JP3799262B2 - 積層型濾過材、これを用いたフィルタエレメント、及びこれらの製造方法 - Google Patents

積層型濾過材、これを用いたフィルタエレメント、及びこれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体または気体を濾過するための技術に関し、特に、濾過効率と濾過寿命ともに優れた積層型濾過材、これを用いたフィルタエレメント、及びこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、従来から濾過機能を有する素材は種々提案されている。通常、除去対象となる粒子よりも小さな開孔径を有する素材、例えば、織布、不織布、メンブレンなどが任意に選択して濾過材として用いられる。このような濾過材に関し、精度の良い濾過の実現と共に、濾過寿命の延長に工夫を凝らして改良提案がなされてきた。
【0003】
その一例として、濾過材に折り加工を施すことにより、気体や液体などの流体が流入する濾過面積を濾過材体積に比して大きく採り、目詰まりを遅らせて濾過寿命を延ばすものが知られている(例えば、特開昭62−155912号公報)。しかしながら、このように濾過材に折り加工を施すこと、及び折り加工が施された濾過材を、所謂、カートリッジフィルタとして形成することは、非常に煩雑な工程を必要としていため、簡素化された工程で製造できる、濾過効率及び濾過寿命の長い濾過材が待ち望まれていた。また、カートリッジフィルタとして形成する際に、フレームなどに複雑な形状の部材を必要とする場合があるため、この点からも、濾過材の加工が非常に煩雑であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、濾過効率と濾過寿命とに優れ、しかも形状設計の自由度に優れる積層型濾過材、フィルタエレメント、及びこれらの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、「不織布層と、全溶融型の繊維からなる不織布に由来する融着した樹脂を含む融着層とが交互に積層した積層型濾過材であり、この積層型濾過材の濾過面が、前記不織布層と融着層の両方の層から構成されていることを特徴とする積層型濾過材。」に関する。このような濾過面を有する積層型濾過材は濾過効率、濾過寿命ともに優れていることを見出したものであり、また、不織布層により屈曲性が得られるため、形状設計の自由度にも優れている。また、全溶融型の繊維からなる不織布の形態は実質的に失われることから、不織布層の平均開孔径がそのまま濾過機能に反映されることになるため、不織布層の平均開孔径を設計するだけで、所望の濾過性能を得ることができ、積層型濾過材の設計が容易であるという利点を有する。
【0006】
本発明の請求項2は、「不織布層が、繊維ウエブを形成した後に、機械的処理により分割して極細繊維を発生させた不織布からなることを特徴とする、請求項1記載の積層型濾過材。」に関する。このような不織布は分割によって流路が増えると同時に流路が複雑になることで、低い通液抵抗と高い濾過精度を得ることができる。
【0007】
本発明の請求項3は、「不織布(濾過用不織布)と、前記濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低い温度で熱融着可能な樹脂を含む融着性樹脂シートとを交互に積層して積層体を形成した後、この積層体に対して、熱及び圧力を作用させることにより、前記融着性樹脂シートの熱融着可能な樹脂で濾過用不織布間を融着する、不織布(濾過用不織布)層と、融着した樹脂を含む融着層とが交互に積層した積層型濾過材であり、この積層型濾過材の濾過面が、前記不織布(濾過用不織布)層と融着層の両方の層から構成されている、積層型濾過材の製造方法。」に関する。この製造方法によれば、請求項1にかかる積層型濾過材を容易に製造することができる。
【0008】
本発明の請求項4は、「前記融着性樹脂シートとして、全溶融型の繊維からなる不織布を使用することを特徴とする、請求項3に記載の積層型濾過材の製造方法。」に関する。この製造方法によれば、請求項2にかかる積層型濾過材を容易に製造することができる。
【0009】
