JP3802862B2 - インヒビタースイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の変速位置を検出するインヒビタースイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインヒビタースイッチとしては、図6,図7に示すようなものがある。図6は自動変速機とインヒビタースイッチとの関係を示す概略図、図7は自動変速機に対するインヒビタースイッチの取付状態を示す要部拡大図である。このインヒビタースイッチ101は、自動変速機103のマニュアルシャフト105に結合され、マニュアルシャフト105の回転位置を検出するようになっている。
【0003】
前記インヒビタースイッチ101には、固定ブラケット107a,107bが設けられ、該固定ブラケット107a,107bが、前記自動変速機103のミッションケース109外面に締結固定されている。
【0004】
なお、前記マニュアルシャフト105にはマニュアルレバー111が取り付けられ、ワイヤ装置113等を介してシフトレバー115に連動連結されている。
【0005】
従って、シフトレバー115の操作によりワイヤ装置113、マニュアルレバー111を介しマニュアルシャフト105が所定位置へ回転すると自動変速機103を変速させることができる。前記マニュアルシャフト105の回転は前記インヒビタースイッチ101により検出され、自動変速機103の変速位置を検出することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
実開平4−123038号公報(第2頁、図1、図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記インヒビタースイッチ101は、前記自動変速機103のミッションケース109外面に締結固定するものであるため、スペース的に余裕がある。このため、前記のように固定ブラケット107a,107bによりマニュアルシャフト105の軸方向、回転方向にインヒビタースイッチ101を位置決めることができる。
【0008】
しかしながら、インヒビタースイッチ101をミッションケース109内に配置する場合には、インヒビタースイッチ101の周辺にスペース的に余裕が全くない場合もあり、前記固定ブラケット107a,107bによる締結固定ができない恐れがある。
【0009】
本発明は、ミッションケース内でマニュアルシャフトに結合されるインヒビタースイッチの位置決めを無理なく行うことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、固定接点を有する固定側の極盤と、可動接点を支持し前記可動接点を前記固定接点に対し所定の接点圧で摺動させるように旋回移動可能な可動盤とを備え、前記可動盤が、自動変速機のミッションケース内で該自動変速機のマニュアルシャフトに連動連結され、前記固定接点に対する可動接点の旋回移動により前記マニュアルシャフトの回転位置を検出するインヒビタースイッチにおいて、前記極盤側が、前記ミッションケース側に前記マニュアルシャフトの回転方向へ係合して位置決められ、前記極盤側に、前記マニュアルシャフトの軸方向に間隔を有する差込部を設け、該差込部に差し込む被差込部を一端部に備え、他端部が前記ミッションケース側に固定される位置決めブラケットを設け、前記差込部に前記被差込部を差し込んで前記極盤側を前記マニュアルシャフトの軸方向に位置決めることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のインヒビタースイッチであって、前記極盤側に、係合部を設け、前記ミッションケース側に、前記係合部に係合して前記極盤側を前記ミッションケース側に対し前記マニュアルシャフトの回転方向に係止する回転係止部材を設け、前記位置決めブラケットと前記回転係止部材とを一体的に結合し、前記ミッションケース側に締結固定したことを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1の発明では、固定接点を有する固定側の極盤と、可動接点を支持し前記可動接点を前記固定接点に対し所定の接点圧で摺動させるように旋回移動可能な可動盤とを備え、前記可動盤が、自動変速機のミッションケース内で該自動変速機のマニュアルシャフトに連動連結され、前記固定接点に対する可動接点の旋回移動により前記マニュアルシャフトの回転位置を検出することができる。
【0013】
