JP3793528B2 - 流体のサンプリングシステム - Google Patents
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Description
通常は、図1に示す様に流路1の途中にサンプリング用の容器2を配置し、その出入口に設置されたバルブ3,4を閉めた後バルブ3,4の接続継手5を外すことによって、容器2内にプロセス流体を採取する。これを別の場所にある分析室まで運び、分析器に導入して所望の成分量を計測する。
また、人によるハンドル操作のミスによる問題も発生する。
開放され大気と接触した流体が、大気中の酸素、水分等と反応して反応生成物が出来てしまう。
これにより、(1)接続部が詰まる。(2)サンプリング流体が酸化して分析結果に影響する。
2)腐食性流体の場合
大気開放部分の流体が大気中の酸素、水分等により酸化され腐食が進行する。
これにより、(1)接続部のシール機能が低下する。場合によっては、深刻な外部リークに発展する。(2)分析器へ酸化された流体が導入されることにより分析器内部の腐食が進行する。
場合によっては、センサー感度の低下をまねいてしまう。
大気開放部分のデッドスペースの毒性流体残さが、システム外に放出されることになる。
また、遮断用バルフ操作時にグランド部分から微量のリークが発生する。
これにより、(1)直接的に作業者の健康を損なう可能性がある。(2)大気放散されることにより、周囲の環境汚染の問題となる。(3)液の場合、滴下することにより地中に浸透し、地下水汚染の原因になる。
4)透過性流体の場合
通常のシステムのシールは、ゴム製Oリング、PTFE、PCTFE等のフッ素系樹脂が用いられているが、これらの高分子材料は化学成分によっては浸透し、裏側へ透過していくものが存在する。
5)端切り(初期流動流体の廃棄)
高い分析精度が要求される場合は、端切りと称する初期の流動流体を廃棄して新鮮な(成分の安定した)流体をサンプリングする必要がある。ボトル採取システムの場合には端切り専用のダミーボトルが必要となり、毒性、腐食性が強い場合などはその廃棄方法、管理方法が難しくなる。
図2に示す様な流体採取弁の手動ハンドル操作駆動機構の場合、ハンドル操作のし過ぎで大流量のプロセス液をボトル内に流入させてしまう可能性がある。
特に、グローブボックス等の内部での操作では内部が見えにくい状況に手袋を装着し、自由度の乏しい状況が加わり、操作ミスの可能性が高まる。これにより、(1)ボトル内のガスを排出するための排気系にプロセス流体を流してしまう。(2)ボトル内にプロセス流体が充満してしまい、取外し時にこぼしてしまう。
1)切り離し部分のデッドスペース極少化。(大気成分の侵入量の低減)
2)サンプリング流体と大気の接触による流体の反応、機器の損傷を極少化する。
3)流体サンプリング前の汚染要素を排除する。(分析精度への影響を無くする)
4)サンプリング容器を機器ユニットから切り離す際、切り離し部分の安全性を確保する。(無害化)
5)流体が強毒性、透過の性質を有する場合には、透過防止を行う。(外部リーク極少化)
6)流体採取後の残液処理が困難な場合、残液を廃棄しないシステムを構築する。
7)流体採取弁操作を簡便化しヒューマンエラーを防止する。
この構成では、不活性ガスパージ、洗浄液パージ、真空パージを施すことにより、カプラー切り離し部の無毒化が可能となる。
この構成では、流体採取弁のグランド部分をベローズシール手段でシールすることにより、機器の作動に伴う極微量の透過、リークを防ぐことができ、より安全なシステムとなる。また、同様の目的のため、流体採取弁をメタルダイヤフラム弁としてもよい。さらに、容器元弁をベローズ式シール手段でシールすることにより、より一層の極微量の透過、リークを防ぐことが可能となる。なお、各種接続部は、金属シール化することがより好ましい。
この構成では、システム全体をグローブボックス等の筐体内に収納し、局所排気系に接続して、局所排気された筐体内で開放作業を実施することにより、危険の回避が可能となる。
