JP3788299B2 - 高張力鋼板の抵抗溶接継手およびその溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、産業機器などの分野で高張力鋼板に抵抗溶接を行って溶接継手を構成する際の、溶接部が破断しにくい高張力鋼板の抵抗溶接継手およびそのための溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スポット溶接をはじめとする抵抗溶接法は、簡便で生産性の高い優れた溶接方法であるため、自動車の組み立てラインなど、様々な分野で広く用いられている。なお、以下では抵抗溶接としてスポット溶接を例として説明する。
【0003】
近年、自動車燃費向上のための車体軽量化および衝突安全規制強化に伴う安全性向上を目的として、高張力鋼板の適用が進められている。高張力鋼板の接合には主にスポット溶接が用いられる。また得られた溶接継手の継手性能は、引張せん断試験、十字引張試験、疲労試験、高速引張試験等により評価されている。
【0004】
通常、鋼板の場合、スポット溶接部の静的強度は引張りせん断試験により評価されるが、この試験における重要な評価指標としては継手強度および破断形態がある。継手強度は溶接金属部であるナゲットの大きさにより概ね決まるため、所定の強度を得るためには所定のナゲット径を確保することが重要であると考えられてきた。
【0005】
ナゲット径はJIS Z3140 に示されているように、通常は板厚の関数として与えられ、必要な継手強度に応じてJIS に規定されているナゲット径を品質基準とすることが多い。例えば最も継手強度の必要なA級継手では、最小ナゲット径が4.25√t(tは板厚(mm)を意味する)以上であることが規定されている。
【0006】
図1はスポット溶接継手に引張りせん断試験を行った場合の破断形態を概念的に示す断面図であり、図1(a)は母材破断の場合を、図1(b)はナゲット内破断の場合である。図1で、符号1は母材、符号2は溶接金属部(ナゲット部)、符号dn はナゲットの直径(ナゲット径)、符号3は破断部を表す。
【0007】
ナゲット内破断が生じると十分な継手強度が得られにくくなり、好ましくない。従って引張りせん断試験においては母材破断となるように溶接するのが好ましい。
【0008】
母材強度が350MPaクラスに満たない鋼板のスポット溶接継手では、実用的な条件で溶接している限り、引張せん断試験を行っても溶接部で破断することはなく、図1(a)に示す母材破断が生じる。
【0009】
これに対し、母材強度が350MPaクラス以上の高張力鋼板のスポット溶接継手では、図1(b)に示すナゲット内破断が生じやすくなる。これは母材強度を高めても、溶接部の強度はさほど高くならず、相対的に溶接部の強度が低下するためである。このため、通常の方法では比較的大きなナゲット径(4.25√t以上)を有する溶接部であってもナゲット内破断を完全に防止するのは困難であった。
【0010】
母材破断とするにはナゲット径を大きくすればよいが、これは設備の大型化や施工上の制約増加などのために容易におこなえるものではない。またスポット溶接の溶接電流範囲の上限はチリ発生電流値まで、といわれているが、高張力鋼板の場合、一般にチリ発生電流値が低いため、大きなナゲット径を得るのは自ずと限界がある。
【0011】
特開2001−9573号公報には、ナゲット径を大きくすることなく、ナゲット内破断が生じにくい高張力鋼板の溶接継手およびそのための溶接方法が提案されている。上記公報で提案された溶接継手はナゲット外側の熱影響部の大きさを狭くすることにより破断形態を母材破断とするものであり、溶接条件を選択することによって上記のような継手を得ようとするものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特開2001−9573号公報で提案された溶接継手を得るには、溶接条件を特定範囲に限定する必要があり、生産性や作業効率の面から必ずしも満足なものではない。また上記公報で提案された溶接継手では、継手強度が通常の方法で得られる継手強度よりも低下するという問題もある。
【0013】
以上述べたように高張力鋼板の溶接継手においては、より小さいナゲット径で母材破断する溶接継手が求められているものの、これらの課題を解決する満足な方法は未だ明らかになっていない。
【0014】
