JP3793611B2 - 部分親水性シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質シートにパターン状に親水性部分と疎水性部分とが設けられた部分親水性シートの製造方法に関し、更に詳しくは、例えば、所謂こんにゃく版などに替わる簡易タイプの印刷版に好適に使用できる部分親水性シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不織布、紙などの多孔質シートの表面に、例えば平版印刷などで油性インキを用いて絵柄などを印刷し、簡易タイプの札入れや書類入れなど各種ケース類などを製造することは行われていた。
このことは、目的は異なるが多孔質シートに疎水性のインキをパターン状に印刷するものであり、画線部は疎水性化され、非画線部は親水性を有している。従って、不織布や紙などの多孔質シートに親水性部分と疎水性部分とをパターン状に設ける手段として印刷方式を利用することは効果的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、紙や不織布などの多孔質シートに、疎水性のインキを用いて印刷方式で種々のパターンや絵柄などを印刷した場合、疎水性のインキは被印刷シートの表面の極一部の層に止まり、疎水性を付与できる層も表面の極一部の層に限られるものであった。従って、このような方法で親水性部分と疎水性部分とを形成した多孔質シートは、前記したようなこんにゃく版などに代わる簡易タイプの印版には使用することができなかった。
【0004】
即ち、このような多孔質シートを簡易タイプの版材として用いた場合、仮に、パターン状に疎水性部分を形成した側の面から水性インキなどを塗布して供給すると、親水性部分から浸透したインキは、直ぐに多孔質シートの疎水性化されていない横方向(水平方向)の部分にも広がり、パターンを維持することができず、また、疎水性部分を設けた面の反対側の面からインキを供給しても、全面が親水性であるためインキが全面に付着しパターンの位置が判別できなくなるなど使用適性が不良となる。
【0006】
従って本発明の目的とするところは、不織布、紙などの多孔質シートにパターン状に親水性部分と疎水性部分とが設けられた部分親水性シートであって、その親水性部分と疎水性部分のパターンが、両者とも多孔質シートの厚さ方向の全層に渡って同一パターンで形成されていて、簡易タイプの版材に好適に使用できる部分親水性シートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は種々検討した結果、多孔質基材シートに疎水性樹脂を主成分とする塗布液をシルクスクリーン印刷方式で所望のパターン状に塗布した後、塗布面の反対側より吸引及び塗布面側から送風して塗布液を十分に浸透させた後に乾燥させれば、疎水性樹脂を多孔質基材シートの厚さ方向の全層に渡って浸透させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、親水性多孔質基材単層シートに疎水性樹脂を主成分とする塗布液をシルクスクリーン印刷方式で一回または複数回パターン状に塗布し、塗布液が乾燥する前に、塗布面側からの送風と、塗布面の反対側の面からの吸引とを行って塗布液を浸透させた後、乾燥させることにより、親水性多孔質基材単層シートに親水性部分と疎水性部分とを厚さ方向の全層に渡ってパターン状に設けることを特徴とする当該親水性部分に水溶性染料を浸透して使用する転写印刷版用の部分親水性シートの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の部分親水性シートの製造方法の実施の形態について説明する。本発明の部分親水性シートの製造方法に用いる多孔質基材シートとしては、不織布、紙などを用いることができる。そして、その材質および厚さなどについては用途に応じて適宜選定することができる。
【0010】
不織布を用いる場合、その材質は特に限定はされないが、親水性、透水性に優れている点からレーヨン、綿、ポリビニルアルコール系繊維、ポリアクリル酸ソーダ系繊維、ガラス繊維など親水性繊維を用いる。これらの繊維を単独で用いた不織布でもよいが、他の非親水性の繊維と混合して用いた不織布でもよい。
【0011】
また、紙を用いる場合は、一般の紙のようにサイズ処理を施したものや、コート層を設けたものは必要でなく、むしろフィルターペーパーなどのように親水性、透水性に優れた紙が好ましい。
以上のような多孔質基材シートは、それ自体が親水性であり、また透水性を有するため、これにパターン状に疎水性部分を形成することにより、任意の形状に親水性部分と疎水性部分とを有する部分親水性シートを作製することができる。
【0012】
次に、前記多孔質基材シートにパターン状に疎水性部分を設ける方法は、塗布液を多くできるシルクスクリーン印刷方式である。シルクスクリーン印刷方式を用いた場合、多孔質基材シートの厚さ、或いは目付け量、秤量などのよっては、一回の塗布では塗布量が不足することもあり、そのような場合には複数回重ね刷りすることにより、必要な塗布量をパターン状に塗布することができる。
【0013】
多孔質基材シートに疎水性部分を設けるために用いる疎水性樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、その他ゴム変性物などが挙げられるが、特に水溶性の樹脂とか、吸湿性の高い樹脂でない限り、従来、インキのバインダーに使用されている公知の樹脂はいずれも使用することができる。
