JP3807284B2 - 搬送用台車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネスティングして保管し得る搬送用台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の搬送用台車としては、たとえば図15〜図19に示すように、底体101と、後枠体102と、荷103を支持する支持板104とで構成されるものがある。
【0003】
前記底体101は、平面視において、後部が次第に左右へ広がりかつ後端が開放されたV形状に形成され、以て底体101の内側にはネスティング空間105が形成されている。前記後枠体102は、左右一対の縦杆材111と上部横杆材112と下部横杆材113とで四角枠状に形成されており、底体101の後端部に立設されている。前記支持板104は、図15に示すように水平に伸展した状態で上記底体101上に配置されており、かつ図18に示すように2つに屈曲して後枠体102側に折畳み自在に構成されている。
【0004】
また、前記底体101には、前部車輪106と後部車輪107と中間部車輪108とが設けられている。ここで前部車輪106は底体101の前端部に1輪設けられ、また後部車輪107は底体101の後端部に左右2輪設けられ、そして中間部車輪108は前部車輪106と後部車輪107との中間部に左右2輪設けられている。
【0005】
なお車輪106,107,108群は、底体101から前部車輪106の下端までの距離をHa,底体101から後部車輪107の下端までの距離をHb,底体101から中間部車輪108の下端までの距離をHcとすると、[Ha=Hb。Hc>Ha。Hc>Hb。]のような関係に設定されている。
【0006】
このような従来構成によると、作業者は、後枠体102を押すことによって、搬送用台車109を前方へ移動させることができる。その際に搬送用台車109は、中間部車輪108を支点として床面110に支持され、そして後部車輪107あるいは前部車輪106が床面110に接地する。
【0007】
また、搬送用台車109を左右に方向転換させる場合、作業者は、後枠体102を僅かに押し下げまたは引き上げて、図15に示すように中間部車輪108のみを床面110に接地させたまま前部車輪106と後部車輪107とを床面110から浮き上がらせ、この状態で搬送用台車109を左右に方向転換させる。これにより、両中間部車輪108が互いに反対方向へ回転(遊転)し、両中間部車輪108を支点として、搬送用台車109をその場で左右方向へ旋回させることができる。これにより、狭い場所であっても、搬送用台車109を容易に方向転換させることができる。
【0008】
また、複数台の搬送用台車109をネスティングする場合、作業者は、図18に示すように、支持板104を2つに屈曲して後枠体102側へ折り畳む。このとき、搬送用台車109の重心が後方へ移行するため、中間部車輪108と後部車輪107とが床面110に接地し、これにより、前部車輪106が床面110から浮き上がり、底体101の前部が斜め上方へ上昇する。
【0009】
その後に、図17に示すように、前位(一方)の搬送用台車109のネスティング空間105に、後位(他方)の搬送用台車109の底体101を前部から差し込む。これにより、前位の搬送用台車109のネスティング空間105に後位の搬送用台車109の底体101が入れ込まれ、以て図19に示すようにネスティングし得る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記した従来の構成では、図19に示すように、前位の搬送用台車109のネスティング空間105に、後位の搬送用台車109の底体101を前部から差し込んでネスティングしたとき、全ての搬送用台車109は、それぞれ一対の中間部車輪108と一対の後部車輪107とが床面110に接地されていることになる。すなわち、[ネスティング台数×4輪]の接地状態になる。したがって、ネスティングした搬送用台車109群の移動は、直線状では支障なく行えるが、左右方向への旋回移動(カーブ移動)は接地輪群の摩擦抵抗などによって円滑に行えない。
【0011】
特に、中間部車輪108を固定輪として、単数台の移動を円滑に行わせる形式としたときには、逆に、ネスティング時に接地状の多数の固定輪が旋回抵抗輪体となって、左右方向への旋回移動(カーブ移動)は殆ど行えないことになる。
【0012】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、ネスティングした状態での前後移動や旋回移動を円滑に行える搬送用台車を提供することを目的としたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の搬送用台車は、下部の底体側には、前部車輪と中間部車輪と後部車輪とが設けられるとともに、後部で開放されたネスティング空間が形成されており、前位台車のネスティング空間に、後位台車の底体を前部から差し込むことによってネスティング可能とされ、ネスティング時に後位台車は、1箇所の車輪のみが着地され、残りの車輪群が浮き上がった姿勢になるように、前位台車の底体側に浮き上がり手段が設けられていることを特徴としたものである。
【0014】
したがって請求項1の発明によると、搬送用台車の移動は、各車輪を床面に接地させることで、床面に支持させて行える。複数台のネスティングは、前位台車のネスティング空間に、後位台車の底体を前部から差し込むことで行える。このとき、浮き上がり手段によって、後位台車は、前部車輪と中間部車輪と後部車輪とのうち1箇所の車輪のみを着地させた姿勢になり、したがって、ネスティングした搬送用台車群における接地輪の総数を少なくし得る。
【0015】
