JP3804495B2 - 移動通信網の構成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動通信網を構成する際に必要となる無線中継装置を通信事業者以外の第3者が設置することを可能とし、既存の有線通信網との通信設備の共有化を実現することで、簡便に移動通信網を構成する方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
有線通信網では個人向け高速/高帯域通信サービスとして常時接続可能なADSLや光ファイバーが提供されている。これらは、画像通信等の高帯域サービスの利用を可能とするものであるが、個人が常時高速/高帯域通信サービスを利用することはむしろ希であり、多くの時間帯ではADSL回線や光ファイバー回線は使用されずに空き状態となるものと考えられる。
【0003】
さらに、個人や団体が家庭内のネットワークとして無線LANを使用する例が広がっている。無線LANは特に免許を必要とせず、無線LAN機器をPC等の端末等に取り付けて所定のソフトウェアをインストールすれば利用可能となる。特に有線回線に接続された無線LANターミナルと無線LAN機器を取り付けた端末とを組み合わせることで、無線LAN機器を取り付けた端末からはあたかも直接有線回線にアクセスしているのと同等に通信サービスを利用することが可能となる。最近の無線LAN機器は価格が安価になるとともに性能も向上しており、アンテナ無しの状態で25m〜50m、アンテナを使用すれば100m以上の通信が可能である。
【0004】
本発明は上記の状況を鑑み、家庭まで張り巡らされた高速な有線回線と家庭や団体が自家用に設置した無線LANターミナルとを利用することによって通信事業者が無線通信網を容易に実現可能とするとともに、家庭まで張り巡らされたADSLや光ファイバーといった高速な有線回線の空き帯域を有効に利用することで無線通信ネットワークを構築することで有線回線の契約者に経済的な利益をもたらす発明に関するものである。
【0005】
【従来の技術】
従来、移動通信網を構成する際には通信事業者が無線中継装置、通信制御装置、通信制御装置間の接続網およびサービス制御装置を設置していた。一方、新規に通信網を構築するための費用の削減と設備構築期間を短縮するため、通信網の有線通信設備部分に関しては既存の設備を使用することが行われてきた。例えば、移動通信網を構成する通信事業者は無線中継装置とそれに接続される通信制御装置とを設置し、通信制御装置間の接続網部分は既存の通信網を借用する等して共有化を図るといった方法で新たに敷設する接続網を削減して移動通信網を構成していた。しかし、市場での競争力を高めるためにはより低い費用で通信網を構築することが求められ、そのためには既存の通信設備との共有化をより図るための方法が求められている。
【0006】
一方、無線中継装置は移動通信網を構成する際の特徴的な設備であることから新規に設置されていた。特に、都市部においては建物による無線電波の遮蔽や無線通信端末の存在密度が時間とともに変化するといった特徴があるため、きめ細かく無線中継装置を設置することで移動端末と無線中継装置間の通信で使用する周波数の有効利用を図ることが必須となる。しかし、多数の無線中継装置を新規に設置するためには無線中継装置自体を取得する費用に加えて設置場所の確保が大きな負担となっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題を解決するために、通信事業者のみならず、個人や団体が無線中継装置を設置することを可能とすることで通信事業者の設備負担を削減し、無線中継装置を設置した個人や団体に対しては無線中継装置の利用に応じた利益還元を通信事業者から行うことを可能とする移動通信網の構成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、ネットワークに接続され、交換機能を有する少なくともひとつの通信制御装置と、
情報の送受信が可能な少なくともひとつの移動通信端末と、
該移動通信端末を無線を介して中継して前記通信制御装置との通信を行うための複数の無線中継装置とを有し、
前記通信制御装置は前記移動通信端末が通信を行うための手段を有し、前記移動通信端末及び前記無線中継装置が通信網内で一意に特定可能な識別番号を有する通信網において、
前記通信制御装置と接続し前記移動通信端末が通信を行うために必要な情報を格納している少なくとも1台のサービス制御装置がもうけられ、
前記移動通信端末は、他の通信端末と通信を行う場合予め定められる手順により選択される無線中継装置を介して通信制御装置に接続され、
該通信制御装置は前記サービス制御装置に当該移動通信端末の識別番号と前記無線中継装置の識別番号を通知し、
該サービス制御装置は通知された移動通信端末の識別番号及び無線中継装置の識別番号に基づいて格納されている各種情報を参照して接続方法及び課金条件を決定し、移動通信端末毎及び無線中継装置毎に通信量に基づく課金のための利用情報の集計を可能とし、無線中継装置毎に利用可能な接続方法を制限することを特徴とする移動通信網の構成方法にある。
【0009】
