JP3862518B2 - 液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法に関し、特に、従来一体成型で製造し、内部に精密な流体搬送用あるいは重量軽減用の管路もしくは小型摺動部品のシリンダー等を有する金属製機械部品の組立接合に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体搬送用の管路、摺動部品の動作経路などを内部に有する精密部品、例えば、内部冷却型タービン動翼、自動車用燃料噴射管、内燃機関シリンダーヘッド、上下水道用蛇口などは、その要求される使用特性に応じて、外形および内部構造が極めて複雑であり、その製造には多大な労力とコスト、更にはその製造に時間を必要とする。従って、その多くはロストワックスを利用する鋳造あるいは鋼塊からの鍛造で外形を作成し、内部を研削あるいは穿孔で成形する例がほとんどである。これらをいくつかの部品に分割して個々に製造し、最後に組み合わせて製品とするには、個別部品の加工精度を格段に向上させると同時に、最終形状において全く部品間に隙間の無いように組み立てる技術が必要となり、蒸気タービン或いはガスタービンではその製造コストの半分近くを加工組立コストが占めるようになる。
【0003】
従って、鋳造、鍛造、削りだしによって製造する従来の方法が、ノウハウの蓄積もあり、逆に低コストとなる場合が多い。しかし、そうした従来技術を今後も踏襲する以上、精密加工を必要とする機械部品などでは、工程コストが常に商品価格の大部分を占めるコスト構造が将来とも継続される可能性が高い。これら精密加工品のコスト構造は上記のように加工費が多くを占めており、材料コストはわずかであって部品の大きさ、形状に比して高額な部品とならざるを得ない。実際にエンジン部品は高価であり、これらが精密機械部品を組み込んだ装置全体のコストを著しく増大させ、優れた技術の普及において大きな障害となっていた。
【0004】
この高コスト構造を打開するには必然的に工程コストの低減、ひいては人件費の低減を図る必要があることは自明であるも、成熟社会環境下での人件費低減は困難であり、寧ろ上昇する傾向であることは周知の事実である。従って、優れた技術によって可能となった精密な機械部品の製造コストを低減し、工業的に安価に供給できる技術の開発が切望されていた。そのためには従来の製造方法とは全く異なる、新しい製造プロセスによって従来の製造技術を置き換える必要がある。
【0005】
また、コスト問題とも相俟って、機械加工で鍛造あるいは鋳造鋼塊から削りだし、更には穿孔などにより機械部品を製造する従来技術では、必然的に内部の管路は外部から直接穿孔によって到達できる直線上の管路のみから構成されなければならず、外部から到達できない管路あるいは外部に対して開口していない閉鎖系統は当然加工できない。しかるに、単なる外部に開口する直線上の管路だけでなく、曲率を不規則に有する管路あるいは内部に流体を充填した状態の閉鎖経路もしくは軽量化のために必用な閉鎖系管路は、これを鋼塊から加工によって製造することができない。こうした鋼塊製造の後に機械加工で外部から製造できない管路は、従来技術で製造することができず、そうした部品は設計ができないばかりでなく、発想に至ることすらできない場合が殆どであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術が有する問題点、すなわち元来一体成型によって鋼塊とし、外部あるいは内部の構造を機械加工で製造する、内部に流体搬送用、重量軽減用、或いは摺動部品通過のため等の目的を有する管路を備えた機械部品の製造に際し、従来技術ではなしえなかった、機械部品の全く新しい組立製造技術を提供することを目的とする。さらに詳しくは、該機械部品の組み立てを液相拡散接合を用いて実施する際の、液相拡散接合用合金箔、およびその接合条件を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
