JP3796157B2 - 高所作業車 - Google Patents

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進二 竹森
康弘 木▲崎▼
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伸縮式梯子の先端に取り付けられるバスケットを梯子の伸縮により昇降させる高所作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、伸縮式梯子(ブーム)の先端に取り付けられるバスケットを梯子の伸縮により昇降させる高所作業車(消防車または梯子車)を現場へ投入し、消火作業(および救出作業)を行う。火災の現場が高層の階であるときには、バスケットに作業員を乗せて、このバスケットを火災現場となったビルの消火作業(および救出作業)が可能な窓に接近させ、バスケットに乗った作業員が消火作業(および救出作業)を行っている。このような高所作業車にあっては、梯子の先端や梯子の先端に取り付けられるバスケットが、建築物や電柱等の障害物に不慮に衝突するのを防止するため、障害物検知センサが用いられている。
【0003】
例えば、特開平10−175799号公報には、車体に移動可能に取り付けられるバスケットの前面中央に障害物検知センサが配置され、障害物検知センサから、指向性を有する探査信号を発信し、その探査信号の発信時点と障害物における反射信号の受信時点との差に基づき、その障害物までの距離を検知する高所作業車が開示されている。この高所作業車の場合、探査信号の届く範囲である扇形領域内の障害物を検知し、その障害物が危険距離以下の場合に危険回避信号を出力することで、バスケットが障害物との衝突を回避できる。そして、この探査信号の発信方向は扇形領域を走査できるように変更可能とされている。この高所作業車では、伸縮式梯子(ブーム)の先端に取り付けられるバスケットを、梯子を伸ばして火災現場の目標物(ビルの窓)に接近させると、障害物との衝突を回避しながら目標物(ビルの窓)に接近させることができ、バスケットは目標物(ビルの窓)に対して適正な位置に近接配置させることが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年は、建築物の高層化が進み、ビル火災が発生すると、屋上に避難することが多くなっている。ビルの屋上には、フェンス、手すり、塀等で四方が囲まれているので、屋上に避難した被災者の救出作業では、バスケットはフェンス、手すり、塀等の障害物を乗り越えて屋上に配置させている。このように障害物を乗り越えてバスケットを配置させる場合、障害物検知センサをバスケットに配置した従来の高所作業車では、バスケットが障害物に対して接近していき、衝突する危険が生じた場合に、この障害物を検知して障害物との衝突を回避できる。しかしながら、バスケットが障害物に対して接近せず、障害物を乗り越えてしまうような場合には、この障害物がバスケットを支持するバスケット支持機構に衝突する危険が生じるが、このような場合には、バスケット支持機構に衝突する危険に対しての障害物の検知はできず、障害物との衝突の回避は人為的な操作にたよることになるため、伸縮式梯子(ブーム)を操作するオペレータや、バスケットに乗り込む作業員の習熟が必要であり、負担も大きいものであった。
【0005】
本発明は、フェンス、手すり、塀等の障害物を乗り越えさせるようにしてバスケットを目標位置に接近配置する場合に、バスケットを支持するバスケット支持機構が、これと衝突する危険のある障害物を検知できる高所作業車を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、伸縮式梯子を構成する最上段の単位梯子の先端に一端が軸支されたバスケット支持機構の他端にバスケットを取り付け、該バスケットを梯子の伸縮により昇降させると共に、前記バスケット支持機構を遠隔操作装置を操作することにより屈曲させて前記バスケットの位置を変位させ、障害物を乗り越えさせるようにして前記バスケットを目標位置に接近配置させる高所作業車であって、指向性を有する探査信号を発信して障害物までの距離を検知する複数の障害物検知センサを前記バスケット支持機構の複数個所に配置して、前記障害物検知センサの探査信号の発信により前記バスケット支持機構の複