JP3798171B2 - トンネル外殻体の構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルを構築する際に用いられて、前記トンネルの周面に沿って組み立てられるとともに、該トンネルの外殻をなすトンネル外殻体の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ボーリングマシンを用いてトンネルを掘削する工法(以下、TBM工法と呼ぶ。)により、トンネルを施工する事例が増加している。TBM工法のメリットとしては、
▲1▼ 施工速度が速い。(特に、健全な地山がトンネル延長で長く続く場合)
▲2▼ 機械掘削のため、地山を痛めることが少ない。
▲3▼ 従って、地山のゆるみも少なく、軽量な支保材料でトンネルを支えられる。
が挙げられる。
【0003】
一方、TBM工法は、地山変化に対する臨機応変な支保変更が難しいという問題点を有している。特に我が国の山岳部では、地山の変化が激しく、10m単位で支保構造を替える必要がある場合も珍しくない。
【0004】
このような我が国の地山条件に適合するべく、全地質対応型のTBM工法が開発されている。このTBM工法は、全体をシールドシェルによりシールドした掘削装置を用い、装置の先端に設けられたカッタヘッドにより地山の掘削を行うものであり、地質の悪い地山に遭遇した場合には、シールドシェル内において、トンネルの外殻を構成するライナー(トンネル外殻体)を組み立て、その後、シールドジャッキを用いてライナーから推進反力を確保しながらカッターヘッドを回転させて地山を掘進する。これにより、ライナーを地山に残しつつ、トンネル掘進を行うことができる。
【0005】
この場合、ライナーとしては、例えば、図3および4に示すような構造のものが用いられていた。これらの図に示すライナー1は、シールドシェル内において組み立てた場合に、他のライナーに対して接することとなる外枠材2と、外枠材2の内部に配置されて外枠材2を補強する内枠材3と、これら外枠材2および内枠材3により支持されて、ライナー1が組み立てられた場合に地山側に位置することとなるスキンプレート4とを備えた構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のライナー1を組み立ててトンネルの外殻を構成するようにした場合、地山とライナー1のスキンプレート4との間には、空隙が生じる。この空隙は、掘削外径とライナー外径との間の差により生じるものであり、その寸法は、シールドシェルの厚みとライナー組立余裕代の和に相当する。
通常は、この空隙には、裏込め材を充填するが、この場合、
・裏込め材の材料費と施工手間が必要であること、
・ある程度の長さをまとめて施工するため、その時間内に、ますます地山のゆるみを増長させること、
等の問題が発生する。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明においては、裏込め材の充填が省略できるか、または、最小限で済み、なおかつ、裏込め材を充填するまでの間に生じる地山のゆるみを抑制できるようなトンネル外殻体の構造を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載のトンネル外殻体の構造は、トンネルを構築する際に用いられて、前記トンネルの周面に沿って組み立てられるとともに、該トンネルの外殻をなすトンネル外殻体の構造であって、
外殻体本体と、該外殻体本体に取り付けられて、該外殻体本体が前記トンネルの周面に沿って配置された場合に、地山に対向して位置するように設けられた突出ブロックとを備えてなり、
前記突出ブロックは、前記外殻体本体から前記地山側への突出長が調整可能とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とされているため、このトンネル外殻体の構造によれば、トンネル外殻体を組み立てた後、裏込め材を充填するまでの間に、外殻体から突出ブロックを地山側に突出させて、地山のゆるみを抑えることができる。また、この場合、従来、裏込め材が充填されていた部位を、突出ブロックが占めることになるために、裏込め材の充填を省略できるか、あるいは、最小限とすることができる。
【0010】
請求項2記載のトンネル外殻体の構造は、請求項1記載のトンネル外殻体の構造であって、
前記外殻体本体の前記外周面が複数の領域に区画され、
前記領域のそれぞれに、前記突出ブロックが配置されていることを特徴としている。