本発明の請求項5は、「請求項1又は請求項2に記載の積層型濾過材の前記濾過面が周壁を構成する円筒体であり、濾過面の融着層が円筒体上面に対して直交するように配置していることを特徴とするフィルタエレメント。」に関する。このフィルタエレメントはこのような態様であることによって、濾過用不織布層における外周壁側は比較的粗い構造を有し、内周壁側は比較的密な構造を有するため、外周壁から内周壁方向へ流体を流通させると、濾過効率、濾過寿命ともに優れている。
【0010】
本発明の請求項6は、「請求項1又は請求項2に記載の積層型濾過材の両方の最外層同士を結合する、積層型濾過材の前記濾過面が周壁を構成する円筒体であり、濾過面の融着層が円筒体上面に対して直交するように配置しているフィルタエレメントの製造方法。」に関する。この製造方法によれば、請求項5にかかるフィルタエレメントを簡潔に製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施にあたって好適な実施形態につき、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る積層型濾過材11を示す概略的な斜視図である。尚、同図において、同一の機能を有する融着層15には同一のハッチングを付すと共に、同一の機能を有する不織布層13(濾過用不織布層13)はハッチングを省略してある。
【0012】
まず、不織布層13(以下、「濾過用不織布層13」ということがある)は、本発明の積層型濾過材11の濾過機能の大部分を担い、融着層15は融着した樹脂を含んでおり、隣接する濾過用不織布層13の間を融着する機能を担い、これらの層により濾過面17、17’が構成されている。そのため、図1に示すように、濾過面17、17’は濾過用不織布層13と融着層15の両方の層が存在し、これらの層が交互に積層された状態の面からなる。なお、図1における積層型濾過材11は全体形状が直方体形状であるため、濾過面17、17’は平面であるが、全体形状が円柱形状である場合のように、濾過面が曲面である場合もある。また、この濾過面17、17’は濾過すべき流体の流れ方向に対向して、濾過すべき流体が進入する面である。したがって、図1の積層型濾過材11においては、矢印F1で示す方向に濾過すべき流体が流れる場合には、数字17で示される面が濾過面17、であり、矢印F2で示す方向に濾過すべき流体が流れる場合には、数字17’で示される面が濾過面17’である。
【0013】
この濾過用不織布層13を構成する不織布としては、本発明の積層型濾過材11を適用する用途に必要な濾過性能を有し、しかも積層(または重畳)が可能な形態安定性を有するものであれば良く、特に限定されるものではなく、短繊維及び/又は長繊維から構成され、用途及び/又は設計に応じた平均開孔径をもつものを任意に選択することができる。
【0014】
例えば、直接紡糸法による長繊維から構成されるスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、短繊維を原料とし、カード法、エアレイ法、湿式法などによりウエブを形成した後、ニードルパンチ法、流体流絡合法などの絡合技術を適用して得られる不織布などを用いることができる。これらの中でも、流体流絡合法の絡合技術を適用して得られる濾過用不織布は、ニードルパンチ法を適用して得られる不織布と比べて、実質的に不織布の表面と平行な繊維の本数を多くできることから、濾過すべき流体が流れやすくなり、通液抵抗を低くすることができるため、好適な濾過用不織布である。
【0015】
なお、複数の樹脂成分からなる複合繊維を含む繊維ウエブを形成した後に、機械的処理(例えば、流体流、ニードルパンチ、カレンダー処理など)及び/又は化学的処理(例えば、少なくとも1種類の樹脂成分を除去する方法、少なくとも1種類の樹脂成分を膨潤させる方法など)によって、前記複合繊維を分割して極細繊維を発生させた不織布を用いても良い。更に、複数の樹脂成分からなる複合繊維の少なくとも1種類の樹脂成分を除去して極細繊維を形成した後に、繊維ウエブを形成し、結合した不織布を用いても良い。特に、繊維ウエブを形成した後に、機械的処理により分割して極細繊維を発生させた不織布は、前記分割によって流路が増えると同時に流路が複雑になることで、低い通液抵抗と高い濾過精度を得ることができるため好ましい。
