JP3791469B2 - ディスク駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスクを回転させるディスク駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ディスク駆動装置のスピンドルモータを構成するステータは、スロット間隔がコイル導線よりも幅の広いオープンスロット構造を採用し、ステータコイルはスロット間隔からツールを差し込んでティースコイル形成部の廻りにコイル導線を巻き込む巻込方式か、巻込方式や形成済みコイルをティースに嵌め込む嵌込方式で形成されている。
【0003】
また、他の構造として特開平6-54468号公報に記載されたクローズドスロット構造もある。このクローズドスロット構造にコイルを形成する手法としては、巻込方式がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ディスク駆動装置の磁気回路でコギングトルクが生じ、滑らかな回転が得られないことがある。
【0005】
特に、ディスク径やディスク外形を小さくするとともに薄いディスク駆動装置を実現しようとすると、必要な回転力を確保するために磁力を大きくする必要があるが、大きな磁力を発生する磁石、特にNd−Fe−B焼結磁石を採用すると強力な磁場を発生できる反面、モータ特性としては欠点となるコギングトルクも増大する。
【0006】
このコギングトルクを抑えるためには、上述の従来技術のようにティース先端部の間隔を狭めて磁極の滑らかに変化させることが効果的である。
【0007】
上述の特開平6-54468号公報に記載されているような、連結部品にティースをかしめた組立型クローズドスロット構造を採用した場合には、クローズドスロット構造を実現できるが、部品数が増加することにより組立コストの増大、接続部での耐久性の低下、装置全体厚みの増加等の問題が生じる。
【0008】
オープンスロット構造を採用し、隣接するティースのスリットの最小間隔をコイル導体の最小厚み以下まで狭め、巻込方式を採用した場合には、コイル導体をスリットから挿入することができないので、スリット幅をコイル導体が通過できるように広げる変形加工が必要になる。しかし、元の形に再加工する場合、精度よく再加工することは困難なので、どうしてもロータ磁石との対向面積が減少してしまう。ティース先端部はロータの永久磁石と対向して回転トルクを発生させているので、ロータ磁石に対向する面積が減少すると、回転トルクが低下してしまう。
【0009】
一方、嵌込方式を採用した場合でもはティース先端部の膨らみ(最小スリット幅)を通過させるなくてはいけないので、同様に変形させる必要がある。
【0010】
つまり、クローズドスロット構造やスロット間隔がコイル導体幅以下であるオープンスロット構造の場合、ステータコアであるティースを再加工せずにコイルを形成することがなかった。
【0011】
本発明の目的は、クローズドスロット構造やスロット間隔がコイル導体幅以下であるオープンスロット構造を採用した場合でも、回転トルクを低下させないディスク駆動装置を実現することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願の次の態様により上述の課題が解決できる。
【0013】
一つの態様に、ディスクと複数の磁石が固定されているロータと、磁石の外周に配置されているオープンスロット型の一体成型ステータを有するディスク駆動装置であって、ティース上の金属膜をエッチングすることにより形成したコイルを備えたステータを用いたものがある。
【0014】
このようにスロット幅をコイル導体の厚みに関係なく狭くできるので、コギントルクを小さし、滑らかな回転が可能なディスク駆動装置を実現できる。
【0015】
さらに、スロットの最小幅がステータの周囲を巻き回すコイル導体の最小厚さ以下である場合、上記ステータを採用することにより、トルクの低下を抑制できる。
【0016】
通常、クローズドスロット型の一体成型ティースをステータコアに採用する場合、コイル導体を特別な巻き線機を使用しないと形成することができないが、この態様の場合、特別な巻き線機を使用しないでもステータのコイルを形成することができる。
【0017】
また、他の態様としては、ディスクと複数の磁石が固定されているロータと、磁石の外周に配置されているクローズドスロット型の一体成型ティース上の金属膜をエッチングすることにより形成したコイルを備えたステータを有するようにするものがある。
【0018】