好ましくは、前記無線中継装置が、通信制御装置に同時に接続可能な移動通信端末の数、及び各通信端末が利用可能な通信量及びサービス種別の制限を設定する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による移動通信網の構成図であり、通信制御装置11,12,13,14およびサービス制御装置31,32はネットワーク100で接続され、通信制御装置11には無線中継装置21および22が接続され、通信制御装置12には無線中継装置25および26が接続され、通信制御装置13には無線中継装置27が接続され、通信制御装置14には無線中継装置23および28が接続されている。
【0011】
図2は図1の各サービス制御装置31に格納されている情報であり、図2(a)は移動端末の情報であり、各移動端末が他の通信端末との通信を行う際に経由する無線中継装置情報および利用情報が格納されている。無線中継装置情報の内容は移動端末が移動するのに伴い予め定められた方法で適宜更新される。利用情報は移動端末が定められた期間内に通信を行った量(時間またはデータサイズ)が格納されるとともに、これが負の値である場合には当該端末が利用できない(接続が許可されない)ことを示す。
【0012】
図2(b)は各無線中継装置の接続されている通信制御装置情報、各無線中継装置の接続されている有線回線の回線契約者情報、利用情報および接続情報が登録されている。回線契約者情報は無線中継装置が接続されている有線回線の使用権を有線回線通信事業者と契約している契約者を特定するための番号であり、利用情報はその無線中継装置番号で指定される無線中継装置を経由して行われた通信量(時間やデータサイズ)を示すとともに、これが負の値である場合には当該無線中継装置が利用できない(接続が許可されない)ことを示す。接続情報はその無線中継装置番号で指定される無線中継装置を経由する場合に可能な通信種別や量を示しており、この情報が“NULL”である場合には通信種別に制限が無いことを示している。図2(b)の例では、無線中継装置21を経由する場合には、音声通信、音楽データのダウンロードおよび電子メールの送受信が可能であることを示している。また、無線中継装置28を経由する場合には、移動端末当たり64Kbpsを上限とした通信、同時に中継可能な端末数は3以下であり、現在2つの移動端末からの通信を中継中であることを示している。
【0013】
図1および図2を使用して利用者1Bが移動端末1から利用者2Bの移動端末2へ通信を行う請求項1に対応する一実施例を説明する。移動端末1から移動端末2への通信要求が発生すると、無線中継装置21はまず移動端末1の接続を許可するか否かを判断するために通信制御装置11に対して通信種別、移動端末1の番号および無線中継装置21の番号とともに接続の問い合わせを行う。通信制御装置11はネットワークを介して移動端末1の端末情報を格納しているサービス制御装置にアクセスして移動端末が利用可能であるか否かを判断する。通信制御装置11は利用情報の値が負である場合、無線中継装置21を介して移動端末1に対して通信が許可されなかった旨を通知して処理を完了する。通信制御装置11は利用情報の値が負でなかった場合、移動端末2の端末情報を格納しているサービス制御装置に問い合わせて移動端末2との接続が可能な無線中継装置(この場合無線中継装置23)の番号、利用情報および接続情報を得る。無線中継装置21の利用情報の値が負であるか移動端末1の要求する通信種別が利用情報で許可されない種別の場合、無線中継装置21を介して移動端末1に対して通信が許可されなかった旨を通知して処理を完了する。無線中継装置21の利用情報の値が負でなく移動端末1の要求する通信種別が利用情報で許可される種別の場合、通信制御装置11は無線中継装置23の無線中継装置情報を格納しているサービス制御装置にアクセスして無線中継装置23が接続されている通信制御装置情報、利用情報および接続情報を得る。通信制御装置11は無線中継装置23の利用情報の値が負であるか移動端末1の要求する通信種別が利用情報で許可されない種別の場合、無線中継装置21を介して移動端末1に対して通信が許可されなかった旨を通知して処理を完了する。無線中継装置23の利用情報の値が負でなく移動端末1の要求する通信種別が利用情報で許可される種別の場合、通信制御装置11はネットワークを介して通信制御装置14と通信を行うための設定を行うとともに通信制御装置14および無線中継装置23を介して移動端末2の呼び出しを行う。呼び出しに対して利用者2Bが応答すると通信制御装置11は無線中継装置21を介して移動端末1に対して通信が開始された旨通知する。通信が開始されると通信制御装置は必要に応じてサービス制御装置に格納されている無線中継装置21および23の接続情報の内容を更新する(たとえば、無線中継装置28のように接続可能な端末数の上限が定められている場合、ユーザ数を+1する)。
【0014】
移動端末1と移動端末2との間の通信が終了すると、通信制御装置11はサービス制御装置に格納されている無線中継装置21および23の利用情報に通信で使用した量(時間やデータサイズ)を加えるとともに、サービス制御装置に格納されている移動端末1の利用情報に通信で使用した量(時間やデータサイズ)を加える。さらに、接続時に更新したサービス制御装置に格納されている無線中継装置21および23の接続情報の内容を必要に応じて更新する(たとえば、無線中継装置28のように接続可能な端末数の上限が定められている場合、ユーザ数を−1する)。