【0016】
また、濾過用不織布における繊維配向は一方向性であっても、多方向性であっても、或いはランダム配向性であっても良い。濾過用不織布の繊維配向が一方向性である場合には、繊維配向方向が濾過面17、17’に対して平行であっても良いし、垂直であっても良い。
【0017】
これら不織布(濾過用不織布)の構成繊維は、濾過する流体に応じて種々選択することができ、ポリプロピレンを始めとするポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、6ナイロン、66ナイロンなどのポリアミド系樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂からなる繊維、その他、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、無機繊維を用いることもできる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂を含む繊維は、化学薬品、溶剤への耐性や耐候性に優れているため、好適な構成繊維である。
【0018】
なお、構成繊維の断面形状は円形の他、濾過精度の向上を期待できる楕円形、くさび形、扁平形状などを採用することができる。
【0019】
本発明の積層型濾過材11は、積層型濾過材11を構成する濾過用不織布層13の全てが同じ濾過用不織布から構成されていても良いし、2種類以上の濾過用不織布から構成されていても良い。
【0020】
他方の融着層15は前記のような濾過用不織布層13の間を融着していることによって、積層型濾過材11に形態安定性を付与している。この融着層15においては、融着した樹脂を含んでいるが、融着した樹脂のみから構成されていても、融着した樹脂に加えて融着していない樹脂を含んでいても良い。後者の場合、融着していない樹脂が濾過用不織布を構成する繊維の構成樹脂である場合がある。
【0021】
この融着層15は、例えば、融着可能な樹脂を含む融着性樹脂シートを融着させることによって形成できる。この融着可能な樹脂は、前述のような濾過用不織布構成繊維を融着させて、濾過用不織布の濾過性能を損なうことがないように、濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低い温度(好ましくは15℃以上低い温度、より好ましくは20℃以上低い温度)で熱融着可能な樹脂であるのが好ましい。
【0022】
本発明における「融点」は、示差走査熱量計を用い、昇温温度10℃/分で、室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。なお、濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の前記極大値が2つ以上ある場合には、この樹脂が融着しないように、最も低温側の極大値を融点とする。他方、融着層を構成する熱融着可能な樹脂の前記極大値が2つ以上ある場合には、最も吸熱量が大きいピークの極大値を融点とする。
【0023】
この融着性樹脂シートの形態としては、例えば、繊維シート(例えば、不織布、織物、編物など)、フィルムシートなどを挙げることができる。これらの中でも、少しでも濾過に関与することのできる繊維シート形態であるのが好ましく、より濾過に関与できる不織布形態からなるのがより好ましい。
【0024】
この好適である繊維シートを構成する繊維として、濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低い温度(好ましくは15℃以上低い温度、より好ましくは20℃以上低い温度)で熱融着可能な樹脂を含む繊維(以下、「熱融着可能繊維」ということがある)を含んでいるのが好ましい。
【0025】
この熱融着可能繊維は熱融着可能な樹脂のみから構成される全溶融型の繊維であっても良いし、この熱融着可能な樹脂よりも融点の高い(好ましくは15℃以上高い、より好ましくは20℃以上高い)樹脂を含む、繊維横断面形状が、例えば、サイドバイサイド型、芯鞘型(偏芯型を含む)、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型などの一部溶融型の複合繊維であっても良い。
