JP3795227B2 - 炭化水素センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、300℃〜800℃程度までの温度領域における雰囲気中の炭化水素の検知およびその濃度の測定に使用される固体電解質を利用した炭化水素センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素センサは、住環境内の炭化水素の検知から自動車エンジンや、燃焼ストーブ、触媒燃焼機器の排ガス中の炭化水素の検知が可能であり、燃焼機関と燃焼機器の燃焼制御(リーンバーン)用センサとして利用される。従来の炭化水素を測定あるいは検知する方法として、大別すると以下のような、半導体型と電解質型とがある。
【0003】
半導体型センサは、TiO2 、SnO2 などの酸化物半導体を用いて、炭化水素、H2 のほか、COなど他の還元ガスにも反応して検知することができ、検出ガスに選択性を付加させるために、半導体には触媒活性な材料を混合させて用いられる。このような半導体型は、触媒で検出用ガスを燃焼させるため雰囲気中に酸素が必要であり、酸素がない状態、あるいは酸素濃度が変化する雰囲気中では正確に炭化水素濃度を検知することはできない。
【0004】
他方、電解質を用いた型のセンサは、電解質が良好なプロトン伝導体が必要とされてきた。センサを燃焼機関等で高温雰囲気中で使用するためには、室温以上で使用できる酸化物系のプロトン伝導体であることが必要である。近年、酸化物のプロトン伝導体としてCaZr0.9 In0.1 O3- α酸化物が開発され炭化水素センサへの応用が試されている。
【0005】
現在知られるカルシウムジルコニウム系酸化物固体電解質を用いた炭化水素センサには、Pd−Au電極を用いた起電力式炭化水素センサが知られ(日比野、棚木、岩原;1994年電気化学協会第61回講演大会 要旨集、pp99)、また、多孔質アルミナを拡散律速層として具備した限界電流検知型炭化水素センサが知られている(稲葉、高橋、佐治、塩岡;1995年化学センサ学会秋季大会 要旨集 pp145)。
【0006】
しかしながら、固体電解質としてカルシウムジルコニウム系酸化物のプロトン伝導性は、600℃で約5×10-4S/cmと小さく、センサの感度を上げるため、起電力式では作動温度を700℃以上の高温に設定したり、電流検知式では薄膜化をしなければ使用が困難であり、より高いプロトン伝導性のある固体電解質材料が求められていた。
【0007】
また、カルシウムジルコニウム系酸化物を使用したセンサの検知機構と構造についても、起電力式センサでは、やはり電極の触媒機能を利用するものであるため、酸素がない状態または酸素濃度変化の大きい雰囲気中では、正確な炭化水素の検知ができなかった。限界電流式センサでは、アルミナ多孔質を拡散律速層に用いるが、炭化水素の電解電圧の設定が困難であった。
【0008】
そこで、本発明者らは、高プロトン伝導性を示すバリウムセリウム系酸化物を用いた定電位電解式(限界電流式)の炭化水素センサを提案してきた(特願平9−105884)。このセンサは、炭化水素に良好に応答し、酸素がない状態では数ppmオーダーから数%オーダーまでの広い範囲で炭化水素をリニアに検出できる。
【0009】
しかしながら、炭化水素濃度が微量(10ppm以下)でかつ、酸素がない状態から酸素が混合された状態に変化されると、電極間の出力電流が増加する現象がみられた。これは、バリウムセリウム系酸化物電解質が、酸化物イオンをも伝導する特性を有し、カソード側より酸素が電解質中に取り込まれるために起こるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
炭化水素センサは、住環境の炭化水素の検知、車のエンジンや、ストーブなどの燃焼機器からの燃焼排ガスの炭化水素濃度検知器として利用するには、選択性があり、どのような雰囲気中でも、酸素濃度の影響を受けることなく、高感度で信頼性が高いことが必要である。さらに、炭化水素センサは、測定雰囲気中に直接配置されることが多く、小型で使用が簡便であり、且つ製造コストが低いことが、望まれている。
【0011】
従来の限界電流式の炭化水素センサは、電解質層に高プロトン伝導性を示すバリウムセリウム系酸化物を用い、電極に白金を使用していたが、上記のような環境では、雰囲気中の炭化水素に良好に応答するが、同時に雰囲気中の酸素の存在により、特に、その酸素濃度により出力が変動し、大きな誤差となっていた。この現象は、カソード側で雰囲気から酸素が取り込まれて、白金電極でイオン化され、その酸素イオンあるいは酸化物イオンが電解質層を透過するために起こる。
