JP3795801B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関し、詳しくは、ヘッド摩耗等の装置耐久性の低下のない優れた装置適性を備え、かつ記録媒体としての印画適性、安定性を有すると共に、印刷適性や捺印適性、環境適性等にも適応し、普通紙ライクな記録媒体として有用な感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録技術は、歴史的には、1960年代にNCR社で無色のロイコ染料とフェノール系の酸性物質とを用いた染料系の感熱紙が開発され、この系が現在の感熱記録方式の主流となっている。その後、▲1▼半導体技術を背景にサーマルヘッドが開発され、コスト・性能面で著しく改良が施されたことで、装置の小型化、低価格化が可能となったこと、これに付随して、▲2▼感熱紙(感熱記録材料)自体の高品質化(高感度化、ヘッドマッチング性の向上等)が実現されたこと、そして、▲3▼感熱記録方式が、静電記録、インクジェット記録、PPC記録等の各記録方式と比較して、利便性、即ち簡便性、低価格、メンテナンスフリー等の点で有利であると評価されたことによって、感熱紙(以下、「感熱記録材料」という。)の需要は飛躍的に成長した。
【0003】
しかしながら、感熱記録材料がその利便性からFAXや各種プリンタ等に利用され、日常生活に身近になるにつれて、感熱記録材料の欠点もよく知られるようになった。即ち、例えば、
・光により変色する、
・高温下で保存(自動車内での放置など)すると変色する、
・化学薬品(ラップフィルム内の可塑剤、油脂類、マーカーペン中の有機溶剤、インクジェットプリンタ用インク等)により記録像が褪色する、
・普通紙ライク感(スタンプ等の乾きが良好で滲まない等の捺印適性が良好なこと、記録面がマット調で読みやすいこと、鉛筆等の筆記性が良好なこと、擦れ汚れの生じ難いこと、等;以下、同様である。)がない、等が指摘されるようになった。
したがって、従来の感熱記録材料における前記欠点を解消し、付加価値を高めた感熱記録材料の開発、提供が求められていた。
【0004】
近年、感熱記録材料は、一般に比較的安価であり、しかもその記録機器がコンパクトでメンテナンスフリーであるため広範囲に渡って使用されている。このような状況のもと、最近では感熱記録材料の販売競争が激化し、従来の機能とは差別化し得る更なる高機能化、特に発色濃度や地肌白色性、鮮鋭性、保存時の安定性、インクジェット方式で記録したフルカラー画像に対しては色相が良好で鮮やかであること、等が図られた感熱記録材料に対する要求が高く、これらの要求に応えるべく、感熱記録材料の発色性、保存性などの諸性能に関する検討が鋭意行われている。
【0005】
感熱記録材料が有すべき諸性能としては、(1)高感度であること(高濃度が得られること)、(2)地肌部(非画像部)の白色性が高いこと(地肌カブリが低いこと)、(3)印画後の画像保存性に優れること、(4)耐光性に優れること、(5)耐薬品性に優れること、(6)鮮鋭で高画質であること、(7)インクジェット記録方式等を用いてフルカラー画像を記録する場合の各色色相が良好で鮮やかであること、(8) サーマルヘッドマッチング性がよく、サーマルヘッド摩耗の少ない耐ヘッド適性を有すること、(9)普通紙ライク感のあること、(10)感熱記録層上に印刷可能な印刷適性や滲みのない捺印適性を有すること、(11)高速プリンタ等の高性能プリンタへの適用性、(12)環境適性を備えること、などが挙げられ、上述のような状況下においては、いずれの性能も損なうことなく、これら諸性能の全てを同時に満足することが求められる。しかしながら、これまで上記諸性能の全てを同時に満足し得る感熱記録材料は、未だ提供されるまでに至っていないのが現状である。
【0006】
一方、従来、感熱記録材料に用いられる電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(いわゆる「ビスフェノールA」)が広く使用されてきたが、この系では感度、地肌カブリ、画像保存性の点で、未だ満足したものは得られていない。
【0007】
また、下記のような(13)インクジェット適性の点でも問題があった。即ち、感熱記録材料にフルカラーの情報を記録する場合、インクジェット用インクを用いて記録が行われる場合があるが、ビスフェノールAを用いた通常の感熱記録材料を用いその記録面にインクジェット記録を行うと、インクの色相が忠実に再現され得ず、鮮やかな色相が得られなかったり、既に感熱記録されていた記録像の褪色を引き起こすことがあった。また、インクジェットプリンタで記録されたメディアに上記通常の感熱記録材料が接触した状態で置かれた場合にも、地肌カブリの発生や記録像の褪色を生ずることがあった。
【0008】
一方、感熱記録材料の用途が拡大する中で、一般的な黒発色以外にも、青発色とすることで、より画像を目立たせることが求められる場合や、POSシステムのレジスターなどに用いられてきたドットインパクトプリンターの印字と似させることが求められる場合がある。画像を目立たせることが求められる代表的な用途として、ポスター用プリンター(富士写真フイルム(株)、ポスタープリンター「かくだい君」シリーズ)などが挙げられる。
また、感熱記録材料の記録画像部を青色に発色とするための従来技術として、特開昭60−14738号公報などがあるが、上述のビスフェノールAを用いた場合、画像保存性や耐薬品性の点で未だ満足したものが得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、特に、画像部の鮮明度、審美性、視認性、及び発色濃度が高く、地肌部(非画像部)のカブリ濃度(地肌カブリ)を低く抑えながら、高感度でかつ高濃度の画像を形成でき(印画適性が良好)、印画後の画像保存性、耐薬品性に優れ、インクジェット画像の色相不良や、ニジミや、インクジェット用インクに起因する画像褪色を伴わないインクジェット適性を有し、しかも高速性や部分グレーズ構造を備える等の高性能プリンタに適用する場合であっても、サーマルヘッドマッチング性が良好でヘッド摩耗やヘッド汚れの少ない(ヘッド適性が良好)感熱記録材料を提供すること、更にこれらに加えて、鮮鋭で高画質の画像が得られ、形成画像の耐光性に優れ、感熱記録層又は保護層上に滲みなく印刷、捺印することが可能であり、少ない塗布量(環境適性)で低コストに形成でき、必要に応じて普通紙ライク感をも備えた、画像部が青色に発色する感熱記録材料を提供すること、を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、感熱記録材料が有すべき諸性能を高いレベルで同時に満足し得るための技術に関し、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
〈高感度化〉
高感度化には、下記(1)〜(3)の点が重要である。即ち、
第一に、(1)サーマルヘッドから感熱記録層への熱伝達を向上することが重要であり、このためには感熱記録材料の記録面の表面平滑性の向上、記録面へのクッション性の付与が有効である。第二に、(2)サーマルヘッドから伝達される熱を有効利用することが重要であり、このためには支持体断熱化、感熱記録層のスリム化が有効である。第三に、(3)増感剤に対する、電子供与性無色染料及び電子受容性化合物の溶解速度の向上が重要であり、このためには溶解度の向上、溶融粘度の低減、素材粒径の低減が有効である。以下、具体的に説明する。
【0011】
(1) サーマルヘッドから感熱記録層への熱伝達向上
感熱記録層を一定濃度にまで発色させるには一定量の熱量が必要であるので、感熱記録材料の高感度化には、サーマルヘッドからの熱を如何に効率的に記録層に伝達させるかが重要である。ここで、固体の熱伝導率は気体と比較して桁外れに高く、輻射熱との対比でも伝導熱の方がはるかに高い。そのため、印画時の感熱記録層の表面(以下、「記録面」ということがある。)とサーマルヘッドとの接触率を高めることが有効であり、これによりサーマルヘッドからの熱を感熱記録層に効率的に伝達することができる。
記録面とサーマルヘッドとの接触率を高めるには、感熱記録材料に要求される物性として、▲1▼予め記録面の平滑性を高めておく、▲2▼感熱記録材料のクッション性を高める、こと等が特に有効となる。
【0012】
▲1▼記録面の平滑性を高めるには、支持体の平面性を向上することが有効である。具体的には、平面性の高い原紙を用いることのほか、吸油性顔料を主成分とする下塗り層を設け、パルプによる凹凸を埋めること、などが望ましい。また、感熱記録層を塗布、乾燥した後、熱カレンダーやスーパーカレンダー処理を施して、平滑性を高めることも有効である。
また、▲2▼感熱記録材料のクッション性を高める(クッション性の付与)が有効であるのは、以下の知見に基づく。即ち、サーマルヘッドを用いて感熱記録材料に熱印画する場合、プラテンロールを用いて適度な圧力をかけるが、圧力をかけた状態でサーマルヘッドと記録面との接触率を高めるには、感熱記録材料が変形し易ければよい。したがって、クッション性を付与する具体的な手段としては、吸油性顔料を主成分とする下塗り層を設けたり、吸油度の高い顔料(例えば非晶質シリカ)を感熱記録層に含有することが有効である。このクッション性付与の考え方は、部分グレーズ構造を有するサーマルヘッドを用いて記録する場合の高感度化に対しても特に有効である。ここで、部分グレーズ構造とは、発熱体部のグレーズ層の断面形状が山形に構成されているものをいう。
【0013】
(2) サーマルヘッドから伝達される熱の有効利用
サーマルヘッドから伝達された熱の有効利用を図るには、支持体の断熱性付与が有効であり、その具体的な手段としては、支持体中にできるだけ空隙を設けることが有効である。感熱記録材料における場合は、例えば、吸油度の高い顔料を含む下塗り層を設け、該下塗り層に使用するバインダ量を極力減らす、下塗り層に中空粒子を含有させる、などが挙げられる。
また、熱の有効利用のためには、感熱記録層のスリム化も有効である。感熱記録層の熱容量が感度に寄与していると考えると、感熱記録層には発色に寄与しない成分が多く含まれ、その熱容量分が無駄に消費されている。該成分としては、サーマルヘッドと記録層とのクッツキを抑制する離型剤やワックス類、溶融成分を吸収する吸油性顔料、素材の分散及び塗膜強度を付与するためのバインダ類、等が該当する。これらによる熱量消費は約20〜30%にも及ぶので、これらの使用量を半減することにより、約10〜15%の感度の向上が期待できる。
【0014】
本発明者等の検討の結果によると、記録層中の顔料、バインダの含有量を減らすことで感度を向上させることができる。バインダ量を減らすことで予想以上に感度を高められるので熱容量以外の寄与も考えられるが、原因は不明である。但し、バインダの含有量を単純に減らすと、サーマルヘッドのヘッドマッチング性や塗膜強度などが悪化するので、なるべく効率的な素材配分、即ち、必要な成分を必要な層に最少量使用することが重要となる。
【0015】
(3) 増感剤に対する、電子供与性無色染料及び電子受容性化合物の溶解速度の向上
感熱記録材料に関する技術開発の初期段階では、増感剤は、電子供与性無色染料及び電子受容性化合物の融点降下剤として、より低温で発色させる目的で選定されてきた。しかし、この発想では発色開始温度を維持しながら感度を高めるのには限界があり、地肌カブリと感度との両立が困難であった。そこで、本発明者等は、増感剤を電子供与性無色染料や電子受容性化合物を溶解させるための素材と捉え、必要以上に共融点を低下させることなく、即ち地肌カブリを低く維持したまま、高感度化を実現する増感剤の検討を行った結果、融解した増感剤中に、電子供与性無色染料や電子受容性化合物が早く拡散する方が高感度化には有利であるとの知見を得た。即ち、溶解度が高いだけでなく、溶融粘度の低い増感剤を選択すること、電子供与性無色染料や電子受容性化合物の分散粒径を小さくすること、が高感度化に有効であり好ましい。尚、前記分散粒径はあまり小さくしすぎると地肌カブリが悪化するため、適切な範囲とすることが重要である。
【0016】
〈サーマルヘッドとのマッチング性及びヘッド耐久性の付与〉
感熱記録材料は、その記録面(感熱記録層の表面)に発熱素子であるサーマルヘッドを直接接触させ該表面を擦りながら印画(印字)される。そのため、溶融した記録層中の成分がヘッドに付着し、汚れとして堆積することがある。また、サーマルヘッド表面を物理的に摩耗したり、あるいは腐食する等によりヘッド自体の寿命を短くしてしまうこともある。