【0011】
このような構成とされるために、このトンネル外殻体の構造によれば、トンネル外殻体の外周面と地山との間の空隙の大きさが場所によって異なる場合には、各領域の突出ブロックを、突出寸法を異ならせて突出させることにより対応できる。
【0012】
請求項3記載のトンネル外殻体の構造は、請求項1または2記載のトンネル外殻体の構造であって、
前記外殻体本体は、前記トンネルの周面に沿って組み立てられた場合に、前記トンネルの軸線と平行方向または前記トンネルの周方向に平行に配置される補強材を備えた構成とされ、
前記突出ブロックの前記トンネル中心側の位置に、固定板が、前記補強材に固定された状態で前記突出ブロックの外周面と略平行に配置され、
該固定板には、前記トンネルの半径方向に貫通するボルト孔が設けられ、
該ボルト孔には、ボルトが螺着され、
該ボルトの先端が、前記突出ブロックを前記トンネルの中心側から押圧する構成とされていることを特徴としている。
【0013】
このような構成とされるために、このトンネル外殻体の構造によれば、簡易な構成により、突出ブロックを地山に対して押圧できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の一実施の形態であるライナーピース(トンネル外殻体)10を示したものであり、図1は、ライナーピース10をその内周面10a側から示した図、図2は、ライナーピース10をその外周面10b側から示した図である。
【0015】
このライナーピース10は、全地質対応型のTBM工法によりトンネルを構築する際に用いられるものである。すなわち、全体をシールドシェルによりシールドした掘削装置を用いて、装置の先端に設けられたカッタヘッドにより地山を掘削するとともに、地質の悪い地山に遭遇した場合には、シールドシェル内において、ライナーピース10をリング状に組み立てて、これらライナーピース10によりトンネルの外殻を構成する。この場合、ライナーピース10の内周面10aがトンネルの内壁を形成することとなり、また、ライナーピース10の外周面10bは、トンネルの構築対象の地山に面して位置することとなる。
【0016】
また、この後、さらにトンネルを掘進する際には、シールドジャッキを用いて、ライナーピース10により構成されたトンネルの外殻から推進反力を確保しながらカッターヘッドを回転させて地山を掘進する。
【0017】
図中に示すように、ライナーピース10は、外殻体本体11と、外殻体本体11に取り付けられた突出ブロック12とを備えた構成となっている。外殻体本体11は、シールドシェル内において組み立てた際に、他のライナーに対して接することとなる外枠材13と、外枠材13の内部に配置されて外枠材13を補強する内枠材14とを備えた構成となっている。
【0018】
外枠材13は、他のライナーピース10に対してトンネル軸線方向に接する主桁板16,16と、他のライナーピース10に対してトンネルの周方向に接する継手板17,17とにより形成されている。
【0019】
一方、突出ブロック12,…は、外枠材13および内枠材14によって区画された各領域R,…に対して、外枠材13および内枠材14と接合されることなく、一つずつはめ込まれた構成となっている。また、この突出ブロック12は、その外周面12aが、主桁板16および継手板17の外縁端16aおよび17aのなす曲面と同一形状とされている。
【0020】
また、外殻体本体11の主桁板16,16間には、固定リブ(補強材)18,…が架設されている。固定リブ18は、主桁板16の内縁端16bおよび継手板17の内縁端16bのなす曲面上に位置するように設けられて、トンネルの軸線方向と平行に配置されており、二本一組のものが、トンネルの周方向に計三組配列されている。
【0021】
また、互いに対をなす固定リブ18,18同士の間は、固定板19,19により連結されている。固定板19は、各突出ブロック12の内周面12bに対向する位置に、それぞれ一箇所ずつ設けられており、突出ブロック12の外周面12aと略平行に配置されている。また、固定板19には、トンネルの半径方向に貫通するボルト孔20が設けられており、このボルト孔20には、ボルト22が螺着される。
【0022】
ボルト22の先端22aは、突出ブロック12の内周面12b,…に当接することが可能な構成となっており、ボルト22を回転させることにより、突出ブロック12を内周面12b側から押圧することができる。これにより、ライナーピース10を組み立ててトンネルを構築した際に、突出ブロック12を、トンネルの中心側から押圧して、外殻体本体11から地山側に突出させることができる。また、この際に、ボルト22の回転を調整することにより、突出ブロック12の外殻体本体11から地山側への突出長を調整できるようになっている。
