JP3724663B2 - Frp形材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維を含有する繊維強化プラスチック(FRP)製形材に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物や建造物の軽量化あるいは組立や建設現場での省力化を目的として、軽量構造材として注目されている。なかでも、ガラス繊維強化プラスチック(以下、GFRPと略す。)製の長尺のビーム状部材(以下、形材と称する。)、例えば、パイプ、角パイプ、アングル、チャネル、U形、T形、Iビーム、平板、バー、支柱、桁材などは、鉄骨材よりも軽量で、木材よりも高剛性であり、かつまた断面形状が同一でかつ単純であるため大量生産に向いており、一般構造物や建造物用の形材として注目されている。
【0003】
しかしながら、GFRP製の形材は、鉄骨材等の金属製の形材に比べ剛性が低いため、構造物や建造物の剛性を確保するには不十分であることが多い。例えば、GFRP製の形材を床の桁材として使用した場合には、床の変形量大きすぎて、桁材の本数を鉄骨の場合よりも増やす必要が生じ、軽量化効果がなくなると同時に作業量が増えてしまう。
【0004】
さらに、GFRPはクリープ変形が比較的大きいので、形材が変形し、構造物や建造物が当初よりも変形してしまうおそれがあるという問題もある。上記の床の桁材を例にとれば、床上に高重量の家具類等を長期に設置しておくと、床が徐々に沈みこんでいく場合がある。このクリープ変形は、使用前にも、たとえばGFRP形材を倉庫などで保管する場合にも生じることがある。したがって、GFRP製の形材を保管する場合の枕木の配置間隔、倉庫の温湿度など保管保存環境に神経および経費を使う必要を生じさせている。
【0005】
また、GFRP製の形材に、現場施工性のよいボルト接合を施した場合には、ボルトの効きが時間と共に低下していくという問題もある。
【0006】
さらに、直射日光が当たったり、外気に晒されているなどして、温度変化が大きい部位にGFRP製の形材を使用すると、熱変形により、接合している他の部位に予想以上の力が作用して、結果として構造物や建造物の寿命を短くするという問題をもはらんでいる。
【0007】
さらにまた、一般に構造物の使用年数を延ばすために、構造用の形材は、風、地震、あるいは水災害により損傷や破損をしたり、経年とともに自然損傷した場合に、その一部または全部を定期的あるいは不定期的に補修、補強あるいは交換する必要があるが、その根拠となる損傷の程度を評価する手法がないのが現状である。
【0008】
損傷が進行して構造材の強度が極度に低下してしまった状態で、地震などに遭遇すれば、予想以上の災害を招くという可能性がある。超音波探傷法をFRPに使用する試みが航空機用部材の分野でなされているが、特殊で高価な装置あるいは熟練技術者が必要であるため、一般構造用部材や建築用部材には不適であり、簡便で廉価でかつ正確な手法が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来の上述した問題点を解決し、軽量で高剛性、高疲労、耐腐食性に優れるのは勿論のこと、耐クリープ性にも優れ、ボルト接合部の閉まり具合にも優れ、かつ損傷の評価が容易なFRP形材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のFRP形材は、炭素繊維を含む少なくとも2種類の補強繊維を有するFRP形材であって、炭素繊維の少なくとも一部が形材の長手方向に配列されており、かつ、前記長手方向に配列された炭素繊維のみに通電することにより前記炭素繊維配列方向の損傷の検出が可能に構成されていることを特徴とするものからなる。
【0011】
このFRP形材においては、層構造をなす、少なくとも炭素繊維を含む補強繊維層を有している構成、あるいは、形材横断面において炭素繊維がランダムに分布している構成、さらには、形材横断面において、トウ単位の炭素繊維を含む部分が散在している構成、のいずれの構成も採り得る。
【0012】
