JP3809971B2 - ボイラの燃焼制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラの燃焼制御に係わり、特にボイラ起動時の煙色発生やCO発生を防止するのに好適なボイラの燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラの燃焼空気要求信号は、ボイラへの燃料要求指令信号に見合って必要な空気流量を決定され、この決定された信号に基づき押し込み通風機(以下FDFと称す)の風量調整ダンパを調整して、燃焼空気を制御する構成となっている。また、空気流量として要求される信号は、燃焼保護の観点より最低空気流量制限回路を設けてこの制限値以下に燃焼用空気が低下しないように制御している。この最低空気流量の値は、ボイラ最大負荷時の1/4以上(25%最大連続蒸発量(MCR)以上)としている。
【0003】
以上のような構成からボイラの起動過程においては、ボイラの点火から燃料信号が約25%MCR相当負荷になるまでは、空気流量も上記最低空気流量に制御される。また燃料流量要求信号に見合って作成された空気流量信号が、最低空気流量信号を越えた値になると燃料流量要求信号に見合って作成された空気流量信号に制御される。
【0004】
しかしながら、ボイラ起動過程においては、火炉内の雰囲気温度が低いため火炎が冷却されることから煙色やCOが発生する問題があった。
【0005】
また、通常運転負荷域に達してもボイラの蒸気温度のバランスが定常状態に達するまでには、時間がかかるため通常運転時の空燃比のバランスに相当する空気流量を供給しても煙色やCOが発生する問題があった。
【0006】
また、上記のような起動過程で従来のバーナ点火順序は、火炉内の熱負荷を均等にする目的からボイラの缶前後において熱負荷が均等になるパターンとしていたために、バーナ点火時に缶左右において空燃比のアンバランスが生じてCOが発生する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、ボイラ起動過程における空気流量の調整及びバーナの点火順序に配慮がされておらず空燃比の低下やアンバランスにより煙色やCOが発生するという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、ボイラ起動過程においても常に適正な空気流量を供給し、かつ適正なバーナ点火順序とすることにより安定した空燃比を維持する燃焼制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成を採用する。
【0010】
ボイラへの燃料要求信号を元にしてボイラの空気流量設定信号を決定し、前記決定された空気流量設定信号に基づいて押し込み通風機の風量調整ダンパを制御するボイラの燃焼制御装置において、
通常運転時に前記燃料要求信号により第1の空気流量要求信号を作成する第1の関数発生器を設けるとともに、前記燃料要求信号により起動時専用に通常運転時の空燃比バランスよりも空気比率を増加させた第2の空気流量要求信号を作成する第2の関数発生器を設け、
ボイラ起動時のボイラ缶水温度を検出し、前記検出した缶水温度に基づいて前記第2の関数発生器の出力である第2の空気流量要求信号を補正し、
前記補正された第2の空気流量要求信号と前記第1の空気流量要求信号を信号切替器によって起動時と通常運転時とで切り換えて前記決定された空気流量設定信号とするボイラの燃焼制御装置。
【0011】
更に、バーナ点火操作を缶左右で空燃比がアンバランスとならぬよう缶左右対称に点火すること。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施形態に係わる制御系統図とその特性を示す。図2に、従来技術におけるバーナ点火順序と対比させて、本発明における点火順序とその動作説明図を示す。
【0013】
ここにおいて、1は燃料要求信号、2,3,10,11は関数発生器、4は排ガスO2濃度信号、5,16は減算器、6,17は比例・積分器、7は乗算器、8は信号高値選択器、9はボイラ缶水温度信号、12は加算器、13は最低空気流量設定信号発生器、14は信号切替器、15は空気流量計測信号、18は自動手動切替器、19は空気調整ダンパ、をそれぞれ表す。
【0014】
空気流量要求信号は、燃料要求信号1に基づいて関数発生器2によって作成されて(図1の(2)に示す実線)乗算器7に入力される。また、燃料要求信号1から関数発生器3によって作成された排ガスO2濃度設定信号は、ボイラの煙道で計測された排ガスO2濃度信号4との差を減算器5によって演算された後に比例・積分器6を通して空燃比補正信号として乗算器7に入力される。
