JP3798566B2 - 育苗床 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所要の強度を有するとともに適度に脆く、また良好な通気性を有し、吸水し易く、且つ保水性に優れる育苗床に関する。本育苗床は、農園芸用、特に水耕栽培に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、農業、園芸等における育苗床にはフェノール樹脂フォームが使用されており、特に細ねぎなど果菜類等の水耕栽培における育苗床として多用されている。この育苗床には、播種のための多数の穴が設けられている。そして、育苗箱内にこれを敷き、灌水した後、各穴に十数粒ずつのねぎの種子を播種する。その後、水及び液肥を適宜与えながら保温育成する。細ねぎが十分に成育した後、根元近辺に高圧エア及び水を吹き付け、フォームを吹き飛ばして除去し、次いで、最外皮を1枚剥いだ後、製品として出荷する。
【0003】
この育苗床には、吸水性及び保水性に優れ、発芽、発根性が良好であって、且つ根などが順調に成育することが要求される。また、育成後、根元近辺に高圧エア及び水を吹き付けた際に、細ねぎの根がすべて吹き飛ばされてしまわない程度の圧力で、すべてのフォームが容易に吹き飛ばされる適度な脆さを有していることが必要である。この細ねぎの根は、出荷後、鮮度を保つために不可欠である。また、育苗床は、上記の要求特性を備えるとともに、各種果菜類、花卉等の育成を阻害する成分などを含んでいてはならない。
【0004】
一方、農園芸の用途におけるポリウレタンフォームの使用も各種試みられている。例えば特開昭52−39478号公報には、親水性の連続気泡硬質ポリウレタン発泡体よりなる簡便な活花用支持具が開示されている。また、特公昭60−52115号公報には、半硬質親水性のポリウレタンフォームを所要の形状に裁断加工した、育苗、移植に好適なマットが記載されている。更に、特開平2−14209号公報には、切花用支持体として使用される連続気泡親水性ポリウレタンフォームの製造方法が、特開平6−25374号公報には、土壌代替物等として用いられる親・吸水性硬質ウレタンフォームの製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
現在、主として用いられているフェノール樹脂フォームは、脆さ及び吸水性等の所要特性には優れる。しかしながら、製造時、雰囲気温度のフォーム生成速度への影響が大きいため、温度を厳密にコントロールする必要がある。また、液状から固化する際の粘度の上昇が急激で、しかもフォーム生成時の発熱が激しいため、クラック或いは内部の焼けを生じ易い等の問題もある。そのため、大型成形品の発泡が難しく、更に、原料の経時変化が大きい等、実際の生産における問題点が多い。
【0006】
また、フェノール樹脂フォームは、フォーム生成触媒として濃塩酸、濃硫酸、燐酸等の強酸を用いるため、取り扱い難く、危険でもある。更に、フォーム中に残存する酸の影響により、水のpHが酸性となり、果菜類、花卉等に悪影響を及ぼす場合がある。その他、フェノール樹脂フォームは焼却できず、使用後の処理が厄介で環境面でも問題がある。
【0007】
上記のように種々の問題を有するフェノール樹脂フォームに代えて、前記のようにポリウレタンフォームの使用が提案されている。そして、特に連泡性のポリウレタンフォームであれば、発芽、発根及び根などの成長等に何ら問題はない。しかし、従来のポリウレタンフォームは適度な脆さを有しておらず、出荷前、根に付着しているフォームを加圧エア等によって吹き飛ばし、除去する際に、根のすべてがフォームとともに吹き飛ばされてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のポリウレタンフォームを用いた育苗床の有する問題点を解決するものであり、適度な脆さを有するとともに、良好な吸水性及び保水性等を有する育苗床を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明の育苗床は、以下の方法により測定したセル数が20〜40個/インチであって、フライアビリティが50%以上であり、且つ通気度が50〜200cm3/cm2/秒、吸水時間が60秒以下、保水率が50%以上である硬質ポリウレタンフォームからなることを特徴とする。