これらの樹脂を適当な有機溶剤で溶解し、必要に応じて無機質、有機質の充填剤や着色剤、フッ素系樹脂やシリコーンなどの撥水剤、界面活性剤、粘度調整剤などの添加剤を加えて、適用する塗布主題に適した塗布液を調整して使用すればよく、塗布手段としてシルクスクリーン印刷方式を利用する場合には、これに適した流動性、粘度、乾燥速度などに調整して塗布液(インキ)とすることができる。
【0014】
本発明の部分親水性シートの製造方法では、このような疎水性樹脂を主成分とする塗布液を多孔質基材シートにシルクスクリーン印刷方式により一回または複数回パターン状に塗布し、塗布液が乾燥する前に、塗布面側からの送風と、塗布面の反対側の面からの吸引との両方を行う方法により、塗布液を多孔質基材シートに浸透させ、その後、塗布液を乾燥させて固着し、パターン状の親水性部分と疎水性部分とを設けることを特徴としており、このような方法を採ることにより、多孔質基材シートの表面層だけでなく、厚さ方向の全層にパターン状の親水性部分と疎水性部分とが設けられた部分親水性シートを製造することができる。
【0017】
塗布面側からの送風と塗布面の反対側の面からの吸引との両方を行う方法は、既製の装置である圧空・真空成形機の成形用チャンバーをそのまま利用することもできる。この場合、成形用の雌型に替えて金網状の受け台をチャンバー内に取り付け、その上に塗布済の多孔質基材シートを配置し、チャンバーを閉じた後、塗布面の上から圧空による加圧を行うと共に、下側から真空による吸引を行うことにより、塗布液を浸透させることができる。
【0018】
通常、圧空・真空成形機ではプラスチックシートの加熱装置と成形装置とがライン化されているが、本発明の製造方法では加熱は必要ではないため、圧空・真空の装置のみを別途作製し、これをシルクスクリーン印刷機の後に連結し、必要な場合には更にその後に乾燥装置を連結して、パターン状の塗布、およびその浸透、乾燥を連続的に行うこともできる。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
参考例
多孔質基材シートとして、特殊アクリル繊維とレーヨンの混合系の繊維からなる目付け量48.8g/m2 の不織布〔コルドンCRO-50 旭化成工業(株)製〕を用い、その一方の面に、シルクスクリーン印刷方式により、非画線部として線幅8mm、線間隔12mmの渦巻き模様(画線部は渦巻き模様以外の部分)を設けた版(線数80mesh、レジストの厚さ90μm)を用い、また、疎水性インキとしてセリコール13メジウム(アクリル系樹脂)70重量部と、セリコールG−002溶剤30重量部〔いずれも帝国インキ製造(株)製〕からなるインキ(着色剤なし)を用いて塗布回数1回の印刷を行った。
【0022】
また、印刷した塗布液を不織布に浸透させるための装置として、圧空・真空成形機の成形用チャンバーを利用することとし、その成形用雌型に替えて金網状の受け台をチャンバー内に取り付けた装置を用意した。
そして、この装置の受け台の上に、前記印刷を施した直後の不織布を、その下面(印刷面の反対側の面)に余分のインキを吸着させるための別の不織布(目付け量25g/m2)を重ねて印刷面を上にして配置し、次いでチャンバーを閉じた後、印刷面の上から圧空用のエアーを送って加圧し、下側は真空を行わず排気のみとして、インキを不織布に浸透させた。
次に、これをチャンバーから取り出して、印刷を施した不織布のみを熱風乾燥機に入れ、80℃、30分間の条件でインキの乾燥を行って実施例2の部分親水性シートを作製した。
【0023】
実施例1
前記参考例の部分親水性シートの製造方法において、圧空・真空用のチャンバー内で、印刷面の上からのエアーによる加圧を行うと同時に、下側からの真空による吸引も行って、インキを不織布に浸透させたほかは、総て参考例と同様に加工して部分親水性シートを作製した。
【0024】
(評価)以上のように作製した実施例1の部分親水性シートを試料として、水溶性染料を溶解した着色水を各試料の親水性部分である線幅8mmの渦巻き模様の一端に滴下したところ、着色水は渦巻きパターンに沿って浸透、展開し、パターンから外れることなくもう一方の端に到達した。そして、着色された渦巻きパターンは、シートの裏面にも同じパターンで形成されており、疎水性部分がシートの厚さ方向の全層に渡って形成されていることが確認できた。また、親水性部分を着色水で着色した各試料を別の白紙の上に置き、各試料の上に更にプラスチックフィルムを被せた後、その上から軽く平圧を加えたところ、白紙上には各試料の着色パターンが忠実に転写された。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば多孔質基材シートの表面層だけでなく、厚さ方向の全層に渡って任意のパターン状に疎水性樹脂を浸透させて疎水性化することができるので、パターン状の塗布部の全層が疎水性を有し、非塗布部の全層が親水性を有するという特徴のある性能の部分親水性シートを生産性よく製造することができる。従って、このような性能が望まれる簡易タイプの印刷用の版材に好適に使用できる部分親水性シートを容易に提供できる効果を奏する。
Claims (1)
- 親水性多孔質基材単層シートに疎水性樹脂を主成分とする塗布液をシルクスクリーン印刷方式で一回または複数回パターン状に塗布し、塗布液が乾燥する前に、塗布面側からの送風と、塗布面の反対側の面からの吸引とを行って塗布液を浸透させた後、乾燥させることにより、親水性多孔質基材単層シートに親水性部分と疎水性部分とを厚さ方向の全層に渡ってパターン状に設けることを特徴とする当該親水性部分に水溶性染料を浸透して使用する転写印刷版用の部分親水性シートの製造方法。
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