したがって、下記手段を適用することが望ましい。即ち、
1)ヘッド汚れを防ぐ観点では、熱により溶融した染料、顕色剤、増感剤等の物質を材料側に吸収、保持させることが重要であり、このためには、記録層に吸油性の高い顔料を用いる、或いは、吸油性の高い顔料を用いた下塗り層を設ける、ことが有効である。
2)また、記録材料を構成する成分中の、ヘッド腐食発生の原因となり易いイオン(Na+、K+等)含量を抑制することが重要である。
3)物理摩耗を極力軽減する観点では、顔料の硬度、形状、粒子径等を考慮することが重要である。
【0017】
〈画像保存性(及び耐薬品性)と地肌カブリの両立〉
発色画像は、感熱記録材料の発色原理であるロイコ染料と顕色剤が熱溶融し接触することによって起こる化学反応が可逆反応であるため、油脂類、可塑剤などの薬品によって逆反応が起こり消え易い。したがって、ハンドクリームやその他化粧品類、又は油脂類の付着した手で触ったり、可塑剤を含むプラスチック製品や有機溶剤含有の製品、革製品(消しゴム、塩化ビニル製の机上マットや食品包装フィルム、マーカーペン、インクジェット用インク、財布や定期券入れ、等)に接触した状態で置かれる日常生活の中で発色画像が消える等、画像保存性及び耐薬品性の点で問題が生じ易い。
【0018】
上記のような発色原理に起因する現象(画像の消失、褪色)を克服するために様々な検討が進められ、例えば、▲1▼記録層上に物理的な遮蔽の目的で保護層を形成し、いわゆるオーバーコートタイプとする、▲2▼記録層に架橋性の添加剤を加える、等が行われてきた。しかし、保護層を設けても油や可塑剤は徐々に浸透し時間の経過とともに褪色が進むことは避けられず、結果的に、スーパーマーケットで生鮮食品に貼られる計量ラベルなど、使用が短期間な用途に限られてしまう、架橋性物質を加えても発色からその効果が現れるまでに相当の時間を必要とする、等の問題があり、保存性がないという基本的性能を満足するには至っていなかった。
【0019】
そこで、前記保存性の向上に関する本発明者等の検討の結果、特定の電子受容性化合物が画像保存性の良化に有用である、地肌カブリをも両立し得る、また、これに更に特定の増感剤や電子供与性無色染料を組合せることで地肌カブリを更に良化できる、との知見を得た。また、特定の画像安定剤を組合せることで、地肌カブリをほとんど悪化させることなく、画像保存性を更に良化できるとの知見をも得た。これらの知見によれば、オーバーコートに頼っていた従来の保存性付与技術では困難な、画像保存性と共に捺印適性及び取扱い性をも高いレベルで付与することも可能である。
以上により、捺印適性及び画像保存性を両立することができる。
【0020】
〈耐光性の向上〉
用途によっては、耐光性に優れた感熱記録材料が要求されることがあるが、画像を担うロイコ染料は紫外線などによって容易に分解し易いことから、長時間自然光等に曝された場合にもやはり褪色する等、耐光性の点で問題があった。
耐光性を向上させるには、光によるロイコ染料の分解を防止する手段を付与することが重要である。このためには、特に高位のエネルギーである紫外線を防止する紫外線吸収剤を感熱記録層や保護層に配合することが有効であり、特に感熱記録層に紫外線が到達する前に効率的に遮断する観点から、液状の紫外線吸収剤をマイクロカプセルに包み込んで保護層に含有することがより有効である。
【0021】
〈印刷適性の付与〉
用途に応じて、感熱記録材料の記録面(感熱記録層の表面)にオフセット印刷が施される場合がある。そのような用途に対しては、輪転フォーム印刷機の100m/minを超える印刷速度に耐える表面強度と、湿し水吸収性とを有することが必要であり、感熱記録層中の顔料やバインダの配合割合を最適化することが重要である。このためには、前記顔料として炭酸カルシウム等の吸油性顔料が好ましく、前記バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)、中でも特にスルホ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0022】
〈普通紙ライク感の付与〉
感熱記録材料が、オフィスや家庭でのファクシミリ用や、各種プリンタ用の記録紙として広く使用されるようになった結果、身の回りにある用紙(PPC用紙やノート、レポート用紙等の上質紙)との比較で違和感を感じる、即ち、表面がツルツルしている、筆記性が悪い、薄く手で持った場合にこしがない等の指摘が盛んになされるようになった。これらは、オフィスでのファクシミリが最近普通紙を使用するPPCタイプヘ移行している理由の一つになっている。この点からは、▲1▼支持体である原紙を厚くしてこしを強くする、▲2▼保護層の付与により、低光沢な表面性、筆記性、捺印適性を付与する、など手触り感や使い易さを上質紙へ近づけることが重要である。
【0023】
ここで、普通紙ライク感を有する感熱記録材料とは、従来の感熱紙が持つ加工紙としての欠点が解消され、表面がマット調である、手触りのヌメリ感がない、擦れ汚れにくい、記録像が褪色し難い、などの性能を具備するものと考えられ、これまで普通紙ライクにする目的で記録層上に保護層を設けたものが提案されていた。しかし、従来の保護層には手触り、外観(マット調)、筆記性等に配慮しすぎるあまり、捺印適性については配慮がなされていなかった。
しかしながら、わが国の習慣を背景に、捺印適性(ニジミがない、スタンプ等の乾きが良好)は特に重要であると考え、普通紙ライク性のある感熱記録材料のための保護層の改良を検討した。
【0024】
その結果、捺印適性を含めた普通紙ライク感を得るには、保護層の顔料、バインダとして下記のものが有用であるとの知見を得た。
前記顔料としては、捺印適性、外観(マット調)、筆記性を重視するため、適度な粒径と吸油量を有するものが好ましい。前記粒径が、大きすぎると画質が悪くなることがあり、小さすぎると筆記性、外観が悪くなることがある。また、吸油量が大きすぎると、保護層の不透明性が上がって記録濃度が低下したり、吸油量が小さすぎると、捺印適性(乾き)が悪くなる傾向がある。
前記バインダーとしては、捺印適性(ニジミ)を防止する目的で、PVAとデンプンを適切な比率で混合してなるものが特に好ましい。前記PVAとしては、捺印適性(乾き)を付与する観点から、いわゆる完全ケン化型(ケン化度93%程度以上)のものが好ましい。
【0025】
〈装置との組合せでの高感度化とヘッドマッチング性〉
近年、多くの分野、用途で感熱記録材料が採用されてきた背景には、小型化、低ランニングコスト、メンテナンスフリーといった感熱記録方式の利点があっただけでなく、プリンタ(ハード)と記録紙(メディア)の双方で技術の向上が図られてきたことがある。前記ハード面では、例えば、記録スピードは毎秒10インチ(約25cm)、記録巾は最大A0サイズ(約900mm)、解像度は600dpi(24ドット/mm)といったように、従来のドットプリンタやレーザープリンタに劣らない高性能プリンタが出現し、したがって、用途に合わせて各技術を組合せ、最適な設計と制御方法とを備えるように構成することが重要である。
【0026】
即ち、前記高性能プリンタとしては、特に記録速度が10cm/秒以上の高速プリンタ、部分グレーズ構造を有するサーマルヘッドを備えたプリンタなどが好適に挙げられるが、これらと組合せた場合、記録速度が10cm/秒以上の高速プリンタでは、従来の感熱記録材料では感度が不足する場合があり、部分グレーズ構造を有するサーマルヘッドを備えたプリンタでは、ヘッド汚れが生じやすい傾向があった。
【0027】
そこで、感熱記録材料の側において設計最適化の検討を行った結果、特定の顕色剤(電子受容性化合物)を選択使用すると、特に記録速度が10cm/秒以上の高速プリンタ、部分グレーズ構造を有するサーマルヘッドを備えたプリンタと組合せた場合でも、上述の感熱記録材料に要求される性能を高いレベルで満たしながら、高感度化と良好なヘッドマッチング性を発揮し得るとの知見を得た。
【0028】
〈画質の向上〉
感熱記録材料を使用するハード(装置)の中には、写真を受信する場合のファクシミリ等のように、記録画質が重要な場合がある。記録画質の良化については、吸油性顔料を主に含む下塗り層の塗設、特に下塗り層をカーテン塗布法若しくはブレード塗布法(特にブレード塗布法)により塗布形成することが、高画質化に有効であるとの知見を得た。
【0029】
〈環境負荷の低減〉
近年、環境に与える負荷がより小さいシステムが社会的に要求され、感熱記録材料の分野においても例外ではない。環境負荷の低減のためには、より少ない素材使用量、より少ないエネルギー使用量で要求性能を満たすことが重要である。このためには、感熱記録層などをカーテン塗布法で塗設することが、発色濃度の向上の点で有効であり、しかも複数の層を同時重層塗布とすることが、乾燥・ハンドリング時のエネルギー消費を低減できる点で有効である、との知見を得た。即ち、同じ発色濃度であれば、従来より少ない素材使用量で低エネルギーにより得ることが可能となる。
【0030】
本発明は、上記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、電子供与性無色染料と、該電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物とを含む感熱記録層を有する感熱記録材料において、前記電子受容性化合物が、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、又はN−ベンジル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、であること、及び前記電子供与性無色染料が青色に発色すること、を特徴とする感熱記録材料である。
【0032】
前記<1>に記載の感熱記録材料によれば、発色成分の一方として前記電子受容性化合物を用いるので、地肌カブリを低く維持しながら高感度化することができ、形成画像の長期保存性(画像保存性;以下、同様とする。)、耐薬品性、及びサーマルヘッドのヘッドマッチング性をも同時に向上することができる。
【0034】
<3> 前記電子供与性無色染料として、クリスタルバイオレットラクトンと、3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランとを、9/1〜5/5の重量比率で含有する前記<1>又は<2>に記載の感熱記録材料である。
前記<3>に記載の感熱記録材料によれば、より鮮やかで審美性が高い青色の記録画像とすることができる。
【0035】
<4> 感熱記録層が画像安定剤を含み、該画像安定剤が、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンの少なくとも一方である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<4>に記載の感熱記録材料によれば、感熱記録層が特定の画像安定剤を含有するので、発色反応(正反応)の逆反応への移行を抑え、画像保存性を更に向上させることができる。また同時に、耐光性の向上にも寄与する。
【0036】
<5> 感熱記録層が無機顔料を含み、該無機顔料が、カルサイト系(軽質)炭酸カルシウム,非晶質シリカ、及び水酸化アルミニウムより選択される少なくとも一種である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<5>に記載の感熱記録材料によれば、感熱記録層が特定の無機顔料を含有するので、接触するサーマルヘッドとのヘッドマッチング性をより向上することができ、捺印適性を付与することができる。
【0037】
<6> 感熱記録層が接着剤を含み、該接着剤が、スルホ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールより選択される少なくとも一種である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<6>に記載の感熱記録材料によれば、感熱記録層が接着剤として特定の水溶性樹脂を含有するので、より高いレベルでの高感度化と地肌カブリの更なる低減とを両立することができる。また、本構成によっても、印刷適性を付与することができる。また、架橋剤と組合わせることで、耐水性も付与することができる。
【0038】