セル数;JIS K6402
通気度;JIS L1096 A法
吸水時間;115×110×80mmの試片を25℃の水上に静置し、試片の全体が完全に湿潤するまでの時間を測定する。
保水率;115×110×80mmの試片の重量(W F )を測定する。その後、試片を25℃の水中に1時間浸漬した後、静かに取り出し、重量(W A )を測定する。次いで、試片を金網上に静置し、21℃、65%RHの雰囲気下に7日間放置し、再びその重量(W T )を測定する。
保水率(%)=(W T −W F )/(W A −W F )×100
フライアビリティ;ASTM C421−61
第1発明の育苗床を構成するフォームは、三次元網状構造を有する硬質フォームからなる。そして、上記「セル数」が20個/インチ未満では、セル径は大きく、通気性及び吸水性は向上するが、保水性は低下する傾向にある。セル数が40個/インチを越える場合は、保水性は向上するが、苗の発根性及び成育性に劣る。セル数が上記範囲内にあれば、吸水性と保水性のバランス及び苗の発根性及び成育性のよい育苗床が得られ易い。しかし、セル数はフォームをある一表面において観察したものであり、その内部に渡って優れた吸水性及び保水性を有するフォームとするためには、その通気度を上記の範囲とする必要がある。
【0010】
上記の範囲のセル数及び通気度を有するフォームとすることにより、上記の吸水時間及び保水率を備えるフォームを安定して得ることができる。そして、通気性に優れ、速やかに吸水し、且つ保水力が高く、また、発根性及び成育性が良好であり、育苗床として好適である。また、適度な脆さを有しており、苗の成育過程においては所定の形状を維持しており、出荷前、加圧エア等を吹き付けた際には、根のすべてが吹き飛ばされない程度の圧力で容易に除去することができる。
【0011】
また、第1発明の育苗床を構成するフォームの密度は0.02〜0.04g/cm3程度である。この密度はフォームのフライアビリティ並びに吸水性及び保水性等にそれほど大きな影響は及ぼさない。しかし、密度が0.025〜0.035g/cm3の範囲のフォームとした場合に、上記の性能等により優れたフォームが得られるため特に好ましい。
【0012】
更に、第2発明のように、通気度が50〜70cm3/cm2/秒、吸水時間が40秒以下及び保水率が70%以上であれば、各特性のバランスに優れた更に好ましいフォームとすることができる。また、フライアビリティが100%であっても所要のフォームを得ることはできる。しかし、第2発明のように、このフライアビリティを99%以下、特に97%以下程度とすれば、より適度な脆さを有するフォームとすることができる。
【0013】
本発明の育苗床を構成するフォームは、ポリオール成分、ポリイソシアネート及び無機充填剤を含む原料を用い、上記ポリオール成分は、ポリオール、発泡剤、触媒及び整泡剤を含有し、該ポリオールは、下記のポリオール(a)、(b)、(c)及び(d)を含み、該ポリオールの全量を100重量部とした場合に、ポリオール(a)は30〜50重量部、ポリオール(b)は5〜25重量部、ポリオール(c)は5〜15重量部及びポリオール(d)は20〜40重量部であり、上記無機充填剤は、上記ポリオールの全量100重量部に対して15〜55重量部であって、イソシアネートインデックスは35〜75とすることにより製造することができる。
【0014】
ポリオール(a):ポリオキシアルキレントリオール(ポリオキシアルキレン部分は、90〜100モル%のオキシプロピレン基と0〜10モル%のオキシエチレン基とからなる。)、水酸基価;140〜190
ポリオール(b):ポリオキシアルキレントリオール、オキシエチレン基含有量;70〜90モル%、水酸基価;28〜42
ポリオール(c):エチレンジアミンのオキシアルキル化生成物(該オキシアルキル化部分は0〜25モル%のオキシエチレン基を含む。)、水酸基価;600〜850
ポリオール(d):ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル、オキシエチレン基含有量;70〜100モル%、水酸基価;56〜187
【0015】
