JP3474557B2 - 感熱記録材料の製造方法 - Google Patents

感熱記録材料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱記録材料の製
造方法に関し、詳しくは、ヘッド摩耗等の装置耐久性の
低下のない優れた装置適性を備え、かつ記録媒体として
の印画適性、安定性を有すると共に、印刷適性や捺印適
性、環境適性等にも適応し、普通紙ライクな記録媒体と
して有用な感熱記録材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】感熱記録技術は、歴史的には、1960
年代にNCR社で無色のロイコ染料とフェノール系の酸
性物質とを用いた染料系の感熱紙が開発され、この系が
現在の感熱記録方式の主流となっている。その後、半
導体技術を背景にサーマルヘッドが開発され、コスト・
性能面で著しく改良が施されたことで、装置の小型化、
低価格化が可能となったこと、これに付随して、感熱
紙(感熱記録材料)自体の高品質化(高感度化、ヘッド
マッチング性の向上等)が実現されたこと、そして、
感熱記録方式が、静電記録、インクジェット記録、PP
C記録等の各記録方式と比較して、利便性、即ち簡便
性、低価格、メンテナンスフリー等の点で有利であると
評価されたことによって、感熱紙(以下、「感熱記録材
料」という。)の需要は飛躍的に成長した。
【0003】しかしながら、感熱記録材料がその利便性
からFAXや各種プリンタ等に利用され、日常生活に身
近になるにつれて、感熱記録材料の欠点もよく知られる
ようになった。即ち、例えば、 ・光により変色する、 ・高温下で保存(自動車内での放置など)すると変色す
る、 ・化学薬品(ラップフィルム内の可塑剤、油脂類、マー
カーペン中の有機溶剤、インクジェットプリンタ用イン
ク等)により記録像が褪色する、 ・普通紙ライク感(スタンプ等の乾きが良好で滲まない
等の捺印適性が良好なこと、記録面がマット調で読みや
すいこと、鉛筆等の筆記性が良好なこと、擦れ汚れの生
じ難いこと、等;以下、同様である。)がない、等が指
摘されるようになった。したがって、従来の感熱記録材
料における前記欠点を解消し、付加価値を高めた感熱記
録材料の開発、提供が求められていた。
【0004】近年、感熱記録材料は、一般に比較的安価
であり、しかもその記録機器がコンパクトでメンテナン
スフリーであるため広範囲に渡って使用されている。こ
のような状況のもと、最近では感熱記録材料の販売競争
が激化し、従来の機能とは差別化し得る更なる高機能
化、特に発色濃度や地肌白色性、鮮鋭性、保存時の安定
性、インクジェット方式等で記録したフルカラー画像に
対しては色相が良好で鮮やかであること、等が図られた
感熱記録材料に対する要求が高く、これらの要求に応え
るべく、感熱記録材料の発色性、保存性などの諸性能に
関する検討が鋭意行われている。
【0005】感熱記録材料が有すべき諸性能としては、
(1)高感度であること(高濃度が得られること)、(2)地
肌部(非画像部)の白色性が高いこと(地肌カブリが低
いこと)、(3)印画後の画像保存性に優れること、(4)耐
光性に優れること、(5)耐薬品性に優れること、(6)鮮鋭
で高画質であること、(7)インクジェット方式等を用い
てフルカラー画像を記録する場合の各色色相が良好で鮮
やかであること、(8) サーマルヘッドマッチング性がよ
く、サーマルヘッド摩耗の少ない耐ヘッド適性を有する
こと、(9)普通紙ライク感のあること、(10)感熱記録層
上に印刷可能な印刷適性や滲みのない捺印適性を有する
こと、(11)高速プリンタ等の高性能プリンタへの適用
性、(12)環境適性を備えること、などが挙げられ、上述
のような状況下においては、いずれの性能も損なうこと
なく、これら諸性能の全てを同時に満足することが求め
られる。しかしながら、これまで上記諸性能の全てを同
時に満足し得る感熱記録材料は、未だ提供されるまでに
至っていないのが現状である。
【0006】一方、従来、感熱記録材料に用いられる電
子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合
物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(いわゆる「ビスフェノールA」)が広く使用
されてきたが、この系では感度、地肌カブリ、画像保存
性の点で、未だ満足したものは得られていない。
【0007】また、下記のような(13)インクジェット適
性の点でも問題があった。即ち、感熱記録材料にフルカ
ラーの情報を記録する場合、インクジェット用インクを
用いて記録が行われる場合があるが、ビスフェノールA
を用いた通常の感熱記録材料を用いその記録面にインク
ジェット記録を行うと、インクの色相が忠実に再現され
得ず、鮮やかな色相が得られなかったり、既に感熱記録
されていた記録像の褪色を引き起こすことがあった。ま
た、インクジェットプリンタで記録されたメディアに上
記通常の感熱記録材料が接触した状態で置かれた場合に
も、地肌カブリの発生や記録像の褪色を生ずることがあ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、特に、地肌部(非画像部)
の白色度が高く、カブリ濃度(地肌カブリ)を低く抑え
ながら、高感度でかつ高濃度の画像を形成でき(印画適
性が良好)、印画後の画像保存性、耐薬品性に優れ、イ
ンクジェット画像の色相不良や、ニジミや、インクジェ
ット用インクに起因する画像褪色を伴わないインクジェ
ット適性を有し、しかも高速性や部分グレーズ構造を備
える等の高性能プリンタに適用する場合であっても、サ
ーマルヘッドマッチング性が良好でヘッド摩耗やヘッド
汚れの少ない(ヘッド適性が良好)感熱記録材料を提供
すること、更にこれらに加えて、鮮鋭で高画質の画像が
得られ、形成画像の耐光性に優れ、感熱記録層又は保護
層上に滲みなく印刷、捺印することが可能であり、少な
い塗布量(環境適性)で低コストに形成でき、必要に応
じて普通紙ライク感をも備えた感熱記録材料を製造可能
な感熱記録材料の製造方法を提供すること、を目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、感熱記録
材料が有すべき諸性能を高いレベルで同時に満足し得る
ための技術に関し、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見
を得た。 〈高感度化〉 高感度化には、下記(1)〜(3)の点が重要である。即ち、
第一に、(1)サーマルヘッドから感熱記録層への熱伝達
を向上することが重要であり、このためには感熱記録材
料の記録面の表面平滑性の向上、記録面へのクッション
性の付与が有効である。第二に、(2)サーマルヘッドか
ら伝達される熱を有効利用することが重要であり、この
ためには支持体断熱化、感熱記録層のスリム化が有効で
ある。第三に、(3)増感剤に対する、電子供与性無色染
料及び電子受容性化合物の溶解速度の向上が重要であ
り、このためには溶解度の向上、溶融粘度の低減、素材
粒径の低減が有効である。以下、具体的に説明する。
【0010】(1) サーマルヘッドから感熱記録層への熱
伝達向上 感熱記録層を一定濃度にまで発色させるには一定量の熱
量が必要であるので、感熱記録材料の高感度化には、サ
ーマルヘッドからの熱を如何に効率的に記録層に伝達さ
せるかが重要である。ここで、固体の熱伝導率は気体と
比較して桁外れに高く、輻射熱との対比でも伝導熱の方
がはるかに高い。そのため、印画時の感熱記録層の表面
(以下、「記録面」ということがある。)とサーマルヘ
ッドとの接触率を高めることが有効であり、これにより
サーマルヘッドからの熱を感熱記録層に効率的に伝達す
ることができる。記録面とサーマルヘッドとの接触率を
高めるには、感熱記録材料に要求される物性として、
予め記録面の平滑性を高めておく、感熱記録材料のク
ッション性を高める、こと等が特に有効となる。
【0011】記録面の平滑性を高めるには、支持体の
平面性を向上することが有効である。具体的には、平面
性の高い原紙を用いることのほか、吸油性顔料を主成分
とする下塗り層を設け、パルプによる凹凸を埋めるこ
と、などが望ましい。また、感熱記録層を塗布、乾燥し
た後、熱カレンダーやスーパーカレンダー処理を施し
て、平滑性を高めることも有効である。また、感熱記
録材料のクッション性を高める(クッション性の付与)
が有効であるのは、以下の知見に基づく。即ち、サーマ
ルヘッドを用いて感熱記録材料に熱印画する場合、プラ
テンロールを用いて適度な圧力をかけるが、圧力をかけ
た状態でサーマルヘッドと記録面との接触率を高めるに
は、感熱記録材料が変形し易ければよい。したがって、
クッション性を付与する具体的な手段としては、吸油性
顔料を主成分とする下塗り層を設けたり、吸油度の高い
顔料(例えば非晶質シリカ)を感熱記録層に含有するこ
とが有効である。このクッション性付与の考え方は、部
分グレーズ構造を有するサーマルヘッドを用いて記録す
る場合の高感度化に対しても特に有効である。ここで、
部分グレーズ構造とは、発熱体部のグレーズ層の断面形
状が山形に構成されているものをいう。
【0012】(2) サーマルヘッドから伝達される熱の有
効利用 サーマルヘッドから伝達された熱の有効利用を図るに
は、支持体の断熱性付与が有効であり、その具体的な手
段としては、支持体中にできるだけ空隙を設けることが
有効である。感熱記録材料における場合は、例えば、吸
油度の高い顔料を含む下塗り層を設け、該下塗り層に使
用するバインダ量を極力減らす、下塗り層に中空粒子を
含有させる、などが挙げられる。また、熱の有効利用の
ためには、感熱記録層のスリム化も有効である。感熱記
録層の熱容量が感度に寄与していると考えると、感熱記
録層には発色に寄与しない成分が多く含まれ、その熱容
量分が無駄に消費されている。該成分としては、サーマ
ルヘッドと記録層とのクッツキを抑制する離型剤やワッ
クス類、溶融成分を吸収する吸油性顔料、素材の分散及
び塗膜強度を付与するためのバインダ類、等が該当す
る。これらによる熱量消費は約20〜30%にも及ぶの
で、これらの使用量を半減することにより、約10〜1
5%の感度の向上が期待できる。
【0013】本発明者等の検討の結果によると、記録層
中の顔料、バインダの含有量を減らすことで感度を向上
させることができる。バインダ量を減らすことで予想以
上に感度を高められるので熱容量以外の寄与も考えられ
るが、原因は不明である。但し、バインダの含有量を単
純に減らすと、サーマルヘッドのヘッドマッチング性や
塗膜強度などが悪化するので、なるべく効率的な素材配
分、即ち、必要な成分を必要な層に最少量使用すること
が重要となる。
【0014】(3) 増感剤に対する、電子供与性無色染料
及び電子受容性化合物の溶解速度の向上 感熱記録材料に関する技術開発の初期段階では、増感剤
は、電子供与性無色染料及び電子受容性化合物の融点降
下剤として、より低温で発色させる目的で選定されてき
た。しかし、この発想では発色開始温度を維持しながら
感度を高めるのには限界があり、地肌カブリと感度との
両立が困難であった。そこで、本発明者等は、増感剤を
電子供与性無色染料や電子受容性化合物を溶解させるた
めの素材と捉え、必要以上に共融点を低下させることな
く、即ち地肌カブリを低く維持したまま、高感度化を実
現する増感剤の検討を行った結果、融解した増感剤中
に、電子供与性無色染料や電子受容性化合物が早く拡散
する方が高感度化には有利であるとの知見を得た。即
ち、溶解度が高いだけでなく、溶融粘度の低い増感剤を
選択すること、電子供与性無色染料や電子受容性化合物
の分散粒径を小さくすること、が高感度化に有効であり
好ましい。尚、前記分散粒径はあまり小さくしすぎると
地肌カブリが悪化するため、適切な範囲とすることが重
要である。
【0015】〈サーマルヘッドとのマッチング性及びヘ
ッド耐久性の付与〉 感熱記録材料は、その記録面(感熱記録層の表面)に発
熱素子であるサーマルヘッドを直接接触させ該表面を擦
りながら印画(印字)される。そのため、溶融した記録
層中の成分がヘッドに付着し、汚れとして堆積すること
がある。また、サーマルヘッド表面を物理的に摩耗した
り、あるいは腐食する等によりヘッド自体の寿命を短く
してしまうこともある。したがって、下記手段を適用す
ることが望ましい。即ち、 1)ヘッド汚れを防ぐ観点では、熱により溶融した染
料、顕色剤、増感剤等の物質を材料側に吸収、保持させ
ることが重要であり、このためには、記録層に吸油性の
高い顔料を用いる、或いは、吸油性の高い顔料を用いた
下塗り層を設ける、ことが有効である。 2)また、記録材料を構成する成分中の、ヘッド腐食発
生の原因となり易いイオン(Na+、K+等)含量を抑制
することが重要である。 3)物理摩耗を極力軽減する観点では、顔料の硬度、形
状、粒子径等を考慮することが重要である。
【0016】〈画像保存性(及び耐薬品性)と地肌カブ
リの両立〉 発色画像は、感熱記録材料の発色原理であるロイコ染料
と顕色剤が熱溶融し接触することによって起こる化学反
応が可逆反応であるため、油脂類、可塑剤などの薬品に
よって逆反応が起こり消え易い。したがって、ハンドク
リームやその他化粧品類、又は油脂類の付着した手で触
ったり、可塑剤を含むプラスチック製品や有機溶剤含有
の製品、革製品(消しゴム、塩化ビニル製の机上マット
や食品包装フィルム、マーカーペン、インクジェット用
インク、財布や定期券入れ、等)に接触した状態で置か
れる日常生活の中で発色画像が消える等、画像保存性及
び耐薬品性の点で問題が生じ易い。
【0017】上記のような発色原理に起因する現象(画
像の消失、褪色)を克服するために様々な検討が進めら
れ、例えば、記録層上に物理的な遮蔽の目的で保護層
を形成し、いわゆるオーバーコートタイプとする、記
録層に架橋性の添加剤を加える、等が行われてきた。し
かし、保護層を設けても油や可塑剤は徐々に浸透し時間
の経過とともに褪色が進むことは避けられず、結果的
に、スーパーマーケットで生鮮食品に貼られる計量ラベ
ルなど、使用が短期間な用途に限られてしまう、架橋性
物質を加えても発色からその効果が現れるまでに相当の
時間を必要とする、等の問題があり、保存性がないとい
う基本的性能を満足するには至っていなかった。
【0018】そこで、前記保存性の向上に関する本発明
者等の検討の結果、特定の電子受容性化合物が画像保存
