JP3796985B2 - 画像処理装置、画像処理方法および記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラードキュメントまたはカラー伝送画像に係り、特にそれらの文字・線画部のエッジ部に生じるジャギー(ぎざぎざ)を滑らかにするスムージング処理を施す画像処理装置、画像処理方法および記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリンタの高画質化技術の1つに、2値で表される文字や線画(2値ビットマップイメージ)のエッジに生じるジャギー(ぎざぎざ)を滑らかに処理した後、印字出力するスムージング処理が知られている。スムージング処理は、基本的には、入力した2値画像データ内に存在するジャギー部(図16(a))を図16(b)に示すようなパターン画素を用いて検出し、図16(c)に示すように、ジャギー部を多値化する。そして、多値化した画素値に応じて印字制御して出力する(図16(d))。これにより、文字や線画のエッジに生じるジャギーが滑らかになる。
【0003】
例えば、特開平2−112966では、入力された2値画像に対し、注目画素の周辺M×N画素領域と、予め用意しておいたM×N領域のジャギー検出パターンとを比較演算(パターンマッチング)することによって、ジャギーを検出し、ジャギーが検出された場合には、注目画素の2値データを多値データに変換し、さらに、変換された多値データの値に応じて、1画素内のレーザ照射時間を制御することで、エッジのぎざつきを滑らかに補正し、印字出力する技術が開示されている。
【0004】
また、特開平4−341059では、印字する1画素内をさらに細かくサブピクセルに分割しておき、パターンマッチングによってジャギーが検出された場合には、エッジが平滑化されるように各サブピクセルのオン/オフを印字制御する技術が開示されている。1画素内の各サブピクセルのオン/オフは、ジャギー検出の後、注目画素が多値化された結果得られる値に基づいて予め設定されている。
【0005】
これらの手法は、2値データに対しては有効なスムージング処理であるが、例えば、中間調レベルの濃度で表される文字や線画についてはスムージング処理できないという問題がある。
【0006】
ところで、近年のカラーデジタル複写機、カラーデジタルプリンタなどでは、高解像度なだけでなく、256階調、多階調で出力可能なものが主流となっている。これらの出力装置では、図17に示すように、まず、多値デジタル画像データをD/Aコンバータ1を用いてアナログ信号に変換する。次に、変換されたアナログ信号を三角波発生装置2からの基準三角波信号とコンパレータ3で比較し、レーザビームのオン/オフ制御を行うパルス幅変調(PWM)方式を用いて中間調画像を滑らかな階調表現で出力可能としている。
【0007】
図18は、トナーを用紙に付着させる期間は、レーザをオンとするイメージライティング方式のゼログラフィー(電子写真)技術を用いた場合の、図17の▲2▼、▲3▼、▲4▼、の各点の波形を模式的に示したもので、コンパレータ3でアナログ化された画像信号と基準三角波とを比較し、三角波より画像信号のレベルが高い部分だけレーザビームをオンとしている。カラー多値画像データの場合には、各色成分(通常、YMCK)毎にレーザ点灯時間を制御し、各色成分毎に印字する。この結果、各色成分で256階調可能な場合には、約1670万色の表現が可能となる。
【0008】
例えば、特開平8−23446では、DTPで作成される原稿中の文字は、通常、最高濃度値(黒文字)で表されることが多いことから、これらの部分のみに対してスムージング処理が施される技術が開示されている。図19に示すように、多値画像が入力されると、2値化102によって最高濃度値で表される文字が抽出される。これらに対してジャギー検出パターンマッチング部103によって、ジャギー検出パターンと比較し、双方が一致すると、予めジャギー検出パターンに対応付けて設定されている多値データを出力することにより、2値画像データから多値データへ変換する。また、これに加えて、PWM波形制御スクリーンタグを出力する(波形制御スクリーンタグについては後述する)。また、最高濃度値以外の値を持つ画素に対しては、エッジ検出部101によりエッジを検出し、得られたエッジの方向からPWM波形制御スクリーンタグおよび画素値データを出力する。これらの結果を合成部104で合成し、波形制御スクリーンタグによるパルス幅変調を用いて印字出力する。
【0009】
次に、上述した波形制御スクリーンタグについて説明する。
波形制御とは、上述したパルス幅変調を行う際に、エッジの方向に従って基準三角波の波形(スクリーン)を切り替える技術であり、例えば図19に示す構成では、多値画像のエッジ方向に従って、三角波発生装置106〜108で発生した、3種類の三角波A,B,C(図20参照)を、各画素値に付随した波形制御スクリーンタグを用いてSEL109で適切に切り替えることで、コンパレータ110からは、図21に示すようなレーザ制御信号を得ることが可能となる。図18と図21に示すレーザ制御信号を比較すると、図18では、エッジ部が中心部を離れるのに対して、図21では、エッジ部の中心が連続し、良好に印字されているのが分かる。しかしながら、上述した従来技術においても、最高濃度ではない中間調濃度の文字や線画に対してはスムージング処理を施すことはできない。
【0010】
また、その他の手法として、特開平9−18710に開示されている技術によるスムージング処理がある。本技術は、ページ記述言語PDLデータが入力データとして扱われる。まず、入力されたPDLデータを文字フォントや線画などのベクトルデータと中間調データとに分離し、それぞれ別々にラスター展開する。ベクトルデータについては、出力装置よりも高い解像度の2値データとして高密度ラスター展開し、さらにエッジ部を多値化しながら出力装置の解像度へと低解像度化する(これをアンチエイリアシング処理と呼ぶ)。
【0011】
すなわち、上述した従来技術では、先に説明したジャギー検出(パターンマッチング)による多値変換の代わりに、解像度変換による2値多値変換を行うことによってスムージング処理を施している。また、このとき、同時にエッジ方向を検出しておき、前述した波形制御スクリーンタグを出力する。中間調データに対しては、直接出力装置の解像度で展開する。最後に、得られたこれらの出力を合成し、波形制御を用いて印字出力する。
【0012】
