JP3807655B2 - マイクロポンプ製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、微小量の流体の搬送等に用いられるマイクロポンプの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、上記のようなマイクロポンプの原理を模式的に示す断面図である。このマイクロポンプは逆止弁を備えない構造のもので、単結晶シリコンから成る下層95に出口部91と入口部92とが形成され、この下層95上に単結晶シリコンから成る上層96が設けられている。出口部91は、その上層96側ほど断面積が次第に大きくなるよう形成される一方、入口部92は、これと反対に上層96側ほど次第に断面積が小さくなるよう形成されている。そして前記上層96には、出口部91と入口部92とを連通させる容量可変のチャンバ93が設けられている。また前記上層96のうちチャンバ93の上側に位置する部分には、振動膜97が形成されている。そしてこの振動膜97上に圧電素子94が取り付けられている。
【0003】
上記のように形成された逆止弁レスのマイクロポンプでは、流体抵抗差を利用して液体の搬送を行う。すなわち、前記圧電素子94に所定の交流電圧を印加すると、前記振動膜97が振動を始める。この振動によって振動膜97が圧電素子94側に凸となるとチャンバ93の容積が大きくなるので、液体をチャンバ93内に吸入することになる。このときチャンバ93内に吸入される液体に与える流体抵抗は、出口部91及び入口部92の前記形状から、入口部92よりも出口部91の方が大きくなる。そのため液体は出口部91から流入することができず、入口部92からチャンバ93内に流入するようになる。一方、振動膜97が下層95側に凸となるとチャンバ93内の容積が小さくなるので、液体をチャンバ93内から排出することになる。このときチャンバ93内から排出される液体に与える流体抵抗は、前記出口部91及び入口部92の形状から、出口部91よりも入口部92の方が大きくなる。そのため液体は入口部92から流出することができず、出口部91からチャンバ93外に流出するようになる。このようにして上記マイクロポンプでは、逆止弁を備えることなく入口部92から出口部91へと液体を搬送することができるようになっている。
【0004】
逆止弁レスのマイクロポンプを可能とする前記出口部91及び入口部92は、上記のようにそれぞれ縦断面がテーパ状に成されている。このような出口部91及び入口部92は、異方性ウェットエッチングによって形成される。すなわち、単結晶シリコンの(100)面を下層95の両平面とし、この(100)面からKOH水溶液によってウェットエッチングを行う。そしてこのウェットエッチングで形成される(111)面を、前記出口部91及び入口部92の側壁斜面とするのである。従って従来のマイクロポンプ製造方法においては、まず両面が(100)面である単結晶シリコンから成る下層95を準備する。そしてこの下層95の両面からウェットエッチングを施して、前記出口部91及び入口部92を形成する。また同様に、両面が(100)面である単結晶シリコンから成る上層96を準備する。そしてこの上層96の両面からウェットエッチングを施して、チャンバ93となる部分と振動膜97とを形成する。そして次に前記下層95と上層96とを接合し、最後に圧電素子94を上層96の振動膜97に取り付ける。これによって互いに逆方向に断面積が変化する出口部91と入口部92とを下層95に形成し、両者91、92をチャンバ93で連通させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記マイクロポンプ製造方法では、下層95と上層96とを接合している。このような接合は、単結晶シリコンの自然酸化膜を利用して、シリコンウェハを加熱することで行われる。しかしながらこのような接合を強固に行うには、接合面が原子レベルで平坦かつ清浄である必要がある。接合面に凹凸があったり汚れがあったりするとボイドが発生して接合強度が低下し、マイクロポンプの信頼性が低下してしまうという問題が生じる。また上記製造方法では下層95と上層96との接合工程を有しているため、接合時に出口部91及び入口部92とチャンバ93との位置関係に微妙なズレを生じることがある。