この構成では、流体採取後の残液処理が困難な場合、プロセス側に残液を押し戻す方式を実施し、通常の廃棄系から逆にガスで押出し、流体をプロセス系に戻すことで、危険流体を系外に排出しないシステム構成が可能となる。
この構成では、流体採取弁の駆動機構にメカニカルスイッチを用いて、流体採取弁操作が困難な環境下でも操作ミスを発生させないシステムが可能となる。なお、メカニカルスイッチには、押しボタンスイッチが好ましい。
この構成では、タイムディレイバルブを用いることにより、流体のオーバーフロー防止が可能となり、この自動終了機構により流体採取弁操作が困難な環境下でも操作ミスを発生させないシステムが可能となる。また、緊急遮断手段により、異常事態に備えることが可能となる。
図3〜図12の概要は、以下のとおりである。
1)カプラー接続システム(図3) …切り離し部分にデッドスペースが極少化された逆止弁内蔵型カプラーを用いる。両逆止型カプラーの利用により簡易的に大気遮断が可能となる。
2)予備パージシステム(図4) …導入、排出、バイパス弁を容器上部に直結する。上記カプラー部分のデッドスペースへ侵入した大気成分の影響を回避できる。また、端切りボトルを必要としないシステムにできる。
4)強毒性、透過性流体対応システム(図6,図7,図8) …バルブのグランド部分をベローズでシールするとともに、各種接続部を金属シール化する。機器の作動に伴う極微量の透過、リークを防ぐことができ、より安全なシステムとなる。
5)筐体収納局所排気システム(図9) …システム全体をグローブボックス等の筐体内に収納し、局所排気系に接続する。局所排気された筐体内で開放作業を実施することで危険の回避が可能となる。
6)残液押し戻しシステム(図10) …流体採取後の残液処理が困難な場合、プロセス側に残液を押し戻す方式を実施する。通常の廃棄系から逆にガスで押出し流体をプロセス系に戻すことで、危険流体を系外に排出しないシステム構成が可能となる。
1)カプラー接続システム(図3)
カプラー接続システムは、反応性、腐食性流体の場合の大気成分との接触を回避するサンプリングシステムである。システム例を図3に示す。この流体のサンプリングシステムは、入口弁11と出口弁12との間の流路13aに流体採取弁14を介して試料容器15が着脱可能に接続され、試料容器15内を真空排気装置16により排気可能となっている。流体のサンプリングシステムは、第1カプラー17と第2カプラー18とガスパージ装置19とを有している。
また、パージシステムとして、ガスパージシステム(ガスパージ装置)19とバキュームジェネレーター16aを利用した真空排気システム(真空排気装置)16とを配備している。バキュームジェネレーター16aとは、超音速ノズルを利用した真空発生器である。
第1カプラー17および第2カプラー18にて試料容器(ボトル)15を接続後、窒素ガスと真空排気の回分パージにてボトル15、接続配管13bおよび排出路13cの大気成分を排除する。回分パージとは、不活性ガスの導入と真空排気とを繰返し行う操作である。1回毎に大気成分が希釈される。大気圧のN2と1/10気圧の真空の回分パージでも1回毎に大気成分は1/10に希釈され、10回で0.1ppbとなる。その後、流体採取弁14を開いて試料容器(ボトル)15内にプロセス流体を導入する。所定量の流体採取後、第1カプラー17および第2カプラー18を切り離す。
分析室では逆側から窒素ガス圧力を負荷することにより、ボトル15を開放せずに分析器に流体を導入することができる。
反応性、腐食性が特に強い流体、あるいは分析精度が微量の大気成分(特に水分、酸素等)に影響される場合のシステム構成(図4)を説明する。この流体のサンプリングシステムは、上記のカプラー接続システムのデッドスペース部分に入り込んだ少量の大気成分をボトル15の内部に導入することなくパージアウトできる容器弁ユニットを設置したシステムである。なお、予備パージシステムは、図3に示すカプラー接続システムの構成を備えており、その構成と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
