JP3806065B2 - レールへの塗油装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレールへの塗油装置、より詳細には、カーブ地点のように、車輪とレールとの接触圧が高まってきしみ騒音を発生する個所(特に、車輪踏面の横滑りが起こる内軌レール側)に、その騒音を低減し、また、レール及び車輪の摩耗を防止するために設置されるレールへの塗油装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時発生した地下鉄脱線事故を契機に、鉄道車両の複合脱線防止、運行安全対策に一層注力されるようになってきた。その一環として、レール形状復元のための削正と車輪フランジ角度の60度から70度への変更等が実施されようとしている。これは、レールと車輪との摩擦抵抗を増大させて、乗り上がり脱線に対する余裕度を高めるためのものである。これが実施されると、特にレールのカーブ地点において、現状以上に、車輪のフランジとレールの摩耗が進み(特に外軌側)、また、きしみ騒音が増大し(特に内軌側)、レールや車輪、軌道等の維持管理費が増大すると共に、騒音対策を講ずる必要性が高まってくるものと考えられる。
【0003】
カーブ地点においては、1つの車軸の車輪を考えた場合、外軌側車輪の転動距離は内軌側車輪の転動距離よりも長くなる。そのため、内軌側車輪は内軌レール上を空回り(横滑り)することになり、その際に大きなきしみ音を発する。
【0004】
上記きしみ音対策として、人手によりレール踏側面にグリスや水を塗布することが行われている。しかし、その作業には、手間と人件費がかかることから、軌条上を走行する車両の車輪フランジ部に向けて注油孔を開孔した注油装置を軌条に設け、該注油装置を電動ポンプを介して貯油槽に連通させ、さらに該電動ポンプを、タイマ機構を備えた吐出量制御装置を介して車両進入検出装置に電気的に接続し、該車両進入検出装置の信号で注油装置の注油孔から軌条に塗油するようにしたことを特徴とする電動式軌条塗油装置が提唱されている(実公昭53−10641号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記軌条塗油装置の場合、電動であって部品点数が多くて機構が複雑なため、装置自体のコスト及びランニングコストが嵩むだけなく、過剰に塗油されることが多いためにレール踏面や側面に油粕が付着し、その除去作業に手間がかかり、また、多量のグリスを用いるために周辺が汚れるといった欠点がある。
【0006】
本発明はこのような従来技術の欠点を除去すべくなされたもので、簡易な構成で装置自体のコスト及びランニングコストが低廉で、設置及びメンテナンスも容易であり、カーブ地点等におけるレールと車輪間のきしみ音を確実に低減し、また、レールと車輪のフランジ部の摩耗を防止しでき、更に、過剰塗油のおそれのないレールへの塗油装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、オイルタンクと、前記オイルタンクから潤滑油の供給を受け、車輪の踏圧によって送油動作を行なうオイルポンプと、前記オイルポンプから潤滑油の供給を受けてこれをレール上に吐出する塗油ユニットとから成るレールへの塗油装置であって、前記オイルポンプは、緩衝オイル室及び送油室の2つのオイル室と、前記緩衝オイル室内を摺動するピストン及び前記送油室内を摺動するピストンを1つのピストンロッドに設けたピストン機構と、常時前記ピストン機構を押し上げるよう作用するスプリングを備えて成り、前記オイルポンプは、前記ピストンロッドが車輪の踏圧によって一気に下降端まで下降することによって前記送油室内の潤滑油を前記塗油ユニットに一次供給すると共に、前記ピストンロッドが、車輪通過による前記踏圧の解消に伴って前記スプリングに押し上げられて元の位置に復帰する過程で、前記送油室内の潤滑油を前記塗油ユニットに少量ずつ二次供給し、前記ピストンロッドの復帰動作速度は、前記緩衝オイル室内のオイルのピストンの上側から下側への移動量によって制御されることを特徴とするレールへの塗油装置である。
【0008】
好ましくは、前記潤滑油の一次供給は、前記送油室内のピストンの下側からの送油動作で行ない、前記潤滑油の二次供給は、前記送油室内のピストンの上側からの送油動作で行なう。
【0009】
