JP3794791B2 - コンクリート系構造物の補強方法及びコンクリート系補強構造物 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート系構造物の補強方法及びコンクリート系補強構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート系構造物は、鉄筋や繊維等の補強材で補強されたコンクリート製の構造物であり、例えば、鉄道や道路の橋脚やトンネル、並びに、建築物の柱、梁及び壁、並びに、ヒューム管やマンホール等のコンクリート製プレキャスト製品等が挙げられる。
コンクリート系構造物は、機械的強度や耐久性に優れ、腑形が容易であり、かつ安価であるので、土木建築分野を中心にして、極めて広範な用途に用いられている。しかしながら、このようなコンクリート系構造物も、ひび割れによる鉄筋の腐食、並びに、酸性雨や酸性下水等の酸性水によるコンクリートの劣化や鉄筋の腐食が起こるので、この場合にはコンクリート系構造物を補強する必要があった。又、地震等による大規模な揺れに対して耐震強度が不十分なコンクリート系構造物も、防災上の理由により耐震補強する必要があった。
このようなコンクリート系構造物を補強する方法としては、コンクリート系構造物を鋼板で覆い鋼板を溶接後、この構造物と鋼板との隙間にモルタルや樹脂等の充填材を注入する方法、コンクリート系構造物に鋼板又は炭素繊維を接着剤により接着する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンクリート系構造物を鋼板で覆い、鋼板の端部どうしを溶接後、その隙間に充填材を注入する方法は、補強効果は優れているが、施工が煩雑であり、橋桁等の複雑な形状のコンクリート系構造物を補強できないという課題があった。又、溶接作業者により溶接による補強効果にバラツキがあり、再現性が小さいという効果があった。
コンクリート系構造物に鋼板や炭素繊維を接着して補強する方法は、施工が容易であり、複雑なコンクリート系構造物を補強できるが、補強効果の点で改良の余地があった。
又、コンクリート系構造物にアンカーを埋め込んだり、挿入したりするアンカー補強の方法もある。しかしながら、このアンカー補強方法は、さらに鉄骨を組み込んだり、コンクリートを打増ししたりしなければ補強効果が得られず、そのための作業が大規模になり、大変手間がかかるという課題があった。又、コンクリート系構造物の断面が厚くなるという課題もあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業者により補強効果にバラツキがないために再現性が大きく、短時間で容易に、十分に補強できるコンクリート系構造物の補強方法及び補強されたコンクリート系構造物を提供するものである。
本発明者は、コンクリート系構造物の補強方法において、アンカー補強と金属板の接着補強を併用することにより、極めて大きな補強効果が容易に得られることを知見して本発明の完成に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、コンクリート系構造物のコンクリート表面に、頭頂部に平板を有するアンカーを設け、更に金属板を前記平板を介してアンカー同士に接着するように設けることを特徴とするコンクリート系構造物の補強方法であり、好ましくは、金属板とアンカーの平板との接着に、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤を使用することを特徴とする前記のコンクリート系構造物の補強方法であり、更に好ましくは、金属板とコンクリート表面とを接着する前記のコンクリート系構造物の補強方法であり、更に好ましくは、金属板とコンクリート表面を接着に、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤を使用することを特徴とする前記のコンクリート系構造物の補強方法である。加えて、本発明は、前記のコンクリート系構造物の補強方法で得られることを特徴とするコンクリート系補強構造物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を説明する。
【0007】
本発明のコンクリート系構造物としては、道路や鉄道の橋脚、ビルの柱、壁及び梁等各種のコンクリート系構造物が挙げられる。
【0008】
本補強方法に使用する金属板の材料としては、例えば、軟鋼やステンレス鋼等の鉄鋼材料、亜鉛鋼板、銅、銅合金、及び、アルミニウムやアルミニウムの合金等の非鉄材料が挙げられ、これらを目的に応じて任意に使用できる。これらの中では、入手しやすい点で、鉄やステンレスが好ましい。