<7> 支持体が古紙パルプを含有する前記<1>〜<6>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<7>に記載の感熱記録材料によれば、支持体に古紙パルプを用いるので、資源の再利用、及び省資源化を実現することができる。
【0039】
<8> 感熱記録層上に保護層を有してなり、該保護層が、水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカより選択される少なくとも一種の無機顔料と、水溶性高分子とを含む前記<1>〜<7>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<8>に記載の感熱記録材料によれば、感熱記録層上に特定の無機顔料を含む保護層が設けられるので、その吸油性等により保存性を向上できると同時に、取扱い性と捺印適性の付与(普通紙ライク感の付与)をも実現することができる。
【0040】
<9> Na+イオン及びK+イオンの総イオン濃度が1500ppm以下である前記<1>〜<8>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<9>に記載の感熱記録材料によれば、イオン含量の少ない素材を選択使用する結果、感熱記録材料を構成する支持体や層等の全体に占める総イオン濃度が低く抑えられるので、ヘッドに付着するイオン量が抑えられ、サーマルヘッドの耐腐食(耐久性)を向上させることができる。
【0041】
<10> 感熱記録層の表面に蒸留水を滴下した後0.1秒経過後の接触角が20°以上である前記<1>〜<9>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<10>に記載の感熱記録材料によれば、感熱記録層の表面の接触角を20°以上とするので、インクジェット記録若しくは捺印時のインクの滲みが効果的に抑制され、インクジェット適性を付与すること、及び捺印適性を良化することができる。
【0042】
<11> 印画後の形成画像を温度60℃、相対湿度20%の環境条件下で24時間放置した後の、前記形成画像における濃度残存率が65%以上である前記<1>〜<10>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<11>に記載の感熱記録材料によれば、形成画像を長期間高濃度に維持することができるので、重要な文書の保管、前売りチケット、レシート、金券など、長期間に渡り画像信頼性が要求される分野での適用が可能となる。
【0043】
<12> 感熱記録層が増感剤を含み、該増感剤が、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジメチルベンジル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、ジフェニルスルホン、及び1,2−ジフェノキシエタンより選択される少なくとも一種である前記<1>〜<11>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<12>に記載の感熱記録材料によれば、感熱記録層が特定の増感剤を含有するので、溶解粘度を下げて発色成分を良好に拡散し得、地肌カブリを悪化することなく、効果的に高感度化することができる。
【0044】
<13> 増感剤の含有量が、一般式(1)で表される化合物100質量部に対して75〜200質量部である前記<12>に記載の感熱記録材料である。
前記<13>に記載の感熱記録材料によれば、増感剤が電子受容性化合物の量に適した範囲で含有されるので、他の諸性能に支障を来すことなく、効果的に高感度化を図ることができる。
【0045】
<14> 支持体上の少なくとも一層が、カーテン塗布法により塗布形成される前記<1>〜<13>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
前記<14>に記載の感熱記録材料によれば、複数層のうちの少なくとも一層、特に感熱記録層がカーテン塗布法により塗設されるので、構成成分を記録面に集中させることができ、より少ない素材使用量で発色濃度を高め得ると共に、画像品質(画質)をも良化することができる。また、カーテン塗布法により複数層を同時重層塗布する場合には、製造時の消費エネルギーの低減をも達成することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料においては、電子供与性無色染料及び電子受容性化合物を組合せた発色系の感熱記録層を有してなり、前記電子受容性化合物として特定の化合物を含み、かつ前記電子供与性無色染料が青色に発色する。
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
【0047】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、一層若しくは二層以上の感熱記録層を有してなり、好ましくは保護層を有してなる。また、必要に応じて、中間層等の他の層を有していてもよい。
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、電子供与性無色染料と、該電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物とを少なくとも含んでなり、好ましくは画像安定剤(紫外線防止剤)、無機顔料、接着剤、増感剤を含んでなり、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0048】
−電子供与性無色染料−
本発明に係る感熱記録層には、青色に発色する発色成分として、少なくとも一種の電子供与性無色染料を含有する。前記電子供与性無色染料としては、従来公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオラン、9−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’メチルフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)−フタリド等が挙げられる。
【0049】
上記の中でも、クリスタルバイオレットラクトン、3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランよりなる群より選択される少なくとも一種を含有することが特に好ましい。
【0050】
前記群より選択される少なくとも一種を電子供与性無色染料として含有することにより、鮮やかで、審美性、画像視認性が高い青色の感熱記録層を形成することができる。
【0051】
また、前記電子供与性無色染料は、単一の感熱記録層に一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。前記電子供与性無色染料を二種併用する場合、該二種の電子供与性無色染料としては、クリスタルバイオレットラクトンと3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランとにすることが好ましい。また、クリスタルバイオレットラクトンと3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランとの質量比率は、9/1〜5/5とすることが好ましく、8/2〜6/4とすることがより好ましい。クリスタルバイオレットラクトンと3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランとを、質量比率9/1〜5/5で含有させることにより、より鮮やかで美しい青色に発色させることができ、画像保存性や画像耐光性にも優れる。
また、電子供与性無色染料を二種以上併用する場合には、異なる電子供与性無色染料を混合して分散するよりも、別々に分散した後混合することが、地肌カブリを生じにくく好ましい。
【0052】
感熱記録層形成用の塗布液(以下、「感熱記録層用塗布液」ということがある。)を調製する際において、前記電子供与性無色染料の粒径としては、体積平均粒径で1.0μm以下が好ましく、0.4〜0.7μmがより好ましい。該体積平均粒径が、1.0μmを超えると、熱感度が低下することがあり、0.4μm未満であると、地肌カブリが悪化することがある。
前記体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA500(ホリバ(株)製)等によって容易に測定することができる。
【0053】
前記電子供与性無色染料の塗布量としては、0.1〜1.0g/m2が好ましく、発色濃度及び地肌カブリの点で、0.2〜0.5g/m2がより好ましい。
【0054】
−電子受容性化合物−
本発明に係る感熱記録層には、前記電子供与性無色染料と熱時反応して発色させる電子受容性化合物として、後述する特定化合物を含有する。該化合物を電子受容性化合物として含有することにより、地肌カブリを低く維持しながら高感度化することができ、形成画像の長期保存性(画像保存性)、耐薬品性、及びサーマルヘッドのヘッドマッチング性をも同時に向上することができる。
【0058】
前記電子受容性化合物は、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド(=p−N−フェニルスルファモイルフェノール)、N−ベンジル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、である。
【0059】
記電子受容性化合物の中でも、画像保存性と地肌カブリとのバランスの点で、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリドが最も好ましい。
【0060】
単一の感熱記録層における電子受容性化合物の含有量としては、前記電子供与性無色染料の質量に対して、50〜400質量%が好ましく、100〜300質量%がより好ましい。
【0061】
記電子受容性化合物と共に、本発明の効果(特に、地肌カブリの低減、高感度化、並びに画像保存性、耐薬品性、及びヘッドマッチング性の向上)を損なわない範囲で、他の公知の電子受容性化合物を併用してもよい。
前記公知の電子受容性化合物としては、適宜選択して使用することができ、特に地肌カブリを抑制する観点から、フェノール性化合物、又はサルチル酸誘導体及びその多価金属塩が好ましい。
【0062】
前記フェノール性化合物としては、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパン(ビスフェノールA)、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリレンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、4−ヒドロキシ−4−イソプロピルオキシジフェニルスルホン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、等が挙げられる。
【0063】
前記サルチル酸誘導体としては、例えば、4−ぺンタデシルサルチル酸、3−5−ジ(α−メチルベンジル)サルチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サルチル酸、5−オクタデシルサルチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサルチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサルチル酸、5−テトラデシルサルチル酸、4−ヘキシルオキシサルチル酸、4−シクロヘキシルオキシサルチル酸、4−デシルオキシサルチル酸、4−ドデシルオキシサルチル酸、4−ペンタデシルオキシサルチル酸、4−オクタデシルオキシサルチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられる。
【0064】
前記公知の電子受容性化合物を併用する場合、既述の電子受容性化合物の含有量としては、電子受容性化合物の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
【0065】
感熱記録層形成用の塗布液を調製する際、前記電子受容性化合物の粒径としては、体積平均粒径で1.0μm以下が好ましく、0.4〜0.7μmがより好ましい。該体積平均粒径が、1.0μmを超えると、熱感度が低下することがある。尚、0.4μm未満になると地肌カブリが悪化することもある。