流体に毒性があり、カプラー切り離し部分の付着流体の存在が大きなリスクとなる場合の無害化システムを説明する。
この場合は、ボトリングバルブ部分のガスパージシステムの隣に洗浄液のパージシステムを併設する。なお、毒性流体対応システムは、図4に示す予備パージシステムの構成を備えており、その構成と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
その操作により、安全な状態でカプラー17,18を切り離して分析工程に入ることが出来る。
強毒性流体、透過性流体対応システムは、図5に示す毒性流体対応システムの構成を備えており、その構成と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
強毒性流体、透過性流体対応システムは、微量の漏洩でも人命に関わる様な流体(ホスゲン、青酸カリ等)の場合は、更なる配慮が必要であることから、それに対応したサンプリングシステムである。
バルブのグランド部分は、その動作時にシールが壊れ微量の漏洩が発生する。この漏洩流体を系外に漏らさない様にするためのシール機構をバルブに設ける必要がある。
このサンプリングシステムでは、流体採取弁14のグランド部分に外部への流体の漏出を防止するベローズ式シール手段34を設けている。
この様な摺動部分の(不完全な)シールを排除した機器類にてシステムを構成することにより、システム稼動により外部への透過も含めたリークの危険性が排除され、安全なサンプリングが可能となる。
切り離し部分から発生する毒性プロセス流体の蒸気成分の影響を回避する方式として、局所排気機能を有するグローブボックス、ドラフトチャンバ−等の筐体41内で機器を開放し、密閉した後に筐体41から取り出す方法もある。図9にその一例を示す。筐体収納局所排気システムは、図3または図8に示すサンプリングシステムの構成を備えている。
この方法は、筐体41に収納する部材は特別なものではないため、比較的安価に毒性流体の危険性を回避できるというメリットがある。
これまでのシステムは、不要流体は廃棄ラインに捨てる方式のシステムであったが、その処理、管理が困難な場合には、残液等の不要流体をプロセスラインに押し戻すしかない。
この操作によって、残液処理が困難な流体を系外に排出することなくサンプリングが出来る。
(1)押しボタン式駆動機構(図11)
前述の通り、グローブボックス内操作では視認性、操作の自由度の低下があり、操作ミスの可能性が高まる。この対策として操作性の向上によってヒューマンエラーを防止するシステムが図11である。このサンプリングシステムでは、流体採取弁14を開閉操作可能な非電動式のメカニカルスイッチ51を有している。このサンプリングシステムは、図8に示す強毒性流体、透過性流体対応システムの構成に用いることができる。
この要求に対応するために、流体採取弁14の駆動部14aをNormally Closed(常時閉)の空気圧作動式として、その操作空気をメカニカルスイッチ51で導入する方式を構築した。メカニカルスイッチ51には、計装用圧縮空気が供給されている。また、駆動部には開度制限機構を装備し、弁の開度を一定化している。
ここでの操作は押しボタンに限定しない。回す、引く、倒す等の操作でも同様である。
上述の機構だけでオーバーフローの危険性を回避できない場合は、人為的ではなく自動的に弁の閉止を行う必要がある。
図12は、電気系部品を用いずに自動終了機構を装備したシステム例である。
このサンプリングシステムは、サンプリング開始用メカニカルスイッチ52とタイムディレイバルブ53と緊急遮断手段(緊急停止用メカニカルスイッチ)54とを有している。メカニカルスイッチ52には、計装用圧縮空気が供給されている。タイムディレイバルブ53は、メカニカルスイッチ52の操作後、流体採取弁14を所定時間、開状態で維持した後、閉状態にする構成を有している。緊急遮断手段54は、流体採取弁14を開状態から閉状態に操作可能な構成を有している。このサンプリングシステムもまた、図8に示す強毒性流体、透過性流体対応システムの構成に用いることができる。