【0015】
また、上述したように、ボイラの点火から燃料信号が約25%MCR相当負荷になるまでは、空気流量も最低空気流量に制御されるのであるが、前記最低空気流量設定信号は、信号発生器13によって作成され信号高値選択器8を通して出力され減算器16に入力される。
【0016】
ボイラの起動時には、燃料要求信号に対応して作成された空気流量要求信号(関数発生器2の出力)よりも信号発生器13によって作成された最低空気流量設定信号が高値であるから、前記最低空気流量設定信号が信号高値選択器8により選択されて、前記設定信号により燃焼用空気量が制御される。
【0017】
ボイラへの空気流量要求信号は、前記信号高値選択器8で選択されて出力され、空気流量計測信号15との差を減算器16により演算されて、比例・積分器17を通してFDFの空気調整ダンパ制御信号として与えられる。
【0018】
図1の(2)の実線に示すように、空気流量要求信号は、燃料要求信号に基づいて関数発生器2によって発生される信号であり、この信号が前記最低空気流量設定信号よりも小さいときには(ボイラの起動過程ではこのような状態となる)、最低空気量設定信号が最終的に空気流量要求信号として出力されて減算器16に入力される。
【0019】
本発明では、図1の(1)において破線で囲んだ回路で示すように、前述の従来回路に加えて、ボイラ缶水温度信号9により空気流量補正信号を関数発生器10によって作成するとともに(適宜の空気流量を供給していても缶水温度の低いことによる煙色発生の問題解消のため)、燃料要求信号1から関数発生器11により起動時専用の空気流量要求信号を作成して、加算器12で両信号を加算して信号切替器14によりボイラ起動時信号を切り替えて空気流量設定信号として出力する。
【0020】
即ち、前記関数発生器11は、図1の(2)に示すように、起動時専用に通常運転時の空燃比バランスよりも比率を増加させた空気流量要求信号を作成する特性を有している。前記特性により、起動時の燃焼特性に合致した空気供給が可能となるため、空燃比が適正に維持されることとなる。
【0021】
また、図1の(3)に示すように、ボイラが大気圧近くまで冷却された状態から点火する場合には、ボイラ缶水温度が略100°Cになるまでは、(25%+5%)MCRの空気を供給できるように関数発生器10で前記5%分だけ空気流量を補正し、更にボイラ缶水温度が略300°Cになるまで図1の(3)に示すような補正信号を出力するような関数発生器10を備える。上記のような過剰空気による補正により、火炎が冷却されていることによって生じる煙色などを防止するのである。
【0022】
結局のところ、本発明の実施形態によれば、起動時ボイラの状態をボイラ缶水温度で判定し、ボイラの雰囲気温度の状態によって燃焼上必要な空燃比の設定信号を作成し、また、起動時専用に通常運転時の空燃比バランスよりも比率を増加させた空気流量要求信号を作成して、この信号によりFDFの空気量調整ダンパを制御することにより起動時の燃焼特性に合致した空気供給が可能となるため空燃比が適正に維持されることとなるのである。その結果、ボイラ起動時の煙色やCO発生の問題が解消されることになる。
【0023】
図2にボイラ平面図として8本のペアバーナが配置されている場合を例に取り挙げて、バーナの点火順序を説明する。
【0024】
従来技術においては、火炉の熱負荷を均等にする観点から図2の(1)に示すように缶前/缶後左右対称に1ペア毎に点火していた。即ち、点火順序例として、A→E→D→H→B→F→C→G又はB→F→C→G→A→E→D→Hとしていた。
【0025】
本発明では、缶左右のバーナ点火時に空燃比のアンバランスを生じさせて煙色またはCOを発生させることのないように、缶前または缶後で左右対称に点火即ち2ペア同時に点火する。即ち、点火順序例として、(A+D)→(E+H)→(B+C)→(G+F)または(B+C)→(F+G)→(A+D)→(E+H)とする。ここで、(A+D)はAとDのバーナを同時に点火することを示す。
【0026】
図2の(2)に示すように、Bバーナが既に点火している状態でこれからCバーナを点火しようとする場合、矢印で示すごとくCバーナへ急激に空気が供給されて、燃焼中のBバーナへの空気が一時的に不足状態となる。
【0027】
