JP3807989B2 - 分析ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸光度測定等の測定を行うための分析ユニットに関し、さらに詳述すると、例えば試料や試薬の吸引、排出、計量、希釈、混合、加熱、加減圧、測定といった試料の分析に必要な複数の操作を1台で行うことができる分析ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、試料に1種または2種以上の試薬を加えて吸光度測定等の測定を行う手段の一例として、各液のタンクに、シリンダおよびピストンを備えたピストンポンプを、開閉バルブを備えた配管を介してそれぞれ接続し、上記各ピストンポンプにより各タンクから試料および試薬をそれぞれ吸引して容器に導入し、この容器で試料と試薬との混合および混合液の加熱を行った後、混合液を測定セルに供給することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の測定手段では、試料や試薬を入れた各タンクにそれぞれ開閉バルブを備えた配管を介してピストンポンプを接続するので、複数のピストンポンプや余分な配管、バルブが必要となり、部品数が多くなるため、測定装置が大型化し、測定装置が重くなり、装置コストが高くなるという問題があった。
【0004】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、例えば試料や試薬の吸引、排出、計量、希釈、混合、加熱、加減圧、測定といった測定に必要な複数の操作を1台で行うことができる小型、軽量、低コストの分析ユニットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、シリンダと、内部に軸方向に沿ってピストン挿入貫通孔が形成され、前記シリンダの内部に基端側から挿入された外側ピストンと、前記外側ピストンのピストン挿入貫通孔に挿入された内側ピストンとを備え、前記外側ピストンおよび内側ピストンは互いに独立して進退可能であり、かつ、前記シリンダの先端側壁部には外側ピストンおよび/または内側ピストンの動作に応じて液が出入りする複数の液出入口が形成されているとともに、前記シリンダ、外側ピストンおよび内側ピストンからなる構造体は測定セルとして構成されていることを特徴とする分析ユニットを提供する。
【0006】
この場合、本発明の分析ユニットは、後述する実施形態に示すように、さらに好ましくは下記の分析ユニットとすることができる。
(a)外側ピストンおよび内側ピストンは、それぞれパルスモータにより駆動される分析ユニット。
(b)シリンダ、外側ピストンおよび内側ピストンからなる構造体は、シリンダ内の液に光を入射させるとともにシリンダ内の液を透過した光を出射させる機能と、シリンダ内の液を加熱する機能またはシリンダ内の液に超音波を発振する機能とを有し、吸光度の測定セルとして構成されている分析ユニット。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1は本発明に係る分析ユニットの一実施形態を示すもので、本例の分析ユニットは吸光度測定用の分析ユニットとして構成されている。
【0008】
本例の分析ユニット2において、4はシリンダを示す。シリンダ4は、石英ガラスからなる透明な内側シリンダ6と、その外側に設けられた金属、プラスチック、セラミックなどからなる外側シリンダ8とを有する。内側シリンダ6は円筒状のものであり、外側シリンダ8は先端側が閉塞されたものである。なお、図中10は内側シリンダ6と外側シリンダ8との間に設けられたシールリングを示す。
【0009】
図中12はシリンダ4の内部空間部14に基端側から挿入された外側ピストンを示す。外側ピストン12の内部には軸方向に沿ってピストン挿入貫通孔16が形成されている。この外側ピストン12は、外面に形成されたラック18と、パルスモータの作動により回転するピニオン20とのかみ合わせによって進退するようになっている。なお、外側ピストン12の先端部にはシールリング22が取り付けられている。
【0010】
図中24は外側ピストン12のピストン挿入貫通孔16に基端側から挿入された内側ピストンを示す。内側ピストン24内には基端側から軸方向に沿ってネジ孔26が形成されているとともに、このネジ孔26にパルスモータの作動により回転するピストン送りネジ28が螺合されており、ピストン送りネジ28の回転30によって内側ピストン24が進退するようになっている。なお、内側ピストン24の先端よりやや後端側にはシールリング32が取り付けられている。
【0011】
以上のことからわかるように、外側ピストン12および内側ピストン24は、パルスモータの作動によりそれぞれ互いに独立して進退可能である。
【0012】
シリンダ4の先端側壁部には、外側ピストン12、内側ピストン24の動作に応じて液が出入りする複数の液出入口34が形成されている。これらの液出入口34にはそれぞれ試料タンク、試薬タンク、排液タンク等のタンク36が連結されている。なお、図中38は液出入口34とタンク36とを連結する配管、40は配管38に介装された開閉バルブを示す。
【0013】
シリンダ4の外側シリンダ8の周壁部には、光源窓42および該光源窓42に対向する受光窓44が径方向に沿って形成されている。そして、光源(図示せず)からの光を光源窓42を通してシリンダ4内の液に入射させるとともに、シリンダ4内の液を透過した光を受光窓44を通して出射させ、この出射光を受光素子(図示せず)で受光するようになっている。また、内側ピストン24の先端部には、シリンダ4内の液を加熱する発熱体46が埋設されている。以上により、シリンダ4、外側ピストン12および内側ピストン24からなる構造体は、吸光度の測定セルとして構成されている。なお、発熱体46に代えて、シリンダ4内の液に超音波を発振する振動体を設けてもよい。
