JP3789250B2 - 触媒劣化判定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,内燃機関の排気系に設けられた触媒コンバータの触媒の劣化を高精度で判定する触媒劣化判定装置に関する。
【0002】
【従来技術】
自動車に用いられる内燃機関の排気系には一般に排出ガス中の有害成分を浄化するための触媒コンバータが設けられている。一般に上記触媒コンバータに担持されている触媒は長時間の使用で劣化が進み,有害成分の浄化能力が減衰する。通常の使用条件では,内燃機関の保証期間において触媒コンバータの性能も一定水準以上残存することが保証されているが,何らかの内燃機関,補機或いは燃料等の異常により,触媒が異常に劣化することも想定される。
このため,上記触媒の劣化状態を判断して運転者に知らせ,触媒コンバータの交換を促すことが必要である。
【0003】
上記触媒コンバータの交換には,かなりの費用及び時間を必要とするため,必要最小限としなければならず,そのため,触媒の劣化判定は正確に判断することが必要である。
特開平8−270438号公報では,触媒コンバータ中の触媒温度を推定する手段と,計測した触媒温度の比較から触媒劣化を判定する装置が記載されている。
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の方法では,劣化が進み使用限界を超えた場合の触媒が示す触媒出口温度を推定し,計測した触媒出口温度と比較することにより,劣化程度を把握し,触媒の交換時期を判断している。しかもこの推定では触媒担持された触媒担体内での炭化水素の燃焼に伴う発熱反応も扱っている。
【0005】
ところが,炭化水素による発熱反応時の触媒温度推定は非常に複雑で,特開平8−270438に記載されているような一次式で予測できるものではない。たとえば,炭化水素の種類,量,酸素の濃度によって大きく変わる。
また,反応中の触媒温度はその位置によってまちまちであり,特開平8−270438に記載されているような一点の温度測定をもっての劣化判定では,精度が落ちる。従って,記載されている触媒劣化判定方法では充分な精度の触媒劣化判定が望めない。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,容易かつ正確に触媒劣化の判定を行うことができる触媒劣化判定装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,内燃機関の排気系に設けられた触媒コンバータの触媒の劣化を判定する触媒劣化判定装置であって,
該触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータの出口ガス温度を検出する出口ガス温度検出手段と,
下記に示すダミー触媒排出ガス温度を推定するダミー触媒排出ガス温度推定手段と,
上記出口ガス温度検出手段により検出した出口ガス温度と上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段により推定したダミー触媒排出ガス温度を基に,触媒の劣化を判定する劣化判定手段とを有し,
上記ダミー触媒排出ガス温度は,上記触媒コンバータが実質的に触媒を担持していないダミー触媒であるとした場合の出口ガス温度であることを特徴とする触媒劣化判定装置にある。
【0008】
本発明において最も注目すべきことは,上記触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータが触媒を担持していない場合の出口ガス温度であるダミー触媒排出ガス温度を推定する,ダミー触媒排出ガス温度推定手段を有することである。
【0009】
上記劣化判定手段は,例えば以下のように触媒劣化の有無を判定する。
即ち,上記出口ガス温度検出手段により検出した出口ガス温度と,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段により推定したダミー触媒排出ガス温度との差が殆どないときに,触媒が劣化状態にあると判断する。一方,上記出口ガス温度と上記ダミー触媒排出ガス温度との差が充分にある場合には,触媒は劣化していないものと判定する。
【0010】
上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,内燃機関の機関運転情報を基に,上記触媒コンバータが触媒を担持していないと仮定した場合の出口ガス温度を推定する手段である。