上記課題を解決するための請求項3に記載の発明は、オイルタンクと、前記オイルタンクから潤滑油の供給を受け、車輪の踏圧によって送油動作を行なうオイルポンプと、前記オイルポンプから潤滑油の供給を受けてこれをレール上に吐出する塗油ユニットとから成るレールへの塗油装置であって前記オイルポンプは、シリンダ内に、送油室と、前記送油室内を摺動するピストンと、常時前記ピストンを押し上げるよう作用するスプリングとを備えて成り、前記オイルポンプは、前記ピストンのロッドが、車輪の踏圧によって一気に下降端まで下降することによって、前記送油室内の前記ピストンの下側に存する潤滑油を前記塗油ユニットに一次供給すると共に、前記ピストンロッドが、車輪通過による前記踏圧の解消に伴って前記スプリングに押し上げられて元の位置に復帰する過程で、前記送油室内の前記ピストンの上側に存する潤滑油を前記塗油ユニットに少量ずつ二次供給し、前記ピストンロッドの復帰動作速度は、前記ピストンの上側の潤滑油の排出がスロットルバルブを介して行われることにより制御されることを特徴とするレールへの塗油装置である。
【0010】
この場合、好ましくは前記ピストンに、Oリングと共にピストンリングを巻装する。
【0011】
また、前記オイルポンプがポンプ支持部材を介してレールに取り付けられ、前記ポンプ支持部材に対する前記オイルポンプの固定位置を上下方向に変更可能にすることが好ましい。
【0012】
更に好ましくは、前記塗油ユニットが、上面に多数のノズル孔を並設したブロックと、前記ブロック内に挿通され、前記ノズル孔に連通する開口を有する貯油パイプと、前記貯油パイプ内に挿入され、その挿入部分に多数の吐出口を設けたオイルチューブとで構成されるものとし、また、前記ブロックの上面に、適宜間隔置きに堰を設け、また、前記オイルチューブが前記貯油パイプの両側から挿入されるものとする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態につき、添付図面に依拠して説明する。本発明に係る塗油装置は、図1に示すように、線路32の近傍に設置されて潤滑油を貯蔵するオイルタンク1と、線路32の腹部又は脚部に、通例複数固定されるオイルポンプ2と、オイルポンプ2と同数、線路に添って設置される塗油ユニット3とから成る。塗油ユニット3は、図1において矢示した車両の進行方向からみて、オイルポンプ2の下流側に配置される。
【0014】
オイルタンク1は、線路に塗布する潤滑油を貯蔵しておくタンクで、例えば、適宜重量の押圧蓋をオイル面に当接させて貯留潤滑油を常時加圧状態にし、オイルポンプ2に潤滑油を圧送する方式のもの等が用いられる。タンクの容量は、普通10リットル乃至20リットルである。この種タンクは、例えば特開平11−293602号に開示されている。
【0015】
オイルポンプ2は、図2に示されるように、レール供給用潤滑油が通流するシリンダ6と、シリンダ6の上面を閉塞する上蓋7と、シリンダ6の下面を閉塞する下蓋7aと、シリンダ6内を上下動するピストン機構8とから成る。
【0016】
シリンダ6は中間で仕切られ、上下にオイル室が形成される。上側のオイル室は緩衝オイル室9で、下側のオイル室は送油室10である。シリンダ6内を上下動するピストン機構8のピストンロッド11は、上側の緩衝オイル室9内を摺動する上側ピストン12と、下側の送油室10内を摺動する下側ピストン13とを有する。
【0017】
緩衝オイル室9は上下にオイルポート14、15を有し、一方のオイルポート14は、上側ピストン12の上側室16のオイル出入用で、他方のオイルポート15は、上側ピストン12の下側室17のオイル出入用である。オイルポート14とオイルポート15は、チェックバルブ18を備えた環路19を介して接続され、上側室16と下側室17とを含めてループ回路を構成する(図5参照)。
【0018】
図5に示されるように、上側ピストン12の周側面と緩衝オイル室9の内壁面との間には、僅かな間隙20が保持され、この間隙20を通り、上側室16のオイルが下側室17へ通流可能とされる。なお、間隙20は、必ずしも上側ピストン12の全周面に亘る必要はなく、部分的に形成されるものであってもよい。また、間隙20に代えて、上側ピストン12を上下に貫くチョークを設けることとしてもよい。
【0019】
上記緩衝オイル室9のループ回路においては、後述する踏圧によるピストンロッド11の急激な下降動作に伴い、下側室17を満たしていたオイルが上側ピストン12によって加圧されて一気に押し出される。そして、チェックバルブ18を開いて環路19を通流し、上側室16に流入する。