また本発明の請求項2記載の搬送用台車は、上記した請求項1記載の構成において、ネスティング時に後位台車は、前部車輪と中間部車輪とが浮き上がり、後部車輪のみが着地された姿勢になることを特徴としたものである。
【0016】
したがって請求項2の発明によると、後位台車の底体を前部から差し込んで、その前部を持ち上げながら前部車輪と中間部車輪とを浮き上がらせ得る。
そして本発明の請求項3記載の搬送用台車は、上記した請求項1または2記載の構成において、ネスティング前に台車は、各車輪が着地されて底体は前端側を下位として傾斜姿勢に保持され、ネスティング時に後位台車は、浮き上がり手段によって底体の前端側が持ち上げられるように構成されていることを特徴としたものである。
【0017】
したがって請求項3の発明によると、浮き上がり手段は、後位台車の差し込み力を利用して所期の持ち上げを行える。その際に、前端側を下位として所定の傾斜角度で傾斜姿勢に保持されている前位台車の底体に対して、ネスティングされた後位台車の底体を、その前部が持ち上げられることで水平状となるように、浮き上がり手段を設定することにより、次々とネスティングされる後位台車群は、その底体を水平状(一定状)とし得る。
【0018】
さらに本発明の請求項4記載の搬送用台車は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、浮き上がり手段は、ネスティング時に後位台車が後方へ移動されたときに前位台車を一体状に移動すべく、摩擦抵抗によって後方移動力を伝達可能に構成されていることを特徴としたものである。
【0019】
したがって請求項4の発明によると、後位台車を引いて後方へ移動させたときに、浮き上がり手段の摩擦抵抗によって後方移動力を伝達して、ネスティングした台車群を一体状に後方へ移動し得る。
【0020】
しかも本発明の請求項5記載の搬送用台車は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の構成において、浮き上がり手段は、縦方向軸心の周りに遊転自在な左右一対の回転体からなり、これら回転体には、上側ほど小径となるテーパー面が形成され、これらテーパー面に後位台車の底体が作用可能に構成されていることを特徴としたものである。
【0021】
したがって請求項5の発明によると、後位台車を前位台車に対して差し込んで行くと、後位台車における底体が前位台車における両回転体のテーパー面に当接し、そして両回転体を縦方向軸心の周りに遊転させながら、底体を両回転体間で案内し得る。さらに底体を、テーパー面により上昇させながら両回転体間で案内し得、これによりネスティング時には、後位台車における底体の前部を持ち上げた状態にし得る。
【0022】
また本発明の請求項6記載の搬送用台車は、上記した請求項5記載の構成において、底体側の中間部分には、前位台車における両回転体間で案内されることで、後位台車を前位台車に対して芯合わせしながらネスティングさせるための芯合わせ用の被ガイド体が設けられていることを特徴としたものである。
【0023】
したがって請求項6の発明によると、前位台車のネスティング空間に後位台車の底体を前部から差し込んでネスティングする際に、後位台車における被ガイド体を前位台車における両回転体間で案内することで、この後位台車を、前位台車に対して芯合わせしながら差し込み得る。
【0024】
そして本発明の請求項7記載の搬送用台車は、上記した請求項1〜6のいずれかに記載の構成において、底体の前後両端部に前枠体と後枠体とが設けられ、前枠体は、底体の前端部に設定された組立て位置と、底体の後部に設定された折畳み位置との間を前後移動自在に構成され、前部車輪は前枠体の下部に、後部車輪は後枠体の下部に、中間部車輪は底体にそれぞれ設けられ、ネスティング時に、前枠体は折畳み位置とされるとともに、前部車輪が後部車輪と中間部車輪との間に位置されるように構成されていることを特徴としたものである。
【0025】
したがって請求項7の発明によると、前枠体を組立て位置から折畳み位置まで移動させることで、搬送用台車を折り畳み得、これにより全体をコンパクトとしてネスティングし得る。このとき前部車輪を、前枠体と一体に折畳み位置から組立て位置まで移動させて、後部車輪と中間部車輪との間に位置し得る。これにより多数台をネスティングしたときには、最前位の台車のみ中間部車輪と後部車輪を着地させ、後続の台車の全ては後部車輪のみを着地された状態にし得る。
【0026】
さらに本発明の請求項8記載の搬送用台車は、上記した請求項1〜7のいずれかに記載の構成において、底体の前後両端部に前枠体と後枠体とが設けられ、前枠体は、底体の前端部に設定された組立て位置と、底体の後部に設定された折畳み位置との間を前後移動自在に構成されるとともに、ネスティング時には折畳み位置とされ、荷を支持可能な支持体が前枠体と後枠体との間で底体上に配置され、この支持体は、折畳み位置まで移動した前枠体と後枠体との間で折畳み自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0027】
したがって請求項8の発明によると、前枠体を組立て位置としたとき、支持体を伸展姿勢として底体上に配置し得る。そして前枠体を組立て位置から折畳み位置へ移動させたとき、支持体を折畳んで前枠体と後枠体との間に位置し得る。
【0028】
しかも本発明の請求項9記載の搬送用台車は、上記した請求項1〜8のいずれかに記載の構成において、少なくとも後部車輪は、縦軸心の周りに向き変更自在に構成されていることを特徴としたものである。
【0029】
したがって請求項9の発明によると、搬送用台車の移動の際、少なくとも後部車輪は、その向きを縦軸心の周りに自動的に変更しながら追従回転することになり、これにより搬送用台車を、カーブ状の軌道を描きながら左右へ方向転換し得る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図1〜図14に基づいて説明する。