液相拡散接合は、接合しようとする材料の接合面すなわち開先間に、被接合材料に比較して低い融点を有する合金、具体的には結晶構造の50%以上が実質的に非晶質であり、かつ拡散律速の等温凝固過程を経て継ぎ手を形成する能力を有する元素、例えばBあるいはPとNiないしはFeの多元合金を介在させ、継ぎ手を、挿入した低融点合金の融点以上の温度に加熱保持し、等温凝固過程で継ぎ手を形成する技術であって、通常の溶接技術と異なり、溶接残留応力が殆どないこと、あるいは溶接のような予盛りを発生しない平滑かつ精密な継ぎ手を形成できるなどの特徴を有する。特に、面接合であるため、接合面の面積によらず接合時間が一定でかつ比較的短時間で接合が完了する点は、従来溶接と全く異なっている。従って、開先さえ挿入した低融点金属以上の温度に所定の時間保持できれば、開先形状を選ばず、面同士の接合を実現することができる。
【0008】
本発明者らはこうした液相拡散接合の特徴を生かして、従来の非酸化雰囲気でのみ実現可能な液相拡散接合技術を、酸化雰囲気においても適用可能な新しい液相拡散接合用合金箔を、すでに特許第1891618号公報、特許第1891619号公報および特許第1837572号公報に開示している。
これらの特徴を有する液相拡散接合用合金を、元来一体成型によって鋼塊とし、外部あるいは内部の構造を機械加工で製造する、内部に流体搬送用、重量軽減用、あるいは摺動部品通過のため等の目的を有する管路を備えた精密機械部品の製造に際し、これを管路を含む面で複数に分割し、分割した面に箔、粉末、めっき、あるいはその他の面に倣った形状を有する合金として介在させ、機械部品の組立に際して接合面あるいは接合面を含む部品の一部分ないしいは全部を、液相拡散接合用介在合金の融点以上の温度に必要な時間だけ加熱、保持して、液相拡散接合により機械部品を組み立て接合し、最終形状を確保することで、目的とする機械部品を得る。
【0009】
上記のような機械部品組み立て接合に液相拡散接合を適用する際、重要なことは、接合によって組み立てた機械部品の仕様特性である。特に、工業的な量産効果を高めるためには製造工程が極力簡易化され、同時に低コストであることが望ましい。複数に分割加工された部品を最終形状に液相拡散接合によって組み立て加工する際、液相拡散接合に必須の、接合面に対する接合応力の負荷は、被接合材料の形状変化が極力少なく、かつ最終形状に組み立てた部品の形状修正加工は極力少ないことが求められる。
【0010】
本発明者らは液相拡散接合を用いた機械部品の製造について研究開発を進めた結果、組み立て接合を終了した機械部品に、形状の修正加工を施す必要がない条件とは、最終形状接合応力を負荷する際に、被接合材料の開先面のあらゆる部位において、接合時の塑性変形に基づく接合応力負荷方向の収縮量が5%以下であれば十分であることを実験的に確認した。工程コスト低減のためには接合雰囲気を特段に制限することは好ましくなく、雰囲気中の酸素濃度が0.01質量%以上であっても液相拡散接合を実現可能な合金箔を使用することが望ましいことも実験的に確認した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)内部に流体搬送用あるいは重量軽減用の管路もしくは小型摺動部品のシリンダー等を有する金属製機械部品の組み立て接合において、900〜1300℃の温度で、面圧を最大30MPaとし、応力負荷時間を少なくとも30秒以上とする接合条件下で実施する液相拡散接合であって、原子%で、BおよびPのうちの1種または2種の合計量を1〜15%、Vを1〜10%含有し、残部Niおよび不可避的不純物よりなる、酸化雰囲気での接合が可能で、その結晶構造が実質的に非晶質である液相拡散接合用合金を適用し、被接合材料の開先面の全ての箇所において、接合時の塑性変形に基づく接合応力負荷方向の収縮量が5%以下であることを特徴とする、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法。
(2)上記(1)において、被接合材料開先表面の粗さ(Rmax)を100μm以下に仕上げた部品に適用することを特徴とする、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法。
(3)上記(1)または(2)において、被接合材料の化学成分への機械的特性あるいは耐食性をそれぞれ適合させ、継手特性を向上させるために、前記液相拡散接合用合金に、さらに、原子%で、C:0.1〜10.0%、Si:0.1〜5.0%、Mn:0.5〜5.0%、Cr:0.1〜20.0%、Mo:0.1〜5.0%、Nb:0.01〜5.0%、Ti:0.01〜5.0%、の一種または2種以上を含有する実質的に非晶質である接合用合金を用いることを特徴とする、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法。