本発明の目的は、上記のような問題点を改善し、母材強度が引張強さで 350MPa 以上の高張力鋼板の抵抗溶接による溶接継手において、ナゲット径を大きくすることなくナゲット内破断しにくい溶接継手、特に4.25√t 以上のナゲット径に対して、ナゲット内破断しない溶接継手およびそのための溶接方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、様々な高張力鋼板についてスポット溶接試験をおこない、引張せん断試験における溶接継手の破断強度および破断形態に影響を及ぼす種々の要因について検討をおこなった。その結果、溶接金属部であるナゲット部の化学組成が特定の関係を満足する場合に、4.25√t 以上のナゲット径に対してナゲット内破断しない溶接継手が得られることを見いだした。
【0016】
引張せん断試験において母材で破断する場合の破断強度をFB 、ナゲット内で破断する場合の破断強度をFN とすると、引張せん断試験においていづれの破壊形態になるかは、FB とFN との大小関係により決定される。つまり、
FB >FN である場合はナゲット内破断、
FB <FN である場合は母材破断、
が生じる。
【0017】
母材破断はナゲット外周部で破断するものであるから、引張せん断試験における母材破断強度をFB とすると、FB とナゲットの直径(dn )、母材の厚さ( t)および母材の引張強さ(TS)との間には下記式で表される関係がある。
FB =a×dn ×t×TS (a:定数)
また、ナゲット内破断強度はナゲットの断面積と対応関係にあるから、引張せん断試験におけるナゲット内破断強度をFN 、ナゲット部のせん断強度をτとすると、FN とdn およびτとの間には下記式で表される関係がある。
FN =b×τ×dn 2 (b:定数)
ナゲット径が4.25√t 以上となるように溶接し、かつ、引張せん断試験においてナゲット内破断を生じず、母材破断を生じさせるには、上記関係式より、TS<c×τ/√t (c :定数)なる関係が満されればよい。
【0018】
本発明者等は種々の化学組成と強度を有する種々の厚さの高張力鋼板を母材とし、これらをスポット溶接して得た溶接継手について引張せん断試験をおこない、その解析結果から、前記定数cとナゲット部のせん断強度τとの積(c×τ)とナゲット部の化学組成との間には、次式の関係が成立することを知った。
c×τ=2561( C+Mn/313 +Si/255 +Ni/90.8+Cr/98.7+Mo/92.3+V/95.6 +Ti/94.6+Nb/88.5+Cu/90.6+Al/354 +B/51.4)+350
ただし、上記各元素はナゲット部での含有量(質量%)を意味する。
【0019】
すなわち、上記式の右辺の値をQとし、母材鋼板のTSと√tとの積の内、最も小さい値を(TS×√t)min とすると、溶接金属部の化学組成が(TS×√t)min <Qなる関係を満たす場合には、4.25√t 以上のナゲット径に対してナゲット内で破断せず母材で破断させることができる。
【0020】
他方、Q値が過度に大きくなるとナゲット部の靱性が低下し、他の継手特性 (十字引張特性等) に悪影響を及ぼす。本発明者等の調査結果によればQ値が1150以下であればこのような問題が生じることはないことも判明した。
【0021】
抵抗溶接における溶接金属部の化学組成は、各母材の化学組成と各母材の希釈率により決まる。従って溶接金属部の化学組成は、各母材の化学組成および板厚の組合せを調整することで、任意の範囲に調整することができる。
【0022】
母材が例えば表面処理を施された鋼板を溶接する場合や、例えばいずれの母材とも化学組成が異なる金属片や金属箔など(以下、単に「金属片」と記す)を母材間に介在させて溶接する場合でも本発明は有効である。上記方法においては、表面処理や金属片の合金元素含有量を調整することにより、溶接金属部の化学組成を所望の範囲に調整することもできる。
【0023】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)母材強度が引張強さで350MPa以上である複数の高張力鋼板に抵抗溶接を施して得た溶接継手であって、その溶接金属部は、質量%で、C:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜3%、Si:0.01〜2%、Ni:0.01〜1%、V:0.01〜1%、B:0.0001〜0.001%、Cr:0.01〜1%、Mo:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜1%、Cu:0.01〜1%およびAl:0.01〜2%を含有し、残部がFe および不可避的不純物からなり、溶接金属部の化学組成により下記式1で計算される値Qが、母材の引張強さをTS(MPa)、母材の板厚をt(mm)として前記複数の高張力鋼板の各々について求められるTS×√tの中での最小値である(TS×√t)min以上を満足する化学組成を備えたものであることを特徴とする高張力鋼板の抵抗溶接継手。