【0020】
逆に、ピストンロッド11に対する踏圧が解除されて上側ピストン12が上昇する際は、上側室16内のオイルは、チェックバルブ18があるために環路19を逆流することができず、間隙20(又はチョーク)を通って下側室17へ移動する。その場合、通流抵抗が大きいために、上側室16から下側室17へのオイルの移動速度は遅く、その結果、ピストン機構8の上昇動作は緩やかなものとなる。
【0021】
なお、間隙20のサイズを変えることにより、ピストン機構8の戻り時間を調整することが可能となる。これにより、通過する車両が何度もピストンロッド11を押して過剰塗油する弊害を防止することができる(通例、1編成列車の1回通過につき1度の塗油で足りる。)。
【0022】
送油室10には、上方に位置する上側入油ポート25と、上側出油ポート26、並びに、下方に位置する下側入油ポート27と下側出油ポート28が形成され、上側入油ポート25から送油室10内に供給される潤滑油は、下側ピストン13の上面側に流入し、下側入油ポート27から送油室10内に供給される潤滑油は、下側ピストン13の下面側に流入する(図5参照)。上側出油ポート26及び下側出油ポート28に接続される管路21、22は、1本化されて塗油ユニット3にまで延びる。
【0023】
上側入油ポート25と下側入油ポート27には、オイルタンク1から延びるタンク側送油管4が、チェックバルブ5aを介して接続される。送油室10における下側ピストン13の上面側の容積と下面側の容積は、ピストンロッド11の上下動に応じて変化する。即ち、下側ピストン13の下面側の容積は、ピストンロッド11が上昇端にあるときに最大となり、ピストンロッド11が下降端にあるときに最小となる。
【0024】
ピストンロッド11は、平時、下蓋7aと下側ピストン13の下面間に配備されたリターンスプリング29によって押上げられて上昇端に位置し、電車通過時に、車輪31の踏圧を受けて瞬時下降端に達する。直接車輪31に接触するピストンロッド先端部23は、衝撃緩和のために半球面状とすることが好ましい。
【0025】
オイルポンプ2をレール32に取り付けるに当っては、オイルポンプ2のシリンダ6部分を直接、レール32の腹部又は脚部にボルト止め等の方法で固定することとしてもよいが、好ましくは、L字形等のポンプ支持部材33を介してレール32に固定する(図2、6、7参照)。
【0026】
図示したポンプ支持部材33は、断面L字形の一対の固定脚34間に固定部材35を渡し、その固定部材35にオイルポンプ2のシリンダ6をボルト止めするようにしたものである(図3、4参照)。固定脚34は、その水平部においてレール32を受け、その垂直部においてレール32の腹部にボルト止めされる。
【0027】
なお、好ましくは、シリンダ6のボルト穴36を縦長にし、以てオイルポンプ2の固定位置を上下方向に変更調整可能にする(図3参照)。そのようにすることにより、下側ピストン13のストロークを変えて、後述する塗油ユニット3からのオイルの吐出量を調整することが可能となる。
【0028】
次いで図8乃至図10により、塗油ユニット3の構成について説明する。塗油ユニット3はオイルポンプ2と対をなすもので、通例複数並置されるオイルポンプ2と同数設置される。塗油ユニット3は、レール32の外軌側頭部に沿って密着し得る形状の、例えば600mm程の長さのブロック40を有する。
【0029】
ブロック40の上面は、外方(図8において左方)からレール32に向かって少し下り傾斜となっていて、レール32側の端部がほぼレール32と同高となるように設置される(図8参照)。ブロック40内には、定間隔置きに開口42を形成した貯油パイプ41が埋設され、ブロック40には、この各開口42に連通して上面に抜けるノズル孔43が形成される(図8、図9参照)。ノズル孔43は、レール32の方向に約45度傾斜するように形成される。
【0030】
好ましくはブロック40の上面に、幅方向に横切る堰50を適宜間隔置きに設ける。この堰50は、設置状況によってブロック40が長さ方向に傾斜する場合に、ブロック40の上面上の潤滑油が留まることなく下方に流れてしまうことを防止する役目を果たす。堰50の高さは0.2mm程度とされる。
【0031】