上記機関運転情報とは,例えば,エンジンの回転数,トルク,吸入空気量,排出ガス流量,触媒コンバータの入口ガス温度,及び排出ガス中に含まれる炭化水素量等をいう。
【0011】
なお,上記出口ガス温度とは,上記触媒コンバータの出口における排出ガスの温度をいい,上記入口ガス温度とは,上記触媒コンバータの入口における排出ガスの温度をいう。
また,上記の「触媒コンバータが実質的に触媒を担持していない」には,実際に触媒を担持していない場合の他,上記触媒コンバータが触媒を担持していても該触媒が実質上触媒活性を失っている場合も含む。
【0012】
次に,本発明の作用につき説明する。
触媒劣化判定装置では,ダミー触媒排出ガス温度を,機関運転情報等を基に推定する。また,触媒コンバータの出口ガス温度を,出口ガス温度検出手段により検出する。そして,推定されたダミー触媒排出ガス温度と検出された出口ガス温度とを比較することで,触媒劣化を判定する。
【0013】
即ち,触媒の活性状態が充分にある場合には,触媒に入った炭化水素の燃焼で排出ガス温度が上昇する。しかし,触媒劣化が進むと炭化水素は燃焼せず,排出ガス温度も上昇しない。
そのため,触媒の活性が充分にある場合には,出口ガス温度とダミー触媒排出ガス温度との差があるが,劣化が進み実質上活性を失った状態になると,計測した出口ガス温度は上記ダミー触媒排出ガス温度と同程度になる。そこで,この温度差を基に触媒の劣化を判定する。
【0014】
次に,本発明の効果につき説明する。
上記触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータが実質的に触媒を担持していない場合の出口ガス温度であるダミー触媒排出ガス温度を推定するダミー触媒排出ガス温度推定手段を有する。上記ダミー触媒には触媒を担持していないことから,触媒排出ガス温度を推定するには,正確な推定が困難である触媒反応による反応熱を考慮する必要がない。
そのため,ダミー触媒排出ガス温度の推定を正確かつ容易に行うことができる。それ故,触媒出口ガス温度とダミー触媒排出ガス温度との差において,触媒劣化の判定を容易かつ正確に行うことができる。
【0015】
また,上記ダミー触媒排出ガス温度は,上記触媒コンバータから排出されるガス温度を推定するため,上記触媒コンバータ内の温度及び該触媒コンバータ内のガス温度分布を考慮する必要がない。
同様に,上記出口ガス温度検出手段は,触媒コンバータから排出されるガスが均一に混ざった部分のガス温度を検出するため,触媒コンバータ内のガス温度分布の影響を受けない。従って,上記出口ガス温度検出手段は正確な測定値を得ることができる。
そのため,触媒劣化の判定を容易かつ正確に行うことができる。
【0016】
以上のごとく,本発明によれば,容易かつ正確に触媒劣化の判定を行うことができる触媒劣化判定装置を提供することができる。
【0017】
次に,請求項2に記載の発明のように,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,非線形変換機能と学習機能を有する神経回路網で構成されていることが好ましい。
即ち,上記ダミー触媒のモデルとして,神経回路網を用いる。そして,ダミー触媒を用いた実験により,機関の運転情報とダミー触媒の出口におけるガス温度との関係をもとめ,上記神経回路網に学習させる。
なお,上記非線形変換機能とは,一般的な神経回路網演算素子の演算機能であって,例えば,「Rumelhart,D.H.,et al.,Learning Representation by Back-propagation Errors,Nature,Vol.322(1986),p.533」に記載の機能をいう。
【0018】
上記ダミー触媒排出ガス温度は,機関の運転状態の変化に伴い過渡的に変化する。上記神経回路網は,上記非線形変換機能を有するため,このような上記ダミー触媒排出ガス温度の過渡的な変化にも対応して,一層正確な推定ができる。
また,上記神経回路網は学習機能を有するため,触媒を担持していない触媒コンバータの複雑な熱的性質を容易に模倣することができる。
これにより,一層容易かつ正確に触媒劣化判定を行うことができる。
【0019】
次に,請求項3に記載の発明のように,上記触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータに入る入口ガス温度を検出する入口ガス温度検出手段を有し,
かつ,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,上記入口ガス温度検出手段により検出した入口ガス温度を用いてダミー触媒排出ガス温度を推定することが好ましい。
