JP3791296B2 - 手持ち式電動工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は低駆動負荷時に回転出力を出力部に伝達するとともに駆動負荷の増大時に間欠の回転打撃出力を出力部に加えるインパクト動作に切り替わるインパクト式の手持ち式電動工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低駆動負荷時には回転出力をそのまま出力部に伝達しているが、駆動負荷が増大すれば、ハンマーの回転慣性で出力部であるアンビルに回転打撃を与えるインパクト動作に切り替わる手持ち式電動工具がある。特開昭59−88264号公報などに示されたこの種のインパクト式の手持ち式電動工具では、駆動負荷がきわめて大きくなった時にも、ハンマーがばねに抗して後退しつつ回転することから、駆動モータがロックしてしまうことがないという特質を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記動作が保証されるのは、駆動系が本来の動きをしている時であり、たとえば異物が混入するなどして駆動系の動きが損なわれた場合には、駆動モータがロックしてしまうことがある上に、この時には過電流が流れて発煙発火に至るおそれがある。
【0004】
また出願人は、電池セルを内蔵するコードレス型電源部と、交流電源からの電流を直流に変換する手段を備えたコード付き電源部との2種の電源部を選択的に使用することができるものとして、特願平11−365570号において、駆動モータを2種の電源部の出力電圧に応じた2種の巻線及び整流部を備えた多重巻線タイプとすることで、コード付き電源部の小型化を図りつつ、低電圧大出力電流のコードレス型電源部での駆動時と、コード付き電源部での駆動時とにおいてほぼ同一出力を得ることができるようにした手持ち式電動工具を提案しているが、この場合、コード付き電源部に対応する高電圧用巻線は、コードレス電源部に対応する低電圧用巻線よりも線径が細くて断線しやすいものとなる。また、コード付き電源部に対応する高電圧用巻線には高電圧が商用電源から常時供給されることから、異物混入等でモータロックが生じた時に発煙発火に至るおそれがさらに高くなり、使用者に危害を与えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは異物混入等によるモータロック時の安全性を高めた手持ち式電動工具を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、低駆動負荷時に回転出力を出力部に伝達するとともに駆動負荷の増大時に間欠の回転打撃出力を出力部に加えるインパクト動作に切り替わるインパクト式の手持ち式電動工具において、電池セルを内蔵するコードレス型電源部と、交流電源からの電流を直流に変換する手段を備えたコード付き電源部との2種の電源部が選択的に取付自在となっているとともに、駆動モータは2種の電源部の出力電圧に応じた2種の巻線及び整流部を備えた多重巻線タイプであり、駆動モータの2種の巻線のうちのコード付き電源部に対応する巻線側の回路に、駆動モータの停動電流付近で溶断するヒューズが直列に接続されていることに特徴を有している。駆動モータのロック時にはヒューズが溶断して駆動モータへの電流供給を遮断してしまうようにしたものであり、殊に2種の電源部の出力電圧に応じた2種の巻線及び整流部を備えた多重巻線タイプである駆動モータにおけるモータロック時の影響が出やすい商用電源利用時に対応させたものである。
【0008】
また、モータ冷却用ファンを備えるものでは、ヒューズは工具本体のハウジング内の上記ファンによる冷却風流路中に配しておくのが好ましく、この場合、工具本体のハウジングに設けられた冷却風吸い込み口近傍に配しておくのが最も好ましい。
【0009】
