JP3806634B2 - 電動式動力舵取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングコラムに操舵補助力発生用のモータを装備する、いわゆるコラムタイプの電動式動力舵取装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
いわゆるコラムタイプの電動式動力舵取装置では、ステアリングコラムの軸方向下部に固定された略筒状のギヤハウジング内に、ウォームギヤ機構等の減速機構を収容しており、さらに、このギヤハウジングによって操舵補助力発生用のモータを支持している。ステアリングコラムの軸方向上部はアッパブラケットを介して車体にリジッドに固定され、ギヤハウジングはロワーブラケットを介して車体にリジッドに固定される。
【0003】
従来、ロワーブラケットの挿通孔を挿通するボルトをギヤハウジングを貫通するねじ孔にねじ込んで固定していたが、ねじ込み時にねじ孔に生ずる切粉がギヤハウジング内に侵入し、減速機構のギヤ噛合部分に入り込み、回転トルクの増加等の不具合を引き起こすおそれがある。
そこで、袋ナット状にねじ孔の底を塞ぐことも考えられるが、製造コストが高くなる。
【0004】
また、通例アルミニウム合金製であるギヤハウジングと鉄製のロワーブラケットとをかしめて固定することも考えられるが、かしめ時にギヤハウジングを径方向に変形させてしまうと、減速ギヤとしてのウォームホイールの位置が狂い、その結果、ウォーム軸とウォームホイールとの調整済みの芯間距離を狂わせてしまうおそれがある。
そこで、ギヤハウジングとロワーブラケットをかしめ固定した後に、上記の芯間距離を調整するようにすることも考えられるが、そうした場合、芯間距離の調整ラインに、ギヤハウジングとロワーブラケットが組み付けられた非常に大きなサブアセンブリを流すことになる。このため、生産設備が大型化してしまう。また既存の設備を改造するためのコストもかかり、実際問題として実施が困難である。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、安価でしかも減速ギヤの位置を狂わすことなく車体に固定することのできる電動式動力舵取装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明は、操舵補助力発生用のモータの回転を減速する減速ギヤと、内周面を有し、その内周面によって、軸受を介して上記減速ギヤを回転自在に支持する略筒状のハウジングと、ハウジングから当該ハウジングの軸方向に突出する突起と、突起挿通孔を有し車体に固定されるブラケットとを備え、上記突起がブラケットの突起挿通孔に挿通されて上記軸方向にかしめられていることを特徴とするものである。
【0007】
仮に、略筒状のハウジングを当該ハウジングの径方向にかしめるとすると、ハウジングが変形し易いが、本発明では、略筒状のハウジングを当該ハウジングの軸方向(減速ギヤの軸方向に相当する方向)にかしめるので、ハウジングが変形し難い。したがって、本発明によれば、減速ギヤとこれに噛み合う駆動ギヤとの芯間距離の調整を行った後に、かしめを実施しても芯間距離を狂わすことがないので、芯間距離の調整工程後にかしめ工程を実施することが実質的に可能となる。したがって、工程変更のための設備改造等も不要となり、またねじ加工も不要なので、製造コストを安くすることができる。
【0008】
上記ハウジングがブラケットを当該ハウジングの軸方向に受ける台座部を有し、上記突起は台座部に設けられていれば、ブラケットをハウジングの台座部で安定して受けた状態で突起をかしめることができ、ブラケットとハウジングを位置精度良く固定することができる点で好ましい。
上記ハウジングの軸方向に沿ってみたときに突起と軸受とが重ならないようにしてあれば、かしめ時に軸受に不要な力が負荷されることを防止でき、芯間距離の狂いを生じさせない点で好ましい。
【0009】
上記ハウジングが軽合金材料により構成されていれば、かしめに適している。軽合金材料としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金を例示することができる。
また、上記減速ギヤは、上記モータによって駆動されるウォーム軸に噛み合うウォームホイールを含む場合がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態の電動式動力舵取装置の一部破断概略断面部である。図1を参照して、本電動式動力舵取装置1は、一端にステアリングホイールHが一体回転可能に取り付けられるステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2を回転自在に支持するステアリングコラム3とを備えている。