【0023】
このライナーピース10を用いて、トンネルを構築する際には、上述のように、トンネル掘削機のシールドシェル内において、ライナーピース10をリング状に組み立て、これにより、トンネルの外殻を構成する。また、この後、さらにトンネルを掘進する際には、シールドジャッキを用いて、ライナーピース10により構成されたトンネルの外殻から推進反力を確保しながらカッターヘッドを回転させて地山を掘進する。
【0024】
この場合、ライナーピース10の外周面10bと地山との間には、空隙が生じることとなるが、この際に、ボルト22をボルト孔20にねじ込むことにより、ボルト22の先端22aにより突出ブロック12を押圧し、突出ブロック12を外殻体本体11から地山側に突出させて地山を押圧するようにする。これにより、地山のゆるみを抑制することができる。また、この場合、ライナーピース10と地山との間の空隙を、突出ブロック12により埋めることができるので、裏込め材の充填を不要または最小限とすることができる。また、ライナーピース10の外周面10bと地山との間の空隙の寸法に場所的な差がある場合には、各突出ブロック12ごとに突出長を異ならせることにより対処する。突出長の調整は、ボルト22の回転を調整することにより行う。
【0025】
以上述べたように、本実施の形態のライナーピース10によれば、突出ブロック12の外殻体本体11からの突出長が調整可能となっているために、ライナーピース10と地山との間の空隙に合わせて、突出ブロック12を突出させ、これにより、裏込め材の充填を待つことなく、地山を早期に支保することができる。したがって、従来に比較し、地山のゆるみ荷重を減少させることができ、より確実なトンネル施工を可能とすることができるとともに、支保部材の軽減も可能となる。また、このような構成により、崩落が進んでいる箇所においても、良好に適用可能となる。さらに、裏込め材の充填の手間を不要とするか、あるいは、最小限とすることができるために、トンネル施工の容易化および材料費・施工費の軽減化を図ることができる。
【0026】
また、上述のライナーピース10によれば、外殻体本体11の外周面が外枠材13および内枠材14によって領域R,…に区画され、これら各領域R,…に突出ブロック12が配置されることとなるために、ライナーピース10と地山との間の空隙の場所的な寸法差に対処可能であり、より確実に地山を支保することができる。
【0027】
さらに、上述のライナーピース10によれば、固定リブ18,18に取り付けられた固定板19にボルト孔20が設けられ、ボルト孔20に螺着されたボルト22の先端22aが、突出ブロック12の内周面12bに当接して、突出ブロック12を地山に押圧することとなるため、ボルト22の回転を調整するのみで突出ブロック12の突出長を調整できる。これにより、簡易な操作により、ライナーピース10が、トンネル掘削機のシールドシェルから地山にでたら直ちに、しかも、小さな力で突出ブロック12の位置を拡張することができる。
【0028】
なお、上記実施の形態において、ボルト22に台形ネジを用いるようにすれば、高い耐力を期待することができる。また、固定リブ18は、シールドジャッキの掘進反力も受けられるようにトンネル周上で絶えず同一場所になるように計画すれば、兼用も可能である。
また、上記のライナーピース10を、シールドトンネルを施工する際のセグメントとして利用するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るトンネル外殻体の構造によれば、突出ブロックの外殻体本体からの突出長が調整可能となっているために、トンネル外殻体と地山との間の空隙に合わせて、突出ブロックを突出させ、これにより、裏込め材の充填を待つことなく、地山を早期に支保することができる。したがって、従来に比較し、地山のゆるみ荷重を減少させることができ、より確実なトンネル施工を可能とすることができるとともに、支保部材の軽減も可能となり、さらに、崩落が進んでいる箇所においても、良好に適用可能となる。また、それに加えて、裏込め材の充填の手間を不要とするか、あるいは、最小限とすることができるために、トンネル施工の容易化および材料費・施工費の軽減化を図ることができる。
【0030】
