JP3805600B2 - 完全殺菌方法およびそれを利用した食品の殺菌方法 - Google Patents
完全殺菌方法およびそれを利用した食品の殺菌方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的緩慢な条件で加熱処理することで、存在する微生物を死滅させることのできる微生物の殺菌方法に関する。とりわけ、食品の殺菌方法として、レトルト食品のような過酷な条件を課さずに、場合によっては常圧下でも完全殺菌(完全殺菌とは、殺菌対象物に生残している微生物の全くない状態をいう)が可能な食品の殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、長期保存可能な食品の製造技術についての研究がなされ、食品中での微生物の増殖を防ぐ種々の実用技術が開発されてきたが、これらの技術は大きく分けて殺菌技術、無菌ろ過技術、抗菌技術(または静菌技術ともいう)、に分類される。
【0003】
前記の技術のうち、殺菌技術には、レトルト殺菌技術、UHT殺菌技術、高圧蒸気殺菌技術といった殺菌技術が含まれるが、これらは全て加圧下で110〜150℃という高温にて食品を処理することにより、混在微生物を死滅させる技術で、高温、高圧の処理による食品の変質の問題があり、また、高額で大規模な設備を必要とすること、多大のエネルギーを要するがための施設の運転コストの高さ、といった種々の問題点も存在した。
【0004】
2番目の無菌ろ過技術は、微生物を通過させないフィルターを用いて食品をろ過する技術であるが、技術の特性上、不溶物を含まない液体食品(ジュース等)にしか利用できないという短所がある。
【0005】
3番目の抗菌技術は、各種の抗菌剤(静菌剤)の食品への添加や、酸を添加して食品を酸性状態に保持することで食品中の微生物を死滅はさせないが、増殖を抑制して食品の腐敗を防ぐという技術である。
【0006】
このうち、前者の抗菌剤を添加する微生物の増殖抑制技術の場合、数ヶ月といった長期間保存可能な食品を製造するには、強力な増殖抑制活性を発現する化学合成された抗菌剤を用いたり、多量の天然系の抗菌剤を食品に添加したり(もしくは複数の抗菌剤を混合して使用したり)する必要があり、抗菌剤耐性菌が該当食品に混入して増殖する可能性が否定できず、またその食品を食する人の健康に与える影響が懸念されたり、食品の味に影響を与えたり、効果を発現する微生物菌種に偏りがあったり、といった種々の欠点が存在する。
【0007】
また、後者の酸を添加する方法は、この方法単独ではカビ、酵母、耐酸性細菌の増殖を抑えることができず、加熱調理と組み合わせてもpH5以上の弱酸性食品、中性食品、アルカリ性食品には使用できないこと、使用する酸が食品の味に影響を与える、といった問題点が存在する。
【0008】
これまでに、前記の抗菌技術と100℃以下の調理加熱とを組み合わせることによって、食品中に存在するカビ、酵母、細菌栄養細胞を殺し、さらに芽胞菌の耐熱性芽胞の発芽、増殖を抗菌剤で抑制するという方法が一部の食品で利用されてきたが、耐熱性芽胞が対象食品中に生残しているという可能性が高いという点でこれら全てが無菌食品といえるものではなく、薬剤耐性芽胞菌や耐酸性芽胞菌の耐熱性芽胞がそれらに中に生残している可能性が高かった。
【0009】
一般に、食品中の耐熱性芽胞を死滅させるか、ほぼそれに近い効果を得るためには、通常121℃4分以上(F0=4以上)の加熱処理を実施することが必要であり、上記の食品に実施し得る抗菌技術と、100℃以下の調理温度との組み合わせのみで、食品中の耐熱性芽胞をも完全に死滅させ得る工業技術については、これまでのところ全く報告されていない。
【0010】
ただし、食品に添加可能な抗菌剤の中にも加熱処理と組み合わせることで、芽胞殺菌活性を発現するものが知られており、これらの中に魚類の精巣から分離される塩基性タンパク質であるプロタミンが含まれるが、過去のこれら抗菌剤の使用技術においても、食品を無菌化させ得るまでの使用条件を開示したものは皆無で、全てが抗菌活性と不完全な芽胞殺菌活性の両方の活性を、食品の加工過程や保存過程で発現させることを期待したものに過ぎなかった。すなわち、この様な過去に開示された芽胞殺菌活性を有する抗菌剤の使用技術を用いても、食品中に耐熱性芽胞が生残する可能性が高く、保存期間の延長はできても長期間腐敗しない様な完全殺菌された食品を作ることは不可能であった。
【0011】
