JP3791791B2 - 排ガス燃焼用熱源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置等から排出される排ガス中に含まれる可燃性ガスを燃焼処理させるための排ガス燃焼用熱源に関するものであり、特に可燃性ガスが水素(H2)のときに好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置や液晶製造装置などの製造装置から排出され排ガスには、危険な可燃性ガスが含まれていることが多いので、そのまま大気に放出することはできない。そこで、排ガス処理装置を使って、大気放出前に可燃性ガスを燃焼させることが行なわれている。従来、排ガス処理装置で使用される排ガス燃焼ヒータには、セラミックヒータ方式(例えば、特許文献2参照)と、金属ヒータ方式(例えば、特許文献2参照)とがある。
【0003】
図4は従来のセラミックヒータ方式による燃焼処理装置を示す。セラミックヒータ方式の構成は次の通りである。
【0004】
可燃性ガス導入管8、排気管11、及び空気取込口12が設けられた燃焼室14内に、円筒ヒータ13設けられる。円筒ヒータ13は、着火ホルダ26と内装キャップ25とから構成される。着火ホルダ26は円筒形のセラミックファイバで構成され、その内周に溝23が形成され、その溝23内に電熱線16が納められるように構成されている。内装キャップ25は、着火ホルダ26内に挿入されて、電熱線16を保護するようになっている。
【0005】
着火ホルダ26内部には、電熱線16で加熱される着火ホルダ26の温度を検知する熱電対5が埋め込まれる。熱電対5から引き出されたケーブルと、電熱線16の両端から引き出された電源ケーブル6とが温度コントローラ7に接続されて、検知温度に応じて電熱線16に加える電力を制御し、着火ホルダ26の温度を設定温度に保つことができるようになっている。
【0006】
排気管11からの吸引により空気取込口12から大気(空気)が燃焼室14内に取り込まれ、着火ホルダ26内には空気が常時流れている状態にある。そこに着火用ガス配管24から、制御された流量の水素(H2)ガスを流し、着火ホルダ26の熱エネルギーにより大気中の酸素と反応させて水素を着火させる。着火後、可燃性ガス導入管8から排気ガスを燃焼室1の着火ホルダ26の筒内に流して大気中の酸素と混合させ、着火による口火及び加熱された着火ホルダ26の熱エネルギーにより、排ガスに含まれる可燃性ガスを燃焼させ、排ガスの燃焼処理を行なう。燃焼後の排気ガスは、排気管11から排出される。
【0007】
ヒータにセラミックファイバを用いた場合は、ポーラスにすることで断熱性を維持するためにヒータ形状が大きくなる。熱電対5を設けたヒータの厚みは、電熱線16がコイル状に巻かれているので、厚みがさらに厚くなる。このことにより、燃焼処理装置の大型化につながり、大きな設置スペースが必要となり、半導体製造装置が接置されるクリーンルームのコストが増大する。また、セラミックヒータを燃焼室14内に取り付けるに当たって、その円筒形ヒータの導入口を可燃性ガス導入管8の導出口に正確に位置合せする必要があり、その取付けが面倒であった。
【0008】
図5は金属ヒータ方式を示す。基本的構成は、図4に示す円筒ヒータ方式と同じである。異なる点は、ヒータを装着する本体が、セラミックではなく金属で構成されている点である。ヒータ13は、金属製で熱を全周に伝える円筒形ないし管状のケース15と、このケース15内に配設されて電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電熱線16と、熱源の温度を検知する熱電対5と、ケース15内の空間を埋める絶縁物質17とから構成されている。
【0009】
この金属ヒータ方式では、熱伝達を良くするために金属材が使用され、高温燃焼による外周壁の劣化や高温燃焼による反応熱で、金属ケース15内の電熱線16が断線し易く、使用温度範囲が限定される。また、高温燃焼により金属ケース15の内部が温度上昇し、絶縁体の能力が低下する。
【0010】