前記体積平均粒径も、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA500(ホリバ(株)製)等によって容易に測定できる。
【0066】
−増感剤−
本発明に係る感熱記録層には、増感剤を含有することが好ましい。特に感度をより大きく向上させ得る点で、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジメチルベンジル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、及びジフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0067】
感熱記録層における、前記選択される増感剤の総含有量としては、前記電子受容性化合物(好ましくは、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド)100質量部に対して、75〜200質量部が好ましく、100〜150質量部がより好ましい。
前記含有量が上記範囲にあると、感度の向上効果が大きく、かつ画像保存性も良化することができる。
【0068】
前記群から選択される増感剤のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知のものの中から適宜選択される他の増感剤を併用してもよい。
前記他の増感剤を併用する場合、前記群から選択される増感剤の量としては、層中に含有される増感剤の総量の50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0069】
前記他の増感剤としては、例えば、脂肪族モノアマイド、脂肪族ビスアマイド、ステアリル尿素、ジ(2−メチルフェノキシ)エタン、ジ(2−メトキシフェノキシ)エタン、β−ナフトール−(p−メチルベンジル)エーテル、α−ナフチルベンジルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−イソプロピルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−tert−オクチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(4−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(クロロフェノキシ)エタン、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、ジエチレングリコールビス(4−メトキシフェニル)エーテル、1,4−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、等が挙げられる。
【0070】
−画像安定剤(紫外線吸収剤)−
本発明に係る感熱記録層には、画像安定剤(紫外線吸収剤を含む。)を含有することが好ましい。紫外線吸収剤はマイクロカプセル化されてもよい。画像安定剤を含有させることにより、形成された発色画像の保存性(画像保存性)をより向上させることができる。
【0071】
前記画像安定剤としては、例えばフェノール化合物、特にヒンダードフェノール化合物が有効であり、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−エチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等が挙げられる。尚、画像安定化剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0072】
中でも特に、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンが好ましい。
【0073】
単一の感熱記録層における画像安定剤の総含有量としては、地肌カブリを抑え、画像保存性を効果的に向上させる観点から、前記電子供与性無色染料100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜60質量部がより好ましい。
また、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び/又は1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンと共に、これらを除く他の上記画像安定剤を併用する場合、単一の感熱記録層における、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び/又は1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンの含有量としては、画像安定剤の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0074】
前記紫外線吸収剤としては、下記の紫外線吸収剤が挙げられる。
【化1】
Figure 0003795801
【0075】
単一の感熱記録層における紫外線吸収剤の含有量としては、画像保存性を効果的に向上させる観点から、前記電子供与性無色染料100質量部に対して、10〜300質量部が好ましく、30〜200質量部がより好ましい。
【0076】
−無機顔料−
本発明に係る感熱記録層には、無機顔料として、特にカルサイト系炭酸カルシウム、非晶質シリカ、及び水酸化アルミニウムより選択される少なくとも一種(本発明に係る無機顔料)を含有することが好ましい。これらを含有することにより、接触するサーマルヘッドとのヘッドマッチング性をより向上することができ、同時に印刷適性や普通紙ライク性をも付与することができる。
【0077】
(軽質)炭酸カルシウムには、一般にカルサイト、アラゴナイト、バテライト等の結晶形があるが、サーマルヘッドでの記録した時の発色濃度、及びヘッド汚れを防止する点、並びに吸収性、硬度等の点から、カルサイト系(軽質)炭酸カルシウムが好ましく、中でも特に、粒子形状が紡錘状又は偏三角面状態であるものが好ましい。カルサイト系(軽質)炭酸カルシウムは、公知の製造方法により製造することができる。
前記カルサイト系(軽質)炭酸カルシウムの平均粒径としては、体積平均粒径で1〜3μmが好ましい。体積平均粒径は、前記電子供与性無色染料等と同様にして測定できる。
【0078】
単一の感熱記録層における上記「本発明に係る無機顔料」の含有量としては、発色濃度の向上、サーマルヘッドへのカス付着防止の観点から、電子受容性化合物100質量部に対して、50〜500質量部が好ましく、70〜350質量部がより好ましく、90〜250質量部が特に好ましい。
【0079】
また、本発明の効果(特に、ヘッドマッチング性、印刷適性及び普通紙ライク性の向上)を損なわない範囲で、上記本発明に係る無機顔料と共に他の無機顔料を併用してもよい。
前記他の無機顔料としては、カルサイト系(軽質)炭酸カルシウムを除く炭酸カルシウム、硫酸バリウム、リトポン、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記他の無機顔料の体積平均粒径(レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA500(ホリバ(株)製)等)による)としては、0.3〜1.5μmが好ましく、0.5〜0.9μmがより好ましい。
【0080】
本発明に係る無機顔料と前記他の無機顔料とを併用する場合、「本発明に係る無機顔料」の総質量(v)と前記他の無機顔料の総質量(w)との比(v/w)としては、100/0〜60/40が好ましく、100/0〜80/20がより好ましい。
【0081】
また、サーマルヘッドの磨耗性を抑制する観点からは、モース硬度3以下の無機顔料が好ましい。「モース硬度」とは、「英和プラスチック工業辞典 第5版 p.616」(小川伸著、工業調査会(株)発行)に記載のモース硬度(Mohs Hardness)を意味する。モース硬度3以下の無機顔料には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が含まれる。
【0082】
本発明に係る無機顔料を、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムと混合して用いると、地肌カブリの低減に有効である点で好ましく、その場合の炭酸マグネシウム及び/又は酸化マグネシウムの含有量としては、無機顔料の総質量の3〜50質量%、特に5〜30質量%とするのが好ましい。
【0083】
−接着剤−
本発明に係る感熱記録層には、接着剤(若しくは分散時の保護コロイド)として、スルホ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールより選択される少なくとも一種(即ち、変性ポリビニルアルコール(以下、「特定変性PVA」ということがある))を含有することが好ましい。感熱記録層中に接着剤として前記特定変性PVAを含有することにより、普通紙ライク感を付与できると共に、感熱記録層と支持体との間の密着力を増大させ、オフセット印刷時等に生じる紙むけ等のトラブルを防止し得、印刷適性を高めることができる。更に、地肌カブリをより低く抑えながら、サーマルヘッドでの記録した時の発色濃度を高めることができる。
【0084】
前記特定変性PVAは、単独で用いてもよいし、併用してもよく、更に他の変性PVAやポリビニルアルコール(PVA)を併用してもよい。
前記他の変性PVAやPVAを併用する場合、前記特定変性PVAの占める割合としては、接着剤成分の総質量に対し、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
【0085】
前記特定変性PVAとしては、ケン化度が85〜99モル%であるものが好ましい。
前記ケン化度が85モル%未満であると、オフセット印刷時に用いる湿し水に対する耐水性が不足する結果、いわゆる紙むけを生じやすくなることがあり、これを回避するために変性PVAの添加量を増加し紙むけを防止しようとすると発色濃度が低下することがある。また、前記ケン化度が99モル%を越えると、塗布液の調製の際に未溶解物が生じやすく、塗膜不良が発生する要因となることがある。
尚、本発明の効果を損なわないためにも、他の変性PVAやPVAを併用する場合においても、該他の変性PVAやPVAのケン化度が上記範囲内であることが好ましい。
【0086】
更に、前記特定変性PVAの重合度としては、200〜2000が好ましい。
前記重合度が200未満であると、オフセット印刷の際に紙むけを生じやすくなることがあり、紙むけを回避するために添加量を増やそうとすると発色濃度が低下することがある。また、前記重合度が2000を越えると、変性PVAが溶媒(水)に溶解しにくく、調製時の液粘度も高くなるため、感熱記録層形成用の塗布液の調製及びその塗布が困難になることがある。
また、本発明の効果を損なわないためにも、他の変性PVAやPVAを併用する場合においても、該他の変性PVAやPVAの重合度が上記範囲内にあることが好ましい。
尚、ここでの重合度とは、JIS−K6726(1994)に記載の方法で求めた平均重合度をいう。
【0087】
感熱記録層における特定変性PVAの含有量としては、発色濃度の向上とオフセット印刷適性(紙むけ防止等)の付与の点から、電子供与性無色染料100質量部に対して、30〜300質量部が好ましく、70〜200質量部がより好ましく、100〜170質量部が特に好ましい。
前記特定変性PVAは、層間密着力を高める接着剤としての機能のほか、分散剤及び結合剤等としての機能をも担う。
【0088】
次に、特定変性PVAの各々、即ち、スルホ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、及びアセトアセチル変性ポリビニルアルコールについて詳細に説明する。
【0089】