【0020】
例えば,上記触媒コンバータの入口配管に温度計を設置して直接入口ガス温度を測定する。
これにより,上記触媒コンバータに入ってきた排出ガスの温度を把握でき,これを出口ガス温度の推定に用いることで,出口ガス温度の推定の精度を高めることができる。そのため,触媒の劣化判定を一層正確に行うことができる。
【0021】
次に,請求項4に記載の発明のように,上記触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータに入る入口ガス温度を推定する入口ガス温度推定手段を有し,
かつ,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,上記入口ガス温度推定手段により推定した入口ガス温度を用いてダミー触媒排出ガス温度を推定することもできる。
即ち,触媒に入る排出ガス温度を,機関運転情報等から推定する。
この場合にも,上記請求項3に記載の発明と同様に,出口ガス温度の推定の精度を高めることができ,触媒の劣化判定を一層正確に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる触媒劣化判定装置につき,図1〜図5を用いて説明する。
本例の触媒劣化判定装置1は,内燃機関の排気系に設けられた触媒コンバータ2の触媒の劣化を判定するための装置である。
上記触媒劣化判定装置1は,図1に示すごとく,以下の出口ガス温度検出手段11と,ダミー触媒排出ガス温度推定手段12と,劣化判定手段13とよりなる。
【0023】
上記出口ガス温度検出手段11は,上記触媒コンバータ2の出口ガス温度を検出する手段である。
上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12は,ダミー触媒排出ガス温度を推定する手段である。またダミー触媒排出ガス温度とは,上記触媒コンバータ2が実質的に触媒を担持していないダミー触媒であるとした場合の出口ガス温度である。
【0024】
上記劣化判定手段13は,上記出口ガス温度検出手段11により検出した出口ガス温度と上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12により推定したダミー触媒排出ガス温度を基に,触媒の劣化を判定する手段である。
なお,上記触媒コンバータ2の入口21は,入口配管41により上記内燃機関本体7に接続され,一方上記触媒コンバータ2の出口22は,出口配管42により,マフラーへ接続されている。そして,上記出口ガス温度検出手段11は,上記触媒コンバータ2の出口22から10〜20cmの位置の上記出口配管42に設置してある。
【0025】
上記劣化判定手段13は,以下のようにして触媒劣化の有無を判定する。
即ち,上記出口ガス温度検出手段11により検出した出口ガス温度と,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12により推定したダミー触媒排出ガス温度との差がないときに,触媒が劣化状態にあると判断する。一方,上記出口ガス温度と上記ダミー触媒排出ガス温度との差が充分にある場合には,触媒は劣化していないものと判定する。
なお,上記劣化判定手段12はデジタルコンピューター内のアルゴリズムで構成されている。
【0026】
上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12は,エンジンコントロール用コンピュータ3からの内燃機関の機関運転情報を基に,上記ダミー触媒排出ガス温度を推定する。即ち,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12は,複数の階層に分かれ,各層で複数の非線形演算をするアルゴリズムで構成された神経回路網を計算するデジタルコンピュータである。
【0027】
上記機関運転情報としては,エンジン回転数,冷却水温,燃料噴射量,トルクを用いる。また,ディーゼルエンジンで窒素酸化物の還元触媒を用いる場合等では,排気浄化用還元剤の添加量についても情報を加える。
そして,これらの機関運転情報を基に,予め実験によって測定された排出ガス温度のデータを用いて,ダミー触媒排出ガス温度を推定する。
【0028】
図2に,本例の触媒劣化判定装置1における具体的な劣化判定のフローチャートを示す。このフローチャートの始動は,内燃機関の開始と同時に実行される。まず,Step101でスタートビットSTbitを1に設定する。なお,図2及び以下においてStep101〜Step118は,S101〜S118と表す。