上述した従来技術では、ジャギー検出のためのパターンマッチング処理を必要としないため、これらの検出パターンを記憶しておくためのROMやRAMを必要としないという利点がある。しかしながら、対象とするベクトルデータは、高密度(高解像度)ではあるが、“2値”画像データのままであり、これまで説明してきた従来技術と同様、中間調濃度の文字や線画を表すデータに対しては処理できないという問題がある。
【0013】
以上説明してきたように、従来手法の共通の問題点として、「2値画像のみしかスムージング処理できない」点が挙げられる。言い換えると、従来手法においては、「中間調の階調を持ったカラー多値画像はスムージング処理できない」という課題がある。
【0014】
この問題に簡単に対処するのであれば、カラー多値画像を適当な白黒2値に変換してスムージング処理することが容易に考えられる。しかしながら、得られる画像は、スムージング処理が施されてはいるものの、白黒画像のままであり、色成分が失われる。得られた白黒画像をカラー多値画像に戻すことも考えられるが、一旦失われた色成分を復元することは極めて困難である。その他の方法として、カラー多値画像を各色成分ごとに、例えば、R.G,B毎に適当なしきい値で2値化してスムージング処理することも考えられる。この場合、前述したように白黒で出力されることはないが、各色成分に関して、エッジ部で多値変換された画素以外は、もとの階調が失われ2階調でしか表現できないため、階調劣化したままである。
【0015】
他の対処方法として、特開平6−139350で開示されている手法がある。入力される多値データをスムージング処理するために、これまでの2値パターンによるジャギー検出ではなく、多値検出パターン(多値データで構成されるジャギー検出パターンおよび出力パターン)を作成して、ジャギー検出、および多値変換(この場合、多値→多値変換となる)を行う手法が開示されている。この手法であれば、中間調の値を持った文字・線画に対してもスムージング処理することが可能である。しかしながら、このような多階調データからなる検出パターンや出力パターンの総数は、階調数分の組み合せを考慮すると膨大なものとなり、これらを記憶するメモリ量も増大する。また、これらパターンの作成にもかなりの労力を必要とするなどの問題がある。
【0016】
その他、カラー画像特有の問題も生じる。すなわち、カラー画像の場合、写真などの中間調画像や色背景中に色文字や色線画が存在することがある。これらを前述した従来方法(各色成分毎に2値化してから、スムージンク処理する)等で処理すると、白ぬけを生じる恐れがある。例えば、図22(a)に示すように、写真画像中に文字エッジが存在する場合、前述した従来術による方法で単純にスムージンク処理すると、図22(b)に示すように、エッジ部は多値化される。これを印字した場合には、図22(c)に示すように、ジャギーは改善されるが写真部と文字部との境界で白ぬけが発生してしまう。
【0017】
上記白抜けの発生は、スムージング処理の結果、多値変換されたエッジ部の画素値が、変換前の元の背景色とは異なる値へと変換されてしまうことが原因である。すなわち、スムージンク処理において出力されるジャギー補正画素値(多値データ)は、背景(下地)画素値を考慮したものではなく、常に白画素が背景であること(文字線画は黒画素であること)を前提としているために生じる現象である。また、“色背景中(写真などの中間調背景)の白抜き文字”についても、これらの前提に当てはまらないため、スムージング処理を施すことができない。したがって、中間調背景中の中間調文字や中間調線画をスムージング処理することができない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
以上、これまで説明してきた従来技術によるスムージング処理の問題点は次の通りである。
▲1▼従来技術では、入力画像として、白黒2値画像を対象としており、カラー多値画像をそのまま扱うことができない。その結果、濃度が中間調レベルの文字や線画についてはスムージング処理することができない。
▲2▼カラー多値画像を一旦2値化した後、従来技術によるスムージング処理を行う場合には、エッジ部はスムージンク処理された多値データとなるが、その他の部分においては階調が失われ、劣化したままである。また、黒文字、白背景を前提とした処理のため、写真画像中の文字・線画の場合には、エッジ部で白ぬけを生じることがある。
【0019】
▲3▼カラー多値データからなるジャギー検出パターン、出力パターンを用いる方法は、そのパターン数、組み合せ数が膨大なものとなり、これらを記憶するためのメモリ量が増大する。
▲4▼“白抜き文字・線画”を含む中間調背景に含まれる中間調文字や中間調線画をスムージング処理できない。
【0020】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、ジャギー検出パターンを増やすことなく、また、白抜けの発生を防止して、カラー多値画像における中間調背景付きカラー中間調文字・中間調線画にスムージング処理を施すことができる画像処理装置、画像処理方法および記憶媒体を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述した問題点を解決するために、本発明は、多値画像データから文字・線画に対応する2値画像データを生成する2値化手段と、複数のジャギー検出パターンと、該ジャギー検出パターンに対応する前記2値画像データの画素の濃度値の変換割合を示す画素変換率とを記憶する記憶手段と、前記2値化手段によって生成された2値画像データが前記記憶手段に記憶されている前記複数のジャギー検出パターンのいずれかと一致するか否かを判断し、一致したジャギー検出パターンに対応する画素変換率を出力するパターンマッチング手段と、前記パターンマッチング手段によって、いずれかのジャギー検出パターンに一致したと判断された2値画像データに対応する、前記多値画像データの文字・線画を構成する画素の濃度、前記文字・線画を構成する画素の近傍に存在する背景部を構成する画素の濃度、および前記画素変換率に基づいて、前記多値画像データのジャギーを構成する画素の変換濃度を算出する変換濃度算出手段とを具備することを特徴とする。
【0024】