本発明の金属板の引張破断伸びは高延性の点で5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。5%未満だと伸びが小さいため補強効果が不十分なおそれがある。又金属板の厚さに特に制限はなく、補強後の性能に応じて任意に選ばれる。
【0009】
コンクリート系構造物に行うアンカー補強の補強工法としては、コンクリート系構造物を打設する時にアンカーを予め所定の位置に埋め込む先付けアンカー工法と、コンクリート系構造物を打設した後に、コンクリート系構造物に穴を開けてアンカーを挿入し、穴とアンカーの隙間にモルタルや樹脂を充填するあと施工アンカー工法があり、いずれも使用できる。補修や補強を行う場合には、作業が容易な点で、あと施工アンカー工法が好ましい。
【0010】
あと施工アンカーとしては、コンクリート構造物中にアンカー先端が開くことにより定着する金属拡張アンカーと、接着剤により定着する接着系アンカーがある。これらの中では、価格が安い点で接着系アンカーが好ましい。
【0011】
金属拡張アンカーとしては、心棒や本体を打込むことによりアンカー先端が開く打込み方式や、アンカー上端に付いているナットを締めつけることによりアンカー先端が開く締付け方式がある。打込み方式としては、芯棒打込み式、内部コーン打込み式、本体打込み式及びスリーブ打込み式等があり、締付け方式としては、コーンナット式、テーパーボルト式、ダブルコーン式及びウエッジ式等がある。
【0012】
接着系アンカーとしては、接着剤が中に入ったガラス製のカプセルをコンクリート系構造物の穴に入れた後、アンカーを穴に挿入してカプセルを砕き、アンカーとコンクリート系構造物を接着させるカプセル型と、コンクリート系構造物の穴に接着剤を注入した後、アンカーを穴に挿入してアンカーとコンクリート系構造物を接着させる注入型がある。カプセル型に使用する接着剤としては、有機材料のポリエステル系、アクリル系、及びエポキシ系、並びに、無機材料のセメント系がある。注入型の注入方法としては、カートリッジタイプと現場調合タイプがある。接着剤の中では、アクリル系接着剤が好ましい。
接着系アンカーのアンカーボルトとしては、丸鋼と異形棒鋼が使用できるが、アンカーとコンクリート系構造物の付着強度が大きい点で、異形棒鋼が好ましい。
【0013】
本発明では、補強効果を大きくするために、アンカー補強したアンカーと金属板を固定して補強する。アンカーと金属板の固定方法については、金属板に所定の穴をあけ、アンカーと金属板をナット等で固定する方法や、アンカーと金属板を接着剤により接着する方法がある。アンカーと金属板を接着する方法とは、予めアンカーの頭頂部に小さな金属板(以下平板という)を溶接したアンカーを作製し、平板と補強用の金属板とを接着剤で接着する方法である。
これらの中では、施工時間の短縮、大面積の施工、補強後にコンクリート表面に凹凸がでない等の点で、アンカーと金属板を接着剤により接着する方法が好ましい。
【0014】
アンカーと金属板を接着剤により接着する補強方法の順序としては、コンクリート系構造物にアンカー補強をした後に、アンカーと金属板とを接着する方法や、アンカーと金属板を接着して一体化した後に、金属板に接着したアンカーをコンクリート系構造物の穴に挿入してアンカー補強を行う方法がある。これらの中では、施工性の点で、コンクリート系構造物にアンカー補強をした後に、アンカーと金属板とを接着する方法が好ましい。
【0015】
このようにして補強したコンクリート系補強構造物は、コンクリート系構造物上に単に金属板を接着補強したり、アンカー補強をしたりしただけのコンクリート系補強構造物に比べて、補強効果が極めて大きい。この理由は明らかではないが、金属板とアンカーを一体化することにより、コンクリート系構造物に負荷された応力がアンカーを介して金属板に伝達されたり、金属板に働く応力がアンカーを介してコンクリート系構造物に伝達されたりして、コンクリートの変形を抑制するためと考えられる。
【0016】
アンカーのアンカー長やアンカーの本数については補強後の性能に応じて任意に選んでよい。アンカー長は補強効果が大きい点で、柱や梁にあっては剪断補強筋より10mm以上コンクリート系構造物の内部に挿入されていることが好ましく、壁にあってはその厚みの1/4 以上が好ましい。アンカーの本数は補強効果が大きい点で、10本以上/m2 が好ましい。
【0017】
コンクリート系構造物にアンカー補強をした後に、アンカーと金属板を接着剤により接着してアンカー補強と金属板の接着補強を併用する方法の例を下記に示す。
【0018】