数個所に配置した各障害物検知センサに対する障害物までの距離を検知して、前記バスケット支持機構を、障害物に対して接近配置して前記バスケット支持機構の屈曲動作を行い、前記各障害物検知センサがバスケット支持機構の屈曲動作を継続すると障害物と衝突する危険があることを示した場合には屈曲動作を停止し、前記伸縮式梯子の位置を変更させて前記遠隔操作装置を操作することにより前記バスケット支持機構の位置や屈曲方向を変え、その後、前記各障害物検知センサがバスケット支持機構の屈曲動作の継続が可能であることを示した場合には、前記遠隔操作装置を操作することによりバスケット支持機構の屈曲動作を再開し、前記各障害物検知センサが目標位置までの距離を検知して、前記バスケット支持機構の屈曲により前記バスケットを目標位置に近接配置させることを特徴とする高所作業車である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る高所作業車の側面図で、高所作業車としては消防用梯子車を採用している。図2は図1に示した高所作業車に付属する伸縮可能な梯子の第1の形態での動作説明図、図3は図1に示した高所作業車に付属する伸縮可能な梯子の第2の形態での動作説明図、図4は図3に示した伸縮可能な梯子の平面図である。
【0008】
図において、消防用梯子車1は、車体2に縦軸中心に回転可能に取り付けられる旋回台3と、この旋回台3に横軸4中心に揺動可能に取り付けられる支持台5と、この支持台5に取り付けられる伸縮可能な梯子6とを備える。その梯子6は、その支持台5に固定される固定単位梯子6aと、この固定単位梯子6aに長手方向に移動可能に取り付けられる複数の可動梯子6b、6c、6d、6eと、最先端の可動梯子6eの先端に一端が軸支されたバスケット支持機構20の他端に取り付けられるバスケット(高所作業用移動体)7とを有し、そのバスケット7に高所作業時に人間が乗り込み可能とされている。なお、バスケット7には、図示が省略されているが、梯子駆動装置8、バスケット変位装置15およびバスケット平衡装置16を作動、停止させる遠隔操作装置(リモートコントローラ)12が設けられている。
【0009】
最先端の可動梯子6eの先端には、バスケット支持機構20の一対の側柱の先端が軸支されて、可動梯子6eの先端で屈曲可能となっている。バスケット支持機構20は、一対の側柱21a,21b間に一定間隔をあけて水平にわたして固定された複数のステップ22a〜22hから成る梯子23と、この梯子の他端の両側柱21a,21bの先端に各一端が軸支され他端にバスケット7が取付られる一対の可動フレーム24a,24bで構成されている。
【0010】
15はバスケット変位装置を示し、バスケット支持機構20を屈曲させてバスケット7の位置を変位させるものであり、シリンダチューブの基端(後端)側が五段目単位梯子6eに回動可能に固定され、ロツドの先端がバスケット支持機構20の後端に回動可能に固定されている油圧シリンダ15aと、この油圧シリンダ15aを作動させる油圧機構(図示が省略されている。)と、この油圧機構を制御する制御部(図示が省略されている。)とで構成されている。
【0011】
また、16はバスケット平衡装置を示し、バスケット7を水平に保持するものであり、バスケット7に取り付けた傾斜角度検出センサ(図示が省略されている。)と、シリンダチューブの基端(後端)側がバスケット支持機構20を構成する梯子23の側柱21aに回動可能に固定され、ロッドの先端が側柱21aの先端と可動フレーム24aに固定された支持バー26a,26bを軸支し、バスケット7を間接(直接であってもよい。)回動可能に固定されている油圧シリンダ16aと、この油圧シリンダ16aを作動させる油圧機構(図示が省略されている。)と、この油圧機構を制御する制御部(図示が省略されている。)とで構成されている。この油圧シリンダ16aの作動により、自動的にロッドが突き出したり、引っ込んだりしてバスケット7を水平に保持する。
【0012】
また、図4に示すように、可動フレーム24aの先端、ステップ22b,22e,22g及び両側柱21a,21bとステップ22cとの交差位置には、障害物検知センサS1〜S7が取付けられている。
【0013】
