JP3802138B2 - 形材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維を含有する繊維強化プラスチック(以下、FRPと略す。)製の形材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般構造物や建造物の軽量化あるいは現場での省力化を目的として、軽量構造材が注目されている。なかでも、形材と称される、長尺のビーム状部材をFRP製としたものは、金属骨材よりも軽量で、木材よりも高剛性であり、かつ断面形状が単純であるため大量生産に適する引き抜き成形に向いており、構造用材として注目されている。形材は、いわゆるパイプ、角パイプ、アングル、チャンネル、C形ビーム、T形ビーム、I形ビーム、平板、バー、支柱、桁材と称されることもある。
【0003】
従来、形材として用いるFRPの補強繊維としては、比較的軽量で、強度と弾性率のバランスの面からガラス繊維が主として用いられてきた。
【0004】
形材は、通常、他の構造部材である、鉄やアルミニウムなどの金属骨やコンクリート等と接合して使用されることが多いが、ガラス繊維を主体としたFRP製形材を用いて構造体に組み立てる場合には、組立後に部材の寸法に狂いが生じることがあった。このような部材の寸法に狂いが生じると、台風や地震などの予期しない突発的な大きな荷重に対して、例えば、構造物や建造物が傾斜したり、座屈して倒壊してしまうおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の形材の上述した問題点を解決し、軽量性や機械的特性に優れるのは勿論のこと、金属やコンクリート等と接合して使用して構造体に組み立てた後にも、部材の寸法に狂いが生じることの少ない形材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の形材は、補強繊維として炭素繊維、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含む長尺の繊維強化プラスチックからなり、前記炭素繊維の体積含有率が10〜50%の範囲にあり、前記炭素繊維が長手方向に配列しており、長手方向以外に配列している補強繊維の体積含有率が前記長手方向に配列している炭素繊維の0.3〜1.2倍であり、かつ、長手方向の線膨張係数が2×10-6/℃〜10×10-6/℃の範囲にあることを特徴とするものからなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述のような部材の寸法の狂いが、FRP製形材と、金属やコンクリート等との間での線膨張係数のミスマッチにより生じることを見出した。たとえば、補強繊維としてガラス繊維のみを用いたFRPは、金属やコンクリートに比べて線膨張係数が大きく異なるため、金属やコンクリート等と接合して構造体に組み立てた後、部材の寸法に狂いが生じるのである。
【0008】
かかる線膨張係数のミスマッチを小さくし、部材の寸法の狂いを抑制するとともに、軽量で剛性に優れ、かつクリープしにくい形材とするために、本発明のFRP形材においては、実質的に連続の炭素繊維を形材の長手方向に配列し、かつ、長手方向に配列する炭素繊維の体積含有率を10〜50%の範囲内とすることにより、形材の長手方向の線膨張係数を、2×10-6/℃〜10×10-6/℃の範囲内とするのである。
【0009】
連続の炭素繊維を、形材の長手方向に配列することにより、炭素繊維の線膨張係数をFRPに反映させることができる。尚、繊維が形材の長手方向に配列するとは、形材の長手方向と繊維の配列方向のなす角度が+7〜−7°の範囲にあることを意味する。
【0010】
形材の長手方向に配列する炭素繊維の体積含有率が10%未満であると、形材の線膨張係数が上記範囲より大きくなり、ミスマッチが生じて金属やコンクリート材との間に隙間が発生するようになるばかりか、形材自身を軽量かつ高剛性、高強度にすることができなくなる。炭素繊維の体積含有率が50%を超えると、形材の線膨張係数が上記範囲より小さくなり、やはりミスマッチが生じて金属やコンクリート材との間に隙間が生じる。
