JP3798729B2 - 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、四輪駆動車の駆動力配分制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、前輪と後輪の回転数差(差動回転数)及び車速に基づいて駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御し、これにより前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした四輪輪駆動車の駆動力配分制御装置が知られている。具体的には、差動回転数及び車速に応じた駆動力(トルク)を差動回転数トルク特性マップを参照して求め、このトルクが前輪側又は後輪側に伝達されるように四輪輪駆動車の駆動力配分制御装置は前記駆動力伝達装置を構成する電磁クラッチの摩擦係合力を制御する。差動回転数トルク特性マップは、前後輪の差動回転数に対するトルクの変化を所定の車速域毎に示すものであり、前後輪の差動回転数が大きくなるにつれてトルクが大きくなるように設けられている。この差動回転トルク特性マップは、車両モデルによる実験データ及び周知の理論計算によって予め求められたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記差動回転トルク特性マップにおいては、例えば登坂路走行時や発進時のようにスロットル開度が例えば通常の直進走行時より大きく且つ前後輪の差動回転数が通常走行時より大きいような状況にも対応できるようにトルクが大きく設定されていた。このため、登坂路走行時や発進時のようにスロットル開度が大きく且つ前後輪の差動回転数が通常走行時よりも大きいような場合には、前輪側又は後輪側へ伝達されるトルクが大きくされることにより、問題のない登坂性能や発進性能を得ることができる。
【0004】
しかしながら、前後輪の差動回転数が通常時よりも大きい状況であるコーナリング時にアクセルペダルの踏み込み量が大きい場合(スロットル開度が大きい場合)においても、前記差動回転数トルク特性マップが参照される。このとき、前記差動回転数トルク特性マップから得られるトルクの値が本来必要とされる適正値から外れると、アンダーステア傾向が強くなったり、リアがせり出したりすることがあり、操縦性が悪くなる。
【0005】
また、コーナリング中にアクセルペダルの踏み込みを緩めるような場合(スロットル開度が小さい場合)においても、前記差動回転数トルク特性マップが参照される。このとき、前記差動回転数トルク特性マップから得られるトルクの値が適正値から外れると、車両が鋭角的に内側に曲がり込む現象が大きくなったり、リヤが流れたりすることがあり、車両挙動が不安定になる。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の操縦性及び車両挙動の安定性をそれぞれ向上させることができる四輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車速検出手段により得られた車速と、差動回転数検出手段により得られた前輪と後輪との差動回転数とに基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、内燃機関のスロットルバルブの開度を得るスロットル開度検出手段を備え、前記車速及び差動回転数に加えて、前記スロットル開度検出手段により得られたスロットル開度に基づいて、前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御する。
【0008】
さらに、請求項に記載の発明は、前記差動回転数に応じて前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力を所定の車速域毎に求めるための駆動力特性の異なる複数種類の駆動力特性マップが予め格納された記憶手段と、前記スロットル開度に基づいて適用する駆動力特性マップを前記記憶手段に格納された各駆動力特性マップ間において相互に切り替える駆動力特性マップ切替手段とを備え、前記駆動力特性マップ切替手段により適用された駆動力特性マップに基づいて前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力を求め、この駆動力が前輪側又は後輪側に伝達されるように前記駆動力伝達装置を制御するようにした。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記車速に基づいてスロットル開度判定閾値を設定するスロットル開度判定閾値設定手段を備え、前記駆動力特性マップ切替手段は前記スロットル開度と前記スロットル開度判定閾値設定手段により設定されたスロットル開度判定閾値とを比較し、この比較結果に基づいて適用する駆動力特性マップを切り替えるようにしたことを要旨とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記各駆動力特性マップは、差動回転数の増大に対して所定の駆動力増大勾配を有する操縦性を重視した第1の駆動力特性マップと、この第1の駆動力特性マップにおける駆動力増大勾配よりも緩やかな駆動力増大勾配を有する安定性を重視した第2の駆動力特性マップとを含み、前記駆動力特性マップ切替手段は、前記スロットル開度が前記スロットル開度判定閾値設定手段により設定されたスロットル開度判定閾値以上の場合には第1の伝達駆動力特性マップを適用し、同じくスロットル開度判定閾値未満の場合には第2の駆動力特性マップを適用するようにしたことを要旨とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記各駆動力特性マップは、少なくとも、差動回転数の増大に対する駆動力増大勾配が第1の駆動力特性マップと第2の駆動力特性マップとの中間の特性を有する第3の駆動力特性マップをさらに含み、前記記憶手段には前記車速に基づいて上限スロットル開度判定閾値及び下限スロットル開度判定閾値をそれぞれ求めるためのスロットル開度判定閾値特性マップを予め格納し、前記スロットル開度判定閾値設定手段は前記スロットル開度判定閾値特性マップに基づいて上限スロットル開度判定閾値及び下限スロットル開度判定閾値をそれぞれ設定するようにし、前記駆動力特性マップ切替手段は、前記スロットル開度が前記上限スロットル開度判定閾値以上であると判定した場合には前記第1の駆動力特性マップを適用し、同じく前記スロットル開度が下限スロットル開度判定閾値未満であると判定した場合には前記第2の駆動力特性マップを適用し、同じく前記スロットル開度が上限スロットル開度判定閾値未満かつ下限スロットル開度判定閾値以上であると判定した場合には、前記第3の駆動力特性マップを適用するようにしたことを要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、車速及び前後輪の差動回転数に加えて、スロットル開度に基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合が可変制御され、これにより前輪側と後輪側との駆動力配分が可変制御される。このため、四輪駆動車の走行状況(例えばスロットル開度に基づく運転者の要求する駆動力又は運転者の加速意欲の強弱)に応じて適切に駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御可能となる。従って、車両の操縦性及び車両挙動の安定性が向上する。
【0013】
えて、検出されたスロットル開度に基づいて、適用する駆動力特性マップが異なる駆動力特性を有する各駆動力特性マップ間において相互に切り替えられる。そして、適用された駆動力特性マップに基づいて前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力が求められ、この駆動力が前輪側又は後輪側に伝達されるように前記駆動力伝達装置が制御される。このため、走行状況に応じた適切な駆動力が細かく設定され、前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力の急激な変化が抑制される。
【0014】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の作用に加えて、車速に基づいてスロットル開度判定閾値が設定され、このスロットル開度判定閾値とスロットル開度との比較結果に基づいて適用する駆動力特性マップが切り替えられる。車速に応じたスロットル開度判定閾値を設定することにより、スロットル開度に応じた適切な駆動力特性マップが適用可能となる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の作用に加えて、検出されたスロットル開度が前記スロットル開度判定閾値以上の場合には操縦性を重視した第1の伝達駆動力特性マップが適用され、同じくスロットル開度判定閾値未満の場合には安定性を重視した第2の駆動力特性マップが適用される。即ち、スロットル開度が予め設定された所定値より大きい場合には操縦性を確保するために適切な駆動力が得られ、スロットル開度が予め設定された所定値より小さい場合には安定性を確保するために適切な駆動力が得られる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の作用に加えて、スロットル開度判定閾値特性マップに基づいて上限スロットル開度判定閾値及び下限スロットル開度判定閾値がそれぞれ設定される。そして、検出されたスロットル開度が上限スロットル開度判定閾値以上の場合には第1の駆動力特性マップが適用され、同じくスロットル開度が下限スロットル開度判定閾値未満の場合には第2の駆動力特性マップが適用される。さらに、同じくスロットル開度が上限スロットル開度判定閾値未満かつ下限スロットル開度判定閾値以上の場合には、第3の駆動力特性マップが適用される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を前輪駆動ベースの四輪駆動車の駆動力配分制御装置に具体化した第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0018】
(全体構成)
図1に示すように、四輪駆動車11は、内燃機関を構成するエンジン12及びトランスアクスル13を備えている。トランスアクスル13はトランスミッション及びトランスファ等を有している。トランスアクスル13には一対のフロントアクスル14, 14及びプロペラシャフト15が連結されている。両フロントアクスル14, 14にはそれぞれ前輪16, 16が連結されている。プロペラシャフト15には駆動力伝達装置(カップリング)17が連結されており、同駆動力伝達装置17にはドライブピニオンシャフト(図示略)を介してリヤディファレンシャル18が連結されている。リヤディファレンシャル18には一対のリヤアクスル19,19を介して後輪20,20が連結されている。
【0019】
エンジン12の駆動力はトランスアクスル13及び両フロントアクスル14, 14を介して両前輪16, 16に伝達される。また、プロペラシャフト15とドライブピニオンシャフトとが駆動力伝達装置17によりトルク伝達可能に連結された場合、エンジン12の駆動力はプロペラシャフト15、ドライブピニオンシャフト、リヤディファレンシャル18及び両リヤアクスル19,19を介して両後輪20,20に伝達される。
【0020】
(駆動力伝達装置)
駆動力伝達装置17は湿式多板式の電磁クラッチ機構21を備えており、同電磁クラッチ機構21は互いに摩擦係合又は離間する複数のクラッチ板(図示略)を有している。電磁クラッチ機構21に内蔵された電磁コイル22(図2参照)に対して所定の電流を供給すると、各クラッチ板は互いに摩擦係合し、前輪16,16と後輪20,20との間においてトルク(駆動力)の伝達が行われる。電磁クラッチ機構21への電流の供給を遮断すると各クラッチ板は互いに離間し、前輪16,16と後輪20,20との間におけるトルクの伝達も遮断される。
【0021】