【0024】
【数2】
【0025】
ここで、式中における各元素記号は、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
【0027】
(2)前記溶接金属部の化学組成が、質量%で、C:0.03%以上〜0.2%以下、Mn:0.1%以上2.5%以下、Si:0.1%以上1.5%以下、Ni:0.1%以上0.5%以下、V:0.1%以上0.8%以下、B:0.0003%以上0.0008%以下、Cr:0.1%以上0.8%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、Ti:0.1%以上0.8%以下、Nb:0.1%以上0.8%以下、Cu:0.1%以上0.8%以下、およびAl:0.1%以上1.5%以下のうち何れかの条件を満足することを特徴とする上記(1)に記載の高張力鋼板の抵抗溶接継手。
【0028】
(3)引張強さが350MPa以上である複数の高張力鋼板を母材とする抵抗溶接方法であって、その溶接金属部が、質量%で、C:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜3%、Si:0.01〜2%、Ni:0.01〜1%、V:0.01〜1%、B:0.0001〜0.001%、Cr:0.01〜1%、Mo:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜1%、Cu:0.01〜1%およびAl:0.01〜2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、溶接金属部の化学組成から上記(1)に記載の式1で計算される値Qが、母材の引張強さをTS(MPa)、母材の板厚をt(mm)として前記複数の高張力鋼板の各々について求められるTS×√tの中での最小値である(TS×√t)min以上を満足するように、抵抗溶接すべき両母材の化学組成を考慮して、少なくとも一方の母材の化学組成を調整することを特徴とする高張力鋼板の抵抗溶接方法。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で化学組成を表す%表示は質量%を意味する。
【0030】
母材:
本発明が対象とする母材鋼板は、引張強さが350MPa以上の高張力鋼板である。引張強さが350MPaに満たない場合には、溶接金属部の化学組成を調整しなくてもナゲット内破断が生じることはない。
【0031】
母材の厚さは特に限定するものではないが、製造上の制約から、0.8mm 以上とするのが望ましい。厚さの上限も特に限定するものではないが、通常スポット溶接等に供する鋼板の板厚は2mm以下であることから、2mm以下とするのが望ましい。
【0032】
上記以外は任意であり、例えば鋼種はDP (デュアルフェイズ) 鋼や析出強化鋼など、公知の任意の高張力鋼板に適用できる。品種でいえば、熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板、およびこれらに溶融めっき、電気めっき、浸炭等の表面処理を施した鋼板など、任意の種々のものを用いることができる。
【0033】
通常の抵抗溶接では2枚の鋼板を母材として溶接する場合が多いが、3枚以上の鋼板を溶接する場合でも本発明は有効である。
溶接金属部の化学組成:
ナゲット径が4.25√t以上であるスポット溶接部の引張せん断試験における破断形態を母材破断とするために、溶接金属部の化学組成は、下記式1で計算される値Qが、(TS×√t)min 以上を満足するものとする。
【0034】
【数3】
【0035】
ここで、TSは母材の引張強さ、tは母材の厚さであり、(TS×√t)min は、母材のTSと√tとの積を母材ごとに計算した時の最小値である。つまり、接合すべき両母材の値のうちの小さいほうの値をいう。
【0036】
Qが、(TS×√t)min に満たない場合には4.25√t以上のナゲット径になるようにスポット溶接を施しても引張せん断試験においてナゲット内で破断する。Qが1150を超える場合にはナゲット部靱性が低下し、他の継手特性が劣化するため好ましくない。
【0037】
溶接金属部の各合金元素の含有量は特に限定するものではないが、以下に述べる範囲とするのが望ましい。