【0011】
ここで、形材の線膨張係数は、たとえば次のようにして測定することができる。すなわち、長さ1m以上の形材を用いて、100℃の温度変化(たとえば、−40℃〜60℃)に伴う長さの変化をダイアルゲージ等で精度良く測定するのである。測定法としては、温調室(−50℃〜100℃程度の温度コントロールが可能なオーブン、炉あるいは部屋)内で形材を支持し、形材両端にダイアルゲージを接触させておいて、温度変化に伴う長さの変化から線膨張係数を求めることができる。尚、部材の長さが1m確保できない場合には、長さの変化をより高精度で測定できるレーザー法等を用いてもよい。精度を向上させるという意味では、あらかじめ線膨張係数のわかっている金属を測定して校正しておくと良い。
【0012】
また、長手方向に配列する炭素繊維の体積含有率は、形材の長手方向に配列する炭素繊維が占める総断面積と、形材の長手方向に直角な断面の断面積の比として求めることができる。かかる炭素繊維の総断面積は、単繊維の断面積(単繊維径から計算できる)に繊維本数を乗じて計算で求めたり、顕微鏡などによる断面観察により求めることができる。
【0013】
炭素繊維は、FRP用の補強繊維の中で最も比強度(重さ当たりの強度)、比弾性率(重さ当たりの弾性率)が大きい繊維であるので、炭素繊維を用いた本発明の形材は、軽量且つ高強度・高剛性なものとなる。本発明において、炭素繊維としては、ポリアクリルニトリル(PAN)繊維やピッチを原料として、耐炎化、炭化/黒鉛化工程等を経て製造されるいわゆる公知の炭素繊維(グラファイト繊維とも呼ばれ、単繊維の直径が通常5〜10μm)を用いることができる。炭素繊維の線膨張係数は、品種にかかわらず、−1〜1×10-6/℃の範囲でほぼ一定であるので、いずれの品種でも本発明に採用し得る。しかし、FRP製の形材と接触する部材との間に生じる熱応力のやりとり(温度変化にともない発生する応力)を小さくするためには、同じ変位量であっても発生する熱応力が小さい炭素繊維、すなわち、弾性率の小さい炭素繊維を用いることが好ましい。具体的には弾性率が200GPa〜450GPaの範囲が好ましく、さらには、230GPa〜350GPaの範囲のPAN系の炭素繊維であることが好ましい。また、ミスマッチによって生じる変形が僅かであっても長期にわたり変形が繰り返されることを考慮して十分な強度を確保するため、炭素繊維の引張強度は、4GPa以上、好ましくは4.5GPa以上であるのが良い。なお、通常は炭素繊維の引張強度は8GPa以下である。
【0014】
炭素繊維は、単繊維(モノフィラメント)が、通常、1,000〜200,000本からなる束形態(ストランド、トウ、またはロービングともいう)で使用するが、本発明においても、炭素繊維は束形態で使用することが好ましい。また、束を平織り等のクロス形態に製織して使用することも、長手方向の方向の補強が同時に行え、かつ形態安定性が得やすいので好ましい。
【0015】
本発明の形材は、長手方向に配列する補強繊維の一部に連続の炭素繊維を用いるものであるが、形材の長手方向に垂直な断面からみた炭素繊維の分布は、層状であっても島状であってもよい。ただし、その分布は、形材に反りが生じないように、ランダムまたは軸対称とすることが好ましい。特に剛性を向上させたい場合には、形材の周辺部に層状に分散させることが好ましい。
【0016】
FRPを構成する樹脂の線膨張係数は、金属やコンクリートの線膨張係数よりもかなり大きいので、補強繊維をいかに適切に配するかが上記のミスマッチを生じさせないための鍵となる。
【0017】
本発明においてFRPに用いるマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポチブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0018】
なかでもポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂は線膨張係数が大きく、炭素繊維の小さい線膨張係数を補って、形材の線膨張係数を上記の適正範囲内にするのに好適な樹脂である。また、両樹脂は、後述の引き抜き成形性に適し、かつ、耐薬品性、耐候性などに優れる。また、フェノール樹脂も線膨張係数が大きく、難燃性に優れ燃焼時の発生ガスも少なく建築用等には好ましい。
【0019】
上記樹脂には、例えば、リン酸エステル、ハロゲン化炭化水素、酸化アンチモンやホウ酸亜鉛、含リンポリオール、含臭素ポリオール、四塩化無水フタル酸、四臭化無水フタル酸のような難燃剤を配合して難燃性を付与してもよい。
【0020】
次に、本発明を図面を用いて説明する。図1および図2は本発明の形材の一例を示している。図に示すとおり、本発明に係る形材1は、形材の長手方向に配列する連続の炭素繊維2および樹脂3から構成されるFRP製である。また、図示例では、形材の長手方向に配列する連続の炭素繊維2以外に、他の補強繊維4が含まれている。
【0021】
かかる他の補強繊維の種類としては、形材の線膨張係数を前記範囲とする限り、種々のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、炭化珪素繊維等の無機繊維の他、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維が挙げられるが、炭素繊維との強度、弾性率、伸度、価格とのバランスを考慮すれば、ガラス繊維を用いるのが最も好ましい。ガラス繊維とは、二酸化珪素(SiO2 )を主成分とするいわゆるEガラス、Cガラス、Sガラスなどの繊維状ガラスのことで、単繊維径は通常5〜20μm程度である。
【0022】
また、本発明において、形材の長手方向に配列する連続の炭素繊維以外に補強繊維を含める場合、その補強繊維は種々の態様を採り得るが、特に好ましい態様を次に説明する。
【0023】
(1)まず第1に、炭素繊維以外の連続の補強繊維を形材の長手方向に配列させることである。この場合、炭素繊維以外の補強繊維は、炭素繊維より線膨張係数の大きいもの、例えばガラス繊維、または、ポリエチレン繊維等の有機繊維を用いるのが良い。また炭素繊維以外の、長手方向に配列する補強繊維の量は、形材の線膨張係数を前記範囲とするほか、形材の剛性を保持する観点から、体積含有率で、たとえばガラス繊維の場合には、長手方向に配列する炭素繊維の1〜3倍、好ましくは1.5〜2倍とするのが良い。ポリエチレン繊維の場合には、長手方向に配列する炭素繊維の2〜5倍、好ましくは3〜4倍とするのが良い。また、炭素繊維以外の補強繊維は、炭素繊維中に均一に分散していても、集合して散在していてもよいが、形材の剛性を高くするという観点からは、炭素繊維を形材の表面側に片寄らせて存在させることが好ましい。
【0024】
(2)第2に、ランダムに配列したマット状の補強繊維を用いることである。マット状の補強繊維としては、コンティニュアスストランドマットのように連続繊維からなるものでも、チョップドストランドマットのように繊維長が1〜50mm程度の短繊維からなるものでもよい。この場合、かかる補強繊維の体積含有率は、長手方向に配列する炭素繊維の0.4〜1.2倍、好ましくは0.6〜0.8倍とするのが良い。かかる補強繊維の体積含有率が小さすぎると、形材の線膨張係数が小さくなりすぎることがあり、大きすぎると、形材の重量が増す。なお、マット状補強繊維の場合には、形材の弾性率を低下させないように、横断面における形材の重心を含む部位に集合させて配することが好ましい。
【0025】
(3)また第3として、とくに本発明では、形材の長手方向以外の方向に補強繊維を配列することができる。たとえば長手方向に対し90±15°程度の方向、好ましくは長手方向に対して実質的に直角な方向に補強繊維を配列することもできる。この場合、形材の長手方向以外の方向に配列する補強繊維としては、前に列記した補強繊維以外に炭素繊維も用いることができる。かかる補強繊維は、連続であっても、短繊維であってもよく、長手方向に配列する連続の炭素繊維と織物構造をなしていてもよい。織物構造をしていると引き抜き成形に適している。