【0011】
本発明は、上記のような機械部品組み立て接合のための接合用合金、接合条件、被接合材料開先面精度を限定することで、工程コストの少ない機械部品の製造方法を提供することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、目的とする機械部品の組立に際して、接合用合金は、その形状を特に規定しない。液相拡散接合を部品組み立て接合に適することが可能である、箔、粉末、あるいはめっきなどはすべて適用可能であって、本発明の効果を高める。ただし、液相拡散接合用合金として、原子%でBおよびPのうちの1種または2種の合計量を1〜15%、Vを1〜10%含有し、残部をNiおよび不可避的不純物よりなる、酸化雰囲気での接合が可能な、その結晶構造が実質的に非晶質であることが必要であり、その形態として箔、粉末、あるいはめっきで組立接合時の接合界面に供給する事ができる。加えて、金属製精密機械部品を接合面の加圧が必要な液相拡散接合を適用して組み立てる際に、接合面に加える応力が過大となると、機械部品の望ましい最終形状が得られなくなる場合があり、これを避けるために、被接合材料の開先面の至る所において、接合時の塑性変形に基づく接合応力負荷方向の収縮量が5%以下となる必要がある。
【0013】
また、液相拡散接合によって部品を組み立てるに際し、接合面間に介在させる接合用合金の厚みが比較的薄い場合には、接合面間の密着を必要とする液相拡散接合においては接合応力に上限が存在する場合に、被接合材料表面の凹凸に起因する未接合部位すなわち接合欠陥が生じる可能性がある。従って、組立接合の際の被接合材料接合面は凹凸を減じておく必要があり、その表面粗度(Rmax値)は100μm以下である。
【0014】
以上の被接合材料に対する制限値は以下に記述する実験によって決定した。請求項1に記載の化学組成を基本組成とする液相拡散接合用合金(ただしNi基合金)を、箔、粉末あるいはめっきの形態で、図1に示す、内部に3本の管路を内包する流体搬送構造体を、その管路を通過する面で半割にした形状の部品に2分割し、その分割面を接合面とし、接合面間に介在させた。なお、図1の半割部品はプレス成形によって製造した。図2はその接合面と管路の様子であるが、このような形態の管路は、一体成形で製造した円筒から、後に外部より実施する穿孔では加工することができない。
【0015】
この半割部品を図3の分割面に垂直な方向から見た模式図の様に、接合面に垂直な方向の接合応力を種々に変更して負荷し、部品全体を液相拡散接合温度に加熱して所定の時間保持し、液相拡散接合を実現して組み立て部品とした。このとき、接合後の管路付近の変形程度を評価する目的で、管路の直径変化を接合の前後で測定した。表1に、試験体として0.14%の炭素を含有する、市販の400MPa程度の強度を有する軟鋼を用いた場合の、接合応力と管路の直径変化、すなわち、図4に示すように、[(接合前の管路直径7−接合後の圧縮方向管路直径8)/(接合前の管路直径7)]の値を100分率で接合応力の値とともに示した。なお、接合温度は1200℃、接合時間は300秒である。表1ではさらに、接合後の管路が接合応力によって変形した場合、内部を摺動部品が潤滑剤とともに通過する際に焼き付きが発生していたか否か、すなわち管路がシリンダー部品として正常に機能したかどうかを、また高速流体が通過する際に、管路の変形によって局部的な圧力上昇が生じ、流体温度が制限値を越えて上昇したか否かを同時に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
表1から、シリンダー内のピストン焼き付き発生が、接合応力負荷方向の材料収縮量、すなわち管路直径の変化率で5%超の場合に、また搬送流体(本実験では冷却用工業用水)の温度上昇が制限値(35℃)を越えることも同条件で発生することが分かる。これらの機械部品の機能不全は、被接合材料の種類、ピストン形状、潤滑油成分、搬送流体成分、流体搬送速度を種々に変えた場合には多少の接合応力依存性を示したものの、接合温度および接合応力を、製造工程コストを勘案した範囲内で変更する限りでは、概ね同様の条件で発生することが確認された。すなわち、機械部品として内部の管路変形は、接合応力負荷時に、接合応力負荷方向の収縮量で見て、5%以下に制限する必要があることが判明した。