各クラッチ板の摩擦係合力は電磁コイル22へ供給する電流の量(電流の強さ)に応じて増減する。この電磁コイル22への電流供給量を制御することにより前輪16,16と後輪20,20との間の伝達トルク、即ち前輪16と後輪20との間の拘束力を任意に調整可能となっている。各クラッチ板の摩擦係合力が増大すると前輪16,16と後輪20,20との間の伝達トルクも増大する。逆に、各クラッチ板の摩擦係合力が減少すると前輪16,16と後輪20,20との間の伝達トルクも減少する。
【0022】
電磁コイル22への電流の供給、遮断及び電流供給量の調整は駆動力配分用の電子制御装置(以下、「駆動力配分制御装置31(4WD−ECU)」という。)により制御される。即ち、駆動力配分制御装置31は、電磁クラッチ機構21における各クラッチ板の摩擦係合力を制御することによって、四輪駆動状態又は二輪駆動状態のいずれかを選択すると共に、四輪駆動状態において前輪16,16と後輪20,20との間の駆動力配分率(トルク配分率)を制御する。
【0023】
(電気的構成)
次に、四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31の電気的構成を図2に従って説明する。
【0024】
図2に示すように、四輪駆動車11の駆動力配分制御装置31はCPU(中央演算処理装置)、RAM(書込み読出し専用メモリ)、記憶手段を構成するROM(読出し専用メモリ)32a及び入出力インターフェイス等を備えたマイクロコンピュータ(以下、「マイコン32」という。)を中心として構成されている。
【0025】
ROM32aにはマイコン32が実行する各種の制御プログラム、各種のデータ及び各種の特性マップ等が格納されている。各種の特性マップはそれぞれ車両モデルによる実験データ及び周知の理論計算等によって予め求められたものである。RAMはROM32aに書き込まれた各種の制御プログラムを展開して駆動力配分制御装置31のCPUが各種の演算処理(例えば電磁コイル22を通電制御するための演算処理)を実行するためのデータ作業領域である。
【0026】
マイコン32には、車輪速センサ33、スロットル開度検出手段を構成するスロットル開度センサ34、リレー35、電流検出回路36、駆動回路37及びエンジン制御装置(図示略)がそれぞれ入出力インターフェイス(図示略)を介して接続されている。
【0027】
車輪速センサ33は左右の前輪16,16及び左右の後輪20,20にそれぞれ設けられており、この合計4つの車輪速センサ33は前輪16,16及び後輪20,20の車輪速(車輪の単位時間当たりの回転数、即ち回転速度)を各別に検出し、これらの検出結果(車輪速信号)をマイコン32へ送る。
【0028】
スロットル開度センサ34はスロットルバルブ(図示略)に接続されており、このスロットルバルブの開度(スロットル開度θ)、即ち運転者のアクセルペダル(図示略)の踏込操作量を検出する。スロットル開度センサ34は検出結果(踏込操作量信号)をマイコン32へ送る。
【0029】
また、四輪駆動車11はバッテリ38を備えており、このバッテリ38の両端にはヒューズ39、イグニッションスイッチ40、リレー35、シャント抵抗41、電磁コイル22及び電界効果トランジスタ(以下、「FET42」という)の直列回路が接続されている。
【0030】
シャント抵抗41の両端は電流検出回路36の入力側に接続されている。電流検出回路36はシャント抵抗41の両端間の電圧に基づいてシャント抵抗41に流れる電流を検出し、マイコン32へ送る。マイコン32は電流検出回路36から送られてきた電流に基づいて電磁コイル22に流れる電流を演算する。
【0031】
電磁コイル22の両端にはフライホイルダイオード43が接続されている。このフライホイルダイオード43はFET42がオフしたときに発生する逆起電力を逃がすためのものであり、これによりFET42が保護される。FET42のゲートGは駆動回路37の出力側に接続されており、当該FET42のソースSとバッテリ38のマイナス端子との接続点は接地されている。
【0032】
イグニッションスイッチ40がオン(閉動作)されると電源回路(図示略)を介してバッテリ38からマイコン32へ電力が供給される。すると、マイコン32は、各車輪速センサ33及びスロットル開度センサ34から得られる各種の情報(検出信号)に基づいて駆動力配分制御プログラム等の各種の制御プログラムを実行し、電磁コイル22へ供給する電流の量(指令電流値)を演算する。
【0033】
そして、マイコン32は演算した電流指令値を駆動回路37に出力する。駆動回路37は前記電流指令値に応じた電流が電磁コイル22へ供給されるように、FET42をオン/オフ制御(PWM制御)する。即ち、マイコン32は電磁コイル22へ供給する電流の量を制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御する。
【0034】
イグニッションスイッチ40がオフ(開動作)されるとマイコン32への電力の供給が遮断される。
(実施形態の作用)
次に、ROM32aに記憶された各種の制御プログラムに従って実行されるマイコン32の各種機能を図3に示す機能ブロック図に基づいて説明する。尚、各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrr、スロットル開度θ及び差動回転数ΔN等の各種のパラメータはそれぞれに対応する信号の意味として使用する。
【0035】
マイコン32における駆動力配分制御は、以下のように行われる。即ち、車輪速センサ33により検出された左右の前輪16,16及び左右の後輪20,20の車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrは、差動回転数演算部(以下、「ΔN演算部51」という。)及び車速演算部52へそれぞれ送られる。
【0036】
車速演算部52は、取り込んだ各車輪速Vfl,Vfr,Vrl,Vrrに基づいて車速Vを演算する。車速演算部52は算出した車速Vを差動回転数トルク演算部(以下、「ΔNトルク演算部53」という。)及びプレトルク演算部54へそれぞれ送る。この車速演算部52は車速検出手段を構成する。
【0037】