ヒューズは工具本体内に設けられた発熱性部材の放熱のための放熱部材に取り付けておくのも好ましく、さらには導出されているリード線を屈曲させた状態でヒューズを配設しておくとよい。ヒューズの溶断時のヒューズ交換の便が良くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図1に示す手持ち式電動工具は、円筒状の本体ハウジング1内に駆動モータ5と減速機55、減速機55の出力軸に軸方向スライド自在に取り付けたハンマー6、軸回り回転方向においてハンマー6と係合するアンビル7を納めたインパクト式の工具であり、ばね8によってアンビル7側に付勢されてアンビル7と係合しているハンマー6は、駆動用モータ5による回転出力を上記係合部を介してアンビル7に伝達する。そして駆動負荷が増大した時には、ハンマー6がばね8に抗して後退し、アンビル7との係合が外れた時点でハンマー6は回転しつつばね8付勢によって前進してアンビル7に回転打撃衝撃を与える。
【0011】
このようなインパクト式の手持ち式電動工具において、本体ハウジング1から延出したグリップ部10の先端には、パック式の電源部が着脱自在に装着されて、駆動モータ5は該電源部から供給される電源で作動するのであるが、この電源部として、図1では、商用電源に接続されるコードが導出されているとともに商用電源を直流電源に変換する手段を内蔵したコード付き電源部16を装着しているが、このコード付き電源部16に代えて、図7に示すように、複数の電池セルを内蔵するコードレス電源部15を装着することもできるようになっている。
【0012】
そして、この電動工具ではその駆動モータ5に高電圧直流を流すための巻線10aと低電圧直流を流すための巻線10bとの2種の巻線と各巻線に対応する整流部を備えたものを用いているとともに、コード付き電源部16から巻線10aに至る回路と、コードレス電源部15から巻線10bに至る回路とを独立させたものを用いている。
【0013】
なお、上記両回路の切換は、電源部15,16の装着によって自動的になされるようにしてある。コード付き電源部16を装着した時にはコネクター23を通じて巻線10aに電源が供給され、コードレス電源部15を装着した時にはコネクター22を通じて巻線10bに電源が供給されるものである。尚、スイッチ20にはトリガーレバー21の操作によって低電圧用の接点部20a,20cと高電圧用の接点部20b,20dとが共に切り換えられるものを用いているとともに、回転方向切換の接点部50,51も上記両回路分だけ備えたものを用いており、モータ制御回路C1,C2も上記各回路に応じて設けたものとなっている。図6中の20fは駆動モータ5のオフ時に駆動モータ5の両極間を短絡させるための接点部、25はコード付き電源部16における交流を直流に変換するための整流ダイオードである。
【0014】
そして、上記両回路のうち、商用の交流電源を直流に変換して駆動モータ5の高電圧用巻線10aに供給する回路には、モータ5の近傍において巻線10aに直列にヒューズ3を接続してある。電動工具の定格電流(インパクト時の電流)が5.0Aであって駆動モータ5がロックした時の停動電流が12Aである場合、上記ヒューズ3には停動電流(12A)以上の電流が流れた時に溶断するものを用いる。
【0015】
コード付き電源部16を装着して高電圧直流で駆動モータ5を駆動している際に異物の混入などが原因でモータロックが生じても、この時に流れる停動電流でヒューズ3が溶断して駆動モータ5への電流供給を遮断してしまうために、発煙発火などの異常事態を発生させてしまうことがないものである。
【0016】
上記ヒューズ3はここでは本体ハウジング1の後端部に配した放熱板4に装着してある。すなわち、本体ハウジング1の後端部には、駆動モータ5の制御駆動用のスイッチング素子40が発生する熱を逃すために放熱板4を配置しているのであるが、この放熱板4の一部にヒューズ3の配設のための溝41を設けて、ここに熱収縮チューブ30を被せたヒューズ3を納めてある。
【0017】
前記駆動モータ5が内蔵する自己冷却用のファン54は、図3に示すように、本体ハウジング1の後端側から取り込んだ空気を駆動モータ5内部を通じて前方へと送り出すのであるが、この冷却風の流路中で且つ吸い込み口付近に上記ヒューズ3を配置していることから、ヒューズ3は駆動モータ5の発熱の影響を受けることがなく、また放熱板4に取り付けていることから、ヒューズ3の自己発熱は放熱板4を介して効率良く放熱される。
【0018】
