JP2020082104A - 接合構造体及び接合構造体の製造方法 - Google Patents

接合構造体及び接合構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接後にナゲット及びコロナボンドの割れが発生し難い接合構造体及びその製造方法を提供する。【解決手段】高張力鋼からなる第1部材11Aと、第1部材11Aに重ねられ、高張力鋼からなる第2部材11Bとが抵抗溶接されてなる接合構造体10は、第1部材11Aと第2部材11Bのギャップが0mm超、3mm未満であり、第1部材11Aと第2部材11Bの接合部には、ナゲットが形成されていない、又はナゲットが形成される場合には、ナゲットの径D1は、D1<5mmを満足するとともに、第1部材11Aにおける第2部材11Bとの重ね面と、第2部材11Bにおける第1部材11Aとの重ね面の少なくとも一方には脱炭層13が設けられる。【選択図】図1A

Description

本発明は、接合構造体及び接合構造体の製造方法に関する。
近年、CO排出量の削減を目的とした車体軽量化や衝突安全性強化を実現するため、自動車のボディ骨格等に高張力鋼板(High Tensile Strength Steel;HTSS)が広く採用されている。また、自動車の車体の組立や部品の取付けなどでは、主として、スポット溶接が使用されており、高張力鋼板の溶接にも適用されている。
接合構造体は、高張力鋼板を、スポット溶接装置の上下一対の溶接電極により挟持して加圧し、溶接電極間に通電することで形成される。この場合、高張力鋼板の接合部にはナゲットが形成されると共に、ナゲットの周囲にコロナボンドが形成される。
しかしながら、抵抗溶接される高張力鋼板間にギャップ(「隙間」又は「板隙」という)がある状態で抵抗溶接をすると、板厚方向に引張応力が負荷されるため、ナゲットが小さい場合やナゲット硬さが大きい場合、溶接後にナゲット及びコロナボンドに割れが生じる問題がある。
特許文献1には、予備加熱によりワークの隙間をなくした後、休止し、予備通電を行って電極間の抵抗を安定させた後、休止期間を設け、次いで目標熱量になるように溶接電流を制御して本通電を行うことにより、ワーク間に隙間がある場合でも溶接不良の発生を防止することが記載されている。
また、特許文献2には、本通電に先立ち、初期通電を付与することで、鋼板を軟化させて板同士を密着させ、散りを発生させずに十分の径のナゲットを形成できることが記載されている。
さらに、特許文献3には、高強度めっき鋼板のスポット溶接において、(a)溶接後の保持時間を一定の値以上に設定し、溶接通電時間を一定の範囲内に減少させる、(b)溶接通電後、引き続き一定の条件で後通電を行う、(c)溶接後の保持時間を一定の値以上に設定し、溶接通電後、加圧力を一定の範囲内で増加させる、(d)一定の組成を有する高強度めっき鋼板を用い、溶接後の保持時間を一定の値以上に設定して溶接する、ことにより溶接部の割れ発生を防止できることが記載されている。
特開2002−96178号公報 特開2016−41441号公報 特開2003−103377号公報
しかしながら、特許文献1及び2では、予備通電(初期通電)を行うため、タクトタイムが長くなり、コストアップの要因となる。また、溶接後に発生するナゲット割れに関して記載されていない。
また、特許文献3では、保持時間の増加はタクトタイムが長くなり、コストアップの要因となる。また、鋼板成分の制限は、機械的特性の確保が困難となるため望ましくない。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接後にナゲット及びコロナボンドの割れが発生しにくい、さらには溶接される高張力鋼間にギャップがある状態で溶接されても、ナゲット及びコロナボンドの割れが発生しにくい接合構造体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、接合構造体に係る下記(1)の構成により達成される。
(1) 高張力鋼からなる第1部材と、前記第1部材に重ねられ、高張力鋼からなる第2部材とが抵抗溶接されてなる接合構造体であって、
前記第1部材と前記第2部材のギャップが0mm超、3mm未満であり、
前記第1部材と前記第2部材の接合部には、ナゲットが形成されていない、又は前記ナゲットが形成される場合には、前記ナゲットの径D1は、D1<5mmを満足するとともに、
前記第1部材における前記第2部材との重ね面と、前記第2部材における前記第1部材との重ね面の少なくとも一方には脱炭層が設けられることを特徴とする接合構造体。
また、接合構造体に係る本発明の好ましい実施形態は、以下の(2)及び(3)に関する。
(2) 前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも一方の前記高張力鋼の炭素量が0.35質量%以上である、上記(1)に記載の接合構造体。
(3) 前記ナゲットの周囲には、コロナボンドが形成され、
前記コロナボンドの径D2は、D1<D2、かつ、D2<7mmである、上記(1)又は(2)に記載の接合構造体。
また、本発明の目的は、接合構造体の製造方法に係る下記(4)の構成により達成される。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の接合構造体の製造方法であって、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方の表面に形成された前記脱炭層が、前記第1部材と前記第2部材の間に介在するように、前記第1部材と前記第2部材を重ね合わせた後、一対の電極によって前記第1部材と前記第2部材とを挟んで、加圧しながら通電することで、前記第1部材と前記第2部材を抵抗溶接する接合構造体の製造方法。