補強するコンクリート系構造物にアンカー用の穴をあけ、アンカー補強をした後に、金属板やアンカーの平板に接着剤を塗布し、アンカーと金属板とを接着する。さらに、補強効果が大きい点で、コンクリート系構造物のコンクリート表面と金属板とを接着剤により接着させることが好ましい。
【0019】
接着剤はコンクリート面やアンカーの平板に塗布しても良く、又、二液硬化型の接着剤を使用して金属板に一方の液を塗布し、コンクリート表面やアンカーの平板に他方の液を塗布するハネムーン型の接着を行っても良い。コンクリート表面と金属板とを接着させるために、アンカーの平板を介したできた金属板とコンクリート表面との隙間に接着剤を充填させたり、金属板とコンクリート表面の両面に接着剤を塗布させたりしてもよい。
補強するコンクリート系構造物のコンクリート強度が著しく低い場合や、接着剤とコンクリート表面との接着強度が低い場合には、金属板、コンクリート表面又はアンカーの平板に接着強度を高めるプライマーを塗布して、接着を行っても良い。
【0020】
本発明で使用する接着剤には特に制限はなく、アクリル系、不飽和ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系及びシリコン系等が挙げられる。これらの中では、再現性や補強効果が大きい点で、アクリル系やエポキシ系が好ましく、氷点下の低温条件で接着したり、降雨や漏水によって湿潤した表面や、防錆油や機械油等により親油性を有する表面(特に金属板表面)を接着したりする場合に、短時間で容易に施工でき、補強効果が大きい点で、アクリル系接着剤がより好ましい。
【0021】
本発明のアクリル系接着剤とは、アクリル系単量体又はその混合物を重合開始剤により硬化する接着剤をいう。アクリル系単量体とは(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステルをいう。(メタ)アクリル酸エステルの種類には特に制限はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート、並びに、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらを単独又は2種以上を混合して用いられる。
【0022】
本発明のアクリル系接着剤は熱重合反応により硬化させてもよいが、施工現場でアクリル系接着剤を硬化させる場合に、熱重合反応を発生させるのに必要な熱源を定常的に確保したり、又その熱源を管理したりすることが困難な場合がある。そのため、重合開始剤と分解促進剤を併用して、アクリル系接着剤を常温で硬化させることが好ましい。
【0023】
本発明の重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤の有機過酸化物又はアゾ化合物を使用することが好ましい。有機過酸化物には特に制限はなく、例えば、メチルケトンパーオキシドや過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、及び、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。これらの中では、硬化性の点で、有機過酸化物が好ましい。
【0024】
又、分解促進剤とは重合開始剤の分解を促進する化合物をいい、例えば、ジエチルチオ尿素等のチオ尿素誘導体、N,N−ジエチル−p−トルイジン等のアミン類、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等の有機酸金属塩、及び、銅アセチルアセトネート等の有機金属キレート化合物等が挙げられる。
【0025】
本発明のアクリル系接着剤には、アクリル系単量体以外の他の単量体を併用してもよい。他の単量体には特に制限はなく、例えば、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びアクリルアミド等の単官能単量体、並びに、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレート等の多官能単量体が挙げられる。これらを単独又は2種以上を混合して用いられる。
更に、本発明のアクリル系接着剤には接着強度を大きくするために、ゴム成分を用いてもよい。ゴム成分には特に制限はなく、例えば、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレゴム、ポリブテンゴム、SBRゴム、NBRゴム、クロロプレンゴム、ERRゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、EVAゴム及びポリウレタンゴム等が挙げられる。これらを単独又は2種以上を混合して用いられる。又、アクリル系接着剤に対するゴム成分の溶解度を調節するために、MBS樹脂等のグラフト共重合体を用いてもよい。