そして、接合応力負荷方向の収縮量を5%以下に制限するためには、接合応力を30MPa以下に制限する必要があることが、表1から明らかである。この応力と収縮量の関係は、接合温度1200℃における、300秒間に生じた熱間塑性変形に起因するものであり、応力が高ければ変形が大きく、従って負荷応力には制限が生じることとなる。この変形量は接合時間の関数でもあると考えられるが、実験の時間範囲、および後述する実施例の範囲内では明瞭な時間依存性は観察されなかったため、表1の結果をもって負荷応力の上限値を決定した。
【0018】
さらに、1200℃、300秒の接合条件において、10MPaの接合応力を付加した場合に、被接合材料の接合面粗さを、機械加工によって調整し、Rmax値の異なる材料において、接合部の健全性を、接合面断面の光学顕微鏡観察による未接合部の接合線長さに占める割合(以降「接合欠陥長さ率」と称する)との関係で図5に示した。予備実験によって接合欠陥長さ率が12以下で、接合継ぎ手の強度が母材の70%以上となることが判明しており、かつ接合継ぎ手効率は、工業的に使用される機械部品において殆どの場合に部品組立接合部で70%以上でないと信頼性高く使用できないことが、市場調査および信頼性評価実験によって判明している。従って、この場合も閾値を継ぎ手効率70%とし、その機械部品組立接合継ぎ手における判断基準を、接合欠陥長さ率の値で12と定めた。明らかに図5からRmax値が100を超えると接合欠陥長さ率の閾値である12を超えることが分かった。この関係は、被接合材料の種類、接合温度、接合時間に強い相関をもたず、殆どの条件で認められた。このことから機械部品組立接合における被接合材料の接合面粗さを最大で100μmに制限した。
【0019】
一方、液相拡散接合に用いる接合用合金は、Ni基あるいはFe基のものが開発され、実用化されているが、工業的用途に限っては、被接合材料に応じた接合用合金組成を、継ぎ手部の機械的あるいは化学的均一性を考慮して設計されたものは少ない。これは液相拡散接合継ぎ手における接合後の接合金属、すなわち溶接における溶接金属に相当する部位の幅が50μm以下ときわめて狭く、周囲の材料の拘束効果によって機械的特性が、また狭小であるが故の、環境に対する暴露面積が少ないことから化学的特性の不連続性は無視できる場合が殆どである。しかし、本発明が対象とする精密機械部品は小さなものが多く、数十μmでも、不連続な性質を有する組織が継ぎ手に存在する場合、被接合材料の使用性能に影響を与える場合がある。そこで、本発明では被接合材料に応じて液相拡散接合用合金の化学成分を、機械的特性あるいは化学的特性の見地から制限する。
【0020】
その化学成分範囲は、原子%で、C:0.1〜10.0%、Si:0.1〜5.0%、Mn:0.5〜5.0%、Cr:0.1〜20.0%、Mo:0.1〜5.0%、Nb:0.01〜5.0%、Ti:0.01〜5.0%の一種または2種以上を単独であるいは複合で含有することを特徴とする。同時にこの合金は、その結晶構造が実質的に非晶質であって、液相拡散接合を可能ならしめるべく、原子%でBおよびPのうちの1種または2種の合計量を1〜15%、かつVを1〜10%含有し、残部をNiと不可避的不純物よりなることを特徴とする。Vの添加は被接合材料の化学成分均質化に有効な場合もあるが、主として酸化雰囲気での接合を可能ならしめるためである。上記の化学成分に関する制限は、以下の理由による。
【0021】
Cは、金属材料の強度を、固溶あるいは析出強化、さらには相変態を通して上昇させる。その効果を発揮させるためには0.1%が必要で、10%を超える場合には金属材料を脆化させる場合があるので、添加範囲を0.1〜10%とした。
Siは接合用合金の非晶質形成能を高めるために必要で、かつ金属材料の粒内固溶強化を促進できる。その効果は0.1%で発現し、5%を超えると、接合金属内に酸化物として残留することがあるため、添加範囲を0.1〜5.0とした。
【0022】
Mnは金属材料の強度を、固溶強化あるいは相変態により上昇させる元素で、その効果発揮には0.5%が少なくとも必要であり、5.0%を超えて添加すると接合金属を脆化させるため、その添加範囲を0.5〜5.0%とした。