請求項2に係るトンネル外殻体の構造によれば、外殻体本体の外周面が複数の領域に区画され、これら各領域に突出ブロックが配置されることとなるために、トンネル外殻体と地山との間の空隙の場所的な寸法差に対処が可能となり、より確実に地山を支保することができる。
【0031】
請求項3に係るトンネル外殻体の構造によれば、補強材に取り付けられた固定板にボルト孔が設けられ、ボルト孔に螺着されたボルトの先端が、突出ブロックの内周面に当接して、突出ブロックを地山に押圧することとなるため、ボルトの回転を調整するのみで突出ブロックの突出長を調整できることとなり、トンネル施工時には、簡易な操作により、トンネル外殻体が、トンネル掘削機のシールドシェルから地山にでたら直ちに、しかも、小さな力で突出ブロックの位置を拡張するようにすることができる。これにより請求項1または2の発明を良好に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示すライナーピース(トンネル外殻体)の内周面の斜視図である。
【図2】 同、外周面の斜視図である。
【図3】 従来のライナーの内周面の斜視図である。
【図4】 同、外周面の斜視図である。
【符号の説明】
10 ライナーピース(トンネル外殻体)
10a 内周面
10b 外周面
11 外殻体本体
12 突出ブロック
12a 外周面
12b 内周面
18 固定リブ(補強材)
20 ボルト孔
22 ボルト
22a 先端
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルを構築する際に用いられて、前記トンネルの周面に沿って組み立てられるとともに、該トンネルの外殻をなすトンネル外殻体の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ボーリングマシンを用いてトンネルを掘削する工法(以下、TBM工法と呼ぶ。)により、トンネルを施工する事例が増加している。TBM工法のメリットとしては、
▲1▼ 施工速度が速い。(特に、健全な地山がトンネル延長で長く続く場合)
▲2▼ 機械掘削のため、地山を痛めることが少ない。
▲3▼ 従って、地山のゆるみも少なく、軽量な支保材料でトンネルを支えられる。
が挙げられる。
【0003】
一方、TBM工法は、地山変化に対する臨機応変な支保変更が難しいという問題点を有している。特に我が国の山岳部では、地山の変化が激しく、10m単位で支保構造を替える必要がある場合も珍しくない。
【0004】
このような我が国の地山条件に適合するべく、全地質対応型のTBM工法が開発されている。このTBM工法は、全体をシールドシェルによりシールドした掘削装置を用い、装置の先端に設けられたカッタヘッドにより地山の掘削を行うものであり、地質の悪い地山に遭遇した場合には、シールドシェル内において、トンネルの外殻を構成するライナー(トンネル外殻体)を組み立て、その後、シールドジャッキを用いてライナーから推進反力を確保しながらカッターヘッドを回転させて地山を掘進する。これにより、ライナーを地山に残しつつ、トンネル掘進を行うことができる。
【0005】
この場合、ライナーとしては、例えば、図3および4に示すような構造のものが用いられていた。これらの図に示すライナー1は、シールドシェル内において組み立てた場合に、他のライナーに対して接することとなる外枠材2と、外枠材2の内部に配置されて外枠材2を補強する内枠材3と、これら外枠材2および内枠材3により支持されて、ライナー1が組み立てられた場合に地山側に位置することとなるスキンプレート4とを備えた構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のライナー1を組み立ててトンネルの外殻を構成するようにした場合、地山とライナー1のスキンプレート4との間には、空隙が生じる。この空隙は、掘削外径とライナー外径との間の差により生じるものであり、その寸法は、シールドシェルの厚みとライナー組立余裕代の和に相当する。
通常は、この空隙には、裏込め材を充填するが、この場合、
・裏込め材の材料費と施工手間が必要であること、
・ある程度の長さをまとめて施工するため、その時間内に、ますます地山のゆるみを増長させること、