C:Cは溶接金属部(ナゲット部)の焼入れ性を向上させ、そのせん断強度を高める作用があるので、母材破断とするのに有効な元素である。しかしながらC含有量が0.001 %に満たない場合には上記効果がほとんど期待できず、また、0.3 %を超える場合にはナゲット部の靭性が低下し、他の継手特性(十次引張特性等)に悪影響を及ぼすようになる。従って望ましいC含有量は0.001 %以上、0.3 %以下である。より望ましくは0.03%以上、0.2 %以下である。
【0038】
Mn :Mn はナゲット部の焼入れ性を向上させ、そのせん断強度を高めるのに有効な元素である。しかしながらMn 含有量が0.01%に満たない場合には上記効果は不十分であり、また 3%を超える場合にはその効果が飽和するのでそれ以上含有させるのはコストが高くなるのみである。従ってMn 含有量は0.01%以上、3 %以下とするのが望ましい。より望ましくは0.1 %以上、2.5 %以下である。
【0039】
Si :Si はナゲット部の焼入れ性を向上させ、そのせん断強度を高めるのに有効な元素である。しかしながらSi 含有量が0.01%に満たない場合には上記効果は不十分であり、2%を超える場合には上記効果が飽和し、逆に焼入れ性を低下させて強度低下を招く場合がある。従って望ましいSi 含有量は0.01%以上、2 %以下である。より望ましくは0.1 %以上、1.5 %以下である。
【0040】
Ni 、V、B:これらの元素はナゲット部焼入れ性を向上させ、そのせん断強度を高めるのに有効な元素である。しかしながらある限度を超えて含有させても、上記効果が飽和し、コスト上昇を招く。従って望ましい含有量は、Ni については0.01以上、1 %以下、Vについては0.01%以上、1 %以下、Bについては0.0001%以上、0.001 %以下である。
【0041】
より望ましくはNi については0.1 %以上、0.5 %以下、Vについては0.1 %以上、0.8 %以下、Bについては0.0003%以上、0.0008%以下である。
Cr 、Mo 、Ti 、Nb 、Cu 、Al :これらの元素は、ナゲット部焼入れ性を向上させ、そのせん断強度を高めるのに有効な元素である。しかしながらある限度を超えて含有させても、上記効果が飽和するうえ、ナゲット部の靭性低下を招く。従って望ましい含有量は、Cr については0.01%以上、1 %以下、Mo については0.01%以上、1%以下、Ti については0.01%以上、1 %以下、Nb については0.01%以上、1 %以下、Cu については0.01%以上、1 %以下、Al については0.01%以上、2 %以下である。
【0042】
より望ましくはCr については0.1 %以上、0.8 %以下、Mo については0.1 %以上、0.8 %以下、Ti については0.1 %以上、0.8 %以下、Nb については0.1 %以上、0.8 %以下、Cu については0.1 %以上、0.8 %以下、Al については0.1 %以上、1.5 %以下である。
【0043】
上記以外はFe および不可避的不純物であるが、上記以外の合金元素が溶接金属中に不可避的に含有される場合でも、式1で計算される値Qが、(TS×√t)min 以上、1150以下を満足する限り、継手特性を大きく損なうことはない。
【0044】
溶接金属部の化学組成は、各母材の化学組成と各母材の希釈率により決まる。また、母材が例えば表面処理を施された鋼板である場合や、母材以外に化学組成が異なる金属箔などを、例えば母材間に挟持させて溶接する場合でも本発明は有効である。その場合にも金属箔の化学組成を含めて三者の希釈率に従って溶接金属の化学組成が求まる。上記金属箔を挟持させる方法は溶接金属部の化学組成を調整する手段として用いるのも有効である。
【0045】
溶接方法:
本発明の溶接継手を得るための溶接方法は特に限定しないが、溶接条件としては、下記の条件内でおこなうのが望ましい。
加圧力:3430〜4900(N) 、
通電時間:0.1 〜0.4(s)、
電流値:5800〜10000(A)、
電極保持時間:0〜1(s)。
【0046】
上記以外は公知の方法から適宜選択して行えばよい。
【0047】
【実施例】
(実施例1)
種々の化学組成を有し、厚さが1.18〜1.62mmで引張強さが350MPa以上である種々の冷延鋼板を母材として用いた。各母材鋼板からJIS-Z3136 に準拠して引張せん断試験片を作製し、その溶接接合面を脱脂後、チリ発生電流値以下でナゲット径一定(4.25√t)となるようにしてスポット溶接を行った。表1に溶接条件を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
