JP3797099B2 - スペクトル拡散通信において信号を検出する方法 - Google Patents

スペクトル拡散通信において信号を検出する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトル拡散通信において信号を検出する方法に係わり、特に、スペクトル拡散通信において信号と雑音とを識別する方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
無線通信システムのひとつとして、スペクトル拡散通信が知られている。スペクトル拡散通信では、データは、拡散符号を用いて拡散されて伝送される。そして、受信機は、送信機において使用された拡散符号と同じ符号を用いて受信信号を逆拡散することによりデータを再生する。尚、スペクトル拡散通信方法は、CDMA(Code Division Multiple Access )を実現する基盤技術である。また、スペクトル拡散通信を実現する技術としては、直接拡散方式および周波数ホッピング方式が知られているが、以下では、直接拡散方式について説明する。
【0003】
直接拡散方式では、送信装置において、伝送データに直接的に拡散符号が乗積される。拡散符号は、伝送データよりも高速のデータ列である。そして、拡散信号は、搬送波に載せられて無線伝送路に送出される。一方、受信装置は、送信装置において使用された拡散符号と同じ拡散符号を受信信号に乗積することにより伝送データを再生する。ここで、この乗積処理は、実質的には、受信信号と拡散符号との相関を検出する処理と同じである。そして、この相関値(受信信号の各チップの論理値と拡散符号の各チップの論理値とが一致する値)に基づいて、伝送データが再生される。
【0004】
上述の例は、1組の通信装置間で信号が伝送される場合を示しているが、実際には、通常、通信エリア内に多数の通信装置(基地局を含む)が存在する。例えば、図8に示す例では、基地局100に対して複数の端末装置101、102が設けられている。この場合、基地局100と各端末装置とを接続する無線チャネルは、拡散符号により識別される。即ち、基地局100は、端末装置101へデータを送る際には、拡散符号#01を用いてそのデータを拡散し、端末装置102へデータを送る際には、拡散符号#02を用いてそのデータを拡散する。
【0005】
端末装置101は、デジタルマッチドフィルタ等を用いて、受信信号と拡散符号#01との相関をモニタする。このとき、受信信号の中に拡散符号#01を用いて拡散された信号が含まれていれば、図9(a) に示すように、一定周期ごとに相関値のピークが得られることになる。したがって、端末装置101は、受信信号と拡散符号#01との相関をモニタすることにより、自分宛ての信号が伝送されているのか否かを検出できる。具体的には、例えば、上記相関を表す相関値のピークが予め設定されているしきい値を越えたときに、自分宛ての信号が伝送されているものと判断する。そして、端末装置101は、自分宛ての信号を検出すると、相関値のピークが得られるタイミングを利用してその相関値から伝送データを再生する。
【0006】
一方、受信信号の中に拡散符号#01を用いて拡散された信号が含まれていない場合は、図9(b) に示すように、端末装置101において得られる受信信号と拡散符号#01との相関は周期的なピークを持たない。例えば、基地局100から端末装置102へデータが送出されている期間に、基地局100から端末装置101へはデータが送出されていなかったものとすると、端末装置101は、基地局100から端末装置102へデータを伝送するための信号を受信する。しかし、この信号は、拡散符号#02を用いてデータを拡散することにより得られた信号である。したがって、この場合、端末装置101において、受信信号と拡散符号#01との相関が高くなることはなく、周期的なピークは現れない。
【0007】
したがって、この場合、相関値がしきい値を越えることはなく、端末装置101は、自分宛ての信号が伝送されていないものと判断する。そして、端末装置101は、受信信号からデータを再生する処理を行わない。なお、自分宛ての信号が含まれていない信号は、雑音として認識される。
【0008】
このように、スペクトル拡散通信の受信装置は、受信信号と拡散符号との相関をモニタすることにより、自分宛ての信号を検出できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、無線通信システムでは、受信装置において十分な受信レベルが得られないことがある。受信レベルは、たとえば、送信装置と受信装置との間の距離や、無線伝送路の通信環境などに応じて変動する。
【0010】
