JP3801500B2 - 液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法とそれにより製造した金属製機械部品 - Google Patents

液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法とそれにより製造した金属製機械部品 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液相拡散接合を用いた金属製機械部品の製造方法に関し、特に、従来鍛造、鋳造、なしは機械研削等の一体成型方法によって製造する、外形が3次元的に非対称な金属製精密機械部品等の組立接合技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
非対称な断面形状を有する金属製精密機械部品、例えば、内部冷却型航空機あるいは地上ガスタービン動翼、タービン静翼、自動車用燃料供給配管、耐圧配管、燃料噴射管、内燃機関シリンダーヘッドなどは、その要求される使用特性に応じて、外形および内部構造が極めて複雑な断面を有しており、その製造工程は精密鍛造、精密鋳造、複数工程からなる機械研削、或いはそれらを組み合わせることで一体成型するのが普通であり、多大な労力とコスト、さらには時間を要する。上記製品をいくつかの部品に分割して個々に製造し、最後に組み合わせて製品とするには、通常は溶接などの仕上げ精度の低い製造工程を経由することはなく、個別部品の加工精度を格段に向上させると同時に、最終形状において全く部品間に隙間のないように嵌合のみで組み立てる技術が必要となり、蒸気タービンあるいはガスタービンではその製造コストの半分近くを加工組立コストで占めるようになる。
【0003】
従って、むしろ鋳造、鍛造、削りだしによって製造する従来の方法が、ノウハウの蓄積もあり、かえって低コストとなる場合が多い。しかし、このような従来技術を踏襲する以上、精密加工を必要とする機械部品などでは、工程コストが常に商品価格の大部分を占めるというコスト構造が将来とも続く可能性が高い。これら精密加工品のコスト構造は上記のように加工が多くを占めており、材料コストは僅かであって部品の大きさ、形状に比して高額な部品とならざるを得ない。実際に動力関係の配管部品、回転体部品は高価であり、これらが精密機械部品を組み込んだ装置全体のコストを著しく増大させ、優れた技術あるいはシステムの安価な提供に基づく普及において大きな障害となっていた。
【0004】
すなわち、優れた技術によって可能となった精密な機械部品の製造コストを低減し、工業的に安価に供給できる技術の開発が切望されていた。そのためには従来の製造方法とは全く異なる、新しい製造プロセスによって従来の製造技術を置き換える必要がある。
【0005】
また、上記配管系の部品はその内部に流体搬送用の管路を有している。ところが、機械加工で鍛造あるいは鋳造鋼塊から削りだし、あるいは穿孔などにより機械部品を製造する従来技術では、部品の特性上必要とされる金属材料の材質が機械加工に好適でない場合、具体的には硬度が高く研削しがたいか、あるいは合金成分が高く研削冶具の損耗が著しい場合に、加工効率の改善が強く望まれていた。
【0006】
一方、金属材料同士の工業的な新しい接合技術として液相拡散接合技術が普及しつつある。液相拡散接合は、接合しようとする材料の接合面、すなわち開先間に、拡散律速の等温凝固過程を経て継ぎ手を形成する能力を有する元素、例えばBあるいはPと、NiないしはFeの多元合金を介在させ、継ぎ手を挿入した低融点合金の融点以上の温度に加熱保持し、継ぎ手を形成する技術であって、通常の溶接技術と異なり、溶接残留応力が殆どないこと、あるいは溶接のような予盛りを発生しない平滑かつ精密な継ぎ手を形成できるなどの特徴を有する。特に、この液相拡散接合は、面接合であるため、接合面の面積によらず接合時間が一定でかつ比較的短時間で接合が完了する点は、従来溶接と全く異なっている。従って、開先さえ挿入した低融点金属以上の温度に所定の時間保持できれば、開先形状を選ばず、面同士の接合を実現することができる。
【0007】