【0011】
ステアリングコラム3の軸方向上部はアッパブラケット4を介して車体側部材5に固定され、これにより、ステアリングコラム3の軸方向上部を車体8(不図示)に支持されている。
ステアリングコラム3の軸方向下部には少なくとも減速機構6を収容する略筒状をなすギヤハウジング7が固定されており、このギヤハウジング7が操舵補助力を発生させるためのモータ8(図2参照)を支持している。具体的には、モータ8のロータやステータを内蔵するモータハウジング8aが減速機構6を収容するギヤハウジング7に一体的に固定され、又は一体に形成されている。モータ8の回転は減速機構6を介して減速された状態で出力軸9に与えられるようになっている。
【0012】
一方、ギヤハウジング7内には、ステアリングシャフト2の軸方向下端に一体回転可能に連結される図示しない入力軸と、この入力軸とトーションバーを介して連結される出力軸9が内蔵されている。出力軸9の下端はギヤハウジング7の下方に突出しており、図示しないユニバーサルジョイントを介して舵取り機構としての例えばラック・ピニオン機構に連結される。
10はギヤハウジング7内で出力軸9を回転自在に支持する一対の転がり軸受である。30は図1において下方に位置する一方の転がり軸受10の内輪を出力軸9に固定するためのナットである。11は操舵時に入力軸と出力軸9の間に生ずる相対変位を検出するためのトルクセンサであ。このトルクセンサ11からの信号や車速信号等に基づいて、モータ8への入力電流が制御され、これにより、ステアリングシャフト2に加わる操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるようにしている。
【0013】
トルクセンサ11はセンサハウジング40に収容されており、このセンサハウジング40はギヤハウジング7と組み合わされている。
上記の減速機構6としては、例えばモータ8の回転軸に一体回転可能に連結されるウォーム軸12と、このウォーム軸12と噛み合い且つ出力軸9と一体回転可能に連結されるウォームホイール13とを含むウォームギヤ機構を例示することができる。ウォームホイール13は出力軸9に一体回転可能に外嵌される芯金13aと、芯金13aに一体回転可能に固定され、外周に歯を形成する合成樹脂部材13bとを含む。
【0014】
一方、ステアリングコラム3の軸方向下部は、ロワーブラケット14を介して車体側部材15に固定されている。図1及び図2を参照して説明すると、このロワーブラケット14は、車体側部材15にねじ16を用いて固定される第1固定部17と、ギヤハウジング7にかしめ固定される第2固定部18と、両固定部17,18間を連結する連結部19とを一体に備える板金部材からなる。第1固定部17には、ねじ16を挿通させるためのねじ挿通孔20が形成されている。
【0015】
第2固定部18の中央部には、出力軸9及びこれに螺合するナット30を挿通させる中心孔21が形成されている。また、第2固定部18には、中心孔21を取り囲むようにして複数の突起挿通孔22が円周等配に形成されており、各突起挿通孔22には、ギヤハウジング7の一部がかしめ付けられ、かしめ部23(図3参照)を構成している。図1を参照して、ギヤハウジング7の軸方向(すなわち減速ギヤとしてのウォームホイール13の軸方向であり、かしめ部23のかしめ方向に相当)にみたときに、かしめ部23と転がり軸受10とが互いに重ならないように、かしめ部23を軸受10から径方向にずらしてある。
【0016】
かしめ部23は図3(a),(b)及び(c)の順で設けられる。すなわち、図3(a)に示すように、ギヤハウジング7の底部にはロワーブラケット14の第2固定部18の対応する突起挿通孔22に挿通されてギヤハウジング7の軸方向にかしめられる複数(例えば3〜6個)の突起24がギヤハウジング7の軸方向に延びるように形成されている。各突起24の周囲には、ロワーブラケット14の第2固定部18を受けるための台座部25がそれぞれ形成されている。突起24は先細りの円筒状に形成されている。
【0017】
図3(b)に示すように、ロワーブラケット14の第2固定部18の表面を台座部25に当接させた状態で、突起24を対応する突起挿通孔22に挿通させ、その後、突起24を図示しないかしめ工具を用いてギヤハウジング7の軸方向Xにつぶして突起挿通孔22にかしめ付けると、突起24の先端部は、図3(c)に示すように突起挿通孔22の周縁に拡がるかしめ部23となる。このとき、筒状をなす突起24の先端部を除く残りの部分は、かしめ時に拡径することにより、突起挿通孔22で圧入状態となる。このため、固定が強固である。