貯油パイプ41内には、オイルポンプ2からチェックバルブ44を介して伸びるオイルチューブ45が奥まで挿入される。オイルチューブ45の貯油パイプ41内挿入部には、多数の吐出口46が形成される(図10参照)。吐出口46は、例えばチューブの長さ方向には定間隔置きに、外周方向にはランダムなピッチで設ける。
【0032】
この吐出口46から吐出された潤滑油は貯油パイプ41内に放出されて貯留されるが、オイル漏れを防止するため、貯油パイプ41の端部には軟質ゴム47を嵌め、オイルチューブ45との間のシールを完全にする(図10参照)。
【0033】
図1に示す例は、オイルチューブ45を貯油パイプ41の一端にのみ挿入したものであるが、オイルチューブ45を分岐させて、貯油パイプ41の両端からそれぞれ中程にまで挿通するようにすることもできる(図10参照)。そのようにした場合は、貯油パイプ41内の吐出、延いてはノズル孔43からレール32上への吐出が、全長に亘ってバランスよく行なわれることになる。
【0034】
ブロック40は樹脂成形とすることにより、レールの曲率に対応する形状とすることが容易となる。ブロック40は、下からブラケット49で支持させ、上記固定脚34と同様の固定脚48を介してレール32に固定することができる(図8参照)。
【0035】
上記構成において、電車が到来して車輪31の踏圧がピストンロッド11にかかると、ピストンロッド11はリターンスプリング29の押上力に抗して急激に押し下げられる(図6)。その結果、送油室10内の下側ピストン13の下側に滞留していた潤滑油が加圧され、所定量押し出される。その場合潤滑油は、オイルタンク1側へはチェックバルブ5aがあるために流れることができず、チェックバルブ5b側にのみ流れ、チェックバルブ5bを開いて塗油ユニット3側にのみ流れる。
【0036】
このピストンロッド11の下降に伴ない、送油室10の下側ピストン13の上側には、上側入油ポート25から潤滑油が流入する。また、その際緩衝オイル室9の下側室17内のオイルは、上述したように、環路19を経て上側室16へ流入する。
【0037】
かくしてチェックバルブ44を開いて潤滑油が圧送されると、オイルチューブ45の先端部の吐出口46から貯油パイプ41内に、潤滑油が吐出される。これに伴ない、貯油パイプ41内に満たされていた潤滑油の一部が、貯油パイプ41の各開口42からノズル孔43に押し出され、レール32上に供出される。この動作は、全てのオイルポンプ2並びに塗油ユニット3において、殆ど同時に行われる。
【0038】
車輪21が通過してピストンロッド11に対する踏圧が解除されると、ピストンロッド11は、リターンスプリング29の作用で押し上げられて元の上昇端位置に復帰しようとする(図7)。しかし、上述したように、上側室16内のオイルは、間隙20を通って少量宛下側室17へ移動するため、ピストンロッド11の復帰は緩やかなものとなる。
【0039】
一方、このピストンロッド11の緩やかな復帰動作に伴ない、下側ピストン13の上側に満たされていた潤滑油が、上側出油ポート26から少量ずつ二次的に供出され、その供出に伴う油圧がオイルチューブ45の先端部にかかり、その吐出口46、貯油パイプ41の開口42を経て、潤滑油がノズル43よりレール32上に供出される。但し、この場合の供出はゆっくりと行われるため、潤滑油はノズル43からレール32上に徐々に滲出する。
【0040】
上述したように、きしみ音は内軌レール側において発生しやすく、また、レールの摩耗と車輪フランジの摩耗は外軌レール側において進行しやすい。そして、きしみ音防止には比較的高粘度の潤滑油を用いる必要があるが、摩耗の防止に用いる潤滑油は、それ程高粘度である必要はない。
【0041】
そこで、潤滑油として水溶性潤滑油(例えば、米国フォーチュン・ケミダックス オブ アメリカ社製の水系合成潤滑剤製品名「メットクール133A」や三和化成工業株式会社製の水溶性塗液製品名「サミック塗液」等を利用できる。)を用い、内軌レール側と外軌レール側とで、塗布する潤滑油の希釈率を異ならしめることが好ましい。
【0042】
上記実施形態においては、ピストンロッド11の復帰時における緩衝を、上側室16と下側室17とを含むループ回路にて行なっていたが(図5参照)、この緩衝を、かかるループ回路を用いずに行なうこともできる。図11及び図12は、そのための構成例を示すものである。
【0043】
その構成におけるシリンダ6には、上記実施形態における緩衝オイル室9がなく、送油室10のみが形成される。送油室10の上部には、上側入油ポート25と上側出油ポート26が配設され、その下部には、下側入油ポート27と下側出油ポート28とが配設される。