上記ポリオール(a)、(b)、(c)及び(d)を特定量比で併用することにより、フライアビリティ並びに吸水性及び保水性等の良好な、適度に脆い吸水性且つ保水性フォームを得ることができる。ポリオール(a)は3官能であって水酸基価が高く、ポリオール(c)は4官能であって水酸基価が特に高い。これらポリオールによってフォームは適度に脆くなる。また、ポリオール(b)及び(d)はオキシエチレン基の含有量が高く、これによってフォームの親水性が高まり、吸水性及び保水性が向上する。更に、ポリオール(c)は第3級アミノ基含有ポリオールであり、混合ポリオールの相溶性を良好にする作用をも有する。
【0016】
上記ポリイソシアネートとしては、硬質ポリウレタンフォーム(以下、硬質フォームという。)に一般に用いられるものを使用することができる。例えばクルード若しくはポリメリック−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、クルード−トリレンジイソシアネート(TDI)、並びにそれらのプレポリマー等が挙げられる。また、クルードMDIとクルードTDIとの混合物などを用いることもできる。ポリオールとポリイソシアネートとはイソシアネートインデックス(以下、インデックスという。)が35〜75、特に40〜60の範囲で反応させる。インデックスが35未満の場合、セル数は多いが、連泡性が高いためか、通気性は良好である。しかし、フライアビリティが大きく低下し、実用には供し得ない。一方、インデックスが75を越えると、フォームの通気性が極端に低下し、吸水性も大きく低下する。
【0017】
また、上記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、水酸化アルミニウム及び硫酸バリウム等が挙げられる。これらは粉末状で使用され、その粒径は500〜2000メッシュのものが好ましい。粒径が500メッシュ未満の場合、ポリオール混合物中における無機充填剤の分散性に劣り、無機充填剤が沈降することがある。この無機充填剤はフォームに脆さを与えるものであり、その配合量は、本第3発明のように、育苗床用の硬質ポリウレタンフォーム100重量部に対し、4.7重量部を超えて19.8重量部以下とする。配合量が4.7重量部以下では、フォームの脆さが不十分(靱性がある。)になる。また、19.8重量部を越える場合は、フォームの密度が高まるとともに、連泡性が低下し、フォームの通気性及び吸水性が低下する。
【0018】
無機充填剤は、通常、予めポリオールに配合され、その後、ポリイソシアネートと混合される。その配合量が19.8重量部を越える場合は、上記の問題の他、ポリオール成分の粘度が高くなりすぎ、作業性が低下し、量産にも支障をきたすことがある。この無機充填剤は、特に10.3〜19.8重量部程度が好ましく、この範囲であれば、適度な脆さ及び優れた吸水性及び保水性を有するフォームを得ることができる。
【0019】
上記発泡剤としては、通常、水が使用される。実際にはこの水とポリイソシアネートとの反応によって生成する炭酸ガスを利用するものであるが、便宜上、水を発泡剤という。本発明では、この水を、ポリオール100重量部に対して5〜15重量部、特に8〜12重量部程度使用する。また、上記触媒としては、硬質フォームの製造において主に使用されている、例えばアミン誘導体及びモルホリン誘導体等を用いることができる。この触媒は、ポリオール100重量部に対して0.5〜3重量部程度を配合する。
【0020】
上記整泡剤としては、硬質フォームの連泡化に好適な整泡剤を使用することができる。例えば一般に軟質ポリウレタンフォームの製造において使用されている、ペンダント構造を有し、且つそのポリエーテル部が、40〜60モル%のオキシプロピレン基と60〜40モル%のオキシエチレン基とを有するジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体が好ましい。また、このブロック共重合体を100重量%とした場合に、ジメチルポリシロキサン部が7〜25重量%であるのが特に好ましい。このジメチルポリシロキサン部の量比は通常より低めであるが、本発明の育苗床を構成するフォームの製造では、このような整泡剤をポリオール100重量部に対して3〜7重量部、特に5重量部程度と多量に使用しており、これによって得られるフォームの表面に対する水の濡れ性が向上する。