また、上述した問題点を解決するために、本発明は、コンピュータに、多値画像データから文字・線画に対応する2値画像データを生成する2値化機能と、複数のジャギー検出パターンと、該ジャギー検出パターンに対応する前記2値画像データの画素の濃度値の変換割合を示す画素変換率とを記憶手段に記憶させる記憶機能と、生成された前記2値画像データが前記記憶手段に記憶されている前記複数のジャギー検出パターンのいずれかと一致するか否かを判断し、一致したジャギー検出パターンに対応する画素変換率を出力するパターンマッチング機能と、いずれかのジャギー検出パターンに一致したと判断された2値画像データに対応する、前記多値画像データの文字・線画を構成する画素の濃度、前記文字・線画を構成する画素の近傍に存在する背景部を構成する画素の濃度、および前記画素変換率に基づいて、前記多値画像データのジャギーを構成する画素の変換濃度を算出する変換濃度算出機能とを実現させるプログラム記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0025】
この発明によれば、多値画像データ中の文字・線画のジャギーをジャギー検出手段により検出し、変換濃度算出手段により、前記ジャギー部分の文字・線画を構成する画素の濃度、および前記ジャギー部分の文字・線画を構成する画素の近傍に存在する背景部を構成する画素の濃度に基づいて、前記ジャギー部分の文字・線画を構成する画素の変換濃度を算出する。また、ジャギー検出では、2値化データに変換して行う。したがって、ジャギー検出パターンを増やすことなく、また、背景濃度を考慮してジャギー部分の変換濃度を決定するので、白抜けの発生を防止して、カラー多値画像における背景付きカラー中間調文字・中間調線画にスムージング処理を施すことが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の実施形態で用いるデータについて説明する。以下に述べる各実施形態では、基本的には、カラー多階調画像を対象とするが、白黒多階調画像であっても処理は可能である。カラー多値画像データは、一般的に、1つの画素データを複数のコンポーネントで表す。それらの色空間には、「赤(R)、緑(G)、青(B)」、「イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)」、「明度(L*)、色相(H*)、彩度(C*)」、「L*、a*、b*」などがある。いずれの場合も、各コンポーネント毎の多値画素データについて処理することが可能である。また、以下に述べる各実施形態では、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)等を用いたDTPで作成された写真や色文字、線画を含むカラー画像データ(色成分:Y,M,C,K)を、多値出力可能なカラーレーザプリンタから出力する場合を想定している。
【0027】
A.第1実施形態
A―1.第1実施形態の構成
以下に、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。図において、画像入力は、多値カラーラスタ画像データ(以下、多値画像データという)および画像属性情報データ(以下、属性情報データまたはタグデータという)からなる。多値画像データおよび属性情報データは、PC等を通じて作成された文書画像を表すプリンタ記述言語(PDL:Printer Description Language)を展開することにより得られる。本第1実施形態では、多値画像データの色成分を、Y,M,C,Kの4色とする。画像処理装置には、Y,M,C,Kの色成分毎に、多値画像データおよび属性情報データが順次供給される。
【0028】
また、上記属性情報データとは、元の文書画像の各部分がどのような属性を持つか表したデータであり、ここでは、文字、線画(CG等のグラフィック)、写真の3つの属性に分類されるものとする。属性情報データは、PDL中に記載されている情報に基づいて作成される。これらの属性情報データの各々を便宜上タグ(Tag)と呼ぶことにする。例えば、画像の文字部分を表す部分は文字タグ、線画部は線画タグ、写真部は写真タグデータとする。
【0029】
画像メモリ81は、主走査方向に17画素、副走査方向に9画素からなるメモリであり、上記多値画像データを記憶する。Tagメモリ82は、画像メモリ81に記憶される17×9画素の各画素に対応する属性情報データ(タグデータ)を記憶する。Tag判別回路83は、Tagメモリ82に記憶されたタグデータのうち、文字または線画を表す画素を検知し、検知結果を2値化回路84に供給する。2値化回路84は、Tag判別回路83の検知結果に基づいて、画像メモリ81に記憶された多値画像データの文字・線画部に対して2値化処理を行う。
【0030】
パターンマッチング回路85は、上記2値画像データと、ROM86に記憶されているジャギー検出パターンとのマッチング処理を行い、一致したジャギー検出パターンに対応してROM86に記憶されている画素変換率をスムージング処理値算出回路88に供給し、同様にROM86に記憶されている三角波選択信号SをSEL93に供給する。なお、画素変換率は、ジャギーを補正するためのスムージング処理後の画素濃度を算出するためのパラメータであり、三角波選択信号は、エッジを滑らかに印字するため(印字割れを防止するため)の信号であり、これらの詳細については後述する。また、ROM86は、複数のジャギー検出パターンおよび該ジャギー検出パターンに対応する画素変換率、三角波選択信号Sを記憶する。
【0031】
下地算出回路87は、画像メモリ81に記憶された多値画像データと、Tagメモリ82に記憶されたタグデータとに基づいて、文字・線画を表す画素の画素値(非下地値)、およびそれ以外の部分の画素値(下地値)を算出し、下地値および非下地値としてスムージング処理値算出回路88に供給する。スムージング処理値算出回路88は、パターンマッチング回路85で得られた画素変換率と下地算出回路87で算出した非下地値と下地値とから、スムージング処理値を算出し、D/Aコンバータ89に供給する。D/Aコンバータ89は、スムージング処理値算出回路88から出力される、スムージング処理後の多値画素値データ信号をアナログ信号に変換し、コンパレータ94の一方の入力端に供給する。
【0032】
次に、三角波発生装置90〜92は、各々、位相もしくは周期の異なる三角波A,B,Cを発生し、SEL93に供給する。SEL93は、上記三角波選択信号Sに従って、上記三角波発生装置90〜92から出力される三角波信号A,B,Cのいずれかを選択し、選択した三角波信号をコンパレータ94の他方の入力端に供給する。コンパレータ94は、D/Aコンバータ89で変換されたアナログ信号と、SEL93で選択された三角波信号とのレベル(振幅)を比較し、アナログ信号が三角波信号より大となると、オンとなるレーザ制御信号を出力する。該レーザ制御信号は、レーザプリンタなどの画像出力装置における画像形成部で、感光ドラムに潜像を形成するためのレーザ光のオン/オフを制御するために用いられる。