前述の内容のうち、無菌ろ過技術、抗菌技術は比較的食品に特有のものであるが、殺菌技術についてはあらゆる物品の殺菌・消毒についても共通する。例えば、食品や医薬品の製造用機械や器具、衛生機器等を完全殺菌する場合には、一般的には前述した高温高圧(湿熱下)での殺菌技術か、もしくは乾熱滅菌法と呼ばれる方法が使用されているが、いずれの場合でも特別な装置が必要であり、特に前述の高温高圧での殺菌にはオートクレーブ等の高価な装置が必要であった。また、乾熱滅菌法の場合には、その温度条件として殺菌対象物を通常160℃程度以上に上げる必要があり、また前述の高温高圧での殺菌方法でも110℃以上の熱をかけるために、物品によっては劣化や変性する問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述の様に、これまでの技術には種々の問題点や欠点が存在するが、本発明はこれらの問題点、欠点を克服できる新たな殺菌方法を提案することを課題とする。すなわち、特別な装置を必要とせず、簡単で、しかも毒性等の問題が無く、それでいて、確実に、存在する微生物を殺菌できる微生物の殺菌方法を提案する。また、本発明の技術を食品に利用することで、食品の変質をできるだけ抑えながら、完全殺菌食品とすることができ、食品を包装体に密閉することによって、常温においても長期間の保存が可能な無菌食品を得ることも本発明の課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題について鋭意研究の結果、微生物に対し、所定のプロタミン含量と所定のpH環境下に置き、湿熱下(本発明でいう湿熱下とは、水の存在する状態での加熱下であって、水蒸気中あるいは熱水中、あるいは、殺菌対象物が水分子に触れている状態ををいう)95℃以上で加熱処理することによって、完全殺菌できるとの知見を得た。
【0014】
すなわち本発明は、微生物の存在する雰囲気環境において、プロタミン含量を0.01重量%以上とし、かつpHを9.0以上として、湿熱下95℃以上で、95℃では40分以上、98℃では20分以上、100℃では10分以上に相当する加熱処理を行う微生物の完全殺菌方法である。本方法は、具体的には、例えば、殺菌処理の必要な物品を、前記濃度のプロタミンを含む前記pHの水溶液中に投入して、鍋等で煮沸することで完全殺菌処理する等の方法である。
【0015】
また、本発明は使用するプロタミンが安全性の高い天然物であるために食品に適用することが好ましい。すなわち本発明は、食品中のプロタミン含量を0.01重量%以上とし、かつpHを9.0以上として、湿熱下95℃以上で、95℃では40分以上、98℃では20分以上、100℃では10分以上に相当する加熱処理を行って、食品中に混在する微生物を死滅させる食品の完全殺菌方法である。この際、食品をパウチや缶詰等の微生物非透過性の包装体に密封して、包装体ごと前記の加熱処理することで、常温で長期保存可能な食品とすることもできる。
【0016】
また本発明は、前記湿熱下での加熱処理が95℃で40分以上、98℃で20分以上、100℃で10分以上に相当する加熱条件とする(殺菌対象物の品温と当該所定温度における加熱時間として)ことで、完全殺菌できるもので、レトルト殺菌のような121℃4分以上、すなわち、F0=4以上に当たるような過酷な条件で加熱する必要が無いだけでなく、常圧下(大気圧下)での処理も可能である。
【0017】
また、本発明は、前記食品の殺菌方法において、食品中のプロタミン含量を0.01〜0.3重量%とすることで、味に対する影響を最小限に抑えることができる。
【0018】
さらに本発明は、プロタミンとアルカリ剤を含む殺菌剤であって、当該殺菌剤を食品や水に添加して、食品中や水溶液中のプロタミン含量を0.01重量%以上とし、かつpHを9.0以上として、これを湿熱下95℃以上で加熱処理することで、食品あるいは前記水溶液中に入れられた殺菌対象物を完全殺菌することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるプロタミンとは、主にサケ、マス、ニシン等の魚類の白子から抽出されるアルギニンを多く含む強塩基性蛋白である。本発明では、どの様な魚類由来のものを用いても良いが、食品の製造価格を上昇させないという点で、安価なサケ、ニシン、マス由来のものを使用することが好ましい。本発明には市販されているプロタミン含有製剤や白子タンパクが使用可能であるが、本発明においては、プロタミン含量が次の含量になるように調製する必要がある。
【0020】