母材の化学組成は固体発光分析法で分析した。溶接箇所の溶接金属部の化学組成は、母材表面を切削除去した後エッチングを施して溶接金属部を確認し、そこから溶接金属部だけを切り出し、化学分析法により測定した。母材の引張強さは、JIS-5 号試験片による引張試験により調査した。得られたスポット溶接継手はJIS-Z3136 に準拠する引張せん断試験に供し、それぞれの破断形態を調査した。これらの化学組成、引張強さおよび破断形態をまとめて表2と表3に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
表2に示すように、本発明が規定する条件を満足する継手番号1〜6は、4.25√tなるナゲット径に対しても母材で破断した。これに対し、表3に示すように、溶接金属部の化学組成から式1で計算される値Qが、(TS×√t)min 以上を満足しなかった継手番号7〜12ではすべてナゲット内破断であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明の溶接継手は、母材強度が引張強さで 350MPa 以上の高張力鋼板の抵抗溶接継手の信頼性を高めることができ、特に自動車の軽量化に有効な溶接継手が実現されるため、工業的に大きい意義を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】抵抗溶接継手の引張せん断試験による破断位置を示す模式的説明図であって、図1(a)は母材破断の場合を、図1(b)はナゲット内破断の場合を示す。
【符号の説明】
1:母材
2:溶接金属部(ナゲット部)
dn :ナゲット径
3:破断部
Claims (3)
- 母材強度が引張強さで350MPa以上である複数の高張力鋼板に抵抗溶接を施して得た溶接継手であって、その溶接金属部は、質量%で、C:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜3%、Si:0.01〜2%、Ni:0.01〜1%、V:0.01〜1%、B:0.0001〜0.001%、Cr:0.01〜1%、Mo:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜1%、Cu:0.01〜1%およびAl:0.01〜2%を含有し、残部がFe および不可避的不純物からなり、溶接金属部の化学組成により下記式1で計算される値Qが、母材の引張強さをTS(MPa)、母材の板厚をt(mm)として前記複数の高張力鋼板の各々について求められるTS×√tの中での最小値である(TS×√t)min以上を満足する化学組成を備えたものであることを特徴とする高張力鋼板の抵抗溶接継手。
- 前記溶接金属部の化学組成が、質量%で、C:0.03%以上〜0.2%以下、Mn:0.1%以上2.5%以下、Si:0.1%以上1.5%以下、Ni:0.1%以上0.5%以下、V:0.1%以上0.8%以下、B:0.0003%以上0.0008%以下、Cr:0.1%以上0.8%以下、Mo:0.1%以上0.8%以下、Ti:0.1%以上0.8%以下、Nb:0.1%以上0.8%以下、Cu:0.1%以上0.8%以下、およびAl:0.1%以上1.5%以下のうち何れかの条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の高張力鋼板の抵抗溶接継手。
- 引張強さが350MPa以上である複数の高張力鋼板を母材とする抵抗溶接方法であって、その溶接金属部が、質量%で、C:0.001〜0.3%、Mn:0.01〜3%、Si:0.01〜2%、Ni:0.01〜1%、V:0.01〜1%、B:0.0001〜0.001%、Cr:0.01〜1%、Mo:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜1%、Cu:0.01〜1%およびAl:0.01〜2%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、溶接金属部の化学組成から請求項1に記載の式1で計算される値Qが、母材の引張強さをTS(MPa)、母材の板厚をt(mm)として前記複数の高張力鋼板の各々について求められるTS×√tの中での最小値である(TS×√t)min以上を満足するように、抵抗溶接すべき両母材の化学組成を考慮して、少なくとも一方の母材の化学組成を調整することを特徴とする高張力鋼板の抵抗溶接方法。
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