前記スルホ変性ポリビニルアルコールは、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩と、酢酸ビニル等のビニルエステルと、をアルコールあるいはアルコール/水混合溶媒中で重合して得られた重合体をケン化する方法や、ミドナトリウム塩と酢酸ビニル等のビニルエステルとを共重合させ、得られた共重合体をケン化する方法、PVAを臭素、ヨウ素等で処理した後、酸性亜硫酸ナトリウム水溶液中で加熱する方法、PVAを濃厚な硫酸水溶液中で加熱する方法、PVAをスルホン酸基を含有するアルデヒド化合物でアセタール化する方法、等で製造することができる。
【0090】
前記ジアセトン変性ポリビニルアルコールは、ジアセトン基を有する単量体とビニルエステルとの共重合体の部分若しくは完全ケン化物であって、ジアセトン基を持つ単量体とビニルエステルとを共重合して得た樹脂をケン化することによって製造できる。
前記ジアセトン変性ポリビニルアルコールにおいて、ジアセトン基を有する単量体(繰り返し単位構造)の割合は特に限定されない。
【0091】
前記アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、一般に、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液、分散液又は粉末に、液状又はガス状のジケテンを添加反応させて製造することができる。該アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのアセチル化度は、目的とする感熱記録材料の品質に応じて適宜選定することができる。
【0092】
−他の成分−
本発明に係る感熱記録層には、上記成分のほか、目的や必要に応じて、架橋剤、他の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、バインダー、帯電防止剤、消泡剤、蛍光染料等の他の成分を含有してもよい。
【0093】
[架橋剤]
感熱記録層には、前記接着剤(あるいは保護コロイド)として用いる特定変性PVA及び他の変性PVA等に作用する架橋剤を含有していてもよい。該架橋剤を含有することにより、感熱記録材料の耐水性を向上させることができる。
前記架橋剤としては、特定変性PVA(及び好ましくは他の変性PVA等)を架橋させ得るものであれば適宜選択することができ、中でも、グリオキザール等のアルデヒド化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物が特に好ましい。
感熱記録層における架橋剤の含有量としては、架橋の対象となる特定変性PVA及び他の変性PVA等100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。該架橋剤の含有量が上記範囲内であると、耐水性を効果的に良化することができる。
【0094】
[媒染剤]
感熱記録層には、インクジェット記録した時の滲みを防止する目的で、媒染剤を含有していてもよい。
前記媒染剤としては、アミド基、イミド基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、1級アンモニウム塩基、2級アンモニウム塩基、3級アンモニウム塩基、4級アンモニウム塩基から選択される少なくとも一種のカオチン基を含む化合物が挙げられる。
【0095】
その具体例として、ポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カオチン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、等が挙げられる。
【0096】
上記のほか、カチオン性ポリマーも好適である。該カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン、等が挙げられる。
【0097】
前記媒染剤の分子量としては、1000〜200000程度が好ましい。該分子量が、1000未満であると、耐水性が不十分となる傾向があり、200000を超えると、粘度が高くなりハンドリング適正が悪くなることがある。
尚、前記カチオン性ポリマーは、感熱記録層、及び後述の保護層のいずれに添加してもよい。
【0098】
[金属石鹸、ワックス、界面活性剤]
金属石鹸としては、高級脂肪酸金属塩が挙げられ、具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、メチロールステアロアミド、ポリエチレンワックス、ポリスチレンワックス、及び脂肪酸アミド系ワックス等が挙げられ、一種単独で用いてもよく、二種以上混合してもよい。
界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤、等が挙げられる。
【0099】
[バインダー]
既述の電子供与性無色染料、電子受容性化合物、無機顔料、接着剤及び増感剤、並びに他の成分の分散は、水溶性のバインダー中で好適に行うことができる。ここで用いられるバインダーとしては、25℃の水に対して5質量%以上溶解する化合物が好ましい。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体のケン化物、等が挙げられる。
【0100】
前記バインダーは、分散時のみならず、感熱記録層の膜強度を向上させる機能をも担い、この機能の発揮に対して、スチレン−ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等の合成高分子ラテックス系のバインダーを併用することもできる。
【0101】
−その他−
既述の電子供与性無色染料、電子受容性化合物、無機顔料、接着剤及び増感剤は、ボールミル、アトライター、サンドミル等の攪拌・粉砕機によって同時又は別々に分散等され、塗布液として調製することができる。該塗布液には、必要に応じて上述の他の成分、即ち、架橋剤、媒染剤、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、バインダー、帯電防止剤、消泡剤、及び蛍光染料等が添加される。
【0102】
上記のように塗布液として調製された後、該塗布液は支持体の表面に塗布され、感熱記録層が形成される。塗布液を塗布する塗布方法としては、特に制限はなく、例えば、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター等を用いた塗布法から適宜選択すればよく、塗布後は乾燥される。乾燥後は、好ましくはキャレンダー処理により平滑化処理され使用に供される。感熱記録層を塗布形成する場合の塗布量については、特に制限はなく、通常乾燥質量で2〜7g/m2程度が好ましい。
【0103】
本発明においては、より少ない素材使用量で高濃度(高感度)が得られ、同時に画像品質(画質)をも良化できる点で、カーテンコーターを用いたカーテン塗布法が特に好ましい。また、後述のように、感熱記録層以外に保護層等をも積層する場合には、カーテン塗布法により複数層を同時重層塗布することにより、製造時の消費エネルギーをより低減することができる。具体的には以下の通りである。
【0104】
感熱記録材料は、好ましくは、単一、あるいは支持体上に設けられる複数の層の一部又は全部を、単一あるいは複数種の塗布液を支持体の表面にカーテン塗布した後、乾燥させて製造される。カーテン塗布して形成される層の種類としては、特に限定されないが、例えば、下塗り層、感熱記録層、保護層などが挙げられ、これらの隣接する一連の層がカーテン塗布により多層同時塗布される態様も好ましい。
【0105】
多層同時塗布する場合の層の組合せの具体例としては、下塗り層と感熱記録層の組合せ、感熱記録層と保護層の組合せ、下塗り層、感熱記録層及び保護層の組合せ、種類の異なる2以上の下塗り層の組合せ、種類の異なる2以上の感熱記録層の組合せ、種類の異なる2以上の保護層の組合せ、等が挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0106】
カーテン塗布に用いるカーテン塗布装置としては、特に限定されないが、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置などが挙げられ、中でも、写真感光材料の作製などに使用されている、特公昭49−24133号公報に記載のスライドホッパー型カーテン塗布装置が特に好ましい。このスライドホッパー型カーテン塗布装置を用いると、容易に多層の同時塗布を行うことができる。
【0107】
<保護層>
感熱記録層上には、少なくとも一層の保護層を設けることが好ましく、該保護層は、有機若しくは無機の微粉末、バインダー、界面活性剤、熱可融性物質等を含有して構成することができる。
前記微粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ類、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末のほか、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の有機系微粉末、等が挙げられる。
【0108】
保護層に含有するバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション等のラテックス類、等を挙げることができる。
【0109】
また、保護層中のバインダー成分を架橋して、感熱記録材料の保存安定性をより一層向上させるための耐水化剤を添加する態様も好ましい。該耐水化剤としては、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂、コロイダルシリカ等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
【0110】
上記の中でも特に好ましい保護層としては、水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカより選択される少なくとも一種の無機顔料と、水溶性高分子とを含んでなる態様が好ましい。該態様に構成することにより、保存性を向上できると同時に、取扱い性と捺印適性をも付与することができる。尚、更に界面活性剤、熱可融性物質等を含有していてもよい。
【0111】
保護層に含有する無機顔料の体積平均粒径としては、0.5〜3μmが好ましく、0.7〜2.5μmがより好ましい。中でも、捺印適性を向上させる観点からは、0.5〜1.2μmの水酸化アルミニウムが好ましく、インクジェット適性を向上させる観点からは、非晶質シリカを用いることが好ましい。ここでの体積平均粒径の測定は、既述の電子供与性無色染料等のそれと同様にして行うことができる。
【0112】
水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカより選択される無機顔料の総含有量としては、保護層形成用の塗布液の全固形分(質量)に対して、10〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。また、本発明の効果(特に、保存性の向上、並びに取扱い性と捺印適性の付与)を損なわない範囲で、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、タルク、クレー、コロイダルシリカ等の他の顔料を併用してもよい。
【0113】
前記水溶性高分子としては、前記バインダーのうち、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコール(以下、これらを総称して「ポリビニルアルコール」という。)、澱粉又は酸化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉等の変性澱粉、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステル化物、スチレン−アクリル酸共重合体等のカルボキシル基含有重合体、等が挙げられる。中でも、捺印適性の観点で、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉が好ましく、ポリビニルアルコール(x)と、酸化澱粉及び/又は尿素リン酸エステル化澱粉(y)とを90/10〜10/90の質量比率(x/y)で混合して用いることが特に好ましい。特に、前記ポリビニルアルコール、酸化澱粉および尿素リン酸エステル化澱粉の全てを併用する場合には、酸化澱粉(y1)と尿素リン酸エステル化澱粉(y2)との質量比率(y1/y2)は、10/90〜90/10とすることが好ましい。
【0114】