性の良化に有用である、地肌カブリをも両立し得る、ま
た、これに更に特定の増感剤や電子供与性無色染料を組
合せることで地肌カブリを更に良化できる、との知見を
得た。また、特定の画像安定剤を組合せることで、地肌
カブリをほとんど悪化させることなく、画像保存性を更
に良化できるとの知見をも得た。これらの知見によれ
ば、オーバーコートに頼っていた従来の保存性付与技術
では困難な、画像保存性と共に捺印適性及び取扱い性を
も高いレベルで付与することも可能である。以上によ
り、捺印適性及び画像保存性を両立することができる。
【0019】〈耐光性の向上〉 用途によっては、耐光性に優れた感熱記録材料が要求さ
れることがあるが、画像を担うロイコ染料は紫外線など
によって容易に分解し易いことから、長時間自然光等に
曝された場合にもやはり褪色する等、耐光性の点で問題
があった。耐光性を向上させるには、光によるロイコ染
料の分解を防止する手段を付与することが重要である。
このためには、特に高位のエネルギーである紫外線を防
止する紫外線吸収剤を感熱記録層や保護層に配合するこ
とが有効であり、特に感熱記録層に紫外線が到達する前
に効率的に遮断する観点から、液状の紫外線吸収剤をマ
イクロカプセルに包み込んで保護層に含有することがよ
り有効である。
【0020】〈印刷適性の付与〉 用途に応じて、感熱記録材料の記録面(感熱記録層の表
面)にオフセット印刷が施される場合がある。そのよう
な用途に対しては、輪転フォーム印刷機の100m/m
inを超える印刷速度に耐える表面強度と、湿し水吸収
性とを有することが必要であり、感熱記録層中の顔料や
バインダの配合割合を最適化することが重要である。こ
のためには、前記顔料として炭酸カルシウム等の吸油性
顔料が好ましく、前記バインダーとしてポリビニルアル
コール(PVA)、中でも特にスルホ変性ポリビニルア
ルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、アセ
トアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0021】〈普通紙ライク感の付与〉 感熱記録材料が、オフィスや家庭でのファクシミリ用
や、各種プリンタ用の記録紙として広く使用されるよう
になった結果、身の回りにある用紙(PPC用紙やノー
ト、レポート用紙等の上質紙)との比較で違和感を感じ
る、即ち、表面がツルツルしている、筆記性が悪い、薄
く手で持った場合にこしがない等の指摘が盛んになされ
るようになった。これらは、オフィスでのファクシミリ
が最近普通紙を使用するPPCタイプヘ移行している理
由の一つになっている。この点からは、支持体である
原紙を厚くしてこしを強くする、保護層の付与によ
り、低光沢な表面性、筆記性、捺印適性を付与する、な
ど手触り感や使い易さを上質紙へ近づけることが重要で
ある。
【0022】ここで、普通紙ライク感を有する感熱記録
材料とは、従来の感熱紙が持つ加工紙としての欠点が解
消され、表面がマット調である、手触りのヌメリ感がな
い、擦れ汚れにくい、記録像が褪色し難い、などの性能
を具備するものと考えられ、これまで普通紙ライクにす
る目的で記録層上に保護層を設けたものが提案されてい
た。しかし、従来の保護層には手触り、外観(マット
調)、筆記性等に配慮しすぎるあまり、捺印適性につい
ては配慮がなされていなかった。しかしながら、わが国
の習慣を背景に、捺印適性(ニジミがない、スタンプ等
の乾きが良好)は特に重要であると考え、普通紙ライク
性のある感熱記録材料のための保護層の改良を検討し
た。
【0023】その結果、捺印適性を含めた普通紙ライク
感を得るには、保護層の顔料、バインダとして下記のも
のが有用であるとの知見を得た。前記顔料としては、捺
印適性、外観(マット調)、筆記性を重視するため、適
度な粒径と吸油量を有するものが好ましい。前記粒径
が、大きすぎると画質が悪くなることがあり、小さすぎ
ると筆記性、外観が悪くなることがある。また、吸油量
が大きすぎると、保護層の不透明性が上がって記録濃度
が低下したり、吸油量が小さすぎると、捺印適性(乾
き)が悪くなる傾向がある。前記バインダーとしては、
捺印適性(ニジミ)を防止する目的で、PVAとデンプ
ンを適切な比率で混合してなるものが特に好ましい。前
記PVAとしては、捺印適性(乾き)を付与する観点か
ら、いわゆる完全ケン化型(ケン化度93%程度以上)
のものが好ましい。
【0024】〈装置との組合せでの高感度化とヘッドマ
ッチング性〉 近年、多くの分野、用途で感熱記録材料が採用されてき
た背景には、小型化、低ランニングコスト、メンテナン
スフリーといった感熱記録方式の利点があっただけでな
く、プリンタ(ハード)と記録紙(メディア)の双方で
技術の向上が図られてきたことがある。前記ハード面で
は、例えば、記録スピードは毎秒10インチ(約25c
m)、記録巾は最大A0サイズ(約900mm)、解像
度は600dpi(24ドット/mm)といったよう
に、従来のドットプリンタやレーザープリンタに劣らな
い高性能プリンタが出現し、したがって、用途に合わせ
て各技術を組合せ、最適な設計と制御方法とを備えるよ
うに構成することが重要である。
【0025】即ち、前記高性能プリンタとしては、特に
記録速度が10cm/秒以上の高速プリンタ、部分グレ
ーズ構造を有するサーマルヘッドを備えたプリンタなど
が好適に挙げられるが、これらと組合せた場合、記録速
度が10cm/秒以上の高速プリンタでは、従来の感熱
記録材料では感度が不足する場合があり、部分グレーズ
構造を有するサーマルヘッドを備えたプリンタでは、ヘ
ッド汚れが生じやすい傾向があった。
【0026】そこで、感熱記録材料の側において設計最
適化の検討を行った結果、特定の顕色剤(電子受容性化
合物)を選択使用すると、特に記録速度が10cm/秒
以上の高速プリンタ、部分グレーズ構造を有するサーマ
ルヘッドを備えたプリンタと組合せた場合でも、上述の
感熱記録材料に要求される性能を高いレベルで満たしな
がら、高感度化と良好なヘッドマッチング性を発揮し得
るとの知見を得た。
【0027】〈画質の向上〉 感熱記録材料を使用するハード(装置)の中には、写真
を受信する場合のファクシミリ等のように、記録画質が
重要な場合がある。記録画質の良化については、吸油性
顔料を主に含む下塗り層の塗設、特に下塗り層をカーテ
ン塗布法若しくはブレード塗布法(特にブレード塗布
法)により塗布形成することが、高画質化に有効である
との知見を得た。
【0028】〈環境負荷の低減〉 近年、環境に与える負荷がより小さいシステムが社会的
に要求され、感熱記録材料の分野においても例外ではな
い。環境負荷の低減のためには、より少ない素材使用
量、より少ないエネルギー使用量で要求性能を満たすこ
とが重要である。このためには、感熱記録層などをカー
テン塗布法で塗設することが、発色濃度の向上の点で有
効であり、しかも複数の層を同時重層塗布とすること
が、乾燥・ハンドリング時のエネルギー消費を低減でき
る点で有効である、との知見を得た。即ち、同じ発色濃
度であれば、従来より少ない素材使用量で低エネルギー
により得ることが可能となる。
【0029】また、感熱記録材料を安価に製造するため
には、塗布層を支持体上に均一に設けることにより、塗
布層の塗布量をできるだけ少なくすることが有効と考え
られる。本発明者らは、鋭意検討の結果、塗布量を少な
くするためには、塗布層をカーテン塗布方式で塗布する
ことが有効であることを見いだした。更に、乾燥方法に
ついて鋭意検討した結果、恒率乾燥過程における塗膜の
最高表面温度を55℃以下とすることで、より白色度が
高い感熱記録材料が得られることを見いだし、本発明に
至った。
【0030】本発明は、上記知見に基づくものであり、
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りであ
る。 <1> 支持体上に、電子供与性無色染料と、該電子供
与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物と
を含む感熱記録層を有する感熱記録材料の製造方法にお
いて、前記電子受容性化合物が、4−ヒドロキシベンゼ
ンスルホンアニリドであること、及び少なくとも前記感
熱記録層を、その塗布液をカーテン塗布することにより
形成し、かつ恒率乾燥過程における最高表面温度を55
以下として乾燥させること、を特徴とする感熱記録材
の製造方法である
【0031】前記<1>に記載の感熱記録材料の製造方
によれば、発色成分の一方として4−ヒドロキシベン
ゼンスルホンアニリドを用いるので、地肌カブリを低く
維持しながら高感度化することができ、形成画像の長期
保存性(画像保存性;以下、同様とする。)、耐薬品
性、及びサーマルヘッドのヘッドマッチング性をも同時
に向上することができる。しかも、少なくとも前記感熱
記録層を、その塗布液をカーテン塗布することにより形
成し、かつ恒率乾燥過程における最高表面温度を55℃
以下として乾燥させ形成することにより、塗布液の塗布
量を少なくすることができるとともに、白色度が高くな
る。
【0032】<> 感熱記録層が画像安定剤を含み、
該画像安定剤が、1,1,3−トリス(2−メチル−4
−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン
及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンの少なくとも一
方である前記<1>に記載の感熱記録材料の製造方法
ある。前記<>に記載の感熱記録材料の製造方法によ
れば、感熱記録層が特定の画像安定剤を含有するので、
発色反応(正反応)の逆反応への移行を抑え、画像保存
性を更に向上させることができる。また同時に、耐光性
の向上にも寄与する。
【0033】<> 感熱記録層が無機顔料を含み、該
無機顔料が、カルサイト系(軽質)炭酸カルシウム,非晶
質シリカ、及び水酸化アルミニウムより選択される少な
くとも一種である前記<1>または<2>に記載の感熱
記録材料の製造方法である。前記<>に記載の感熱記
録材料の製造方法によれば、感熱記録層が特定の無機顔
料を含有するので、接触するサーマルヘッドとのヘッド
マッチング性をより向上することができ、捺印適性を付
与することができる。
【0034】<> 感熱記録層が接着剤を含み、該接
着剤が、スルホ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン
変性ポリビニルアルコール、及びアセトアセチル変性ポ
リビニルアルコールより選択される少なくとも一種であ
る前記<1>〜<>のいずれかに記載の感熱記録材料
の製造方法である。前記<>に記載の感熱記録材料
製造方法によれば、感熱記録層が接着剤として特定の水
溶性樹脂を含有するので、より高いレベルでの高感度化
と地肌カブリの更なる低減とを両立することができる。
また、本構成によっても、印刷適性を付与することがで
きる。また、架橋剤と組合わせることで、耐水性も付与
することができる。
【0035】<> 支持体が古紙パルプを含有する前
記<1>〜<>のいずれかに記載の感熱記録材料の製
造方法である。前記<>に記載の感熱記録材料の製造
方法によれば、支持体に古紙パルプを用いるので、資源
の再利用、及び省資源化を実現することができる。
【0036】<> 感熱記録層上に保護層を有してな
り、該保護層が、水酸化アルミニウム、カオリン及び非
晶質シリカより選択される少なくとも一種の無機顔料
と、水溶性高分子とを含む前記<1>〜<>のいずれ
かに記載の感熱記録材料の製造方法である。前記<
に記載の感熱記録材料の製造方法によれば、感熱記録層
上に特定の無機顔料を含む保護層が設けられるので、そ
の吸油性等により保存性を向上できると同時に、取扱い
性と捺印適性の付与(普通紙ライク感の付与)をも実現
することができる。
【0037】<> Na+イオン及びK+イオンの総イ
オン濃度が1500ppm以下である前記<1>〜<
>のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法である。
前記<>に記載の感熱記録材料の製造方法によれば、
イオン含量の少ない素材を選択使用する結果、感熱記録
材料を構成する支持体や層等の全体に占める総イオン濃
度が低く抑えられるので、ヘッドに付着するイオン量が
抑えられ、サーマルヘッドの耐腐食(耐久性)を向上さ
せることができる。
【0038】<> 感熱記録層の表面に蒸留水を滴下
した後0.1秒経過後の接触角が20°以上である前記
<1>〜<>のいずれかに記載の感熱記録材料の製造
方法である。前記<>に記載の感熱記録材料の製造方
によれば、感熱記録層の表面の接触角を20°以上と
するので、インクジェット記録若しくは捺印時のインク
の滲みが効果的に抑制され、インクジェット適性の付与
すること、及び捺印適性を良化することができる。
【0039】<> 印画後の形成画像を温度60℃、
相対湿度20%の環境条件下で24時間放置した後の、
前記形成画像における濃度残存率が65%以上である前
記<1>〜<>のいずれかに記載の感熱記録材料の製
造方法である。前記<>に記載の感熱記録材料の製造
方法によれば、形成画像を長期間高濃度に維持すること
ができるので、重要な文書の保管、前売りチケット、レ
シート、金券など、長期間に渡り画像信頼性が要求され
る分野での適用が可能となる。
【0040】<10> 感熱記録層が増感剤を含み、該
増感剤が、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ
メチルベンジル、m−ターフェニル、エチレングリコー
ルトリルエーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2
−ジフェノキシメチルベンゼン、ジフェニルスルホン、
及び1,2−ジフェノキシエタンより選択される少なく
とも一種である前記<1>〜<>のいずれかに記載の
感熱記録材料の製造方法である。前記<10>に記載の
感熱記録材料の製造方法によれば、感熱記録層が特定の
増感剤を含有するので、溶解粘度を下げて発色成分を良
好に拡散し得、地肌カブリを悪化することなく、効果的
に高感度化することができる。
【0041】<11> 増感剤の含有量が、前記4−ヒ
ドロキシベンゼンスルホンアニリド100質量部に対し
て75〜200質量部である前記<10>に記載の感熱