受信レベルが低下すると、その受信信号と拡散符号との相関を表す相関値も小さくなる。すなわち、デジタルマッチドフィルタ等を用いて受信信号と拡散符号との相関をモニタする受信装置では、一般に、得られる相関値は受信信号の振幅に比例するので、そのような受信装置においては、受信レベルが低下すると、受信信号の中に目的とする信号が含まれているとしても相関値は小さくなる。この結果、受信レベルが下がると、受信信号と拡散符号との相関値のピークは、図9(c) に示すように、しきい値よりも低くなってしまう。この場合、目的の信号が伝送されているにもかかわらず、その信号を検出できない事態が起こり得る。
【0011】
なお、受信レベルが低いときは、しばしば、受信信号は増幅器を用いて増幅される。しかし、増幅率を高くするとS/N比が悪化するので、受信レベルが大幅に低下した場合には、受信信号を十分に増幅できない。しがたって、受信レベルが大幅に低下した場合には、結局、相関値のピークが十分には得られないことになる。
【0012】
また、受信レベルが低下した場合であっても信号を検出できるようなしきい値を設定しようとすると、目的の信号が含まれていない場合(例えば、図9(b) に示すケース)に誤って信号が検出されてしまうので、好ましくない。
本発明の課題は、スペクトル拡散通信において、受信レベルが低い場合であっても信号と雑音とを識別できる方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の信号検出方法は、スペクトル拡散通信において信号を検出する方法であって、受信信号と拡散符号との相関を表す相関値データを生成し、上記相関値データの平均値または積分値に基づいて上記相関値データを補正し、補正された相関値データの最大値に基づいて上記受信信号の中に上記拡散符号に対応する信号が含まれているか否かを判断する。
【0014】
上記方法において、受信信号の中に拡散符号に対応する信号が含まれている場合には、相関値データは周期的なピークを持つ。しかし、受信レベルが低いと、相関値データは全体的に小さくなり、その最大値も小さくなる。このため、相関値データの最大値を利用する方法では、拡散符号に対応する信号の受信レベルが低い場合と、大電力ノイズを受信している場合(拡散符号に対応する信号を含まない受信信号の受信レベルが高い場合)とを識別できないことがある。このため、本発明では、相関値データの平均値または積分値に基づいて相関値データを補正することにより、拡散符号に対応する信号の受信レベルが低い場合と大電力ノイズを受信している場合とを識別できるようにしている。
【0015】
上記方法において、受信レベルは、相関値データの平均値または積分値に基づいて求められるようにしてもよい。この場合、上記相関値データの平均値または積分値とそれに対応する基準値との比率に従って補正係数を算出し、上記相関値データにその補正係数を乗算することにより上記相関値データを補正するようにしてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施例では、拡散方式として直接拡散方式が利用されているものとする。
図1は、スペクトラム拡散通信システムにおいて使用される受信装置のブロック図である。受信装置は、無線網から受信した信号から伝送データを再生する。受信信号は、まず、搬送波と同じ周波数の周期波が乗積される。この周期波は、受信装置内に設けられる発振器1により生成される。これにより、受信信号の周波数がベースバンド付近のそれに変換される。
【0017】
上記周期波が乗積された受信信号は、ローパスフィルタにより高周波成分が除去された後、A/D変換器2に与えられる。A/D変換器2は、受信信号の振幅に対応する複数ビットのデジタルデータを出力する。すなわち、A/D変換器2は、受信レベルが高いときは、それに対応する振幅の大きな値のデジタルデータを出力し、受信レベルが低いときは、それに対応する振幅の小さな値のデジタルデータを出力する。相関部3は、A/D変換器2により生成されるデータ列と、送信装置において使用された拡散符号と同じ符号との相関をモニタし、そのモニタにより得られる相関値データを検出部4に通知する。
【0018】
検出部4は、相関部3により生成される相関値データに基づいて、目的とする信号(当該受信装置宛ての信号)が伝送されているか否かを判断する。そして、目的とする信号を検出した場合には、相関値データから符号同期のタイミングを検出する。復号部5は、検出部4により検出される符号同期タイミングにおいて与えられる相関値データに対応したデータを生成する。
【0019】
上記受信装置において、本発明に特に係る技術は、検出部4において目的とする信号を検出する方法に係わる。
図2は、受信信号と拡散符号との相関を示す図であり、相関部3により生成される相関値データを表す。なお、受信信号は、基本的に、複数の無線信号を含んでいる。すなわち、複数の端末装置が存在する無線通信システムでは、各端末がそれぞれ任意に信号を送出できるので、各端末装置は、複数の端末装置から送出された無線信号を受信し得る。
【0020】