等の問題が発生する。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明においては、裏込め材の充填が省略できるか、または、最小限で済み、なおかつ、裏込め材を充填するまでの間に生じる地山のゆるみを抑制できるようなトンネル外殻体の構造を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明においては以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載のトンネル外殻体の構造は、トンネルを構築する際に用いられて、前記トンネルの周面に沿って組み立てられるとともに、該トンネルの外殻をなすトンネル外殻体の構造であって、
外殻体本体と、該外殻体本体に取り付けられて、該外殻体本体が前記トンネルの周面に沿って配置された場合に、地山に対向して位置するように設けられた突出ブロックとを備えてなり、
前記突出ブロックは、前記外殻体本体から前記地山側への突出長が調整可能とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成とされているため、このトンネル外殻体の構造によれば、トンネル外殻体を組み立てた後、裏込め材を充填するまでの間に、外殻体から突出ブロックを地山側に突出させて、地山のゆるみを抑えることができる。また、この場合、従来、裏込め材が充填されていた部位を、突出ブロックが占めることになるために、裏込め材の充填を省略できるか、あるいは、最小限とすることができる。
【0010】
請求項2記載のトンネル外殻体の構造は、請求項1記載のトンネル外殻体の構造であって、
前記外殻体本体の前記外周面が複数の領域に区画され、
前記領域のそれぞれに、前記突出ブロックが配置されていることを特徴としている。
【0011】
このような構成とされるために、このトンネル外殻体の構造によれば、トンネル外殻体の外周面と地山との間の空隙の大きさが場所によって異なる場合には、各領域の突出ブロックを、突出寸法を異ならせて突出させることにより対応できる。
【0012】
請求項3記載のトンネル外殻体の構造は、請求項1または2記載のトンネル外殻体の構造であって、
前記外殻体本体は、前記トンネルの周面に沿って組み立てられた場合に、前記トンネルの軸線と平行方向または前記トンネルの周方向に平行に配置される補強材を備えた構成とされ、
前記突出ブロックの前記トンネル中心側の位置に、固定板が、前記補強材に固定された状態で前記突出ブロックの外周面と略平行に配置され、
該固定板には、前記トンネルの半径方向に貫通するボルト孔が設けられ、
該ボルト孔には、ボルトが螺着され、
該ボルトの先端が、前記突出ブロックを前記トンネルの中心側から押圧する構成とされていることを特徴としている。
【0013】
このような構成とされるために、このトンネル外殻体の構造によれば、簡易な構成により、突出ブロックを地山に対して押圧できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明の一実施の形態であるライナーピース(トンネル外殻体)10を示したものであり、図1は、ライナーピース10をその内周面10a側から示した図、図2は、ライナーピース10をその外周面10b側から示した図である。
【0015】
このライナーピース10は、全地質対応型のTBM工法によりトンネルを構築する際に用いられるものである。すなわち、全体をシールドシェルによりシールドした掘削装置を用いて、装置の先端に設けられたカッタヘッドにより地山を掘削するとともに、地質の悪い地山に遭遇した場合には、シールドシェル内において、ライナーピース10をリング状に組み立てて、これらライナーピース10によりトンネルの外殻を構成する。この場合、ライナーピース10の内周面10aがトンネルの内壁を形成することとなり、また、ライナーピース10の外周面10bは、トンネルの構築対象の地山に面して位置することとなる。
【0016】
また、この後、さらにトンネルを掘進する際には、シールドジャッキを用いて、ライナーピース10により構成されたトンネルの外殻から推進反力を確保しながらカッターヘッドを回転させて地山を掘進する。
【0017】
図中に示すように、ライナーピース10は、外殻体本体11と、外殻体本体11に取り付けられた突出ブロック12とを備えた構成となっている。外殻体本体11は、シールドシェル内において組み立てた際に、他のライナーに対して接することとなる外枠材13と、外枠材13の内部に配置されて外枠材13を補強する内枠材14とを備えた構成となっている。
【0018】
外枠材13は、他のライナーピース10に対してトンネル軸線方向に接する主桁板16,16と、他のライナーピース10に対してトンネルの周方向に接する継手板17,17とにより形成されている。