また、従来の非酸化雰囲気でのみ実現可能な液相拡散接合技術を、酸化雰囲気においても適用可能な新しい液相拡散接合用合金箔に関して、特許第1891618号公報、同第1891619号公報、同第1837572号公報に開示がある。しかし、これらの技術はいずれも鋼管などの比較的大型の構造部材の接合への適用が試みられてきたものの、精密機械部品への適用は、内部管路を有する部品の場合に、管路を通過する軸方向に平行な面で分割する、極めて限られた形態の場合、例えば、本出願人の出願にかかる特願200−148102号(特開2002−35958号公報、参照)、特願200−148122号(特開2002−86279号公報、参照)の特許出願があるに過ぎない。この場合、内部管路内の搬送流体圧力を高める必要のある部材においては、接合面に垂直な方向の応力が継手の強度を超えて局部的に付加される可能性があり、部品に信頼性が必要な高圧搬送流体用の部品を製造できないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術が有する問題点、すなわち元来一体成型によって外形を決定する際に複数の工程を経るような、形状が3次元的に非対称な複雑形状を有する精密機械部品、特に、内部に管路を有する配管系等の精密機械部品の製造に際し、従来技術ではなしえなかった、機械部品の新しい組立製造技術およびその結果得られる機械部品を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被接合材料である金属材料に好適な組成を有するべくFeないしはNiを50原子%以上含有し、かつ酸化雰囲気での接合をも実現させるべくVを0.1〜25原子%含有した、実質的に非晶質の構造を有する厚さ100μm以下の箔、粉末またはメッキ層の少とも1種である液相拡散接合用合金を、元来一体成型によって製品とし、外部あるいは内部の構造を機械加工で製造する、形状が3次元的に非対称な複雑形状を有する精密機械部品の製造に際し、これを個々の単純な断面を有する部品に予め複数に分割し、特に、内部に管路を有する配管系等の機械部品においては、分割断面が該管路の軸方向に対して、角度にして90±5度の範囲にあるように分割し、分割した面に箔、粉末ないしはメッキあるいはその他の面に倣った形状を有する合金として介在させ、機械部品の組立に際して接合面あるいは接合面を含む部品の一部分ないしは全部を、液相拡散接合用介在合金(以下インサート材と称する)の融点以上(実質的に900〜1300℃)の温度に必要な時間、工業的な生産性を考慮した場合には30分以内の短時間で加熱、保持して、液相拡散接合により機械部品を組み立て接合し、最終形状を確保することで、目的とする機械部品を得るものである。
【0010】
また、内部に管路を有する配管系等の機械部品においては、分割断面が該管路の軸方向に対して、角度にして90±5度の範囲にあるような分割部品を、液相拡散接合によって連結し、組み立てて製造することで必要な耐圧性を得るものである。即ち、本発明の要旨は次のとおりである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するにあたり、対象とする機械部品の材質は特に限らない。液相拡散接合が適用できると考えられる金属材料はすべて本発明の技術を適用することが可能である。例えば、通常の炭素鋼、高炭素鋼、低炭素鋼など、通常の溶接が適用困難な材質であっても液相拡散接合は接合継ぎ手を実現可能である。また、CrあるいはNiを種々の割合で含有するステンレス鋼、高耐食合金鋼、Niを基材とするNi基合金やその他の合金および非鉄材料であるAl,Ti,Znおよびその他の実用金属などもそれらに対応してインサート材の合金設計を適宜選択すれば良く、すべて液相拡散接合が可能となる。また、液相拡散接合を実現する非晶質合金組成としても特段の制限はなく、米国特許第414058号公報に記載の合金をはじめ、特開昭49−91014号公報に記載のP,B,C等を拡散原子として含有する液相拡散接合用合金を使用することができる。また、インサート材の供給形態は自由度が高く、箔、粉末、メッキなどが好適であり、部品分割面の形状や完成部品の特性に応じて適宜選択することができる。ただし、接合面積が比較的大きな接合もまた部品形状によっては想定されるため、この場合の液相拡散接合における等温凝固時間を短縮する目的でインサート材の厚みは100μm以下に限定する。インサート材の厚みが100μm以下である場合、被接合材料の接合面すなわち機械部品の分割面の接合前加工精度はインサート材が間隙を十分に充填できる範囲の起伏である必要があり、すなわち凹凸は100μm以下、工業的にはRmax値で100μm以下とする必要がある。
【0012】
さらに、酸化雰囲気すなわち実質的に環境雰囲気中に酸素が0.01%以上含有される雰囲気では、従来の液相拡散接合用合金では必要とする強度の継手を得難い場合があるため、Vを含有した、酸化雰囲気中での接合が可能な液相拡散接合用インサート材を使用することが可能であり、また必要である。Vの含有量は雰囲気中酸素濃度と被接合材料の合金成分に応じて決定すればよいが、0.1原子%未満では効果が無く、また25原子%を超えて添加すると継手強度に有害なVの炭化物ないしは窒化物あるいは金属間化合物等の夾雑物を最終等温凝固位置に生成するため、その含有量を0.1〜25原子%に制限した。
【0013】
