JP3794448B2 - ベンゾキノリジジン誘導体を含有するカルボン酸のルテニウム錯体化学発光検出用試薬 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中のカルボン酸を、ルテニウム錯体化学発光を利用してクロマトグラフィーにより検出するための試薬に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
試料中のカルボン酸を検出する方法としては、例えば、試料をクロマトグラフィーにより分離し、分光分析学的にカルボン酸を検出する方法がある。そのような検出法は、体液中の薬物及びその代謝産物等を定量し、投与した薬物の体内動態を評価する等の目的に有用であるが、例えば血中濃度の低い薬物濃度を正確に測定するためには、検出法が高感度でありかつ簡便であることが重要である。様々な分析法の内、化学発光を利用する検出方法は、化学反応による分子の励起を利用することから選択性が高く、高感度であるばかりか、励起光源等の設備が不要で操作性が良好であり、簡便に行えるという優れた利点を有している。既に、様々な発光試薬が知られているが、ルミノールやルテニウム錯体等は、自身が反応(主として酸化還元反応)して励起状態になり発光する物質である。例えば、ルテニウム錯体は、図1に示すように、アミン等の存在下でエネルギーレベルの高い励起状態の生成物となり、該励起生成物が光を放出して元のエネルギーの低い安定な状態(基底状態)となる。ルテニウム錯体には、ルテニウムが結合する発光性化合物の種類によって種々の錯体化合物が知られているが、2価トリス(2,2’−ビスピリジルルテニウム)[Ru(bpy)3 2+]の塩が最も発光効率が高いために広く用いられている。これらルテニウム錯体の発光は、特に3級アミンに選択性が高く、主として医薬の定量に適すると考えられる。
【0003】
図1は、ルテニウム錯体の発光機構の概略を示す図であるが、該図1から明らかなように、2価のルテニウム錯体の触媒又は電極上での酸化によって生成した3価ルテニウム錯体は、3級アミン等の電子供与基を有する化合物を酸化し、自身は励起されて2価のルテニウム錯体となり、基底状態の2価ルテニウム錯体に戻るときに発光する。3価のルテニウム錯体は溶液中で極めて不安定であるために、2価ルテニウム錯体を酸化して検出に用いればよい。
薬物の体内動態の評価等の目的で体液中の薬物又はその代謝産物の濃度を測定するためには、上記ルテニウム錯体を利用する化学発光を、クロマトグラフィー、特にHPLC(高速液体クロマトグラフィー)による分離手段と組み合わせればよい。本明細書においては、クロマトグラフィーによる検出を単にクロマト検出ともいう。ルテニウム錯体を用いるクロマト検出装置の例を図2に示す。この装置によって目的物質を検出するには、2価ルテニウム錯体を含有する試薬をポンプで電解反応セルに通して3価ルテニウム錯体とする。一方、3価ルテニウム錯体と反応しうる3級アミンを含有する体液等の試料をHPLCで分離し、上記の3価ルテニウム錯体と接触させ、該錯体と試料中の3級アミンとの反応生成物である励起状態の2価ルテニウム錯体に起因する発光強度を化学発光検出器により測定する。
【0004】
上記のごとく、ルテニウム錯体とHPLCとを組み合わせることにより、従来の方法では十分に検出できなかった薬物でも高感度かつ選択的に検出でき、体内動態評価の効率を飛躍的に高めることができると期待されるが、検出対象の薬物が3価ルテニウム錯体とは反応しない化合物である場合には、化学発光検出を行う前にまず該薬物を3級アミン誘導体に誘導化しておく必要がある。
そのようなルテニウム錯体化学発光用の誘導化試薬としては、例えば特開平9−318545号に、3級アミンを含有するカルボン酸のクロマト検出用誘導化試薬が記載されている。しかし、該3級アミンのうち環状型タイプとして例示されているのは、ピロリジン、ピペリジン等の脂肪族単環のみであり、本発明で用いるベンゾキノリジジン誘導体については何ら具体的には記載されていない。またそれらの脂肪族単環系の3級アミンでは、誘導化試薬の検出至適pHが中性〜アルカリ性側である。よって、測定試料を酸性系移動相を用いてカラムクロマトで分離した場合には、該分離液を一旦、アルカリ性側にpH調節しなければ高感度の検出ができず、検出系として効率的ではない。また測定限界も十分には満足のいくレベルには達していない。従って、さらに優れたカルボン酸検出用の誘導化試薬の開発が強く求められていた。
なお一般的に、ベンゾキノリジジン誘導体は、アルカロイド化合物の合成中間体等としては公知であるものの、化学発光検出用の誘導化試薬としての用途は知られていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ベンゾキノリジジン誘導体が、ルテニウム錯体化学発光によるカルボン酸のクロマト検出用試薬として有用であることを見出し、以下に示す本発明を完成した。