【0019】
一方、突出ブロック12,…は、外枠材13および内枠材14によって区画された各領域R,…に対して、外枠材13および内枠材14と接合されることなく、一つずつはめ込まれた構成となっている。また、この突出ブロック12は、その外周面12aが、主桁板16および継手板17の外縁端16aおよび17aのなす曲面と同一形状とされている。
【0020】
また、外殻体本体11の主桁板16,16間には、固定リブ(補強材)18,…が架設されている。固定リブ18は、主桁板16の内縁端16bおよび継手板17の内縁端16bのなす曲面上に位置するように設けられて、トンネルの軸線方向と平行に配置されており、二本一組のものが、トンネルの周方向に計三組配列されている。
【0021】
また、互いに対をなす固定リブ18,18同士の間は、固定板19,19により連結されている。固定板19は、各突出ブロック12の内周面12bに対向する位置に、それぞれ一箇所ずつ設けられており、突出ブロック12の外周面12aと略平行に配置されている。また、固定板19には、トンネルの半径方向に貫通するボルト孔20が設けられており、このボルト孔20には、ボルト22が螺着される。
【0022】
ボルト22の先端22aは、突出ブロック12の内周面12b,…に当接することが可能な構成となっており、ボルト22を回転させることにより、突出ブロック12を内周面12b側から押圧することができる。これにより、ライナーピース10を組み立ててトンネルを構築した際に、突出ブロック12を、トンネルの中心側から押圧して、外殻体本体11から地山側に突出させることができる。また、この際に、ボルト22の回転を調整することにより、突出ブロック12の外殻体本体11から地山側への突出長を調整できるようになっている。
【0023】
このライナーピース10を用いて、トンネルを構築する際には、上述のように、トンネル掘削機のシールドシェル内において、ライナーピース10をリング状に組み立て、これにより、トンネルの外殻を構成する。また、この後、さらにトンネルを掘進する際には、シールドジャッキを用いて、ライナーピース10により構成されたトンネルの外殻から推進反力を確保しながらカッターヘッドを回転させて地山を掘進する。
【0024】
この場合、ライナーピース10の外周面10bと地山との間には、空隙が生じることとなるが、この際に、ボルト22をボルト孔20にねじ込むことにより、ボルト22の先端22aにより突出ブロック12を押圧し、突出ブロック12を外殻体本体11から地山側に突出させて地山を押圧するようにする。これにより、地山のゆるみを抑制することができる。また、この場合、ライナーピース10と地山との間の空隙を、突出ブロック12により埋めることができるので、裏込め材の充填を不要または最小限とすることができる。また、ライナーピース10の外周面10bと地山との間の空隙の寸法に場所的な差がある場合には、各突出ブロック12ごとに突出長を異ならせることにより対処する。突出長の調整は、ボルト22の回転を調整することにより行う。
【0025】
以上述べたように、本実施の形態のライナーピース10によれば、突出ブロック12の外殻体本体11からの突出長が調整可能となっているために、ライナーピース10と地山との間の空隙に合わせて、突出ブロック12を突出させ、これにより、裏込め材の充填を待つことなく、地山を早期に支保することができる。したがって、従来に比較し、地山のゆるみ荷重を減少させることができ、より確実なトンネル施工を可能とすることができるとともに、支保部材の軽減も可能となる。また、このような構成により、崩落が進んでいる箇所においても、良好に適用可能となる。さらに、裏込め材の充填の手間を不要とするか、あるいは、最小限とすることができるために、トンネル施工の容易化および材料費・施工費の軽減化を図ることができる。
【0026】
また、上述のライナーピース10によれば、外殻体本体11の外周面が外枠材13および内枠材14によって領域R,…に区画され、これら各領域R,…に突出ブロック12が配置されることとなるために、ライナーピース10と地山との間の空隙の場所的な寸法差に対処可能であり、より確実に地山を支保することができる。
【0027】
さらに、上述のライナーピース10によれば、固定リブ18,18に取り付けられた固定板19にボルト孔20が設けられ、ボルト孔20に螺着されたボルト22の先端22aが、突出ブロック12の内周面12bに当接して、突出ブロック12を地山に押圧することとなるため、ボルト22の回転を調整するのみで突出ブロック12の突出長を調整できる。これにより、簡易な操作により、ライナーピース10が、トンネル掘削機のシールドシェルから地山にでたら直ちに、しかも、小さな力で突出ブロック12の位置を拡張することができる。