【0026】
融着層15の基となる繊維シートを構成する繊維が、一部溶融型の複合繊維からなる場合、融着層15の開孔径が濾過用不織布層13の開孔径と同じかそれよりも小さい融着層15となる繊維シートを使用すると、流体は濾過用不織布層13を通過しやすいため、濾過用不織布層13の開孔径を設定することにより、積層型濾過材の性能を自由に設計することができる。
【0027】
また、全溶融型の繊維100%からなる繊維シート(特に不織布)により融着して融着層15を構成している場合、その繊維形態は実質的に失われることから、濾過用不織布の構成繊維に前記繊維シートに由来する融着した樹脂が付着した融着層15からなり、濾過用不織布の平均開孔径がそのまま濾過機能に反映されることになるため、濾過用不織布の平均開孔径を設計するだけで、所望の濾過性能を得ることができ、積層型濾過材11の設計が容易であるという利点を有する。
【0028】
このような融着層15を構成する融着した樹脂成分としては、熱可塑性ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンのようなポリオレフィン系樹脂、またはポリオレフィン変性樹脂などを例示できる。ここで云うポリオレフィン変性樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂(エチレン−メタクリル酸共重合体に金属を付加した感熱性樹脂)等を挙げることができる。この融着した樹脂成分は濾過用不織布との融着性に優れているように、濾過用不織布を構成する繊維と親和性の高い樹脂成分、例えば、濾過用不織布を構成する繊維の樹脂成分と同じ又は同種の樹脂成分であるのが好適である。
【0029】
なお、本発明の積層型濾過材11を構成する融着層15全てが同じ融着樹脂成分から構成されている必要はなく、異なる融着樹脂成分を含む融着層15を2種類以上備えていても良い。また、全ての融着層15の厚さが同じである必要はなく、異なる厚さの融着層15が存在していても良い。
【0030】
本発明の積層型濾過材11は前述のような濾過用不織布層13と融着層15とが交互に積層したものである。なお、積層数は濾過面17、17’の面積によって決まるため、特に限定するものではない。また、本発明の積層型濾過材11は濾過用不織布層13によって屈曲性が得られ、後述のように濾過面17、17’が周壁を構成する円筒体とすることが容易な、形状設計の自由度の優れるものである。
【0031】
以上、外形が直方体である積層型濾過材11(図1)をもとに説明したが、本発明の積層型濾過材11の外形は濾過材設計に応じて、円柱または三角柱を始めとする多角柱などの、種々の外形であることができる。
【0032】
以上の説明から理解できるように、濾過用不織布層13は流入した流体が通過しやすい内部構造を有しているため流体の移動性に優れているだけでなく、濾過用不織布層13は多くの分岐や流路を備えているため、濾過効率及び濾過寿命が長いと考えられる。更には、濾過面17、17’から流体が大きな圧力で流入した場合であっても、流体の流れ方向と平行に融着層15が存在しており、積層型濾過材11の寸法変化が小さく、積層型濾過材11の変形を抑制することが可能なため、設計に応じた十分な濾過寿命(保持量)を実現することができる。
【0033】
次いで、本発明の積層型濾過材11の製造方法について説明する。
【0034】
まず、本発明の積層型濾過材11の濾過用不織布層13を構成する、前述のような濾過用不織布と、融着層15を形成することのできる、前述のような融着性樹脂シートとを用意する。この融着性樹脂シートは、前述のように、濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低い温度(好ましくは15℃以上低い温度、より好ましくは20℃以上低い温度)で熱融着可能な樹脂を含んでいる。特に、融着性樹脂シートとして、全溶融型の繊維100%からなる不織布を使用するのが好ましい。なお、濾過用不織布、融着性樹脂シートはいずれも1種類である必要はなく、2種類以上の濾過用不織布及び/又は融着性樹脂シートを用意することができる。