ΔN演算部51は、左右の前輪16,16の車輪速Vfl,Vfrに基づいて前輪平均回転数Nfn(=(Vfl+Vfr)/2)を求めると共に、左右の後輪20,20の両車輪速Vrl,Vrrに基づいて後輪平均回転数Nrn(=(Vrl+Vrr)/2)を求める。さらに、ΔN演算部51は、前輪平均回転数Nfnと後輪平均回転数Nrnとから差動回転数ΔN(=|Nfn−Nrn|)を演算する。ΔN演算部51は算出した差動回転数ΔNをΔNトルク演算部53へ送る。尚、ΔN演算部51は差動回転数検出手段を構成する。
【0038】
ΔNトルク演算部53には、車速演算部52からの車速V及びΔN演算部51からの差動回転数ΔNに加えて、スロットル開度センサ34により検出されたスロットル開度θが入力される。ΔNトルク演算部53は、車速V及び差動回転数ΔNに応じた伝達トルク(以下、「ΔNトルクT1」という。)を差動回転数トルク特性マップ(以下、「ΔNトルク特性マップ」という。)を参照して演算する。ΔNトルク特性マップは、前後輪の差動回転数ΔNの増加に対するΔNトルクT1の変化を所定の車速域毎に示したものである。ΔNトルク演算部53は算出したΔNトルクT1を加算器55へ送る。ΔNトルク演算部53は駆動力特性マップ切替手段及びスロットル開度判定閾値設定手段を構成する。
【0039】
このΔNトルク演算部53によるΔNトルクT1の演算処理については、後述する。
プレトルク演算部54には、車速演算部52からの車速Vに加えて、スロットル開度センサ34からのスロットル開度θが入力される。プレトルク演算部54はスロットル開度θ及び車速Vに応じた伝達トルク(以下、「プレトルクT2」という。)をプレトルク特性マップを参照して演算する。プレトルク特性マップは、スロットル開度θの増加に対するプレトルクT2の変化を所定の車速域毎に示したものである。プレトルク演算部54は算出したプレトルクT2を加算器55へ送る。
【0040】
加算器55はプレトルク演算部54から送られてきたプレトルクT2にΔNトルク演算部53から送られてきたΔNトルクT1を加算することにより指令トルクT(T=T1+T2)を求める。加算器55は算出した指令トルクTを指令電流演算部56へ送る。
【0041】
指令電流演算部56は、加算器55から送られてきた指令トルクTに対応する電流(以下、「基本指令電流I0」という。)を、基本指令電流特性マップを参照して演算する。基本指令電流特性マップは指令トルクTを基本指令電流I0に変換するためのものであり、電磁コイル22へ供給する電流の変化に対する指令トルクTの変化を示したものである。そして、指令電流演算部56は基本指令電流I0を車速Vに応じた補正係数に基づいて補正し、この補正した基本指令電流I0を減算器57へ送る。
【0042】
減算器57には指令電流演算部56からの基本指令電流I0に加えて、電流検出回路36により検出された電磁コイル22のコイル電流Icが入力される。減算器57は、基本指令電流I0とコイル電流Icとの電流偏差ΔI(ΔI=│I0−Ic│)をPI(比例積分)制御部58へ送る。PI制御部58は減算器57から送られてきた電流偏差ΔIに基づいてPI制御値を演算し、このPI制御値をPWM(パルス幅変調)出力変換部59へ送る。
【0043】
PWM出力変換部59は、送られてきたPI制御値に応じたPWM演算を行い、このPWM演算の結果を駆動回路37へ送る。駆動回路37は、PWM出力変換部59から送られてきたPWM演算の結果に基づいて、所定のコイル電流を電磁クラッチ機構21の電磁コイル22へ供給する。電磁クラッチ機構21の各クラッチ板は、供給されたコイル電流に応じた係合力で摩擦係合する。
【0044】
このように、マイコン32は差動回転数ΔN、車速V及びスロットル開度θ(加速操作量)に応じて、即ち車両の走行状態に合わせて基本指令電流I0を可変制御することにより、前輪16と後輪20との間の伝達トルクを最適に制御する。
【0045】
(ΔNトルク演算処理)
次に、マイコン32のΔNトルク演算部53におけるΔNトルクT1の演算処理について、図4に示すフローチャートに従って詳細に説明する。このフローチャートはROM32aに予め格納された各種の制御プログラムに基づいて実行される。尚、本実施形態では、ステップを「S」と略記する。
【0046】
図4に示すように、ΔNトルクT1の演算処理時、ΔNトルク演算部53はまず車速演算部52から送られてきた車速Vに基づいて、下限スロットル開度判定閾値θ0及び上限スロットル開度判定閾値θ1をそれぞれ演算する(S101)。この際、マイコン32は図5に示すスロットル開度判定閾値特性マップMkを参照する。
【0047】
図5に示すように、スロットル開度判定閾値特性マップMkは、横軸に車速V(km/h)を設定し、縦軸にスロットル開度θ(%)を設定して構成されている。本実施形態において、下限スロットル開度判定閾値θ0は車速Vによらず2%(一定)とされている。上限スロットル開度判定閾値θ1は、車速Vが0〜60km/h(低速域)のときは20%(一定)、60〜100km/h(中速域)のときは20〜40%の間で増加、100〜140km/h(高速域)のときは40〜50%の間で増加、140km/h以上(高速域に含む)のときは50%(一定)とされている。
【0048】
次に、ΔNトルク演算部53はスロットル開度センサ34により検出されたスロットル開度θがS101において求められた上限スロットル開度判定閾値θ1以上か否かを判断する(S102)。
【0049】
検出されたスロットル開度θが上限スロットル開度判定閾値θ1以上であると判断した場合(S102でYES)、ΔNトルク演算部53は図6(a)に示すスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlを適用し(S103)、このΔNトルク特性マップMlに基づいてΔNトルクT1を演算する(S107)。
【0050】
図6(a)に示すスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlは、次のような場合に使用するマップである。例えば登坂走行時や発進時のように、スロットル開度θが大きく(即ち、運転者の要求するトルクが大きく)且つ差動回転数ΔNが大きい場合やコーナリング時にアクセルペダルを多く踏み込んだ場合の操縦性を向上させるために使用するマップであり、予めROM32aに格納されている。
