JP3802745B2 - ステーブクーラー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉の炉体を冷却するために使用するステーブクーラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉操業において、炉内の高温反応から鉄皮を保護するため、ステーブクーラーを使用して冷却している。近年、高炉炉壁への熱負荷が増大し、かつ変動するようになり、従来の鋳鉄製ステーブクーラーに代わって冷却能力の高い銅製ステーブクーラーが採用されつつある。
【0003】
従来の銅製ステーブクーラーの構造として、例えば、特公昭63−56283号公報には、銅からなるステーブ本体にドリル加工により水路を穿ち、水路両端を栓溶接するとともに、冷却水配管をステーブ本体に溶接したステーブクーラーが記載されている。
【0004】
また、特開平11−293312号公報には、銅の鋳造時に中子により水路を形成し、中子を除去した後、ステーブ本体に冷却水配管を溶接した銅製ステーブクーラーが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の銅製ステーブクーラーは、前述のとおり鋳込工法で水路を内蔵した銅ステーブを製作するもの、あるいは圧延銅を機械的に水路を穿孔加工して製造されるが、いずれも水路を挟んで冷却側及び非冷却側が銅で構成されるため、多量の銅を使用する必要があり、また、製造にも高度な深孔ドリル加工技術や、鋳造技術及び栓溶接技術と厳重な検査が要求されることで設備費が高くなるという欠点があった。
【0006】
そこで、本発明は、銅の使用量を従来の銅製ステーブクーラーに比べて低く抑さえるとともに容易に組み立ることができるステーブクーラーを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、炉内側を銅または銅合金板とし、背面側を鋼または鋳鉄板としたステーブクーラであって、鋼または鋳鉄板に、銅または銅合金板を結合するための結合部材を固定するとともに冷却管を配置して銅の溶湯を流し込み、鋼または鋳鉄板上に冷却管と結合部材の高さ以上の厚みを有する銅または銅合金板を形成するか、または、冷却管を内蔵した銅または銅合金板と鋼または鋳鉄板とを別途製作し、結合ボルトを鋼または鋳鉄板とボルト取付箇所に凹みを設けた銅または銅合金板に貫通させてナットによって結合したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
ステーブクーラーの機能は、高炉炉内よりの熱を冷却路内の冷媒でとることであり、炉内面から冷却路までの材質は高熱伝導率のものが有効だが、冷却路より反炉内側はその必要性はない。そこで、本発明のステーブクーラーは、図1に示すように、冷媒供給管6から冷媒を供給し冷媒排出管5から排出する冷却管3の前面の材質を銅あるいは銅合金(以下「銅」という。)の銅板1とし、背面の材質を鋼あるいは鋳鉄(以下「鋼」という。)の鋼製板4に使い分けることによって、高価な銅の使用量を減らして、設備費を安くすることが可能となる。なお、ステーブクーラーはボルト7により鉄皮に固定する。
【0012】
【実施例】
実施例1
図2は本発明のステーブクーラーの縦断面図、図3は鋼製板の平面図である。
【0013】
本発明のステーブクーラーは、鋼製板4上に、スタッド2を固定し更に冷却路を形成する冷却管3を載せる。その鋼製板4上に、銅の溶湯を流し込み、冷却管3及びスタッド2の高さ以上の銅板1を形成させる。
【0014】
銅板1を鋼製板4に結合するための結合部材であるスタッド2は、鋼製板4に冷却管3を載せる部分を避けて溶接により複数箇所に固定する。スタッド2の先端は、鋳造された銅板1を鋼製板4に強固に結合するために二股に形成することができる。銅板1とその背面の鋼製板4とは、スタッドで結合されて構造としての強度が保持される。
【0015】
銅に鋳ぐるむ冷却管3は、銅製あるいは鋼製のいずれでもよい。冷却管3の端には、冷媒を供給する冷媒供給管6及び冷媒排出管5を接続する。鋼製板4の背面には、ステーブクーラーを高炉の鉄皮に取り付けるためのボルト7を固定する。
【0016】
本実施例では、炉壁の冷却側のみを銅板1とし、背面を鋼製板4とすることによって、高価な銅の使用量を減らして、設備費を安くすることが可能となる。
【0017】
実施例2
図4は本発明のステーブクーラーの別実施例の縦断面図、図5は図4に示す鋼製板の平面図、図6はボルトの取付の別例を示す断面図、図7は図6の側面図である。なお、本実施例以降の実施例において、実施例1と同一部材には同一符号を付しその説明は省略する。
【0018】
本実施例では、図4及び図5において、結合部材として実施例1のスタッド2に代えてボルト8を使用したもので、鋼製板4の背面から複数のボルト8をねじ込んで先端を前面から突出させ、冷却管3を配置した後、鋼製板4上に、銅の溶湯を流し込み、冷却管3及びボルト8の突出高さ以上の銅板1を形成させる。
【0019】
また、鋼製板4へのボルト8の取り付けの別例として、図6及び図7に示すように、鋼製板4のボルト取付箇所に凹み9を設けることにより、ボルト8を短くすることができる。
【0020】
本実施例は、実施例1と同様に、高価な銅の使用量を減らすことができ、またボルトをねじ込むことにより銅板1と鋼製板4とを容易に結合することが可能となる。
【0021】