トウ単位の炭素繊維を含む部分が散在している場合には、該トウ単位の炭素繊維を含む部分(トウ単位部)が市松模様を形成するように分布させることもできる。
【0013】
上記炭素繊維の含有量は、とくに限定されないが、全補強繊維に占める上記炭素繊維の体積含有率が5〜50%の範囲にあるとよい。5%未満では、効果的な補強が期待できない。上限は、50%を超えてもよいが、余り多くしすぎると、2種以上の補強繊維を含有させた効果が小さくなる。
【0014】
上記炭素繊維の機械的特性としては、たとえば、炭素繊維の引張弾性率が180〜300GPa、引張強度が2,400〜6,000MPaの範囲にあることが好ましい。
【0015】
また、炭素繊維は炭素繊維束の形態で含有されることが好ましく、その場合、フィラメント数が30,000〜240,000本の範囲にある炭素繊維束を有することが好ましい。
【0016】
また、他の補強繊維としては、たとえばガラス繊維やアラミド繊維、ポリエチレン繊維等を用いることができる。これら他の補強繊維は、たとえば、織物の形態やマットの形態で含有させることができる。
【0017】
このような本発明に係るFRP形材は、各種横断面形状を有するものに形成できる。そして、横断面形状に応じて、機械的特性やサイズを最適な範囲に設計できる。
【0018】
たとえばU形横断面を有するFRP形材の場合には、曲げ剛性率が0.1〜1,000kN・m2 の範囲にあり、U形横断面の幅が20〜200mmの範囲にあることが好ましい。
【0019】
I形横断面を有するFRP形材の場合には、曲げ剛性率が0.5〜3,500kN・m2 の範囲にあり、I形横断面の高さが30〜300mmの範囲にあることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のFRP形材の望ましい形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明のFRP形材は、一般構造物や建造物用の形材として用いられる。一般構造物用FRP形材は、各種構造物の骨材や枠材、梁、ビーム、支柱、脚、レール、ガイド材として用いることができる。
【0021】
また、建設用形材としては、木造、鉄骨、セメントモルタル、レンガ作りの個人用家屋はもとより、鉄筋コンクリート作りの大型ビル、高層建築ビル、化学工場などの工場、倉庫、車庫、農業用のビニールハウスや園芸ハウス、ソーラーハウス、歩道橋、電話ボックス、移動式の簡易トイレ、シャワー室、ガレージ、テラス、ベンチ、ガードレール、広告塔、小屋、ペット小屋、テント小屋、物置、プレハブ等の小型・簡易建物などあらゆる建造物に使用できる部材をさす。
【0022】
形材の使用箇所としては、ビルの屋上の貯水槽の補強材、ダクト補強材、プール材、ドアや窓の枠、軒の桟、天井や床の梁、敷居、間仕切り材、側壁材、鴨居、支柱、部屋を仕切るためのパーティションの枠、雨樋、足場等々、多種多様である。
【0023】
図1は、本発明の一実施態様に係る形材の概略横断面図である。図1においては、FRP形材1は、I形の横断面形状を有している。このFRP形材1は、形材の長手方向LDに配列された炭素繊維と樹脂からなる炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP部と略す。)部(黒色部)2と、炭素繊維以外のガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などからなるFRP部(白色部)3とが層構造をなしている。
【0024】
横断面の形状は長手方向にほぼ均一で、図1のI形以外、Z形、T形、箱形、C形、U形、H形、L形、フラット形でもよい。本発明においては、I形とH形をまとめてI形として扱い、C形とU形をまとめてU形として扱う。図1に示すようなI形横断面の場合、幅Aが30〜200mmの範囲、高さBが30〜300mmの範囲にあることが好ましい。長さは短尺のものから長尺のものまで自由に選ぶことができる。
【0025】