本発明では、上記のような被接合材料と液相拡散接合用合金を用いて、元来一体成型で製造していた、形状が非対称な複雑な外形を有する精密機械部品、例えば内部冷却型航空機あるいは地上ガスタービン動翼、タービン静翼、自動車用燃料供給配管、耐圧配管、燃料噴射管、内燃機関シリンダーヘッドなどを、予め量産性の高い、断面形状が回転対称に近い形状を有する複数の部品として、例えばプレス成形あるいは圧延、研削、研磨など従来の一体成型と機械加工の組み合わせに対してそれぞれ単一の生産性の高い安価な製造工程を経て製造し、それらを液相拡散接合用合金を介して組み立て、液相拡散接合によって一体化する工程を経ることで目的とする機械部品を得る。
【0014】
上記機械部品の分割方法は、最終形状との対比で適宜決めることができるが、量産性も考慮して分割してあることが必要で、具体的には完成部品が有する断面の非対象性を解消すべく、要素部品の断面は原則として回転対称に近似した形状であるように分割することが望ましく、また本発明の効果を有効に発揮する上で必要である。これによって各部品をプレス成形などの安価かつ簡易な方法で製造可能ならしめる。また、この分割は2以上であれば幾つでも可能であって、製造が簡易化し、かつ製造工程が煩雑あるいは多数となる結果、従来製造工程に対して高価とならない範囲で適宜選択すればよい。
【0015】
また分割面は平面でも曲面でも、連続あるいは不連続の多面ないしは曲面であってもよく、その形状は分割することで各部品の製造が容易になるように適宜選択すればよい。
【0016】
完成部品が内部に有する管路は連続した一つの経路でも、複数の独立した経路でも良く、管路自体の形状は自由で、単に組み立て時に接合する面が対応すればよいのであって、特に制限はない。管路は外表面に対して開口していてもいなくても組み立ては可能である。この管路の搬送流体の圧力が高い場合、具体的には10気圧以上である場合に部品形状によっては管路の一部または全部に材料の強度、具体的には降伏耐力以上の応力が付加される場合がある。このような高圧環境下における部品の特性は、想定される圧力に応じて決定し、部品を設計する必要があるが、部品を加工する場合には、例えば、機械研削時の切削加工性が求められる。この特性は材料の強度特性と相反する特性であって、一般に高強度材料ほど切削性は低下する。この場合には部品形状が小さく、切削量が少ないほど加工時間が短縮でき、材料の切削性の低下を工程の工夫で補うことが可能となる。ここに本発明の最大の効果が発揮される。すなわち、適当な部品分割によって予め要素部品を生産性よく安価に製造し、それらを接合によって組み立てることで目的とする部品を得ることが可能となる。
【0017】
さらに、内部管路に高圧力が付加される場合でも、接合面が管路の軸方向に対して平行でない場合、接合面に付加される応力は、軸方向と接合面のなす角度に応じて減少する。その角度が90度に達すると理論上接合面に付加される応力は内圧の概略1/2まで低下し、さらに部品形状を変更して局部的な応力集中が発生すると考えられる、管路屈曲部のコーナー付近、あるいは管路直径が変化するレデューサ部付近を避けて分割面を選定することで、完成部品の耐圧性は同一強度の材料を接合する場合において、分割面が管路軸方向に平行である組立方法に比較して倍以上に高めることが可能となる。
【0018】
従って、内部に高圧流体を搬送する管路を有する部品の接合においては、分割面と管路軸方向のなす角を90±5度に設定する必要がある。
【0019】
この時、内部に高圧流体搬送用管路を有する機械部品では、部品の機能を十全に発揮するため、接合面積が十分に大きいことが必要で、これによって内部圧力が高くても接合部から搬送流体が漏出しない部品を得ることができる。その接合面積は液相拡散接合時に工程上の制約から必然的に生じると予想される接合欠陥の最大寸法を、接合面に平行な方向の最大径で100μmと仮定した場合に接合断面すなわち分割面の面積に対して30%以上が必要である。
【0020】
なお、被接合材料と液相拡散接合用合金の組み合わせで接合部の特性は種々に変化する。適用する機械部品の仕様によって接合面の特性は自由に変えることができ、接合継ぎ手としての特性は特に制限がない。継ぎ手効率は1である必要はなく、かつ組織的にも完全に均質化している必要はない。もちろん継ぎ手効率が1で完全均質体であることは機械部品の特性上好ましいが、部品の製造コストに応じて決定すべきである。従って工業製品の生産という観点から、実質的に液相拡散接合が可能な温度、すなわちインサート材の融点以上で被接合材料の軟化ないしは溶融が生じない温度として接合温度を900〜1300℃に限定した場合、接合時間は30分以内と限定することが本発明の効果、すなわち機械部品の生産性の向上を達成する上で重要である。
【0021】
また、組み立て終了後に機械部品に対して種々の熱処理、化成処理、加工を施すことが可能であって、例えば鋼材であれば焼き入れ、焼き戻し、焼準し、焼鈍しなどの熱処理工程を単独であるいは複合で場合によっては繰り返し施すことも、部品としての特性を向上させるのに有効であって、本発明の効果を何ら妨げない。また、浸炭処理、窒化処理、めっき、あるいは塗装、粉末などの吹きつけ処理、ショットプラストなどの表面加工も有効である。