(1)カルボン酸と縮合可能な基及び3級アミン型構造を有するベンゾキノリジジン誘導体を含有することを特徴とする、ルテニウム錯体化学発光によるカルボン酸のクロマト検出用試薬。
(2)該ベンゾキノリジジン誘導体が、式:
【化3】
(式中、XはA、B又はCのいずれかで示される環上の炭素原子に結合している“カルボン酸と縮合可能な基”を示し、又該環はそれぞれさらに置換されていてもよい。)
で示される化合物である、上記(1)の試薬。
(3)XがA環上に存在する、上記(2)の試薬。
(4)C環が低級アルコキシによって置換されている、上記(2)又は(3)の試薬。
(5)該ベンゾキノリジジン誘導体が、式:
【化4】
(式中、R1及びR2は独立して水素もしくは低級アルコキシ、又はR1及びR2は一緒になって低級アルキレンジオキシを形成していてもよい;R3、R4及びR5は、いずれか1つが“カルボン酸と縮合可能な基”であり、残りの2つは独立して水素又は低級アルキルを示す。)
で示される化合物である、上記(1)の試薬。
(6)R1及びR2が共にメトキシまたは一緒になってメチレンジオキシを形成し;R3、R4及びR5のうち2つが水素である、上記(5)の試薬。
(7)該“カルボン酸と縮合可能な基”が、低級アルキレンが介在していてもよいアミノ基またはヒドロキシ基である、上記(1)〜(6)のいずれかの試薬。(8)(1)R1、R2、R3及びR5が共に水素;R4がヒドロキシ又はアミノであるか、又は(2)R1及びR2が共にメトキシ;R3が水素;R4がアミノ;R5がブチルである、上記(5)の試薬。
(9)(1)R1、R2、R3及びR5が共に水素;R4がヒドロキシ又はアミノであるか、又は(2)R1及びR2が共にメトキシ;R3が水素;R4がアミノ;R5がブチルである、上記(5)の式(II)で示される化合物。
(10)上記(1)〜(8)のいずれかの試薬を用いることを特徴とする、カルボン酸の検出方法。
【0006】
本発明の「ベンゾキノリジジン誘導体」は、試料中のカルボン酸と縮合反応して安定な縮合体(例:アミド、エステル、チオエステル等)を形成し、かつ該縮合体がルテニウム錯体との反応を経由して化学発光するものである限りにおいて種々のベンゾキノリジジン誘導体を意味する。構造的には、ベンゼン環と縮合したキノリジジン骨格を有する種々の誘導体を意味し、少なくとも、カルボン酸との縮合反応形成のための「カルボン酸と縮合可能な基」を有し、かつルテニウム錯体化学発光に必要な“≡N”で示される「3級アミン型構造」を有する。該ベンゾキノリジジン誘導体の代表例としては、前記化合物(I)であり、好ましくは化合物(II)である。
【0007】
本明細書において、「低級アルキル」とは、直鎖または分枝状のC1〜C6アルキルを意味し、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等が例示される。
「低級アルコキシ」とは、直鎖または分枝状のC1〜C6アルコキシを意味し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ等が例示される。
「カルボン酸と縮合可能な基」とは、例えば、ヒドロキシ、アミノ、チオール等の官能基または、それらの官能基を有しかつ同様の縮合反応が可能な有機残基を意味する。好ましくは、ヒドロキシ、アミノまたはそれらに低級アルキレン等が介在して形成される、ヒドロキシ低級アルキル(ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル等)、アミノ低級アルキル(アミノメチル、アミノエチル等)等を意味する。これらの基は、ベンゾキノリジジン誘導体上において、上記3級アミン部分以外の任意の位置に存在し得る。
【0008】
化合物(I)において、Xは上記「カルボン酸と縮合可能な基」を示し、A環、B環、C環上のいずれの位置に存在していてもよいが、好ましくはA環上に存在する。さらに好ましくは、A環上でN原子に対して、メタ又はパラ位に存在する。該A環、B環またはC環は、化合物(I)が効率よくカルボン酸と縮合し、かつ該縮合体が本発明の検出法によって感度よく検出され得る限りにおいて、それぞれさらに“X”以外の種々の置換基を1個以上有してもよい。該置換基としては、例えば低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、低級アルキレン、低級アルキレンジオキシ、低級アルケニレン等が例示され、例えば以下のR1〜R5で示される基である。
化合物(II)において、R1及びR2として好ましくは、低級アルコキシ、特にメトキシ、エトキシ等または一緒になって低級アルキレンジオキシ、特にメチレンジオキシである。R3、R4およびR5のうちいずれか1つは、上記Xで示される「カルボン酸と縮合可能な基」を表す。残りの2つは水素または低級アルキルであるが、好ましくは該縮合反応への立体的阻害が比較的小さいと考えられる水素、メチル、エチル、プロピル等である。