すなわち、本発明においては、混在する微生物が接触する環境(雰囲気環境)として、プロタミンの濃度を0.01重量%以上にする必要がある。一般に、雰囲気環境が水溶液の状態等、微生物とプロタミンが接触しやすい環境であれば、プロタミンの濃度は前記の0.01重量%以上の低い濃度でよいが、雰囲気環境が、固形の食品等、固体の場合には、微生物とプロタミンが接触しにくい場合も考えられ、その場合にはプロタミンの含量を上げてやる必要がある。どの程度のプロタミン含量が適当かは、雰囲気環境次第であり、個々検討を要するが、要は、加熱処理時に微生物が実際に接触する環境として、プロタミン濃度0.01重量%以上になるようにプロタミンを添加する必要がある。
【0021】
また、本発明においては、プロタミン含量と併せて、雰囲気環境のpHを9.0以上にする必要がある。そのためには、通常、アルカリ剤を添加して調製するのが良いが、被殺菌物自身がpH9.0を超えるアルカリ性の場合には、アルカリ剤の添加は必ずしも必要では無い。なお、加えるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウムを初め、各種アルカリ性の物質が使用できるが、殺菌対象物が食品の場合には安全性の高いものが良く、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸3ナトリウム、焼成カルシウム等の他、中華麺に使用されているかんすい等、あるいはこれらの混合物や、これらの物質を含有するものが使用できる。
【0022】
上記のプロタミンやアルカリ剤は、例えば、食品や医薬品の製造機械や器具を殺菌する場合には、水にこれらの物質を前記濃度とpHになるように溶解して、この水溶液に、機械や器具を投入して加熱すればよく、また、殺菌対象物がスープ等の液体食品の場合には、スープ自体のプロタミン濃度とpHを前記のように調製して加熱すれば良い。また、殺菌対象物が、麺類等その他の固形の食品の場合には、その原料自身にプロタミンとアルカリ剤を加えても、また、食品を茹でる液にこれらを加えて加熱しても良い。
【0023】
なお、固形の食品においては、前述したように、内部に混在する微生物に対して当該微生物が曝露される雰囲気環境として、プロタミンが0.01重量%以上、pH9.0以上となるように、これらを加える必要があり、食品の種類によっては、プロタミン添加量を増やしたり、pHを高くする必要の有る場合がある。特に食品の場合、アミノカルボニル反応等の化学反応により、加熱処理した時点でpHが急速に下がる場合があり、そのような場合は、加熱処理前のpHを予めもっと高くしておく必要がある。本発明者らの実験によると、このような加熱処理の前後においてpHが大きく変化する場合は、加熱処理前pHとしては9.0以上、加熱処理後pHとしては8.7以上となるようにアルカリ剤を添加するのが良い。
【0024】
なお、プロタミンとアルカリ剤の添加方法は上記の他、例えば殺菌対象物である物品や食品の表面に、粉末や濃い溶液でプロタミンとアルカリ剤、あるいはその両方を混合して含有する殺菌剤を満遍なく噴霧しておき、そのまま加湿空気や蒸気にかけて加熱する方法等も可能である。
【0025】
次に、加熱方法としては、殺菌対象物が湿熱下で加熱される必要がある。湿熱下とは、水の存在する状態であり、殺菌される微生物が水分子に接触している状態、例えば水溶液中、蒸気中が上げられる。また、固形の食品の場合には、食品内部に水分が含まれている状態であれば良く、食品内部の水を利用することで、別途、外部から熱水や蒸気を与える必要の無い場合も有る。
【0026】
加熱条件は、上記のような湿熱下、殺菌対象微生物の雰囲気環境が95℃以上となるように加熱する必要がある。従って、殺菌対象物が熱を通しにくい場合には、95℃以上に加熱温度を高くしたり、あるいは加熱時間を長めにする必要のある場合も有る。本発明者らの実験によると、後述の実施例にも記載の通り、一般的な条件で、95℃で約40分以上、98℃で約20分以上、100℃で約10分以上に相当する加熱時間で完全殺菌することができる。これらの約100℃以下での加熱温度条件において完全な殺菌処理が可能であるということは、常圧下(大気圧下)での完全殺菌が可能ということであり、従って本発明によれば、加圧加熱の際に必要とするような特別な装置がなくとも、例えば鍋で煮沸する方法や、セイロで蒸す等の方法でも、耐熱性芽胞を含め微生物の完全殺菌が可能である。
【0027】
もちろん、湿熱下100℃以上の加圧下で殺菌することも可能で、殺菌効率は、温度の上昇によって指数曲線的に高くなるので、それによって、ごく短時間での完全殺菌処理が可能となる。その場合でも、本発明の場合、レトルト殺菌として必要な条件、すなわち121℃4分(F0=4)以上に相当する厳しい条件を掛けずとも、例えば110℃で2分等の条件で完全殺菌処理が可能であり、従来の加圧加熱殺菌より温和な条件で完全殺菌できる。ただし、本発明においてF0=4以上の加圧加熱条件を掛けて完全殺菌を行っても良いことは言うまでもない。