図2に示すように、搬送用台車10は、底体11と、後枠体21と、前枠体31と、支持板(支持体の一例)51などにより構成されている。
【0031】
図4、図7に示すように、前記底体11は、前後方向に長い左右一対の底フレーム12と、両底フレーム12の前部の下面間に連結された平板状の前部連結フレーム14と、両底フレーム12の中間部の下面からそれぞれ垂設された芯合わせ用の被ガイド体15と、両被ガイド体15の相対向面間に連結された四角パイプ状の中間部連結フレーム16などにより構成されている。
【0032】
なお両底フレーム12は、両底フレーム12の前部間の左右間隔が狭く、かつ後部間の左右間隔が次第に拡大されるように斜めに配置されており、以て両底フレーム12間には、後部が開放されたネスティング空間19が形成されている。
【0033】
図10に示すように、上記底フレーム12は、縦板部12aと、この縦板部12aの上部に設けられた左右一対の上位傾斜板部12bと、両上位傾斜板部12bの上端間に設けられた上板12cと、前記縦板部12aの下部に設けられた左右一対の下位傾斜板部12dと、両下位傾斜板部12dの下端間に設けられた下板12eなどにより構成されている。そして、縦板部12aの左右両側方でかつ上位傾斜板部12bと下位傾斜板部12dとの間には、第1のガイド空間13が底フレーム12の長さ方向(前後方向)に形成されている。
【0034】
図2〜図7に示すように、前記後枠体21は、左右一対の縦杆材22と、両縦杆材22の上端部間に設けられた上部横杆材23と、両縦杆材22の下部間に設けられた下部横杆材24と、複数の中間部横杆材25などにより、四角枠状に構成されている。そして、両縦杆材22の下端が両底フレーム11の後端部に設けられた左右一対の後部ブラケット26に取付け固定されており、これにより、後枠体21が両底フレーム11の後端部に立設されている。
【0035】
前記前枠体31は、底体11の前端部に配置され、かつ底体11の前端部に設定された組立て位置A(図2参照)と、底体11の後部でかつ後枠体21の直前位置に設定された折畳み位置B(図11参照)との間を前後移動自在に構成されている。すなわち前枠体31は、左右一対の縦杆材32と、両縦杆材32の上端部間に設けられた上部横杆材33と、両縦杆材32間に設けられた複数の中間部横杆材34と、両縦杆材32の下端部に設けられた前部ブラケット35と、両前部ブラケット35間に設けられた可動部材36などにより、四角枠状に構成されている。
【0036】
図4、図8に示すように、前記可動部材36は、左右一対の移動体41を介して両底フレーム12に支持されるとともに前後方向へ案内されるものであり、側面視において下面が開放された門形状に形成されている。この可動部材36の内側には、前後一対の第2のガイド空間37が左右方向に形成されている。
【0037】
図4、図8、図9に示すように、両移動体41はそれぞれ、下位本体部42と、この下位本体部42の前後部に設けられた左右一対の第1のガイドローラ43と、下位本体部42上に設けられた上位本体部44と、この上位本体部44の前後部に設けられた左右一対の第2のガイドローラ45、ならびに第3のガイドローラ46などにより構成されている。
【0038】
前記第1のガイドローラ43は、テーパー状の外周面を有しており、図10の仮想線に示すように、前記第1のガイド空間13に係合し、底フレーム12に沿って前後方向に転動する。また、前記第2のガイドローラ45と第3のガイドローラ46とは、図8に示すように、前記第2のガイド空間37に向き変えた状態で係合し、可動部材36に沿って左右方向に転動する。
【0039】
図3、図9に示すように、前記可動部材36における左右方向の中央部分には、前記移動体41の上位本体部44が当接することで、前枠体31の組立て位置Aへの移動限を規制するストッパ手段47が設けられている。すなわちストッパ手段47は、可動部材36の上に固定される矩形板状のベース体48と、このベース体48上に固定される矩形ブロック状で樹脂製からなるストッパ体49などにより構成されている。そして上位本体部44の内側部分から上方へ折り曲げ形成した被ストッパ部44aが、前記ストッパ体49に当接可能に構成されている。
【0040】
図1、図3に示すように、前記底体11側には、組立て位置Aにおける前枠体31の姿勢を維持するための位置維持体17が設けられている。すなわち位置維持体17は、両底フレーム12における前端部分の上面に帯状の摩擦抵抗体を配設することで構成されている。また底フレーム12の前端には、樹脂キャップ18が嵌め込まれている。
【0041】
前記支持板51は、荷1を支持するものであり、底体11上でかつ後枠体21と前枠体31との間に配置されており、図2に示すような水平状に伸展した伸展姿勢と、図11に示すような前後に屈曲して逆V形状に起立した折畳み姿勢とに切換え可能に構成されている。
【0042】
すなわち支持板51は、図3、図7に示すように、2分割された前板部52および後板部53と、これら前板部52と後板部53とを屈曲自在に連結するヒンジ手段54などで構成されている。このヒンジ手段54は、隙間を置いて平行される一対の筒部材54a,54bと、これら筒部材54a,54bの端部間を連結するプレート状の端部材54cと、長さ方向の2箇所(複数箇所)において筒部材54a,54bを前板部52や後板部53に連結するための連結部材54d,54eなどにより構成されている。
【0043】