【0022】
さらに、液相拡散接合による組み立てに際して、液相拡散接合を実現するための接合面の加圧、加熱は必要な条件を被接合材料と液相拡散接合用合金の種類に応じて決定すれば良く、加圧の方法、手段および加熱の方法、手段については、特に制限しないが、急速加熱を実現するには高周波誘導加熱が望ましく、また均一にかつ正確に接合応力を制御するためにはインストロン型の圧縮応力負荷機能を有する接合装置の使用が好ましい。なお、一回の接合で実現する液相拡散接合の継手は1つである必要はなく、2つ以上であっても良い。すなわち、同時に多数の接合面で接合しても良い。また、付加する応力が1軸である必要もなく、多軸であれば生産性はさらに高まる。
【0023】
【実施例】
本実施例では機械部品連結用ネジ継手および船舶、産業機械用の燃料配管システムについて説明する。このシステムは外形等の変更でその他発電用コジェネレータ、あるいは動力関係の一般配管、さらには自動車用燃料供給配管でも用いることが可能である。
【0024】
0.2質量%C、1.3質量%Mn、0.5質量%Crを含有する中炭素鋼からなる板厚25mmの鋼板から、図1に示すような3次元的な連結機能を有する継手部品を最終部品とするために、図2に示す要領でM15のネジ継手部分1および3(両者は同一寸法)を別途機械研削によって製造した。
【0025】
続いて同様にして製造した20mm厚みの2の要素部品にそれぞれ図中矢印で示すごとくZの位置に、Ni基でBまたはPを少量含有し、Vを5原子%含有する液相拡散接合用合金であるインサート材4を箔の形態で挿入して矢印方向に1〜10MPa の応力を付加し、1100〜1300℃の接合温度を高周波誘導加熱で確保して、10分保持し、その後部品全体を室温まで冷却して図1の形状(AとA′は同一部品を90度回転した場合の2断面図)を有する最終部品とした。雰囲気は0.1〜1%の酸素含有量である窒素雰囲気を部品周囲に別途吹き付けた。
【0026】
このようにして得られた連結用継手は、同部品を金属塊から機械研削のみによって製造した図1と同一形状を有するネジ継手と、全く同一の機能を示し、部品としては遜色無いことが確認できた。すなわち、本発明の方法によって製造した部品は機械研削で失われる材料が少なく、鋼材の歩留まりが高い。加えて形状の同一なネジを同一部品に対して別々に加工するのではなく、ネジ要素部品として生産性良く別途製造しておき、これらを組み合わせることで、従来の製造方法に対して製造工程を短縮することができた。
【0027】
また、1質量%Cr、0.5質量%Moを含有する高炭素鋼からなる一片40mmの角棒鋼に、直径8mmおよび4.5mmの内部管路を穿孔した図3に示した複雑な外形を有する燃料配管システムの製作について説明する。
【0028】
当該燃料配管5は、直径8mmの内部管路6によって燃料を供給する配管系であり、3ヵ所の分岐供給部と、レデューサ7以降では管径が4.5mmに縮小したことによって流体圧力が上昇する、高圧分岐供給部2ヵ所を有する。本配管系は燃料受け取り側のシステム、例えばタービンやエンジンなどの燃焼型動力機関、あるいは燃料噴射ノズルに連結するが、そのための配管固定を固定冶具部位8が担う。本配管系の水平面投射図を、左側面図9、右側面図11、前方側面図10、後方側面図12に別々に示した。各側面図は同一、あるいは対象ではなく本配管系の形状が非対称であることがわかる。
【0029】
このような図3に示す燃料配管システムを図4に示す要領で単純な形状の要素部品B〜Jに分割し、Fe基でBまたはPを少量含有し、Vを2原子%含有する液相拡散接合用合金であるインサート材を接合面と同一形状の箔の形態で挿入してそれぞれ矢印方向に1〜10MPa の応力を付加し、1100〜1300℃の接合温度を高周波誘導加熱で確保して、10分保持し、その後部品全体を室温まで冷却して図3の形状と同一の外形を有する燃料配管とした。ここで、接合は2回に分けて実施した。すなわち、第一回目はB,C,Dの3要素部品を接合した。BとDの管路直径は異なっており、そのまま接合すれば管路に段差が生じる。このような段差は高圧が付加されたときに応力集中が生じやすく、また搬送流体の乱流を招きやすい。その緩和にはCの管路直径変化部位、すなわちレデューサを加工するのが普通であるが、今回の対象配管は管路が長く、上記の加工は容易ではない。そこで、Cのレデューサ部は別途管路の短い要素部品として加工しておき、BおよびDと一回の接合で管路軸方向に連結した。この時の管路軸方向と分割面のなす角度はちょうど90度となった。接合箇所は2カ所である。しかる後に6個の応力負荷点を有する押しつけ装置と高周波誘導加熱コイルを適宜用いて、BCD要素部品とE〜Jの要素部品を第二回目の接合で同様に接合した。要素部品E〜Iは内部に管路を有するが、この場合もまた管路軸方向と分割面のなす角度は90度とした。