【0033】
上述した構成は、各色成分数分用意して並列に処理してもよいし(本第1実施形態に適用する場合、YMCKそれぞれ4つ用意する)、1つの構成で色成分数だけ処理を繰り返してもよい。以下の説明では、1つの構成で色成分数だけ繰り返し処理するものとし、Y色成分→M色成分→C色成分→K色成分の順(面順次)で行うものとする。各色成分でのスムージング処理が終了した後、各色成分毎に、図示しない画像出力装置(ディスプレイやカラー多値レーザプリンタ)へ出力され、印字(表示)処理が行われる。
【0034】
A−2.第1実施形態の動作
次に、上述した第1実施形態の動作について説明する。図2および図3は、第1実施形態の画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。PC等を通じて作成された文書画像は、プリンタ記述言語(PDL:Printer Description Language)で表された後、多値画像データおよび属性情報データに展開されて供給される。まず、図2に示すステップS101で、最初の色成分であるY成分の多値画像データと、これに対応する属性情報データ(タグデータ)とを読み込む。ここで、図4は、読み込まれた多値画像データの一例を示す概念図である。多値画像データは、前述したように、主走査方向に17画素、副走査方向に9画素分からなり、画像メモリ81に読み込まれる。また、図5は、読み込まれたタグデータの一例を示す概念図である。タグデータにおいては、値「0」が写真部分を表す画素であり、値「1」が文字部分を表す画素である。なお、図示していないが、線画部分は、値「2」となる。なお、本実施形態では、タグデータの値を便宜上このように設定しているが、その他の値でもよい。図4および図5のいずれにおいても、注目処理画素(中心画素)は太枠で示している。また、以降の処理は、画素単位に、上記17×9画素のウィンドウをラスター走査し、全画素について実施する。
【0035】
次に、ステップS102で、Tag判別回路83により、注目画素を中心とする3×3画素内に文字部分を表すタグデータが存在するか否かを判断する。まず、タグデータについて、注目画素を中心とする3×3画素領域に着目する。ここで、図6は、図5に示す17×9画素のタグデータから3×3画素を抜き出したものである。この例では、3×3画素領域内には、文字部分を表すタグデータ「1」が存在する。したがって、この場合、ステップS102における判断結果は「YES」となり、ステップS103〜S108へ進む。
【0036】
ステップS103では、図1に示す2値化回路84により、画像メモリ81に読み込まれた、図4に示す17×9画素の全てについて、文字タグに対応する画素の値を「255(黒)」とし、文字タグ以外に対応する画素(写真タグに対応する画素)の値を「0(白)」とする。ここでは、図4に示す多値画像データを2値化したが、図5に示すタグデータを2値化してもよい。この場合、文字タグデータが「255(黒)」となり、それ以外のタグデータが「0(白)」となる。図8は、2値化処理後の2値画像データを示す概念図である。中央のハッチングで示されている画素が注目画素(黒画素)である。
【0037】
次に、ステップS104で、パターンマッチング回路85により、上記2値画像データに対してジャギー検出を行う。ジャギー検出の手法は、従来技術で説明した2値画像入力用に行われているものをそのまま用いればよい。本実施形態では、予め用意されたジャギー検出パターンと比較する手法を用いることとする。ジャギー検出パターンは、周期(段差)の長いもの、短いものなど複数用意しておく。ここで、図9は、ジャギー検出パターンの一例を示す概念図である。図示の例では、主走査方向に黒画素が9画素連続後、副走査方向に1画素分黒画素が変移する周期を持つジャギーを検出するパターンである。このように、黒画素を中心画素とするパターンや、白画素を中心とするパターンなど複数用意されている。
【0038】
そして、上記2値画像データがいずれかのジャギー検出パターンと一致する場合には、そのジャギー検出パターンに対応して設定した画素変換率(%)および三角波選択信号Sを出力する。ここで、画素変換率とは、ジャギー対象画素の濃度値を基準に、どの程度の割合(%)の濃度値へ変換するかを示す値であり、予め適切な値がジャギー検出パターン毎に設定されている。詳細はS107で説明する。一方、ジャギー検出パターンと一致しない場合には、画素変換率としては、100%を出力(スムージング処理を行わないのと同等)し、三角波選択信号Sとしては、予め設定したデフォルト値を出力する。画素変換率信号は、スムージング処理算出回路88に供給され、三角波選択信号Sは、SEL93に供給される。
【0039】
ここで、図11は、ジャギー検出パターンと、これに対応して出力される画素変換率(%)と三角波選択信号Sの一部を示す概念図である。図において、数値は、画素変換率(%)である。三角波選択信号Sは、1画素クロックの間で図示した太線の傾斜を持つ三角波を、三角波A,B,C(図20参照)のうちから選択することを示している。実際の処理では、前述したように、図示以外にも多数のパターンが用意されている。
【0040】
一方、ステップS105、S106では、下地算出回路87により、非下地値および下地値が算出される。まず、ステップS105で、図1に示す画像メモリ81に記憶されている多値画像データとTagメモリ82に記憶されているタグデータとから、注目画素を中心に3×3画素を参照し、文字タグに対応する画素(非下地)で最大となる最大画素値Aを算出する。次に、ステップS106で、非文字タグに対応する画素群(下地)の平均画素値Bを算出する。
【0041】
ここで、図10は、図4に示す多値画像データの注目画素を中心とする3×3画素を示す概念図である。図10に示す例では、A=128となる。また、図10に示す例では、(210+206+216+210)/4=210.5となり、四捨五入してB=211となる。これら下地値(=B)、非下地値(=A)は、スムージング処理値算出回路88に供給される。なお、ここでは、非下地値は、文字タグに対応する画素の最大値としたが、平均値あるいは他の基準で算出してもよい。同様に、下地値は、非文字タグに対応する画素の平均値としたが、非下地値と同様に最大値を基準としたり、他の基準で算出してもよい。さらに、非下地値、下地値を算出するために、処理画素中心の3×3画素内の画素を用いたが、この限りではない。参照可能な領域の画素を用いて、別の基準(演算)で下地値、非下地値を算出してもよい。