形材の長手方向と直角に補強繊維が配列した部分の線膨張係数は、ほとんど樹脂の線膨張係数に支配されるため、金属のコンクリートのそれよりも大きく、長手方向に連続の炭素繊維が配列している部分との相互作用により、形材の線膨張係数を前記範囲とすることができる。この場合、形材の長手方向以外に配列する補強繊維の体積含有率は、FRPのマトリックスとして用いる樹脂の種類に応じて変更するのが好ましい。例えば、不飽和ポリエステル樹脂のように、樹脂自体の線膨張係数が、通常100〜200×10-6/℃という、比較的大きい樹脂のときには、長手方向に配列している連続の炭素繊維の0.2〜0.8倍とし、好ましくは0.3〜0.6倍とするのが望ましい。エポキシ樹脂のように樹脂自体の線膨張係数が、通常50〜70×10-6/℃という、比較的小さい樹脂のときには、長手方向に配列している連続の炭素繊維の0.4〜1.6倍とし、好ましくは0.6〜1.4倍とするのが望ましい。そして、本発明では、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含む長尺の繊維強化プラスチックからなるが、フェノール樹脂のような中間的な線膨張係数を有する樹脂のときには、長手方向に配列している連続の炭素繊維の0.3〜1.2倍とし、好ましくは0.5〜1.0倍とするのが望ましい。
【0026】
以上、形材の長手方向に配列する連続の炭素繊維以外に、補強繊維を含める場合の特に好ましい態様を説明したが、もちろん、上記の態様を併用したり、補強繊維以外に粒子やフィラー材を混入させても差し支えない。なお、長手方向に配列する連続の炭素繊維以外に補強繊維を含む場合には、FRPにおいて補強繊維全体が占める体積含有率は30〜70%とすることが好ましい。30%未満であると樹脂部の影響が強くなって、クリープや応力緩和を生じることがあり、70%を超えると繊維同士が接触して補強効率が低下することがある。
【0027】
さて、本発明のFRP製形材には導電性の炭素繊維が含まれているから、形材の外周に炭素繊維が露出するような場合には、炭素繊維と金属材が接触することにより電気腐食(電食)が生じることがある。短期に金属と接触する場合、あるいは、湿度の特に低い場所で形材と金属が接触する場合には特に大きな障害とはならないが、この電食を防止することは、構造物や建造物の寿命、信頼性を向上する上で重要である。
【0028】
本発明においては、形材の外周を非導電性のFRP材や木材、木質材、フィルム材、プラスチックなどの絶縁材で覆うことが好ましい。
【0029】
これら絶縁材は、形材の成形後に別工程で接合、接着するなどしてもよいが、形材の成形時に同時形成してもよい。また、絶縁材は形材の外周全てを覆ってもよいが、金属材と接触する箇所だけを覆うだけでもよい。また、これら絶縁材に、意匠性を併せもたせてもよい。木質の絶縁材の使用は、とくに建築用等のFRP形材を自然材に似せるという効果をもたせるのに好適である。
【0030】
絶縁材として特に好ましいのは、形材と同時成形が容易であるガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などの非導電性繊維を補強繊維とする非導電性のFRP材である。中でも、強度と弾性率のバランスのとれたガラス繊維を補強繊維とするFRPが絶縁材として最も好ましい。ガラス繊維の形態としては、長繊維、短繊維、織物状、マット状にしたもの(あるいはこれら形態の混合)などが用い得、規則的また不規則的に配置していてもよい。好ましくは、マット状であることが、炭素繊維の損傷の伝播を止めることができると同時に、成形時の樹脂の含浸性を向上させ、補強繊維間の残留応力を緩和させて、機械的特性をより向上させることができるので適切である。また、ガラス繊維マットを形材の最外層に使用すると表面性の向上にも役立つ。尚、絶縁材の厚みは、軽量化を損なわず、かつ、摩耗などにより絶縁効果がなくならないようにするために、0.3〜2mm、好ましくは0.3〜1mmの範囲とするのが望ましい。
【0031】
