形表示図。
【図9】数値微分についてのサンプル幅を変えた際の特性を示した周波数特性図。
【符号の説明】
1 A/D変換器
2 ストレージコントローラ
3 メモリ
4 CPU
5 ディスプレイ
Claims (4)
- 被測定信号を所定のサンプリング速度にてA/D変換してなる入力データをメモリに格納し、CPU(中央演算処理ユニット)によりその入力データの所定のサンプリング点データについて補間公式に基づいた数値微分の演算を実行し、その演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示するにあたって、上記CPUは、上記メモリから微分すべき微分点データを中心として少なくとも一つおき以上の読み出し間隔で複数のデータを選択して読み出すデータ選択ステップと、その読み出された各データの大小関係から原波形(被測定信号)の概形を推定する概形推定ステップと、同概形推定ステップにてその概形が推定された場合に上記各データに上記補間公式に基づく数値微分の演算を実行する演算ステップと、上記各データ中の両端に位置するデータの微分値から上記微分点データの二次微分値を推定する二次微分推定ステップと、その二次微分絶対値とあらかじめ設定されている比較上限値とを比較する比較ステップとを順次実行し、同比較ステップにて上記二次微分絶対値が上記比較上限値より小さい場合には、上記演算ステップによる演算結果としての微分波形をディスプレイなどの表示手段に表示することを特徴とするメモリレコーダにおける波形表示処理方法。
- 上記概形推定ステップにおいて、原波形の概形が推定できない場合には、データの読み出し間隔を狭めて再度メモリから複数のデータを読み出して原波形の概形推定を行なうことを特徴とする請求項1に記載のメモリレコーダにおける波形表示処理方法。
- 上記比較ステップにおいて、上記二次微分絶対値が上記比較上限値より大きい場合には、データの読み出し間隔を狭めて再度上記演算ステップ以下を実行することを特徴とする請求項1に記載のメモリレコーダにおける波形表示処理方法。
- 上記比較ステップにおける比較上限値は上記概形推定ステップにて推定された原波形の最大値、最小値に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のメモリレコーダにおける波形表示処理方法。
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