【0042】
次に、図2に示すステップS107で、スムージング処理値演算回路88により、パターンマッチング回路85から供給される画素変換率、下地算出回路87から供給される非下地値Aおよび下地値Bを用いて、次式(1)により、下地(背景)の濃度を考慮したジャギー補正変換画素値(スムージング処理値)を算出する。
【数1】
【0043】
例えば、パターンマッチング回路85から出力された画素変換率が80%、非下地値A=128、下地値B=211であった場合には、128×0.8+211(1−0.8)=144.6、四捨五入して「145」が変換画素値(スムージング処理値)となる。該変換画素値(スムージング処理値)は、D/Aコンバータ89に供給される。
【0044】
次に、ステップS108では、上記三角波選択信号Sおよび変換画素値に従って、波形制御印字が行われる。具体的には、D/Aコンバータ89では、変換画素値(多値画素データ)がアナログ信号に変換され、コンパレータ94の一方の入力端に供給される。また、SEL93では、三角波選択信号Sに基づいて三角波発生装置90〜92が発生する三角波A,B,Cのうち、いずれか1つが選択され、コンパレータ94の他方の入力端に供給される。
【0045】
SEL93に供給される三角波信号A,B,Cは、前述した図20に示す通りである。すなわち、三角波信号Aは、1画素毎の信号に同期し、画素クロックの2倍の周期を有する。また、三角波信号Bは、上記三角波信号Aを位相反転した波形を有する。そして、三角波信号Cは、画素クロックと同じ周期を有する。コンパレータ94では、アナログ信号が三角波信号より大となると、オンとなるレーザ制御信号を出力する。前述したように、このようにレーザ制御信号を生成することによって、文字・線画を出力する際に、特にエッジ部において印字割れのない、より滑らかなエッジ部を再現することが可能となる。
【0046】
すなわち、上記数式(1)によるスムージング処理とともに、印字の際には、エッジ部において画素が引き寄せられる効果が加えられ、さらに高精細なスムージング処理が行うことができることになる。なお、ステップS104において、ジャギーが存在しないと判定された場合には、デフォルトの三角波として図20に示す三角波信号Cが選択されるものとし、この場合の画素変換率は、前述したように、「100%」とする。
【0047】
したがって、従来、黒画素(または最高濃度値「255」の画素)のみしかスムージング処理を行えなかったのに対し、本第1実施形態では、黒画素値以外の濃度(中間調)を有する文字画素に対してもスムージング処理を行うことが可能となる。また、従来のスムージング処理では、白抜けを生じていたが、本第1実施形態では、下地値(非下地値)、言い換えると背景の濃度を考慮した数式(1)により、最終的な変換画素値を算出するので、白ぬけが発生することがない。さらに、従来技術では、色背景や写真中の白抜き文字(文字部の濃度値が「0」)に対してはスムージング処理できなかったが、本第1実施形態では、上記数式(1)が示すように、背景部の画素濃度が変換画素値に反映されるため、その輪郭部(エッジ部)において確実にスムージング処理することが可能となる。
【0048】
一方、ステップS102における判断において、処理画素中心の3×3画素領域内に文字部分を表すタグデータ「1」が存在しない場合、例えば、図7に示すように、3×3画素領域内に「2」が存在する場合(線画タグが存在する場合)には、判断結果は「NO」となり、図3に示すステップS109へ進む。ステップS109では、Tag判別回路83により、3×3画素領域内に線画部を表すタグデータ「2」が存在するか否かを判断する。そして、図7に示すように、線画部を表すタグデータ「2」が存在する場合には、ステップS110〜S115の処理を実行する。
【0049】
まず、ステップS110で、図1に示す2値化回路84により、画像メモリ81に読み込まれた、17×9画素について、線画タグに対応する画素の値を「255(黒)」とし、線画タグ以外に対応する画素の値を「0(白)」とする。次に、ステップS111で、前述したステップS104と同様に、ジャギー検出処理を施す。これにより、対応する画素変換率、三角波選択信号Sがそれぞれ出力される。
【0050】
また、一方で、ステップS112、S113で、ステップS105、S106と同様に、下地値および非下地値を算出する。まず、ステップS112では、下地算出回路87により、図1に示す画像メモリ81に記憶されている多値画像データとTagメモリ82に記憶されているタグデータとから、注目画素を中心に3×3画素を参照し、線画タグに対応する画素(非下地)で最大となる最大画素値Aを算出する。また、ステップS113で、非線画タグに対応する画素群(下地)の平均画素値Bを算出する。
【0051】
そして、ステップS114で、スムージング処理値算出回路88により、画素変換率、非下地値A、下地値Bを用いて、前述した数式(1)から、変換画素値(スムージング処理値)を算出する。次に、ステップS115で、前述したステップS108と同様に、変換画素値、三角波選択信号Sを用いて、波形制御されたレーザ制御信号を生成する。なお、ジャギーが検出されなかった場合には、画素変換率を100%とし、三角波選択信号Sにより三角波Cを選択することは前述した通りである。
【0052】
一方、ステップS109での判定が「NO」であった場合、すなわち、3×3画素領域内に文字タグ「1」、線画タグ「2」のいずれも存在しない場合には、文字や線画がないので、ステップS116へ進み、入力画像の画素値をそのまま印字出力する。この場合、波形制御に用いる三角波には、例えば三角波Cを用いる。
【0053】
上述した処理は、各色成分、各画素毎に行われる。すなわち、Y成分画像の処理が終了後、続いてM成分画像、そしてC成分画像、最後にK成分画像を面順次で処理し、レーザプリンタ等から出力する。
【0054】
なお、上述した第1実施形態による処理において、文字タグ画素を線画タグ画素に優先してスムージング処理するように判別処理(S102の後にS109の判別処理)を行っているが、これは、CGなどのグラフィック上に文字が存在する場合を考慮したもので、例えば、べたなど色背景中の文字部に対してスムージング処理が施されることを念頭においている。但し、必要に応じて、線画を文字に優先するように構成してもよい(S102を線画タグの有無を判定し、S109で文字タグの有無を判定する構成)。または、文字と線画の優先順位を設けず(判別処理を行わず)、これらの画素に対しては、必ずスムージング処理を実施するように構成してもよい。その他、タグ判別をこれらとは異なる基準で設け、スムージング処理を実施するか否かを決定する構成としてもよい。
