JP3810572B2 - 基板洗浄方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造で使用される半導体ウエハ等や、LCD等のFPD製造に使用されるガラス基板等の基板洗浄方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の半導体等の製造分野において、加工の微細化が進むにつれ、パーティクルや有機物、金属等の汚染物質、自然酸化膜の除去等の基板洗浄技術が重要となっている。この基板洗浄方法としては、主としてウエット洗浄技術が用いられている。
【0003】
ウエット洗浄では、被処理基板に付着したパーティクルや汚染物質等の除去対象に合わせて選択したAPM(NH4OH/H2O2/H2O)、HPM(HCl/H2O2/H2O)、DHF(HF/H2O)等による薬液洗浄処理と、該洗浄処理の終了した被処理基板を超純水等により水洗し付着した薬液の液滴を除去するリンス処理と、該リンス処理の終了した被処理基板を回転させて遠心力により付着した水滴を除去する方法、又はイソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶剤により水滴と置換して乾燥させる乾燥処理の組合せが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現状の基板洗浄方法では被処理基板に付着した薬液を除去する被処理基板の超純水等によるリンス後の乾燥処理中に被処理基板表面に付着した水滴中でシリコンと溶存酸素が反応してSiO2を生成し、乾燥後にウォーターマークと呼ばれる斑点状のしみを生成したり、乾燥させるためのイソプロピルアルコール(IPA)による有機物汚染や可燃性溶媒であるための安全対策という問題を生じている。
【0005】
本発明は、ウォーターマークの発生を極力抑制することが可能で、且つイソプロピルアルコール等の有機溶剤の消費量を削減可能な基板洗浄方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、被処理基板を洗浄液で洗浄する工程、洗浄した被処理基板に付着した洗浄液を除去するリンス工程、リンスした被処理基板に付着したリンス液を除去する乾燥工程からなる基板洗浄方法であって、リンス工程は被処理基板にリンス液を噴射することにより該被処理基板に付着した洗浄液の液滴を除去する工程であり、冷却したリンス液を噴射部に供給する冷却リンス液供給工程を有し、乾燥工程は被処理基板を回転させて該被処理基板に付着したリンス液の液滴を除去する工程であり、回転中の被処理基板に冷却した超純水を吹き付ける水洗工程を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項1に記載の洗浄方法において、乾燥工程実行時に少なくとも乾燥しようとする被処理基板が収納された空間を不活性ガスで置換するガスパージ置換工程を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、被処理基板を洗浄液で洗浄する洗浄機構、洗浄した被処理基板に付着した洗浄液を除去するリンス機構、リンスした被処理基板に付着したリンス液を除去する乾燥機構からなる基板洗浄装置であって、リンス機構はリンス液を噴射するノズルを具備し、洗浄の終了した前記被処理基板にリンス液を噴射することにより該被処理基板に付着した洗浄液の液滴を除去する機構であり、冷却したリンス液を該ノズルに供給する冷却リンス液供給機構を備え、乾燥機構は被処理基板を回転させて該被処理基板に付着したリンス液の液滴を除去する被処理基板回転機構と、回転中の被処理基板に冷却した超純水を吹き付ける水洗機構を具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の基板洗浄装置において、乾燥機構は少なくとも乾燥しようとする被処理基板が収納された空間を不活性ガスで置換するガスパージ機構を具備することを特徴とする。
【0012】