しかも前記極盤側が、前記ミッションケース側に前記マニュアルシャフトの回転方向へ係合して位置決められ、前記極盤側に、前記マニュアルシャフトの軸方向に間隔を有する差込部を設け、該差込部に差し込む被差込部を一端部に備え、他端部が前記ミッションケース側に固定される位置決めブラケットを設け、前記差込部に前記被差込部を差し込んで前記極盤側を前記マニュアルシャフトの軸方向に位置決めることができる。
【0014】
従って、インヒビタースイッチの周囲に締結固定するスペースがない場合であっても、前記位置決めブラケットを用いることにより締結位置をインヒビタースイッチの周囲からずらすことができ、インヒビタースイッチをマニュアルシャフトの軸方向に無理なく位置決めることができる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、前記極盤側に、係合部を設け、前記ミッションケース側に、前記係合部に係合して前記極盤側を前記ミッションケース側に対し前記マニュアルシャフトの回転方向に係止する回転係止部材を設け、前記位置決めブラケットと前記回転係止部材とを一体的に結合し、前記ミッションケース側に締結固定することができる。
【0016】
従って、位置決めブラケットと前記回転係止部材とを一体的に取り扱うことができ、部品点数が少なく、組み付け、部品管理が容易となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜図5は本発明の一実施形態に係り、図1はインヒビタースイッチを自動変速機のミッションケース内に取り付けた状態の正面図、図2は同平面図、図3はインヒビタースイッチのカバーの正面図、図4は同断面図、図5はマニュアルシャフトに取り付けた状態のインヒビタースイッチの断面図を示している。尚、図1,図2では、マニュアルシャフトを省略している。
【0018】
図1,図2のように、インヒビタースイッチ1は、自動変速機のミッションケース3内に配置され、自動変速機の後述するマニュアルシャフト5(図5)に連動連結されている。
【0019】
前記インヒビタースイッチ1は、合わせ結合させた金属製のカバー7,9内に後述する極盤及び可動盤を備えている。従って、マニュアルシャフト5の回転によって可動盤が旋回移動し、固定接点に対し可動接点が所定位置へ移動すると、マニュアルシャフト5の回転位置を検出できるようになっている。前記カバー7,9は、加締部11a,11b,11c,11d,11e,11fによって一体的に結合されている。
【0020】
前記インヒビタースイッチ1には、極盤側と一体の係合部13が上部に突設されている。係合部13は二股に形成され、係合溝13aを有している。前記係合溝13aには、回転係止部材15が係合している。すなわち、回転係止部材15は金属製の板材で形成され、この回転係止部材15の先端には丸めて形成された係止部15aが設けられている。係止部15aは回転係止部材15から前記係合部13側へ延びており、係合溝13aに係合している。回転係止部材15の基端部15bは、後述する位置決めブラケット17に一体的に結合され、ミッションケース3側に締結固定されている。
【0021】
従って、回転係止部材15によってインヒビタースイッチ1の固定側の極盤をミッションケース3側に対しマニュアルシャフト5の回転方向に係止し、極盤側が位置決められる構成となっている。
【0022】
前記位置決めブラケット17は、平面から見て三角形状のベース部19と、該ベース部19の一側に折り曲げ形成されたアーム部21とを備えている。前記ベース部19には前記回転係止部材15の基端部15b側が溶接等によって固定されている。このベース部19は、ミッションケース3に対しボルト23によって締結固定されている。従って、回転係止部材15及び位置決めブラケット17が共にミッションケース3側に締結固定された構成となっている。
【0023】
前記位置決めブラケット17の一端部すなわち前記アーム部21の先端部21aは、前記カバー7に設けられた差込部25に差し込まれている。従って、アーム部21の先端部21aは差込部25に差し込まれる被差込部となっている。こうして位置決めブラケット17のアーム部21の先端部21aを差込部25に差し込み、他端部のベース部19をミッションケース3側に固定することで、インヒビタースイッチ1を前記マニュアルシャフト5の軸方向に位置決めることができる。
【0024】
前記差込部25を、図3,図4をも参照して説明する。図1〜図4のように、前記カバー7には、サポートプレート27が固定されている。サポートプレート27の固定は、加締めによって行われている。すなわち、前記カバー7に複数の加締孔29が設けられ、前記サポートプレート27に加締孔29に対応して複数の加締部31が突設されている。前記加締孔29に加締部31を嵌合させ、該加締部31を加締孔29に加締めて前記サポートプレート27を前記カバー7に結合している。この状態で、サポートプレート27の内面27aとカバー7の面7aとの間は、前記マニュアルシャフト5の軸方向に対向して間隔を有した差込部25を構成している。