【0029】
S101に続いて,機関運転情報としてエンジンコントロール用コンピュータ3により,吸入空気量Ga,回転数nr,冷却水温Tw,燃料噴射量Fin,トルクTRを,出口ガス温度検出手段11により触媒出口温度Toutを計測し,その計測値を取り込む(S102)。またディーゼルエンジンにおいては排気浄化用還元剤噴射量Fadを計測する場合もある。
【0030】
次に,STbitを調べる(S103)。STbitが1の場合は,機関開始後初めての計算であるため,初期出口ガス温度Toutn-1を決定する(S104)。このToutn-1の決定には,冷却水温Twが使われ,図3に示したマップ5を使って決定される。
【0031】
このマップ5では,Twが25℃より低い場合は前回のエンジン停止後から充分な時間が経過しているものと判断し,最初の排出ガス温度もその値と同じとしてToutn-1=25℃とする。Tw>70℃の場合には,前回のエンジン停止からさほど時間が経過していないものとし,Toutn-1は前回動作時の最後の出口ガス温度の推定値Toutoldとする。また,25℃≦Tw≦70℃の場合は,図3のマップ5に従って決定される。
【0032】
Toutn-1が決定された後,STbitは0にリセットされる(S105)。
次に,ダミー触媒排出ガス温度の変化率△Toutがダミー触媒排出ガス温度推定手段12により推定される(S106)。
このダミー触媒排出ガス温度推定手段12は神経回路網6で構成されていて,図4に示すようにS102で取り込まれたデータの内,ダミー触媒からの出口ガス温度変化に影響を与える因子が入力層の素子61に入力される。各素子61の間には重みWづけされていて,各素子61は図5で示す演算をした後,その演算結果を次の素子61に伝達する。
【0033】
すなわち,上記素子61においては,図5に示すごとく,前段層の素子610の出力値(入力層については入力値)yに重みwを乗じたものの合計値X(=Σw)を求める。次いで,その合計値Xを,数式1で示すシグモイド関数に入力し,その算出値Yをその素子61の出力とする。
【0034】
【数1】
Y=1/(1+exp−(X−θ))
【0035】
ここで,θはしきい値である。そして,出力層素子の出力値をもって△Toutとする。この場合,必要に応じて入力値,出力値は0から1に規格化してもよい。神経回路網6が正しい出力値を出力する様に重みw及びしきい値θを調整する必要がある。
【0036】
この調整は学習と呼ばれる。幾つかの学習方法が既に提案されているが,ここでは最も一般的なバックプロパケーション法(Rumelhart,D.H.,et al.,Learning Representation by Back-propagation Errors,Nature,Vol.322(1986),p.533)を用いる。
【0037】
即ち,上記神経回路網6の学習は,次のようにして行う。
まず,触媒コンバータ1と同サイズで触媒が担持されていない基材のみ,即ちダミー触媒を用いて,様々な運転条件下での排出ガス温度を計測する。得られたデータを基にバックプロバケーション法で神経回路網6を学習させる。
【0038】
このようにして得られた神経回路網6がダミー触媒排出ガス温度推定手段12に組み込まれている。
上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12で推定された△Toutを使って次のS107で数式2より,触媒出口ガス温度Toutが更新される。
【0039】
【数2】
Toutn=Toutn-1+△Tout
【0040】
次いで,出口ガス温度検出手段11で計測されたToutと上記数式2で求めたToutnとを比較する。まず,燃料の噴射があったか否かを燃料噴射量Finで判定する(S109)。
Fin=0の場合は,更に排気浄化用の還元剤噴射量Fadの判定をする。Fadも0の場合は,触媒コンバーターには何ら燃料が供給されない状態となり,判定終了(S118)に進む。
【0041】
Fin或いはFadの何れかが0ではない場合には,S111においてToutとToutnとの差の絶対値が計算される。この値が事前に設定した値αより大きい場合には,触媒は供給された燃料が燃焼できる状態で,劣化していないことになる。
【0042】
そこで,S113に於てカウンタnOKが1増やされる。逆にToutとToutnとの差が少ない場合には,触媒で燃料は燃焼しないことを意味し,触媒が劣化していることになる。その場合には,S112でカウンタnBADが1増やされる。