【0012】
本発明の目的は、測定雰囲気中の酸素の存在とその濃度に影響されることなく、炭化水素を高精度に検知ができるセンサを提供するものである。
本発明の別の目的は、このようにカソードにおいて酸素に鈍感で、且つアノードにおける炭化水素に敏感な高感度の炭化水素センサを提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑み、従来の白金系の電極に代えて、カソードに雰囲気中の酸素に影響を受けない電極材料を使用して、電極表面で酸素を遮断して電解質中への浸入を阻止し、雰囲気酸素の濃度に影響されない炭化水素センサを得るものである。
【0014】
本発明のセンサにおいては、具体的にはカソードの電極材料に金属Al又はそれを主体とした材料を用いて、金属Al表面の酸素に対する触媒不活性を利用し、酸素のカソードにおける解離を防止し解離したイオンの電解質層への移動を遮断するものである。本発明においては、特に、金属アルミニウム含有層に、アルミニウム酸化皮膜を被着形成させてカソード電極を構成するものである。
【0015】
本発明は、プロトン伝導性の高いバリウムセリウム系酸化物を固体電解質に使用し、このバリウムセリウム系酸化物が同時に酸化物イオンに対して示す高い伝導性を無効にするために、金属Alとアルミニウム酸化皮膜とを具備したカソードを構成して、これにより、酸素に鈍感で、且つ炭化水素に優れて敏感な炭化水素センサを実現するものである。
【0016】
また、本発明は、高性能なセンサ特性を得るために従来の白金系に代わる新しいアノード材料を提案するものである。本発明は、アノードにAgを主体とする材料を用いることにより、炭化水素の検出感度を高めて、高精度に検知を行うことを可能にするものである。
【0017】
本発明の炭化水素センサは、上記のカソードとアノードとを形成した固体電解質層に、そのアノード側に、律速拡散層が形成され、炭化水素濃度をリニアに検出できるプロトン伝導型限界電流式センサとして利用される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化水素センサーの基本構成は、固体電解質層と、固体電解質層の両面に対向して取り付けられた一対の電極からなっており、固体電解質層にバリウムセリウム系酸化物を用い、一対の電極のうちのカソードに金属Al含有層が用いられる。他方の電極、即ちアノードには、従来のアノード金属材料が利用でき、通常は、白金電極が使用できる。
【0019】
固体電解質層は、バリウムセリウム系酸化物の薄肉のセラミック層が利用でき、その表面には肉厚方向に対向する金属電極を形成される。固体電解質には、一般式BaCeO3- αで表されるバリウムセリウム系酸化物が使用される。バリウムセリウム系酸化物は、セリウムの一部が、他の希土類元素で置換されたものが利用され、置換元素には、例えば、Y、Gd、Dyなどが利用される。
【0020】
金属電極のうちカソードは、セラミック層の表面にAlを主成分とする材料で皮膜形成される。金属Al含有層は、Alのみから直接形成したAl層やAlが主成分となる材料を含む。
Al層からなるカソード、例えば、Al電極は、好ましくは、金属Alを含む多孔質皮膜が好ましい。電極の多孔質皮膜は、気体が移動できる程度の微細な気孔を有するものがよい。カソードの金属Alは、表面が非常に薄い酸化皮膜により被覆されており、Al単独でも酸素の解離を阻害し、電解質層への浸入をブロッキングすることができる。
【0021】
Al含有層は、金属Alを主成分とし、且つ、Si、Sn、Zn、Ga、In、Zn、Cd、Cu、Ag、Ni、Co、Fe、Mn及びCrの金属及びその酸化物から選ばれた少なくとも1種を含むものがよい。Al含有層は、このような金属Alとの混合物から焼き付けて焼結により固体電解質上に多孔質皮膜に形成することもできる。
【0022】
このような金属Al含有層の焼結電極は、Si、Sn、Znなどの上記の金属粒子またはその酸化した酸化物は、金属Al粒子を担持して安定した多孔体を形成し、金属粒の一部は、Al粒子を合金化し、酸化物との焼結体を形成し、特に、Al融点以上のセンサの使用温度においても、Al粒子の脱落や金属Al含有層の崩壊を防止し、カソードを安定化させる。
【0023】
この金属Al含有層内では、金属Al粒子は互いに接続して電気的に導通して電極を形成し、多孔体の気孔が固体電解質層を移動してきたプロトンの充電により発生した水素ガスの通路として利用され、雰囲気中に水素放散させる。