【0009】
本発明はさらに、本発明試薬を用いて、試料中のカルボン酸をルテニウム錯体化学発光を利用してクロマト検出する方法を提供する。本発明方法に用いる誘導化試薬の基質である前記ベンゾキノリジジン誘導体としては、公知化合物であるかまたは市販の原料等を用いて有機合成化学の分野で周知の方法により合成され得るものを使用できる。本発明において、縮合反応後の過剰試薬はHPLCで容易に検出目的物である縮合体と分離できる。クロマト検出は、例えば図2に示す検出システムに準じて発光強度を測定することにより行うことができる。なお本発明方法において、本発明試薬の検出至適pHは酸性側に存在する。よって、酸性系移動相を用いてHPLC分離を行ったとしても、pH調整を行うことなくそのまま検出できるので、検出系が簡略化できる利点がある。さらに、水酸基イオン等に起因する測定ノイズの影響も回避できる。
【0010】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例 1(1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール(1)の製造)
1,2,3,4,6,7-ヘキサヒドロベンゾ[a]キノリジン-2,4-ジオン 1.86g を酢酸エチル・メタノール(2:3) 25mL に溶解し、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム 654mg を加えた後、室温下 2 時間撹拌した。反応溶媒を減圧留去後、水 100mLを加え、クロロホルム 200mL で 2 回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して 2-ヒドロキシ-1,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロピリド[2,1-a]イソキノリン-4-オンを淡黄色粉末として得、これをエーテルから再結晶して無色結晶を得た。該結晶 1.40g をテトラヒドロフラン 25mL に溶解し、氷冷下水素化リチウムアルミニウム 978mg を加えた後、100℃で 2 時間還流した。反応液を冷却後、メタノール及び水を加えて試薬を分解後、沈澱をろ過し、ろ液を減圧下留去した。残渣に10% 水酸化ナトリウム溶液 100mL を加えた後、クロロホルム 200mL で 2 回抽出した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して標記化合物 (1) を無色結晶として得た。
【0011】
実施例2(1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルアミン(2)の製造)
実施例1で得られた化合物 (1) 500mg をトルエン 36mL に溶解し、0℃冷却下チオニルクロライド 0.50mL を滴下後、80℃で 1.5 時間加熱した。反応液を冷却後、水を加えて試薬を分解した後、10% 水酸化ナトリウム溶液 50mL を加え、クロロホルム 100mL で 2 回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、 2-クロロ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a] イソキノリンを褐色油状物として得た。該化合物 495mg をジメチルホルムアミド 10mL に溶解し、アジ化ナトリウム 427mg を加えた後、100℃で 7 時間加熱した。 反応溶媒を減圧留去後、10% 水酸化ナトリウム溶液 50mL を加え、クロロホルム 100mL で 3 回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して 2-アジド-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリンを褐色油状物として得た。本化合物 99mg をエタノール 3mL に溶解後、5% パラジウム炭素30mg を加えて室温下 3.5 日間接触還元を行った。反応液をろ過した後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、標記化合物 (2) を白色粉末として得た。
【0012】
実施例3(3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イルアミンの製造)
テトラベナジン 500mg をメタノール 30mL に溶解後、酢酸アンモニウム 1.22g 及び水素化シアノホウ素ナトリウム 73mg を加え、室温下 22 時間撹拌した。