【0051】
ΔNトルク特性マップMlは、横軸に差動回転数ΔN(min−1)を設定し、縦軸にΔNトルクT1(Nm)を設定して構成されている。ΔNトルク特性マップMlは、車速Vがそれぞれ低速域(0〜60km/h),中速域(60〜100km/h),高速域(100km/h以上)のときに対応したマップ曲線Vls,Vlm,Vlhを備えている。
【0052】
各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhは差動回転数ΔNの増加に対するΔNトルクT1の変化を示しており、差動回転数ΔNの増加の割合に対するΔNトルクT1の増加の割合は低速域,中速域,高速域の順に小さくなるように設定されている。即ち、マップ曲線Vlsとマップ曲線Vlhとの間にマップ曲線Vlmが位置している。
【0053】
ΔNトルク特性マップMlは次のような特性を有している。即ち、各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhで示されるように、差動回転数ΔNの増加の割合に対するΔNトルクT1の増大の割合は、差動回転数ΔNが所定値に達するまでは急激に増加し、その後は緩やかに増加する。
【0054】
このため、例えば登坂走行時や発進時のように、スロットル開度θに基づく運転者の要求するトルクが大きく、差動回転数ΔNが直進走行時等に比べて大きくなる場合、ΔNトルク特性マップMlを使用することにより、十分なΔNトルクT1、ひいては指令トルクTが得られる。従って、登坂性能及び発進性能等が確保される。また、コーナリング時にアクセルペダルを大きく踏み込んだ場合に、ΔNトルク特性マップMlを使用することにより、アンダーステア傾向が大きくなったりリヤがせり出したりしないような適切なΔNトルクT1値が適用される。このため、スロットル開度大時の操縦性が確保される。
【0055】
一方、S102において、検出されたスロットル開度θが上限スロットル開度判定閾値θ1未満であると判断した場合(S102でNO)、ΔNトルク演算部53はS104へ処理を移行する。
【0056】
S104において、ΔNトルク演算部53は検出されたスロットル開度θが下限スロットル開度判定閾値θ0以上であり、且つ上限スロットル開度判定閾値θ1未満であるか否かを判断する。
【0057】
検出されたスロットル開度θが下限スロットル開度判定閾値θ0以上であり、且つ上限スロットル開度判定閾値θ1未満であると判断した場合(S104でYES)、ΔNトルク演算部53は図6(b)に示すスロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmを適用する(S105)。そして、ΔNトルク演算部53は、このΔNトルク特性マップMmに基づいてΔNトルクT1を演算する(S107)。
【0058】
図6(b)に示すスロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmは、例えば登坂走行時や発進時ほど大きなΔNトルクT1(係合力)が必要ない通常の直進走行時等に使用するマップであり、予めROM32aに格納されている。スロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmはスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlとほぼ同様の構成とされており、本実施形態では差動回転数ΔNの増加の割合に対するΔNトルクT1の増加の割合がスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlよりも小さく設定されている。
【0059】
即ち、スロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmの各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhの傾き(ΔNトルクT1の増大勾配)は、スロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlの各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhの傾きよりも若干緩やかになるように設定されている。
【0060】
このため、例えばエンジンブレーキやブレーキングによる減速時や通常の直進走行時等のように、登坂走行時や発進時に比べて運転者の要求するトルクがそれほど大きくない場合、ΔNトルク特性マップMmを使用することにより、四輪駆動車11の走行状態に応じた伝達トルクの制御が、より緻密に行われる。従って、急激な車両挙動の変化が抑制され、走行安定性が確保される。
【0061】
さて、S104において、検出されたスロットル開度θが下限スロットル開度判定閾値θ0未満であると判断した場合(S104でNO)、ΔNトルク演算部53は図6(c)に示すスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsを適用する(S106)。そして、このΔNトルク特性マップMsに基づいてΔNトルク演算部53はΔNトルクT1を演算する(S107)。
【0062】
図6(c)に示すスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsは、例えばコーナリング中にアクセルペダルの踏み込みを緩めたときに使用するマップであり、予めROM32aに格納されている。ΔNトルク特性マップMsはΔNトルク特性マップMmとほぼ同様の構成とされており、本実施形態では差動回転数ΔNの増加の割合に対するΔNトルクT1の増加の割合がスロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmよりもさらに小さく設定されている。
【0063】