【0024】
金属Al含有層の焼結電極は、上記の金属が、金属Alとともに粉末状にしてペーストに調製され、固体電解質層表面に塗布されて、さらに、固体電解質層を加熱して、塗膜が焼き付けられて焼結電極に形成される。
【0025】
他方のアノードについては、Agが特に好ましく、カソードの上記Al含有層を対極としてアノードにAg電極を使用することにより、炭化水素濃度の検出感度を高めることができる。
【0026】
アノードは、Agを主成分とする材料を使用することができ、Agが50%以上含まれていればよく、たとえばPtが10%程度混合されていてもよい。
Agと共にさらにSiO2 などが混合されていてもよい。アノードは、電極材料のペーストをスクリーン印刷して焼き付ける方法やスパッタやメッキなど方法も採用される。
【0027】
アノードには、カソードと同様に、Al電極を使用することもできる。一対の電極とも上記のAl含有層とすることにより、酸素ブロッキングの効果が認められ、炭化水素の検出ができる。この場合、炭化水素の感度もすこし減少する。
【0028】
カソード及びアノードを形成した固体電解質層を限界電流式炭化水素センサとして利用するには、固体電解質層に拡散律速層が形成される。
拡散律速層の例として、固体電解質層のアノード側表面に、セラミック板により覆われたアノード室が形成され、セラミック板と固体電解質層との間にアノード室と外部雰囲気に連通する拡散律速孔が形成される。
拡散律速孔は、アノード室内部とアノード室外の雰囲気との炭化水素分圧の差に比例して、貫通孔内の炭化水素の流速を規定するものである。拡散律速孔は、連通気孔を多数形成した多孔体でもよい。
【0029】
本発明の炭化水素センサでは、使用時には、アノードとカソードの間に印加した電位差の下で、雰囲気中の炭化水素が拡散律速孔を拡散移動してアノードに達し、アノードで電解によりプロトンに解離し、プロトン伝導性固体電解質中を伝導し、カソードで水素として放出される。このとき、プロトン移動量に応じてアノードとカソード間に電流が流れ、雰囲気から拡散律速された炭化水素量(即ち雰囲気中炭化水素濃度)に比例した限界電流が現れる。
【0030】
センサは、固体電解質層がプロトン伝導性を発揮する温度に加熱されるが、センサ自体に電熱ヒータが固定されて、加熱され温度制御されてもよい。
【0031】
センサの温度範囲は、最高温度は、概して言えば、電極の耐熱性で決められる。200〜1000℃の範囲が可能であるが、カソードのAl含有層の表面酸化を行う意味で、300℃以上の作動温度が望ましい。特に、300〜800℃の温度範囲が好ましい。
【0032】
(実施例1)
図1に本発明の電流検知式炭化水素センサの構造を示す。センサは、固体電解質1に10mm×10mm、厚さ0.45mmのBaCe0.8 Gd0.2 O3- α焼結体を使用し、焼結体の薄膜の片側に、カソード2(作用極)をAlを主成分とする材料で形成し、他方のアノード3(参照極)として白金電極を用いて形成した。
【0033】
カソード側のAl含有層は、Alを主成分とした材料として、Al粉末とSi粉末5%(重量)とシリカ(SiO2 )粉末 1〜 2%(重量)とに、熱硬化性樹脂液とを混合して、ペーストを調整し、固体電解質1の片側表面にペーストをスクリーン印刷して所望パターンの塗膜を塗着した後、850℃で当該塗膜を焼き付けて形成した。
他方のアノード側の白金(Pt)電極も、白金粉末を含むペーストを他方の表面にスクリーン印刷して、同時に焼き付けたものである。
【0034】
この試作センサを評価するため、電気炉中で予備実験を行った。温度を600℃にして、ブタンガス(1%)中と空気中での電圧−電流特性(ポテンシャルステップ法)を調べた。図2に結果を示す。
【0035】
なお、図示されていないが両電極をともに白金電極としたセンサでは、空気中での電流出力はアノーディック(参照極に対して)およびカソーディックに電圧を印加しても酸素イオン電導と見られる電流が流れ、0Vを点に対象な特性が得られている。
【0036】
一方、金属Al含有電極を用いたセンサは、図2に示すように、空気中のカソーディック領域ではほとんど電流が流れないのに対して、ブタンガス中ではプロトン伝導によると考えられる電流が流れる(バリウムセリウム系酸化物はプロトンと酸化物イオンの混合イオン電導体であるため)。即ち、空気中(酸素の存在する状態)では、Al電極により酸素はブロッキングされ、炭化水素中では、カソーディック印加でプロトン伝導が生じるものと考えられる。この原理を用いることにより酸素の有無に依存しない炭化水素が実現できる。