【0035】
次いで、これら濾過用不織布と融着性樹脂シートとを交互に積層して積層体を形成する。この積層工程は、濾過面17、17’が所望の面積となるまで続ける。
【0036】
次いで、この積層体に対して、熱及び圧力を作用させることにより、融着性樹脂シートの熱融着可能な樹脂で濾過用不織布間を融着して、前述のような本発明の積層型濾過材11を製造することができる。
【0037】
なお、積層体に対して、熱及び圧力を作用させるにあたっては、熱と圧力とを同時に作用させても良いし、熱により熱融着可能な樹脂を溶融させた後に圧力を作用させても良い。前者の方法としては、例えば、熱カレンダーにより加熱及び加圧する方法や、荷重した状態で熱風乾燥機に供給して加熱及び加圧する方法があり、後者の方法としては、熱風乾燥機により加熱した後に、カレンダーロールにより加圧する方法を挙げることができる。このように熱及び圧力を作用させる場合、長尺状の積層体に対して連続的に実施することができるし、積層体を設計寸法に裁断した後に実施することもできる。
【0038】
また、熱は濾過用不織布の構成繊維を融着させてしまい、濾過用不織布の濾過性能を損なうことがないように、また積層型濾過材11の形状設計の自由度を損なうことがないように、濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低く(好ましくは15℃以上低い温度、より好ましくは20℃以上低い温度)、しかも融着性樹脂シートの熱融着可能な樹脂の融点よりも高い(好ましくは15℃以上高い温度、より好ましくは20℃以上高い温度)温度で実施するのが好ましい。他方、圧力は濾過用不織布層13間が剥離しない程度の圧力であれば良く、実験的に適宜設定することができる。
【0039】
次いで、本発明に係るフィルタエレメントについて、図2を参照して説明する。同図は、上述した積層型濾過材11の濾過面17、17’が外周壁又は内周壁を構成する中空円筒体であり、濾過面の融着層15及び濾過用不織布層13が中空円筒体の上面に対して直交するように配置しているフィルタエレメントの、上面一部拡大図である。
【0040】
既に説明したように、積層型濾過材11は濾過用不織布層13と融着層15とが交互に積層した状態の濾過面17、17’を備えているため、積層型濾過材11の濾過面17、17’が外周壁又は内周壁を構成するように、積層型濾過材11の両方の最外層同士を結合する、つまり、図1における上側最外層Tと下側最外層Lとを結合して、中空円筒体を形成すると、濾過面の融着層15及び濾過用不織布層13が中空円筒体の上面に対して直交するように配置しているフィルタエレメントを製造することができる。
【0041】
この製造の際に、濾過用不織布層13は融着層15よりも繊維間距離の変化の自由度が高く、曲げに対する抵抗が小さいため、濾過用不織布層13においては、外周壁近傍(図2におけるA)における繊維密度よりも、内周壁近傍(図2におけるB)における繊維密度の方が高くなるため、濾過効率、濾過寿命ともに長くなる。また、濾過用不織布層13は変形しやすく、融着層15の変形の程度は少なくて済むため、融着層15による濾過用不織布層13間の接合強度を大きく損なうこともない。したがって、極めて高い加工性を確保することが可能である。更に、係るフィルタエレメントでは、当該加工性に優れることから、外周壁近傍(図面上A)から内周壁近傍(図面上B)に亘る連続的な繊維密度勾配を再現性良く形成することができる。
【0042】
なお、積層型濾過材11の両方の最外層同士を結合する方法としては、例えば、接着剤を利用する方法、少なくとも一方の最外層が融着層15である場合にはその融着性を利用する方法、両面に接着剤や粘着剤を塗布した結合基材を挟み込むなど、結合基材を介して結合する方法などを挙げることができる。
【0043】