記録材料の製造方法である。前記<11>に記載の感熱
記録材料の製造方法によれば、増感剤が電子受容性化合
物の量に適した範囲で含有されるので、他の諸性能に支
障を来すことなく、効果的に高感度化を図ることができ
る。
【0042】<12> 電子供与性無色染料が、2−ア
ニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオ
ラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−
N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3
−メチル−6−(N−エチル−N−プロピルアミノ)フ
ルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ア
ミルアミノフルオラン、及び2−アニリノ−3−メチル
−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラ
ンより選択される少なくとも一種である前記<1>〜<
11>のいずれかに記載の感熱記録材料の製造方法であ
る。
【0043】前記<12>に記載の感熱記録材料の製造
方法によれば、感熱記録層が特定の電子供与性無色染料
を含有するので、より高いレベルでの高感度化と地肌カ
ブリの低減と保存性の向上とを同時に満足することがで
きる。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の感熱記録材料の製造方法
においては、電子供与性無色染料及び電子受容性化合物
を組合せた発色系の感熱記録層を有してなり、前記電子
受容性化合物として、4−ヒドロキシベンゼンスルホン
アニリドを含み、少なくとも前記感熱記録層を、その塗
布液をカーテン塗布することにより形成し、かつ恒率乾
燥過程における最高表面温度を55℃以下として乾燥さ
せ形成するものである。以下、本発明の感熱記録材料
製造方法について詳細に説明する。
【0045】本発明に係る感熱記録材料は、支持体上
に、一層若しくは二層以上の感熱記録層を有してなり、
好ましくは保護層を有してなる。また、必要に応じて、
中間層等の他の層を有していてもよい。 <感熱記録層> 前記感熱記録層は、電子供与性無色染料と、該電子供与
性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物とを
少なくとも含んでなり、好ましくは画像安定剤(紫外線
防止剤)、無機顔料、接着剤、増感剤を含んでなり、必
要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0046】−電子供与性無色染料− 本発明に係る感熱記録層には、発色成分として、少なく
とも一種の電子供与性無色染料を含有する。前記電子供
与性無色染料としては、従来公知のものの中から適宜選
択することができ、例えば、2−アニリノ−3−メチル
−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ
−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミ
ノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N
−エチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニ
リノ−3−メチル−6−ジ−n−アミルアミノフルオラ
ン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル
−N−p−トリルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−
3−メチル−6−N−エチル−N−sec−ブチルアミ
ノフルオラン、3−ジ(n−ペンチルアミノ)−6−メ
チル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル
−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフル
オラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−
(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ]−6−
メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル
アミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3
−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオ
ラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、等が挙げられ
る。
【0047】上記の中でも、2−アニリノ−3−メチル
−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ
−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミ
ノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N
−エチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニ
リノ−3−メチル−6−ジ−n−アミルアミノフルオラ
ン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル
−N−p−トリルアミノ)フルオランよりなる群より選
択される少なくとも一種を含有することが特に好まし
い。また、前記電子供与性無色染料は、単一の感熱記録
層に一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用しても
よい。
【0048】前記群より選択される少なくとも一種を電
子供与性無色染料として含有することにより、特に、地
肌カブリを低く保持しながら発色濃度を高めつつ、同時
に形成された画像部の画像保存性をも更に向上させるこ
とができる。
【0049】感熱記録層形成用の塗布液(以下、「感熱
記録層用塗布液」ということがある。)を調製する際に
おいて、前記電子供与性無色染料の粒径としては、体積
平均粒径で1.0μm以下が好ましく、0.4〜0.7
μmがより好ましい。該体積平均粒径が、1.0μmを
超えると、熱感度が低下することがあり、0.4μm未
満であると、地肌カブリが悪化することがある。前記体
積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、
LA500(ホリバ(株)製)等によって容易に測定す
ることができる。
【0050】前記電子供与性無色染料の塗布量として
は、0.1〜1.0g/m2が好ましく、発色濃度及び
地肌カブリの点で、0.2〜0.5g/m2がより好ま
しい。
【0051】−電子受容性化合物− 本発明に係る感熱記録層には、前記電子供与性無色染料
と熱時反応して発色させる電子受容性化合物として、
−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリドを含有する。該
化合物を電子受容性化合物として含有することにより、
地肌カブリを低く維持しながら高感度化することがで
き、形成画像の長期保存性(画像保存性)、耐薬品性、
及びサーマルヘッドのヘッドマッチング性をも同時に向
上することができる。
【0052】単一の感熱記録層における電子受容性化合
物の含有量としては、前記電子供与性無色染料の質量に
対して、50〜400質量%が好ましく、100〜30
0質量%がより好ましい。
【0053】前記4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニ
リドと共に、p−N−(2−クロロフェニル)スルファ
モイルフェノール、p−N−3−トリルスルファモイル
フェノール、p−N−2−トリルスルファモイルフェノ
ール、p−N−(3−メトキシフェニル)スルファモイ
ルフェノール、p−N−(3−ヒドロキシフェニル)
ルファモイルフェノール、p−N−(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルファモイルフェノール、2−クロロ−4−
N−フェニルスルファモイルフェノール、2−クロロ−
4−N−(3−ヒドロキシフェニル)スルファモイルフ
ェノール、4’−ヒドロキシ−p−トルエンスルホンア
ニリド、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミ
ノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン(=BTU
M)、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニ
ルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェ
ノール、等を併用してもよい。
【0054】また、前記4−ヒドロキシベンゼンスルホ
ンアニリドと共に、本発明の効果(特に、地肌カブリの
低減、高感度化、並びに画像保存性、耐薬品性、及びヘ
ッドマッチング性の向上)を損なわない範囲で、他の公
知の電子受容性化合物を併用してもよい。前記公知の電
子受容性化合物としては、適宜選択して使用することが
でき、特に地肌カブリを抑制する観点から、フェノール
性化合物、又はサルチル酸誘導体及びその多価金属塩が
好ましい。
【0055】前記フェノール性化合物としては、例え
ば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロ
パン(ビスフェノールA)、4−t−ブチルフェノー
ル、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノ
キシド、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3
−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタ
ン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノー
ル、4,4’−sec−ブチリレンジフェノール、4−
tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニ
ルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフ
ェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、4
−ヒドロキシ−4−イソプロピルオキシジフェニルスル
ホン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、等が挙げられ
る。
【0056】前記サルチル酸誘導体としては、例えば、
4−ぺンタデシルサルチル酸、3−5−ジ(α−メチル
ベンジル)サルチル酸、3,5−ジ(tert−オクチ
ル)サルチル酸、5−オクタデシルサルチル酸、5−α
−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサルチル
酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチル
サルチル酸、5−テトラデシルサルチル酸、4−ヘキシ
ルオキシサルチル酸、4−シクロヘキシルオキシサルチ
ル酸、4−デシルオキシサルチル酸、4−ドデシルオキ
シサルチル酸、4−ペンタデシルオキシサルチル酸、4
−オクタデシルオキシサルチル酸等、及びこれらの亜
鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられ
る。
【0057】前記公知の電子受容性化合物を併用する場
合、既述の4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド
含有量としては、電子受容性化合物の総質量に対して、
50質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ま
しい。
【0058】感熱記録層形成用の塗布液を調製する際、
前記電子受容性化合物の粒径としては、体積平均粒径で
1.0μm以下が好ましく、0.4〜0.7μmがより
好ましい。該体積平均粒径が、1.0μmを超えると、
熱感度が低下することがある。尚、0.4μm未満にな
ると地肌カブリが悪化することもある。前記体積平均粒
径も、レーザ回折式粒度分布測定器(例えば、LA50
0(ホリバ(株)製)等によって容易に測定できる。
【0059】−増感剤− 本発明に係る感熱記録層には、増感剤を含有することが
好ましい。特に感度をより大きく向上させ得る点で、2
−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジメチルベンジ
ル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエー
テル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフェノキ
シメチルベンゼン、及びジフェニルスルホンからなる群
より選択される少なくとも一種を含有することが好まし
い。
【0060】感熱記録層における、前記選択される増感
剤の総含有量としては、前記電子受容性化合物(好まし
くは、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド)10
0質量部に対して、75〜200質量部が好ましく、1
00〜150質量部がより好ましい。前記含有量が上記
範囲にあると、感度の向上効果が大きく、かつ画像保存
性も良化することができる。
【0061】前記群から選択される増感剤のほか、本発
明の効果を損なわない範囲で、従来公知のものの中から
適宜選択される他の増感剤を併用してもよい。前記他の
増感剤を併用する場合、前記群から選択される増感剤の
量としては、層中に含有される増感剤の総量の50質量