反応溶媒を減圧留去後、10% 水酸化ナトリウム溶液 100mL を加え、クロロホルム 300mL で 2 回抽出した。 有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、淡黄色油状物を得た。生成する 2 種の化合物 (TLC: クロロホルム・メタノール(10:1) , Rf=0.28 及び 0.50) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びアルミナカラムクロマトグラフィーに付して分離し、TLC上のRf=0.50に相当する標記化合物 (3) を淡黄色粉末として得た。
【0013】
上記実施例化合物の構造、物性を以下に示す。
【化5】
【0014】
【表1】
【0015】
試験例 1(本発明化合物の発光強度)
本発明化合物 (1)〜(3) の各々について 、100pmol 含む 10% メタノール溶液 5μL を、図2の分離カラムを取り除いた分析系であるフローインジェクション分析に付して、その化学発光強度を測定した。
(測定条件)
島津 CLD-10A 化学発光検出器(島津製作所製)に光電子増倍管 R374HA(浜松ホトニクス社製)を装着して使用。
ガードセル 5020(ESA 社製)
NPGS-2501 ポテンショガルバノスタット(日厚計測社製)
DGU-10B ヘリウムパージ型デガッサー(島津製作所製)
DGU-3A 膜型デガッサー(同前)
移動相:0.5mol/L Britton-Robinson 緩衝液(pH1.5〜9.0)(流速:1.0mL/分)
ルテニウム錯体試薬:0.8mmol/L トリスビピリジンルテニウムクロリド・6.5 水和物を含む10mmol/L 硫酸溶液(流速:0.3mL/分)
フォトマル印加電圧:-0.5kV
酸化電流値:200μA
(結果)
第3図に各化合物の1nmol当りの化学発光強度をバックグラウドノイズで割った値を換算発光強度として示した。いずれの本発明化合物も酸性条件下で強い発光を示した。
【0016】
試験例 2(ミリスチン酸の測定)
まず、ミリスチン酸と本発明化合物 (3) との縮合体を以下の手順により合成した。ミリスチン酸 1.7mg をアセトニトリル 0.3mL に溶解後、2-ブロモ-1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート 3.2mg,9-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-2-オン 2.3mg 及び本発明化合物(3)1.9mg を加え、室温下 2.5 時間撹拌後、反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し縮合体としてアミドを得た。次に、該アミド 100pmol を含むメタノール溶液 5μL を、 フローインジェクション分析に付して、その化学発光強度を試験例 1と同条件下で測定した.
(結果)
第4図に本発明化合物(3)とミリスチン酸との縮合体の 1nmol 当りの化学発光強度をバックグラウンドノイズで割った値を換算発光強度として示した。
【0017】
試験例 3(カルボン酸の検出)
脂肪酸 10 種の混合物(ラウリン酸,ミリストレン酸,ミリスチン酸,α-リノレン酸,パルミトレン酸,リノール酸,アラキドン酸,パルミチン酸,オレイン酸,ステアリン酸)をそれぞれ2,4,8,20,80,200,1000,2000pmol 及び内標準物質としてマーガリン酸 200pmol を含有するアセトニトリル溶液、各 50μL を 10μL 遠沈管にとり、これに 2-ブロモ-1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート(5mmol/L)、9-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-2-オン(1mmol/L)および本発明化合物 (3)(1mmol/L)の各アセトニトリル溶液を 50μLずつ加えて混和した後、室温下で 45 分放置させることにより、各カルボン酸を化合物(3)と縮合させた。この反応液に 80% アセトニトリル 800μL を加えて反応を停止後、その 10μL をフローインジェクション分析 に付して、化学発光強度を以下の条件で測定した。
(測定条件)
測定装置:試験例 1 に同じ.
カラム:Inertsil C8(4.6 x 150 mm:ジーエルサイエンス社製)
移動相:0.05%トリフルオロ酢酸を含む52%アセトニトリル溶液(流速:1.0mL/分)
ルテニウム錯体試薬:0.8mmol/L トリスビピリジンルテニウムクロリド・6.5 水和物を含む10mmol/L 硫酸溶液(流速:0.3mL/分)
フォトマル印加電圧:-0.7kV
酸化電流値:試験例 1 に同じ.