【0025】
前記内面27aと面7aとの間隔は、前記位置決めブラケット17のアーム部21の先端部21aの厚みに対応している。先端部21aと面7a及び内面27a間の間隔との間には、先端部21aを差込部25に後から差し込むことができ、且つ位置決めに影響しない程度の隙間が形成されている。
【0026】
前記差込部25にアーム部21の先端部21aが差し込まれ、前記のようにインヒビタースイッチ1をマニュアルシャフト5の軸方向に位置決めている。
【0027】
尚、前記インヒビタースイッチ1の断面構造は、図5をも用いて説明する。
【0028】
前記カバー7,9内には、前記極盤33と可動盤35,37が配置されている。前記極盤33は絶縁性の樹脂で形成され、前記係合部13を一体に備えている。極盤33には、一側面に固定接点39a,39b,39c,39d,39eが設けられ、他側面にも固定接点41a,41b,41c,41dが設けられている。
【0029】
前記可動盤35,37は、絶縁性の樹脂で形成され、前記極盤33に対し旋回移動可能に配置されている。一方の可動盤35には、可動接点43a,43b,43c,43d,43eが設けられている。前記他方の可動盤37には、可動接点45a,45b,45c,45dが設けられている。従って、可動盤35,37が極盤33に対し旋回移動し、可動接点43a〜43eを固定接点39a〜39eに対し所定の接点圧で摺動させると共に、可動接点45a〜45dを固定接点41a〜41dに対し所定の接点圧で摺動させる。固定接点39a〜39eに対する可動接点43a〜43eの旋回移動及び固定接点41a〜41dに対する可動接点45a〜45dの旋回移動により、前記マニュアルシャフト5の回転位置等を検出する構成となっている。
【0030】
前記一方の可動盤35の回転中心部には、金属製のカラー47が一体に設けられている。カラー47の内面には、2面幅部47aが形成され、マニュアルシャフト5に形成された2面幅部5aに嵌合して回転方向に係合している。
【0031】
前記一方の可動盤35は、前記マニュアルシャフト5の雄ねじ部5bに螺合するナット49によりカラー47側が締結され、マニュアルシャフト5に固定されている。
【0032】
前記他方の可動盤37には、回転受けピン51が突設されている。回転受けピン51はカバー9の長孔52から突出し、ディテントプレート53に係合している。前記長孔52は、前記マニュアルシャフト5の回転中心を中心とする曲率で湾曲し、回転受けピン51の移動を可能にしている。前記ディテントプレート53は、前記マニュアルシャフト5に固定され、一体的に回転するようになっている。
【0033】
このような構造のインヒビタースイッチ1は、前記回転係止部材15及び位置決めブラケット17を取り付ける前にカラー47の部分でマニュアルシャフト5に嵌合させ、ナット49を締め込んで固定する。
【0034】
次に、回転係止部材15及び位置決めブラケット17を一体に取り扱い、回転係止部材15の係止部15aを係合部13の係合溝13aに係合させると共に、位置決めブラケット17のアーム部21の先端部21aをサポートプレート27の内面27aとカバー7の側面7aとの間の差込部25に差し込む。同時にベース部19をミッションケース3にボルト23によって締結固定する。
【0035】
前記係止部15aが係合溝13aに係合することによって、極盤33を介しインヒビタースイッチ1全体がマニュアルシャフトの回転方向へ位置決められる。
【0036】
前記位置決めブラケット17のアーム部21の先端部21aが差込部25に差し込まれることによって、サポートプレート27及びカバー7を介しインヒビタースイッチ1全体がマニュアルシャフト5の軸方向に位置決められる。
【0037】
そして、このような位置決めを回転係止部材15及び位置決めブラケット17によって行うため、インヒビタースイッチ1の位置決めを無理なく行うことができる。すなわち、回転係止部材15及び位置決めブラケット17はインヒビタースイッチ1の周辺から離れた位置においてミッションケース3に締結固定され、この部分から延びている構造であるため、インヒビタースイッチ1の周辺に従来のようなブラケットを用いて締結固定するスペースが全く無い場合であっても、マニュアルシャフト5の回転方向及び軸方向の双方で確実に無理なく位置決めることができる。