次に、救出時の動作について説明する。まず、救出員(作業員)がバスケット7へ乗り込み、バスケット7内の救出員が遠隔操作装置10を操作することにより、バスケット平衡装置11を作動させてバスケット7の底を水平に保持させる。そして、バスケット7内の救出員が遠隔操作装置12を操作することにより、梯子駆動装置8を作動させ、図2に示すように、バスケット支持機構20が屋上の手摺り11よりも高くなるように、伸縮式梯子6を伸長させ、手摺り11に第5段単位梯子6eを近づける。
【0014】
このとき、各障害物検知センサS1〜S7から、指向性を有する探査信号を発信し、バスケット7が障害物(屋上の手摺り11)に対して接近していく時点では、その探査信号の発信時点と障害物(屋上の手摺り11)における反射信号の受信時点との差に基づき、その障害物(屋上の手摺り11)までの距離を検知して、その障害物(屋上の手摺り11)が危険距離以下の場合に危険回避信号を出力することで、障害物(屋上の手摺り11)との衝突を回避しながらバスケット7及びバスケット支持機構20を、障害物(屋上の手摺り11)に対して適正位置に接近配置できる。
【0015】
次にバスケット7内の救出員は、バスケット7が障害物(屋上の手摺り11)に対して適正位置に接近配置されると、遠隔操作装置10に付属する表示装置に各障害物検知センサS1〜S7に対する障害物(屋上の手摺り11)までの距離に対応した接近レベルが表示されるので、この障害物検知センサS1〜S7に対する接近レベルを確認して、バスケット支持機構20の屈曲動作の継続が可能か否かを判断する。
【0016】
接近レベルは、障害物検知センサS1〜S7が検知した障害物までの距離が、1000mm以上で接近レベル0、600〜1000mm未満で接近レベル1、500〜600mm未満で接近レベル2、400〜500mm未満で接近レベル3となっており、接近レベル0〜3の範囲であればバスケット支持機構20の屈曲動作の継続が可能であるので、救出員はそのままバスケット支持機構20の屈曲動作を継続する。接近レベル4は、障害物検知センサS1〜S7が検知する障害物までの距離が400mm以下で、バスケット支持機構20の屈曲動作を継続すると障害物と衝突する危険があることを示す。
【0017】
例えば、障害物検知センサS1〜S7のいずれかが接近レベル4を検知すると、遠隔操作装置10に付属する接近レベル4を音響装置から障害物と衝突する危険があることを知らせる警告音声、またはブザー音が出力され、救出員はバスケット支持機構20の屈曲動作を一旦、停止し、表示装置の画面で障害物を確認し、さらに、目視で直接に障害物を確認する。
そして、救出員は遠隔操作装置10を操作したり、消防用梯子車1にいる作業員に連絡して梯子6の伸縮位置を変更させ、または、旋回台3の旋回停止位置を変更させてバスケット支持機構20の位置や屈曲方向を変えて、全ての障害物検知センサS1〜S7が接近レベル3以下を示した状態となったところで、救出員はバスケット支持機構20の屈曲動作の継続が可能であると判断し、バスケット支持機構20の屈曲動作を再開する。
【0018】
こうして、バスケット7内の救出員が遠隔操作装置10を操作することにより、バスケット変位装置15を作動させてバスケット支持機構20をさらに屈曲させ、図3に示すように、バスケット7を屋上の上部に位置させる。バスケット7が目標位置(この場合は屋上の地面)に接近配置されると、遠隔操作装置10に付属する表示装置により、各障害物検知センサS1〜S7に対する目標位置(屋上の地面)までの距離を検知して、バスケット支持機構20のさらなる屈曲によりバスケット7を目標位置(屋上の地面)にさらに近接配置させる。
【0019】
このような状態になると、救出を求めている人を目標位置に集合させて救出員が接触することができ、救出が可能になる。また、図2に示すように、別の救出員(作業員)がリフタ13へ乗り込み、伸縮式梯子6の先端にリフタ13を上昇させて、救出を求めている人をリフタ13に乗り移らせる。このリフタ13には、図示が省略されているが、リフタ13を作動、停止させる遠隔操作装置14が設けられており、リフタ13内の救出員が遠隔操作装置14を操作することにより、リフタ13を下降させ、救出、脱出させる。