出口部91及び入口部92とチャンバ93との位置関係によって搬送流体に与える流体抵抗が左右されるから、接合時の前記ズレによってポンプ性能が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また逆止弁を備えたマイクロポンプの製造方法の従来例として、特開平11−257232号公報、特開平4−66785号公報、特開平3−233177号公報を挙げることができる。しかしながら逆止弁付のマイクロポンプにおいては、部材中において中空スペースをなす出口部、入口部、及びチャンバを形成しなければならないのみならず、当然のことながら逆止弁を設けなければならない。そのため前記各公報では、シリコン基板にガラス基板を陽極接合して中空スペースを形成し、これを出口部、入口部、及びチャンバとするとともに、ガラス基板とシリコン基板との密着・離反によって逆止弁を構成するようにしている。従ってこの場合にも接合時における信頼性低下という問題が生じるし、また出口部、入口部、及びチャンバの位置関係がずれることによってポンプ性能が低下するという問題も生じる。
【0007】
この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、部材の接合によることなくマイクロポンプの出口部、入口部、及びチャンバを形成することが可能なマイクロポンプ製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明のマイクロポンプ製造方法は、第1層と、この第1層と異なるエッチング特性を有する材料から成り前記第1層に積層された第2層と、この第2層と異なるエッチング特性を有する材料から成り前記第2層に積層された第3層とを備えた原材料を準備する第1の工程と、前記第1層の反第2層側からエッチングを施し、第2層側の面に至る入口部と出口部とを前記第1層に形成する第2の工程と、前記第3層に細孔を反第1層側から形成し、この細孔を介して前記第2層を原材料の外部と連通させる第3の工程と、前記第3の工程で形成した細孔を介したウェットエッチングにて前記第2層にエッチングを施し、前記入口部と出口部とを連通させるとともに入口部から出口部に向かってぜん動させることができるチャンバを形成する第4の工程と、前記細孔を介した連通を遮断する第5の工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
このマイクロポンプ製造方法では、第1層及び第3層に挟まれて、これら両層とエッチング特性の異なる第2層を設けている。このような構造で反第2層側から第1層をエッチングして入口部と出口部とを形成し、また第2層に対するエッチングによって前記入口部と出口部とを連通させるとともにぜん動が可能なチャンバを形成している。所定のアクチュエータ等によってチャンバをぜん動させれば入口部から出口部への流体の搬送ができるので、マイクロポンプを構成する入口部、出口部、及びチャンバを、部材の接合を行うことなく形成することが可能となる。
【0010】
また、細孔を介して第2層をウェットエッチングしているので、チャンバの面積や形状にかかわらず、細孔の断面積を適宜に選択することによってチャンバと外部との連通を容易に遮断することが可能となる。また例えば複数の細孔を適宜に配列するなどにより、前記連通の遮断を容易としつつ、所定形状のチャンバを正確に形成することが可能となる。細孔の相対向する側壁間の距離を約1.2μm以下とし、CVD法による成膜で前記連通を容易に遮断することが可能となる。
【0011】
また、前記第4の工程に先立って、前記入口部と出口部とを被覆する第6の工程と、前記第4の工程の後、前記入口部と出口部とを開口する第7の工程とを含むことが望ましい。
【0012】
また、前記第3の工程において細孔は、ドライエッチングにより設けられることが望ましい。
【0013】
ドライエッチングによればレジストパターンなどに対し垂直にエッチングすることができるから、所定形状のチャンバを正確に形成することが可能となる。
【0014】
また本発明のマイクロポンプは、チャンバの隔壁の一部が振動膜となされ、当該振動膜を振動させることにより微小量の流体を搬送するマイクロポンプであって、前記振動膜は、チャンバの内側に向かって開口し、チャンバの外側が被覆された複数の細孔を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記細孔は、前記振動膜全体にわたって配設されることが好ましい。
【0016】