即ち、ΔNトルク特性マップMsの各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhの傾き(ΔNトルクT1の増大勾配)は、ΔNトルク特性マップMmの各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhの傾きよりもさらに緩やかになるように設定されている。ΔNトルク特性マップMsの特性は次のようになっている。即ち、各マップ曲線Vls,Vlm,Vlhで示されるように、差動回転数ΔNの増加の割合に対するΔNトルクT1の増大の割合は、差動回転数ΔNが所定値に達するまでは緩やかに増大し、この後、ΔNトルクT1はほぼ一定に保持される。
【0064】
このため、例えばコーナリング中にアクセルペダルの踏み込みを緩めた場合、ΔNトルク特性マップMsを使用することにより、車両が鋭角的に内側に曲がり込む現象(タックイン)が大きくなったり、リヤが流れたりするというような不安定な車両挙動にならないような適切なΔNトルクT1値が適用される。従って、スロットル開度小時の車両挙動の安定性が向上し、四輪駆動車11の走行安定性が確保される。
【0065】
以後、マイコン32はS101〜S107の処理を所定の制御周期毎に繰り返す。
このように、ΔNトルク演算部53は、四輪駆動車11の走行状況(例えば、スロットル開度θに基づく運転者の要求トルク又は加速意思の強弱)に応じて、適用するΔNトルク特性マップを、各ΔNトルク特性マップMl,Mm,Ms間において相互に切り替える。これにより、前輪側と後輪側との駆動力配分が適切に制御され、四輪駆動車11の安定性及び操縦性が確保される。
【0066】
尚、スロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlは車両の操縦性を重視した第1の駆動力特性マップを構成する。スロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsは、スロットル大開度時のΔNトルク特性マップMlにおけるΔNトルクT1の増大勾配(駆動力増大勾配)よりも緩やかな勾配を有する車両挙動の安定性を重視した第2の駆動力特性マップを構成する。スロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmは、差動回転数ΔNの増大に対するΔNトルクT1の増大勾配(駆動力増大勾配)がスロットル大開度時のΔNトルク特性マップMlとスロットル小開度時のΔNトルク特性マップMsとの中間の特性を有する第3の駆動力特性マップを構成する。
【0067】
(実施形態の効果)
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)車速V及び差動回転数ΔNに加えて、スロットル開度θに基づいて、駆動力伝達装置17の駆動力伝達割合を可変制御し、これにより前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした。例えば、差動回転数ΔNが大きく且つスロットル開度θも大きいような場合にはΔNトルクT1を大きく設定し、逆に差動回転数ΔNが大きくてもスロットル開度θが小さければΔNトルクT1を小さく設定するようにした。このため、四輪駆動車11の走行状況に応じた適切なΔNトルクT1、ひいては指令トルクTが設定可能となる。従って、スロットル開度大時の操縦性及びスロットル開度小時の車両挙動の安定性をそれぞれ向上させることができる。また、スロットル開度大時の操縦性とスロットル開度小時の車両挙動の安定性とを両立させることができる。
【0068】
(2)差動回転数ΔNに対するトルク特性の異なる複数種類のΔNトルク特性マップMl,Mm,Msを用意し、適用するΔNトルク特性マップをスロットル開度θに基づいて各ΔNトルク特性マップMl,Mm,Ms間において相互に切り替えるようにした。そして、適用されたΔNトルク特性マップに基づいて前輪側又は後輪側へ伝達するトルク(駆動力)を求め、このトルクが前輪側又は後輪側に伝達されるように前記電磁クラッチ機構21を制御するようにした。このため、四輪駆動車11の走行状態に応じて電磁クラッチ機構21の摩擦係合力を細かく制御可能となる。従って、ΔNトルク特性マップを一通りとした場合と異なり、四輪駆動車11の走行状態に応じて、より緻密なΔNトルクT1の制御を行うことができ、四輪駆動車11の走行安定性及び操縦性をそれぞれ向上させることができる。
【0069】
(3)車速Vに基づいてスロットル開度判定閾値を設定し、この設定されたスロットル開度判定閾値とスロットル開度θとの比較結果に基づいて適用するΔNトルク特性マップを各ΔNトルク特性マップMl,Mm,Ms間において相互に切り替えるようにした。具体的には、スロットル開度判定閾値特性マップMkに基づいて車速Vに応じた上限スロットル開度判定閾値θ1及び下限スロットル開度判定閾値θ0をそれぞれ設定し、スロットル開度θが上限スロットル開度判定閾値θ以上の場合にはスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlを適用するようにした。同じく、上限スロットル開度判定閾値θ1未満かつ下限スロットル開度判定閾値θ0以上の場合にはスロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmを適用し、下限スロットル開度判定閾値θ0未満の場合にはスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsを適用するようにした。従って、車速Vに応じたスロットル開度判定閾値を設定することにより、適用するΔNトルク特性マップをスロットル開度θに応じた適切なΔNトルク特性マップに切り替えることができる。
【0070】