なお、圧延または鋳造で得られた銅板1と鋼製板4との間に冷却管3を配置し本実施例のようにボルトで銅板1と鋼製板4とを結合してもよい。
【0022】
実施例3
図8は銅板の別実施例を示す図、9(a)はリブの配置図、(b)は断面図である。
【0023】
本実施例では、銅板1の冷却面に溶融物が溜まる凹部1aを冷却管3の回りに形成するために、複数のリブ10を設けたものである。凹部1aを形成することにより、高価な銅の使用量を減らすことができ、さらに、凹部1aに溜まった溶融物は冷却されて凝固し、セルフライニングとして機能し、ステーブクーラーの耐久性を向上させることができる。
【0024】
実施例4
図10(a)は平板の鋼製板上に冷却管を載せた状態を示す断面図、(b)及び(c)は冷却管を鋼製板の凹部に入り込ませた例を示す断面図である。
【0025】
図10(a)は、実施例1と同じく、平板の鋼製板4上に冷却管3を載せた状態で、炉壁の冷却側のみを銅板1とし、背面を鋼製板4とすることによって、高価な銅の使用量を減らすことができるが、さらに銅の使用量を減らすため、図10(b)及び(c)では、銅板1の炉体側表面と冷却管3の表面の間隔を図10(a)と同じ距離にした状態で、鋼製板4に冷却管3の一部が入り込む凹部11を形成することにより、冷却管3の一部が凹部11に入り込んで銅板1の厚みを図10(a)より薄くすることができる。
【0026】
なお、凹部11は、図10(b)に示すように、鋼製板4に冷却管3に沿った凹部11を形成したり、あるいは鋼製板4の厚みを図10(b)より薄くし、その上に板12を載せて溶接することにより形成することもできる。
【0029】
実施例
図11は銅板と鋼製板との結合の別実施例を示す断面図、図12は図11のA−A断面図で、冷却管3を内蔵した銅板1と鋼製板4を別途製作し、結合ボルト15を鋼製板4と銅板1に貫通させてナットによって結合したものである。銅板1のボルト取付箇所に凹み16を設けることにより、銅板1を薄くすることができる。
【0030】
実施例
図13は銅板と鋼製板との結合の別実施例を示す断面図で、銅板1のボルト取付箇所に凹み16を設けるとともに、銅板1に冷却管3を内蔵した突出部17を設け、この突出部17を鋼製板4の凹部18に入れ込むことにより、銅板1を薄くすることができるとともに、ボルト8短くすることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明のステーブクーラーは、前面が冷却能力に優れた銅板であり、背面が安価な鋼製であるため、冷却管を内蔵する銅製部分が熱移動に効果的な冷却路として使用されることになり、従来の銅製ステーブクーラーに比べて銅の使用量が減少し安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の銅板と鋼製板を結合したステーブクーラーの縦断面図である。
【図2】 本発明のステーブクーラーの縦断面図である。
【図3】 本発明のステーブクーラーの鋼製板の平面図である。
【図4】 本発明のステーブクーラーの別実施例の縦断面図である。
【図5】 図4に示す鋼製板の平面図である。
【図6】 ボルトの取付の別例を示す断面図である。
【図7】 図6の側面図である。
【図8】 銅板の別実施例を示す図である。
【図9】 (a)はリブの配置図、(b)は断面図である。
【図10】 (a)は平板の鋼製板上に冷却管を載せた状態を示す断面図、(b)及び(c)は冷却管を鋼製板の凹部に入り込ませた例を示す断面図である。
【図11】 銅板と鋼製板との結合の別実施例を示す断面図である。
【図12】 図11のA−A断面図である。
【図13】 銅板と鋼製板との結合の別実施例を示す断面図である。

Claims (8)

  1. 炉内側を銅または銅合金板とし、その背面側を鋼または鋳鉄板としたステーブクーラであって、
    前記鋼または鋳鉄板に、銅または銅合金板を結合するための結合部材を固定するとともに冷却管を配置して銅または銅合金の溶湯を流し込み、鋼または鋳鉄板上に冷却管と結合部材の高さ以上の厚みを有する銅または銅合金板を形成したステーブクーラ。
  2. 鋼または鋳鉄板に銅または銅合金板を結合するための結合部材が、鋼または鋳鉄板に冷却管を載せる部分を避けて溶接により複数箇所に固定されたスタッドである請求項1記載のステーブクーラ。
  3. 鋼または鋳鉄板に銅または銅合金板を結合するための結合部材が、鋼または鋳鉄板の背面からねじ込んで先端を前面から突出させた複数のボルトである請求項1に記載のステーブクーラ。
  4. 鋼または鋳鉄板のボルト取付箇所に凹みを設けて、ボルトを短くした請求項3に記載のステーブクーラ。
  5. 銅または銅合金板の冷却面に複数のリブを設け、そのリブ間の凹部に溶融物が溜まってセルフライニングを形成した請求項1に記載のステーブクーラ。
  6. 鋼または鋳鉄板に、冷却管の一部が入り込む凹部を形成した請求項1に記載のステーブクーラ。
  7. 炉内側を銅または銅合金板とし、その背面側を鋼または鋳鉄板としたステーブクーラであって、
    冷却管を内蔵した銅または銅合金板と鋼または鋳鉄板とを別途製作し、結合ボルトを、鋼または鋳鉄板とボルト取付箇所に凹みを設けた銅または銅合金板に貫通させてナットによって結合したステーブクーラ。
  8. 銅または銅合金板に冷却管を内蔵した突出部を設け、この突出部を鋼または鋳鉄板に形成した凹部に入れ込んだ請求項7に記載のステーブクーラ。
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