また、前記前記細孔は、所定のピッチで均等に配設されることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、この発明のマイクロポンプ製造方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1及び図2は、上記製造方法を順次に示す模式断面工程図である。まず単結晶シリコンから成る厚さ約500μmの第1層1と、この第1層に積層されたSiO2から成る厚さ約30μmの第2層2と、第2層に積層された単結晶シリコンから成る厚さ約3μmの第3層3とを備えた基板50を原材料として準備する(図1(a))。ここでは前記第1層1と第3層3とがそれぞれ基板50の表面31、30を構成し、この表面31、30がそれぞれ単結晶シリコンの(100)面に該当している。このような基板50は、例えば単結晶シリコン・ウェハに石英板を接合し、これにさらに単結晶シリコン基板を接合する等により得ることができる。
【0019】
次に、前記第1層1と第3層3とが形成する基板50の表面31、30に、厚さ約0.2μmのSi3N4(以下、単に「SiN」と称する。)層4、5を成膜する(同図(b))。そしてこのうちSiN層4に、2カ所を開口したレジストパターンをフォトリソグラフィ技術にて形成し、このレジストパターンをマスクにして前記SiN層4をエッチングする。このエッチングで形成されたエッチング部32、33の大きさは、それぞれ約810μm×810μmである。エッチング後、不要なレジストを硫酸ボイル等によって除去する(同図(c))。そしてこの状態で、KOH水溶液による単結晶シリコンの異方性ウェットエッチングを、前記エッチング部32、33を介して行う。そしてこのエッチングにより、それぞれ単結晶シリコンの(111)面を側壁面34、35とする入口部21及び出口部22を、第2層2に達するまで第1層1に形成する。形成された入口部21及び出口部22は、その側壁面34、35と積層面47との角度αが55°の縦(積層方向)断面テーパ状であって、第2層2側ほど断面積が次第に小さくなっている。入口部21及び出口部22の第2層2側の寸法は、約100μm×100μmである(同図(d))。続いて上記基板50の第1層1側から約0.3μmのSiN膜36を成膜し、前記入口部21及び出口部22をこのSiN膜36で被覆する(同図(e))。
【0020】
一方、前記SiN層5の表面に、図3に示すようなマスク38を介してレジストパターンを形成する。同図では部分的に示しているが、マスク38には、断面の1辺Lが約1.2μmの正方形を成す細孔37が、約3.0μmの配列ピッチPで複数配列されている。細孔37が配列されている範囲は、約11mm×11mmにわたっている。このようなマスク38をSiN層5上に設けると、その下方(第1層1側)の領域に前記入口部21と出口部22とが位置することになる。そしてこのマスク38を介し、フォトリソグラフィ技術によって前記レジストパターンを形成するのである。従ってこのレジストパターンにも、1辺が約1.2μmの正方形を成す断面を有する細孔が、入口部21と出口部22とを上方(第3層3側)から覆う約11mm×11mmの領域に、約3.0μmのピッチで形成される。
【0021】
次にこのレジストパターンを介してSiN層5のエッチングを行い、さらに引き続いて第3層3のドライエッチングを行う。ドライエッチングによればレジストパターンに対し垂直にエッチングすることができるから、第3層3には前記レジストパターンに従って断面の1辺が約1.2μmの正方形を成す細孔39が、設けられる(図2(a))。この細孔39も、前記レジストパターンに従って、入口部21及び出口部22を覆う約11mm×11mmの範囲にわたり約3.0μmのピッチで並置形成されることになる。細孔39の1辺は約1.2μmであるから、細孔39同士の隣接間隔は約1.8μmである。
【0022】
次に、このようにして形成された細孔39を介してエッチング液(例えばBHF)を供給し、第2層2のウェットエッチングを行う。このエッチングは等方性ウェットエッチングとなるので、エッチング領域は細孔39の直下だけでなくその周辺にまで広がる。すると細孔39が配列された約11mm×11mmのほぼ全範囲にわたって第2層2が除去され、チャンバ23が形成される(同図(b))。そこで次に、SiN層4、5及びSiN膜36をウェットエッチングによって除去する。すると入口部21と出口部22とが、第1層1の表面31に開口する(同図(c))。
【0023】