前記変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールが好ましく、このほか、スルホ変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が用いられる。
尚、これらポリビニルアルコールと反応する架橋剤を組合せることにより、保存性、取扱い性および捺印適性を更に良化することができる。
【0115】
前記水溶性高分子の含有比としては、保護層形成用の塗布液の全固形分(質量)に対して、10〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
【0116】
前記水溶性高分子を架橋させる架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン等の多価アミン化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒド等の多価アルデヒド化合物、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物、水溶性メチロール化合物(尿素、メラミン、フェノール)、多官能エポキシ化合物、多価金属塩(Al、Ti、Zr、Mg等)、などが好適に挙げられる。中でも、多価アルデヒド化合物、ジヒドラジド化合物が好ましい。
【0117】
前記架橋剤の含有比としては、前記水溶性高分子の質量に対して、2〜30質量%程度が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。該架橋剤を含有することによって、膜強度や耐水性等をより向上させることができる。
また、保護層中における、水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカより選択される無機顔料と水溶性高分子との混合比としては、無機顔料の種類やその粒径、水溶性高分子の種類等によって異なるが、無機顔料の質量に対して、水溶性高分子の量を50〜400質量%とすることが好ましく、100〜250質量%とすることがより好ましい。
また、保護層中に占める無機顔料と水溶性高分子の総質量は、保護層の全固形分質量の50質量%以上であることが好ましい。
【0118】
また、インクジェットインク適性を良化する点では、前記保護層、即ち保護層形成用の塗布液(以下、「保護層用塗布液」ということがある。)に界面活性剤を添加する態様も好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ヘキサメタリン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、等が好ましく、中でも、スルホコハク酸アルキルエステル塩がより好ましい。
前記界面活性剤の含有比としては、保護層形成用の塗布液の全固形分(質量)に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
【0119】
保護層形成用の塗布液は、上記の、水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカより選択される無機顔料および水溶性高分子、並びに必要に応じて架橋剤、界面活性剤等を、所望の水系溶媒に溶解若しくは分散して調製することができる。ここで、該塗布液には、潤滑剤、消泡剤、蛍光増白剤、有色の有機顔料等を本発明の効果(特に、保存性の向上、並びに取扱い性と捺印適性の付与)を損なわない範囲で添加することができる。
前記潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス・合成高分子ワックス等のワックス類、等が挙げられる。
【0120】
−支持体−
前記支持体としては、従来公知の支持体を適用することができる。具体的には、上質紙等の紙支持体、紙に樹脂又は顔料を塗布したコート紙、樹脂ラミネート紙、下塗り層を有する上質紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体が挙げられる。古紙パルプを主として含有する、即ち支持体の50質量%を古紙パルプが占める支持体も使用できる。
【0121】
前記支持体としては、ドット再現性の点から、JIS−8119で規定される平滑度が300秒〜500秒の範囲内にある平滑な支持体が好ましい。更に、上記同様の理由から、JIS−P8119で規定される前記平滑度が100秒以上のものがより好ましく、150秒以上のものが特に好ましい。
【0122】
前記古紙パルプは、一般に下記1)〜3)の3工程の組合せから作られる。
1)離解……古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
2)除塵……古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びごみを除去する。
3)脱墨……繊維より剥離された印刷インキをフローテーション法又は洗浄法で系外に除去する。
尚、必要に応じて、脱墨と同時又は別工程で漂白を行うこともできる。
このようにして得た古紙パルプ100質量%、若しくは古紙パルプと含量50質量%未満のバージンパルプとの混合物、を用いて常法により感熱記録材料用の支持体を形成する。
【0123】
前記支持体には、下塗り層が設けられていてもよい。この場合、下塗り層はステキヒトサイズが5秒以上の支持体の表面に設けられることが好ましく、顔料とバインダーとを主成分とするものが好ましい。
下塗り層用の顔料としては、一般の無機、有機顔料を全て使用できるが、特にJIS−K5101で規定する吸油度が40ml/100g(cc/100g)以上の吸油性顔料が好ましい。該吸油性顔料の具体例として、焼成カオリン、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、焼成ケイソウ土、珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、等が挙げられる。中でも、前記吸油度が70ml/100g〜80ml/100gの焼成カオリンが特に好ましい。
【0124】
支持体に下塗り層を塗布形成する場合の、前記顔料の塗布量としては、2g/m2以上が好ましく、4g/m2以上がより好ましく、7〜12g/m2が特に好ましい。
【0125】
下塗り層用のバインダーとしては、水溶性高分子、水性バインダーが挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
前記水溶性高分子としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン等が挙げられ、前記水性バインダーとしては、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルションが一般的であり、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション、等が挙げられる。
【0126】
下塗り層用のバインダーの使用量としては、膜強度や感熱発色層の熱感度等との兼ね合いで決定されるが、下塗り層用の顔料の質量に対して、3〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、8〜15質量%が特に好ましい。また、下塗り層には、ワックス、消色防止剤、界面活性剤等を添加してもよい。
【0127】
下塗り層形成用の塗布液の塗布は、公知の塗布法により行うことができる。具体的には、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を用いた塗布法が挙げられ、中でも、カーテンコーター若しくはブレードコーターを用いた塗布法が好ましく、ブレードコーターを用いた塗布法がより好ましい。塗布、乾燥後は、更に必要に応じてキャレンダー等の平滑処理を施して使用してもよい。
【0128】
前記ブレードコーターを用いた方法は、ベベルタイプやベントタイプのブレードを使用した塗工法に限らず、ロッドブレード塗工法やビルブレード塗工法等をも含み、また、オフマシンコーターに限られるものでもなく、抄紙機に設置したオンマシンコーターで塗工してもよい。尚、ブレードコート時に流動性を付与することで優れた平滑性と面状を得るため、下塗り層形成用の塗布液(アンダーコート層用塗布液)に、エーテル化度0.6〜0.8、重量平均分子量20000〜200000のカルボキシメチルセルロースを前記顔料量に対して1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%添加してもよい。
【0129】
下塗り層の塗布量としては、特に制限はないが、感熱記録材料の特性に応じて、2g/m2以上が好ましく、4g/m2以上がより好ましく、7〜12g/m2が特に好ましい。
【0130】
本発明においては、サーマルヘッドのヘッドマッチング性を向上し、高感度化と高画質化が図れる点から、下塗り層(特に好ましくは、吸油性と断熱効果と平面性の高い下塗り層)を有する下塗り原紙が好ましく、ブレードコーターを用いて吸油性顔料を含む下塗り層を有する下塗り原紙が特に好ましい。
【0131】
感熱記録材料に保有される、Na+イオン及びK+イオンの総イオン濃度としては、感熱記録材料と接触するサーマルヘッドのヘッド腐食を防ぐ観点から、1500ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、800ppm以下が特に好ましい。
前記Na+イオン及びK+イオンのイオン濃度の測定は、感熱記録材料を熱水で抽出し、その抽出水を原子吸光法によるイオン定量分析法により、Na+イオン及びK+イオンのイオン質量を測定することによって行うことができる。前記総イオン濃度は、感熱記録材料の全質量に対するppmで表したものである。
【0132】
本発明の感熱記録材料においては、その感熱記録層の表面の濡れ性、即ち感熱記録層の表面に蒸留水を滴下した後0.1秒経過後の接触角が、20°以上であることが好ましく、50°以上がより好ましい。前記接触角を上記範囲とすることにより、インクジェットプリンターで印字した時の印字の滲みを防止(インクジェット適性の付与、良化)することができる。
既述の電子受容性化合物(好ましくは4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド)を含有することにより前記接触角を得ることができ、そのほか記録面での蒸留水の接触角を高く維持し得る素材として、本発明に係る増感剤、パラフィンワックス等を感熱記録層に含有する等の方法によるのも好適である。
【0133】
前記接触角の測定は、感熱記録材料の感熱記録層の表面(記録面)に蒸留水を滴下した後、0.1秒経過後の接触角を常法により測定することにより行ことができる。例えば、FIBRO system(DAT1100(ab社製)等のダイナミックコンタクトアングル・アブソープションテスター)等により測定できる。
【0134】
本発明の感熱記録材料は、画像保存性に優れる点で有用であり、好ましくは印画後の形成画像を温度60℃、相対湿度20%の環境条件下で24時間放置した後の、前記形成画像における濃度残存率が65%以上とする。既述のように、電子受容性化合物(特に好ましくは4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド)を含有し、好ましくは画像安定剤等を含有することにより、前記濃度残存率を上記範囲とすることができる。これにより、形成画像を長期間高濃度に維持することができ、重要な文書の保管、前売りチケット、レシート、金券など、長期間に渡り画像信頼性が要求される分野にも適用することができる。
【0135】
画像の濃度残存率は、下記式のように、印画直後にマクベス反射濃度計(例えばRD−918)で測定した画像濃度に対する、同条件で印字し60℃、相対湿度20%の雰囲気下で24時間放置した後の画像濃度の比(%)で表される。
濃度残存率=[(放置後の画像濃度)/(印字直後の画像濃度)]×100
【0136】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0137】
(実施例1)
<感熱記録層用塗布液の調製>
−分散液A(電子供与性無色染料含有)の調製−