このようにバスケット7からバスケット支持機構20伝いにリフタ13へ救出を求めている人を順次乗り移らせ、リフタ13を下降させることにより、救出を求めている人を順次救出、脱出させる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、伸縮式梯子を構成する最上段の単位梯子の先端に一端が軸支されたバスケット支持機構の他端にバスケットを取り付け、該バスケットを梯子の伸縮により昇降させると共に、前記バスケット支持機構を遠隔操作装置を操作することにより屈曲させて前記バスケットの位置を変位させ、障害物を乗り越えさせるようにして前記バスケットを目標位置に接近配置させる高所作業車であって、指向性を有する探査信号を発信して障害物までの距離を検知する複数の障害物検知センサを前記バスケット支持機構の複数個所に配置して、前記障害物検知センサの探査信号の発信により前記バスケット支持機構の複数個所に配置した各障害物検知センサに対する障害物までの距離を検知して、前記バスケット支持機構を、障害物に対して接近配置して前記バスケット支持機構の屈曲動作を行い、前記各障害物検知センサがバスケット支持機構の屈曲動作を継続すると障害物と衝突する危険があることを示した場合には屈曲動作を停止し、前記伸縮式梯子の位置を変更させて前記遠隔操作装置を操作することにより前記バスケット支持機構の位置や屈曲方向を変え、その後、前記各障害物検知センサがバスケット支持機構の屈曲動作の継続が可能であることを示した場合には、前記遠隔操作装置を操作することによりバスケット支持機構の屈曲動作を再開し、前記各障害物検知センサが目標位置までの距離を検知して、前記バスケット支持機構の屈曲により前記バスケットを目標位置に近接配置させる高所作業車であるから、救出を求めている人を目標位置に集合させて救出員が接触することができ、救出が可能になる等優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る高所作業車の側面図である。
【図2】図1に示した高所作業車に付属する伸縮可能な梯子の動作説明図である。
【図3】図1に示した高所作業車に付属する伸縮可能な梯子の動作説明図である。
【図4】図3に示した伸縮可能な梯子の平面図である。
【符号の説明】
1 消防用梯子車
2 車体
3 旋回台
4 横軸
5 支持台
6 梯子
6b、6c、6d、6e 可動梯子
7 バスケット(高所作業用移動体)
8 梯子駆動装置
10 遠隔操作装置
11 屋上の手摺り
12 遠隔操作装置
13 リフタ
14 遠隔操作装置
15 バスケット変位装置
15a 油圧シリンダ
16 バスケット平衡装置
16a 油圧シリンダ
20 バスケット支持機構
21a,21b 側柱
22a〜22h ステップ
23 梯子
24a,24b 可動フレーム
26a,26b 支持バー
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7 障害物検知センサ

Claims (1)

  1. 伸縮式梯子を構成する最上段の単位梯子の先端に一端が軸支されたバスケット支持機構の他端にバスケットを取り付け、該バスケットを梯子の伸縮により昇降させると共に、前記バスケット支持機構を遠隔操作装置を操作することにより屈曲させて前記バスケットの位置を変位させ、障害物を乗り越えさせるようにして前記バスケットを目標位置に接近配置させる高所作業車であって、
    指向性を有する探査信号を発信して障害物までの距離を検知する複数の障害物検知センサを前記バスケット支持機構の複数個所に配置して、前記障害物検知センサの探査信号の発信により前記バスケット支持機構の複数個所に配置した各障害物検知センサに対する障害物までの距離を検知して、前記バスケット支持機構を、障害物に対して接近配置して前記バスケット支持機構の屈曲動作を行い、前記各障害物検知センサがバスケット支持機構の屈曲動作を継続すると障害物と衝突する危険があることを示した場合には屈曲動作を停止し、前記伸縮式梯子の位置を変更させて前記遠隔操作装置を操作することにより前記バスケット支持機構の位置や屈曲方向を変え、その後、前記各障害物検知センサがバスケット支持機構の屈曲動作の継続が可能であることを示した場合には、前記遠隔操作装置を操作することによりバスケット支持機構の屈曲動作を再開し、前記各障害物検知センサが目標位置までの距離を検知して、前記バスケット支持機構の屈曲により前記バスケットを目標位置に近接配置させることを特徴とする高所作業車。
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