(結果)
混合物中のミリスチン酸濃度と内標準物質に対するクロマトグラムのピーク面積比との関係を第5図に示し、各脂肪酸のクロマトグラムを第6図に示した。
これらの結果から、本発明方法により、特定のカルボン酸を感度よく定量的に検出できることが分かる。
【0018】
試験例 4(血清中のカルボン酸の検出)
ヒト血清 5μL に、 0.5mol/L りん酸緩衝液(pH6.5)200μL,4μmol/L マーガリン酸のアセトニトリル溶液 50μL 及び n-ヘキサン / クロロホルム(1:1)2mL を加えて分液し、有機層に血清中のカルボン酸を抽出した。有機溶媒を留去後、残査をアセトニトリル 50μL に溶解し,これに 2-ブロモ-1-エチルピリジニウムテトラフルオロボレート(5mmol/L),9-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-2-オン(1mmol/L)および本発明化合物 (3)(1mmol/L)の各アセトニトリル溶液を 50μLずつ添加し、室温下 45 分放置後、80% アセトニトリル 800μL を添加して反応を停止した。次にその反応液 10μL を HPLC に付して、その化学発光強度を試験例 3と同条件下で測定した。
(結果)
以上の試験より得た脂肪酸のクロマトグラムを第7図に示した。本発明方法により、血清中の各カルボン酸を感度よく検出できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【第1図】2価トリス(2,2’−ビスピリジルルテニウム)[Ru(bpy)3 2+]の発光反応機構の概略を示す模式図。
【第2図】フローインジェクション分析に用いた装置の概略を示す配置図。
【第3図】 pH 変化に伴う本発明化合物 (1)〜(3) の発光強度の変化を示すグラフであり、縦軸は換算発光強度(ピーク面積値 (x 107) / nmol / nA)を表わし、横軸は pH を表わす。
【第4図】pH 変化に伴う、ミリスチン酸と発明化合物 (3) との縮合体の発光強度の変化を示すグラフであり、縦軸は換算発光強度(ピーク面積値 (x 106) / nmol / nA)を表わし、横軸は pH を表わす。
【第5図】ミリスチン酸濃度と内標準物質に対するクロマトグラムのピーク面積比の関係を示すグラフであり、縦軸はピーク面積比を表わし、横軸はミリスチン酸濃度(fmol / 10μL)を表わす。
【第6図】カルボン酸混合物を本発明のカラムクロマト法で分析した結果を示すグラフであり、横軸は保持時間(分)を表わし,図中の数字は以下に示す脂肪酸のピーク(各 2pmol)に相当する。(1;ラウリン酸,2;ミリストレン酸,3;ミリスチン酸,4;α-リノレン酸,5;パルミトレン酸,6;リノール酸,7;アラキドン酸,8;パルミチン酸,9;オレイン酸,10;マーガリン酸,11;ステアリン酸)
【第7図】血清中の各種カルボン酸を本発明のカラムクロマト法で分析した結果を示すグラフであり、横軸は保持時間(分)を表わし、図中の数字は第 6 図での脂肪酸のピーク番号に相当する。
Claims (8)
- 低級アルキレンが介在していてもよいアミノ基またはヒドロキシ基及び3級アミン型構造を有するベンゾキノリジジン誘導体を含有することを特徴とする、ルテニウム錯体化学発光によるカルボン酸のクロマト検出用試薬。
- XがA環上に存在する、請求項2記載の試薬。
- C環が低級アルコキシによって置換されている、請求項2又は3記載の試薬。
- R1及びR2が共にメトキシまたは一緒になってメチレンジオキシを形成し;R3、R4及びR5のうち2つが水素である、請求項5記載の試薬。
- (1)R1、R2、R3及びR5が共に水素;R4がヒドロキシ又はアミノであるか、又は(2)R1及びR2が共にメトキシ;R3が水素;R4がアミノ;R5がブチルである、請求項5記載の試薬。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の試薬を用いることを特徴とする、カルボン酸の検出方法。
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1998
- 1998-02-16 JP JP03252798A patent/JP3794448B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108912118A (zh) * | 2018-07-12 | 2018-11-30 | 新乡学院 | 一种四氢异喹啉并三嗪骨架化合物及其制备方法 |
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Publication number | Publication date |
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JPH11230910A (ja) | 1999-08-27 |
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