【0014】
本例の分析ユニットを用いて試料の吸光度を測定する手順は例えば下記のとおりである。
【0015】
(1)図1に示した状態で、液出入口34と試料タンクとの間のバルブを開、他のタンクとの間のバルブを閉とし、パルスモータの作動により内側ピストン24のみを所定量後退させる。これにより、図2に示すように、シリンダの内部空間部14内(外側ピストン12のピストン挿入貫通孔16内)に所定量の試料液50が導入される。なお、外側ピストン12および内側ピストン24の両方を後退させてもよい。
【0016】
(2)図2に示した状態で、液出入口34と試薬タンクとの間のバルブを開、他のタンクとの間のバルブを閉とし、パルスモータの作動により内側ピストン24のみを後退させる。これにより、シリンダの内部空間部14内(外側ピストン12のピストン挿入貫通孔16内)に所定量の試薬が導入され、シリンダ内には試料および試薬が入った状態となる。なお、外側ピストン12および内側ピストン24の両方を後退させてもよい。
【0017】
(3)2種以上の試薬を使用する場合には、上述したシリンダの内部空間部14内への試薬の導入操作を繰り返す。
【0018】
(4)液出入口34とタンクとの間のバルブを全て閉とし、図3に示すように、内側ピストン24を所定量前進させつつ外側ピストン12を所定量後退させる。この場合、シリンダの内部空間部14の体積が変化しないように内側ピストン24の前進量および外側ピストン12の後退量を制御する。これにより、試料および試薬が十分に混合される。なお、必要に応じ、上述した内側ピストン24および外側ピストン12の同時往復動を繰り返してもよい。
【0019】
(5)図3に示した状態で、発熱体46によってシリンダ4内の混合液を加熱する。
【0020】
(6)内側ピストン24を所定量後退させつつ外側ピストン12を所定量前進させ、図4に示すように、シリンダ4の光源窓42と受光窓44との間に試料と試薬との混合液が存在するようにする。なお、(4)と同様に、シリンダの内部空間部14の体積が変化しないように内側ピストン24の後退量および外側ピストン12の前進量を制御する。
【0021】
(7)光源からの光を光源窓42を通してシリンダ4内の液に入射させるとともに、シリンダ4内の液を透過した光を受光窓44を通して出射させ、この出射光を受光素子で受光することにより吸光度測定を行う。
【0022】
(8)液出入口34と排液タンクとの間のバルブを開、他のタンクとの間のバルブを閉とし、パルスモータの作動により外側ピストン12および内側ピストン24を図1の状態まで前進させる。これにより、シリンダ4内の混合液が排液タンクに排出される。
【0023】
上記動作により吸光度測定が行われる。ただし、上記動作は本例の分析ユニットの動作の一例であり、本例の分析ユニットは他の種々の動作によって測定を行うことが可能である。
【0024】
以上のように、本例の分析ユニットは下記の利点を有する。
▲1▼吸光度測定に必要な複数の操作(試料や試薬の吸引、排出、計量、混合、加熱、分析など)を1台のユニットで行うことができる。
▲2▼部品数が少なく、小型、軽量、低コストである。
▲3▼ピストンをパルスモータにより駆動するので、ピストンを高精度で進退させることができる。
▲4▼光学的な測定を行うガラス部(内側シリンダ)の汚れがピストンが動く毎に洗浄され、ガラス部を清浄に保持できることから、汚れの影響が少なくなる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、例えば試料や試薬の吸引、排出、計量、希釈、混合、加熱、加減圧、測定といった測定に必要な複数の操作を1台で行うことができる小型、軽量、低コストの分析ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る分析ユニットの一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図1の分析ユニットの動作状態を示す概略断面図である。
【図3】図1の分析ユニットの動作状態を示す概略断面図である。
【図4】図1の分析ユニットの動作状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 分析ユニット
4 シリンダ
6 内側シリンダ
8 外側シリンダ
12 外側ピストン
14 内部空間部
16 ピストン挿入貫通孔
24 内側ピストン
34 液出入口
36 タンク
42 光源窓
44 受光窓
46 発熱体
Claims (3)
- シリンダと、内部に軸方向に沿ってピストン挿入貫通孔が形成され、前記シリンダの内部に基端側から挿入された外側ピストンと、前記外側ピストンのピストン挿入貫通孔に挿入された内側ピストンとを備え、前記外側ピストンおよび内側ピストンは互いに独立して進退可能であり、かつ、前記シリンダの先端側壁部には外側ピストンおよび/または内側ピストンの動作に応じて液が出入りする複数の液出入口が形成されているとともに、前記シリンダ、外側ピストンおよび内側ピストンからなる構造体は測定セルとして構成されていることを特徴とする分析ユニット。
- 外側ピストンおよび内側ピストンは、それぞれパルスモータにより駆動されることを特徴とする請求項1に記載の分析ユニット。
- シリンダ、外側ピストンおよび内側ピストンからなる構造体は、シリンダ内の液に光を入射させるとともにシリンダ内の液を透過した光を出射させる機能と、シリンダ内の液を加熱する機能またはシリンダ内の液に超音波を発振する機能とを有し、吸光度の測定セルとして構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分析ユニット。
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