【0037】
次に実際に、このセンサが炭化水素センサとして機能するかを実際の自動車エンジンを用いて調べた。素子温度を600℃前後に保持し、Al電極側が負極になるように電圧1.2Vを印加し、種々炭化水素濃度での出力を調べた。図3に、炭化水素濃度と出力の関係を示す。また、比較のため両方の電極に白金を用いた従来のセンサの出力特性も併せて示す。従来センサでは、炭化水素濃度が低い状態で酸素が混入したとき、図に示すように、出力が跳ね上がった。しかし、本発明のセンサでは、出力は抑えられていることがわかる。このことより、明らかに本発明のセンサが炭化水素を検知し、酸素混入時も妨害されずに安定に検知可能であることがわかる。
【0038】
ここで、本発明のセンサの反応機構および原理を推察する。図4には、電解質1上のAl電極のX線回折パターンを示す。回折図から、Al電極は、一部アルミニウム酸化物を形成していることがわかる。もし、Alのすべてが酸化物になっているのであれば、これは不導体であるので電極として機能しないと考えられる。
然しながら、上述の如く、印加電極極性とガス雰囲気の種類により電導が見られることから、Al電極は、図5にその構造を模式的に示すように、電極内部はAl金属20の状態を保ち、その金属表面に酸化皮膜21(アルマイト層)が形成されて、使用中に金属Alの融点の660℃以上の温度であっても、酸化皮膜21がAl金属20の融解と凝縮を防ぐものと考えられる。
【0039】
(実施例2)
本実施例は、一対の電極とバリウムセリウム系酸化物を固体電解質1に用いた炭化水素拡散律速層を具備する炭化水素センサにおいて、カソードにAlを主成分とする材料を用いた炭化水素センサの例を示す。この例は、カソードのAl電極表面がアルミニウム酸化物の層を形成した例である。
【0040】
図6に本発明の限界電流式炭化水素センサの構造を示す。センサは、固体電解質1に10mm×10mmで厚さ0.45mmのBaCe0.8 Y0.2 O3- α焼結体を使用し、アノード3に白金電極、カソード2に金属Al含有層で構成した。 この例では、金属Al含有層のAlを主成分とした材料には、Al粉末に、Cu粉末0.1%、Si粉末2%とSiO2 粉末を混合したペーストを調整し、固体電解質1上にスクリーン印刷した後、900℃で焼き付けて、焼結電極とした。
【0041】
センサには、固体電解質層のアノード側に拡散律速層が形成され、拡散律速層は、固体電解質層1のアノード3側の表面に、セラミック基板4をその周縁部のみ無機接着剤8を介して接着して被せてアノード室30を形成し、セラミック基板4と固体電解質層1との間に雰囲気に通ずる炭化水素の拡散律速孔31が形成されて成るものである。さらに、センサは、セラミック基板4の外側にヒーター9を備えて、センサを所定の温度に加熱することができる。こうして、プロトン伝導型限界電流式の炭化水素センサが形成された。
【0042】
上記の実施例1と同様、被検ガスに自動車の排ガスを用いセンサの検知特性を調べた。素子温度を600℃前後に保持し、印加電圧1.2Vで各種ガス濃度の電流出力を調べた。図7に、炭化水素濃度と出力の関係を示す。また、比較のためアノードとカソードとに共に白金電極を用いた従来のセンサの出力特性も合わせて示す。
【0043】
従来センサでは、炭化水素濃度が低い状態で酸素が混入したとき、図7に示すように、出力が跳ね上がった。しかし、本発明のセンサでは、酸素による出力電流の変動がなく、出力が安定していることが判る。このことより、明らかに本発明のセンサは、酸素混入時も安定に炭化水素を検知し得ることがわかる。このことは、このセンサは、実施例1と同様に、Alを主成分とする電極の表面が酸化皮膜で被覆されており、カソードからの酸素の流入をブロッキングしているものと考えられる。
【0044】
本実施例から明らかなように、バリウムセリウム系酸化物を固体電解質層にカソードにAlを主成分とする材料を用いた炭化水素センサは、酸素の有無に関係せずに安定して炭化水素を検知できることがわかった。また、同時にAl電極表面がアルミニウム酸化物の層を形成したカソードを具備したセンサが酸素の影響を受けない構成条件であることを示された。
【0045】
(実施例3)
本実施例は、一対の電極とバリウムセリウム系酸化物を固体電解質に用いた炭化水素拡散律速層を具備する炭化水素センサにおいて、アノードにAgを主成分とする材料を用いた例を示すものである。
【0046】