【0028】
加熱方法としては、前述した鍋等で煮る、あるいは茹でる方法、セイロ等で蒸す方法の他、パウチや缶詰等耐熱性の包装体に密封して(殺菌対象物が水分を有さない場合は水を同時に加えて密封して)包装体ごと加熱処理する方法、あるいは水の存在下、マイクロウェーブによる加熱方法等が、大気圧下で行うことのできる加熱方法である。また、加圧下で加熱する場合は、装置として、レトルト殺菌装置や、オートクレーブ、あるいはもっと簡単な家庭用の圧力鍋等を使用して加熱処理してもよい。
【0029】
前記のうち、包装体に密封包装して包装体ごと加熱処理する方法では、包装体を微生物非透過性とすることで、加熱処理後も包装体内容物を完全殺菌状態が維持された状態とすることができる。例えば、食品の場合、前述の方法に従って、プロタミンとアルカリ剤を添加した後に、微生物非透過性のパウチや密封可能な袋等に密封して、前記の条件で加熱処理することで、加熱処理後の食品はパウチや袋を開封しない限り完全殺菌状態であるので、常温で数ヶ月以上、あるいは半永久的に保存することが可能な食品とすることができる。なお、包装体に密封しない状態で本発明の方法に従って完全殺菌した後、これを無菌的に密封包装することによっても、同様の長期間保存可能な食品等を製造することもできる。
【0030】
上述したように、プロタミンを所定量添加し、pHを所定pHに調整して95℃以上で加熱処理することで、耐熱性芽胞を含む全ての微生物を殺菌することができるが、食品に用いる場合にはプロタミン含量が多くなると苦くなるので、食品への添加量としてはプロタミン含量が0.3重量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0031】
また、食品においては、pHがアルカリ性であることが好ましくない場合には、本発明の完全殺菌処理後、pHを中性あるいは酸性にするように、酸液を加えてpH調製してやればよい。ただし、元来アルカリ性の食品、例えば、中華麺やこんにゃく等の食品の場合は、殺菌後のpH調整を必ずしも行う必要は無い。
【0032】
本発明においては、前述したような処理によって、殺菌対象とする物品を完全殺菌することができる。従って、本発明においては、前述したような処理を行うための殺菌剤としてプロタミンとアルカリ剤の混合物質あるいはこれらの混合物を含む殺菌剤を提案することができる。プロタミンとアルカリ剤の混合比は、アルカリ剤の種類、あるいは殺菌対象とする物品のpH等によって異なるが、本発明の殺菌剤は、これらの両方を含むものである。そして、当該殺菌剤は、殺菌対象物に噴霧するか、水に溶かして使用することができる。使用する際には、殺菌対象物の微生物の雰囲気環境として、プロタミン0.01重量%以上、pH9.0以上、加熱温度95℃以上となるように処理することで、完全殺菌することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を上げて本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定的に解釈されるべきではない。なお、実施例で用いる生菌数の計測方法、使用する芽胞菌の調製方法は以下(1)、(2)によった。
【0034】
(1)生菌数の計測方法
計測対象物が固形の食品の場合(実施例5、6)、食品10gを包装体から無菌的に取り出して事前に滅菌されたストマッカー袋中に挿入した。次いで、滅菌生理食塩水90mlを袋中に注入して食品破砕用ストマッカーを用いて2分間ホモゲナイズし、内容物懸濁液1mlずつを滅菌ピペットにて取り出して2枚の滅菌シャーレー中に移した。計測対象物が溶液の場合(実施例1〜4)、サンプル溶液から1mlずつを滅菌ピペットにて取り、同様に滅菌シャーレ中に移した。生菌数が多いことが事前に予測される場合はこれら懸濁液、溶液状食品をさらに滅菌生理食塩水で10倍、100倍、1000倍という様に希釈して希釈系列を作製し、それぞれの倍率の希釈液を1mlずつ2枚ずつの滅菌シャーレー中に注入した。
【0035】
次いで、事前に調製し、121℃、25分間のオートクレーブ滅菌を行った後融解状態で50℃になる様に保持したpH7.0またはpH9.0(pH9.0の培地を用いるのは、好アルカリ性菌の有無を知るため)の標準寒天培地(2.5g酵母エキス、5.0gペプトン、1.0gブドウ糖、15g寒天、水道水1000mlからなる)を15mlずつ、食品懸濁液又はサンプル液を注入したシャーレそれぞれに分注し、静置して固化させた後35℃で2日間培養した。そして、形成されたコロニーの数をカウントして同種の2枚のシャーレーにおけるカウント数を平均し、この数から元の食品中、溶液に含まれていた生菌数を求めた。