上記においてCFRP部2は、形材に作用する荷重を負担し、形材の強度及び剛性を高める作用をもち、かつ、形材を軽量化するとともに、形材のクリープ変形を抑え、ボルト接合の接合効率を高め、耐環境性(耐酸性、耐溶剤性)、疲労特性を向上させ、さらに、損傷の検出が困難な建設用形材の損傷を簡便に検出するための導電性を付与する役割も果たすものである。
【0026】
CFRP部2を構成する炭素繊維は、ポリアクリルニトリル繊維やピッチを原料として、耐炎化、炭化/黒鉛化工程等を経て製造される炭素繊維(グラファイト繊維とも呼ばれる)などが適用できるが、本発明においては、単繊維の直径が5〜10μmで、強度と弾性率のバランスのよい、弾性率が180〜300GPaの範囲にあるPAN系の炭素繊維が好ましい。とくに、弾性率が180〜300GPaで、引張強度が2,400〜6,000MPaのものが好ましい。
【0027】
一般に、炭素繊維は、単繊維(モノフィラメント)を数千〜数十万本単位に束ねたストランド形態で使用する。後述のトウ単位部を形成する場合も含めて、フィラメント数が、たとえば30,000〜240,000本の範囲にある炭素繊維束を使用できる。
【0028】
また、本発明においては、炭素繊維としてストランド形態及びストランドを束ねたロービング形態のものが適用できるが、特公平1−272867号公報に示されている測定方法で得られるストランドの毛羽が30個/m以下であることが好ましい。毛羽がこれ以上であると、成形中に糸切れが発生し、長尺の形材が得にくい。また、毛羽の多い炭素繊維を使用した形材は、後述する形材の電気伝導性利用上好ましくない。
【0029】
また、繊維強化用のプラスチックは、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート等の樹脂などの熱可塑性樹脂が適用できる。
【0030】
なかでも後述の引き抜き成形性に適し、かつ、耐薬品性、耐候性などに優れるポリエステル樹脂とビニルエステル樹脂が好ましい。また、フェノール樹脂も難燃性に優れ、燃焼時の発生ガスも少ないので建設用に好ましい。
【0031】
上記樹脂には、例えば、リン酸エステル、ハロゲン化炭化水素、酸化アンチモンやホウ酸亜鉛、含リンポリオール、含臭素ポリオール、四塩化無水フタル酸、四臭化無水フタル酸のような公知の難燃剤を配合して難燃性を付与してもよい。
【0032】
次に、FRP部3には、炭素繊維以外のガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維などを使用でき、これら補強繊維の長繊維、短繊維、織物、マット状にしたもの(あるいはこれら形態の混合)などを樹脂中に規則的または、不規則的に配置させた補強繊維を貼り付けたいわゆるハニカム材や、プラスチック発泡体中に補強繊維を含有させたフォーム材などが適用でき、後述する炭素繊維との一体成形に耐えうる形態安定性を有するものであることが好ましい。
【0033】
この補強繊維としては、ガラス繊維が価格が安く、圧縮あるいは引張の強度バランスが良いので好ましい。なお、上記のガラス繊維は、二酸化珪素(SiO2 )を主成分とするいわゆるEガラス、Cガラス、Sガラスなどの繊維状ガラスであることが好ましく、繊維径は5〜20μm程度のものが好ましい。中でも、ガラスマットは、後述する炭素繊維の損傷の伝播を止めることができると同時に、成形時の樹脂の含浸性を向上させ、補強繊維間の残留応力を緩和させて、機械的特性をより向上させるので特に好ましい。また、ガラスマットは耐衝撃性の向上にも役立つ。
【0034】
強度、剛性という面からは、FRP部3は、長繊維形態、たとえば織物の形態の補強繊維を含むFRPが好ましい。中でもガラス繊維を含み、上記のCFRP部2と同一の樹脂からなる長繊維補強FRPであることが好ましい。樹脂を同一とすることで、一体成形が容易になるコスト低減ができ、熱収縮による残留応力を低減させることもできて、形材の耐久性、耐疲労性を向上させることができるからである。
【0035】