下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均粒径が0.7μmの分散液Aを得た。体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定器LA500(ホリバ(株)製)により測定した。
〔分散液Aの組成〕
・クリスタルバイオレットラクトン … 8部
(電子供与性無色染料)
・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …40部
(PVA−105、(株)クラレ製)
【0138】
−分散液B(電子供与性無色染料含有)の調製−
下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均粒径が0.7μmの分散液Bを得た。体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定器LA500(ホリバ(株)製)により測定した。
〔分散液Bの組成〕
・3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオラン … 2部
(電子供与性無色染料)
・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …10部
(PVA−105、(株)クラレ製)
【0139】
−分散液C(電子受容性化合物含有)の調製−
下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均粒径が0.7μmの分散液Cを得た。体積平均粒径は、分散液Aの場合と同様にして測定した。
〔分散液Cの組成〕
・4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド … 20部
電子受容性化合物
・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …100部
(PVA−105、(株)クラレ製)
【0140】
−分散液D(増感剤含有)の調製−
下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均粒径が0.7μmの分散液Dを得た。体積平均粒径は、分散液Aの場合と同様にして測定した。
〔分散液Dの組成〕
・2−ベンジルオキシナフタレン(増感剤) … 20部
・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …100部
(PVA−105、(株)クラレ製)
【0141】
−分散液E(顔料含有)の調製−
下記の各成分をサンドミルで分散、混合して、体積平均粒径が2.0μmの分散液Eを得た。体積平均粒径は、分散液Aの場合と同様にして測定した。
〔分散液Eの組成〕
・カルサイト系軽質炭酸カルシウム …40部
(ユニバー70、白石工業(株)製)
・ポリアクリル酸ナトリウム … 1部
・蒸留水 …60部
【0142】
−感熱記録層用塗布液の調製−
下記組成を混合して、感熱記録層用塗布液を得た。
〔感熱記録層用塗布液の組成〕
・分散液A … 48部
・分散液B … 12部
・分散液C …120部
・分散液D …120部
・分散液E …101部
・ステアリン酸亜鉛30%分散液 … 15部
・パラフィンワックス(30%) … 15部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(25%) … 4部
【0143】
<支持体アンダーコート層用塗布液の調製>
下記の各成分をディソルバーで攪拌混合して分散液を得た。
・焼成カオリン(吸油量75ml/100g) …100部
・ヘキサメタリン酸ナトリウム … 1部
・蒸留水 …110部
続いて、得られた分散液に、SBR(スチレン−ブタジエンゴムラテックス)20部と酸化デンプン(25%)25部とを添加して、支持体アンダーコート層用塗布液を得た。
【0144】
<感熱記録材料の作製>
支持体として、JIS−8119による平滑度が150秒の上質紙を用意し、該上質紙の表面に、上記より得た支持体アンダーコート層用塗布液を、ブレードコーターにより乾燥後の塗布量が8g/m2となるように塗布し、アンダーコート層を形成した。該アンダーコート層の塗設により、支持体のJIS−8119による平滑度は350秒となった。
【0145】
次いで、前記アンダーコート層上に、上記より得た感熱記録層用塗布液を、カーテンコーターにより乾燥後の塗布量が4g/m2となるように塗布し、乾燥して感熱記録層を形成した。その後、形成された感熱記録層の表面にキャレンダー処理を施し、本発明の感熱記録材料(1)を得た。
【0146】
(実施例2)
−分散液Fの調製−
下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均粒径が0.7μmの分散液Fを得た。体積平均粒径は、実施例1と同様にして測定した。
〔分散液F組成〕
・1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル
フェニル)ブタン(画像安定剤) … 5部
・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …25部
(PVA−105、(株)クラレ製)
【0147】
−感熱記録層用塗布液の調製−
実施例1と同様に分散液A、B、C、D、及びEを調製し、上記より得た分散液Eと共に下記組成で混合して感熱記録層用塗布液を調製し、更に実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(2)を得た。
〔感熱発色層用塗布液組成〕
・分散液A … 48部
・分散液B … 12部
・分散液C …120部
・分散液D …120部
・分散液F … 30部
・分散液E …101部
・ステアリン酸亜鉛30%分散液 … 15部
・パラフィンワックス(30%) … 15部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(25%) … 4部
【0148】
(実施例3)
実施例2において、分散液Fの調製に用いた1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(画像安定剤)に代えて、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンを用いたこと以外、実施例2と同様に分散液Fを調製し、更に実施例2と同様にして、本発明の感熱記録材料(3)を得た。
【0149】
(実施例4〜5)
実施例1において、分散液Eの調製に用いたカルサイト系軽質炭酸カルシウム(ユニバー70;無機顔料)40部に代えて、非晶質シリカ(ミズカシルP832、水沢化学工業(株)製)20部、又は水酸化アルミニウム(ハイジライトH42、昭和電工(株)製)40部、を各々用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(4)〜(5)を得た。
【0150】
(実施例6)
実施例1において、分散液A、B、C、及びDの調製に用いたポリビニルアルコール2.5%水溶液(接着剤)に代えて、スルホ変性ポリビニルアルコール(ゴーセランL3266、日本合成化学(株)製)2.5%水溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(6)を得た。
【0151】
(実施例7)
実施例1において、分散液A、B、C、及びDの調製に用いたポリビニルアルコール2.5%水溶液(接着剤)をジアセトン変性ポリビニルアルコール(D500、ユニチカ社製)2.5%水溶液に代え、かつ代えて得た分散液A、B、C、及びDを実施例1と同様にして混合してなる感熱記録層用塗布液に、更にアジピン酸ジヒドラジド5%水溶液(架橋剤)13部を添加したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(7)を得た。
【0152】
(実施例8)
実施例1において、A、B、C、及びDの調製に用いたポリビニルアルコール2.5%水溶液(接着剤)をアセトアセチル変性ポリビニルアルコール(ゴーセファイマーZ210、日本合成化学(株)製)2.5%水溶液に代え、かつ代えて得た分散液A、B、C、及びDを実施例1と同様にして混合してなる感熱記録層用塗布液に、更にグリオキザール5%水溶液(架橋剤)13部を添加したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(8)を得た。
【0153】
(実施例9)
実施例1で支持体として用いた上質紙に代えて、古紙パルプ70%、LBKP30%により構成され、JIS−P8119による平滑度が170秒の再生紙(50g/m2)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(9)を得た。
【0154】
(実施例10)
実施例1の<感熱記録材料の作製>において、支持体へのアンダーコート層の形成後に行った、感熱記録層用塗布液の塗布、乾燥およびキャレンダー処理に代えて、アンダーコート層の形成後に、実施例1で得た感熱記録層用塗布液と下記よりなる保護層用塗布液とをカーテンコーターを用いて同時重層塗布し、乾燥し、積層された保護層の表面にキャレンダー処理を施したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(10)を得た。尚、保護層の乾燥塗布量は2.0g/m2であった。
【0155】
−保護層用塗布液の調製−
下記組成をサンドミルで分散し、体積平均粒径2μmの顔料分散物を調製した。体積平均粒径は、実施例1と同様にして測定した。
・水酸化アルミニウム(体積平均粒子径1μm) …40部
(ハイジライトH42、昭和電工(株)製)
・ポリアクリル酸ナトリウム … 1部
・水 …60部
【0156】
別途、尿素リン酸エステル化澱粉15%水溶液(MS4600、日本食品化工(株)製)200部及びポリビニルアルコール15%水溶液(PVA−105、(株)クラレ製)200部に水60部を加えたものを調製し、これに上記より得た顔料分散物を混合し、更に体積平均粒径0.15μmのステアリン酸亜鉛乳化分散物(ハイドリンF115、中京油脂(株)製)25部と、スルホコハク酸2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩2%水溶液125部とを混合して、保護層用塗布液を得た。
【0157】
(実施例11〜13)
実施例10の保護層用塗布液の調製に用いた水酸化アルミニウム(ハイジライトH42;無機顔料)40部に代えて、水酸化アルミニウム(ハイジライトH43、体積平均粒径0.7μm、昭和電工(株)製)40部、カオリン(カオブライト、体積平均粒径2.5μm、白石工業(株)製)40部、又は非晶質シリカ(ミズカシルP707、体積平均粒径2.2μm、水沢化学(株)製)20部、を各々用いたこと以外、実施例10と同様にして、本発明の感熱記録材料(11)〜(13)を得た。
【0158】
(実施例14〜20)
実施例1の分散液Dの調製に用いた2−ベンジルオキシナフタレン(増感剤)に代えて、シュウ酸ジメチルベンジル(HS3520R−N、大日本インキ工業(株)製)、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、ジフェニルスルホン、又は1,2−ジフェノキシエタンを各々用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(14)〜(20)を得た。
【0159】
(実施例21)
実施例1の分散液Aの調製において、クリスタルバイオレットラクトンを6部に、ポリビニルアルコール2.5%溶液を30部に代えたこと;同分散液Bの調製において、3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランを4部に、ポリビニルアルコール2.5%溶液を20部に代えたこと;及び−感熱記録層用塗布液の調製−において、分散液Aを36部、分散液Bを24部としたこと;以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(21)を得た。
【0160】
(実施例22)