【0036】
(2)添加試験用の芽胞菌の耐熱性芽胞混液の調製
市販されている各種の中華生麺(日配品)を35℃のインキュベーター中に1週間以上放置して腐敗させ、これらそれぞれを1gずつ滅菌試験管に分取した。これらの試験管に10mlずつの滅菌生理食塩水を分注し、内容物を懸濁した後、沸騰水中に10分間浸漬した。次いで内容物懸濁液を、pH9.0の標準寒天培地平板に滅菌白金耳を用いてかく線し、35℃で2日間放置して、形成されたコロニーからアルカリ生育性耐熱性芽胞菌26株を分離した。
【0037】
これらの芽胞菌それぞれと、発明者らが事前に保持していた既に菌種の明らかとなっている芽胞菌13株(Bacillus firmus, Bacillus thuringiensis, Bacillus pumilus, Bacillus licheniformis, Bacillus coagulans, Bacillus circulans, Bacillus subtilis, Bacillus sphaericus, Bacillus brevis, Bacillus megaterium, Paenibacillus polymyxa, Bacillus agri, Bacillus lentus)をpH7.0とpH9.0のR-agar 平板(10gペプトン、5g酵母エキス、5gカザミノ酸、2g肉エキス、5g麦芽エキス、2gグリセロール、1gMgSO4・7H2O、0.05gTween80、20g寒天、1000ml水道水からなる)に塗布し、35℃で1週間培養を行った。次いでそれぞれの平板に10mlずつの滅菌生理食塩水を加えて室温で10分間静置した後、滅菌スプレッダーを用いて菌体を滅菌生理食塩水中に懸濁させた。それぞれの懸濁液を滅菌スポイトで平板上から分取し、アルカリ生育性芽胞菌26株、菌種既知芽胞菌13株、計39株の芽胞菌の混液を作製した。この芽胞菌の混液を滅菌チューブに分注し、−80℃で使用時まで凍結保存した。
【0038】
上記の凍結保存した芽胞菌混液のチューブを20℃の水中で解凍した後、滅菌生理食塩水を用いて100倍に希釈し、さらに希釈液10mlを分取して沸騰水中で10分間保持した(混液中に含まれる芽胞菌の栄養細胞を全て死滅させ、発芽活性を有した耐熱性芽胞のみを生残させる処理)。冷水中で混液を冷却した後さらに滅菌生理食塩水を用いて希釈系列を作製し、希釈液中に含まれる生残耐熱性芽胞の数を前記(1)で述べたのと同じ方法で測定した。測定された混液中の耐熱性芽胞の数は、pH7.0の標準寒天培地を用いて計測した時は9.3×1010個/ml、pH9.0の標準寒天培地を使用した時は6.6×1010個/mlであった。
【0039】
凍結耐熱性芽胞混液を融解し食品又は溶液に添加する時は、全て事前に10分間沸騰水中に混液を保持する処置を実施した。
【0040】
実施例1(プロタミンの濃度与える影響)
炭酸ナトリウム水溶液を用いてpH9.0に調製したペプトン水(1%ペプトン、0.5%食塩を含む水溶液)0.36mlを滅菌エッペンドルフサンプリングチューブ(1.5ml容量)に入れ、これに前記の(2)で調製したアルカリ生育性芽胞混液0.02mlと、プロタミン濃度が0%、0.001%、0.01%となるようにプロタミン溶液0.02mlを加えて混合し(プロタミンはサケ由来:上野製薬株式会社製)、サンプリングチューブを密栓し、直ちに沸騰水に浸漬して、0分、10分、30分間放置した。前記所定時間加熱した後、氷冷し生理食塩水で適宜希釈して前記(1)で述べた方法で、pH9.0の標準寒天培地を用いて生残生菌数の測定を実施した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1の結果から、プロタミン含量0.001%では生残菌数を0にすることができなかったが、0.01%では加熱10分間で生残菌数が0になり、完全殺菌できることが確認された。
【0043】
実施例2(加熱温度と加熱時間の与える影響)
中華麺用市販かんすい(炭酸ナトリウム1:炭酸カリウム2)0.4%、食塩0.4%、プロタミン(サケ由来:上野製薬株式会社製)0.04%と、前記(2)で調製した耐熱性芽胞混液(耐熱性芽胞数1.4×106)を含む処理液(希塩酸溶液にてpHを9.0に調製)0.5mlをエッペンドルフサンプリングチューブ(1.5ml容量)中に入れ密栓し、80〜99.9℃の各種温度に設定したブロックヒーターを用いて加熱した。0分から40分まで所定時間ごとに前記エッペンドルフサンプリングチューブを取り出し、直ちに氷冷した。次いで各処理液中に生存している処理液1mlあたりの耐熱性芽胞の数を(1)で述べた方法で、pH7.0の標準寒天培地を用いて計測した。表2と図1に結果を示した。