また、自動運転途中で異常が発生した場合には、別の緊急遮断手段54の押しボタン式バルブで操作空気を排出し、流体採取弁14を閉じることを可能にしている。
これらの装備の採択により、操作しにくい環境下でもオーバーフローすることなくプロセス流体の採取が可能となる。
12 出口弁
13a,13b,13d 流路
13c,13e,13f 排出路
14 流体採取弁
15 試料容器
16 真空排気装置
17 第1カプラー
18 第2カプラー
19 ガスパージ装置
21 導入弁
23 排出弁
24 バイパス弁
31 洗浄液パージ装置
32 ガス回収弁
33 洗浄液回収弁
Claims (8)
- 入口弁と出口弁との間の流路に流体採取弁を介して試料容器が着脱可能に接続され、前記試料容器内を真空排気装置により排気可能な流体のサンプリングシステムであって、
第1カプラーと第2カプラーとガスパージ装置と導入弁と排出弁とバイパス弁とを有し、
前記第1カプラーおよび前記第2カプラーは、2つに分離可能であって分離位置からの流体の漏出を防止する2つの逆止弁をそれぞれ有し、
前記第1カプラーは前記試料容器と前記流体採取弁との間の流路に前記試料容器を前記流体採取弁から分離可能に接続され、
前記第2カプラーは前記試料容器と前記真空排気装置との間の排出路に前記試料容器を前記真空排気装置から分離可能に接続されており、
前記ガスパージ装置は前記流体採取弁と前記第1カプラーとの間の流路に不活性ガスを導入可能に接続され、
前記導入弁は前記第1カプラーと前記試料容器との間の流路に設けられ、
前記排出弁は前記第2カプラーと前記試料容器との間の排出路に設けられ、
前記バイパス弁は前記第1カプラーと前記導入弁との間の流路と、前記第2カプラーと前記排出弁との間の排出路を接続していることを、
特徴とする流体のサンプリングシステム。 - 前記導入弁、前記排出弁および前記バイパス弁は3連弁として一体化され、グランド部分に外部への流体の漏出を防止するベローズ式シール手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の流体のサンプリングシステム。
- 洗浄液パージ装置とガス回収弁と洗浄液回収弁とを有し、
前記洗浄液パージ装置は前記流体採取弁と前記第1カプラーとの間の流路に洗浄液を導入可能に接続され、
前記ガス回収弁は前記第2カプラーと前記真空排気装置との間の排出路に接続され、
前記洗浄液回収弁は前記第2カプラーと前記ガス回収弁との間の排出路に接続されていることを、
特徴とする請求項1または2記載の流体のサンプリングシステム。 - 前記流体採取弁のグランド部分に外部への流体の漏出を防止するベローズ式シール手段を設けたことを特徴とする請求項1,2または3記載の流体のサンプリングシステム。
- 外部への排気用接続部を有し、前記試料容器を収納して気密的に密閉可能な筐体を有することを特徴とする請求項1,2,3または4記載の流体のサンプリングシステム。
- 前記第2カプラーを介して前記試料容器にガスを導入可能な残液用ガスパージ装置が設けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の流体のサンプリングシステム。
- 前記流体採取弁を開閉操作可能な非電動式のメカニカルスイッチを有することを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の流体のサンプリングシステム。
- メカニカルスイッチとタイムディレイバルブと緊急遮断手段とを有し、
前記タイムディレイバルブは前記メカニカルスイッチの操作後、前記流体採取弁を所定時間、開状態で維持した後、閉状態にする構成を有し、
前記緊急遮断手段は前記流体採取弁を開状態から閉状態に操作可能な構成を有することを、
特徴とする請求項1,2,3,4,5または6記載の流体のサンプリングシステム。
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