さらに前記第3層3上に、プラズマCVD法によってSiN層6の成膜を行う。第3層3に設けられた細孔39は断面の1辺が約1.2μmであるから、プラズマCVD法で供給されたSiNは細孔39の奥部まで到達せず、細孔39のほぼ開口部分のみがSiNで埋められることになる。このようにして形成した約0.5μmのSiN層6上に、さらに約0.5μmのポリシリコン層7を成膜する。するとこれらSiN層6、ポリシリコン層7、及び前記第3層3によって、振動膜25が構成される(同図(d))。そして最後に、前記ポリシリコン層7上に複数の圧電素子24を接合する(同図(e))。
【0024】
図4は、上記のようにして製造したマイクロポンプを示す透過平面図である。チャンバ23の両端部位置に入口部21及び出口部22が設けられ、これらの入口部21から出口部22までの間に複数の圧電素子24が列をなして設けられている。チャンバ23の平面形状もほぼ正方形であって、その1辺の長さNは約11mmである。また振動膜25の平面形状は前記チャンバ23とほぼ同様である。この振動膜25はポリシリコン層7によって強化されているので、圧電素子24の振動に伴って柔軟に振動することができる。そこで入口部21側から出口部22側に向かうぜん動をチャンバ23に生じさせるように、各圧電素子24に交流電圧を印加する。
【0025】
図5は、チャンバ23をぜん動させるときの圧電素子24の動作を示す模式断面図である。同図の実線で示すように、例えば、ある時点において所定の第1圧電素子24aをチャンバ23側(同図における下側)に凸となるよう駆動するとともに、第1圧電素子24aの出口部22側(同図における右側)に隣接する第2圧電素子24bを反チャンバ側(同図における上側)に凸となるように駆動する。次の時点においては、同図の破線で示すように、前記第1圧電素子24aを平坦に戻す一方、第2圧電素子24bをチャンバ23側に凸となるよう駆動するとともに、第2圧電素子24bの出口部22側に隣接する第3圧電素子24cを反チャンバ側に凸となるよう駆動する。このような圧電素子24の駆動を最も入口部21側の圧電素子24から最も出口部22側の圧電素子24まで順次に行い、最も出口部22側の圧電素子24まで到達すると、次は最も入口部21側の圧電素子24に戻ってこれを繰り返すのである。このようにすると、アクチュエータとして機能する圧電素子24によって、入口部21から出口部22に向かってチャンバ23がぜん動するようになる。チャンバ23がこのようにぜん動すると、チャンバ23側に凸となった振動膜25によって押圧された流体が、反チャンバ側に凸となる振動膜25の動きによって出口部22側へ順次に吸引されていくので、チャンバ23内の液体又は気体が入口部21側から出口部22側へと搬送されていく。そしてこのようにチャンバ23のぜん動で流体が搬送されるので、入口部21と出口部22との双方が、ともに第1層1の表面31に向かって次第に断面積が大きくなるテーパ状に形成されていても、入口部21から出口部22へと流体を継続して搬送できるマイクロポンプを構成することができる。
【0026】
上記マイクロポンプ製造方法では、第1層1とエッチング特性の異なる第2層2を第1層1に積層し、さらにこの第2層2とエッチング特性の異なる第3層3を第2層2に積層している。このような、いわゆるサンドイッチ構造を採用することにより、入口部21から出口部22に向かってぜん動可能なチャンバ23を、第2層2に対するエッチングによって形成できるようにしている。チャンバ23をこのようにぜん動可能とすると、上述のようにこのぜん動によって流体が搬送されるから、マイクロポンプを構成する入口部21と出口部22との双方を、第1層1の表面31からの異方性ウェットエッチングで形成することができる。従って何ら基板等の部材の接合を行うことなく、単に基板50に対してエッチング・成膜等を施すことによって、マイクロポンプの入口部21、出口部22、及びチャンバ23を形成できる。そしてこれにより、従来の製造方法において部材の接合に付随して生じていた信頼性の低下、ポンプ性能の低下という問題を生じることがなく、安定した品質・性能のマイクロポンプを供給することができる。
【0027】
また、チャンバ23を形成するための第2層2のエッチングは、第3層3に設けた細孔39を介して行うようにしている。この細孔39の断面積は、チャンバ23の面積よりも十分に小さくできる。そのため細孔39を成膜によって容易に埋めることのできるような小さな断面積とすることにより、プラズマCVD法等によるSiN層6の成膜によって、第2層2のエッチング後においてチャンバ23と外部との連通を容易に遮断することができる。上記では前記細孔39の断面を、1辺が約1.2μmの正方形を成すものとしている。細孔39の断面をこのような大きさとすることにより、前記連通の遮断をプラズマCVD法による成膜によって行うことができる。