%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0062】前記他の増感剤としては、例えば、脂肪族
モノアマイド、脂肪族ビスアマイド、ステアリル尿素、
ジ(2−メチルフェノキシ)エタン、ジ(2−メトキシ
フェノキシ)エタン、β−ナフトール−(p−メチルベ
ンジル)エーテル、α−ナフチルベンジルエーテル、
1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテ
ル、1,4−ブタンジオール−p−イソプロピルフェニ
ルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−tert−
オクチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(4
−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−
(クロロフェノキシ)エタン、1,4−ブタンジオール
フェニルエーテル、ジエチレングリコールビス(4−メ
トキシフェニル)エーテル、1,4−ビス(フェノキシ
メチル)ベンゼン、等が挙げられる。
【0063】−画像安定剤(紫外線吸収剤)− 本発明に係る感熱記録層には、画像安定剤(紫外線吸収
剤を含む。)を含有することが好ましい。紫外線吸収剤
はマイクロカプセル化されてもよい。画像安定剤を含有
させることにより、形成された発色画像の保存性(画像
保存性)をより向上させることができる。
【0064】前記画像安定剤としては、例えばフェノー
ル化合物、特にヒンダードフェノール化合物が有効であ
り、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリ
ス(2−エチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシル
フェニル)ブタン、1,1,3−トリス(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2’−メ
チレン−ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェ
ノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−tert−
ブチル−4−エチルフェノール)、4,4’−ブチリデ
ン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノー
ル)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)等が挙げられる。尚、画像安
定化剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、二種以上
を併用してもよい。
【0065】中でも特に、1,1,3−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニ
ル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタンが好ま
しい。
【0066】単一の感熱記録層における画像安定剤の総
含有量としては、地肌カブリを抑え、画像保存性を効果
的に向上させる観点から、前記電子供与性無色染料10
0質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、2
0〜60質量部がより好ましい。また、1,1,3−ト
リス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブ
チルフェニル)ブタン及び/又は1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフ
ェニル)ブタンと共に、これらを除く他の上記画像安定
剤を併用する場合、単一の感熱記録層における、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t
ert−ブチルフェニル)ブタン及び/又は1,1,3
−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘ
キシルフェニル)ブタンの含有量としては、画像安定剤
の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質
量%以上がより好ましい。
【0067】前記紫外線吸収剤としては、下記の紫外線
吸収剤が挙げられる。
【化1】
【0068】単一の感熱記録層における紫外線吸収剤の
含有量としては、画像保存性を効果的に向上させる観点
から、前記電子供与性無色染料100質量部に対して、
10〜300質量部が好ましく、30〜200質量部が
より好ましい。
【0069】−無機顔料− 本発明に係る感熱記録層には、無機顔料として、特にカ
ルサイト系炭酸カルシウム、非晶質シリカ、及び水酸化
アルミニウムより選択される少なくとも一種(本発明に
係る無機顔料)を含有することが好ましい。これらを含
有することにより、接触するサーマルヘッドとのヘッド
マッチング性をより向上することができ、同時に印刷適
性や普通紙ライク性をも付与することができる。
【0070】(軽質)炭酸カルシウムには、一般にカルサ
イト、アラゴナイト、バテライト等の結晶形があるが、
サーマルヘッドでの記録した時の発色濃度、及びヘッド
汚れを防止する点、並びに吸収性、硬度等の点から、カ
ルサイト系(軽質)炭酸カルシウムが好ましく、中でも
特に、粒子形状が紡錘状又は偏三角面状態であるものが
好ましい。カルサイト系(軽質)炭酸カルシウムは、公
知の製造方法により製造することができる。前記カルサ
イト系(軽質)炭酸カルシウムの平均粒径としては、体
積平均粒径で1〜3μmが好ましい。体積平均粒径は、
前記電子供与性無色染料等と同様にして測定できる。
【0071】単一の感熱記録層における上記「本発明に
係る無機顔料」の含有量としては、発色濃度の向上、サ
ーマルヘッドへのカス付着防止の観点から、電子受容性
化合物100質量部に対して、50〜500質量部が好
ましく、70〜350質量部がより好ましく、90〜2
50質量部が特に好ましい。
【0072】また、本発明の効果(特に、ヘッドマッチ
ング性、印刷適性及び普通紙ライク性の向上)を損なわ
ない範囲で、上記本発明に係る無機顔料と共に他の無機
顔料を併用してもよい。前記他の無機顔料としては、カ
ルサイト系(軽質)炭酸カルシウムを除く炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、リトポン、ロウ石、カオリン、焼成
カオリン、非晶質シリカ、カオリン、炭酸マグネシウ
ム、酸化マグネシウム、等が挙げられる。前記他の無機
顔料の体積平均粒径(レーザ回折式粒度分布測定器(例
えば、LA500(ホリバ(株)製)等)による)とし
ては、0.3〜1.5μmが好ましく、0.5〜0.9
μmがより好ましい。
【0073】本発明に係る無機顔料と前記他の無機顔料
とを併用する場合、「本発明に係る無機顔料」の総質量
(v)と前記他の無機顔料の総質量(w)との比(v/
w)としては、100/0〜60/40が好ましく、1
00/0〜80/20がより好ましい。
【0074】また、サーマルヘッドの磨耗性を抑制する
観点からは、モース硬度3以下の無機顔料が好ましい。
「モース硬度」とは、「英和プラスチック工業辞典 第
5版p.616」(小川伸著、工業調査会(株)発行)に
記載のモース硬度(Mohs Hardness)を意
味する。モース硬度3以下の無機顔料には、炭酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウム等が含まれる。
【0075】本発明に係る無機顔料を、炭酸マグネシウ
ム、酸化マグネシウムと混合して用いると、地肌カブリ
の低減に有効である点で好ましく、その場合の炭酸マグ
ネシウム及び/又は酸化マグネシウムの含有量として
は、無機顔料の総質量の3〜50質量%、特に5〜30
質量%とするのが好ましい。
【0076】−接着剤− 本発明に係る感熱記録層には、接着剤(若しくは分散時
の保護コロイド)として、スルホ変性ポリビニルアルコ
ール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、及びアセ
トアセチル変性ポリビニルアルコールより選択される少
なくとも一種(即ち、変性ポリビニルアルコール(以
下、「特定変性PVA」ということがある))を含有す
ることが好ましい。感熱記録層中に接着剤として前記特
定変性PVAを含有することにより、普通紙ライク感を
付与できると共に、感熱記録層と支持体との間の密着力
を増大させ、オフセット印刷時等に生じる紙むけ等のト
ラブルを防止し得、印刷適性を高めることができる。更
に、地肌カブリをより低く抑えながら、サーマルヘッド
での記録した時の発色濃度を高めることができる。
【0077】前記特定変性PVAは、単独で用いてもよ
いし、併用してもよく、更に他の変性PVAやポリビニ
ルアルコール(PVA)を併用してもよい。前記他の変
性PVAやPVAを併用する場合、前記特定変性PVA
の占める割合としては、接着剤成分の総質量に対し、1
0質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好まし
い。
【0078】前記特定変性PVAとしては、ケン化度が
85〜99モル%であるものが好ましい。前記ケン化度
が85モル%未満であると、オフセット印刷時に用いる
湿し水に対する耐水性が不足する結果、いわゆる紙むけ
を生じやすくなることがあり、これを回避するために変
性PVAの添加量を増加し紙むけを防止しようとすると
発色濃度が低下することがある。また、前記ケン化度が
99モル%を越えると、塗布液の調製の際に未溶解物が
生じやすく、塗膜不良が発生する要因となることがあ
る。尚、本発明の効果を損なわないためにも、他の変性
PVAやPVAを併用する場合においても、該他の変性
PVAやPVAのケン化度が上記範囲内であることが好
ましい。
【0079】更に、前記特定変性PVAの重合度として
は、200〜2000が好ましい。前記重合度が200
未満であると、オフセット印刷の際に紙むけを生じやす
くなることがあり、紙むけを回避するために添加量を増
やそうとすると発色濃度が低下することがある。また、
前記重合度が2000を越えると、変性PVAが溶媒
(水)に溶解しにくく、調製時の液粘度も高くなるた
め、感熱記録層形成用の塗布液の調製及びその塗布が困
難になることがある。また、本発明の効果を損なわない
ためにも、他の変性PVAやPVAを併用する場合にお
いても、該他の変性PVAやPVAの重合度が上記範囲
内にあることが好ましい。尚、ここでの重合度とは、J
IS−K6726(1994)に記載の方法で求めた平
均重合度をいう。
【0080】感熱記録層における特定変性PVAの含有
量としては、発色濃度の向上とオフセット印刷適性(紙
むけ防止等)の付与の点から、電子供与性無色染料10
0質量部に対して、30〜300質量部が好ましく、7
0〜200質量部がより好ましく、100〜170質量
部が特に好ましい。前記特定変性PVAは、層間密着力
を高める接着剤としての機能のほか、分散剤及び結合剤
等としての機能をも担う。
【0081】次に、特定変性PVAの各々、即ち、スル
ホ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニ
ルアルコール、及びアセトアセチル変性ポリビニルアル
コールについて詳細に説明する。
【0082】前記スルホ変性ポリビニルアルコールは、
エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルス
ルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩と、酢酸
ビニル等のビニルエステルと、をアルコールあるいはア
ルコール/水混合溶媒中で重合して得られた重合体をケ
ン化する方法や、ミドナトリウム塩と酢酸ビニル等のビ
ニルエステルとを共重合させ、得られた共重合体をケン
化する方法、PVAを臭素、ヨウ素等で処理した後、酸
性亜硫酸ナトリウム水溶液中で加熱する方法、PVAを
濃厚な硫酸水溶液中で加熱する方法、PVAをスルホン
酸基を含有するアルデヒド化合物でアセタール化する方
法、等で製造することができる。
【0083】前記ジアセトン変性ポリビニルアルコール
は、ジアセトン基を有する単量体とビニルエステルとの
共重合体の部分若しくは完全ケン化物であって、ジアセ
トン基を持つ単量体とビニルエステルとを共重合して得
た樹脂をケン化することによって製造できる。前記ジア
セトン変性ポリビニルアルコールにおいて、ジアセトン
基を有する単量体(繰り返し単位構造)の割合は特に限
定されない。
【0084】前記アセトアセチル変性ポリビニルアルコ
ールは、一般に、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液、
分散液又は粉末に、液状又はガス状のジケテンを添加反
応させて製造することができる。該アセトアセチル変性
ポリビニルアルコールのアセチル化度は、目的とする感
熱記録材料の品質に応じて適宜選定することができる。
【0085】−他の成分− 本発明に係る感熱記録層には、上記成分のほか、目的や
必要に応じて、架橋剤、他の顔料、金属石鹸、ワック
ス、界面活性剤、バインダー、帯電防止剤、消泡剤、蛍
光染料等の他の成分を含有してもよい。
【0086】[架橋剤] 感熱記録層には、前記接着剤(あるいは保護コロイド)
として用いる特定変性PVA及び他の変性PVA等に作
用する架橋剤を含有していてもよい。該架橋剤を含有す
ることにより、感熱記録材料の耐水性を向上させること
ができる。前記架橋剤としては、特定変性PVA(及び
好ましくは他の変性PVA等)を架橋させ得るものであ
れば適宜選択することができ、中でも、グリオキザール
等のアルデヒド化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のジ
ヒドラジド化合物が特に好ましい。感熱記録層における
架橋剤の含有量としては、架橋の対象となる特定変性P
VA及び他の変性PVA等100質量部に対して、1〜
50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好まし