S114では,nOKのカウンタが別に設定されたしきい値βより大きくなった場合には,触媒は充分に活性できる状態であるとの判断から,S115に於てnOK及びnBADが0にリセットされる。
【0043】
S116ではカウンタnBADの値が評価され,別に設定されたしきい値γを超えた場合には,S117に於て触媒の劣化を表示し運転者に警告を出す。
S118では一連の判定を終了し,再びS102に移動し再度劣化判定をする。
本例では,以上の繰り返しにより触媒の劣化を判定する。
【0044】
上記のごとく,上記触媒劣化判定装置1では,ダミー触媒排出ガス温度を,機関運転情報を基に推定する。また,触媒出口ガス温度を,出口ガス温度検出手段11により検出する。そして,推定されたダミー触媒排出ガス温度と検出された出口ガス温度とを比較することで,触媒劣化を判定する。
【0045】
即ち,触媒の活性状態が充分にある場合には,触媒に入った炭化水素の燃焼で排出ガス温度が上昇する。しかし,触媒劣化が進むと炭化水素は燃焼せず,排出ガス温度も上昇しない。
そのため,触媒の活性が充分にある場合には,出口ガス温度とダミー触媒排出ガス温度との差があるが,劣化が進み実質上活性を失った状態になると,計測した出口ガス温度は上記ダミー触媒排出ガス温度と同程度になる。そこで,この温度差を基に触媒の劣化を判定する。
【0046】
次に,本例の効果につき説明する。
上記触媒劣化判定装置1は,上記触媒コンバータ2が触媒を担持していない場合の出口ガス温度であるダミー触媒排出ガス温度を推定する,ダミー触媒排出ガス温度推定手段12を有する。そのため,上記ダミー触媒排出ガス温度の推定には,正確な推定が困難である触媒反応による反応熱を考慮する必要がない。
そのため,ダミー触媒排出ガス温度の推定を容易かつ正確に行うことができる。それ故,触媒劣化の判定を容易かつ正確に行うことができる。
【0047】
また,上記ダミー触媒排出ガス温度は,上記触媒コンバータ2の出口ガス温度を推定するため,上記触媒コンバータ2の中の温度を推定する場合に比べ,正確な推定を行うことができる。これは,上記触媒コンバータ2の出口21には,上記触媒コンバータ2全体を通過した排出ガスが混ざり合って通過するため,ばらつきが少ないからである。同様に,上記出口ガス温度検出手段12が検出する出口ガス温度も正確な測定値が得られる。
そのため,触媒劣化の判定を容易かつ正確に行うことができる。
【0048】
以上のごとく,本例によれば,容易かつ正確に触媒劣化の判定を行うことができる触媒劣化判定装置を提供することができる。
【0049】
実施形態例2
本例は,図6に示すごとく,入口ガス温度検出手段14として,入口配管41に温度計を設置した触媒劣化判定装置102の例である。該触媒劣化判定装置102においては,温度計により触媒入口における入口ガス温度を計測する。
【0050】
本例では,入口ガス温度検出手段14で検出された入口ガス温度がダミー触媒排出ガス温度推定手段12に入力される(図6)。該ダミー触媒排出ガス温度推定手段12では,実施形態例1で用いたデータ以外に触媒入口ガス温度も利用してダミー触媒排出ガス温度の推定をする。入口ガス温度は図2に示すアルゴリズムで,図2におけるS102において計測される。
その他は,実施形態例1と同様である。
【0051】
本例の場合には,上記入口ガス温度検出手段14によって,入口ガス温度を直接計測する。そのため,推定誤差が生じることがなく,高精度に入口ガス温度を得ることができる。その結果として図7に示すように,一層高精度なダミー触媒排出ガス温度が推定でき,劣化判定精度も一層向上する。
【0052】
なお,図7においてT0は,実際にダミー触媒を用いてその出口ガス温度を測定した値を表し,T1は実施形態例1により推定したダミー触媒排出ガス温度を表し,また,T2は本例により推定したダミー触媒排出ガス温度を表す。
その他,実施形態例1と同様の作用効果を有する。
【0053】
実施形態例3
本例は,図8に示すごとく,触媒に入る炭化水素量HCinを測定する炭化水素検出手段15を,触媒コンバータ2の入口21の入口配管41に設置した触媒劣化判定装置103の例である。
この場合には,触媒コンバータ2に入る炭化水素量が直接計測される。そして,その結果は劣化判定手段13に入力される(図8)。触媒劣化の判定アルゴリズムは実施形態例1と比較して,図2中の波線S108の部分が図9に示した判定に変わる。
【0054】