実施例1の分散液Aの調製において、クリスタルバイオレットラクトンを4部に、ポリビニルアルコール2.5%溶液を20部に代えたこと;同分散液Bの調製において、3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランを6部に、ポリビニルアルコール2.5%溶液を30部に代えたこと;及び−感熱記録層用塗布液の調製−において、分散液Aを24部、分散液Bを36部としたこと;以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(22)を得た。
【0161】
(実施例23)
実施例1の分散液Aの調製において、クリスタルバイオレットラクトンを10部に、ポリビニルアルコール2.5%溶液を50部に代えたこと;及び−感熱記録層用塗布液の調製−において、分散液Aを60部、分散液Bを0部としたこと;以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(23)を得た。
【0162】
(実施例24)
実施例1において、感熱記録層用塗布液の塗布に用いたカーテンコーターに代えて、エアナイフコーターを用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(24)を得た。
【0163】
(実施例25
実施例1の分散液Bの調製に用いた4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド(電子受容性化合物)に代えて、N−ベンジル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド(=p−N−ベンジルスルファモイルフェノール)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料(25)を得た。
【0164】
(比較例1〜3)
実施例1の分散液Bの調製に用いた4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド(電子受容性化合物)に代えて、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパン(ビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、又は4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンをそれぞれ用いたこと以外、実施例1と同様にして、比較の感熱記録材料(28)〜(30)を得た。
【0165】
(評価)
上記より得た、本発明の感熱記録材料(1)〜(25)及び比較の感熱記録材料(28)〜(30)について、以下の測定、評価を行った。尚、測定、評価の結果は下記表1に示す。
(1)画像濃度の測定
富士写真フイルム(株)製POSTER PRINTER 3000WIDEを用いて、画像電子学会のファクシミリテストチャートNo.3を、得られた感熱記録材料に拡大コピーした。チャートのベタ発色部分(白抜きのFの文字の左側1cmの部分)をマクベス反射濃度計(RD−918)でグリーンフィルターのポジションで測定した。
【0166】
(2)画像保存性
前記各感熱記録材料を、上記(1)画像濃度の測定と同一の装置及び条件で印画し、印画直後の該画像の濃度と、同画像を温度60℃、相対湿度20%の雰囲気下に24時間放置後の該画像の濃度とを、マクベス反射濃度計(RD−918、マクベス社製)で測定した。そして、下記式に基づき、印画直後の画像濃度に対する、放置後の画像濃度の比(%;濃度残存率)を算出し、画像保存性を評価する指標とした。尚、数値が高いほど画像保存性が良好なことを示す。
濃度残存率=[(放置後の画像濃度)/(印字直後の画像濃度)]×100
【0167】
(3)画像耐光性の評価
前記各感熱記録材料の印画直後の画像の濃度と、同画像を32000luxの蛍光灯下に5時間放置後の画像の濃度とを、マクベス反射濃度計(RD−918)で測定し、上記(2)と同様にして濃度残存率を算出した。濃度残存率が60%以上であれば、実用上の問題は生じない。
【0168】
(4)地肌カブリの評価
各感熱記録材料を、温度60℃、相対湿度20%の環境条件下で24時間放置した後の地肌部(非画像部)の濃度を、マクベス反射濃度計(RD−918、マクベス社製)でレッドフィルターのポジションで測定した。尚、数値が低いほど地肌カブリが良好なことを示す。
【0169】
(5)耐薬品性の評価
各感熱記録材料に対して上記(1)と同一の装置及び条件で印画し、その地肌部及び印画部の表面を蛍光ペン(ゼブラ蛍光ペン2−ピンク、ゼブラ(株)製)で筆記し、1日経過後の各感熱記録材料における、地肌部の地肌カブリの程度と画像部の画像濃度とを目視により観察し、下記基準にしたがって評価を行った。
〔基準〕
○:地肌部のカブリ濃度の上昇は認められず、画像部の濃度変化も認められなかった。
△:地肌部のカブリ濃度の上昇が若干認められ、画像部は濃度がやや薄くなった。
×:地肌部のカブリ濃度の上昇が顕著に認められ、画像部はほとんど消えた。
【0170】
(6)ヘッド切れの評価
ワードプロセッサ(ルポ95JV、(株)東芝製)を用いて、印字率20%のテストチャートをA4シートサイズで1000枚印字し、その時のドット抜けの数をヘッド切れを評価するための指標とした。
【0171】
(7)インクジェット適性の評価
▲1▼インク耐性
上記「(1)感度の測定」の場合と同様にして、各感熱記録材料の感熱記録層に印画し、印字直後の画像の濃度(D1)をマクベス反射濃度計RD918(マクベス社製)で測定した。次に、印画された各感熱記録材料の感熱記録層の表面(印画された印字部)と、インクジェットプリンター(EPSON MJ930C、エプソン社製)により高画質プリントされた画像とを接触させ、25℃下で48時間放置した後の、各感熱記録層の画像濃度(D2)をマクベス反射濃度計RD918で測定した。そして、得られた各濃度から、各感熱記録材料について濃度残存率(%;D2/D1×100)を算出し、インクジェット用インクに対する耐性を評価する指標とした。尚、数値が高いほどインク耐性が良好なことを示す。
【0172】
▲2▼インクジェット記録適性
各感熱記録材料にワードプロセッサ(ルポJW−95JU、(株)東芝製)を用いて文字を印字した後、印字された各感熱記録層に更にインクジェットプリンターによりプリントを行い、インクジェット記録部のインクの滲みと、ワードプロセッサにて印字された文字部の消色程度を、下記基準に従って目視評価した。
〔基準〕
○:インクの滲み並びに文字部の消色はわずかであり、判読に支障はなかった。
△:文字部が一部薄くかすれたが、何とか判読は可能であった。
×:文字部が完全に消失し、判読は不可能であった。
【0173】
(8)接触角の測定
各感熱記録材料の感熱記録層の表面(記録面)に蒸留水を滴下した後、0.1秒経過後の接触角を、FIBRO system(DAT1100、ab社製)を用いて測定した。値は大きいほど効果との関係で有用といえる。
【0174】
(9)イオン(Na+,K+)濃度の測定
各感熱記録材料について、熱水で抽出し、その抽出水を原子吸光法によるイオン定量分析法により、Na+イオン及びK+イオンのイオン質量を測定した。表1中のイオン濃度は、Na+及びK+の総イオン濃度を表し、感熱記録材料の全質量に対する総ppm値を示す。
【0175】
【表1】
Figure 0003795801
【0176】
上記表1の結果から、電子供与性無色染料と共に特定の電子受容性化合物を含む本発明の感熱記録材料(1)〜(25)では、特に、青色が鮮やかで美しく画像認識性が高く、地肌部の地肌カブリを低く維持しながら、高い発色濃度(高感度)が得られ(印画適性が良好)、印画後の画像保存性も良好であり、接触角の向上に伴いインクジェット適性を備え、優れた耐薬品性をも有し、ヘッド摩耗が少なくサーマルヘッドマッチング性の点でも優れていた。即ち、高感度化、並びに、地肌白色性、画像保存性、インクジェット適性、耐薬品性、及びサーマルヘッドマッチング性(耐摩耗性)を同時に満足することができた。
【0177】
また、感熱記録材料(1)との対比において、画像安定剤を含有した感熱記録材料(2)及び(3)では、画像保存性及びインク耐性をより向上させることができ、好ましい接着剤(保護コロイド)を用いた感熱記録材料(6)では、更なる高感度化と地肌カブリの低減を図ることができた。尚、画像安定剤の含有により、捺印適性及び取扱い性も特に優れていた。本発明に好適な特定の無機顔料を含む保護層を設けた感熱記録材料(10)〜(13)では、画像保存性及びインク耐性(耐薬品性)を更に向上することができた。実施例14〜20で用いた増感剤によっても、実施例1の感熱記録材料(1)と同様に良好な性能が得られ、実施例21〜25で用いた電子供与性無色染料でも、地肌カブリを低く保持しながら、良好な発色性、画像保存性が得られた。実施例1及び26のように、カーテン塗布法による方が高感度化の点で有用であった。尚、支持体に古紙パルプを含有した場合(実施例9)でも諸性能に支障を来すこともなかった。
【0178】
一方、電子受容性化合物として、一般式(1)で表される化合物を用いなかった比較の感熱記録材料(28)〜(30)では、特に、高感度化が図れなかっただけでなく、画像保存性、耐薬品性、及びインクジェット適性の点で劣っており、感熱記録材料が有すべき諸性能を同時に満足することはできなかった。
【0179】
【発明の効果】
本発明によれば、画像部の鮮明度、審美性、視認性、及び発色濃度が高く、特に、地肌部(非画像部)のカブリ濃度(地肌カブリ)を低く抑えながら、高感度でかつ高濃度の画像を形成でき(印画適性が良好)、印画後の画像保存性、耐薬品性に優れ、インクジェット画像の色相不良や、ニジミや、インクジェット用インクに起因する画像褪色を伴わないインクジェット適性を有し、しかも高速性や部分グレーズ構造を備える等の高性能プリンタに適用する場合であっても、サーマルヘッドマッチング性が良好でヘッド摩耗やヘッド汚れの少ない(ヘッド適性が良好)感熱記録材料を提供することができる。また、更にこれらに加えて、鮮鋭で高画質の画像が得られ、形成画像の耐光性に優れ、感熱記録層又は保護層上に滲みなく印刷、捺印することが可能であり、少ない塗布量(環境適性)で低コストに形成でき、必要に応じて普通紙ライク感をも備えた、画像部が青色に発色する感熱記録材料を提供することができる。

Claims (5)

  1. 支持体上に、電子供与性無色染料と、該電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物とを含む感熱記録層を有する感熱記録材料において、
    前記電子受容性化合物が、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、又はN−ベンジル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、であること、及び
    前記電子供与性無色染料が青色に発色すること、を特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記電子供与性無色染料として、クリスタルバイオレットラクトンと、3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオランとを、9/1〜5/5の重量比率で含有することを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 感熱記録層が画像安定剤を含み、該画像安定剤が、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンの少なくとも一方である請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  4. 感熱記録層が増感剤を含み、該増感剤が、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジメチルベンジル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、ジフェニルスルホン、及び1,2−ジフェノキシエタンより選択される少なくとも一種である請求項1からのいずれかに記載の感熱記録材料。
  5. 支持体上に複数の層を有してなり、支持体上の少なくとも一層がカーテン塗布法により塗布形成される請求項1からのいずれかに記載の感熱記録材料。
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