センサは、固体電解質層1に実施例2と同様に外形10mm×10mmで厚さ0.45mmのBaCe0.8 Gd0.2 O3- α焼結体を使用し、固体電解質1の表面上に、図6に示すように、アノード3としてAg電極を、カソード2としてAlを主成分とする材料を用いてAl含有電極を形成した。各々ペースト状にした電極材料は固体電解質1上にスクリーン印刷して塗膜形成し乾燥後に、850℃で焼き付けて焼結電極とした。
【0047】
さらに、固体電解質層上のアノード3側に、セラミック基板4と無機接着剤8により被せて、炭化水素の拡散律速孔を形成、セラミック基板4の外面に加熱用の抵抗加熱式のヒーター9を固定して、限界電流式センサとした。
【0048】
このセンサの特性は、実施例2と同じ条件で、被検ガスに自動車の排ガスを用いて、排ガス中で上記センサを600℃に加熱し、電極間1.2V印加して、調べた。
図8に、排ガス中の炭化水素濃度と電流出力の関係を示す。また、比較のため同面積のアノードにPtを、カソードにAlを用いたセンサの出力特性も合わせて示す。本発明センサの出力が従来センサより、感度が約10倍になっていることがわる。このように、カソードのAl電極の対極として、アノード材料をAgを主成分とする材料を用いることにより、炭化水素をより高感度、高精度に検知することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の炭化水素センサは、プロトン伝導とともに酸化物イオンの伝導も有する固体電解質を使用して、カソードの電極材料にAlを主体とした材料を用いるので、カソードでの酸素の解離を遮断し、雰囲気中に共存する酸素にに影響されないで、炭化水素を正確に測定することができる。
【0050】
本発明の炭化水素センサは、同時にアノードにAgを主体とする材料を用いることにより、高感度に炭化水素検知を行うことができ、小型、簡便、低コストな炭化水素センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る炭化水素センサの概念的断面。
【図2】 本発明のセンサの電圧−電流特性図。
【図3】 本発明の実施例に係る炭化水素センサの雰囲気中炭化水素濃度と電流出力との関係を示す図。
【図4】 本発明の炭化水素センサのアノード側Al電極表面のX線回折線チャート図。
【図5】 本発明の炭化水素センサのアノード側Al電極の構造を示す模式的断面図。
【図6】 本発明の実施例に係る限界電流式炭化水素センサの模式的断面図。
【図7】 本発明の実施例の限界電流式炭化水素センサにおける炭化水素濃度と電流出力との関係を示す図。
【図8】 本発明の他の実施例の限界電流式炭化水素センサにおける炭化水素濃度と電流出力との関係を示す図。
【符号の説明】
1 固体電解質
2 カソード
3 アノード
4 基板
8 無機接着剤
9 ヒーター
Claims (9)
- プロトン伝導性と酸化物イオン伝導性とを有する固体電解質層と、前記電解質層の表面に接触するカソードとアノードとからなる一対の電極と、を有する炭化水素センサにおいて、
前記カソードが金属Al含有層で形成されたことを特徴とする炭化水素センサ。 - 前記金属Al含有層が、Alを主成分とし、且つ、Si、Sn、Zn、Ga、In、Zn、Cd、Cu、Ag、Ni、Co、Fe、Mn及びCrの金属及びその酸化物から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の炭化水素センサ。
- 前記金属Al含有層は、表面がアルミニウム酸化皮膜に被覆された多孔質層である請求項1又は2に記載の炭化水素センサ。
- 前記アノード側に固体電解質層に接続されて拡散律速層を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の炭化水素センサ。
- 前記アノードがAg含有層で構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の炭化水素センサ。
- 前記固体酸化物層がバリウムセリウム系酸化物からなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の炭化水素センサ。
- 前記バリウムセリウム系酸化物が希土類元素を含むことを特徴とする請求項6に記載の炭化水素センサ。
- 前記希土類元素が、Gdであることを特徴とする請求項7に記載の炭化水素センサ。
- 前記炭化水素センサが、300〜800℃の温度範囲で加熱されて使用される請求項1から8のいずれかに記載の炭化水素センサ。
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