すなわち,計測されたHCinが0の場合は,S118に進み,HCinが0以外の場合には,S111へ進み劣化判定アルゴリズムに進む(図9)。HCinの計測は図2のアルゴリズムにおけるS102において計測される。
その他は,実施形態例1と同様である。
【0055】
本例の場合には,上記炭化水素検出手段15により触媒コンバータ2に入る炭化水素量を直接測定する。そのため,上記触媒コンバータ2に入る炭化火素量を正確に把握することができる。これにより,劣化判定を行うべきか行わないべきかの判断が容易にかつ正確になされる。それに伴い,劣化判定の精度も向上する。
その他,実施形態例1と同様の作用効果を有する。
なお,炭化水素量は上記のごとく直接測定することも可能であるが,機関運転情報から推定することも可能である。
【0056】
実施形態例4
本例は,図10に示すごとく,車両及び触媒コンバータ2周囲の環境情報を検出する環境情報検出手段16を付加した触媒劣化判定装置104の例である。該環境情報検出手段16により計測されたデータは,ダミー触媒排出ガス温度推定手段12に送られる(図10)。
【0057】
上記環境情報検出手段16では,車両周囲の外気温度Tam,触媒周囲の風速V等が計測される。計測されたデータはダミー触媒排出ガス温度推定手段12に送られる。ここではまず,図2中のS104で初期出口ガス温度Toutn-1の推定がなされる。
実施形態例1では,冷却水温と25℃とが比較されたが,本例では冷却水温Twと外気温度Tamとが比較される。そして,両者の差より図11に示したマップ50を用いてToutn-1を決定される。
【0058】
このマップ50では,TwとTamとの差が小さい場合は前回のエンジン停止後から充分な時間が経過しているものと判断し,触媒の温度は外気温度と等しく,初期出口ガス温度も外気温度と同程度としてToutn-1=Tamとする。TwとTamとの差が大きい場合には,前回のエンジン停止からさほど時間が経過していないものとし,Toutn-1は前回動作時の最後の推定温度ToutoldとTamを用いて,図11のマップ50で決定される。
また,外気温度Tamと触媒コンバータ2周囲の風速Vはダミー触媒排出ガス温度推定手段12の神経回路網6に入力される。
その他は,実施形態例1と同様である。
【0059】
本例の触媒劣化判定装置104は,機関開始時のダミー触媒排出ガス温度を推定する為に外気温度を用いることで,精度の高いダミー触媒排出ガス温度を推定することが可能になる。例えば,夏期と冬期ではエンジン開始直後に出てくる触媒コンバータ2の出口ガス温度は異なる。本例ではこの差も区別して扱うことができ,ダミー触媒排出ガス温度の推定精度を向上させることができる。
【0060】
また,上記触媒劣化判定装置104では,周囲温度及び触媒周囲の風速もダミー触媒排出ガス温度推定の情報として上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段12に入力できる。これにより,触媒コンバータ2から周囲環境への熱伝導も考慮して,高精度なダミー触媒排出ガス温度の推定が可能になる。
その他,実施形態例1と同様の作用効果を有する。
なお,上記の環境情報については直接測定することも可能であるが,スピードメーター等の情報から推定することも可能である。
【0061】
実施形態例5
本例は,図12に示すごとく,触媒コンバータ2に入る排出ガスの流量を測定する流量測定手段17を触媒コンバータ2の入口21の入口配管41に設置した触媒劣化判定装置105の例である。
【0062】
上記触媒劣化判定装置105においては,触媒コンバータ2に入る排出ガスの流量が上記流量測定手段17によって直接計測される。そして,その結果はダミー触媒排出ガス温度推定手段12に入力される。即ち,該ダミー触媒排出ガス温度推定手段12では,実施形態例1でのデータ以外に排出ガス流量も利用してダミー触媒排出ガス温度の推定をする。排出ガス流量は図2のアルゴリズムにおけるS102において計測される。
【0063】
本例では,触媒コンバータ2の入口21の排出ガスの流量を上記流量測定手段17によって直接計測するため,推定誤差が生じることなく,高精度で入口21のガス流量を得ることができる。その結果として一層高精度なダミー触媒排出ガス温度を推定することができ,劣化判定精度も一層向上する。
その他,実施形態例1と同様の作用効果を有する。
【0064】
上述した実施形態例では,触媒出口ガス温度による劣化判定の是非については考慮されていなかった。しかし,一般に触媒はある活性温度以上にならないと反応が生じないという特徴がある。そのため,機関開始直後のような触媒温度が低温の場合には劣化していない触媒であっても触媒反応が生じない場合がある。