ここで連結部材54d,54eは曲げプレート状であって、筒部材54a,54bに下方から嵌められたのち、その一方端は前板部52や後板部53の下面に当接され、また他方端は隙間を通ったのち前板部52や後板部53の上面に当接されている。そして一方端と他方端とが、共通の連結具(リベットなど)54f,54gを介して前板部52や後板部53に連結されている。その際に筒部材54a,54bと連結部材54d,54eとは相対回動自在に構成されている。
【0044】
また前板部52の前端は、左右方向軸心55Aの周りに回動自在な状態で両前部ブラケット35間に連結されている。すなわち、両前部ブラケット35間に筒部材56Aが設けられ、この筒部材56Aに、前記連結部材54d,54eと同様の連結部材57Aや連結具58Aを介して、前板部52の前端が相対回動自在に連結されている。
【0045】
同様に後板部53の後端は、左右方向軸心55Bの周りに回動自在な状態で両後部ブラケット26間に連結されている。すなわち、両後部ブラケット26間に筒部材56Bが設けられ、この筒部材56Bに、前記連結部材54d,54eと同様の連結部材57Bや連結具58Bを介して、後板部53の後端が相対回動自在に連結されている。
【0046】
図2〜図7に示すように、前記搬送用台車10の下部には、前部車輪装置61と後部車輪装置65と中間部車輪装置71とがそれぞれ左右一対ずつ設けられている。両前部車輪装置61はキャスター形式であり、前枠体31の縦杆材32の下端側に縦軸心62の周りに旋回自在(向き変更自在)に取り付けられた車輪ブラケット63に、前部車輪64が横方向の車輪軸65を介して遊転自在に取り付けられることで構成されている。
【0047】
また、両後部車輪装置66も同様にキャスター形式であり、後枠体21の縦杆材22の下端側に縦軸心67の周りに旋回自在(向き変更自在)に取り付けられた車輪ブラケット68に、後部車輪69が横方向の車輪軸70を介して遊転自在に取り付けられることで構成されている。
【0048】
さらに、両中間部車輪装置71は固定形式であり、前記中間連結フレーム16の下面に固定された車輪ブラケット72に、中間部車輪73が横方向の車輪軸74を介して遊転自在に取り付けられることで構成されている。なお中間部車輪73は、後部車輪69と、前枠体31と一体に組立位置Aまで移動した前部車輪64との中間部に位置している。
【0049】
ここで、前部車輪64と後部車輪69と中間部車輪73との外径は同一状であり、その際に、底フレーム12から前部車輪64の下端までの距離をha、底フレーム12から中間部車輪73の下端までの距離をhb、底フレーム12から後部車輪69の下端までの距離をhcとすると、[hc>hb>ha]のような関係がある。これにより、前部車輪64を前枠体31と一体に組立位置Aまで移動させたとき、全ての車輪64,69,73が床面3に接地され、このとき底体11は、前端側を下位として、所定の傾斜角度θで傾斜姿勢に保持されるように構成されている。
【0050】
上記構成からなる搬送用台車10は、前位の搬送用台車10のネスティング空間19に、後位の搬送用台車10の底体11を前部から差し込むことによってネスティング可能とされている。そして図1、図13に示すように、ネスティング時に、前枠体31は折畳み位置Bとされるとともに、前部車輪64が後部車輪69と中間部車輪73との間に位置されるように構成され、そして支持板51は、折畳み位置Bまで移動した前枠体31と後枠体21との間で、前板部52と後板部53とが折畳まれるように構成されている。
【0051】
このようなネスティング時に後位の搬送用台車10は、3箇所の車輪64,69,73のうち、2箇所の車輪の一例である前部車輪64と中間部車輪73とが浮き上がり、残り1箇所の車輪の一例である後部車輪69のみが床面3に着地された姿勢になるように、底体11側に浮き上がり手段81が設けられている。
【0052】
この浮き上がり手段81は、図4、図7、図14に示すように、前記後部ブラケット26側から垂下された縦軸82を介して縦方向軸心83の周りに遊転自在な左右一対の回転体(ローラなど)84からなり、これら回転体84の上半分の外周には、上側ほど小径となるテーパー面84aが形成されている。そして、これらテーパー面84aに後位の搬送用台車10における底体11が案内されたのち、上面84bに乗り上がり作用されることで、浮き上がり手段81は、ネスティング時に後位の搬送用台車10の底体11側を、その前部側から持ち上げ可能に構成されている。
【0053】
前記底体11における両底フレーム12の中間部の下面からそれぞれ垂設される芯合わせ用の被ガイド体15は、ネスティング時に前位の搬送用台車10における両回転体84間で案内されるように構成されている。
【0054】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
▲1▼:作業者が支持板51の下方に手を差し込んで引き上げることにより、前板部52と後板部53とがそれぞれ左右方向軸心55A,55Bの周りに回動するとともに、前板部52と後板部53とがヒンジ手段54を介して逆V字状に屈曲する。これにより図11、図12に示すように、支持板51が伸展姿勢から折畳み姿勢に屈曲して後枠体21側へ折り畳まれるとともに、前枠体31が組立て位置Aから折畳み位置Bまで後方へ移動し、以て搬送用台車10は折り畳まれる。
【0055】
なお、上記のように前枠体31が組立て位置Aから折畳み位置Bまで後方へ移動する際に、図8〜図10に示すように、左右の両移動体41はそれぞれ、第1のガイドローラ43を介して両底フレーム12に案内されながら後方へ移動するとともに、第2のガイドローラ45や第3のガイドローラ46を介して可動部材36に案内されながら左右の外方(離間方向)へ移動する。また両前部車輪装置61は、前枠体31と一体に組立て位置Aから折畳み位置Bまで後方へ移動する。
【0056】