通常、クローズドスロット型の一体成型ティースをステータコアに採用する場合、コイル導体を特別な巻き線機を使用しないと形成することができないが、この態様の場合、特別な巻き線機を使用しないでもステータのコイルを形成することができる。また、このようにスロット幅をコイル導体の厚みに関係なく狭くできるので、コギントルクを小さし、滑らかな回転が可能なディスク駆動装置を実現できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るディスク駆動装置の実装構造の好ましい実施の形態を図1乃至図5を用いて説明する。
【0020】
図1は本発明に関するディスク駆動装置の実装構造の要図である。
【0021】
ディスク記憶装置100は、ベース101、コネクタ170、カバー102で囲まれた空間に外径1インチのディスク103とディスクを駆動するロータ部109およびステータ部110が組込まれた構成であり、外形寸法はコンパクトフラッシュ(R)メモリtype1と同一サイズ(43mm×36mm×3.3mm)である。
【0022】
固定シャフト105は固定ネジ106を用いてベース101に固定されている。ハブ104は、固定シャフト105に対して、軸受け107および108により回転可能な状態で支持されている。ディスク103はリング112およびナット113を用いてハブ104に固定されている。環状永久磁石110はハブ104の上面に嵌めこまれている。
【0023】
メタルコア基板200とこのメタルコア基板表裏に形成された配線は、ステータおよびICなどの部品を搭載する配線基板として機能している。その4隅においてベース101の突起部(図示せず)に固定されている。
【0024】
メタルコア基板200上には回路層が形成され、IC150およびチップ部品151がはんだや金ワイヤなど用いて電気的に接続され、その端部にはディスク記憶装置100の外部との電気信号を送受するために複数の信号ピンが形成されたコネクタ170が搭載されている。
【0025】
また、ディスク記憶装置100の外部から進入する粒子がディスク103表面に付着しないように、コネクタ171に封止樹脂171を塗布、加熱硬化させ、コネクタ171に形成されている貫通孔をふさいである。
【0026】
メタルコア基板200とディスク103との間には、メタルコア基板から発生する磁気を遮断してディスク103への影響を防ぐための磁気シールド板160がメタルコア基板200の表面に固定設置されている。
【0027】
図2はディスク駆動装置のロータ部109およびステータ部110の一部を回転軸線111方向から見た概略図である。環状永久磁石110はロータ部109を構成しており、円周方向に12極また16極に分割して磁化されている。磁化の方向は図のN極およびS極に示すように半径方向である。
【0028】
メタルコア基板200はステータ部110を構成しており、ティース連結部201、ティースコイル形成部204、ティース先端部205、配線202、スルーホール203からなる。ティース連結部201は軟磁性材料、例えばケイ素鉄からなる薄板の積層板であり、モータの鉄損の少ない構造である。ティースコイル形成部204及びティース先端部205も同様の構造をしており、ティース先端部205は環状永久磁石110との間にラジアルギャップ206を介して対向している。ティースコイル形成部204は環状永久磁石110の極数の1.5倍の本数からなり、18本または24本である。
【0029】
配線202は絶縁層を介してティース連結部201、ティースコイル形成部204の表面および裏面に形成されている。ティース連結部201上の配線は電子部品の搭載が可能な電子回路でありティースコイル形成部204上の配線に接続されている。ティースコイル形成部204上の配線はティースコイル形成部204と隣接するティースコイル形成部との間に配置された樹脂のスルーホール203で表裏が接続され、ティースコイル形成部204を取り巻く巻線構造となっている。このようにティース連結部201上に搭載される電子部品で配線に流す電流を制御することにより環状永久磁石111に対して生じる磁界を制御し、ロータ部109を回転させるトルクを発生する。
【0030】
ここで、隣り合うティース先端部205同士の間隔をGとする。間隔Gを狭めるか、またがティース先端部205同士を接続する形状とすると、ティース先端部内側の磁力線の一部が隣接するティース先端部205に流れるため、環状永久磁石110とティース先端部205が互いに引きつけ合う磁力が減少し、コギングトルクが減少する。
【0031】