【0021】
上記のジメチルポリシロキサン部が7重量%未満の場合は、発泡時、フォームは安定性に劣り崩壊してしまうことがある。また、セル数が少ない、言い換えればセル径の大きいフォームとなって保水性が低下する。一方、ジメチルポリシロキサン部が25重量%を越えると、フォームの通気性が低下する他、得られるフォームの表面に対する水の濡れ性が大きく低下するため、吸水性に劣ったフォームとなる(負の毛管現象)。このジメチルポリシロキサン部は10〜20重量%の範囲が更に好ましく、このような整泡剤を使用することによって、より吸水性に優れたフォームを得ることができる。
【0022】
更に、整泡剤としては、ポリエーテル部の末端にアルコキシ基等の、イソシアネート基に対して不活性な基を有するものがより好ましい。それによってフォームの連泡化が高まり、且つその表面の濡れ性がより向上する。尚、ポリエーテル部の末端に水酸基、アミノ基等のイソシアネート基に対して活性な基を有する整泡剤を使用した場合は、フォームの通気性が低下し、またフォームの表面に対する水の濡れ性が低下し、吸水性が不十分になる。
【0023】
フォームの連泡性は、上記の整泡剤とともに気泡連通化剤を使用することによって、更に向上させることもできる。この気泡連通化剤としては、通常、例えばジメチルポリシロキサン等の破泡性を有する整泡剤を用いる。この気泡連通化剤の配合量は、ポリオールを100重量部とした場合に、0.1〜1.0重量部、特に0.5〜1.0重量部とする。
【0024】
尚、本発明の育苗床は、各種の果菜類及び花卉等の育苗床として使用することができるが、果菜類、花卉等の種類によってフォームを適宜に着色してもよい。例えば第4発明のように細ねぎの水耕栽培における育苗床として使用する場合、茶色系のフォームが好まれて使用されている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の育苗床を実施例によって具体的に説明する。
(1)育苗床を構成するフォームの製造
ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、無機充填剤、気泡連通化剤及びポリイソシアネートとしては以下のものを使用した。
【0026】
〔1〕ポリオール
▲1▼ポリオール(a):ポリオキシプロピレントリオール、水酸基価;158、オキシエチレン基含有量;0モル%、配合量;45重量部
▲2▼ポリオール(b):ポリオキシアルキレントリオール、水酸基価;33.7、オキシエチレン基含有量;80モル%、配合量;15重量部
▲3▼ポリオール(c):エチレンジアミンのオキシプロピル化生成物、水酸基価;760、オキシエチレン基含有量;0モル%、配合量;12重量部
▲4▼ポリオール(d):ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、水酸基価;100、オキシエチレン基;100モル%、配合量;28重量部
【0027】
〔2〕ポリイソシアネート;クルードMDI(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「ミリオネートMR−400」)、イソシアネート含有量;30%
〔3〕無機充填剤;重質炭酸カルシウム(同和カルファイン株式会社製、商品名「KS−1300」)
【0028】
〔4〕発泡剤:水、配合量;9重量部
〔5〕触媒:アミン誘導体である2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、配合量;1重量部
〔6〕整泡剤:軟質ポリウレタンフォームの製造において使用される、ペンダント構造を有し、且つそのポリエーテル部は、各50モル%のオキシプロピレン基とオキシエチレン基とを有するジメチルポリシロキサン−ポリエーテルブロック共重合体、ブロック共重合体中のジメチルポリシロキサン部の含有量;5、10、15、20及び30重量%、配合量;5重量部、尚、ポリエーテル部の末端にはメトキシ基が結合している。
〔7〕気泡連通化剤;ジメチルポリシロキサン(日本ユニカー株式会社製、商品名「L−45」)、粘度;1000cps、配合量;0.7重量部
【0029】
実験例1