▲2▼:上記▲1▼のようにして搬送用台車10を折り畳んだ状態から、この搬送用台車10を組み立てる場合、作業者が起立している前板部52と後板部53とを押し下げることにより、前板部52と後板部53とがそれぞれ左右方向軸心55A,55Bの周りに回動するとともに、前板部52と後板部53とがヒンジ手段54を介して扁平状に伸展する。これにより図2、図3、図7に示すように、支持板51が折畳み姿勢から伸展姿勢に伸展して底体11上に配置されるとともに、前枠体31が、折畳み位置Bから組立て位置Aまで前方へ移動し、以て搬送用台車1は組立てられる。
【0057】
なお、上記のように前枠体31が折畳み位置Bから組立て位置Aまで前方へ移動する際に、左右の両移動体41はそれぞれ、第1のガイドローラ43を介して両底フレーム12に案内されながら前方へ移動するとともに、第2のガイドローラ45や第3のガイドローラ46を介して可動部材36に案内されながら左右の内方(接近方向)へ移動する。また両前部車輪装置61は、前枠体31と一体に折畳み位置Bから組立て位置Aまで前方へ移動する。
【0058】
そして、上記のように支持板51が伸展姿勢に伸展して底体11上に配置されたとき、前記可動部材36における左右方向の中央部分に設けられたストッパ手段47のストッパ体49に対して、前記移動体41の上位本体部44における被ストッパ部44aが当接することになる。これにより、移動体41の移動、すなわち前枠体31の組立て位置Aへの移動限を規制することになり、以て搬送用台車1は組立て姿勢を規制し得る。
【0059】
さらに、支持板51が伸展姿勢に伸展して底体11上に配置されたとき、可動部材36が位置維持体17上に乗り上がり状に載置されることになる。これにより、位置維持体17の摩擦抵抗力によって前枠体31が、振動などによって勝手に折畳み位置B側へ後方移動(戻り移動)することを阻止し得、以て組立て位置Aにおける前枠体31の姿勢を維持し得る。
【0060】
▲3▼:上記▲2▼のようにして搬送用台車1を組み立てたのち、作業者が後枠体21または前枠体31を押す(又は引く)ことによって、搬送用台車1を容易に移動させることができる。その際に、図2、図3、図5、図6に示すように、全ての車輪64,69,73が床面3に接地して回転(遊転)することで、搬送用台車10は床面3に安定して支持されて移動する。
【0061】
また、搬送用台車10を左右へ方向転換させる場合、作業者が前枠体31や後枠体21を持って、左右へ方向転換させることにより、両中間部車輪73が互いに反対方向へ回転(遊転)し、両中間部車輪73間を支点として、搬送用台車10をその場で左右方向へ旋回(方向転換)させることができる。このとき、前部車輪64や後部車輪69は、キャスター機能によって縦軸心62,67の周りで自動的に旋回しながら追従回転する。これにより、狭い場所であっても、搬送用台車10を容易に方向転換させることができ、使い勝手が良い。
【0062】
また、その場で旋回させずに搬送用台車10を左右へ方向転換させる場合は、作業者が前枠体31や後枠体21を持って、左右へ方向転換させることにより、全ての車輪64,69,73を同方向に回転(遊転)させながら行える。このとき前部車輪64や後部車輪69は、キャスター機能によって縦軸心62,67の周りで自動的に旋回しながら追従回転する。これにより搬送用台車10を、カーブ状の軌道を描きながら左右へ方向転換し得る。なお、荷1を搬送する場合は、支持板51上に荷1を載置して、搬送用台車10を移動させればよい。
【0063】
▲4▼:複数台の搬送用台車10をネスティングする場合、上記▲1▼で示したように搬送用台車10を折り畳む。その際に、図11、図12に示すように、前枠体31が組立て位置Aから折畳み位置Bまで後方へ移動することで、前部車輪64が後部車輪69と中間部車輪73との間に位置することになる。
【0064】
ここで、底フレーム12から各車輪64,69,73の下端までの距離が[hc>hb>ha]の関係にあり、そして最も短い距離haの前部車輪64が、最も長い距離hcの後部車輪69と中間の距離hbの中間部車輪73との間に位置することになり、したがって、中間部車輪73と後部車輪69とが床面3に接地し、前部車輪64が床面3から浮き上がった状態になる。
【0065】
このような状態に折り畳まれた前位(一方)の搬送用台車10のネスティング空間19に、折り畳まれた後位(他方)の搬送用台車10の底体11を前部から入れ込んで(差し込んで)ネスティングする。その際に、図14の(a)や(b)の実線に示すように、後位の搬送用台車10における両被ガイド体15が、前位の搬送用台車10における両回転体84間で案内されることで、この後位の搬送用台車10は、前位の搬送用台車10に対して芯合わせしながら差し込み得る。これにより差し込みは、容易にして正確に行える。
【0066】
このような差し込みが進んで行くと、図14の(a)や(b)の仮想線イに示すように、まず後位の搬送用台車10における両底フレーム12の下板12eが、前位の搬送用台車10における両回転体84のテーパー面84aに当接し、そして両回転体84を縦方向軸心83の周りに回転させながら、両回転体84間で案内される。さらに、両底フレーム12間の幅(左右方向の幅)が次第に広くなることも相俟って、両底フレーム12はテーパー面84aに対して上昇しながら両回転体84間で案内され、最終的には図14の(a)や(b)の仮想線ロに示すように、両回転体84の上面84bに乗り上がることになる。
【0067】
これにより図1、図13に示すように、ネスティング時に後位の搬送用台車10は、底体11の前端側が持ち上げられた状態になり、その結果、3箇所の車輪64,69,73のうち、前部車輪64と中間部車輪73とが床面3に対して浮き上がり、残りの後部車輪69のみが床面3に着地された姿勢になる。
【0068】