【0044】
上側入油ポート25には、タンク側送油管4から分岐された入油側分岐管路22がチェックバルブ5aを介して接続され、下側入油ポート27には、タンク側送油管4がチェックバルブ5aを介して接続される。
【0045】
また、上側出油ポート26には出油側分岐管路22aが接続され、下側出油ポート28には塗油ユニット側送油管4aが接続される。出油側分岐管路22aの中途にはスロットルバルブ51が設置され、塗油ユニット側送油管4aの中途にはチェックバルブ5bが設置される。出油側分岐管路22aは、塗油ユニット3にまで延びる塗油ユニット側送油管4aに合流する。
【0046】
ピストン機構8のピストンロッド11には、Oリング52とダストシール53が巻装され、ピストン54にはOリング55と、好ましくは二重にピストンリング56が巻装される。ピストンリング56は、外方に張り出してシリンダ6の内壁に密着し、潤滑油をシールする。
【0047】
かかる構成において、電車が到来して車輪31の踏圧がピストンロッド11にかかると、ピストンロッド11はリターンスプリング29の押上力に抗して急激に押し下げられる(図11)。その結果、送油室10内下部に滞留していた潤滑油が加圧され、所定量押し出される。その場合潤滑油は、オイルタンク1側へはチェックバルブ5aがあるために流れることができず、チェックバルブ5b側にのみ流れ、塗油ユニット側送油管4aをチェックバルブ5bを開いて流れ、塗油ユニット3に流入する。
【0048】
このピストンロッド11の下降に伴ない、ピストン54によって閉塞されていた上側入油ポート25と上側出油ポート26が開かれると共に、送油室10のピストン54の上側に緩衝オイル室が形成され、そこに上側入油ポート25から潤滑油が流入して、緩衝オイルとして貯まる。
【0049】
車輪21が通過してピストンロッド11に対する踏圧が解除されると、ピストンロッド11は、リターンスプリング29の作用で押し上げられて元の上昇端位置に復帰しようとする(図12)。しかし、ピストン54の上側には緩衝オイルが貯まっていて、これがスロットルバルブ51に制御されて徐々に出油側分岐管路22aに出ていく。従って、ピストンロッド11の復帰は緩やかなものとなる。このピストンロッド11の復帰速度は、スロットルバルブ51によって制御することができる。
【0050】
なお、出油側分岐管路22aに流出した潤滑油は、塗油ユニット側送油管4aに流入して塗油ユニット3に供給される。
【0051】
【発明の効果】
本発明は上述した通りであって、簡易な構成で装置自体のコスト及びランニングコストが低廉で、設置及びメンテナンスも容易であり、カーブ地点等におけるレールと車輪間のきしみ音を確実に低減でき、且つレール及び車輪の摩耗を防止し得るレールへの塗油装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の全体構成図である。
【図2】本発明に係る装置におけるオイルポンプの縦断面図である。
【図3】本発明に係る装置におけるオイルポンプの正面図である。
【図4】本発明に係る装置におけるオイルポンプの平面図である。
【図5】本発明に係る装置におけるオイルポンプの動作を示す簡略縦断面図である。
【図6】本発明に係る装置におけるオイルポンプの踏圧時の縦断面図である。
【図7】本発明に係る装置におけるオイルポンプの非踏圧時の縦断面図である。
【図8】本発明に係る装置における塗油ユニットの設置時における縦断面図である。
【図9】本発明に係る装置における塗油ユニットの塗油ブロックを示す斜視図である。
【図10】本発明に係る装置における塗油ユニットの貯油パイプとオイルチューブの構成を示す図である。
【図11】本発明に係る装置におけるオイルポンプの他の構成例の動作を示す簡略縦断面図である。
【図12】本発明に係る装置におけるオイルポンプの他の構成例の動作を示す簡略縦断面図である。
【符号の説明】
1 オイルタンク
2 オイルポンプ
3 塗油ユニット
4 タンク側送油管
4a 塗油ユニット側送油管
5a チェックバルブ
5b チェックバルブ
6 シリンダ
7 上蓋
7a 下蓋
8 ピストン機構
9 緩衝オイル室
10 送油室
11 ピストンロッド
12 上側ピストン
13 下側ピストン
14 オイルポート
15 オイルポート
16 上側室