【0026】
本発明のアクリル系接着剤は、重合開始剤を含有するアクリル系単量体の混合物と、分解促進剤を含有するアクリル系単量体の混合物との2液に分け、接着する際に2液を混合して硬化させる2液型のアクリル系接着剤とすることが、施工が容易な点で好ましい。さらに、コンクリート系構造物や金属板等の被着体から空気中へはみ出した部分の硬化が良好な点で、パラフィンやワックスを使用してもよい。
【0027】
本発明の接着剤の接着方法としては、例えば、被着体であるコンクリート系構造物のコンクリート表面やアンカー頭頂部の平板又は金属板の一方の面又は両方の面に接着剤を塗布した後、被着体どうしを接着させる方法が挙げられる。又、2液型のアクリル系接着剤の場合には、一方の被着体(例えばコンクリート表面やアンカー頭頂部の平板)に重合開始剤を含有するアクリル系単量体の混合物を塗布し、もう一方の被着体(例えば金属板)に分解促進剤を含有するアクリル系単量体の混合物を塗布した後に、被着体どうしを接着させてもよい。
【0028】
本発明の補強方法では、コンクリート系構造物に接着する金属板の周囲を、なるべくシーリング材で塞ぐことが好ましい。シーリング材によるシールにより接着剤の耐久性が向上する。
【0029】
本発明の金属板の厚みには特に制限はなく、補強後に必要な性能に応じて任意に選ぶことができる。
本発明の補強方法により、短時間で容易にコンクリート系構造物の補強が行うことができる。このため、本発明のコンクリート系構造物の補強方法は、特に鉄道や道路の橋脚やトンネル、並びに、建築物の柱、梁及び壁等のコンクリート系構造物を耐震補強する場合に好適である。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を更に以下の実施形態により説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
実施例1
アンカー1を図1に示す。アンカー1は直径8mm のSR235 の丸鋼のボルト2を使用し、このボルトの頭頂部に、40mm×40mm角で厚さ2.3mm のSS400 の平板3を溶接した。アンカー長さを40mmとした。
コンクリート試験体4を図2に示す。コンクリート試験体4の配筋図を図3に示す。コンクリート試験体4は長さ1280mm×幅160mm ×高さ220mm の単純梁とした。試験体の配筋はSD295Aの異形鉄筋5を2本、同じく異形鉄筋6を2本及びあばら筋7を5本とした。
アンカー補強したコンクリート試験体を図4に示す。アンカー補強は以下のように行った。まず、コンクリート試験体4に、直径10mm×深さ45mmのアンカー用の穴(図示していない)をドリルで穿孔した。その後、アンカー1を図4に示すように、コンクリート試験体4の正面側に16本、背面側に16本の計32本を挿入し、アクリル系接着剤を穴に注入してアンカー1をコンクリート試験体4に固着させた。
アンカー固着後、図5に示すようにコンクリート試験体4のアンカー1の平板に金属板8を接着させた。アンカー1の平板にアクリル系接着剤を塗布した後、防錆油で表面処理したSUS304の鋼板の金属板8(長さ200mm ×幅420mm ×厚さ2mm )をアンカー1の平板に対して図5に示すように、コンクリート試験体4の正面側に2枚、背面側に2枚の計4枚を接着し、コンクリート試験体4を補強した。
このように補強したコンクリート試験体4の3点曲げ試験を行い、最大荷重を求めた。結果を表1に示す。
(使用材料)
アクリル系接着剤:市販の2液型の常温硬化型アクリル系接着剤を現場混合したもの。
(測定方法)
3点曲げ試験:コンクリート試験体4について測定できるように、JIS A 1106に準じた曲げ試験測定装置により測定した。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2
直径10mm×深さ65mmのアンカー用の穴をドリルで穿孔し、アンカー長を60mmとしたこと以外は、実施例1と同様に補強した。結果を表1に示す。
【0034】
実施例3
アンカーの本数を図6に示すように、コンクリート試験体4の正面側に32本、背面側に32本の計64本を挿入したこと以外は、実施例1と同様に補強した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例4
金属板の表面にもアクリル系接着剤を塗布し、アンカーの平板とともにコンクリート試験体のコンクリート表面と、金属板とをも接着剤により接着させたこと以外は、実施例1と同様に補強した。結果を表1に示す。