【0015】
本実施例では、接続のために使用する情報と利用情報とを同一のデータベースに格納しているが、これらは必ずしも同一のデータベースに格納する必要は無く、異なるサービス制御装置に格納される場合もある。また、本実施例では無線中継装置毎に接続情報を設定可能とし、接続時にこれらに矛盾する接続は行わないこととしたが、これらを行うことは必須ではない。
【0016】
以上説明した請求項1に対応する実施例のように利用情報を登録することで、各移動端末の通信量と各無線中継装置の通信量が得られることになる。無線通信事業者は各無線端末の契約者から通信量に応じた料金を徴収するとともに各無線中継装置を通信制御装置に接続した回線契約者に対しては通信量に応じた料金を支払うことが可能となる。
【0017】
新たに無線通信事業者の認定した無線中継装置を設置した場合、設置者は無線通信事業者と契約を交わし、契約が成立した時点でその契約内容に応じた情報をサービス制御装置に新たに追加することで漸次無線中継装置を増加させること、すなわち無線通信サービス地域を拡大することが可能となる。
【0018】
図1および図2を使用して利用者1Bが移動端末1から利用者2Bの移動端末2へ通信を行う請求項2に対応する一実施例を説明する。まず、上記実施例で述べた接続情報に相当する情報を各無線中継装置に設定する手段および通信制御装置からその接続情報を参照および更新する手段を設ける。そして、上記の例でサービス制御装置から得ていた接続情報を各無線中継装置が接続されている通信制御装置を経由して無線中継装置から得るように手順を変更することで、請求項を実現することが可能である。
【0019】
以上説明した請求項2に対応する実施例のように接続情報を設定可能とすることで、各無線中継装置に設定された接続情報に応じて接続する移動端末が使用する通信サービスの種類や台数を制限することが可能となり、移動端末の通信による有線回線の契約者の通信への影響を低減することが可能となる。
【0020】
なお、上記各実施例において、移動通信端末の他に固定通信端末(1A,2A)をもうけ、移動通信端末の間での通信のみならず、移動通信端末と固定通信端末の間、又は固定通信端末の間での通信に本発明を適用することが可能で、これらの適用は本発明の請求項の範囲にふくまれる。
【0021】
【発明の効果】
本発明を用いることにより、無線通信事業者は少なくともサービス制御装置の設置と通信制御装置への処理プログラムを追加するのみで通信網を構築することが可能となり、特に無線中継装置を設置する経費を大幅に削減することが可能となる。さらに、有線回線の契約者は自らが契約している回線の空き帯域の一部を無線通信業者に利用させそれに応じた収入を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される移動通信網の構成例である。
【図2】本発明によるサービス制御装置に格納されている情報の例である。
【符号の説明】
1,2,4,5,6,7,8,9 移動端末
1A,2A 固定端末
1B,2B,3B,4B,5B 利用者
11,12,13,14 通信制御装置
21,22,23,24,25,26,27,28 無線中継装置
31,32 サービス制御装置
100 ネットワーク

Claims (2)

  1. ネットワークに接続され、交換機能を有する少なくともひとつの通信制御装置と、
    情報の送受信が可能な少なくともひとつの移動通信端末と、
    該移動通信端末を無線を介して中継して前記通信制御装置との通信を行うための複数の無線中継装置とを有し、
    前記通信制御装置は前記移動通信端末が通信を行うための手段を有し、前記移動通信端末及び前記無線中継装置が通信網内で一意に特定可能な識別番号を有する通信網において、
    前記通信制御装置と接続し前記移動通信端末が通信を行うために必要な情報を格納している少なくとも1台のサービス制御装置がもうけられ、
    前記移動通信端末は、他の通信端末と通信を行う場合予め定められる手順により選択される無線中継装置を介して通信制御装置に接続され、
    該通信制御装置は前記サービス制御装置に当該移動通信端末の識別番号と前記無線中継装置の識別番号を通知し、
    該サービス制御装置は通知された移動通信端末の識別番号及び無線中継装置の識別番号に基づいて格納されている各種情報を参照して接続方法及び課金条件を決定し、移動通信端末毎及び無線中継装置毎に通信量に基づく課金のための利用情報の集計を可能とし、無線中継装置毎に利用可能な接続方法を制限することを特徴とする移動通信網の構成方法。
  2. 前記無線中継装置が、通信制御装置に同時に接続可能な移動通信端末の数、及び各通信端末が利用可能な通信量及びサービス種別の制限を設定する、
    請求項1記載の移動通信網の構成方法。
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