図2(a) は、受信信号の中に目的とする信号が含まれている場合の相関値データを示す。ここで、「目的とする信号」とは、当該受信装置宛てのデータを伝送するための信号であって、当該受信装置が使用する拡散符号と同じ拡散符号によって拡散された信号をいう。したがって、この場合、相関値データは、シンボル時間毎にピークを持つことになる。なお、「シンボル時間」は、拡散符号の周期と同じであるものとする。
【0021】
検出部4には、目的とする信号を検出するためのしきい値が設定されている。このしきい値は、例えば、下記の条件を満たすように決定される。
(1) 受信レベルが十分に高く、受信信号の中に目的とする信号が含まれている場合に、相関値データのピークよりも小さくなる
(2) 受信信号の中に目的とする信号が含まれていない場合には、受信レベルが十分に高かったとしても、相関値データのピークよりも大きくなる
そして、検出部4は、シンボル時間毎に得られる相関値データのピーク値(または、最大値)と上記しきい値とを比較する。このとき、相関値データのピーク値がそのしきい値よりも大きければ、目的とする信号を受信しているものとみなし、同期検出処理およびデータ再生処理を開始する。一方、相関値データのピーク値がしきい値よりも小さければ、目的とする信号を受信していないものとみなし、同期検出処理およびデータ再生処理を開始しない。
【0022】
図2(b) は、受信信号の中に目的とする信号が含まれていない場合の相関値データを示す。この場合、相関値データは、周期的なピークを持つことはない。また、相関値データの最大値がしきい値を越えることもないので、検出部4は、目的とする信号を受信していないものと判断する。
【0023】
ところで、図1に示す受信装置において、相関値データの平均値は、受信レベルに依存して決まる。例えば、受信レベルが高い場合、すなわち受信信号の振幅が大きい場合には、A/D変換器2から出力されるデジタルデータの振幅値も大きくなるので、相関値データの平均値も必然的に大きくなる。一方、受信レベルが低い場合、すなわち受信信号の振幅が小さい場合には、A/D変換器2から出力されるデジタルデータの振幅値も小さくなるので、相関値データの平均値も必然的に小さくなる。
【0024】
したがって、もし、受信レベルが同じであれば(あるいは、十分な受信レベルが維持されているのであれば)、受信信号の中に目的とする信号が含まれているか否かにかかわらず、相関値データの平均値は概ね一定になるはずである。すなわち、受信レベルが一定であれば、1シンボル時間に渡って相関値データを積分した積分値(あるいは、相関値データを累積的に加算した総加算値)は、一定となるはずである。例えば、図2(a) および図2(b) に示すケースが同じ受信レベルであったとすると、各斜線部の面積は、概ね同じになるはずである。換言すれば、受信レベルが下がると、受信信号の中に目的とする信号が含まれているか否かにかかわらず、相関値データの平均値は、その受信レベルの低下に従って小さくなる。
【0025】
図2(c) は、受信レベルが低下した場合の相関値データを示す。この例は、受信信号の中に目的とする信号が含まれているケースを示している。この場合、相関値データは、図2(a) に示した場合と同様に、シンボル時間毎にピークを持つことになる。しかし、受信レベルが低いと、それに伴って相関値データが全体的に小さくなる。そして、この結果、もし、シンボル時間ごとのピーク値がしきい値よりも小さくなってしまうと、受信信号の中に目的とする信号が含まれているにもかかわらず、その信号を検出できないという事態が発生してしまう。
【0026】
ところで、本実施形態の受信装置では、A/D変換器2は、受信信号の振幅に対応するデジタルデータを出力し、相関部3は、そのA/D変換器2の出力データ列と拡散符号との相関を出力する。したがって、例えば、受信信号の振幅が1/2になったとすると、相関値データの平均値も1/2となり、その結果、1シンボル時間に渡って相関値データを積分した積分値(あるいは、相関値データを累積的に加算した総加算値)も概ね1/2になる。
【0027】
本実施形態の受信装置は、この点に着目して信号検出の精度を向上している。すなわち、本実施形態の受信装置では、相関部3により生成される相関値データが受信レベルに基づいて補正され、その補正された相関値データを利用して目的とする信号の有無が検出される。そして、受信レベルの検出方法としては、相関値データを1シンボル時間に渡って積分した積分値(あるいは、相関値データを1シンボル時間に渡って累積的に加算した総加算値)が利用される。
【0028】
例えば、相関値データを1シンボル時間に渡って積分することにより得られた積分値が、予め設定されている所定の基準値の1/2であった場合には、図3に示すように、その相関値データは、全体的に、その値が2倍になるように補正される。この結果、シンボル時間ごとの相関値データのピークは、しきい値よりも大きくなり、目的とする信号が検出される。なお、「基準値」は、例えば、受信レベルが十分に高いときの相関値データを1シンボル時間に渡って積分することにより得られた積分値とする。