【0030】
接合によって組み立てた燃料配管は、内部に200〜2000気圧の水を満たして60分の耐圧試験したところ、別途鍛造および機械研削で製造した燃料配管と同様に噴破することも、また水を漏出することもないことを確認した。ただし、図3に示した配管システムは、実際には鍛造と機械加工で製造することは事実上極めて困難である。それはレデューサ部の製造に特別な方法を適用せざるを得ないためであり、実質的には設計そのものが不可能である。従って、対比した一体成型部品はレデューサ部を持たず、内部管路直径は至る所8mmであった。従って、接合して組み立てた本発明による部品は、従来部品にない機能を有するという点で、従来の技術に対して優れている。また、従来技術の延長線上では全くなしえなかった課題を解決する機能を得ることができた。
【0031】
同時に一体成型では熱間鍛造という生産性の限定された工程を経なければならず、本発明の方法のように各要素部品が量産性の高い形状となっている場合と比較して、生産性に劣る。
【0032】
【発明の効果】
上述したように、液相拡散接合を用いて製造した機械部品は簡素化された工程を組み合わせることで生産性が高く、かつ製造コストが従来製造技術に対して安価となる優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】連結用のネジを2カ所有し、断面形状が不規則である形状を有する連結用部品の一例を示す図。AとA′は2断面図であり、それぞれ90度回転関係にある。
【図2】連結用部品の液相拡散接合による組立を前提とした場合の3分割の要領と接合箔の挿入状況、さらには応力の付加要領を示す図。
【図3】内部管路を有し、断面が不規則である形状を有する燃料配管用システムの5断面図。
【図4】燃料配管の液相拡散接合による組立を前提とした場合の10分割の要領、および応力の付加要領を示す図。
【符号の説明】
1,3…ネジ継手部分
2…要素部品
4…インサート材
5…燃料供給配管
6…燃料配管の内部管路
7…燃料配管の内部管路レデューサ
8…配管固定冶具部位
9…左側面投射図
10…前方側面投射図
11…右側面投射図
12…後方側面投射図

Claims (7)

  1. 内部に10気圧以上の高圧流体搬送用に必要な管路を有する、形状が三次元的に非対称な金属製機械部品の製造方法において、該金属製機械部品を一体構成する複数の分割部品であって、該管路の軸方向に対して角度にして90±5度の範囲にある接合面を含む分割面を備える分割部品を、液相拡散接合によって接合し、一体の金属製機械部品を製造することを特徴とする液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の金属製機械部品の製造方法において、液相拡散接合の900〜1300℃での等温凝固過程における保持時間を30分以内とすることを特徴とする液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法。
  3. 請求項に記載の金属製機械部品の製造方法において、前記分割部品の分割面に占める接合面の面積が30%以上であることを特徴とする液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれかの項に記載の金属製機械部品の製造方法において、液相拡散接合に使用するインサート材が、化学組成で、FeまたはNiを50原子%以上含有し、実質的に非晶質の構造を有する厚さ:100μm以下の箔、粉末またはメッキ層の少くとも1種であることを特徴とする液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法。
  5. 請求項に記載の金属製機械部品の製造方法において、Vを0.1原子%〜25原子%含有する、液相拡散接合に使用するインサート材を用い、前記分割部品を酸化雰囲気下で組、接合することを特徴とする液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれかの項に記載の金属製機械部品の製造方法において、液相拡散接合によって接合する接合面の接合前表面粗さRmax値で100μm以下に機械加工で仕上げた分割部品を組み立て接合することを特徴とする液相拡散接合を適用する金属製機械部品の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかの項に記載の金属製機械部品の製造方法を適用して製造したことを特徴とする金属製機械部品。
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