【0055】
また、第1実施形態のその他の効果として、スムージング処理値算出回路88から出力される多値データ信号(スムージング処理値:変換画素値)のみを取り出して、PC用モニタなどCRT表示した場合においても、スムージングの効果が同様に得られる。この場合、得られたスムージング処理値(濃度値)をCRT表示用に輝度値に変換すればよい。これにより、プリンタ出力した場合と同様に、背景を持つ中間調濃度の文字や線画をCRT表示する場合においても、ジャギーのない滑らかな画像表示を行うことができ、より鮮明なものとなる。また、印字出力する前に、CRT上でスムージング処理の効果を確かめる、といった用途にも活用できる。
【0056】
ここで、図12は、CRT表示を行った場合の効果を示す概念図である。図12(a)は、スムージング処理前の背景付き文字の一部を示したものであり、スムージング処理後、図12(b)に示すように、ジャギーが滑らかに改善されて表示されていることが分かる。また、図13は、従来のスムージング処理では不可能であった、中間調背景を持つ、白抜き文字における効果を示す概念図である。図13(a)がスムージング処理前であり、図13(b)がスムージング処理後で、ジャギーが滑らかに補正されていることが分かる。このように、本第1実施形態によれば、ジャギー検出パターンを増やすことなく、カラー多値画像における背景付きカラー中間調文字・中間調線画にスムージング処理を施すことができる。
【0057】
B.第2実施形態
B―1.第2実施形態の構成
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図14は、本発明の第2実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。第2実施形態において、第1実施形態と異なる点は、Tagメモリ82、Tag判別回路83、2値化回路84に代えて、エッジ検出型2値化回路95を設けたところにある。エッジ検出型2値化回路95は、画像メモリ81に記憶されている、17×9画素の多値画像データに対して、例えば、Sobel、ラプラシアンなど、既存の微分オペレータを用いて、エッジ強度が予め設定されたしきい値を超える画素が、注目画素を中心とする3×3画素周辺に存在する場合、注目画素がエッジ画素であると判断し、エッジ画素を「255(黒画素)」、非エッジ画素を「0(白画素)」に変換して2値化する。上記しきい値は、予め実験的に設定される。
【0058】
B−2.第2実施形態の動作
次に、第2実施形態の動作について説明する。ここで、図15は、本第2実施形態による画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。まず、PC等を通じて作成された文書画像は、プリンタ記述言語(PDL:Printer Description Language)で表された後、多値画像データに展開されて供給される。なお、入力される画像は、PC等を通じて作成されない画像、例えば、スキャナ等から入力される多値ラスター画像であってもよい。
【0059】
まず、ステップS201で、最初の色成分であるY成分の17×9画素分の多値画像データを画像メモリ81に読み込む。次に、ステップS202で、エッジ検出型2値化回路95により、17×9画素の画像データ全てに対してエッジ検出処理を施し、エッジ強度が予め設定されたしきい値を超える画素が、注目画素を中心とする3×3画素周辺に存在するか否かを判断する。そして、存在する場合には、注目画素がエッジ画素であると判断し、ステップS203〜S208の処理を実行し、エッジ画素が存在しない場合には、ステップS209の処理を実行する。
【0060】
ステップS203では、入力された17×9画素内の領域で、エッジ強度がしきい値を超えるエッジ画素を「255」、しきい値以下の非エッジ画素を「0」に変換して2値化する。例えば、入力された多値画像データが図4に示すものとし、2値化の結果、図8に示すパターンが得られたとする。次に、ステップS204で、第1実施形態と同様にジャギー検出パターンマッチング処理を実施し、画素変換率(%)および三角波選択信号Sを取得する。
【0061】
一方、ステップS205では、下地算出回路87において、画像メモリ81に記憶されている多値画像データおよびエッジ検出型2値化回路95によるエッジ検出処理の結果に従って、注目画素を中心とする3×3画素領域内で、エッジと判定された画素のうち(2値化処理の結果、黒画素となる部分:図8の注目画素まわり3×3画素)、図4の注目画素周辺3×3画素内で画素値が最大となる最大画素値Aを算出する。図4に示す例では、3×3画素内の画素値は、図10に示すようになり、これから画素値Aを求めると、A=128となる。これが非下地値となる。また、ステップS206では、非エッジ画素群の平均画素値Bを算出する。図4に示す例の場合、(210+206+216+210)/4=210.5、四捨五入してB=211となる。これが下地値(背景値)となる。
【0062】
なお、非下地値Aは、エッジ(文字)対応画素の最大値としたが、平均値、あるいは他の基準で設定してもよい。同様に、下地値Bは、非エッジ(非文字)対応画像の平均値としたが、非下地値と同様に最大値を基準としたり、他の基準で設定してもよい。さらに、非下地値、下地値を算出するために処理画素中心の3×3画素内の画素を用いたが、この限りではない。参照可能な領域の画素を用いて、別の基準(演算)で下地値、非下地値を算出してもよい。
【0063】
次に、図15に示すステップS207で、スムージング処理値演算回路88により、パターンマッチング回路85から供給される画素変換率、ならびに下地算出回路87から供給される非下地値Aおよび下地値Bを用いて、前述した数式(1)により、下地(背景)の濃度を考慮した変換画素値(スムージング処理値)を算出する。該変換画素値(スムージング処理値)は、D/Aコンバータ89に供給される。
【0064】