(4)スロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMl及びスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsの中間的な特性(即ち、ΔNトルクT1の増大勾配)を有するスロットル中開度時のΔNトルク特性マップMmを設けた。このため、適用するΔNトルク特性マップをスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlからスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsへ切り替える場合及びその逆の場合において、急激なΔNトルクT1の変化、ひいては指令トルクTの変化が抑制される。従って、車両挙動の安定性を確保することができる。
【0071】
(別例)
尚、前記実施形態は以下のように変更して実施してもよい。
・本実施形態では、適用するΔNトルク特性マップを各ΔNトルク特性マップMl,Mm,Ms間において相互に切り替えるようにしたが、スロットル中開度用のΔNトルク特性マップMmを省略するようにしてもよい。この場合、スロットル開度判定閾値を1つだけ設定する。そして、ΔNトルク演算部53は、スロットル開度θがこのスロットル開度判定閾値以上の場合にはスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlを適用し、同じくスロットル開度判定閾値未満の場合にはスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsを適用する。このようにしても、例えば四輪駆動車11の走行状態にかかわらず1種類のΔNトルク特性マップを常時適用する場合と異なり、車両の操縦性及び車両挙動の安定性をそれぞれ向上させることができる。
【0072】
・本実施形態では、前輪駆動ベースの四輪駆動車11に具体化したが、後輪駆動ベースの四輪駆動車に応用してもよい。このようにしても、本実施形態における(1)〜(4)に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0073】
・本実施形態では、プレトルクT2にΔNトルクT1を加算することにより指令トルクTを求めるようにしたが、プレトルクT2を演算することなくΔNトルクT1をそのまま指令トルクTとするようにしてもよい。即ち、プレトルク演算部54を省略するようにしてもよい。
【0074】
・本実施形態では、スロットル開度センサ34により検出されたスロットル開度θに基づいて、適用するΔNトルク特性マップを各ΔNトルク特性マップMl,Mm,Ms間において相互に切り替えるようにしたが、次のようにしてもよい。例えばアクセル開度センサ(図示略)により検出されたアクセル開度やエンジン回転数センサ(図示略)により検出されたエンジン12の回転数に基づいて、適用するΔNトルク特性マップを切り替えるようにしてもよい。
【0075】
・本実施形態では、駆動力伝達装置17には電磁クラッチ機構21を備えたが、例えば油圧式クラッチ等を備えるようにしてもよい。
・本実施形態では、スロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmに、スロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlとスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsとの中間的な特性を持たせるようにしたが、必ずしも中間的な特性としなくてもよい。例えば、スロットル中開度時用のΔNトルク特性マップMmのトルク増大勾配をスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップMlのトルク増大勾配よりも大きくしたり、逆にスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップMsのトルク増大勾配よりも小さくしたりしてもよい。
【0076】
(付記)
次に前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)車速検出手段により得られた車速と、差動回転数検出手段により得られた前輪と後輪との差動回転数とに基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分方法において、前記車速及び差動回転数に加えて、内燃機関のスロットルバルブの開度を検出し、この検出されたスロットル開度情報に基づいて、前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分方法。
【0077】
(ロ)前輪と後輪との間の差動回転数に対する駆動力特性の異なる複数種類の駆動力特性マップを用意し、適用する駆動力特性マップをスロットル開度に基づいて各駆動力特性マップ間において相互に切り替えるようにし、適用された駆動力特性マップに基づいて前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力を求め、この駆動力が前輪側又は後輪側に伝達されるように前記駆動力伝達装置を制御するようにした前記(イ)項に記載の四輪駆動車の駆動力配分方法。
【0078】
(ハ)車速検出手段により得られた車速と、差動回転数検出手段により得られた前輪と後輪との差動回転数とに基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分方法において、前記車速及び差動回転数に加えて、運転者の加速意欲又は運転者の要求する駆動力を検出し、この情報に基づいて、前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分方法。
【0079】
(ニ)前記各駆動力特性マップは、操縦性を重視した第1の駆動力特性マップと、安定性を重視した第2の駆動力特性マップとを含み、前記駆動力特性マップ切替手段は、前記スロットル開度が前記スロットル開度判定閾値設定手段により設定されたスロットル開度判定閾値以上の場合には第1の伝達駆動力特性マップを適用し、同じくスロットル開度判定閾値未満の場合には第2の駆動力特性マップを適用するようにした請求項3に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、四輪駆動車の走行状況に応じて適切に駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を制御可能となることにより、車両の操縦性及び車両挙動の安定性をそれぞれ向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態における四輪駆動車の概略構成図。