【0018】
本実施の形態によれば、ギヤハウジング7の軸方向に延びる突起23を軸方向にかしめるので、ギヤハウジング7の径方向にかしめる場合と比較して、ウォーム軸12及びウォームホイール13の芯間距離の変動が極めて少ない。したがって、ウォームホイール13とこれに噛み合うウォーム軸12の芯間距離の調整を行った後に、かしめを実施しても芯間距離を狂わすことがないので、芯間距離の調整工程後にかしめ工程を実施することが実質的に可能となる。
【0019】
その結果、工程変更のための設備改造等も不要となり、またねじ加工も不要なので、製造コストを安くすることができる。また、従来のボルト締めの工程を廃止でき、プレスによるかしめのみの工程となることから、製造ラインのサイクルタイムの低減にも寄与することができる。
特に、ギヤハウジング7の突起24の周囲に、ロワーブラケット14をギヤハウジング7の軸方向(すなわち、かしめの方向)に受ける台座部25を設けてあるので、ロワーブラケット14を台座部25で安定して受けた状態で突起24をかしめることができ、ロワーブラケット14とギヤハウジング7とを位置精度良く固定することができる点で好ましい。
【0020】
また、ウォームホイール13の軸方向にみたときに、かしめられる突起24と転がり軸受10とが互いに重ならないようにしてあるので、かしめ時に転がり軸受10に不要な力が負荷されることを防止でき、上記のウォーム軸12とウォームホイール13の芯間距離の狂いを生じさせない点で好ましい。
また、上記ギヤハウジング7が軽合金材料により構成されていれば、かしめに適している。軽合金材料としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金を例示することができる。これらであれば、ダイキャスト型にて、台座部25及び突起24をギヤハウジング7と一体に成形することができ、加工コストを低減できる点で好ましい。
【0021】
なお、かしめ部23を形成するための突起24は複数設けることで、かしめ部23の1箇所当たりにかかる負荷を低減することができるので、突起24の数は、上述のように、例えば3〜6個と適宜に調整すれば良い。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電動式動力舵取装置の一部破断側面図である。
【図2】電動式動力舵取装置のステアリングコラムを軸方向下方から見た図である。
【図3】(a),(b)及び(c)はかしめ工程を順次に示す概略図である。
【符号の説明】
1 電動式動力舵取装置
2 ステアリングシャフト
3 ステアリングコラム
4 アッパーブラケット
5,15 車体側部材
6 減速機構
7 ギヤハウジング
8 モータ
9 出力軸
12 ウォーム
13 ウォームホイール(減速ギヤ)
14 ロワーブラケット
17 第1固定部
18 第2固定部
19 連結部
22 突起挿通孔
23 かしめ部
24 突起
25 台座部
40 センサハウジング

Claims (5)

  1. 操舵補助力発生用のモータの回転を減速する減速ギヤと、
    内周面を有し、その内周面によって、軸受を介して上記減速ギヤを回転自在に支持する略筒状のハウジングと、
    ハウジングから当該ハウジングの軸方向に突出する突起と、
    突起挿通孔を有し車体に固定されるブラケットとを備え、
    上記突起がブラケットの突起挿通孔に挿通されて上記ハウジングの軸方向にかしめられていることを特徴とする電動式動力舵取装置。
  2. 請求項1において、上記ハウジングがブラケットを当該ハウジングの軸方向に受ける台座部を有し、上記突起は台座部に設けられることを特徴とする電動式動力舵取装置。
  3. 請求項1又は2において、上記ハウジングの軸方向に沿ってみたときに突起と軸受とが重ならないようにしてあることを特徴とする電動式動力舵取装置。
  4. 請求項1,2又は3の何れか1項において、上記ハウジングが軽合金材料により構成されることを特徴とする電動式動力舵取装置。
  5. 請求項1から4の何れか1項において、上記減速ギヤは、上記モータによって駆動されるウォーム軸に噛み合うウォームホイールを含むことを特徴とする電動式動力舵取装置。
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