【0044】
【表2】
【0045】
表2、図1に示すように、90℃では耐熱性芽胞を全て死滅させることはできないが、95℃では40分、98℃では20分、100℃では10分で耐熱性芽胞を殺菌することができた。また、このことから、本発明の方法によれば、常圧下(大気圧下)でも芽胞菌を含めた完全殺菌ができることが理解される。
【0046】
実施例3(pHの与える影響)
希塩酸または水酸化ナトリウムを加えてpHを7〜10に調製した、中華麺用市販かんすい(炭酸ナトリウム1:炭酸カリウム2)0.4%、食塩0.4%、プロタミン(サケ由来:上野製薬株式会社製)0.04%、さらに、前記(2)で調製した耐熱性芽胞混液を含む処理液(希塩酸溶液にてpHを9.0に調製)を加えた溶液0.5mlを、エッペンドルフサンプリングチューブ(1.5ml容量)中に入れ密栓し、沸騰水中で煮沸した。煮沸時間0分から40分まで所定時間ごとに前記エッペンドルフサンプリングチューブを取り出し、直ちに氷冷しサンプルとした。次いで各サンプル中に生存している耐熱性芽胞の数を、(1)で述べた方法で、pH7.0の標準寒天培地を用いて計測した。結果を表3と図2に示した。
【0047】
【表3】
【0048】
表3、図2に示すように、pHが8.0では耐熱性芽胞を全て死滅させることはできないが、9.0以上では10分間の加熱で耐熱性芽胞を全て殺菌することができた。
【0049】
実施例4(実験器具等の殺菌例)
121℃、25分間のオートクレーブ滅菌を実施した後室温にまで冷却した、0.5%ポリペプトン、0.25%酵母エキス、0.1%ブドウ糖を含むpH7.0の液体培地を、170℃、1時間の乾熱滅菌を実施した綿栓付き500ml容フラスコに100mlずつ無菌的に分注し、保存していた好気性耐熱性芽胞形成菌Bacillus cereusを植菌して35℃で7日間振とう培養を行った。培養終了後、培養液1000mlを集めて10000G、30分間の遠心分離を実施した。次いで沈殿画分を滅菌生理食塩水20ml中に懸濁して1mlずつ分注し、使用時まで−80℃で凍結保存を行った。これらのうちの1本の凍結保存菌体懸濁液を20℃で解凍し、懸濁液中に含まれる耐熱性芽胞の数を前記(2)と同様の手法を用いて計測したところ3.6×1010個/mlであった。
【0050】
一方、4%トリプチケース、0.15%酵母エキス、0.15%硫酸アンモニウムを含むpH7.2に調整した溶液に121℃、25分間のオートクレーブ滅菌を実施し、室温にまで冷却した。この溶液を170℃、1時間の乾熱滅菌を実施した綿栓付き500ml容フラスコに無菌下で100mlずつ分注し、さらにこれらのフラスコそれぞれに、5%アスコルビン酸水溶液(pH7.2に調整)を1ml、及び2.5%L−システイン水溶液(pH7.2に調整)を1ml、それぞれ無菌下で0.22μmの滅菌済み無菌ろ過用フィルターを通して添加し、クロストリジューム芽胞形成用液体培地を調製した。次いでこれらのフラスコに保存していた嫌気性耐熱性芽胞形成菌 Clostridium sporogenesを植菌(植菌直前に100℃3分間の加熱処理を実施した)し、BBL社のガスパックシステムを用いて7日間の35℃での嫌気培養を行った。
【0051】
培養終了後、培養液1000mlを集め、1000g、20分間の遠心分離を行って沈殿画分を分取し、滅菌生理食塩水20mlに懸濁して1mlずつ分注し、−80℃で使用時まで保存した。このうち1本の懸濁液を20℃で解凍し、等量の生理食塩水をこれに加えて3000rpm、10分間の遠心分離を行い沈殿を分取した。次いでこの沈殿を中性ホルマリン4mlに懸濁して耐熱性芽胞を固定し、懸濁液中の耐熱性芽胞数を血球計算盤を用いて位相差顕微鏡検鏡下で計測した。以上の操作により、−80℃保存懸濁液中に含まれていたClostridium sporogenesの耐熱性芽胞数は、6.2×107個/mlであることが確認された。
【0052】