所定量の各ポリオール、水、触媒、整泡剤及び無機充填剤を秤量し、容量2リットルのポリエチレン製のビーカーに投入した。その後、温度を21℃に保って、混合し、ポリオール成分を調製した。次いで、温度を21℃に保ったまま、所定量のポリイソシアネート及び気泡連通化剤を秤量して、上記のビーカーに加えた。その後、5秒間高速攪拌してポリオール成分とポリイソシアネート等との混合物を調製し、この混合物を、37cm角の段ボール製の箱に入れられたポリエチレン製の袋の中に注入し、自由発泡させた。得られたフォームの密度、セル数、通気度、吸水時間、保水率及びフライアビリティーを測定した。それらの結果を表1に示す。また、フォーム中の無機充填剤量は、上記「〔A〕ポリオール」に示す使用ポリオールの重量部及び使用した上記「〔B〕イソシアネート」の種類並びに表1に示すイソシアネートインデックスの数値を根拠にして計算した。この結果を表1に併記した。
【0030】
実験例2〜11
イソシアネートインデックス、整泡剤のジメチルポリシロキサンの含有量及び無機充填剤の配合量を表1のように変化させた他は実施例1と同様にしてフォームを得た。また、同様にしてその通気度他を測定した。
【0031】
実験例12〜15
ポリオールとして、ポリオール(a)を使用しなかった(実験例12)、ポリオール(b)を使用しなかった(実験例13)、ポリオール(c)を使用しなかった(実験例14)及びポリオール(d)を使用しなかった(実験例15)他は、実施例1と同様にしてフォームを得た。また、同様にして通気度他を測定した。以上、実験例2〜8の結果を表1に併記し、実験例9〜15の結果を表2に示す。尚、表1及び表2において、*は第1発明の上記製造方法の範囲を、***はフォームの特性が本発明の範囲外であることを表す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
(2)物性等の評価
表1、2において、各物性等は下記の方法によって測定した。
▲1▼密度;JIS K6401
▲2▼セル数;JIS K6402
▲3▼通気度;JIS L1096 A法
▲4▼吸水時間;115×110×80mmの試片を25℃の水上に静置し、試片の全体が完全に湿潤するまでの時間を測定する。
【0035】
▲5▼保水率;115×110×80mmの試片の重量(WF)を測定する。その後、試片を25℃の水中に1時間浸漬した後、静かに取り出し、重量(WA)を測定する。次いで、試片を金網上に静置し、21℃、65%RHの雰囲気下に7日間放置し、再びその重量(WT)を測定する。
保水率(%)=(WT−WF)/(WA−WF)×100
▲6▼フライアビリティ;ASTM C421−61
【0036】
(3)細ねぎの育成
また、実験例1〜15において得られたフォームを育苗床として使用し、以下の要領で細ねぎの育成を行った場合の、発芽、発根及び成育の状況を観察した。更に、成育後、加圧エアと水をフォームに吹き付け、フォーム除去の難易を確認し、また、根の状況を観察した。
▲1▼播種のための窪みが設けられた多数の突部が連なって構成される、厚さ30mmのフォームを水に浸す。十分に吸水させた後、水中から取り出し、プラスチック製のトレーに入れる。
▲2▼窪み一か所当たり10粒程度のねぎの種子を播き、ジョウロで均等に水を撒いた後、新聞紙を被せ、発芽後、この新聞紙は直ちに取り去る。
【0037】
▲3▼適宜の時間間隔でフォームに吸水させ、フォーム中に根が張り、芽の長さが10cm程度になった時点で、各突部を中心にして切り分ける。切り分けられた各ブロックを水耕栽培用プールの水面に置かれた発泡スチロールからなる枠に設けられた孔に嵌め込み育苗する。
▲4▼播種後、40〜50日経過して、根の長さが10〜15cmになった時点で、ブロックを取り出し、根の近辺に高圧エアと水を吹き付ける。フォームが適度な脆さを有するものであれば、フォームはすべて吹き飛び、長さ1.5cm程度の根が残る。
【0038】
(4)結果についての考察
表1及び表2の結果によれば、各特性がいずれも本発明の範囲内にある実験例1〜5では、適度なフライアビリティ及びほどよい通気性を有し、吸水性及び保水性に優れたフォームであることが分かる。特にイソシアネートインデックスが50である実験例1〜3では、各特性のバランスのとれた、より優れた性能のフォームであることが分かる。また、細ねぎの育成においても、特に問題はなく、高圧エア等を吹き付けた場合も、フォームはすべて容易に吹き飛ばされ、且つ根はすべて吹き飛ばされることなく、所要長さの根が残っていた。よって、実験例1〜5は、育苗床として用いるのに優れた性質を有していることが分かる。