さて、上記のごとく、本発明は形材の長手方向に配列する炭素繊維を補強繊維とするCFRP部2を有する。形材の剛性および強度は、長手方向に配列する炭素繊維の割合が大きいほど大きくなるが、軽量化効果、剛性および強度の向上効果、クリープ性能、経済性などのバランスを考慮すると、全補強繊維に占める長手方向に配列する炭素繊維の体積含有量は5〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0036】
なお、ここで言う長手方向Aとは形材の軸方向に対してなす角度が0度±15度の範囲内であることを意味する。この範囲で剛性の向上効果が著しいからである。
【0037】
5%未満では、軽量化効果、剛性あるいは強度の向上が不十分であったり、長期のクリープ性能が十分でない場合がある。また、50%を超えると機械的な物性は著しく向上するものの、高価になる。また、50%を超えると炭素繊維の破壊に伴い解放されるエネルギーが大きくなり、形材の破壊が突発的になりやすい。
【0038】
さて、形材の剛性は、長手方向に配列する炭素繊維が形材の中立軸から遠い方に分布させることで著しく向上させることができる。すなわち、炭素繊維を含むFRP部2を図1のように層状の形材の上部および/または下部近傍に配すれば剛性の高い形材が得られる。なお、層状構造にした場合、炭素繊維を含む層から開始したクラックは形材全体に伝播する可能性が高いため、炭素繊維を含む層との層間に、プラスチックやゴムの緩和層を設けてもよい。また、このような緩和層には、層間応力を緩和させる役割や、残留熱応力を緩和させる役割を併せ持たせることができる。
【0039】
上記炭素繊維は規則的または不規則に散在させても好ましい形材が得られる。図2はに示すFRP形材11は、炭素繊維を不規則的に(ランダムに)散在させたものであり、図3に示すFRP形材21は、規則的に散在させた例を示している。なお、図2においては、四角、三角、丸、菱形、偏平形状など、CFRP部12の横断面形状を異にしてFRP部13中に不規則的に散在させてある。図3においては、実質的に同一横断面形状のCFRP部22を、I形横断面の上下部のFRP部23中に規則的に散在させてある。
【0040】
前記したように、一部の炭素繊維が損傷した場合、損傷がCFRP部全体に伝搬し、形材が瞬時に全体破壊してしまうことを効果的に防げる。現実的には、形材断面において、樹脂を含浸した炭素繊維からなるトウ単位部(より具体的にはストランド単位あるいはロービング単位)(四角、三角、丸など黒色部分で示したものがトウ単位である)が散在していることが好ましい。この場合、単繊維の破壊はトウ単位部内では伝播するものの、隣接するトウまでは伝播せず、形材の破損モードをより段階的な破壊とし、全体破壊に至るまでの時間を長くすることができたり、全体破壊をくい止めたりすることができる。破壊モードを段階的なものとすることで、形材の破壊を認知した人物が避難するなど何らかの防御対策を講ずる時間が稼げる。なお、ここでいう散在とは、厳密にはトウ単位のCFRP部同士が接触していないことを意味するが、断面をみたときにトウ間隔が1mm以上であればよい。なお、製造効率との関係でCFRP部同士が接触していないようにすることが不可能な場合には、接触しているトウ数(間隔が1mm以下のトウ数)は全トウ数の1/20以下に抑えることが好ましい。1/20より大きいと上記の破壊伝播を抑える効果が顕著でなくなる可能性があるからである。
【0041】
さらに、後述の電気伝導性による形材の破壊の検出においても、炭素繊維束を散在させることで、炭素繊維束同士が接触することがなくなり、損傷検出の確度が向上する。さらに、炭素繊維束を散在させることで、残留熱応力を分散させることができて、残留応力による形材の反りが低減できる、また、FRP形材をボルト接合した場合の接合効率の経時変化がより少なくなるという効果もある。
【0042】
なお、炭素繊維を、トウ単位で散在させる場合にも、全補強繊維に占める長手方向に配列する炭素繊維の体積含有率は、前記と同様、軽量化効果、剛性、強度の向上効果、クリープ性能、経済性などのバランスを考慮して、5〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0043】