い。該架橋剤の含有量が上記範囲内であると、耐水性を
効果的に良化することができる。
【0087】[媒染剤] 感熱記録層には、インクジェット記録した時の滲みを防
止する目的で、媒染剤を含有していてもよい。前記媒染
剤としては、アミド基、イミド基、1級アミノ基、2級
アミノ基、3級アミノ基、1級アンモニウム塩基、2級
アンモニウム塩基、3級アンモニウム塩基、4級アンモ
ニウム塩基から選択される少なくとも一種のカオチン基
を含む化合物が挙げられる。
【0088】その具体例として、ポリアミドエピクロル
ヒドリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウム
クロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキ
シエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチ
ルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ポリエチレンイ
ミン、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポ
リアミド−ポリアミン樹脂、カオチン化でんぷん、ジシ
アンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロ
キシプロピルアンモニウム塩重合物、等が挙げられる。
【0089】上記のほか、カチオン性ポリマーも好適で
ある。該カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエ
チレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミ
ン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポ
リメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチル
ジメチルアンモニウムクロライド、ポリアリルアミン塩
酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷ
ん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2
−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミ
ジン、ポリビニルアミン、等が挙げられる。
【0090】前記媒染剤の分子量としては、1000〜
200000程度が好ましい。該分子量が、1000未
満であると、耐水性が不十分となる傾向があり、200
000を超えると、粘度が高くなりハンドリング適正が
悪くなることがある。尚、前記カチオン性ポリマーは、
感熱記録層、及び後述の保護層のいずれに添加してもよ
い。
【0091】[金属石鹸、ワックス、界面活性剤] 金属石鹸としては、高級脂肪酸金属塩が挙げられ、具体
的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。ワックスと
しては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス、カルナバワックス、メチロールステア
ロアミド、ポリエチレンワックス、ポリスチレンワック
ス、及び脂肪酸アミド系ワックス等が挙げられ、一種単
独で用いてもよく、二種以上混合してもよい。界面活性
剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属
塩、フッ素含有界面活性剤、等が挙げられる。
【0092】[バインダー] 既述の電子供与性無色染料、電子受容性化合物、無機顔
料、接着剤及び増感剤、並びに他の成分の分散は、水溶
性のバインダー中で好適に行うことができる。ここで用
いられるバインダーとしては、25℃の水に対して5質
量%以上溶解する化合物が好ましい。具体的には、例え
ば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含
む)、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−
無水マレイン酸共重合体のケン化物、等が挙げられる。
【0093】前記バインダーは、分散時のみならず、感
熱記録層の膜強度を向上させる機能をも担い、この機能
の発揮に対して、スチレン−ブタジエン共重合物、酢酸
ビニル共重合物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
物、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合物、ポリ塩化
ビニリデン等の合成高分子ラテックス系のバインダーを
併用することもできる。
【0094】−その他− 既述の電子供与性無色染料、電子受容性化合物、無機顔
料、接着剤及び増感剤は、ボールミル、アトライター、
サンドミル等の攪拌・粉砕機によって同時又は別々に分
散等され、塗布液として調製することができる。該塗布
液には、必要に応じて上述の他の成分、即ち、架橋剤、
媒染剤、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、バインダ
ー、帯電防止剤、消泡剤、及び蛍光染料等が添加され
る。
【0095】上記のように塗布液として調製された後、
該塗布液は支持体の表面に塗布され、感熱記録層が形成
される。塗布液を塗布する塗布方法としては、本発明に
おいては、カーテンコーターを用いた塗布法を採用して
おり、塗布後は乾燥される。乾燥後は、好ましくはキャ
レンダー処理により平滑化処理され使用に供される。感
熱記録層を塗布形成する場合の塗布量については、特に
制限はなく、通常乾燥質量で2〜7g/m2程度が好ま
しい。
【0096】<保護層> 感熱記録層上には、少なくとも一層の保護層を設けるこ
とが好ましく、該保護層は、有機若しくは無機の微粉
末、バインダー、界面活性剤、熱可融性物質等を含有し
て構成することができる。前記微粉末としては、例え
ば、炭酸カルシウム、シリカ類、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、
カオリン、クレー、タルク、表面処理されたカルシウム
やシリカ等の無機系微粉末のほか、尿素−ホルマリン樹
脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等
の有機系微粉末、等が挙げられる。
【0097】保護層に含有するバインダーとしては、例
えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニ
ルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、
珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シメチルセルロース、ゼラチン類、アラビヤゴム、カゼ
イン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、ポリ
アクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、及びス
チレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル
−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタ
ジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルション等のラ
テックス類、等を挙げることができる。
【0098】また、保護層中のバインダー成分を架橋し
て、感熱記録材料の保存安定性をより一層向上させるた
めの耐水化剤を添加する態様も好ましい。該耐水化剤と
しては、例えば、N−メチロール尿素、N−メチロール
メラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グ
リオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化
合物類、硼酸、硼砂、コロイダルシリカ等の無機系架橋
剤、ポリアミドエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
【0099】上記の中でも特に好ましい保護層として
は、水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカよ
り選択される少なくとも一種の無機顔料と、水溶性高分
子とを含んでなる態様が好ましい。該態様に構成するこ
とにより、保存性を向上できると同時に、取扱い性と捺
印適性をも付与することができる。尚、更に界面活性
剤、熱可融性物質等を含有していてもよい。
【0100】保護層に含有する無機顔料の体積平均粒径
としては、0.5〜3μmが好ましく、0.7〜2.5
μmがより好ましい。中でも、捺印適性を向上させる観
点からは、0.5〜1.2μmの水酸化アルミニウムが
好ましく、インクジェット適性を向上させる観点から
は、非晶質シリカを用いることが好ましい。ここでの体
積平均粒径の測定は、既述の電子供与性無色染料等のそ
れと同様にして行うことができる。
【0101】水酸化アルミニウム、カオリン及び非晶質
シリカより選択される無機顔料の総含有量としては、保
護層形成用の塗布液の全固形分(質量)に対して、10
〜90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ま
しい。また、本発明の効果(特に、保存性の向上、並び
に取扱い性と捺印適性の付与)を損なわない範囲で、硫
酸バリウム、硫酸亜鉛、タルク、クレー、コロイダルシ
リカ等の他の顔料を併用してもよい。
【0102】前記水溶性高分子としては、前記バインダ
ーのうち、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルア
ルコール(以下、これらを総称して「ポリビニルアルコ
ール」という。)、澱粉又は酸化澱粉、尿素リン酸エス
テル化澱粉等の変性澱粉、スチレン−無水マレイン酸共
重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエ
ステル化物、スチレン−アクリル酸共重合体等のカルボ
キシル基含有重合体、等が挙げられる。中でも、捺印適
性の観点で、ポリビニルアルコール、酸化澱粉、尿素リ
ン酸エステル化澱粉が好ましく、ポリビニルアルコール
(x)と、酸化澱粉及び/又は尿素リン酸エステル化澱
粉(y)とを90/10〜10/90の質量比率(x/
y)で混合して用いることが特に好ましい。特に、前記
ポリビニルアルコール、酸化澱粉および尿素リン酸エス
テル化澱粉の全てを併用する場合には、酸化澱粉
(y1)と尿素リン酸エステル化澱粉(y2)との質量比
率(y1/y2)は、10/90〜90/10とすること
が好ましい。
【0103】前記変性ポリビニルアルコールとしては、
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン
変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコ
ール、アマイド変性ポリビニルアルコールが好ましく、
このほか、スルホ変性ポリビニルアルコール、カルボキ
シ変性ポリビニルアルコール等が用いられる。尚、これ
らポリビニルアルコールと反応する架橋剤を組合せるこ
とにより、保存性、取扱い性および捺印適性を更に良化
することができる。
【0104】前記水溶性高分子の含有比としては、保護
層形成用の塗布液の全固形分(質量)に対して、10〜
90質量%が好ましく、30〜70質量%がより好まし
い。
【0105】前記水溶性高分子を架橋させる架橋剤とし
ては、例えば、エチレンジアミン等の多価アミン化合
物、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒ
ド等の多価アルデヒド化合物、アジピン酸ジヒドラジ
ド、フタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物、水
溶性メチロール化合物(尿素、メラミン、フェノー
ル)、多官能エポキシ化合物、多価金属塩(Al、T
i、Zr、Mg等)、などが好適に挙げられる。中で
も、多価アルデヒド化合物、ジヒドラジド化合物が好ま
しい。
【0106】前記架橋剤の含有比としては、前記水溶性
高分子の質量に対して、2〜30質量%程度が好まし
く、5〜20質量%がより好ましい。該架橋剤を含有す
ることによって、膜強度や耐水性等をより向上させるこ
とができる。また、保護層中における、水酸化アルミニ
ウム、カオリン及び非晶質シリカより選択される無機顔
料と水溶性高分子との混合比としては、無機顔料の種類
やその粒径、水溶性高分子の種類等によって異なるが、
無機顔料の質量に対して、水溶性高分子の量を50〜4
00質量%とすることが好ましく、100〜250質量
%とすることがより好ましい。また、保護層中に占める
無機顔料と水溶性高分子の総質量は、保護層の全固形分
質量の50質量%以上であることが好ましい。
【0107】また、インクジェットインク適性を良化す
る点では、前記保護層、即ち保護層形成用の塗布液(以
下、「保護層用塗布液」ということがある。)に界面活
性剤を添加する態様も好ましい。前記界面活性剤として
は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等
のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸アルキルエステル
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステ
ル、ヘキサメタリン酸ナトリウム、パーフルオロアルキ
ルカルボン酸塩、等が好ましく、中でも、スルホコハク
酸アルキルエステル塩がより好ましい。前記界面活性剤
の含有比としては、保護層形成用の塗布液の全固形分
(質量)に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.