上記請求項1又は2に記載の発明によれば、被処理基板をリンス処理する際に、リンス液として冷却した超純水を利用することにより、被処理基板の基材と超純水の反応性が低下し、被処理基板の表面からの基材の溶出及び酸化が抑制されることにより、ウォーターマークの発生を極力抑えることが可能となる。また、被処理基板を回転乾燥する際のわずかな時間で、被処理基板の基板表面に付着したリンス液の液滴中に被処理基板の基材が溶出しウォーターマークを生成してしまうが、乾燥時に回転中の被処理基板に冷却した超純水を吹き付けることにより、生成したウォーターマークをより溶出量の少ない超純水で洗浄しながら乾燥させることが出来るため、ウォーターマークの発生を極力抑えることが可能となる。
【0013】
一例として通常の超純水(水温;27〜28℃)と冷却した超純水(水温;12〜18℃)に、それぞれDHF洗浄した6インチのシリコンウエハを浸漬させた時のシリコン(Si)溶出量を図1に示す。図1において、曲線Aは通常の超純水、曲線Bは冷却した超純水を示す。図1で明らかなように、冷却した超純水の場合は通常の超純水の場合と比較して、シリコン溶出量が抑制されるから、ウォーターマークの発生を抑えることができる。
【0014】
また、リンス処理の際に使用する超純水の溶存酸素濃度(DO)を抑えることにより、被処理基板の表面の自然酸化膜の生成も抑制可能となる。
【0016】
また、乾燥処理の際に使用する超純水の溶存酸素濃度(DO)を抑えることにより、被処理基板の表面の自然酸化膜の生成も抑制可能となる。
【0017】
被処理基板は大気中に放置しておいただけで、除々に自然酸化膜を生成してしまう。従って、大気に接触している時間が長い乾燥処理を自然酸化が進行しない環境、例えば窒素(N2)等の不活性ガス環境中で行うことにより、自然酸化膜の生成を抑制することが可能となる。更に、パージする不活性ガスを乾燥状態で供給することにより、乾燥処理により発生した湿度を吸収し、乾燥系内で結露することなく被処理基板を乾燥させることが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を説明する。図2は本発明に係る基板洗浄装置の構成例を示す図である。なお、本実施形態例では被洗浄基板として半導体用シリコンウエハを用いる場合を例に説明するが被処理基板としてはこれに限定されるものではないことは当然である。本基板洗浄装置1は大きく区分して、洗浄機構3、リンス機構4と、乾燥機構5により構成される。
【0019】
洗浄機構3は、例えば被洗浄基板Wの表面に洗浄液として薬液Q1を噴射し、ブラシ等の洗浄具を用いて、該表面に付着しているパーティクル等の汚染物質及び酸化膜を除去するように構成されている。洗浄機構3で汚染物質及び酸化膜を除去された被洗浄基板Wは搬送経路2aを経由して該リンス機構4に搬送される。リンス機構4は、リンス液を貯留するリンス槽を具備し、該リンス槽のリンス液中に被洗浄基板Wを浸漬し、表面に付着した薬液を濯いで除去するが、冷却器6を通して冷却した超純水をリンス液Q2としてリンス槽に供給している。
【0020】
上記のように、リンス液Q2として冷却器6で冷却した超純水をリンス機構4のリンス槽に供給することにより、被処理基板Wの基材であるシリコンと超純水の反応性が低下し、被処理基板Wの表面からのシリコンの溶出及び酸化が抑制され、ウォーターマークの発生を極力抑えることが可能となる。また、リンス処理の際に使用する超純水の溶存酸素濃度(DO)を抑えることにより、被処理基板の表面の自然酸化膜の生成も抑制可能となる。
【0021】
上記のように、リンス機構4のリンス槽にリンス液Q2として、冷却器6で冷却した超純水を供給する代わりに、又は機能補強として、図3に示すように、リンス槽4aの外周部に冷却機構7を設置し、直接リンス槽4aを冷却するようにしてもよい。また、冷却機構7からの影響がない場合には、該冷却機構7をリンス槽4aの内部に設置することも可能である。
【0022】
リンス機構4のリンス槽4aのリンス液Q2中に被洗浄基板Wを浸漬し、表面に付着した薬液を除去した被洗浄基板Wは搬送経路2bを経由して乾燥機構5に搬送される。乾燥機構5は被洗浄基板Wを回転させて該被洗浄基板Wに付着したリンス液(超純水)Q2の液滴を遠心力を利用して除去するものである。
【0023】
図4は乾燥機構の構成を示す図である。被洗浄基板Wをチャック9で固定した後、回転機10により被洗浄基板Wをチャック9ごと回転させることにより、乾燥処理が行われる。しかしながら、そのまま回転乾燥させたので、被洗浄基板Wの表面にウォーターマークが発生してしまうので、ノズル8から冷却器6を通して冷却した超純水Q3を適当量吹き付けて回転乾燥させることにより、被洗浄基板Wの表面に溶出したシリコンは洗い流され、ウォーターマークの発生が抑制される。