また、図4のセラミックヒータも、図5の金属ヒータも、構造上、加熱温度を簡単に変更できないため、さまざまな燃焼条件に対応できないという問題がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平6−129627号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平7−323211号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来のセラミックファイバヒータは形状が大きく厚みも厚くなり、可燃性ガス導入管への取付けが面倒であった。また、金属ヒータ方式では、反応熱で電熱材が断線し易く、高温燃焼により絶縁体の能力が低下するという問題があった。更に、両者に共通していることであるが、構造上、加熱温度を簡単に変更できないため、さまざまな燃焼条件に対応できないという問題があった。
本発明の課題は、従来した従来技術の問題点を解消して、小型で、電熱材が断線しにくく、種々の排ガスの燃焼に対応することが可能な排ガス燃焼用熱源を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、排ガス中に含まれる可燃性ガスを燃焼室で着火・燃焼させるために、前記燃焼室内に設けられる排ガス燃焼用熱源であって、前記可燃性ガスを内部に流す筒状の着火ホルダと、前記筒状着火ホルダの外周に設けられた溝と、前記溝に設けられて前記筒状着火ホルダを加熱する電熱材と、前記電熱材を設けた筒状着火ホルダの外周に設けられ前記筒状着火ホルダを保温するキャップとを備え、前記着火ホルダ及びキャップが中空の断熱材で構成されていることを特徴とする排ガス燃焼用熱源である。
【0015】
着火ホルダ及びキャップが中空の断熱材で構成されているので、ポーラスな着火ホルダで構成するものと比べて、小型化でき、厚さが薄くても電熱材を断線しにくくすることができる。
【0016】
また、着火ホルダの外周に設ける溝の深さ、溝の数を変更することによって、燃焼温度等の条件の異なる様々な排ガスの燃焼に適用できる。さらに、着火ホルダの外周を保温キャップで覆うようにしたので、電熱材を有効に保護でき、また電熱材で加熱された着火ホルダを有効に保温できる。なお、着火ホルダ及び保温キャップは、例えば中空の焼結セラミック材で構成することが好ましい。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、前記着火ホルダ及び保温キャップに、これらを貫通して前記着火ホルダの内部に流れる可燃性ガスに外部から空気を導入する空気孔を設けた排ガス燃焼用熱源である。着火ホルダの筒内に空気を導入するので、筒内で可燃性ガスを燃焼させることができる。なお、空気孔は小さな隙間であってもよい。
【0018】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記着火ホルダに保温キャップを着脱自在に取り付けるようにした排ガス燃焼用熱源である。着火ホルダから保温キャップを取り外すことができるので、メンテナンスが容易である。特に電熱線が断線した場合は、排ガス燃焼用熱源全体を交換することなく、着火ホルダから保温キャップを取り外し、新しい電熱材を装着するだけで熱源の修理が可能になる。
【0019】
第4の発明は、第1ないし第3の発明において、前記燃焼室に排ガスを導入する可燃性ガス導入管の導出口に直接取り付けるようにした排ガス燃焼用熱源である。可燃性ガス導入管と筒状着火ホルダとの位置合せが容易になり、可燃性ガス導入管への熱源の取り付けが容易になる。
【0020】
第5の発明は、第1ないし第4の発明において、前記着火ホルダ及び保温キャップをセラミックで構成し、前記電熱材で加熱される前記着火ホルダの温度を650〜1000℃とした排ガス燃焼用熱源である。着火ホルダ温度が650〜1000℃の範囲だと、排ガス中に含まれる可燃性ガスを効率よく燃焼できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、実施の形態による排ガス燃焼用熱源を示す。これは、排ガス中に含まれる可燃性ガスを燃焼室で燃焼させるために、前記燃焼室内に設けられる排ガスガス燃焼用ヒータである。排ガス燃焼用熱源は、中空の断熱性部材、例えば中空の焼結セラミックで構成された着火ホルダ2と外装キャップ1とから構成される。
【0023】
着火ホルダ2は円筒形をして電熱材としての電熱線6を保持する。着火ホルダ2の筒内のガス流路に可燃性ガスを含む排ガスを流すようにしている。着火ホルダ2の外周壁にらせん溝3が設けられる。このらせん溝3内に着火ホルダ2を加熱する電熱材としての電熱線6が巻かれて保持される。電熱線6に電力を供給する2本の電源ケーブル6a、6bは着火ホルダ2の上部と下部とから中空の導入口側に引き出されている。着火ホルダ2の下部外周に着火ホルダ2のガス流路に流れる可燃性ガスに外部から空気を取り込む複数の空気孔4が設けられる。また、着火ホルダ2の下端は可燃性ガス導入管8の導出口(配管先端)と直接連結するように口径を合わせ、かつ着脱できるように加工してある。電熱線は、例えばカンタル線で構成される。