【0038】
また、本実施形態では、回転係止部材15と位置決めブラケット17とを一体的に結合し、ミッションケース3側に締結固定しているため、位置決めブラケット17と回転係止部材15とを一体的に取り扱うことができ、部品点数が少なく組み付け、部品管理が容易となる。
【0039】
かかるインヒビタースイッチ1では、シフトレバーの操作によって連動部材を介しディテントプレート53が回転すると、これに連動してマニュアルシャフト5が回転し、シフト位置が切り替えられる。このとき可動盤35はカラー47を介してマニュアルシャフト5と一体的に回転し、可動盤37はディテントプレート53に係合する回転受けピン51を介して同様に回転する。この回転によって、可動盤35,37が前記のように旋回移動し、固定接点39a〜39eに対する可動接点43a〜43eの旋回移動、固定接点41a〜41dに対する可動接点45a〜45dの旋回移動により、マニュアルシャフト5の回転位置等を検出し、変速位置等の正確な検出を行うことができる。
【0040】
尚、上記実施形態では、回転係止部材15を位置決めブラケット17に一体的に固定したが、両者を別々に設け、それぞれ別々にミッションケース3側に締結固定することもできる。
【0041】
また、位置決めブラケット17のアーム部21の先端部21aの下縁を前記サポートプレート27の段付き状の底部に押し当てるようにすれば、先端部21aとサポートプレート27とによってマニュアルシャフト5の回転方向での位置決めを行うことも可能である。この場合には、別に設ける回転係止部材15等を省略することも可能である。逆に、位置決めブラケット17を省略し、回転係止部材15の係止部15aにマニュアルシャフト5の軸方向に係合するような面を形成し、この面に対応して係合部13側に係止面を形成することによって、係止部15aのみでマニュアルシャフト5の回転方向及び軸方向にインヒビタースイッチ1を位置決めることも可能である。この場合には、回転係止部材15が位置決めブラケットをも兼用することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインヒビタースイッチをミッションケース内に取り付けた状態の正面図である。
【図2】一実施形態に係り、インヒビタースイッチをミッションケース内に取り付けた状態の平面図である。
【図3】一実施形態に係り、カバーの正面図である。
【図4】一実施形態に係り、カバーの断面図である。
【図5】一実施形態に係り、マニュアルシャフトに取り付けた状態のインヒビタースイッチの断面図である。
【図6】従来例に係り、自動変速機とインヒビタースイッチとの関係を示す概略図である。
【図7】従来例に係り、自動変速機にインヒビタースイッチを締結固定した状態の拡大図である。
【符号の説明】
1 インヒビタースイッチ
3 ミッションケース
5 マニュアルシャフト
13 係合部
15 回転係止部材
17 位置決めブラケット
25 差込部
33 極盤
35,37 可動盤
39a〜39e,41a〜41d 固定接点
43a〜43e,45a〜45d 可動接点

Claims (2)

  1. 固定接点を有する固定側の極盤と、
    可動接点を支持し前記可動接点を前記固定接点に対し所定の接点圧で摺動させるように旋回移動可能な可動盤とを備え、
    前記可動盤が、自動変速機のミッションケース内で該自動変速機のマニュアルシャフトに連動連結され、前記固定接点に対する可動接点の旋回移動により前記マニュアルシャフトの回転位置を検出するインヒビタースイッチにおいて、
    前記極盤側が、前記ミッションケース側に前記マニュアルシャフトの回転方向へ係合して位置決められ、
    前記極盤側に、前記マニュアルシャフトの軸方向に間隔を有する差込部を設け、
    該差込部に差し込む被差込部を一端部に備え、他端部が前記ミッションケース側に固定される位置決めブラケットを設け、
    前記差込部に前記被差込部を差し込んで前記極盤側を前記マニュアルシャフトの軸方向に位置決めることを特徴とするインヒビタースイッチ。
  2. 請求項1記載のインヒビタースイッチであって、
    前記極盤側に、係合部を設け、
    前記ミッションケース側に、前記係合部に係合して前記極盤側を前記ミッションケース側に対し前記マニュアルシャフトの回転方向に係止する回転係止部材を設け、
    前記位置決めブラケットと前記回転係止部材とを一体的に結合し、前記ミッションケース側に締結固定したことを特徴とするインヒビタースイッチ。
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