その際に、前端側を下位として所定の傾斜角度θで傾斜姿勢に保持されている前位の搬送用台車10の底体11に対して、ネスティングされた後位の搬送用台車10の底体11は、その前部が持ち上げられることで水平状となるように、両回転体84の上面84bの位置が設定されている。これにより、次々とネスティングされる後位の搬送用台車10群は、その底体11が水平状(一定状)となり、以て多数台のネスティングを何ら支障なく円滑に行える。
【0069】
このようなネスティングは、順次に同様にして行われ、以て多数台の搬送用台車10をネスティングしたときには、最前位の搬送用台車10のみ中間部車輪73と後部車輪69が床面3に着地され、後続の搬送用台車10の全ては後部車輪69のみが床面3に着地された状態になる。
【0070】
なお、上記のようなネスティングの際に、図1に示すように、後位の搬送用台車10の両前部ブラケット35の前端が前位の搬送用台車10の両後部ブラケット26の後端に当接することにより、前位の搬送用台車10のネスティング空間19に入れ込まれる後位の搬送用台車10の底体11の差込量が一定に規制される。
【0071】
▲5▼:上記▲4▼のようにしてネスティングした搬送用台車10群は、作業者が最後位の搬送用台車10における後枠体21を押す(または引く)ことによって、容易に移動させることができる。その際に各搬送用台車10は、図1に示すように、少なくとも後部車輪69が床面3に接地して回転(遊転)することで、搬送用台車10群は床面3に安定して支持されて移動する。
【0072】
その際に、ネスティング時に後位の搬送用台車10を引いて後方へ移動させたときに、前位の搬送用台車10を一体状に移動させるべく、浮き上がり手段81は後方移動力を伝達可能に構成されていることで、搬送用台車10群の後方へ移動は何ら支障なく行える。
【0073】
すなわち図14の(a)において、回転体84を回す力は、仮想線イに示すテーパー面84aに底フレーム12が当接した状態での回す力F1と、仮想線ロに示す上面84bに乗り上がった状態での回す力F2とでは、テュの原理により[F1<F2]となる。つまりネスティングして行くにつれ、回す力が大きくなる。したがって、最終的に底フレーム12が上面84bに乗り上がったときには、回転体84は回り難くなる。これが、後位の搬送用台車10を引いて後方へ移動させたときに、引っ掛かり状(摩擦抵抗)となって後方移動力を伝達することになり、以て搬送用台車10群を一体状に後方へ移動し得る。
【0074】
また、ネスティングした搬送用台車10群を左右へ方向転換させる場合は、後枠体21に対する押し力(または引き力)を左右方向(幅方向)で変化させることにより行える。その際に接地輪は、最前位の搬送用台車10における中間部車輪73の他は、全てキャスター機能付きの後部車輪69であることから、そのキャスター機能によって縦軸心67の周りで自動的に旋回しながら追従回転する。これによりネスティングした搬送用台車10群を、カーブ状の軌道を描きながら左右へ方向転換し得る。このようにしてネスティングした搬送用台車10群を移動し得ることにより、複数台の搬送用台車1を、狭いスペースなど、目的とする場所へと容易に移動し得、そして保管し得る。
【0075】
上記した実施の形態では、左右一対の中間部車輪73が前後方向の1箇所に設けられた形式が示されているが、これは左右一対の中間部車輪73が前後方向の複数箇所に設けられた形式などであってもよい。
【0076】
上記した実施の形態では、ネスティング時に後位の搬送用台車10は、前部車輪64と中間部車輪73とが浮き上がり、後部車輪69のみが着地された姿勢になる形式が示されているが、これは前部車輪64のみが着地された姿勢になる形式や、中間部車輪73のみが着地された姿勢になる形式などであってもよい。
【0077】
上記した実施の形態では、浮き上がり手段81は、ネスティング時に後位の搬送用台車10の底体11側を持ち上げ可能に構成されているが、これはネスティング後に底体11側を持ち上げ可能な構成などであってもよい。
【0078】
上記した実施の形態では、浮き上がり手段81として回転体84からなる形式が示されているが、これはカム体形式などであってもよい。またネスティング時に後位の搬送用台車10が後方へ移動されたときに、前位の搬送用台車10を一体状に移動すべく後方移動力を伝達可能にするために、浮き上がり手段81として摩擦係数の高いものを設けた形式などであってもよい。
【0079】
上記した実施の形態では、底体11側の中間部分には、回転体84間で案内される芯合わせ用の被ガイド体15が設けられた形式が示されているが、これは別構成の芯合わせ形式などであってもよく、また芯合わせ構成が省略された形式であってもよい。
【0080】
上記した実施の形態では、前枠体31を、組立て位置Aと折畳み位置Bとの間で前後移動自在とした形式が示されているが、これは前枠体31を着脱自在とした形式、前枠体31が最初から存在しない形式などであってもよい。
【0081】
上記した実施の形態では、前枠体31の下部に設けられた前部車輪64が、前枠体31を折畳み位置Bとしたときに後部車輪69と中間部車輪73との間に位置される形式が示されているが、これは前枠体31を折畳み位置としたときに前部車輪64が底体11の前部に残される形式などであってもよい。
【0082】
上記した実施の形態では、荷1を支持可能な支持板51が、折畳み位置Bまで移動した前枠体31と後枠体21との間で折畳み自在に構成された形式が示されているが、これは支持板51が着脱自在に構成された形式などであってもよい。
【0083】
上記した実施の形態では、前部車輪64と後部車輪69とが、縦軸心62,67の周りに向き変更自在とされた形式が示されているが、これは中間部車輪73を含めて全てが向き変更自在とされた形式、後部車輪69と中間部車輪73とが向き変更自在とされた形式、後部車輪69のみが向き変更自在とされた形式などであってもよい。