17 下側室
18 チェックバルブ
19 還路
20 間隙
21 管路
22 入油側分岐管路
22a 出油側分岐管路
25 上側入油ポート
26 上側出油ポート
27 下側入油ポート
28 下側出油ポート
29 リターンスプリング
31 車輪
32 レール
33 支持部材
34 固定脚
35 固定部材
36 ボルト穴
40 ブロック
41 貯油パイプ
42 開口
43 ノズル孔
45 オイルチューブ
46 吐出口
47 軟質ゴム
48 固定脚
49 ブラケット
50 堰
51 スロットルバルブ
52 Oリング
53 ダストシール
54 ピストン
55 Oリング
56 ピストンリング
Claims (8)
- オイルタンクと、前記オイルタンクから潤滑油の供給を受け、車輪の踏圧によって送油動作を行なうオイルポンプと、前記オイルポンプから潤滑油の供給を受けてこれをレール上に吐出する塗油ユニットとから成るレールへの塗油装置であって、前記オイルポンプは、緩衝オイル室及び送油室の2つのオイル室と、前記緩衝オイル室内を摺動するピストン及び前記送油室内を摺動するピストンを1つのピストンロッドに設けたピストン機構と、常時前記ピストン機構を押し上げるよう作用するスプリングを備えて成り、前記オイルポンプは、前記ピストンロッドが車輪の踏圧によって一気に下降端まで下降することによって前記送油室内の潤滑油を前記塗油ユニットに一次供給すると共に、前記ピストンロッドが、車輪通過による前記踏圧の解消に伴って前記スプリングに押し上げられて元の位置に復帰する過程で、前記送油室内の潤滑油を前記塗油ユニットに少量ずつ二次供給し、前記ピストンロッドの復帰動作速度は、前記緩衝オイル室内のオイルのピストンの上側から下側への移動量によって制御されることを特徴とするレールへの塗油装置。
- 前記潤滑油の一次供給は、前記送油室内のピストンの下側からの送油動作で行ない、前記潤滑油の二次供給は、前記送油室内のピストンの上側からの送油動作で行なう請求項1に記載のレールへの塗油装置。
- オイルタンクと、前記オイルタンクから潤滑油の供給を受け、車輪の踏圧によって送油動作を行なうオイルポンプと、前記オイルポンプから潤滑油の供給を受けてこれをレール上に吐出する塗油ユニットとから成るレールへの塗油装置であって前記オイルポンプは、シリンダ内に、送油室と、前記送油室内を摺動するピストンと、常時前記ピストンを押し上げるよう作用するスプリングとを備えて成り、前記オイルポンプは、前記ピストンのロッドが、車輪の踏圧によって一気に下降端まで下降することによって、前記送油室内の前記ピストンの下側に存する潤滑油を前記塗油ユニットに一次供給すると共に、前記ピストンロッドが、車輪通過による前記踏圧の解消に伴って前記スプリングに押し上げられて元の位置に復帰する過程で、前記送油室内の前記ピストンの上側に存する潤滑油を前記塗油ユニットに少量ずつ二次供給し、前記ピストンロッドの復帰動作速度は、前記ピストンの上側の潤滑油の排出がスロットルバルブを介して行われることにより制御されることを特徴とするレールへの塗油装置。
- 前記ピストンに、Oリングと共にピストンリングを巻装した請求項3に記載のレールへの塗油装置。
- 前記オイルポンプがポンプ支持部材を介してレールに取り付けられ、前記ポンプ支持部材に対する前記オイルポンプの固定位置を上下方向に変更可能にした請求項1乃至4のいずれかに記載のレールへの塗油装置。
- 前記塗油ユニットが、上面に多数のノズル孔を並設したブロックと、前記ブロック内に挿通され、前記ノズル孔に連通する開口を有する貯油パイプと、前記貯油パイプ内に挿入され、その挿入部分に多数の吐出口を設けたオイルチューブとで構成される請求項1又は3に記載のレールへの塗油装置。
- 前記ブロックの上面に、適宜間隔置きに堰を設けた請求項6に記載のレールへの塗油装置。
- 前記オイルチューブが前記貯油パイプの両側から挿入される請求項6に記載のレールへの塗油装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002180784A JP3806065B2 (ja) | 2001-08-13 | 2002-06-21 | レールへの塗油装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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