【0024】
更に、乾燥機構5のノズル8、チャック9、回転機10が収容される槽5a内の空間(特にチャック9で保持された被洗浄基板Wが収納された空間)を常時、乾燥した窒素(N2)等の不活性ガスでパージすることにより、被洗浄基板Wの表面に自然酸化膜の発生を抑えると共に、槽5a内の湿気を除去し、被洗浄基板Wへの結露を防止することが可能となる。
【0025】
なお、上記実施形態例では、被洗浄基板Wを1枚ずつ乾燥させる枚葉式の乾燥機構を説明したが、乾燥機構の構成は複数枚の被洗浄基板Wを収納したカセットを該カセットごと回転乾燥させるバッチ式の乾燥機構でもよい。また、図4では被洗浄基板Wの中心にノズル8をセットしているが、乾燥機構5の被洗浄基板Wの回転方法等の構造により、ノズル8の位置は変更することが可能となる。
【0026】
更に、本実施形態例ではリンス機構と乾燥機構を別途設けるようになっているが、枚葉式の場合には両機構を組み合わせて使用することも可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、各請求項に記載の発明によれば、下記のような優れた効果が得られる。
【0028】
請求項1又は2に記載の発明によれば、被処理基板をリンス処理する際に、リンス液として冷却した超純水を利用することにより、被処理基板の基材と超純水の反応性が低下し、被処理基板の表面からの基材の溶出及び酸化が抑制されることにより、ウォーターマークの発生を極力抑えることが可能となると共に、IPA等の有機溶剤の使用量を削減できる。また、被処理基板を回転乾燥する際のわずかな時間で、被処理基板の基板表面に付着したリンス液の液滴中に被処理基板の基材が溶出しウォーターマークを生成してしまうが、乾燥時に回転中の被処理基板に冷却した超純水を吹き付けることにより、生成したウォーターマークをより溶出量の少ない超純水で洗浄しながら乾燥させることが出来るため、ウォーターマークの発生を極力抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコンウエハを超純水中に浸漬した場合のSi溶出量を示す図である。
【図2】本発明に係る基板洗浄装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る基板洗浄装置のリンス機構の構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る基板洗浄装置の乾燥機構の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板洗浄装置
2a 搬送経路
2b 搬送経路
3 洗浄機構
4 リンス機構
4a リンス槽
5 乾燥機構
6 冷却器
7 冷却機構
8 ノズル
9 チャック
10 回転機
Claims (2)
- 被処理基板を洗浄液で洗浄する工程、洗浄した被処理基板に付着した洗浄液を除去するリンス工程、リンスした被処理基板に付着したリンス液を除去する乾燥工程からなる基板洗浄方法であって、
前記リンス工程は前記被処理基板にリンス液を噴射することにより該被処理基板に付着した洗浄液の液滴を除去する工程であり、冷却したリンス液を噴射部に供給する冷却リンス液供給工程を有し、
前記乾燥工程は被処理基板を回転させて該被処理基板に付着したリンス液の液滴を除去する工程であり、回転中の被処理基板に冷却した超純水を吹き付ける水洗工程を有することを特徴とする基板洗浄方法。 - 被処理基板を洗浄液で洗浄する洗浄機構、洗浄した被処理基板に付着した洗浄液を除去するリンス機構、リンスした被処理基板に付着したリンス液を除去する乾燥機構からなる基板洗浄装置であって、
前記リンス機構はリンス液を噴射するノズルを具備し、洗浄の終了した前記被処理基板にリンス液を噴射することにより該被処理基板に付着した洗浄液の液滴を除去する機構であり、冷却したリンス液を該ノズルに供給する冷却リンス液供給機構を備え、
前記乾燥機構は被処理基板を回転させて該被処理基板に付着したリンス液の液滴を除去する被処理基板回転機構と、回転中の被処理基板に冷却した超純水を吹き付ける水洗機構を具備することを特徴とする基板洗浄装置。
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