このように、炭素繊維と樹脂からなるトウ単位部が、形材の断面において、規則的または、不規則的に散在していることも好ましい。
【0044】
図1〜図3に示したようなI形横断面を有するFRP形材にあっては、CFRP部の割合や配置によって機械的特性を実質的に自由に設けることが可能であるが、I形横断面のFRP形材の場合、曲げ剛性率が、たとえば0.5〜3,500kN・m2 の範囲にあることが好ましい。
【0045】
さて、本発明の炭素繊維を補強材とするFRP形材の全体破壊は、高弾性、高強度である炭素繊維の単糸あるいは、炭素繊維と樹脂からなるトウ単位の部分の破壊から始まるが、炭素繊維の電気伝導性を利用して形材中の単糸あるいは、炭素繊維と樹脂からなるトウ単位部の破壊を簡便、確実にかつ低価格で検出することができる。
【0046】
具体的には、形材端や形材に設けた切り欠き部などの炭素繊維の露出部を利用して炭素繊維の電気抵抗、あるいは電流を測定する方法である。炭素繊維が切断すれば、電気抵抗が増大し、電流は低下する。
【0047】
この際、炭素繊維単糸の電気特性に注目するよりは、上述したように、CFRP部をトウ単位で形材中に散在させて、トウ単位部間が絶縁された状態で、あるトウ単位部に注目した方が、通電の仕方が容易になるとともに、より高精度で炭素繊維の切断、あるいは損傷が検出できる。
【0048】
ただし、形材に使用する炭素繊維ストランドは、特公平1−272867号公報に示されている測定方法で得られる毛羽数が30個/m以下であることが好ましい。毛羽がこれ以上であると、ストランド同士が電気的に短絡する確率が大きくなり、1本のストランドが破断しても電気抵抗や電流値の変化がみかけ上小さくなることがあるからである。
【0049】
なお、形材中の炭素繊維束は構造物や建造物中において、かならずしも露出しているとは限らないので、あらかじめ単数あるいは、複数の炭素繊維に通電のための端子を接続しておけばより容易に形材の検査ができる。
【0050】
また、通電することで、炭素繊維は発熱するので、形材を発熱により乾燥させるということも可能である。
【0051】
図4ないし図9に、本発明に係るC形を含む概念としてのU形横断面を有するFRP形材の各実施態様を示す。図4においては、FRP形材31のU形横断面の上下部がCFRP部32で構成されており、他の部分がFRP部33で構成されている。図5においては、FRP形材41のFRP部43中にランダムにCFRP部42が散在されている。図6においては、FRP形材51の上下FRP部53中に規則的にCFRP部52が散在されている。図7においては、FRP形材61のC形横断面の上下部がCFRP62で構成されており、他の部分がFRP部63で構成されている。図8においては、FRP形材71のFRP部73中にランダムにCFRP部72が散在されている。図9においては、FRP形材81の上下FRP部83中に規則的にCFRP部82が散在されている。
【0052】
これらU形横断面を有するFRP形材31〜81の場合、曲げ剛性率は、たとえば0.1〜1,000kN・m2 の範囲にあることが好ましい。また、U形横断面の幅A(図4に図示)としては、20〜200mmの範囲にあることが好ましい。ただし、図1〜図9に示した例は、単に横断面の形状や炭素繊維の配置の例を示したものであり、本発明はこれら図示例に限定されるものではない。
【0053】
なお、本発明に係るFRP形材を製造する方法としては、プルトルージョン法、プルワインド法、フィラントワインディング法、ハンドレイアップ法等、公知のあらゆる成形技術を用いることができる。中でも、炭素繊維を含む繊維束を樹脂を含浸させながら一体成形する、引き抜き(プルトルージョン)成形法、プルワインド成形法を用いることが経済的である。また、少量の生産や複雑で特殊な構造に対しては、ハンドレイアップ法が適している。
【0054】
【実施例】
次に、本発明のFRP形材を実施例に基づいて説明する。
実施例1
炭素繊維からなる平織クロス及びガラス繊維からなる平織クロスにポリエステル樹脂を含浸させて、ハンドレイアップ法により、高さ=150mm、幅=150mm、肉厚=10mm、長さ=2000m、のH形(本発明ではI形に含まれる概念)の形材2本を成形した。炭素繊維とガラス繊維の体積比率はほぼ50:50であり、形材の重さはともに14kgであった。