【0029】
このように、本実施形態の受信装置では、受信レベルに応じて相関値データが適切に補正されるので、受信信号の中に目的とする信号が含まれている場合は、受信レベルが低い場合であってもそれを検出できる。すなわち、目的とする信号の受信レベルが低い場合と、大電力ノイズ(受信レベルが高く、且つ受信信号の中に目的とする信号が含まれていない場合)とを正しく識別できる。
【0030】
図4は、受信信号から目的とする信号を検出する回路のブロック図である。この回路は、例えば、図1に示す検出部4の中に設けられ、相関部3の出力を利用して目的とする信号が存在しているか否かを検出する。
積分回路11は、シンボル時間毎に相関値データの積分値を算出する。この積分回路11は、例えば、図5に示すように、加算機21、レジスタ22、およびゲート回路23を備える。ここで、加算機21およびレジスタ22は、相関部3から出力される相関値データを累積的に加算してゆく。そして、ゲート回路23は、シンボル時間に同期したタイミング信号が与えられたときに、レジスタ22に保持されている情報(加算値)を出力する。これにより、相関値データを1シンボル時間に渡って積分することにより得られる積分値が出力される。なお、レジスタ22は、上記タイミング信号によりリセットされるものとする。
【0031】
補正係数算出回路12は、予め設定されている基準値および積分回路11により算出された積分値に基づいて、相関値データを補正するための補正係数を算出する。具体的には、上記基準値と積分値との比率に基づいて補正係数が算出される。例えば、上記積分値が基準値の1/2であれば、補正係数として「2」が出力される。
【0032】
乗算機13は、相関値データに対して補正係数を乗算する。最大値検出回路14は、シンボル時間ごとに、補正係数が乗算された相関値データの最大値を検出する。そして、比較回路15は、シンボル時間ごとに、補正された相関値データの最大値と予め設定されているしきい値とを比較し、その結果に基づいて受信信号の中に目的とする信号が含まれているか否かを判断する。
【0033】
次に、本発明の効果を説明する。
図6(a) は、シンボル時間ごとの相関値データの最大値(又は、ピーク値)を表す図である。この図では、所定個数のシンボルについてそれぞれ相関値データの最大値を検出したときの検出頻度が描かれている。なお、図6(a) において、受信状態Aは、受信信号の中に目的とする信号が含まれており且つ受信レベルが高い場合を示し、受信状態Bは、受信信号の中に目的とする信号が含まれているが受信レベルが低い場合を示し、受信状態Cは、大電力ノイズ(受信レベルが高く且つ受信信号の中に目的とする信号が含まれていない場合)を示している。
【0034】
相関値データの最大値は、図6(a) に示すように、受信信号の中に目的とする信号が含まれている場合(受信状態AおよびB)、受信レベルが低くなると、それに伴って小さくなる。この結果、この例では、受信状態Bおよび受信状態Cにおける相関値データの最大値についての分布が互いにオーバーラップしている。この場合、相関値データの最大値に基づいて受信状態Bと受信状態Cとを識別することは困難である。すなわち、目的とする信号の受信レベルが低い場合と、大電力ノイズを受信している場合とを識別することはできない。
【0035】
図7は、相関値データの積分値を表す図である。この図では、所定個数のシンボルについてそれぞれ相関値データの積分値を算出したときの発生頻度が描かれている。なお、受信状態AおよびBは、それぞれ図6(a) の受信状態AおよびBに対応している。また、大電力ノイズの受信時の分布は、特に図示しないが、受信レベル自体は高いので、その相関値データの積分値は、受信状態Bにおけるそれと比べて大きな値となる。さらに、ここでは、説明を簡単にするため、受信状態Aにおける積分値の中央値が補正係数算出回路12において使用される基準値であるものとする。
【0036】
この場合、受信状態Aにおいては、補正係数算出回路12により得られる補正係数は、「1」になる。したがって、受信状態Aにおける補正された相関値データの最大値は、基本的に、相関部3により生成される相関値データの最大値と同じになる。
【0037】
一方、受信状態Bにおいては、相関値データの積分値が基準値よりも小さいので、補正係数は、「1よりも大きな値」となる。したがって、受信状態Bにおける補正された相関値データの最大値は、相関部3により生成される相関値データの最大値よりも大きくなる。この結果、受信状態Bにおける補正された相関値データの最大値は、図6(b) に示すように、受信状態Aにおける最大値に近い値になる。
【0038】