本発明のフィルタエレメントは、上述のような積層型濾過材11の両方の最外層同士を結合して形成した円筒体である態様のほか、円筒状メッシュに積層型濾過材11の濾過面17、17’が外周壁を構成するように巻回された態様であっても、上述のような積層型濾過材11を単に所望形状に打ち抜いた態様(この場合、外周壁が濾過面17、17’であっても、上面が濾過面17、17’であっても良い)であっても良い。また、これらフィルタエレメントには、外周壁からのみ処理流体を流入させるために、フィルタエレメントの上面にエンドキャップを設ける等、従来知られている付加的な構成を加えて、より実用的に変形させることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例として、本発明に係る積層型濾過材と、これを構成する濾過用不織布を単に積層した積層型濾過材について説明する。尚、以下の説明では、説明の理解のために好適な特定の条件を示しているが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0045】
(実施例1〜3)
まず、濾過用不織布として、6−ナイロン(融点:215℃)とポリエチレンテレフタレートとからなり、高圧水流の衝撃によって、6−ナイロン極細繊維(横断面形状:略三角形)8本とポリエチレンテレフタレート極細繊維(横断面形状:略三角形)8本とに分割可能な複合長繊維からなるスパンボンド不織布に対して、高圧水流を衝突させることにより、極細繊維に分割し、極細繊維同士を絡合させた、繊維配向が多方向性のスパンボンド水流絡合不織布(平均繊維径:約3μm、平均開孔径:14.6μm、目付:100g/m、0.018MPaの圧縮弾性条件での厚さ:約0.4mm、(長手方向の引張強さ):(幅方向の引張強さ)=1:1)を用意した。
【0046】
他方、融着層15を形成できる融着性樹脂シートとして、全溶融型のポリアミド系熱融着可能繊維(融点:110℃)からなるホットメルト不織布(目付:20g/m)を用意した。
【0047】
次いで、前記スパンボンド水流絡合不織布とホットメルト不織布を、各々、10cm角に裁断し、このスパンボンド水流絡合不織布片(濾過用不織布片13)114枚、ホットメルト不織布片113枚を、交互に積層して積層体(両方の最外層ともスパンボンド水流絡合不織布)を形成した後、この積層体を鉄板で挟み、厚さ約30mmまで圧縮した状態で、温度130℃に設定された熱風乾燥機中で30分間加熱することにより、ホットメルト不織布片によってスパンボンド水流絡合不織布片間を融着して、見掛けの厚さが32.5mmで、見掛け密度が0.42g/cmの積層型濾過基材を製造した。
【0048】
次いで、積層型濾過基材の濾過用不織布層(スパンボンド水流絡合不織布層)と融着層とが交互に積層した濾過面からの距離が0.60mm(実施例1)、0.89mm(実施例2)、1.17mm(実施例3)となるように、積層型濾過基材の濾過面と平行に、市販のカッターによりスライスして、本発明の直方体形状の積層型濾過材11を製造した。これら積層型濾過材11においては、濾過用不織布層(スパンボンド水流絡合不織布層)と融着層15とが交互に積層した、面積が32.5cmの平面を濾過面とした。なお、これら積層型濾過材11における融着層15は濾過不織布構成繊維に融着樹脂が融着して形成されていた。
【0049】
(比較例1〜3)
実施例1〜3と同じスパンボンド水流絡合不織布を用意し、スパンボンド水流絡合不織布単体(比較例1)、スパンボンド水流絡合不織布2枚を加熱加圧することなく積層したもの(比較例2)、及びスパンボンド水流絡合不織布3枚を加熱加圧することなく積層したもの(比較例3)を、それぞれ積層型濾過材とした。これら積層型濾過材においては、積層型濾過材の厚さ方向又は積層方向に対して直交する面を濾過面とした。
【0050】
(濾過効率と濾液量の測定)
フィルターホルダー(NUCLEPORE社製、濾過面積:3.5cm)に、各々の積層型濾過材を、各々の濾過面に対して後述の懸濁液が直角方向から流入するように装着した後、ポリスチレン微粒子『ケミスノー(登録商標)SGP−70C(商品名)』(平均粒径:20μm、綜研化学株式会社製)を、200ppmの濃度で純水に懸濁させた懸濁液を原液とし、市販のペリスタティックポンプを用いて、25mL/min.の一定流量で濾過を行い、濾液を捕集した。この濾過は、各々の積層型濾過材の上流側での圧力が0.2MPaに達するまで行い、この間に濾過した濾液量もあわせて計測した。
【0051】