【0039】
一方、ジメチルポリシロキサンの含有量が低い整泡剤を使用した実験例6では、セル数が少ない(セル径が大きい)ため通気度が高く、吸水性は良好であるものの、保水性が大きく低下していることが分かる。また、ジメチルポリシロキサン部の含有量が高い整泡剤を使用した実験例7では、連泡化が不十分となり、通気性及び吸水性に劣るフォームであることが分かる。これらのフォームでは、ねぎは順調に成育せず、商品価値のないものであった。
【0040】
更に、イソシアネートインデックスが低い実験例8では、通気性は高いが、セル数が多く、セル径が小さいためか保水性には優れる。しかし、フライアビリティが大きく低下し、実用に供し得ないものであることが分かる。このフォームでは、ねぎは順調に成育したが、根がすべて吹き飛んでしまうほどの高圧エアを吹き付けないと、フォームを除去することができなかった。一方、インデックスが高すぎる実験例9では、セル数は少なく、通気性、吸水性が非常に劣り、ねぎは成育不良であった。
【0041】
また、無機充填剤の配合量が本発明の上限を越えて多い実験例10では、フライアビリティ、保水性ともに問題ないが、通気性及び吸水性に劣り、ねぎは順調に成育せず、商品価値のないものであった。一方、無機充填剤の配合量が下限未満である実験例11では、通気性は問題ないものの、吸水性に劣り、更にフライアビリティが低かった。
【0042】
更に、実験例12では、発泡時、フォームの安定性に劣り、崩壊してしまった。実験例13及び15では、フライアビリティ及び保水性は特に問題ないものの、通気性及び吸水性が大きく低下していることが分かる。また、実験例14では、吸水性及びフライアビリティは特に問題ないものの、通気性が大きすぎ、それに伴って保水性も大きく低下している。更に、実験例14では、3種類のポリオールの相溶性も低下し、作業性にも問題があった。これらも育苗床として使用した場合、上記の実験例10と同様の問題があった。
【0043】
【発明の効果】
第1発明によれば、適度なフライアビリティを有し、且つほどよい通気性のため、吸水性及び保水性に優れる育苗床を得ることができる。また、第2発明及び第3発明によれば、フライアビリティ、通気性、吸水性及び保水性等の各特性のバランスに優れた更に好ましい育苗床とすることができる。このような育苗床は、特に第4発明のように細ねぎの水耕栽培用に好適に用いることができる。
Claims (4)
- 以下の方法により測定したセル数が20〜40個/インチであって、フライアビリティが50%以上であり、且つ通気度が50〜200cm3/cm2/秒、吸水時間が60秒以下、保水率が50%以上である硬質ポリウレタンフォームからなることを特徴とする育苗床。
セル数;JIS K6402
通気度;JIS L1096 A法
吸水時間;115×110×80mmの試片を25℃の水上に静置し、試片の全体が完全に湿潤するまでの時間を測定する。
保水率;115×110×80mmの試片の重量(W F )を測定する。その後、試片を25℃の水中に1時間浸漬した後、静かに取り出し、重量(W A )を測定する。次いで、試片を金網上に静置し、21℃、65%RHの雰囲気下に7日間放置し、再びその重量(W T )を測定する。
保水率(%)=(W T −W F )/(W A −W F )×100
フライアビリティ;ASTM C421−61 - 上記フライアビリティが50〜97%であり、且つ上記通気度が50〜70cm3/cm2/秒、上記吸水時間が40秒以下、上記保水率が70%以上である請求項1記載の育苗床。
- 育苗床を構成する硬質ポリウレタンフォーム100重量部に対し、無機充填剤を4.7重量部を超えて19.8重量部以下含有する請求項1又は2に記載の育苗床。
- 細ねぎの水耕栽培用である請求項1〜3のいずれかに記載の育苗床。
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1999
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