次に、ステップS208では、上記三角波選択信号Sおよび変換画素値に従って、波形制御印字が行われる。具体的には、D/Aコンバータ89で、変換画素値(多値画素データ)がアナログ信号に変換され、コンパレータ94の一方の入力端に供給される。また、SEL93では、三角波選択信号Sに基づいて三角波発生装置90〜92が発生する三角波A,B,Cのうち、いずれか1つが選択され、コンパレータ94の他方の入力端に供給される。SEL93に供給される三角波信号A,B,Cは、前述した第1実施形態と同様、図20に示す通りである。コンパレータ94では、アナログ信号が三角波信号より大となると、オンとなるレーザ制御信号を出力する。したがって、第1実施形態と同様に、印字割れの発生を防止することができる。
【0065】
一方、ステップS202での判定が「NO」であった場合、すなわち、3×3画素領域の注目画素がエッジ画素でない場合には、ステップS209へ進み、入力画像の画素値をそのまま印字出力する。この場合、波形制御に用いる三角波は、例えば三角波Cを用いる。
【0066】
上述した処理は、各色成分、各画素毎に行われる。すなわち、Y成分画像の処理が終了後、続いてM成分画像、C成分画像、そしてK成分画像に対してスムージング処理を面順次で実施し、得られたデータをプリンタ等から出力する。
【0067】
このように、本第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様に、ジャギー検出パターンを増やすことなく、また、白抜けの発生を防止して、カラー多値画像における背景付きカラー中間調文字・中間調線画にスムージング処理を施すことができる。また、第2実施形態のその他の効果として、第1実施形態と同様に、スムージング処理値算出回路88から出力される多値データ信号(スムージング処理値:変換画素値)のみを取り出して、PC用モニタなどCRT表示した場合においても、スムージングの効果が同様に得られる。
【0068】
C.変形例
なお、上述した第1または第2実施形態の変形例としては、スムージング処理値算出回路88において、Y,M,C,Kで独立にスムージング処理値を数式(1)を用いて算出しているが、「Y,M,C,K各色成分間における画像特性量の相関関係」を用いて、下地値、非下地値、画素変換率を求めて、スムージング処理値を求めるようにしてもよい。相関関係とは、例えば、Y,M,C,Kそれぞれの画素濃度差、エッジ強度差、分散比などが挙げられるが、その他の基準でもよいことは言うまでもない。画像処理によって、これら各色成分間毎の相関を数値化して求めればよい。但し、このような構成の場合には、Y,M,C,Kを独立に処理するのではないので、予め画像メモリ81に4色分のデータを読み込んでおく必要がある。また、スムージング値算出回路88においても、4色分のデータを処理する構成を付加しておく必要がある。
【0069】
また、上述した第1または第2実施形態における他の変形例としては、全てソフトウェア化しておき、フロッピーディスクや光磁気ディスク、ハードディスク、あるいはROMやRAMなどの記憶媒体に記憶しておき、所定の機器に接続、同様のスムージング処理を行うといったことも可能である。
【0070】
さらに、上述した第2実施形態では、エッジ強度に応じて、スムージング処理を行うか否かを選択しているが、その他の基準で選択するようにしてもよい。例えば、従来広く提案されている、濃度分布、あるいは画像分散値などの画像統計量、その他の画像特性量に基づく、絵文字分離処理や細線検知処理などを行ってから、抽出した領域に対してスムージング処理を実施するといった方法も可能である。これらの検知処理とエッジ検出処理とを合わせた処理を行えば、さらに高精度なエッジスムージング処理が実施可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明によれば、多値画像データ中の文字・線画のジャギーをジャギー検出手段により検出し、変換濃度算出手段により、前記ジャギー部分の文字・線画を構成する画素の濃度、および前記ジャギー部分の文字・線画を構成する画素の近傍に存在する背景部を構成する画素の濃度に基づいて、前記多値画像データのジャギー部分を構成する画素の変換濃度を算出するようにしたことにより、ジャギー部分の変換濃度が背景濃度を考慮して決定され、白抜けの発生を防止することができ、また、ジャギー検出では、2値化データに変換して行うようにしたので、ジャギー検出パターンを増やすことなく、カラー多値画像における中間調背景付きカラー中間調文字・中間調線画にスムージング処理を施すことができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 第1実施形態による画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】 第1実施形態による画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 第1実施形態および第2実施形態で、入力される多値画像データの一例を示す概念図である。
【図5】 第1実施形態で、入力される属性情報(タグ)データの一例を示す概念図である。
【図6】 注目画素を中心とする3×3画素領域内の属性情報(タグデータ)を示す概念図である。
【図7】 注目画素を中心とする3×3画素に文字以外のタグデータ(線画タグ)が存在する場合を示す概念図である。
【図8】 文字部のみを黒、それ以外を白とする2値化処理を説明するための概念図である。
【図9】 ジャギーを検出するためのジャギー検出パターンの一例を示す概念図である。
【図10】 入力多値画像データの注目画素を中心とする3×3画素を示す概念図である。
【図11】 ジャギー検出パターンと、これに対応して出力される画素変換率(%)と三角波選択信号Sの一部を示す概念図である。
【図12】 CRT表示を行った場合の効果を示す概念図である。
【図13】 従来のスムージング処理では不可能であった、中間調背景を持つ、白抜き文字における効果を示す概念図である。
【図14】 第2実施形態による画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図15】 第2実施形態による画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】 従来技術によるジャギー検出パターンマッチングによるスムージング処理を説明するための概念図である。
【図17】 従来技術によるパルス幅変調方式を用いる画像処理装置の一部構成を示すブロック図である。
【図18】 従来技術によるパルス幅変調方式を用いる画像処理装置によって生成されるレーザ制御信号を示す概念図である。