本発明の形材を製造する方法としては、プルトルージョン法、プルワインド法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、ハンドレイアップ法等、公知のあらゆる成形技術を用いることができる。中でも、炭素繊維を含む繊維束を樹脂を含浸させながら一体成形する、引き抜き(プルトルージョン)成形法、プルワインド成形法を用いることが経済的である。また、少量の生産や複雑/特殊な構造に対しては、ハンドレイアップ法が適している。
【0032】
本発明において形材の横断面形状は長手方向にほぼ均一であることが好ましい。代表的な横断面形状を有する形材として、図3に示すようなI形断面の形材11、図4に示すような箱形断面の形材12、図5に示すようなH形断面の形材13を例示できる。また、その他にも、Z形、T形,C形、U形、L形、フラット形等の横断面形状であってもよい。これら形材のサイズは、通常、長さが断面の長辺の3倍以上である。また、前述したように、これら形材の適当な表面部位に絶縁材を配することができる。たとえば図6に示すように、I形の形材11の上下面に絶縁材20を配することができる。
【0033】
本発明に係る形材は、一般構造物や建造物用の構造材として用いることができる。一般構造物に対しては、各種骨材や枠材、梁、ビーム、支柱、脚、レール、ガイド材として用いることができる。
【0034】
また、建造物用構造材としては、木造、鉄骨、セメントモルタル、レンガ作りの個人用家屋はもとより、鉄筋コンクリート作りの大型ビル、高層建築ビル、化学工場などの工場、倉庫、車庫、農業用のビニールハウスや園芸ハウス、ソーラーハウス、歩道橋、電話ボックス、移動式の簡易トイレ/シャワー室、ガレージ、テラス、ベンチ、ガードレール、広告塔、小屋、ペット小屋、テント小屋、物置、プレハブ等の小型・簡易建物等あらゆる建造物に使用することができる。さらに具体的には、ビルの屋上の貯水槽の補強材、ダクト補強材、プール材、ドアや窓の枠、軒の桟、天井や床の梁、敷居、間仕切り材、側壁材、鴨居、支柱、部屋を仕切るためのパーティションの枠、雨樋、足場等、多種多様な箇所に使用可能である。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
参考実施例1
単繊維本数6,900本のガラス繊維糸束(弾性率=70GPa、比重=2.54、単繊維形=13μm)1,400束と、単繊維本数24,000本の炭素繊維束(引張強度4.9GPa、引張弾性率235GPa、比重=1.80、単繊維径7μm)800束にポリエステル樹脂を含浸して、温度120℃のダイに引き通すプルトルージョン法により、高さ=150mm、幅=150mm、肉厚=10mm、長さ=3000m、のH形の形材を成形した。ここで、プルトルージョン成形時の引き抜き速度は1m/分で、また、炭素繊維束を四隅にほぼ均等に(200束づつ)に分布し、その他の部分でガラス繊維束が偏在しないように、それぞれの繊維束は、ポリエチレン製の板に孔を開けたものをガイドとして用いてダイに通した。
【0036】
次に、この形材をその両端にダイアルゲージを接触させて線膨張係数測定用の台車(あらかじめキャリブレーションのしてある鉄製の台車)に乗せて、温調オーブン中に入れ、温度を−30℃〜60℃まで変化させたときの線膨張係数を測定した。測定結果は、3×10-6/℃であった。
【0037】
また、本形材の断面を顕微鏡観察(500倍に拡大)して繊維断面の総面積より補強繊維全体の体積含有率を測定したところ、補強繊維の体積含有率は47.0%、長手方向に配列する炭素繊維の体積含有率は17.2%であった。
【0038】
参考実施例2
参考実施例1の形材の上下両面全体をポリエステル樹脂を含浸させた連続のガラス繊維からなるサーフェスマット(旭ファイバーガラス(株)製:SM3600E、目付30g/m2 )で覆って厚さ70μmの絶縁層を形成した。その後、形材の上下両面に接するようにアルミ板(500mm×500mm×厚さ5mm)2枚を万力で固定して屋外に一ヶ月放置したところ、形材に電食等の変化はみられなかった。
【0039】
実施例3