放熱板4へのヒューズ3の取付に際しては、図4及び図5に示すように、導出されているリード線33を屈曲させた状態としておく。ヒューズ3が溶断した時にはヒューズ3を交換しなくはならないわけであるが、この時、溶断してしまったヒューズ3は図5中のたとえばイ部分で切断し、ここに新しいヒューズ3のリード線を半田付けによって接続するものとしてある。上記屈曲部の存在は、新しいヒューズ3の再接続を容易とする。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、低駆動負荷時に回転出力を出力部に伝達するとともに駆動負荷の増大時に間欠の回転打撃出力を出力部に加えるインパクト動作に切り替わるインパクト式の手持ち式電動工具において、駆動モータに直列に駆動モータの停動電流付近で溶断するヒューズを接続していることから、本来的にはロックが生じることがない駆動モータが異物混入等が原因でロックしてしまっても、この時にはヒューズが溶断して駆動モータへの電流供給を遮断してしまうことから、発煙発火といった異常事態を招くことがないものである。
【0020】
特に、電池セルを内蔵するコードレス型電源部と、交流電源からの電流を直流に変換する手段を備えたコード付き電源部との2種の電源部が選択的に取付自在となっているとともに、駆動モータが2種の電源部の出力電圧に応じた2種の巻線及び整流部を備えた多重巻線タイプであり、ヒューズは駆動モータの2種の巻線のうちのコード付き電源部に対応する巻線側の回路に接続しているために、商用電源から電源供給を受けるために駆動モータのロック時にその影響がより大きく出てしまうことに対応することができる。
【0021】
また、モータ冷却用ファンを備えるものでは、ヒューズは工具本体のハウジング内の上記ファンによる冷却風流路中に配しておくのが他部品からの熱の影響をヒューズが受けてしまうことを避けることができ、特に本体のハウジングに設けられた冷却風吸い込み口近傍に配しておくことで、他部品からの熱の影響をより確実に避けることができる。
【0022】
ヒューズは工具本体内に設けられた発熱性部材の放熱のための放熱部材に取り付けておくと、ヒューズの自己発熱の影響を抑えることができ、さらには導出されているリード線を屈曲させた状態でヒューズを配設しておくと、ヒューズの溶断時のヒューズ交換の便が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の破断側面図である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】同上の冷却風流路を示す概略断面図である。
【図4】 (a)は同上のヒューズと放熱板の斜視図、(b)はヒューズの断面図である。
【図5】 (a)は同上のヒューズとリード線の側面図、(b)はヒューズ交換後のヒューズとリード線の側面図である。
【図6】同上のブロック回路図である。
【図7】同上の他の電源部を装着した状態を示す破断側面図である。
【符号の説明】
1 本体ハウジング
3 ヒューズ
5 駆動モータ
Claims (5)
- 低駆動負荷時に回転出力を出力部に伝達するとともに駆動負荷の増大時に間欠の回転打撃出力を出力部に加えるインパクト動作に切り替わるインパクト式の手持ち式電動工具であって、電池セルを内蔵するコードレス型電源部と、交流電源からの電流を直流に変換する手段を備えたコード付き電源部との2種の電源部が選択的に取付自在となっているとともに、駆動モータは2種の電源部の出力電圧に応じた2種の巻線及び整流部を備えた多重巻線タイプであり、駆動モータの2種の巻線のうちのコード付き電源部に対応する巻線側の回路に、駆動モータの停動電流付近で溶断するヒューズが直列に接続されていることを特徴とする手持ち式電動工具。
- モータ冷却用ファンを備えるとともに、ヒューズは工具本体のハウジング内の上記ファンによる冷却風流路中に配されていることを特徴とする請求項1記載の手持ち式電動工具。
- ヒューズは工具本体のハウジングに設けられた冷却風吸い込み口近傍に配されていることを特徴とする請求項2記載の手持ち式電動工具。
- ヒューズは工具本体内に設けられた発熱性部材の放熱のための放熱部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の手持ち式電動工具。
- ヒューズは導出されているリード線が屈曲された状態で配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の手持ち式電動工具。
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