【0036】
実施例5
アンカーの平板に金属板を接着させる際に、アクリル系接着剤の代わりにエポキシ系接着剤を使用したこと以外は、実施例1と同様に補強した。結果を表1に示す。
(使用材料)
エポキシ系接着剤:市販品の常温硬化型のエポキシ系接着剤
【0037】
比較例1
全く補強しないコンクリート試験体(図2に該当)について実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
アンカー補強をせず、金属板の表面にアクリル系接着剤を塗布し、コンクリート試験体の表面と金属板を接着させたこと以外は、実施例1と同様に補強した。結果を表1に示す。
【0039】
比較例3
金属板を使用せず、アンカー補強のみを行ったコンクリート試験体(図4に該当)について実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態を示すものである。コンクリート系構造物9(壁つきの柱)のコンクリート表面に第1の実施形態と同様にボルトの頭頂部に平板を溶接したアンカー1が固着されている。第1の実施形態と同様に、アンカー1の頭頂部の平板に対して金属板8a、8bがアクリル系接着剤で接着されている。補強効果を大きくするために、アンカー1を介してできた金属板8a、8bとコンクリート表面との間の隙間に接着剤を充填させたりして、金属板8a、8bとコンクリート表面を接着剤により接着させてもよい。
【0041】
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態を示すものである。コンクリート系構造物10のコンクリート表面に、頭頂部に平板のないアンカー1aが固着されている。金属板8cに穴をあけてアンカー1aを通し、アンカーと金属板をナット11により固定している。補強効果を大きくするために、金属板8cとコンクリート表面を接着剤により接着させてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の補強方法により、作業者により補強効果にバラツキがないために再現性が大きく、短時間で容易にコンクリート系補強構造物が得られる。このコンクリート系補強構造物は補強効果が大きく、複雑な形状のコンクリート系構造物も補強できるために、コンクリート系構造物の耐震補強等に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンカーの正面図と側面図である。
【図2】コンクリート試験体(梁)の正面図である。
【図3】コンクリート試験体(梁)の配筋を示した正面図と側面図である。
【図4】アンカー補強したコンクリート構造物(梁)の図である。
【図5】アンカー補強した上に金属板を接着させたコンクリート構造物(梁)の図である。
【図6】アンカーの本数を変えてアンカー補強したコンクリート構造物(梁)の図である。
【図7】補強した別のコンクリート系構造物(壁つき柱)の断面図である。
【図8】補強した別のコンクリート構造物(壁)の断面図である。
【符号の説明】
1、1a アンカー
2 ボルト
3 平板
4 コンクリート試験体
5、6 異形鉄筋
7 あばら筋
8、8a、8b、8c 金属板
9、10 コンクリート系構造物
11 ナット
Claims (5)
- コンクリート系構造物のコンクリート表面に、頭頂部に平板を有するアンカーを設け、更に金属板を前記平板を介してアンカー同士に接着するように設けることを特徴とするコンクリート系構造物の補強方法。
- 金属板とアンカーの平板との接着に、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤を使用することを特徴とする請求項1記載のコンクリート系構造物の補強方法。
- 金属板とコンクリート表面とを接着することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンクリート系構造物の補強方法。
- 金属板とコンクリート表面との接着に、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤を使用することを特徴とする請求項3記載のコンクリート系構造物の補強方法。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリート系構造物の補強方法で得られることを特徴とするコンクリート系補強構造物。
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