【0028】
なお、上記実施の形態において、ボルト22に台形ネジを用いるようにすれば、高い耐力を期待することができる。また、固定リブ18は、シールドジャッキの掘進反力も受けられるようにトンネル周上で絶えず同一場所になるように計画すれば、兼用も可能である。
また、上記のライナーピース10を、シールドトンネルを施工する際のセグメントとして利用するようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係るトンネル外殻体の構造によれば、突出ブロックの外殻体本体からの突出長が調整可能となっているために、トンネル外殻体と地山との間の空隙に合わせて、突出ブロックを突出させ、これにより、裏込め材の充填を待つことなく、地山を早期に支保することができる。したがって、従来に比較し、地山のゆるみ荷重を減少させることができ、より確実なトンネル施工を可能とすることができるとともに、支保部材の軽減も可能となり、さらに、崩落が進んでいる箇所においても、良好に適用可能となる。また、それに加えて、裏込め材の充填の手間を不要とするか、あるいは、最小限とすることができるために、トンネル施工の容易化および材料費・施工費の軽減化を図ることができる。
【0030】
請求項2に係るトンネル外殻体の構造によれば、外殻体本体の外周面が複数の領域に区画され、これら各領域に突出ブロックが配置されることとなるために、トンネル外殻体と地山との間の空隙の場所的な寸法差に対処が可能となり、より確実に地山を支保することができる。
【0031】
請求項3に係るトンネル外殻体の構造によれば、補強材に取り付けられた固定板にボルト孔が設けられ、ボルト孔に螺着されたボルトの先端が、突出ブロックの内周面に当接して、突出ブロックを地山に押圧することとなるため、ボルトの回転を調整するのみで突出ブロックの突出長を調整できることとなり、トンネル施工時には、簡易な操作により、トンネル外殻体が、トンネル掘削機のシールドシェルから地山にでたら直ちに、しかも、小さな力で突出ブロックの位置を拡張するようにすることができる。これにより請求項1または2の発明を良好に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を模式的に示すライナーピース(トンネル外殻体)の内周面の斜視図である。
【図2】 同、外周面の斜視図である。
【図3】 従来のライナーの内周面の斜視図である。
【図4】 同、外周面の斜視図である。
【符号の説明】
10 ライナーピース(トンネル外殻体)
10a 内周面
10b 外周面
11 外殻体本体
12 突出ブロック
12a 外周面
12b 内周面
18 固定リブ(補強材)
20 ボルト孔
22 ボルト
22a 先端
Claims (3)
- トンネルを構築する際に用いられて、前記トンネルの周面に沿って組み立てられるとともに、該トンネルの外殻をなすトンネル外殻体の構造であって、
外殻体本体と、該外殻体本体に取り付けられて、該外殻体本体が前記トンネルの周面に沿って配置された場合に、地山に対向して位置するように設けられた突出ブロックとを備えてなり、
前記突出ブロックは、前記外殻体本体から前記地山側への突出長が調整可能とされていることを特徴とするトンネル外殻体の構造。 - 請求項1記載のトンネル外殻体の構造であって、
前記外殻体本体の外周面が複数の領域に区画され、
前記領域のそれぞれに、前記突出ブロックが配置されていることを特徴とするトンネル外殻体の構造。 - 請求項1または2記載のトンネル外殻体の構造であって、
前記外殻体本体は、前記トンネルの周面に沿って組み立てられた場合に、前記トンネルの軸線と平行方向または前記トンネルの周方向に平行に配置される補強材を備えた構成とされ、
前記突出ブロックの前記トンネル中心側の位置に、固定板が、前記補強材に固定された状態で、前記突出ブロックの外周面と略平行に配置され、
該固定板には、前記トンネルの半径方向に貫通するボルト孔が設けられ、
該ボルト孔には、ボルトが螺着され、
該ボルトの先端が、前記突出ブロックを前記トンネルの中心側から押圧する構成とされていることを特徴とするトンネル外殻体の構造。
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