5〜3質量%がより好ましい。
【0108】保護層形成用の塗布液は、上記の、水酸化
アルミニウム、カオリン及び非晶質シリカより選択され
る無機顔料および水溶性高分子、並びに必要に応じて架
橋剤、界面活性剤等を、所望の水系溶媒に溶解若しくは
分散して調製することができる。ここで、該塗布液に
は、潤滑剤、消泡剤、蛍光増白剤、有色の有機顔料等を
本発明の効果(特に、保存性の向上、並びに取扱い性と
捺印適性の付与)を損なわない範囲で添加することがで
きる。前記潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、パラフィン
ワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワ
ックス・合成高分子ワックス等のワックス類、等が挙げ
られる。
【0109】−支持体− 前記支持体としては、従来公知の支持体を適用すること
ができる。具体的には、上質紙等の紙支持体、紙に樹脂
又は顔料を塗布したコート紙、樹脂ラミネート紙、下塗
り層を有する上質紙、合成紙、プラスチックフィルム等
の支持体が挙げられる。古紙パルプを主として含有す
る、即ち支持体の50質量%を古紙パルプが占める支持
体も使用できる。
【0110】前記支持体としては、ドット再現性の点か
ら、JIS−8119で規定される平滑度が300秒〜
500秒の範囲内にある平滑な支持体が好ましい。更
に、上記同様の理由から、JIS−P8119で規定さ
れる前記平滑度が100秒以上のものがより好ましく、
150秒以上のものが特に好ましい。
【0111】前記古紙パルプは、一般に下記1)〜3)
の3工程の組合せから作られる。 1)離解……古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理し
て繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。 2)除塵……古紙に含まれる異物(プラスチックなど)
及びごみを除去する。 3)脱墨……繊維より剥離された印刷インキをフローテ
ーション法又は洗浄法で系外に除去する。尚、必要に応
じて、脱墨と同時又は別工程で漂白を行うこともでき
る。このようにして得た古紙パルプ100質量%、若し
くは古紙パルプと含量50質量%未満のバージンパルプ
との混合物、を用いて常法により感熱記録材料用の支持
体を形成する。
【0112】前記支持体には、下塗り層が設けられてい
てもよい。この場合、下塗り層はステキヒトサイズが5
秒以上の支持体の表面に設けられることが好ましく、顔
料とバインダーとを主成分とするものが好ましい。下塗
り層用の顔料としては、一般の無機、有機顔料を全て使
用できるが、特にJIS−K5101で規定する吸油度
が40ml/100g(cc/100g)以上の吸油性
顔料が好ましい。該吸油性顔料の具体例として、焼成カ
オリン、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、焼成ケ
イソウ土、珪酸アルミニウム、アルミノ珪酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウ
ム、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、尿素ホル
マリン樹脂粉末、等が挙げられる。中でも、前記吸油度
が70ml/100g〜80ml/100gの焼成カオ
リンが特に好ましい。
【0113】支持体に下塗り層を塗布形成する場合の、
前記顔料の塗布量としては、2g/m2以上が好まし
く、4g/m2以上がより好ましく、7〜12g/m2
特に好ましい。
【0114】下塗り層用のバインダーとしては、水溶性
高分子、水性バインダーが挙げられる。これらは、一種
単独で用いても、二種以上を併用してもよい。前記水溶
性高分子としては、例えば、澱粉、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、カゼイン等が挙げられ、前記水
性バインダーとしては、合成ゴムラテックス、合成樹脂
エマルションが一般的であり、例えば、スチレン−ブタ
ジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン
ゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラ
テックス、酢酸ビニルエマルション、等が挙げられる。
【0115】下塗り層用のバインダーの使用量として
は、膜強度や感熱発色層の熱感度等との兼ね合いで決定
されるが、下塗り層用の顔料の質量に対して、3〜10
0質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、
8〜15質量%が特に好ましい。また、下塗り層には、
ワックス、消色防止剤、界面活性剤等を添加してもよ
い。
【0116】下塗り層形成用の塗布液の塗布は、公知の
塗布法により行うことができる。具体的には、エアーナ
イフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、グ
ラビアコーター、カーテンコーター等を用いた塗布法が
挙げられ、中でも、カーテンコーター若しくはブレード
コーターを用いた塗布法が好ましく、ブレードコーター
を用いた塗布法がより好ましい。塗布、乾燥後は、更に
必要に応じてキャレンダー等の平滑処理を施して使用し
てもよい。
【0117】前記ブレードコーターを用いた方法は、ベ
ベルタイプやベントタイプのブレードを使用した塗工法
に限らず、ロッドブレード塗工法やビルブレード塗工法
等をも含み、また、オフマシンコーターに限られるもの
でもなく、抄紙機に設置したオンマシンコーターで塗工
してもよい。尚、ブレードコート時に流動性を付与する
ことで優れた平滑性と面状を得るため、下塗り層形成用
の塗布液(アンダーコート層用塗布液)に、エーテル化
度0.6〜0.8、重量平均分子量20000〜200
000のカルボキシメチルセルロースを前記顔料量に対
して1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%添加しても
よい。
【0118】下塗り層の塗布量としては、特に制限はな
いが、感熱記録材料の特性に応じて、2g/m2以上が
好ましく、4g/m2以上がより好ましく、7〜12g
/m2が特に好ましい。
【0119】本発明においては、サーマルヘッドのヘッ
ドマッチング性を向上し、高感度化と高画質化が図れる
点から、下塗り層(特に好ましくは、吸油性と断熱効果
と平面性の高い下塗り層)を有する下塗り原紙が好まし
く、ブレードコーターを用いて吸油性顔料を含む下塗り
層を有する下塗り原紙が特に好ましい。
【0120】感熱記録材料に保有される、Na+イオン
及びK+イオンの総イオン濃度としては、感熱記録材料
と接触するサーマルヘッドのヘッド腐食を防ぐ観点か
ら、1500ppm以下が好ましく、1000ppm以
下がより好ましく、800ppm以下が特に好ましい。
前記Na+イオン及びK+イオンのイオン濃度の測定は、
感熱記録材料を熱水で抽出し、その抽出水を原子吸光法
によるイオン定量分析法により、Na+イオン及びK+
オンのイオン質量を測定することによって行うことがで
きる。前記総イオン濃度は、感熱記録材料の全質量に対
するppmで表したものである。
【0121】本発明に係る感熱記録材料においては、そ
の感熱記録層の表面の濡れ性、即ち感熱記録層の表面に
蒸留水を滴下した後0.1秒経過後の接触角が、20°
以上であることが好ましく、50°以上がより好まし
い。前記接触角を上記範囲とすることにより、インクジ
ェットプリンターで印字した時の印字の滲みを防止(イ
ンクジェット適性の付与、良化)することができる。既
の4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリドを含有す
ることにより前記接触角を得ることができ、そのほか記
録面での蒸留水の接触角を高く維持し得る素材として、
本発明に係る増感剤、パラフィンワックス等を感熱記録
層に含有する等の方法によるのも好適である。
【0122】前記接触角の測定は、感熱記録材料の感熱
記録層の表面(記録面)に蒸留水を滴下した後、0.1
秒経過後の接触角を常法により測定することにより行こ
とができる。例えば、FIBRO system(DA
T1100(ab社製)等のダイナミックコンタクトア
ングル・アブソープションテスター)等により測定でき
る。
【0123】本発明に係る感熱記録材料は、画像保存性
に優れる点で有用であり、好ましくは印画後の形成画像
を温度60℃、相対湿度20%の環境条件下で24時間
放置した後の、前記形成画像における濃度残存率が65
%以上とする。既述のように、4−ヒドロキシベンゼン
スルホンアニリドを含有し、好ましくは画像安定剤等を
含有することにより、前記濃度残存率を上記範囲とする
ことができる。これにより、形成画像を長期間高濃度に
維持することができ、重要な文書の保管、前売りチケッ
ト、レシート、金券など、長期間に渡り画像信頼性が要
求される分野にも適用することができる。
【0124】画像の濃度残存率は、下記式のように、印
画直後にマクベス反射濃度計(例えばRD−918)で
測定した画像濃度に対する、同条件で印字し60℃、相
対湿度20%の雰囲気下で24時間放置した後の画像濃
度の比(%)で表される。濃度残存率=[(放置後の画
像濃度)/(印字直後の画像濃度)]×100
【0125】以上の本発明に係る感熱記録材料は、感熱
記録層を支持体にカーテン塗布した後、乾燥させて製造
される。カーテン塗布して形成される層の種類は特に限
定されないが、例えば、下塗り層、感熱記録層、保護層
などが挙げられ、これらに隣接する一連の層がカーテン
塗布により多層同時塗布されてもよい。多層同時重層塗
布とすることにより、生産過程におけるエネルギー消費
を少なくすることができ、より環境負荷の小さい感熱記
録材料の製造方法とすることができる。
【0126】多層同時塗布する層の組み合わせの具体例
としては、下塗り層と感熱記録層の組み合わせ、感熱記
録層と保護層の組み合わせ、下塗り層、感熱記録層およ
び保護層の組み合わせ、種類の異なる2種以上の下塗り
層の組み合わせ、種類の異なる2種以上の感熱記録層の
組み合わせ、種類の異なる2種以上の保護層の組み合わ
せなどがあげられ、これ以外の組み合わせについても特
に限定されない。
【0127】塗布液を支持体にカーテン塗布するのに用
いるカーテン塗布装置としては、エクストルージョンホ
ッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテ
ン塗布装置などが挙げられ、特に限定されないが、写真
感光材料などに使用されている特公昭49−24133
号公報に開示されたスライドホッパー型カーテン塗布装
置を特に好ましく用いることができる。このスライドホ
ッパー型カーテン塗布装置を用いると容易により多層の
同時塗布を行うことができる。
【0128】また、本発明においては、感熱記録層を形
成する際の恒率乾燥過程における感熱記録層の最高表面
温度を55℃以下としており、該温度を55℃以下とす
ることにより、白色度が高い感熱記録材料が得られる。
恒率乾燥過程において、該温度が一瞬でも55℃を超え
ると白色度が低下してしまう。該温度は、45℃以下が
更に好ましい。
【0129】ここで、本発明において、恒率乾燥過程と
は、塗布層中の水分量が時間に比例して減少する現象を
示す期間をいう。
【0130】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以
下、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量
部」及び「質量%」を表す。
【0131】(実施例1) <感熱記録層用塗布液の調製> −分散液A(電子供与性無色染料含有)の調製− 下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均
粒径が0.7μmの分散液Aを得た。体積平均粒径は、
レーザ回折式粒度分布測定器LA500(ホリバ(株)
製)により測定した。 〔分散液Aの組成〕 ・2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン …10部 (電子供与性無色染料) ・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …50部 (PVA−105、(株)クラレ製)