【0024】
外装キャップ1は、着火ホルダ2を覆ってその外周をすっぽり包み込み、着火ホルダ2を保温するとともに、らせん溝3に収容された電熱線6を保護する。外装キャップ1の下部外周には、着火ホルダ2に設けた複数の空気孔4と対応して、着火ホルダ2のガス流路に流れる可燃性ガスに外部から空気を取り込む複数の空気孔9が設けられる。
【0025】
外装キャップ1は着火ホルダ2に対して着脱自在に取り付けられる。取り付ける際、着火ホルダ2及び外装キャップ1の空気孔4、9を合わせて、外装キャップ1及び着火ホルダ2を貫通して着火ホルダ2のガス流路に空気が取り込めるようにする。
【0026】
図2は、着火ホルダ2に外装キャップ1を取り付けた要部の断面図を示す。着火ホルダ2の壁内に軸方向に沿って熱電対用の挿入孔28を設け、その挿入孔28に温度検知器としての熱電対5及び熱電対ケーブル5a、5bを挿入する。図示するように、外装キャップ1の内壁は着火ホルダ2の外壁にぴったり合わさって、らせん溝3内に納まった電熱線6を完全に覆うことによって保護している。また、着火ホルダ2及び外装キャップ1の上、下端は欠けを防止するために面取り2a、2b、1a、1bをしてある。
【0027】
図3は上述したような排ガス燃焼用熱源を組込んだ排ガス処理装置を示し、(a)は断面図、(b)は要部拡大図である。排ガス処理装置は、可燃性ガスを含む排ガスを燃焼させる燃焼室1と、燃焼室1内に設けられて、可燃性ガスを着火させるとともに燃焼させるための熱エネルギーを放出する排ガス燃焼用熱源30と、検知温度に基づいて排ガス燃焼用熱源30を制御する制御部としての温度コントローラ7とを備える。
【0028】
燃焼室1は、例えばステンレスなどの耐熱性部材で構成され、内部で可燃性ガスを燃焼させるようになっている。燃焼室1の下部から燃焼室1内に可燃性ガス導入管8が挿入されている。可燃性ガス導入管8は一端が燃焼室1内に挿入され、その他端が図示しない半導体製造装置の排気口と連結され、半導体製造装置から排出される可燃性ガスを含む排ガスを燃焼室1内に導入するようになっている。ここで、半導体製造装置から排出される可燃性ガスとして、例えば、H2ガスが挙げられる。
【0029】
燃焼室1の上部に排気管11が設けられ、可燃性ガスを燃焼した排ガスを含む燃焼室1内の雰囲気を大気中に放出するようになっている。また、可燃性ガス導入管8が挿入された燃焼室1の下部の外周に、複数の空気取込口12が設けられ、燃焼室1の外部から燃焼室1内に大気(空気)を取り込めるようになっている。
【0030】
筒状の排ガス燃焼用熱源30は、前述したように構成されて、その下部が、可燃性ガス導入管8の導出口と接続するようになっている。可燃性ガス導入管8の接続口径は例えばNW25とし、導出口に設けた段付き溝8aに筒状排ガス燃焼用熱源30の中空の導入口を嵌めることによって接続させる。嵌合部はねじ止めし、これにより着火ホルダ2、外装キャップ1を可燃性ガス導入管8に固定する。着火ホルダ2に設けた電熱線6から引き出された2本の電源ケーブル6a、6bは、燃焼室1の壁を通して燃焼室1外部に設けられた温度コントローラ7に接続される。また、熱電対5の温度検知信号を伝える熱電対ケーブル5a(5b)は、着火ホルダ2内に埋め込んだ熱電対5から空気孔4、9を介して引き出し燃焼室1の壁を通して温度コントローラ7に接続される。
【0031】
温度コントローラ7は、着火ホルダ2の温度が設定温度になるように、熱電対5の検知温度に基づいて、電熱線6へ供給する電力を制御するようになっている。
【0032】
温度コントローラ7によって制御される筒状着火ホルダ2の設定温度は650〜1000℃の範囲が適当である。650℃未満の場合には、燃焼が不完全になり、H2とO2とが反応しない。また、1000℃を超える温度を作る熱源やその温度に耐える燃焼室構造を実現するのが難しい。
【0033】
以下、この排ガス処理装置の動作について説明する。
排気管11に設けた図示しない排気設備により、燃焼室1内の雰囲気を排気管11から吸引して、燃焼室1の下部に設けた空気取込口12から燃焼室1内に大気を取り込むことにより、燃焼室1内を常時空気が流れるようにする。
【0034】