【0084】
上記した実施の形態では、図2に示すように、前部車輪64と中間部車輪73と後部車輪69とが床面3に接地した場合、底体2が下向きの前傾姿勢に保持されるように構成されているが、これは水平姿勢に保持されるように構成された形式などであってもよい。
【0085】
上記した実施の形態では、図10に示すように、底フレーム12の断面形状をI形状に形成しているが、I形状に限定されるものではなく、例えば、円形(丸棒)や矩形状或いは丸パイプ状や角パイプ状、平板状などに形成してもよい。
【0086】
上記した実施の形態では、図9に示すように、移動体41は、第1のガイドローラ43を介して底フレーム12に対し前後に走行自在で、かつ、第2のガイドローラ45や第3のガイドローラ46を介して可動部材36に対し左右に走行自在に構成されているが、この構成に限定されるものではない。たとえば、移動体41は、底フレーム12を抱き込んで底フレーム12に対し前後方向へ摺動自在で、かつ可動部材36に保持されて可動部材36に対し左右方向へ摺動自在に構成されているものであってもよい。この場合、摩擦抵抗を減らすために、移動体41を樹脂製にしてもよい。
【0087】
上記した実施の形態では、支持板51の下方に手を差し込んで引き上げることにより、前板部52と後板部53とを逆V字状に屈曲させているが、これは前板部52と後板部53とのそれぞれに取手用の穴を形成し、これら穴を介して支持板51の引き上げを行う形式などであってもよい。なお、支持板51の下面側に、支持板51を折畳姿勢に付勢する引張りコイルばねが取付けられた形式などであってもよい。
【0088】
上記した実施の形態において、前部車輪64と後部車輪69と中間部車輪73とのうち、少なくとも1箇所の車輪には、たとえば足操作形式の車輪ストッパー手段(図示せず。)が設けられ、これによると、ストッパー作用によって、搬送用台車10が停止位置から不測に移動することを阻止し得る。
【0089】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、搬送用台車の移動は、各車輪を床面に接地させることで、床面に支持させて行うことができ、以て荷の搬送などを安定して行うことができる。そして複数台のネスティングは、前位台車のネスティング空間に、後位台車の底体を前部から差し込むことで行うことができる。このとき、浮き上がり手段によって、後位台車は、前部車輪と中間部車輪と後部車輪とのうち1箇所の車輪のみを着地させた姿勢にでき、したがって、ネスティングした搬送用台車群における接地輪の総数を少なくできて、ネスティングした状態での前後移動や旋回移動を円滑に行うことができる。
【0090】
また上記した本発明の請求項2によると、後位台車の底体を前部から差し込んで、その前部を持ち上げながら前部車輪と中間部車輪とを浮き上がらせることができ、以て後部車輪の接地により、差し込みや持ち上げを安定して行うことができる。
【0091】
そして上記した本発明の請求項3によると、浮き上がり手段は、後位台車の差し込み力を利用して所期の持ち上げを行うことができ、以て簡単な構成にできる。その際に、前端側を下位として所定の傾斜角度で傾斜姿勢に保持されている前位台車の底体に対して、ネスティングされた後位台車の底体を、その前部が持ち上げられることで水平状となるように、浮き上がり手段を設定することにより、次々とネスティングされる後位台車群は、その底体を水平状(一定状)にでき、以て多数台のネスティングを何ら支障なく円滑に行うことができる。
【0092】
さらに上記した本発明の請求項4によると、後位台車を引いて後方へ移動させたときに、浮き上がり手段の摩擦抵抗によって後方移動力を伝達して、ネスティングした台車群を一体状に後方へ移動でき、以て台車群の後方へ移動は何ら支障なく行うことができる。
【0093】
しかも上記した本発明の請求項5によると、後位台車を前位台車に対して差し込んで行くと、後位台車における底体が前位台車における両回転体のテーパー面に当接し、そして両回転体を縦方向軸心の周りに遊転させながら、底体を両回転体間で案内できる。さらに底体を、テーパー面により上昇させながら両回転体間で案内でき、これによりネスティング時には、後位台車における底体の前部を持ち上げた状態にできる。その結果、浮き上がり手段は、後位台車の差し込み力を利用して所期の持ち上げを行って、後部車輪のみを床面に着地させた姿勢にできる。
【0094】
また上記した本発明の請求項6によると、前位台車のネスティング空間に後位台車の底体を前部から差し込んでネスティングする際に、後位台車における被ガイド体を前位台車における両回転体間で案内することで、この後位台車を、前位台車に対して芯合わせしながら差し込むことができ、これにより差し込みは、容易にして正確に行うことができる。
【0095】
そして上記した本発明の請求項7によると、前枠体を組立て位置から折畳み位置まで移動させることで、搬送用台車を折り畳むことができ、これにより全体をコンパクトとしてネスティングできる。このとき前部車輪を、前枠体と一体に折畳み位置から組立て位置まで移動させて、後部車輪と中間部車輪との間に位置でき、これにより多数台をネスティングしたときには、最前位の台車のみ中間部車輪と後部車輪を着地させ、後続の台車の全ては後部車輪のみを着地させた状態にできる。
【0096】
さらに上記した本発明の請求項8によると、前枠体を組立て位置としたとき、支持体を伸展姿勢として底体上に配置でき、以て荷の搬送などを安定して行うことができる。また、前枠体を組立て位置から折畳み位置へ移動させたとき、支持体を折畳んで前枠体と後枠体との間に位置でき、以て搬送用台車をネスティング可能な姿勢にできる。
【0097】