さらに、受信状態Cにおいては、相関値データの積分値が受信状態Bにおける積分値と比べて大きな値となっているので、補正係数は、受信状態Bにおける補正係数よりも小さくなる。したがって、受信状態Cにおける補正された相関値データの最大値は、相関部3により生成される相関値データの最大値と比較してさほど大きくはならない。この結果、受信状態Cにおける補正された相関値データの最大値は、図6(b) に示すように、受信状態AまたはBにおける最大値と比べて小さな値になる。
【0039】
したがって、この補正された相関値データの最大値を利用すれば、受信状態Bと受信状態Cとを識別できる。具体的には、図6(b) に示すようなしきい値を設定すれば、目的とする信号の受信レベルが低い場合と、大電力ノイズを受信している場合とを識別できるようになる。
【0040】
なお、相関値データの最大値および積分値を求める際、それぞれ、複数回のサンプリング(例えば、10回、16回程度)により得られた値を平均化するようにしてもよい。この方式を導入すれば、相関値データのばらつきによる影響(特に、相関値データの最大値のばらつきによる影響)が抑えられる。
【0041】
また、上述の実施例では、1シンボル時間に渡って相関値データの積分演算を行っているが、相関値データのピークが現れるタイミングおよびその周辺の一定期間について積分演算をするようにしてもよい。この場合、1シンボル時間に渡って積分を行う場合と比較し、積分処理に要する時間を節約できる。ただし、信号と雑音とを識別する能力は、1シンボル時間全体に渡って積分処理をする方が高くなる。
【0042】
また、上述の実施例では、相関値データの積分値に基づいてその相関値データを補正しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、他の方法により受信レベルまたは受信信号の振幅を検出し、それに基づいて相関値データを補正するようにしてもよい。一例としては、受信信号を増幅するアンプを用いて信号振幅が調整される受信装置においては、そのアンプの増幅率に応じて相関値データを補正するようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、スペクトル拡散通信の受信装置において、受信レベルが低い場合であっても信号と雑音とを識別できる。したがって、信号を受信していないにもかかわらず同期動作、データ再生動作、アンテナ選択動作などを開始してしまう事態や、信号を受信しているにもかかわらずそれらの動作を起動できない事態が回避される。また、受信レベルが変動する場合であっても、しきい値を変化させることなく、信号と雑音とを精度よく識別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スペクトラム拡散通信システムにおいて使用される受信装置のブロック図である。
【図2】受信信号と拡散符号との相関を示す図である。
【図3】相関値データを補正する動作を模式的に示す図である。
【図4】受信信号から目的とする信号を検出する回路のブロック図である。
【図5】積分回路の例である。
【図6】 (a) は、相関値データの最大値を表す図、(b) は、補正された相関値データの最大値を表す図である。
【図7】相関値データの積分値を表す図である。
【図8】スペクトル拡散通信システムの一例を示す図である。
【図9】受信信号と拡散符号との相関を示す図である。
【符号の説明】
2 A/D変換器
3 相関部
4 検出部
5 復号部
11 積分回路
12 補正係数算出回路
13 乗算機
14 最大値検出回路
15 比較回路

Claims (3)

  1. スペクトル拡散通信において信号を検出する方法であって、
    受信信号と拡散符号との相関を表す相関値データを生成し、
    上記相関値データの平均値または積分値に基づいて上記相関値データを補正し、
    補正された相関値データの最大値に基づいて、上記受信信号の中に上記拡散符号に対応する信号が含まれているか否かを判断する信号検出方法。
  2. 請求項に記載の方法であって、
    上記相関値データの平均値または積分値とそれに対応する基準値との比率に従って補正係数を算出し、
    上記相関値データにその補正係数を乗算することにより上記相関値データを補正する。
  3. スペクトル拡散通信における受信装置であって、
    受信信号と拡散符号との相関を表す相関値データを生成する生成手段と、
    上記相関値データの平均値または積分値に基づいて上記相関値データを補正する補正手段と、
    補正された相関値データの最大値に基づいて、上記受信信号の中に上記拡散符号に対応する信号が含まれているか否かを判断する判断手段と、
    上記受信信号の中に上記拡散符号に対応する信号が含まれている場合に、その拡散符号に対応する信号から伝送データを再生する再生手段と、
    を有する受信装置。
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