着火ホルダ2の電熱線6に電流を流し、温度コントローラ7による制御によって、外装キャップ1によって保温された排ガス燃焼用熱源30を、前述した設定温度になるように加熱する。加熱温度は、熱源30の筒内のガス流路27を流れる混合ガスが、水素などの着火ガスを必要とすることなく、可燃性ガス導入管8から導入される可燃性ガスが直接着火するのに十分な温度とする。
【0035】
加熱後、可燃性ガス導入管8のバルブ(図示せず)を開いて、図示しない半導体製造装置の排気口と可燃性ガス導入管8とを連通させて、半導体製造装置から排出される排ガスを可燃性ガス導入管8に導入する。筒状熱源30のガス流路27を上昇してくる排気ガスは、途中で、熱源30に設けた空気孔4、9から引き込まれる空気と混合されて、温度コントロールされた熱源30の熱エネルギーにより加熱されたガス流路27を通過する際、可燃性ガスが確実に熱源30に触れるため、燃焼温度に高められる。このため、着火装置を別個に要することなく、可燃性ガスはガス流路27内で燃焼反応が起き、着火して燃焼する。可燃性ガスは、熱源30による高熱エネルギーと空気孔4、9から入る空気の酸素とにより燃焼するので、排気ガスに含まれ可燃性ガスが低濃度でも効率良く燃焼できる。
【0036】
濃度の高い可燃性ガスは、空気孔4、9からガス流路27内に取り込まれる酸素だけでは反応できず、未燃ガスとして筒状熱源30の導出口(筒口)から出てくるが、その導出口近傍には、空気取込口12から燃焼室1内に取り込まれた十分な空気が存在しているため、濃度の高い可燃性ガスは空気と十分に混合される。しかも、導出口近傍では、熱源30によって高温になっているばかりか、ガス流路27内で燃焼して導出口から出る炎によっても加熱されているため、濃度の高い可燃性ガスであっても容易に燃焼することになる。
【0037】
燃焼によって発生した高温排ガスや当初から排ガス中に含まれていた非可燃性ガス、そして余剰の空気は、排気管11から大気中に放出される。
【0038】
上述したように実施の形態によれば、熱源30で高温加熱されるガス流路27内で可燃性ガスを空気と混合して燃焼させるようにしたので、水素などの助燃ガスを用いる着火設備なしで、ダイレクトに排ガス中に含まれる可燃性ガスを着火、燃焼させることができる。したがって、大気以外の助燃ガスや着火設備が不要となるので、装置構成を大幅に簡素化できる。
【0039】
また、着火ホルダ2の外周に電熱線6を巻くようにしたので、着火ホルダ2の内周に電熱線を巻くものと比べて、排ガス燃焼用熱源30を小型化できる。また、着火ホルダ2の外周に電熱線6を巻くので、巻回作業が容易である。また、着火ホルダ2の外周に設けたらせん溝3に電熱線6を巻くので、電熱線6が着火ホルダ2の外周に露出しないようにすることができる。さらに、着火ホルダ2の外周を外装キャップ1で覆うようにしたので、電熱線6をさらに保護でき、また電熱線6で加熱された着火ホルダ2を有効に保温できる。また、着火ホルダ2の内部で可燃性ガスを燃焼させることができるので、確実に可燃性ガスを燃焼させることができる。
【0040】
また、着火ホルダ2から外装キャップ1を容易に取り外しできるので、メンテナンスが容易である。特に電熱線6が断線した場合は、排ガス燃焼用熱源30を全体を交換することなく、着火ホルダ2から外装キャップ1を取り外し、新しい電熱線を巻き直すだけで容易に修理が可能になる。また、着火ホルダ温度が上述した温度範囲だと、排ガス中に含まれる可燃性ガスを効率よく燃焼できる。
【0041】
また、着火ホルダ2のガス流路内部に流れる可燃性ガスの圧力は、空気孔4、9の外周圧力より低くなるために空気が着火ホルダ2のガス流路27内に常に流れる。空気孔4、9から入る空気の酸素と可燃性ガスと電熱線6の熱エネルギーで着火ホルダ2のガス流路27内周壁内において燃焼反応が起こり、低濃度の可燃性ガスでも効率良く燃焼できる。
【0042】
濃度の高い可燃性ガスは、空気孔4、9からガス流路27内に取り込まれる酸素だけでは反応できず、未燃ガスとして着火ホルダ2の導出口から出てくるが、その導出口近傍には、空気取込口12から燃焼室1内に取り込まれた十分な空気が存在しているため、濃度の高い可燃性ガスは空気と十分に混合される。しかも、導出口近傍では、熱源30によって高温になっているばかりか、ガス流路27内で燃焼して流路口から出る炎によっても加熱されているため、濃度の高い可燃性ガスであっても容易に燃焼することになる。
【0043】
また、実施の形態では、着火ホルダ2及び外装キャップ1にセラミックを使用しているので、燃焼による燃焼室1の内外周壁の劣化が少ない。
【0044】