図3は、図2に示す切断面c−c‘における構造の要部を示している。メタルコア基板200は、2層の表面配線208、2層の裏面配線209、ティースコイル形成部204、スルーホール203、および絶縁層207からなる。本実施例では、一断面においてティースコイル形成部204を2回取り巻く巻線構造となっているが、メタルコア基板200の形成プロセスにおいて配線層をさらに多層化すれば、巻線を更に増やすことができる。
【0032】
図4は、図2に示す切断面d−d‘における構造の要部を示している。ティース連結部201は、そのティースコイル形成部204においてケイ素鉄からなる厚さ約0.1mmの薄板を4枚積層した構造であり、合計の厚さt1は約0.4mmである。また、鉄心片先端部205では表面に2枚裏面に2枚の薄板を貼り合せており、合計の厚さt2は約0.8mmである。このように鉄心片先端部205を厚く形成することで環状永久磁石110の磁束を効率良く捕捉してトルクを確保し、それ以外の領域のティースコイル形成部204を薄く形成することで、ステータ部としての薄形化を達成できる。
【0033】
ここで、図3乃至図4において、導体の厚さが最小となる表面配線208、または裏面配線209の配線厚さをdとする。従来の巻線をティースコイル形成部204に巻き回すモータ構造では、配線厚さdに比べて図2に示す間隔Gを広くすることで、コイルをティースコイル形成部204の周囲に挿入することができる。本発明ではコイル、鉄心片、および配線基板を一体物として形成できるので、配線厚さdに比べて間隔Gを広くする必要は無く、配線厚さdに比べて間隔Gを等しくまたは狭くしてもよい。さらに、間隔G=0すなわちティース先端部205同士を接続する形状も形成可能である。
【0034】
図5はメタルコア基板200の形成プロセスを示す。
(a)メタルコア材として、厚さ約0.1mm鉄損の少ないケイ素鉄からなるティース連結部201、ティースコイル形成部204、ティース先端部205を用意する。
(b)化学エッチングによりティース先端部の形状を形成し、4枚の磁性金属板を接着剤を介して積層する。
(c)片側に樹脂接着層が予め塗布された銅箔であるRCC(Resin Coated Copper)を上記ティース連結部201、ティースコイル形成部204及びティース先端部205の表面および裏面に貼り合わせる。
(d)ドリルまたはレーザによりメタルコア基板のコア材を貫通するスルーホール203を形成する。
(e)スルーホール203の内壁に銅をメッキする。
(f)銅箔をエッチングすることにより、基板表面及び裏面にX方向の回路パターン202を形成する。このときステータコイル形成部204を取り巻くコイルの平坦部の配線を同時に形成する。
(g)RCCを表面および裏面にさらに積層し、Y方向の回路パターン202を同様にエッチングで形成する。ここでもステータコイル形成部204を取り巻くコイルの平坦部の2層目の配線を形成する。また、1層目の配線やスルーホールとコンタクトをとるスルーホールも形成し、そのスルーホールの内部を銅でメッキする。
(h)はんだ付け部品のはんだの拡散を防ぐためのソルダレジスト層を形成する。(i)印刷によりはんだを供給後、チップマウンタを用いてIC150、チップ部品151を搭載し、リフロー炉により部品をはんだ付けする。このときコネクタの搭載も同時に行なう。
【0035】
以上によりメタルコア基板の形成および部品搭載を完了し、図1に示すようにコネクタの側面を樹脂171により封止する。ディスク103をハブ104に取り付け後、固定ネジ106を用いて軸受107、108を含むロータ部109をベース101に固定する。その後、磁気シールド板160を搭載したメタルコア基板200をベース101の4隅に形成された突起部(図示せず)に固定する。最後にカバー102を取りつけ、ディスク記憶装置として完成する。
【0036】
図6の横軸にティース先端部205の間隔G、縦軸にコギングトルクをとったグラフを示す。L1は従来のNd−Fe−Bボンド磁石によるモータのコギングトルクである。L2はより高性能なNd−Fe−B焼結磁石によるモータのコギングトルクである。L1ではG=0.1〜0.15mmまで広げても、コギングトルクは定格回転時(@3600rpm)のトルク(=0.067mNm)を超えないので、モータ回転は可能である。一方L2では、L1に比べてコギングトルクは約3倍となり、G=0.05mm以上では定格回転時(@3600rpm)のトルク(=0.067mNm)を超えてしまいモータ回転は不可能となるので、G=0.04mm以下にしなければならない。
【0037】