Crは相変態の際の無拡散変態を助長して強度を向上し、同時に表面に保護被膜を形成して接合金属の耐食性を向上させる。0.1%未満では効果が無く、20%を超えると、接合用合金が実質的に非晶質となりがたくなるため、その添加範囲を0.1〜20%とした。
【0023】
Moは固溶強化で高温強度を向上させる元素である。耐熱金属材料を接合する際に不可欠で、0.1%以下では効果が無く、5.0%を超えて添加する場合には粗大な酸化物あるいは金属間化合物を生成して接合金属を脆化させるため、その添加範囲を0.1〜5.0に決定した。
Nb,Tiはいずれも炭窒化物形成元素であり、高温では接合金属の結晶粒粗大化を防止して靭性を向上し、室温あるいは低温では析出強化で接合金属の強度を上昇させる。それぞれ0.05%未満では効果が無く、5.0%を超えて添加すると析出物の粗大化によって接合金属が脆化するため、その添加範囲を0.05〜5.0とした。
【0024】
【実施例】
請求項1および3に記載の化学成分を有する液相拡散接合用Ni基合金箔を、箔、粉末あるいはめっきの状態で、液相拡散接合用材料として選定した、表2に示した化学成分を有する液相拡散接合用合金箔を、図1の形状を有する半割機械部品の組立時接合面間に、接合に十分な形状および面積を有するように介在させ、突き合わせた部品を速やかに液相拡散接合温度:900℃または1200℃に加熱し、しかる後に接合温度に60〜300秒の時間保持し、冷却して部品とした。組立接合後は、必要に応じて外表面を仕上げ加工した。最終形状に至った部品は、内部の管路について、接合面と垂直な面で切断し、その接合時応力負荷方向の収縮量を、接合時応力負荷方向の管路直径変化で評価し、また接合面の接合前粗さと接合後の接合欠陥長さ率を測定し、接合面加工精度の影響を調査した。以上の結果を、液相拡散接合用合金の化学成分とともに、表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
表2の結果から、本発明方法を用いて組み立て接合した機械部品の接合部位特性は、内部管路が機械部品の使用性能を十分に満足し、一体成型によって高額なコストと長い工程を経て製造した従来の技術、すなわち従来方法によって製造した機械部品と何ら遜色無い性能を発揮することが判明した。
【0027】
表3には、本発明方法に類似してはいるものの、本発明技術の制限外で製造したことによって、機械部品の特性が、一体成型によって製造した従来技術による機械部品の特性に対して、一部劣っているものの評価結果である。ただし、この場合でも従来技術で、図1に示した機械部品のごとき管路を、従来技術により製造することは全く不可能であることに変わりはない。
【0028】
【表3】
【0029】
表3の比較方法による機械部品A〜Mの製造条件と接合部位の評価結果において、機械部品Aは、液相拡散接合用Ni基合金の組成のうちC(炭素)が高く、接合金属が脆化して液相拡散接合における等温凝固時に凝固割れが発生した結果、接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、Bは接合用合金に添加したV量が不足して接合金属内に多量の酸化物が残留した結果、接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、Cは添加V量が過多となり、V系の酸化物が接合金属内に多量に残留した結果、接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、Dは接合金属に添加したCrが20原子%を超えたため接合用合金が非晶質とならず、合金内に著しい偏析と、Cr系硼化物が生成し、結果として液相拡散接合が不可能となり接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、EはMoが過多となり、Moを含む金属間化合物が接合金属中に多量に生成し、接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、FはNbが、GはTiがそれぞれ過多となり、共に粗大な炭窒化物が等温凝固の最終凝固位置に線上に並び析出し、接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、HはSiが過多で、Si系