そして上記した本発明の請求項9によると、搬送用台車の移動の際、少なくとも後部車輪は、その向きを縦軸心の周りに自動的に変更しながら追従回転させることができ、これにより搬送用台車を、カーブ状の軌道を描きながら容易に左右へ方向転換できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、搬送用台車をネスティングしたときの側面図である。
【図2】同搬送用台車の側面図である。
【図3】同搬送用台車の一部切欠き平面図である。
【図4】同搬送用台車の底体部分の構成を示す平面図である。
【図5】同搬送用台車の前面図である。
【図6】同搬送用台車の後面図である。
【図7】同搬送用台車の下部の一部切り欠き側面図である。
【図8】同搬送用台車の移動体部分の側面図である。
【図9】同搬送用台車の移動体部分の平面図である。
【図10】同搬送用台車の底フレーム部分の縦断面図である。
【図11】同搬送用台車を折畳んだ状態での側面図である。
【図12】同搬送用台車を折畳んだ状態での一部切り欠き平面図である。
【図13】同搬送用台車をネスティングしたときの平面図である。
【図14】同搬送用台車をネスティングする際の説明図で、(a)は要部の概略平面図、(b)は要部の概略正面図である。
【図15】従来例を示し、搬送用台車の側面図である。
【図16】同搬送用台車の後面図である。
【図17】同搬送用台車の底体の平面図である。
【図18】同搬送用台車のネスティング前の側面図である。
【図19】同搬送用台車のネスティング時の側面図である。
【符号の説明】
1 荷
3 床面
10 搬送用台車
11 底体
12 底フレーム
14 前部連結フレーム
15 被ガイド体
16 中間部連結フレーム
17 位置維持体
19 ネスティング空間
21 後枠体
26 後部ブラケット
31 前枠体
35 前部ブラケット
36 可動部材
37 ガイド空間
41 移動体
43 第1のガイドローラ
44a 被ストッパ部
45 第2のガイドローラ
46 第3のガイドローラ
47 ストッパ手段
51 支持板(支持体)
52 前板部
53 後板部
54 ヒンジ手段
55A 左右方向軸心
55B 左右方向軸心
61 前部車輪装置
62 縦軸心
64 前部車輪
66 後部車輪装置
67 縦軸心
69 後部車輪
71 中間部車輪装置
73 中間部車輪
81 浮き上がり手段
83 縦方向軸心
84 回転体
84a テーパー面
84b 上面
A 組立て位置
B 折畳み位置
ha 距離
hb 距離
hc 距離

Claims (9)

  1. 下部の底体側には、前部車輪と中間部車輪と後部車輪とが設けられるとともに、後部で開放されたネスティング空間が形成されており、前位台車のネスティング空間に、後位台車の底体を前部から差し込むことによってネスティング可能とされ、ネスティング時に後位台車は、1箇所の車輪のみが着地され、残りの車輪群が浮き上がった姿勢になるように、前位台車の底体側に浮き上がり手段が設けられていることを特徴とする搬送用台車。
  2. ネスティング時に後位台車は、前部車輪と中間部車輪とが浮き上がり、後部車輪のみが着地された姿勢になることを特徴とする請求項1記載の搬送用台車。
  3. ネスティング前に台車は、各車輪が着地されて底体は前端側を下位として傾斜姿勢に保持され、ネスティング時に後位台車は、浮き上がり手段によって底体の前端側が持ち上げられるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の搬送用台車。
  4. 浮き上がり手段は、ネスティング時に後位台車が後方へ移動されたときに前位台車を一体状に移動すべく、摩擦抵抗によって後方移動力を伝達可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送用台車。
  5. 浮き上がり手段は、縦方向軸心の周りに遊転自在な左右一対の回転体からなり、これら回転体には、上側ほど小径となるテーパー面が形成され、これらテーパー面に後位台車の底体が作用可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送用台車。
  6. 底体側の中間部分には、前位台車における両回転体間で案内されることで、後位台車を前位台車に対して芯合わせしながらネスティングさせるための芯合わせ用の被ガイド体が設けられていることを特徴とする請求項5記載の搬送用台車。
  7. 底体の前後両端部に前枠体と後枠体とが設けられ、前枠体は、底体の前端部に設定された組立て位置と、底体の後部に設定された折畳み位置との間を前後移動自在に構成され、前部車輪は前枠体の下部に、後部車輪は後枠体の下部に、中間部車輪は底体にそれぞれ設けられ、ネスティング時に、前枠体は折畳み位置とされるとともに、前部車輪が後部車輪と中間部車輪との間に位置されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の搬送用台車。
  8. 底体の前後両端部に前枠体と後枠体とが設けられ、前枠体は、底体の前端部に設定された組立て位置と、底体の後部に設定された折畳み位置との間を前後移動自在に構成されるとともに、ネスティング時には折畳み位置とされ、荷を支持可能な支持体が前枠体と後枠体との間で底体上に配置され、この支持体は、折畳み位置まで移動した前枠体と後枠体との間で折畳み自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の搬送用台車。
  9. 少なくとも後部車輪は、縦軸心の周りに向き変更自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の搬送用台車。
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