【0055】
この形材のうち1本を、スパン間隔=1500mmで、形材中央に荷重を付加して3点曲げ試験を行った。このとき、荷重撓み曲線より算出される梁の曲げ剛性(梁剛性)=210kN・m2 、破壊荷重=33kNであった。
【0056】
もう1本は、スチール製支柱を用いてスパン間隔=1800mmでボルト接合し、中央に50kNの負荷を30日間かけた後、除荷して残存する撓み量を測定するクリープ試験を行った。その結果、残存撓み量は0.5mmであった。
【0057】
実施例2
実施例1で用いたものと同様の平織ガラス繊維クロスにポリエステル樹脂を含浸させて、ハンドレイアップ法により、実施例1と同一形状の形材2本を成形した。形材の重さは、それぞれ16kgであった。
【0058】
本形材の1本を、実施例1と同様にして1本を曲げ試験したところ、梁剛性=100kN・m2 、破壊荷重=17kNであった。
【0059】
もう1本は、実施例1と同様にクリープ試験したところ、残存撓み量は3.0mmであった。
【0060】
実施例3
糸本数6,900本(Tex:2,310g/km)のガラス繊維糸束(弾性率=70GPa、比重=2.54、糸径=13μm)1,820束と、糸本数12,000本(Tex:800g/km)の炭素繊維束(弾性率230GPa、比重=1.75、糸径7μm)780束にポリエステル樹脂を含浸させて、温度130℃のダイ(長さ1m)に引き通すプルトルージョン法により、実施例1と同一形状で、重さ15kgの形材を成形した。プルトルージョン成形時の引き抜き速度は1m/分で、炭素繊維束がガラス繊維束に対して市松模様状に規則的に散在して分布するよう、繊維束はそれぞれポリエチレン製の板に穴を開けたガイドを経由してダイに通した。ダイは耐摩耗性の良いスチール製のものを用い、成形物の表面性状を高めるために、表面に離型剤(フリーコート)を塗布した。
【0061】
この形材端部を断面方向に切断して、倍率1000倍にて光学顕微鏡で観察したところ、炭素繊維束は概ね市松模様状に規則的に散在して分布しており、炭素繊維束同士の接触は観察出来なかった。また、断面写真より求めた形材の長手方向に配列する炭素繊維の全補強繊維に占める割合は、30%であった。
【0062】
次に、この形材を実施例1と同様にして曲げ試験した。なお、このとき、形材断面中の最下面に近い所に分布している炭素繊維束の両端面部分に、銀ペーストを塗布して通電し、試験中の電気抵抗をモニターした。
【0063】
この試験の結果、形材の剛性は360kN・m2 、破壊荷重は70kNであった。また、破壊は中央負荷点下で発生した。
【0064】
また、破壊荷重の約70%である50kNで、電気抵抗は26μΩ/mから無限大へと変化した。
【0065】
実施例4
実施例3と同様のガラス繊維束を用いて、プルトルージョン法により、同一形状の形材を成形した。形材の重さは17kgであった。
【0066】
この形材のうち1本を、実施例1と同様にして曲げ試験したところ、梁剛性=210kN・m2 、破壊荷重=70kNであった。
【0067】
実施例5
実施例3において炭素繊維束の体積含有率を15%とした以外は全て同様にして、同一形状の形材を得た。重量は16kgであった。
【0068】
この形材を実施例3と同様に試験中の電気抵抗をモニターしながら曲げ試験したところ、形材の剛性は280kN・m2 、破壊荷重は56kNであった。また、破壊は中央負荷点下で発生した。
【0069】
また、電気抵抗は破壊荷重の約70%である40kNで、22μΩ/mから無限大へと変化した。
【0070】
実施例6
炭素繊維束の体積含有率を50%とした以外は実施例3と同様にして、同一形状の形材を作成した。重量は14kgであった。
【0071】
この形材を実施例3と同様に試験中の電気抵抗をモニターしながら曲げ試験したところ、形材の剛性は450kN・m2 、破壊荷重は90kNであった。また、破壊は中央負荷点下で発生した。