従来の巻線をティースコイル形成部204に巻回すモータ構造では、コイルの直径は約0.06〜0.07mmであり、G=0.04mm以下の隙間ではコイルをティースコイル形成部204の周囲に挿入することができない。巻線の直径を0.04mm未満とすればコイル形成は可能であるが、コイル抵抗が増大し電流によるエネルギーロスが増大する。本発明では配線厚さを間隔Gと等しくまたは狭くしても原理的に形成可能なのでG=0.04mm以下の隙間を実現できる。よって、従来より高性能なNd−Fe−B焼結磁石でコギングトルクの低減が可能となり、薄形でトルクの高いモータ設計が可能となる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、ステータコイルをスリット開口部を用いずに、形成するので、スリット間隔を狭くすることができる。特に、コイル導体の厚み以下の開口部のオープンスロットやクローズドスロットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスク駆動装置の要部断面図である。
【図2】ディスク駆動装置のロータ部およびステータ部の一部を回転軸線方向から見た概略図である。
【図3】ディスク駆動装置の図2に示す切断面c−c‘における構造の要部を示している。
【図4】ディスク駆動装置の図2に示す切断面d−d‘における構造の要部を示している。
【図5】メタルコア基板の形成プロセスを示す。
【図6】Nd−Fe−Bボンド磁石およびNd−Fe−B焼結磁石によるモータの鉄心片先端部間隔Gとコキングトルクの関係を示す。
【符号の説明】
100…ディスク記憶装置、101…ベース、102…カバー、103…ディスク、104…ハブ、105…固定シャフト、106…固定ネジ、107…軸受け、108…軸受け、109…ロータ部、110…ステータ部、111…環状永久磁石、112…リング、113…ナット、150…IC、151…チップ部品、171…封止樹脂、200…メタルコア基板、201…ティース連結部、
202…配線、203…スルーホール、204…ティースコイル形成部、205…ティース先端部、206…ラジアルギャップ、207…絶縁層、208…表面配線、209…裏面配線

Claims (9)

  1. ディスクが固定され且つその外周に複数の磁石が該ディスクの主面に対向する面内に並べて固定されているロータと、
    前記ロータの前記外周に配置され、各々の一端が前記複数の磁石に対向し且つ他端が該ロータから遠ざかるように延在する複数のティースを備えた一体成型ステータとを備え、
    前記複数のティースの各々は、その前記他端で相互に結合され、その隣り合う一対は前記一端で互いに離間され、且つその該一端と該他端との間の部分にはメタルコア基板が設けられ、
    前記ティースの各々に設けられた前記メタルコア基板は、該ティースの各々の表面に形成された表面配線、その裏面に形成された裏面配線、及びその両側面を覆う絶縁層内の該側面の両側に夫々形成されて該表面配線と該裏面配線とを接続するメッキされたスルーホールからなるコイルであり、
    前記表面配線及び前記裏面配線は、前記ティースの各々の前記表面及び前記裏面に形成された金属膜をエッチングして形成され、
    前記ティースの各々とこれに隣接する該ティースの他とを離間する最小幅:Gは、前記表面配線及び前記裏面配線は、該各々のティースにおける前記表面配線及び前記裏面配線の最小薄さ:dより小さいことを特徴とするディスク駆動装置。
  2. 前記ティースは軟磁性材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  3. 前記ティースは前記軟磁性材料の積層板で形成されることを特徴とする請求項2に記載のディスク駆動装置。
  4. 前記ティースを形成する前記軟磁性材料は珪素鉄であることを特徴とする請求項2に記載のディスク駆動装置。
  5. 前記金属膜は、銅箔であることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  6. 前記金属膜は、その一方の側が樹脂接着層で覆われた箔であることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  7. 前記複数の磁石は、前記ロータの前記外周に配置された環状永久磁石であることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  8. 前記ティースの各々の前記裏面は前記ディスクに対向することを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
  9. 前記メッキされたスルーホールの内壁には銅でメッキされていることを特徴とする請求項1に記載のディスク駆動装置。
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