【0028】
また前記細孔39は、チャンバ23を形成する範囲とほぼ同一の範囲(約11mm×11mm)にわたって、複数が配列して設けられている。そして細孔39同士の隣接間隔は約1.8μmである。そのためチャンバ23は、短時間のウェットエッチングによってほぼ細孔39の配列範囲と同範囲に形成される。従ってエッチングにより形成されるチャンバ23の形状を正確にコントロールし、安定したマイクロポンプの流体搬送性能を得ることができる。
【0029】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。上記では図1(e)で示す工程で基板50の第1層1側に約0.3μmのSiN膜36を成膜し、前記入口部21及び出口部22をこのSiN膜36で被覆するようにした。このSiN膜36の成膜を省略すると、図2(b)に示す工程で入口部21及び出口部22からも第2層2にエッチング液(BHF)が供給されることになる。従って、例えば形成するチャンバ23の面積が比較的に大きい場合等には、図1(e)に示す工程でのSiN膜36の成膜を省略して入口部21及び出口部22からも第2層2をエッチングするようにしてもよい。さらに、例えば入口部21と出口部22とが近接している等の場合には、第3層3に細孔39を設けることなく、入口部21及び出口部22を介したウェットエッチングによってチャンバ23を形成するようにしてもよい。また図2で示したような多数の細孔39を設ける以外にも、例えばチャンバ23が比較的に小さいような場合には、単一の細孔を設けて第2層2にウェットエッチングを施すようにしてもよい。そしてこのような場合には、入口部21と出口部22との間の中央位置に細孔を設けるのが好ましい。このようにするとマイクロポンプの構造に対称性を持たせて良好なポンプ性能を確実に維持することができるからである。
【0030】
また上記では第3層3を単結晶シリコンで構成したが、これは第2層2と異なるエッチング特性を有していればよいから、例えば第2層2がSiO2からなる場合であれば、一例として多結晶シリコンを用いてもよい。第2層2のエッチング特性と基板50の製造容易性とを考慮して、第3層3の材質を適宜に選択することができる。
【0031】
さらに第1層1を単結晶シリコンで構成し、これに異方性ウェットエッチングを施して縦断面テーパ状の入口部21及び出口部22を形成した。しかしながらチャンバ23のぜん動による流体の搬送が可能となるのであれば、入口部21及び出口部22の形状は図示したような縦断面テーパ状に限るものではない。そして、例えばチャンバ23から第1層1の表面31に向かって断面積が一定であるような入口部21又は出口部22を形成するのであれば、図1(d)に示すような異方性ウェットエッチングに代えて、ドライエッチングにより入口部21又は出口部22を形成してもよい。またSiN層4に設けたエッチング部32、33以上にエッチング領域が広がっても所定のポンプ性能が得られるような場合には、等方性ウェットエッチングを用いて入口部21又は出口部22を形成してもよい。そして入口部21及び出口部22の双方を異方性ウェットエッチング以外の方法で形成する場合には、第1層1を単結晶シリコン以外の材料で構成するようにしてもよい。
【0032】
また上記では第2層2をSiO2で構成したが、第2層2は第1層1及び第3層3とエッチング特性が異なっていればよいから、SiO2に限ることなく他の材料で第2層2を構成することができる。例えばボロン等の不純物を高濃度にドープしたシリコンのKOHレートも単結晶シリコンのKOHレートよりもきわめて小さいから、第2層2をボロン・ドープしたシリコンで形成するようにしてもよい。このようにボロンドープした基板も、SOI基板の製造工程で得ることができるものである。
【0033】
また上記のようなSi/SiO2/Siの構造を有する基板50に代えて、Si/SiN/SiO2/Siの構造を有する基板を用いてもよい。このうちSiN層は、図2(c)で示す工程で除去され、チャンバ23の一部を構成することになる。
【0034】
さらに上記では、第1層1及び第3層3がその両表面を構成する基板50を用いたが、さらに他の層が第1層1及び第3層3の表面側に積層された基板を用いてもよい。そのような層のうち除去が必要な部分については、工程中において適宜にエッチング等にて除去すればよい。さらに上記では第1層1、第2層2、第3層3を直接に積層した基板50を用いているが、各層間に所定の材料から成る層が介在する基板を用いることもできる。このような介在層は、必要に応じてエッチング等で除去すればよい。