【図19】 従来技術による複数の三角波を用いるパルス幅変調方式を用いる画像処理装置の一部構成を示すブロック図である。
【図20】 従来技術による複数の三角波を用いるパルス幅変調方式による動作を説明するための概念図である。
【図21】 従来技術による複数の三角波を用いるパルス幅変調方式によって生成されるレーザ制御信号を示す概念図である。
【図22】 従来技術によるスムージング処理よる白ぬけ発生を説明するための概念図である。
【符号の説明】
81 画像メモリ
82 Tagメモリ
83 Tag判別回路
84 2値化回路(2値化手段)
85 パターンマッチング回路(ジャギー検出手段、パターンマッチング手段)
86 ROM(記憶手段)
87 下地算出回路(下地算出手段)
88 スムージング処理値算出回路(変換濃度算出手段)
89 D/Aコンバータ
90,91,92 三角波発生装置(パターン波形発生手段)
93 SEL(選択手段)
94 コンパレータ(信号生成手段)
95 エッジ検出型2値化回路
Claims (10)
- 多値画像データから文字・線画に対応する2値画像データを生成する2値化手段と、
複数のジャギー検出パターンと、該ジャギー検出パターンに対応する前記2値画像データの画素の濃度値の変換割合を示す画素変換率とを記憶する記憶手段と、
前記2値化手段によって生成された2値画像データが前記記憶手段に記憶されている前記複数のジャギー検出パターンのいずれかと一致するか否かを判断し、一致したジャギー検出パターンに対応する画素変換率を出力するパターンマッチング手段と、
前記パターンマッチング手段によって、いずれかのジャギー検出パターンに一致したと判断された2値画像データに対応する、前記多値画像データの文字・線画を構成する画素の濃度、前記文字・線画を構成する画素の近傍に存在する背景部を構成する画素の濃度、および前記画素変換率に基づいて、前記多値画像データのジャギーを構成する画素の変換濃度を算出する変換濃度算出手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。 - 前記2値化手段は、前記多値画像データとともに入力され、前記多値画像データ中の少なくとも絵柄部、文字部、線画部を識別可能に表す画像属性データに基づいて、前記多値画像データを2値化することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記2値化手段は、前記多値画像データを少なくとも絵柄部と文字・線画部とに分離し、該分離結果に基づいて前記多値画像データを2値化することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 位相または周期が異なる複数のパターン波形を発生するパターン波形発生手段と、
前記パターンマッチング手段によって一致したと判断されたジャギー検出パターンに基づいて、前記パターン波形発生手段が発生する複数のパターン波形のうち、いずれか1つを選択する選択手段と、
前記変換濃度算出手段により算出された変換濃度と前記選択手段により選択されたパターン波形とに基づいて、オン/オフ信号を生成する信号生成手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記記憶手段は、さらに、前記パターン波形発生手段が発生する複数のパターン波形のうち、いずれか1つを選択するための選択情報を記憶し、前記パターンマッチング手段は、前記複数のジャギー検出パターンのいずれかと一致したジャギー検出パターンに対応する画素変換率とともに、対応する選択情報を出力し、
前記選択手段は、前記選択情報に従って、前記パターン波形発生手段が発生する複数のパターン波形のいずれか1つを選択することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。 - コンピュータに、
多値画像データから文字・線画に対応する2値画像データを生成する2値化機能と、
複数のジャギー検出パターンと、該ジャギー検出パターンに対応する前記2値画像データの画素の濃度値の変換割合を示す画素変換率とを記憶手段に記憶させる記憶機能と、
生成された前記2値画像データが前記記憶手段に記憶されている前記複数のジャギー検出パターンのいずれかと一致するか否かを判断し、一致したジャギー検出パターンに対応する画素変換率を出力するパターンマッチング機能と、
いずれかのジャギー検出パターンに一致したと判断された2値画像データに対応する、前記多値画像データの文字・線画を構成する画素の濃度、前記文字・線画を構成する画素の近傍に存在する背景部を構成する画素の濃度、および前記画素変換率に基づいて、前記多値画像データのジャギーを構成する画素の変換濃度を算出する変換濃度算出機能と
を実現させるプログラム記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 前記2値化機能は、前記多値画像データとともに入力され、前記多値画像データ中の少なくとも絵柄部、文字部、線画部を識別可能に表す画像属性データに基づいて、前記多値画像データを2値化することを特徴とする請求項6記載の記録媒体。
- 前記2値化機能は、前記多値画像データを少なくとも絵柄部と文字・線画部とに分離し、該分離結果に基づいて前記多値画像データを2値化することを特徴とする請求項6記載の記録媒体。
- さらにコンピュータに、
位相または周期が異なる複数のパターン波形を発生するパターン波形発生機能と、
前記パターンマッチング手段によって一致したと判断されたジャギー検出パターンに基づいて、前記パターン波形発生機能が発生する複数のパターン波形のうち、いずれか1つを選択する選択機能と、
前記変換濃度算出機能により算出された変換濃度と前記選択機能により選択されたパターン波形とに基づいて、オン/オフ信号を生成する信号生成機能と
を実現させるプログラムを記録した請求項6記載の記録媒体。 - 前記記憶機能は、前記パターン波形発生機能が発生する複数のパターン波形のうち、いずれか1つを選択するための選択情報を記憶し、前記パターンマッチング手段は、前記複数のジャギー検出パターンのいずれかと一致したジャギー検出パターンに対応する画素変換率とともに、対応する選択情報を出力し、
前記選択機能は、前記選択情報に従って、前記パターン波形発生機能が発生する複数のパターン波形のいずれか1つを選択することを特徴とする請求項9記載の記録媒体。
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