【0072】
また、破壊荷重の約90%である80kgで、電気抵抗は25μΩ/mから無限大へと変化した。
【0073】
実施例7
実施例6において、ガラスクロスを厚さ24μmのガラスマットに置き換えた以外は全て同様にして、同一形状の形材を得た。この形材の重量は7kgであった。このうち1本を実施例1と同様にして試験したところ、梁剛性は400kN・m2 、破壊荷重は78kNであった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のGFRP製の形材に比べ、より軽量化でき、かつ、強度、剛性、及びクリープ性能を著しく向上させることが可能となる。さらに、従来から困難とされてきた形材の損傷の検出を電気特性により検出することが可能となり、これまでにないFRP形材の用途展開、及び大量普及が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図2】本発明の他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施態様に係るFRP形材の概略横断面図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、41、51、61、71、81 FRP形材
2、12、22、32、42、52、62、72、82 CFRP部(黒色部)
3、13、23、33、43、53、63、73、83 FRP部(白色部)
LD 長手方向

Claims (19)

  1. 炭素繊維を含む少なくとも2種類の補強繊維を有するFRP形材であって、炭素繊維の少なくとも一部が形材の長手方向に配列されており、かつ、前記長手方向に配列された炭素繊維のみに通電することにより前記炭素繊維配列方向の損傷の検出が可能に構成されていることを特徴とするFRP形材。
  2. 層構造をなす、少なくとも炭素繊維を含む補強繊維層を有している、請求項1のFRP形材。
  3. 横断面において、炭素繊維がランダムに分布している、請求項1のFRP形材。
  4. 横断面において、トウ単位の炭素繊維を含む部分が散在している、請求項1のFRP形材。
  5. トウ単位の炭素繊維を含む部分が市松模様を形成するように分布している、請求項4のFRP形材。
  6. 全補強繊維に占める炭素繊維の体積含有率が5〜50%の範囲にある、請求項1ないし5のいずれかに記載のFRP形材。
  7. 炭素繊維の引張弾性率が180〜300GPa、引張強度が2,400〜6,000MPaの範囲にある、請求項1ないし6のいずれかに記載のFRP形材。
  8. フィラメント数が30,000〜240,000本の範囲にある炭素繊維束を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載のFRP形材。
  9. ガラス繊維を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のFRP形材。
  10. ガラス繊維の織物を含む、請求項9のFRP形材。
  11. ガラス繊維のマットを含む、請求項9または10のFRP形材。
  12. U形横断面を有する、請求項1ないし11のFRP形材。
  13. 曲げ剛性率が0.1〜1,000kN・m2 の範囲にある、請求項12のFRP形材。
  14. U形横断面の幅が20〜200mmの範囲にある、請求項12または13のFRP形材。
  15. I形横断面を有する、請求項1ないし11のいずれかに記載のFRP形材。
  16. 曲げ剛性率が0.5〜3,500kN・m2 の範囲にある、請求項15のFRP形材。
  17. I形横断面の高さが30〜300mmの範囲にある、請求項15または16のFRP形材。
  18. T形またはL形横断面を有する、請求項1ないし11のいずれかに記載のFRP形材。
  19. 構造物用、建造物用または建設用である、請求項1ないし18のいずれかに記載のFRP形材。
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