次いで、レーザー粒度分布計によって、予め求めておいた原液と、捕集した濾液との区間粒度分布(所定粒度範囲における粒子数)を求め、次式により各粒度範囲毎に濾過効率を求めた。
濾過効率(%)={1−(濾液中の粒子数/原液中の粒子数)}×100
【0052】
これらの結果は表1に示す通りであった。また、図3に、濾過効率と濾液量との関係を表すグラフを示す。
【0053】
【表1】
Figure 0003799262
A:0.018MPaの圧縮弾性条件での厚さ
B:(目付)/(0.018MPaの圧縮弾性条件での厚さ)
C:2μm〜4μm区間の粒子の濾過効率
【0054】
この表1及び図3から理解できるように、同程度の濾過効率を得る場合、本発明の積層型濾過材(実施例)の方が、従来の積層型濾過材(比較例)よりも濾過寿命が長いことがわかった。例えば、およそ98%の濾過効率を示す実施例2と比較例3とを比較すると、実施例2の積層型濾過材の方が、約40mLだけ寿命の長いものであった。また、濾過効率が97%の比較例2と、濾過効率が98%程度の比較例3よりも高い濾過効率(99%)を示す実施例3であっても、約20mLだけ寿命の長いものであった。
【0055】
これらのことから、本発明に係る積層型濾過材11の構成を採用することによって、濾過材寿命に相当する濾液量と、濾過効率との双方に優れていることが明らかとなった。
【0056】
【発明の効果】
上述した説明から明らかなように、本発明の構成を採用することにより、濾過効率と濾過寿命とに優れ、しかも形状設計の自由度を確保しつつ、生産における再現性にも優れた積層型濾過材、フィルタエレメント、及びこれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る積層型濾過材を示す概略的な斜視図
【図2】 図1の積層型濾過材の濾過面が外周壁又は内周壁を構成する中空円筒体からなるフィルタエレメントの上面の一部拡大図
【図3】 濾過効率と濾液量との関係を表すグラフ
【符号の説明】
11 積層型濾過材
13 濾過用不織布層
15 融着層
17、17’ 濾過面
F1、F2 流体の流れ方向
T 上側最外層
L 下側最外層
A 外周壁近傍
B 内周壁近傍

Claims (6)

  1. 不織布層と、全溶融型の繊維からなる不織布に由来する融着した樹脂を含む融着層とが交互に積層した積層型濾過材であり、この積層型濾過材の濾過面が、前記不織布層と融着層の両方の層から構成されていることを特徴とする積層型濾過材。
  2. 不織布層が、繊維ウエブを形成した後に、機械的処理により分割して極細繊維を発生させた不織布からなることを特徴とする、請求項1記載の積層型濾過材。
  3. 不織布(濾過用不織布)と、前記濾過用不織布を構成する繊維の中で最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低い温度で熱融着可能な樹脂を含む融着性樹脂シートとを交互に積層して積層体を形成した後、この積層体に対して、熱及び圧力を作用させることにより、前記融着性樹脂シートの熱融着可能な樹脂で濾過用不織布間を融着する、不織布(濾過用不織布)層と、融着した樹脂を含む融着層とが交互に積層した積層型濾過材であり、この積層型濾過材の濾過面が、前記不織布(濾過用不織布)層と融着層の両方の層から構成されている、積層型濾過材の製造方法。
  4. 前記融着性樹脂シートとして、全溶融型の繊維からなる不織布を使用することを特徴とする、請求項3に記載の積層型濾過材の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の積層型濾過材の前記濾過面が周壁を構成する円筒体であり、濾過面の融着層が円筒体上面に対して直交するように配置していることを特徴とするフィルタエレメント。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の積層型濾過材の両方の最外層同士を結合する、積層型濾過材の前記濾過面が周壁を構成する円筒体であり、濾過面の融着層が円筒体上面に対して直交するように配置しているフィルタエレメントの製造方法。
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