【図2】 本実施形態における駆動力配分制御装置の電気的構成を示す回路図。
【図3】 本実施形態におけるマイクロコンピュータの機能ブロック図。
【図4】 本実施形態における差動回転数トルクの演算手順を示すフローチャート。
【図5】 本実施形態におけるスロットル開度判定閾値特性マップを示すグラフ。
【図6】 (a)はスロットル大開度時用のΔNトルク特性マップを示すグラフ、(b)はスロットル中開度時用のΔNトルク特性マップを示すグラフ、(c)はスロットル小開度時用のΔNトルク特性マップを示すグラフ。
【符号の説明】
11…四輪駆動車、12…内燃機関を構成するエンジン、16…前輪、
17…駆動力伝達装置、20…後輪、21…電磁クラッチ機構、
22…電磁コイル、31…駆動力配分制御装置、
32…マイコン(マイクロコンピュータ)、
32a…記憶手段を構成するROM、
34…スロットル開度検出手段を構成するスロットル開度センサ、
51…差動回転数検出手段を構成する差動回転数演算部(ΔN演算部)、
52…車速検出手段を構成する車速演算部、
53…駆動力特性マップ切替手段及びスロットル開度判定閾値設定手段を構成するΔNトルク演算部、
Ml…第1の駆動力特性マップを構成するスロットル大開度時用の差動回転数トルク特性マップ、
Ms…第2の駆動力特性マップを構成するスロットル小開度時用の差動回転数トルク特性マップ、
Mm…第3の駆動力特性マップを構成するスロットル中開度時用の差動回転数トルク特性マップ、Mk…スロットル開度判定閾値特性マップ、V…車速、
ΔN…差動回転数、θ…スロットル開度、
θ0…下限スロットル開度判定閾値、θ1…上限スロットル開度判定閾値。

Claims (4)

  1. 車速検出手段により得られた車速と、差動回転数検出手段により得られた前輪と後輪との差動回転数とに基づいて、駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御することにより、前輪側と後輪側との駆動力配分を可変制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    内燃機関のスロットルバルブの開度を得るスロットル開度検出手段を備え、
    前記車速及び差動回転数に加えて、前記スロットル開度検出手段により得られたスロットル開度に基づいて、前記駆動力伝達装置の駆動力伝達割合を可変制御するとともに、
    前記差動回転数に応じて前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力を所定の車速域毎に求めるための駆動力特性の異なる複数種類の駆動力特性マップが予め格納された記憶手段と、
    前記スロットル開度に基づいて適用する駆動力特性マップを前記記憶手段に格納された各駆動力特性マップ間において相互に切り替える駆動力特性マップ切替手段とを備え、
    前記駆動力特性マップ切替手段により適用された駆動力特性マップに基づいて前輪側又は後輪側へ伝達する駆動力を求め、この駆動力が前輪側又は後輪側に伝達されるように前記駆動力伝達装置を制御するようにした四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 前記車速に基づいてスロットル開度判定閾値を設定するスロットル開度判定閾値設定手段を備え、
    前記駆動力特性マップ切替手段は前記スロットル開度と前記スロットル開度判定閾値設定手段により設定されたスロットル開度判定閾値とを比較し、この比較結果に基づいて適用する駆動力特性マップを切り替えるようにした請求項1に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 前記各駆動力特性マップは、差動回転数の増大に対して所定の駆動力増大勾配を有する操縦性を重視した第1の駆動力特性マップと、この第1の駆動力特性マップにおける駆動力増大勾配よりも緩やかな駆動力増大勾配を有する安定性を重視した第2の駆動力特性マップとを含み、
    前記駆動力特性マップ切替手段は、前記スロットル開度が前記スロットル開度判定閾値設定手段により設定されたスロットル開度判定閾値以上の場合には第1の伝達駆動力特性マップを適用し、同じくスロットル開度判定閾値未満の場合には第2の駆動力特性マップを適用するようにした請求項2に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 前記各駆動力特性マップは、少なくとも、差動回転数の増大に対する駆動力増大勾配が第1の駆動力特性マップと第2の駆動力特性マップとの中間の特性を有する第3の駆動力特性マップをさらに含み、
    前記記憶手段には前記車速に基づいて上限スロットル開度判定閾値及び下限スロットル開度判定閾値をそれぞれ求めるためのスロットル開度判定閾値特性マップを予め格納し、
    前記スロットル開度判定閾値設定手段は前記スロットル開度判定閾値特性マップに基づいて上限スロットル開度判定閾値及び下限スロットル開度判定閾値をそれぞれ設定するようにし、
    前記駆動力特性マップ切替手段は、前記スロットル開度が前記上限スロットル開度判定閾値以上であると判定した場合には前記第1の駆動力特性マップを適用し、
    同じく前記スロットル開度が下限スロットル開度判定閾値未満であると判定した場合には前記第2の駆動力特性マップを適用し、
    同じく前記スロットル開度が上限スロットル開度判定閾値未満かつ下限スロットル開度判定閾値以上であると判定した場合には、前記第3の駆動力特性マップを適用するようにした請求項3に記載の四輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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