ところで、電熱線6が断線した時の処置は、可燃性ガス導入管8の先端から排ガス燃焼用熱源30を取り外す。そして、外装キャップ1を着火ホルダ2の上方に沿って移動して着火ホルダ2から取りはずし、断線した電熱線6を着火ホルダ2のらせん溝3から取り除いて、新しい電熱線6を着火ホルダ2のらせん溝3に巻き付けて、外装キャップ1を着火ホルダ2の上から被せて取り付ける。着火ホルダ2に外装キャップ1を被せて排ガス燃焼用熱源30を形成したら、これを可燃性ガス導入管8に取り付ける。このようにワンタッチ的で排ガス燃焼用熱源30を可燃性ガス導入管8から取り外したり取り付けたり、又は外装キャップ1を着火ホルダ2から取り外したり、取り付けたりすることができるので、電熱線6の断線交換作業が容易で簡単にでき、メンテナンスが容易となる。
【0045】
また、このような中空のセラミックヒータを用いた場合は、断熱性を維持するためにヒータ形状を小さくできる。熱電対5を設けた円筒形セラミック材の厚みも、電熱線16を外周に巻いているので、さほど厚くならない。したがって、燃焼処理装置が大型化するのを回避でき、設置スペースも小さくすみ、半導体製造装置が接置されるクリーンルームのコスト増を防ぐことができる。また、セラミックヒータを燃焼室1内に取り付けるに当たって、筒状熱源30を可燃性ガス導入管に設けた段付き溝8aに嵌めるだけでよいので、その筒状熱源の導入口を可燃性ガス導入管8の導出口に正確に位置合せする必要がなく、その取付けも容易である。また、着火ホルダ2の溝の深さや溝数を変更することで、電熱線6の線径や巻き数により、条件の異なる様々な排ガスの燃焼に適用できる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態では、着火ホルダ2の形状を円筒形としたが、この形状に限定されず、例えば六角形や八角形などの多角形としてもよい。また、実施の形態では、空気取込口12を燃焼室1の底部に設けたが、燃焼室1の外周部、又は燃焼室1の底部及び外周部の両方に設けてもよい。外周部にも設ける場合には、外周部に設ける空気取込口をガス流路出口に対応する部分に設けるとよい。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、小型で、電熱材が断線しにくく、燃焼条件の異なる種々の排ガスの燃焼に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態による保温キャップと着火ホルダとから構成される排ガス燃焼用熱源の説明図であって、(a)は保温キャップの側面図、(b)は着火ホルダの側面図である。
【図2】実施の形態による着火ホルダに保温キャップが装着され排ガス燃焼用熱源の要部断面図である。
【図3】実施の形態による排ガス燃焼用熱源を用いた排ガス処理装置の要部断面図であり、(a)は要部全体図、(b)は熱源の取付部を説明する要部拡大図である。
【図4】従来例の円筒セラミックヒータを用いた排ガス処理装置の断面図である。
【図5】従来例の金属ヒータを用いた排ガス処理装置の断面図である。
【符号の説明】
1 外装キャップ
2 着火ホルダ
4 空気孔
6 電熱線(電熱材)
9 空気孔
Claims (5)
- 排ガス中に含まれる可燃性ガスを燃焼室で着火・燃焼させるために、前記燃焼室内に設けられる排ガス燃焼用熱源であって、
前記可燃性ガスを内部に流す筒状の着火ホルダと、
前記筒状着火ホルダの外周に設けられた溝と、
前記溝に設けられて前記筒状着火ホルダを加熱する電熱材と、
前記電熱材を設けた筒状着火ホルダの外周に設けられ前記筒状着火ホルダを保温するキャップと
を備え、
前記着火ホルダ及びキャップが中空の断熱材で構成されている
ことを特徴とする排ガス燃焼用熱源。 - 前記着火ホルダ及び保温キャップに、これらを貫通して前記着火ホルダの内部に流れる可燃性ガスに外部から空気を導入する空気孔を設けた請求項1に記載の排ガス燃焼用熱源。
- 前記着火ホルダに保温キャップを着脱自在に取り付けるようにした請求項1又は2に記載の排ガス燃焼用熱源。
- 前記燃焼室に排ガスを導入する可燃性ガス導入管の導出口に直接取り付けるようにした請求項1ないし3のいずれかに記載の排ガス燃焼用熱源。
- 前記着火ホルダ及び保温キャップをセラミックで構成し、前記電熱材で加熱される前記着火ホルダの温度を650〜1000℃とした請求項1ないし4のいずれかに記載の排ガス燃焼用熱源。
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