上記の−80℃で保存を行っていたBacillus cereus、及びClostridium sporogenesの芽胞懸濁液を20℃で解凍し、等量混合して0.2mlずつを2枚のスライドグラス上に塗布して風乾させ、該スライドグラスを10cm×5cmの大きさの微生物非透過性のパウチ中に1枚ずつ挿入した。一方、本発明の殺菌剤としてプロタミン10g(サケ由来:上野製薬株式会社製)、グリシン75.1g、水酸化ナトリウム16.8gを混合したものを作成し、これをイオン交換水に溶解して、1000mlにフィルアップした。これを使用時にさらにイオン交換水で100倍に希釈して、前記一方のパウチ中に10ml添加して、出来るだけパウチ中に気泡が残らないようにして熱シールした(パウチ中の溶液は0.01%プロタミンを含むpH9.5の0.2Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液)。さらにプロタミンを添加しない以外は同様に操作して、もう一方のパウチにこの液10mlを添加し、出来るだけパウチ中に気泡が残らない様にして熱シールを行った(パウチ中の溶液はプロタミンを含まないpH9.5の0.02Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液)。次いで、これらのパウチを家庭用の蒸し鍋中に入れ、100℃で15分間放置した。水道水でパウチを冷却後、パウチをそのまま超音波洗浄機中に入れ10分間放置し、その後パウチの封を切り、それぞれのパウチの内容溶液を無菌下で採取した。
【0053】
これら2種の溶液をそれぞれ滅菌生理食塩水で10倍〜10000倍に適宜希釈し、Bacillus cereusの生残耐熱性芽胞数を前記(1)で述べた方法を用いて検定した。また、Clostridium sporogenesに関してはクロストリジア測定用培地(日水製薬株式会社)を用いて(1)と同様の混釈法を用いて寒天平板を作製し、BBL社のガスパックシステムを用いて35℃で2日間の嫌気培養を行ってコロニーを形成させ、コロニー数から生残耐熱性芽胞数を計測した。
【0054】
上記の100℃での加熱処理後の0.01%プロタミン含有0.02Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中には、Bacillus cereus(好気下のpH7.0の標準寒天培地で計測)、Clostridium sporogenes(嫌気下のクロストリジア測定用培地で計測)の両菌株とも全く検出されず、両菌株の耐熱性芽胞はどちらも完全に死滅していることが確認された。一方、プロタミンを含まない0.02Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液を添加して加熱した時の加熱後の緩衝液中には、Bacillus cereus(好気下のpH7.0の標準寒天培地で計測)では2.2×105個/mlの生残芽胞が認められ、またClostridium sporogenes(嫌気下のクロストリジア測定用培地で計測)では1.4×104個の耐熱性芽胞が検出され、両菌株ともプロタミンの非存在下での同様の加熱ではかなりの数の耐熱性芽胞が生残することが確認された。
【0055】
以上のように耐熱性芽胞で汚染されたスライドグラスをほぼ完全に殺菌・消毒するには、本来121℃以上の温度で高圧下で加熱滅菌する必要があるが、上記の実験結果から0.01%のプロタミンを含むpH9.5の0.02Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液にスライドグラスを浸漬した場合、100℃、15分の加熱を加えただけで耐熱性芽胞は完全に殺菌・消毒されることが確認された。
【0056】
実施例5(完全殺菌こんにゃくの製造)
前記(2)の方法において、中華生麺をこんにゃく(日配品)に変えて、同様に操作して、こんにゃく由来のアルカリ生育性耐熱性芽胞菌10株を分離した。この10株に(2)記載の菌種の明らかになっている芽胞菌13株を加えて、(2)同様に芽胞菌混液を作成し、滅菌チューブに分注して使用時まで−80℃で凍結保存した(当該混液を使用するときは(2)と同様、使用前に10分間沸騰水に混液を保持する処置を行った)。なお、上記滅菌チューブを20℃の水中で解凍し、(1)記載の方法で耐熱性芽胞数を測定したところ、pH7.0の標準寒天培地を用いた時は5.2×1010個/ml、pH9.0の標準寒天培地を使用した時は3.4×1010個/mlであった。
【0057】
1gのプロタミン(サケ由来:上野製薬株式会社製)と、前記のコンニャク添加用耐熱性芽胞(9.2×1010)を800mlの水道水に懸濁、溶解して、25℃となる様に温度調節を行いながら市販のコンニャク精粉20gをこの溶液にかき混ぜながら徐々に加えてのり状の分散溶液を作製した。この分散溶液を25℃で1時間放置した後、温度を60℃となる様に昇温させ調節した。これに、事前に60℃に加温した1.32%水酸化カルシウム溶液200ml(アルカリ剤)を添加し、30分間60℃で、よく分散する様に攪拌混練を行った。次いで直ちにパウチ(180×150mm)中にその練り物約100gを入れ、熱シーリング密封を行った。冷めないうちに水を沸騰させて常圧で100℃にした家庭用蒸し鍋にパウチを入れて1時間100℃で保持し、その後直ちに水冷した。