【0132】−分散液B(電子受容性化合物含有)の調
製− 下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均
粒径が0.7μmの分散液Bを得た。体積平均粒径は、
分散液Aの場合と同様にして測定した。 〔分散液Bの組成〕 ・4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド … 20部 ・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …100部 (PVA−105、(株)クラレ製)
【0133】−分散液C(増感剤含有)の調製− 下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均
粒径が0.7μmの分散液Cを得た。体積平均粒径は、
分散液Aの場合と同様にして測定した。 〔分散液Cの組成〕 ・2−ベンジルオキシナフタレン(増感剤) … 20部 ・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …100部 (PVA−105、(株)クラレ製)
【0134】−分散液D(顔料含有)の調製− 下記の各成分を混合後、サンドミルで分散し、体積平均
粒径が2.0μmの分散液Dを得た。体積平均粒径は、
分散液Aの場合と同様にして測定した。 〔分散液Dの組成〕 ・カルサイト系軽質炭酸カルシウム …40部 (ユニバー70、白石工業(株)製) ・ポリアクリル酸ナトリウム … 1部 ・蒸留水 …60部
【0135】−感熱記録層用塗布液の調製− 下記組成を混合して、感熱記録層用塗布液を得た。 〔感熱記録層用塗布液の組成〕 ・分散液A … 60部 ・分散液B …120部 ・分散液C …120部 ・分散液D …101部 ・ステアリン酸亜鉛30%分散液 … 15部 ・パラフィンワックス(30%) … 15部 ・カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 (第一工業製薬(株)製 セロゲンEP)の1%水溶液 …110部 ・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(25%) … 4部
【0136】<支持体アンダーコート層用塗布液の調製
> 下記の各成分をディソルバーで攪拌混合して分散液を得
た。 ・焼成カオリン(吸油量75ml/100g) …100部 ・ヘキサメタリン酸ナトリウム … 1部 ・蒸留水 …110部 続いて、得られた分散液に、SBR(スチレン−ブタジ
エンゴムラテックス)20部と酸化デンプン(25%)
25部とを添加して、支持体アンダーコート層用塗布液
を得た。
【0137】<感熱記録材料の作製> 支持体として、JIS−8119による平滑度が150
秒の上質紙を用意し、該上質紙の表面に、上記より得た
支持体アンダーコート層用塗布液を、ブレードコーター
により乾燥後の塗布量が8g/m2となるように塗布
し、アンダーコート層を形成した。該アンダーコート層
の塗設により、支持体のJIS−8119による平滑度
は350秒となった。
【0138】次いで、前記アンダーコート層上に、上記
より得た感熱記録層用塗布液を、カーテンコーターによ
り乾燥後の塗布量が4g/m2となるように塗布し、乾
燥して感熱記録層を形成した。その後、形成された感熱
記録層の表面にキャレンダー処理を施し、本発明に係る
感熱記録材料(1)を得た。なお、感熱記録層の乾燥工
程において、恒率乾燥過程における最高表面温度を40
℃とした。
【0139】(実施例2) −分散液Eの調製− 下記の各成分を混合後、ボールミルで分散し、体積平均
粒径が0.7μmの分散液Eを得た。体積平均粒径は、
実施例1と同様にして測定した。 〔分散液E組成〕 ・1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル フェニル)ブタン(画像安定剤) … 5部 ・ポリビニルアルコール2.5%溶液 …25部 (PVA−105、(株)クラレ製)
【0140】−感熱記録層用塗布液の調製− 実施例1と同様に分散液A、B、C及びDを調製し、上
記より得た分散液Eと共に下記組成で混合して感熱記録
層用塗布液を調製し、更に実施例1と同様にして、本発
に係る感熱記録材料(2)を得た。 〔感熱発色層用塗布液組成〕 ・分散液A … 60部 ・分散液B …120部 ・分散液C …120部 ・分散液E … 30部 ・分散液D …101部 ・ステアリン酸亜鉛30%分散液 … 15部 ・パラフィンワックス(30%) … 15部 ・カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 (第一工業製薬(株) セロゲンEP)の1%水溶液 …110部 ・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(25%) … 4部
【0141】(実施例3) 実施例2において、分散液Eの調製に用いた1,1,3
−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert
−ブチルフェニル)ブタン(画像安定剤)に代えて、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−シクロヘキシルフェニル)ブタンを用いたこと以外、
実施例2と同様に分散液Eを調製し、更に実施例2と同
様にして、本発明に係る感熱記録材料(3)を得た。
【0142】(実施例4〜5) 実施例1において、分散液Dの調製に用いたカルサイト
系軽質炭酸カルシウム(ユニバー70;無機顔料)40
部に代えて、非晶質シリカ(ミズカシルP832、水沢
化学工業(株)製)20部、又は水酸化アルミニウム
(ハイジライトH42、昭和電工(株)製)40部、を
各々用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明
係る感熱記録材料(4)〜(5)を得た。
【0143】(実施例6) 実施例1において、分散液A、B及びCの調製に用いた
ポリビニルアルコール2.5%水溶液(接着剤)に代え
て、スルホ変性ポリビニルアルコール(ゴーセランL3
266、日本合成化学(株)製)2.5%水溶液を用い
たこと以外、実施例1と同様にして、本発明に係る感熱
記録材料(6)を得た。
【0144】(実施例7) 実施例1において、分散液A、B及びCの調製に用いた
ポリビニルアルコール2.5%水溶液(接着剤)をジア
セトン変性ポリビニルアルコール(D500、ユニチカ
社製)2.5%水溶液に代え、かつ代えて得た分散液
A、B及びCを実施例1と同様にして混合してなる感熱
記録層用塗布液に、更にアジピン酸ジヒドラジド5%水
溶液(架橋剤)13部を添加したこと以外、実施例1と
同様にして、本発明に係る感熱記録材料(7)を得た。
【0145】(実施例8) 実施例1において、分散液A、B及びCの調製に用いた
ポリビニルアルコール2.5%水溶液(接着剤)をアセ
トアセチル変性ポリビニルアルコール(ゴーセファイマ
ーZ210、日本合成化学(株)製)2.5%水溶液に
代え、かつ代えて得た分散液A、B及びCを実施例1と
同様にして混合してなる感熱記録層用塗布液に、更にグ
リオキザール5%水溶液(架橋剤)13部を添加したこ
と以外、実施例1と同様にして、本発明に係る感熱記録
材料(8)を得た。
【0146】(実施例9) 実施例1で支持体として用いた上質紙に代えて、古紙パ
ルプ70%、LBKP30%により構成され、JIS−
P8119による平滑度が170秒の再生紙(50g/
2)を用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発
に係る感熱記録材料(9)を得た。
【0147】(実施例10) 実施例1の<感熱記録材料の作製>において、支持体へ
のアンダーコート層の形成後に行った、感熱記録層用塗
布液の塗布、乾燥およびキャレンダー処理に代えて、ア
ンダーコート層の形成後に、実施例1で得た感熱記録層
用塗布液と下記よりなる保護層用塗布液とをカーテンコ
ーターを用いて同時重層塗布し、乾燥し、積層された保
護層の表面にキャレンダー処理を施したこと以外、実施
例1と同様にして、本発明に係る感熱記録材料(10)
を得た。尚、保護層の乾燥塗布量は2.0g/m2であ
った。なお、同時重層塗布における感熱記録層及び保護
層の乾燥工程において、恒率乾燥過程における最高表面
温度を40℃とした。
【0148】−保護層用塗布液の調製− 下記組成をサンドミルで分散し、顔料分散物を調製し
た。 ・水酸化アルミニウム(体積平均粒子径1μm) …40部 (ハイジライトH42、昭和電工(株)製) ・ポリアクリル酸ナトリウム … 1部 ・水 …60部
【0149】別途、尿素リン酸エステル化澱粉15%水
溶液(MS4600、日本食品化工(株)製)200部
及びポリビニルアルコール15%水溶液(PVA−10
5、(株)クラレ製)200部に水60部を加えたもの
を調製し、これに上記より得た顔料分散物を混合し、更
に体積平均粒径0.15μmのステアリン酸亜鉛乳化分
散物(ハイドリンF115、中京油脂(株)製)25部
と、スルホコハク酸2−エチルヘキシルエステルナトリ
ウム塩2%水溶液125部とを混合して、保護層用塗布
液を得た。
【0150】(実施例11〜13) 実施例10の保護層用塗布液の調製に用いた水酸化アル
ミニウム(ハイジライトH42;無機顔料)40部に代
えて、水酸化アルミニウム(ハイジライトH43、体積
平均粒径0.7μm、昭和電工(株)製)40部、カオ
リン(カオブライト、体積平均粒径2.5μm、白石工
業(株)製)40部、又は非晶質シリカ(ミズカシルP
707、体積平均粒径2.2μm、水沢化学(株)製)
20部、を各々用いたこと以外、実施例10と同様にし
て、本発明に係る感熱記録材料(11)〜(13)を得
た。
【0151】(実施例14〜20) 実施例1の分散液Cの調製に用いた2−ベンジルオキシ
ナフタレン(増感剤)に代えて、シュウ酸ジメチルベン
ジル(HS3520R−N、大日本インキ工業(株)
製)、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエ
ーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフェノ
キシメチルベンゼン、ジフェニルスルホン、又は1,2
−ジフェノキシエタンを各々用いたこと以外、実施例1
と同様にして、本発明に係る感熱記録材料(14)〜
(20)を得た。
【0152】(実施例21〜25) 実施例1の分散液Aの調製に用いた2−アニリノ−3−
メチル−6−ジエチルアミノフルオラン(電子供与性無
色染料)に代えて、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ
ブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−
6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラ
ン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N
−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メ
チル−6−ジ−n−アミルアミノフルオラン、又は2−
アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−p−ト
リルアミノ)フルオラン、を各々用いたこと以外、実施
例1と同様にして、本発明に係る感熱記録材料(21)
〜(25)を得た。
【0153】(実施例26) 実施例1の感熱記録層の乾燥工程において、恒率乾燥過
程における最高表面温度を50℃とした以外は実施例1
と同様にして本発明に係る感熱記録材料(26)を得
た。
【0154】(参考例27) 実施例1の感熱記録層の乾燥工程において、恒率乾燥過
程における最高表面温度を60℃とした以外は実施例1
と同様にして参考例27の感熱記録材料(27)を得
た。
【0155】(参考例28〜31) 実施例1の分散液Bの調製に用いた4−ヒドロキシベン
ゼンスルホンアニリド(電子受容性化合物)に代えて、
N−ベンジル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド
(=p−N−ベンジルスルファモイルフェノール)、B
TUM、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェ
ニルスルホン、又は2,4−ビス(フェニルスルホニ
ル)フェノール、を各々用いたこと以外、実施例1と同
様にして、本発明に係る感熱記録材料(28)〜(3
1)を得た。
【0156】(比較例1〜2) 実施例1の分散液Bの調製に用いた4−ヒドロキシベン
ゼンスルホンアニリド(電子受容性化合物)に代えて、
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェノール)プロパン
(ビスフェノールA)、又は4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、を各々用いたこと以外、実施例1と
同様にして、比較の感熱記録材料(32)〜(33)を
得た。
【0157】(比較例3) 実施例1の感熱記録層の乾燥工程において、恒率乾燥過
程における最高表面温度を70℃とした以外は実施例1
と同様にして比較の感熱記録材料(34)を得た。
【0158】(評価) 上記より得た、本発明に係る感熱記録材料(1)〜(3
1)及び比較の感熱記録材料(32)〜(34)につい
て、以下の測定、評価を行った。尚、測定、評価の結果
は下記表1に示す。(1)感度の測定 部分グレーズ構造を有するサーマルヘッド(KF200
3−GD31A、ローム(株)製)を備えた感熱印字装
置を用いて印字を行った。印字は、ヘッド電圧24V、
印字周期0.98ms/line(印字速度12.8c
m/秒)の条件のもと、パルス幅0.375ms(印加
エネルギー15.2mJ/mm2)で行い、その印字濃
度をマクベス反射濃度計(RD−918、マクベス社
製)で測定した。
【0159】(2)白色度 各感熱記録材料表面の地肌部分をマクベス反射濃度計
(RD−918、マクベス社製)で測定した。尚、数値
が小さいほど白色度が高いことを示す。
【0160】(3)地肌カブリの評価 各感熱記録材料を、温度60℃、相対湿度20%の環境
条件下で24時間放置した後の地肌部(非画像部)の濃
度を、マクベス反射濃度計(RD−918、マクベス社
製)で測定した。尚、数値が低いほど地肌カブリが良好
なことを示す。
【0161】(4)画像保存性の評価 前記各感熱記録材料を、上記(1)感度の測定と同一の装
置及び条件で印画し、印画直後の該画像の濃度と、同画
像を温度60℃、相対湿度20%の雰囲気下に24時間
放置後の該画像の濃度とを、マクベス反射濃度計(RD
−918、マクベス社製)で測定した。そして、下記式
に基づき、印画直後の画像濃度に対する、放置後の画像
濃度の比(%;濃度残存率)を算出し、画像保存性を評
価する指標とした。尚、数値が高いほど画像保存性が良
好なことを示す。 濃度残存率=[(放置後の画像濃度)/(印字直後の画像
濃度)]×100
【0162】(5)耐薬品性の評価 各感熱記録材料に対して上記(1)と同一の装置及び条件
で印画し、その地肌部及び印画部の表面を蛍光ペン(ゼ
ブラ蛍光ペン2−ピンク、ゼブラ(株)製)で筆記し、
1日経過後の各感熱記録材料における、地肌部の地肌カ
ブリの程度と画像部の画像濃度とを目視により観察し、
下記基準にしたがって評価を行った。 〔基準〕 ○:地肌部のカブリ濃度の上昇は認められず、画像部の
濃度変化も認められなかった。 △:地肌部のカブリ濃度の上昇が若干認められ、画像部
は濃度がやや薄くなった。 ×:地肌部のカブリ濃度の上昇が顕著に認められ、画像
部はほとんど消えた。
【0163】(6)ヘッド切れの評価 ワードプロセッサ(ルポ95JV、(株)東芝製)を用
いて、印字率20%のテストチャートをA4シートサイ
ズで1000枚印字し、その時のドット抜けの数をヘッ
ド切れを評価するための指標とした。
【0164】(7)インクジェット適性の評価 インク耐性 上記「(1)感度の測定」の場合と同様にして、各感熱記
録材料の感熱記録層に印画し、印字直後の画像の濃度
(D1)をマクベス反射濃度計RD918(マクベス社
製)で測定した。次に、印画された各感熱記録材料の感
熱記録層の表面(印画された印字部)と、インクジェッ
トプリンター(EPSON MJ930C、エプソン社
製)により高画質プリントされた画像とを接触させ、2
5℃下で48時間放置した後の、各感熱記録層の画像濃
度(D2)をマクベス反射濃度計RD918で測定し
た。そして、得られた各濃度から、各感熱記録材料につ
いて濃度残存率(%;D2/D1×100)を算出し、イ
ンクジェット用インクに対する耐性を評価する指標とし
た。尚、数値が高いほどインク耐性が良好なことを示
す。
【0165】インクジェット記録適性 各感熱記録材料にワードプロセッサ(ルポJW−95J
U、(株)東芝製)を用いて文字を印字した後、印字さ
れた各感熱記録層に更にインクジェットプリンターによ
りプリントを行い、インクジェット記録部のインクの滲
みと、ワードプロセッサにて印字された文字部の消色程
度を、下記基準に従って目視評価した。 〔基準〕 ○:インクの滲み並びに文字部の消色はわずかであり、
判読に支障はなかった。 △:文字部が一部薄くかすれたが、何とか判読は可能で
あった。 ×:文字部が完全に消失し、判読は不可能であった。
【0166】(8)接触角の測定 各感熱記録材料の感熱記録層の表面(記録面)に蒸留水
を滴下した後、0.1秒経過後の接触角を、FIBRO
system(DAT1100、ab社製)を用いて
測定した。値は大きいほど効果との関係で有用といえ
る。
【0167】(9)イオン(Na+,K+)濃度の測定 各感熱記録材料について、熱水で抽出し、その抽出水を
原子吸光法によるイオン定量分析法により、Na+イオ
ン及びK+イオンのイオン質量を測定した。表1中のイ
オン濃度は、Na+及びK+の総イオン濃度を表し、感熱
記録材料の全質量に対する総ppm値を示す。
【0168】
【表1】
【0169】上記表1の結果から、電子供与性無色染料
と共に4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリドを含
み、感熱記録層を、その塗布液をカーテン塗布すること
により形成し、かつ恒率乾燥過程における最高表面温度
55℃以下として乾燥させた本発明に係る感熱記録材
料(1)〜(26)では、特に、地肌部の白色度が高
く、地肌カブリを低く維持しながら、高い発色濃度(高
感度)が得られ(印画適性が良好)、印画後の画像保存
性も良好であり、接触角の向上に伴いインクジェット適
性を備え、優れた耐薬品性をも有し、ヘッド摩耗が少な
くサーマルヘッドマッチング性の点でも優れていた。即
ち、高感度化、並びに、地肌白色性、画像保存性、イン
クジェット適性、耐薬品性、及びサーマルヘッドマッチ
ング性(耐摩耗性)を同時に満足することができた。
【0170】また、感熱記録材料(1)との対比におい
て、画像安定剤を含有した感熱記録材料(2)及び
(3)では、画像保存性及びインク耐性をより向上させ
ることができ、好ましい接着剤(保護コロイド)を用い
た感熱記録材料(6)では、更なる高感度化と地肌カブ
リの低減を図ることができた。尚、画像安定剤の含有に
より、捺印適性及び取扱い性も特に優れていた。本発明
に好適な特定の無機顔料を含む保護層を設けた感熱記録
材料(10)〜(13)では、画像保存性及びインク耐
性(耐薬品性)を更に向上することができた。実施例1
4〜20で用いた増感剤によっても、実施例1の感熱記
録材料(1)と同様に良好な性能が得られ、実施例21
〜25で用いた電子供与性無色染料でも、地肌カブリを
低く保持しながら、良好な発色性、画像保存性が得られ
た。実施例1及び26のように、カーテン塗布法による
方が高感度化の点で有用であった。尚、支持体に古紙パ
ルプを含有した場合(実施例9)でも諸性能に支障を来
すこともなかった。
【0171】一方、電子受容性化合物として、4−ヒド
ロキシベンゼンスルホンアニリドを用いなかった比較の
感熱記録材料(32)〜(33)では、特に、高感度化
が図れなかっただけでなく、画像保存性、耐薬品性、及
びインクジェット適性の点で劣っており、感熱記録材料
が有すべき諸性能を同時に満足することはできなかっ
た。また、感熱記録層の恒率乾燥過程における最高表面
温度が55℃を超えた感熱記録材料(34)は、高い白
色度が得られなかった。
【0172】
【発明の効果】本発明によれば、特に、地肌部(非画像
部)の白色度が高く、カブリ濃度(地肌カブリ)を低く
抑えながら、高感度でかつ高濃度の画像を形成でき(印
画適性が良好)、印画後の画像保存性、耐薬品性に優
れ、インクジェット画像の色相不良や、ニジミや、イン
クジェット用インクに起因する画像褪色を伴わないイン
クジェット適性を有し、しかも高速性や部分グレーズ構
造を備える等の高性能プリンタに適用する場合であって
も、サーマルヘッドマッチング性が良好でヘッド摩耗や
ヘッド汚れの少ない(ヘッド適性が良好)感熱記録材料
を提供することができる。また、更にこれらに加えて、
鮮鋭で高画質の画像が得られ、形成画像の耐光性に優
れ、感熱記録層又は保護層上に滲みなく印刷、捺印する
ことが可能であり、少ない塗布量(環境適性)で低コス
トに形成でき、必要に応じて普通紙ライク感をも備えた
感熱記録材料を製造可能な感熱記録材料の製造方法を
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鬼頭 宏和 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写 真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−35103(JP,A) 特開2001−113226(JP,A) 特開2000−247038(JP,A) 特開2001−138632(JP,A) 特開 平9−1930(JP,A) 特開 平3−108580(JP,A) 特開 平7−266697(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 - 5/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、電子供与性無色染料と、該
    電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化
    合物とを含む感熱記録層を有する感熱記録材料の製造方
    において、 前記電子受容性化合物が、4−ヒドロキシベンゼンスル
    ホンアニリドであること、及び少なくとも前記感熱記録
    層を、その塗布液をカーテン塗布することにより形成
    し、かつ恒率乾燥過程における最高表面温度を55℃
    下として乾燥させること、を特徴とする感熱記録材料
    製造方法
  2. 【請求項2】 感熱記録層が増感剤を含み、該増感剤
    が、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジメチル
    ベンジル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリ
    ルエーテル、p−ベンジルビフェニール、1,2−ジフ
    ェノキシメチルベンゼン、ジフェニルスルホン、及び
    1,2−ジフェノキシエタンより選択される少なくとも
    一種である請求項に記載の感熱記録材料の製造方法
  3. 【請求項3】 電子供与性無色染料が、2−アニリノ−
    3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニ
    リノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2
    −アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソ
    アミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル
    −6−(N−エチル−N−プロピルアミノ)フルオラ
    ン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−アミルア
    ミノフルオラン、及び2−アニリノ−3−メチル−6−
    (N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオランより
    選択される少なくとも一種である請求項1または2に記
    載の感熱記録材料の製造方法
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