30mm幅のガラス繊維からなるランダムストランドマット(繊維目付=900g/m2 、繊維長3mm)を60枚、さらにその上下両面に糸本数24,000本の炭素繊維束(弾性率235GPa、比重=1.80、糸径7μm)を450束づつ重ねて、フェノール樹脂を含浸させて、温度130℃のダイに引き通すプルトルージョン法により、高さ=150mm、幅=30mm、長さ=2000m、のI形の形材を成形した。プルトルージョン成形時の引き抜き速度は0.5m/分で、また、炭素繊維束が形材の上下表面近傍に均一分散するようにポリエチレン製の板に穴を開けたガイドを経由してダイに通した。
【0040】
次に、参考実施例1と同様にしてこの形材の線膨張係数を測定した。測定結果は、7×10-6/℃であった。
【0041】
また、参考実施例1と同様にして補強繊維全体の体積含有率を測定したところ、補強繊維の体積含有率は36.5%、長手方向に配列する炭素繊維の体積含有率は18.5%であった。
【0042】
比較例1
参考実施例1の形材の上面を5mm削り取って炭素繊維を露出させた後、参考実施例2と同様にして、形材の上下両面に接するようにアルミ板(500mm×500mm×5mm)2枚を万力で固定して参考実施例2と同じ屋外に一ヶ月放置したところ、炭素繊維を露出させた面には電食により白粉が析出し、露出面は凸凹になっていた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のFRP製の形材の線膨張係数による金属やコンクリート材とのミスマッチを低減し、かつ、より軽量で、高強度、高剛性、高クリープ性能を有する形材を得ることができる。また、CFRPと金属との電食をなくした形材を得ることもでき、これまで以上に、FRP製形材の各種分野での用途展開、及び大量普及が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る形材の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す形材の長手方向に垂直な方向の拡大断面図である。
【図3】本発明に係る形材の他の例(I形)を示す部分断面斜視図である。
【図4】本発明に係る形材のさらに他の例(箱形)を示す部分断面斜視図である。
【図5】本発明に係る形材のさらに他の例(H形)を示す部分断面斜視図である。
【図6】本発明に係る形材のさらに他の例(I形)を示す部分断面斜視図である。
【符号の説明】
1、11、12、13 形材
2 炭素繊維
3 樹脂(マトリックス樹脂)
4 炭素繊維以外の補強繊維
20 絶縁材
Claims (13)
- 補強繊維として炭素繊維、マトリックス樹脂としてフェノール樹脂を含む長尺の繊維強化プラスチックからなり、前記炭素繊維の体積含有率が10〜50%の範囲にあり、前記炭素繊維が長手方向に配列しており、長手方向以外に配列している補強繊維の体積含有率が前記長手方向に配列している炭素繊維の0.3〜1.2倍であり、かつ、長手方向の線膨張係数が2×10-6/℃〜10×10-6/℃の範囲にあることを特徴とする形材。
- 炭素繊維の引張弾性率が200GPa〜450GPaの範囲にある、請求項1に記載の形材。
- 炭素繊維の引張強度が少なくとも4.5GPaである、請求項1または2に記載の形材。
- 補強繊維として、炭素繊維に加えて、ガラス繊維を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の形材。
- ガラス繊維が長手方向に配列している、請求項4の形材。
- ガラス繊維が横断面における重心を含む部位に配置されている、請求項4の形材。
- ガラス繊維がマットである、請求項4または6の形材。
- ガラス繊維が、長手方向に対して90±15°の方向に配列されている、請求項4の形材。
- 全補強繊維の体積含有率が30〜70%の範囲にある、請求項1〜8のいずれかに記載の形材。
- 外周が絶縁材で覆われている、請求項1〜9のいずれかに記載の形材。
- 絶縁材が、ガラス繊維および樹脂を含む繊維強化プラスチックである、請求項10の形材。
- 引き抜き材からなる、請求項1〜11のいずれかに記載の形材。
- 構造物用または建造物用である、請求項1〜12のいずれかに記載の形材。
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