燃焼用空気は、ウィンドウボックスから供給されているため缶左右非対称の点火の場合、点火操作のため開操作された風箱ダンパ(または、エアレジスタ)から燃料弁(バーナ弁)が開いて着火するまでの間に一時的に多量の空気が炉内に供給される結果既に燃焼中のバーナの空気に不足が生じて空燃比のアンバランスが発生する。従来技術においては、この空燃比アンバランスによりCOが一時的に発生する状況となっていた。
【0028】
結局のところ、本発明の実施形態によれば、缶左右において非対称なバーナ点火操作によって生ずる空燃比のアンバランスを缶左右対称に点火を行うことより、ボイラ起動時の煙色やCO発生の問題が解消されることになる。
【0029】
以上のように本発明では、ボイラ起動時に火炉内の燃焼雰囲気温度の相違によって生じる燃焼空気の不足分をボイラ缶水温度の検出によって求めて前記不足分に対応する空気流量補正信号と、燃料要求信号に対応して起動時専用に調整可能な空気流量要求信号と、を作成して、起動時にはこれらの信号を選択して燃焼用空気を制御すること、並びにバーナ点火の際に発生する缶左右の空燃比アンバランスを点火順序を左右同時とすることによって安定した空燃比制御が可能となり、従来発生していた煙色やCOの問題が解消される。
【0030】
更に、本発明の他の実施形態として、ボイラ起動時専用に空燃比補正信号をボイラ缶水温度を用いることなく、専用の関数発生器で作成して燃料要求信号から作成した空気流量要求信号に乗算する方法も本発明と同様の効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、ボイラ起動時におけるボイラの状態に対応した燃焼用空気の適正調整が可能となるため常に最適な燃焼特性が得られ燃焼不良による対環境上への悪影響を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係わる制御系統図とその特性を示す図である。
【図2】従来技術におけるバーナ点火順序と対比させて本発明における点火順序とその動作説明を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料要求信号
2 関数発生器
3 関数発生器
4 排ガスO2濃度信号
5 減算器
6 比例・積分器
7 乗算器
8 信号高値選択器
9 ボイラ缶水温度信号
10 関数発生器
11 関数発生器
12 加算器
13 最低空気流量設定信号発生器
14 信号切替器
15 空気流量計測信号
16 減算器
17 比例・積分器
18 自動・手動切替器
19 空気調整ダンパ
Claims (3)
- ボイラへの燃料要求信号を元にしてボイラの空気流量設定信号を決定し、前記決定された空気流量設定信号に基づいて押し込み通風機の風量調整ダンパを制御するボイラの燃焼制御装置において、
通常運転時に前記燃料要求信号により第1の空気流量要求信号を作成する第1の関数発生器を設けるとともに、前記燃料要求信号により起動時専用に通常運転時の空燃比バランスよりも空気比率を増加させた第2の空気流量要求信号を作成する第2の関数発生器を設け、
ボイラ起動時のボイラ缶水温度を検出し、前記検出した缶水温度に基づいて前記第2の関数発生器の出力である第2の空気流量要求信号を補正し、
前記補正された第2の空気流量要求信号と前記第1の空気流量要求信号を信号切替器によって起動時と通常運転時とで切り換えて前記決定された空気流量設定信号とする
ことを特徴とするボイラの燃焼制御装置。 - 請求項1において、
前記第2の空気流量要求信号の補正は、前記検出した缶水温度の信号を入力とする第3の関数発生器によって行い、
前記第3の関数発生器は、ボイラの冷却状態から点火する場合に、前記検出缶水温度が所定の値になるまでは前記第2の空気流量要求信号の一定値にさらに規定値を上乗せする補正を行い、前記検出缶水温度が所定の値を超えてさらに所定の高温値になるまでは前記上乗せ分を徐々に減少させる補正を行う
ことを特徴とするボイラの燃焼制御装置。 - 請求項1または2において、
前記ボイラへの燃料要求信号に対応してバーナの点火順序を決定する際に、ボイラ中心に対して左右対称に配置されているバーナをペアとし、前記ペア毎のバーナを同時に点火することを特徴とするボイラの燃焼制御装置。
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JPH10160102A JPH10160102A (ja) | 1998-06-19 |
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