【0035】
また上記では断面形状が正方形を成す細孔39を形成し、断面の1辺を約1.2μmとした。細孔39の断面は、その1辺が約0.8〜1.2μmの範囲で選択することが好ましい。約1.2μm以下とすると、その開口部をプラズマCVD法等を用いた成膜によって容易かつ確実に遮蔽することができ、また約0.8μm以上とすると、BHF等のエッチング液を細孔39を介して第2層2に容易に供給できるからである。さらに正方形のような断面形状に限らず、例えば断面形状が円形であるような細孔39を形成するようにしてもよい。その場合にも細孔39の相対向する側壁間の距離を約1.2μm以下とすれば、その開口部をプラズマCVD法等を用いた成膜によって容易かつ確実に遮蔽することができる。例えば断面円形である場合には、その直径を約1.2μm以下とすればよい。
【0036】
また上記ではチャンバ23をぜん動させるアクチュエータとして圧電素子24を用いたが、このアクチュエータとしては、例えば所定の駆動回路によって電圧を印加される電極を用いてもよい。このような電極に所定の電圧を印加すると第1層1との間で静電引力が生じ、その部分の振動膜25が第1層1側に引かれることになる。そこで入口部21側から出口部22側に向かって前記電極に対し順次に電圧を印加し、これによってチャンバ23をぜん動させるのである。さらに図5を用いて説明したチャンバ23のぜん動は一例であって、これと異なる手法によってチャンバ23をぜん動させてもよいのは勿論である。
【0037】
【発明の効果】
本発明のマイクロポンプ製造方法では、マイクロポンプを構成する入口部、出口部、及びチャンバを、部材の接合を行うことなく原材料に形成することができる。従って、部材の接合に伴って生じ得る信頼性及びポンプ性能の低下という問題を確実に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態のマイクロポンプ製造方法を説明するための模式断面工程図である。
【図2】 上記マイクロポンプ製造方法を説明するための模式断面工程図である。
【図3】 上記マイクロポンプ製造方法に用いるマスクの部分平面図である。
【図4】 上記製造方法によって製造されたマイクロポンプの透過平面図である。
【図5】 上記マイクロポンプにおけるチャンバのぜん動を説明する模式断面図である。
【図6】 従来の製造方法によって製造されたマイクロポンプの模式断面図である。
【符号の説明】
1 第1層
2 第2層
3 第3層
21 入口部
22 出口部
23 チャンバ
39 細孔
50 基板
Claims (5)
- 第1層と、この第1層と異なるエッチング特性を有する材料から成り前記第1層に積層された第2層と、この第2層と異なるエッチング特性を有する材料から成り前記第2層に積層された第3層とを備えた原材料を準備する第1の工程と、
前記第1層の反第2層側からエッチングを施し、第2層側の面に至る入口部と出口部とを前記第1層に形成する第2の工程と、
前記第3層に細孔を反第1層側から形成し、この細孔を介して前記第2層を原材料の外部と連通させる第3の工程と、
前記第3の工程で形成した細孔を介したウェットエッチングにて前記第2層にエッチングを施し、前記入口部と出口部とを連通させるとともに入口部から出口部に向かってぜん動させることができるチャンバを形成する第4の工程と、
前記細孔を介した連通を遮断する第5の工程と
を含むことを特徴とするマイクロポンプ製造方法。 - 前記第4の工程に先立って、前記入口部と出口部とを被覆する第6の工程と、
前記第4の工程の後、前記入口部と出口部とを開口する第7の工程と
を含む請求項1に記載のマイクロポンプ製造方法。 - 前記第3の工程において細孔は、ドライエッチングにより設けられる請求項1に記載のマイクロポンプ製造方法。
- 前記第3の工程において細孔は、前記チャンバを形成する範囲とほぼ同一の範囲にわたって複数個配列される請求項1に記載のマイクロポンプ製造方法。
- 前記第3の工程において細孔は、相対向する側壁間の距離が約1.2μm以下であり、
前記第5の工程においては、CVDにより細孔の開口部近傍のみにおいて連通を遮断する
請求項1に記載のマイクロポンプ製造方法。
Priority Applications (1)
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