この問題を解決するため,出口ガス温度の値を調べ,あるしきい値以上の場合のみ劣化判定を下すようにアルゴリズムを組むことも可能である。
【0065】
また,上記実施形態例ではそれぞれの検出手段を単独で用いたが,それらを複数個同時に用いることも可能であり,これより更に高精度に,ダミー触媒排出ガス温度を推定することができ,その結果劣化判定精度も更に向上する。
【0066】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,容易かつ正確に触媒劣化の判定を行うことができる触媒劣化判定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,触媒劣化判定装置の構成図。
【図2】実施形態例1における,触媒劣化判定のフロー図。
【図3】実施形態例1における,初期出口ガス温度を決定するためのマップ図。
【図4】実施形態例1における,神経回路網の概念図。
【図5】実施形態例1における,神経回路網の各素子内の演算の説明図。
【図6】実施形態例2における,触媒劣化判定装置の構成図。
【図7】実施形態例2における,ダミー触媒排出ガス温度推定手段による推定結果を表す線図。
【図8】実施形態例3における,触媒劣化判定装置の構成図。
【図9】実施形態例3における,炭化水素検出手段を用いる場合の図2のS108の置換え部分を表す図。
【図10】実施形態例4における,触媒劣化判定装置の構成図。
【図11】実施形態例4における,初期出口ガス温度を決定するためのマップ図。
【図12】実施形態例5における,触媒劣化判定装置の構成図。
【符号の説明】
1,102,103,104,105...触媒劣化判定装置,
11...出口ガス温度検出手段,
12...ダミー触媒排出ガス温度推定手段,
13...劣化判定手段,
14...入口ガス温度検出手段,
15...炭化水素検出手段,
16...環境情報検出手段,
17...流量測定手段,
2...触媒コンバータ,
21...入口,
22...出口,
3...エンジンコントロール用コンピュータ,
41...入口配管,
42...出口配管,
5...マップ,
6...神経回路網,

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気系に設けられた触媒コンバータの触媒の劣化を判定する触媒劣化判定装置であって,
    該触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータの出口ガス温度を検出する出口ガス温度検出手段と,
    下記に示すダミー触媒排出ガス温度を推定するダミー触媒排出ガス温度推定手段と,
    上記出口ガス温度検出手段により検出した出口ガス温度と上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段により推定したダミー触媒排出ガス温度を基に,触媒の劣化を判定する劣化判定手段とを有し,
    上記ダミー触媒排出ガス温度は,上記触媒コンバータが実質的に触媒を担持していないダミー触媒であるとした場合の出口ガス温度であることを特徴とする触媒劣化判定装置。
  2. 請求項1において,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,非線形変換機能と学習機能を有する神経回路網で構成されていることを特徴とする触媒劣化判定装置。
  3. 請求項1又は2において,上記触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータに入る入口ガス温度を検出する入口ガス温度検出手段を有し,
    かつ,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,上記入口ガス温度検出手段により検出した入口ガス温度を用いてダミー触媒排出ガス温度を推定することを特徴とする触媒劣化判定装置。
  4. 請求項1又は2において,上記触媒劣化判定装置は,上記触媒コンバータに入る入口ガス温度を推定する入口ガス温度推定手段を有し,
    かつ,上記ダミー触媒排出ガス温度推定手段は,上記入口ガス温度推定手段により推定した入口ガス温度を用いてダミー触媒排出ガス温度を推定することを特徴とする触媒劣化判定装置。
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