酸化物が接合金属内に多量の酸化物が残留した結果、接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、Iは接合金属中のMnが過多で、接合金属の強度が上昇し過ぎて脆化し、凝固時の割れとなって接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、JはB(ボロン)の濃度が高く液相拡散接合自体は可能であったものの、硼化物が大量に接合金属中に残留し接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、KはPが多く、燐化物が大量に接合金属中に残留し接合欠陥長さ率が閾値を超えたもの、Lは接合応力と接合前の接合面加工精度が低く粗度が高かったため、高応力によって接合応力負荷方向の収縮量が5%を超え、同時に接合欠陥長さ率が閾値12を超え、機械部品として使用性能が満足できなかったもの、Mは高応力によって接合応力負荷方向の収縮量が5%を超え、機械部品として使用性能が満足できなかったものである。
【0030】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、機械部品の製造を、簡易に製造可能な分割部品から、それらを液相拡散接合によって貼り合わせる工程を適用する際の、液相拡散接合の接合条件と接合用合金組成を限定することで、機械部品を安価かつ効率的に製造する方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 内部に3本の管路を有する円筒状機械部品の俯瞰図である。
【図2】 機械部品を管路を含む面で分割し、2つの半割部品とした際の接合断面および接合面と垂直な方向から見た半割部品形状を示す図である。
【図3】 半割部品の液相拡散接合による組立接合時の突き合わせ要領と接合応力負荷方向を示す図である。
【図4】 図3で示した接合面突き合わせ時の管路部分を拡大した図である。
【図5】 接合欠陥長さ率と接合前の接合面粗度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…機械部品内部の管路1
2…機械部品内部の管路2
3…機械部品内部の管路3
4…内部に管路を有する円筒状機械部品
5…管路を通過する面で分割した半割部品左部分
6…管路を通過する面で分割した半割部品右部分
7…接合応力負荷前の管路直径
8…接合応力負荷前の管路直径
9…接合応力負荷後、組立終了時の管路直径
10…組立接合時の接合応力負荷方向
Claims (3)
- 内部に流体搬送用あるいは重量軽減用の管路もしくは小型摺動部品のシリンダー等を有する金属製機械部品の組み立て接合において、900〜1300℃の温度で、面圧を最大30MPaとし、応力負荷時間を少なくとも30秒以上とする接合条件下で実施する液相拡散接合であって、原子%で、BおよびPのうちの1種または2種の合計量を1〜15%、Vを1〜10%含有し、残部Niおよび不可避的不純物よりなる、酸化雰囲気での接合が可能で、その結晶構造が実質的に非晶質である液相拡散接合用合金を適用し、被接合材料の開先面の全ての箇所において、接合時の塑性変形に基づく接合応力負荷方向の収縮量が5%以下であることを特徴とする、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法。
- 請求項1において、被接合材料開先表面の粗さ(Rmax)を100μm以下に仕上げた部品に適用することを特徴とする、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法。
- 請求項1または2において、被接合材料の化学成分への機械的特性あるいは耐食性をそれぞれ適合させ、継手特性を向上させるために、前記液相拡散接合用合金に、さらに、原子%で、
C :0.1〜10.0%、
Si:0.1〜5.0%、
Mn:0.5〜5.0%、
Cr:0.1〜20.0%、
Mo:0.1〜5.0%、
Nb:0.01〜5.0%、
Ti:0.01〜5.0%、
の一種または2種以上を含有する実質的に非晶質である接合用合金を用いることを特徴とする、液相拡散接合を用いた機械部品の製造方法。
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