【0058】
この様な操作で作製したパウチ密封コンニャクを35℃に設定した孵卵器中で保存し、0日、1、2、3、6、9、13週の各週後に取り出してパウチを開封し、前記(1)で述べた手法でpH7.0とpH9.0の各標準寒天培地を用いて生菌数の測定を実施した。
【0059】
その結果、いずれも生菌数は0であり、こんにゃくは生残微生物の無い、完全殺菌の状態であることが確認された。なお、こんにゃくのpHは0日で10.60、13週後で10.09であった。
【0060】
実施例6(完全殺菌中華麺の製造)
準強力小麦粉800g、タピオカ澱粉200gを秤量し、これに重量比プロタミン(サケ白子由来:上野製薬製):炭酸ナトリウム:炭酸カリウム:ポリリン酸ナトリウム=1:5:10:1よりなる本発明の殺菌剤17gを秤量して、360mlの水道水に溶解して練り水として加え、さらに前記(2)で調製した耐熱性芽胞混液を芽胞数(pH9.0測定時の)が1.32×1012個となる様に添加した。よく練ってドウを形成させた後、圧延し、麺線を切り刃20番で切り出して110gずつ秤量した。これらの生麺を100℃の水蒸気下で2分間蒸し上げ、直ちに水道水中に40秒間浸漬した。次いで0.5%の炭酸ナトリウム水溶液中に47秒間浸漬し、水切りをした後、麺をパウチ(180×150mm)中に挿入した。熱シールによりパウチを密封し、これを100℃のスチーム滅菌器中に入れ1時間放置し、この後水道水中で冷却した。
【0061】
以上の様な操作を用いて作製した中華麺が密封されたパウチを、35℃に設定した孵卵器に入れて保存し、0日、1、2、4、8週間ごとに取り出して前記(1)の手法にて、pH7.0とpH9.0の標準寒天培地を用いて麺中の生菌数の測定を実施した。
【0062】
その結果、いずれも生菌数は0であり、中華麺は生残微生物の無い、完全殺菌の状態であることが確認された。なお、中華麺のpHは0日後で9.70、8週後で8.97であった。
【0063】
また、本製法を用いて同様に3500個の耐熱性芽胞無添加のパウチ封入中華麺を製造し、常温で5ヶ月間保存したが、この期間中に外見的に腐敗していると判断されたものは皆無であった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、あるいは本発明の殺菌剤を使用することによれば、存在する微生物(耐熱性芽胞を含む)を完全に、そして確実に殺菌できる。また、95℃以上の加熱温度で微生物を完全に殺菌することが可能なために、オートクレーブ等の特別な装置を用いずとも簡単に殺菌処理が可能であるとともに、被殺菌対象物に加わる温度負荷を軽減することができる。
【0065】
またさらに、本発明に用いられるプロタミンは、天然物由来の食品添加物として極めて安全性の高いものであるために、毒性等の問題が無く、食品の殺菌方法、殺菌剤として特に適している。特に、被殺菌対象物を微生物非透過性の包装体に密封して加熱処理することで、包装体を開封しない限り保存が可能な、長期保存食品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プロタミンの加熱芽胞殺菌活性に与える加熱温度と加熱時間との関係を示すグラフである。
【図2】プロタミンの加熱芽胞殺菌活性に与えるpHの影響を示すグラフである。
Claims (4)
- 微生物の存在する雰囲気環境において、プロタミン含量を0.01重量%以上とし、かつpHを9.0以上として、湿熱下95℃以上で、95℃では40分以上、98℃では20分以上、100℃では10分以上に相当する加熱処理を行う微生物の完全殺菌方法
- 食品中のプロタミン含量を0.01重量%以上とし、かつpHを9.0以上として、湿熱下95℃以上で、95℃では40分以上、98℃では20分以上、100℃では10分以上に相当する加熱処理を行って、食品中に混在する微生物を死滅させる食品の完全殺菌方法
- 前記湿熱下95℃以上の加熱処理が、水分を含む前記食品を微生物非透過性の包装体に密封包装して、該食品の品温が95℃以上になるように加熱処理する方法である請求項2記載の食品の完全殺菌方法
- 前記食品中のプロタミン含量を0.01〜0.3重量%とする請求項2または3に記載の食品の完全殺菌方法
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