本発明の接合構造体によれば、第1部材と第2部材のギャップが0mm超、3mm未満であり、第1部材と第2部材の接合部には、ナゲットが形成されていない、又はナゲットが形成される場合には、ナゲットの径D1は、D1<5mmを満足するとともに、第1部材における第2部材との重ね面と、第2部材における第1部材との重ね面の少なくとも一方には脱炭層が設けられるので、溶接前において第1部材と第2部材の間にギャップがある状態で抵抗溶接されても、溶接後にナゲット及びコロナボンドの割れが発生し難くなる。
また、本発明の接合構造体の製造方法によれば、第1部材及び第2部材の少なくとも一方の表面に形成された脱炭層が、第1部材と第2部材の間に介在するように重ね合わせた後、一対の電極によって挟持し、加圧しながら通電することで抵抗溶接するので、溶接後におけるナゲット及びコロナボンドの割れを防止できる。
図1Aは、一対の高張力鋼板が溶接前に重ね合わされた状態を示す断面模式図である。 図1Bは、図1Aの一対の高張力鋼板が抵抗溶接される状態を示す断面模式図である。 図1Cは、図1Aの一対の高張力鋼板が抵抗溶接されてナゲット及びコロナボンドが形成された状態を示す断面模式図である。 図2は、スペーサを挟むことでギャップが設けられた高張力鋼板が抵抗溶接される状態を示す模式図である。
以下、本発明に係る一実施形態の接合構造体、及びその製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の接合構造体10は、図1Aに示すように、複数(図1に示す実施形態では2枚)の高張力鋼板11(11A,11B)同士を抵抗溶接(抵抗スポット溶接)することで形成されるものである。
具体的には、図1Bに示すように、重ね合された2枚の高張力鋼板11A,11Bを、スポット溶接装置の上下一対の溶接電極12A,12Bにより挟持して加圧し、溶接電極12A,12B間に通電することで、高張力鋼板11A,11Bの接触部が溶融して接合部17が形成される。これにより、図1Cに示すように、高張力鋼板11A,11Bの接合部17には、ナゲット14が形成されると共に、ナゲット14の周囲にコロナボンド15が形成される。
一般的に、鋼板間にギャップgがある状態で高張力鋼板11が溶接される場合、板厚方向に引張応力が負荷されるため、特に、ナゲット14が小さい場合に、溶接後にナゲット14及びコロナボンド15に割れが生じるおそれがある。
高張力鋼板11A,11Bの間にギャップgがある状態で溶接されると、散りの発生やナゲット14及びコロナボンド15での割れが発生し易くなる。そこで、本実施形態の高張力鋼板11A,11Bでは、溶接時にナゲット14及びコロナボンド15の組織が軟化することで割れが発生し難くなることから、重ね合わされる面の少なくとも一方の面に脱炭層13を設けることで、割れを抑制する。
また、高張力鋼板においては、鋼板中の炭素量(C量)が高くなる(例えば、0.35質量%以上)場合、溶接により形成されるナゲット14と熱影響部の硬さが増加する。そのため、溶接部の割れ感受性が高まることから、上記したような、溶接後にナゲット14及びコロナボンド15に割れが生じる可能性が高くなる。より詳細には、炭素量が高い高張力鋼板11同士が抵抗溶接された場合、ナゲット14及びコロナボンド15は硬く脆い組織となり、固相接合されているコロナボンド15での割れや剥がれが、ナゲット14に伝播して割れが生じる。
以下、本実施形態の接合構造体10に使用される高張力鋼板11について、まず説明する。
高張力鋼板11の成分量は特に限定されないが、好ましくは590MPa以上の強度を有する。なお、高張力鋼板11としては、780MPa級以上、980MPa級以上のものであってもよい。
以下、鋼中に含まれる各元素(C、Si、Mn、P、S及びその他の金属元素)の含有量の望ましい範囲及びその範囲の限定理由を以下で説明する。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%である。また、「〜」とは、その下限の値以上、その上限の値以下であることを意味する。
[C:0.05〜0.60%]
Cは鋼の母材強度向上に寄与する元素であるため、高張力鋼板11には必須な元素である。そのため、C含有量は0.05%以上とすることが好ましい。一方、過剰に添加すると、溶融凝固部(ナゲット14)及び圧接部(コロナボンド15)の硬度が高くなり、溶接後の割れ発生が抑制できない。そのため、C含有量の上限は、好ましくは0.60%以下、より好ましくは0.40%以下、更に好ましくは0.20%以下とする。
[Si:0.01〜3.00%]
Siは脱酸に寄与する元素である。そのため、Si含有量の下限は0.01%以上とすることが好ましい。一方、過剰に添加すると、焼戻し軟化抵抗が高くなり、溶融凝固部及び圧接部の硬度が高くなり、溶接後の割れ発生が抑制できない。そのため、Si含有量の上限は、好ましくは3.00%以下、より好ましくは2.00%以下、更に好ましくは1.00%以下とする。
[Mn:0.5〜5.0%]
Mnは焼入れ性向上に寄与する元素であり、マルテンサイトなど硬質組織を生成するために必須な元素である。そのため、Mn含有量の下限は0.5%以上とすることが好ましい。一方、過剰に添加すると、溶融凝固部及び圧接部の硬度が高くなり、溶接後の割れ発生が抑制できない。そのため、Mn含有量の上限は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは2.5%以下、更に好ましくは2.0%以下とする。
[P:0.05%以下(0%は含まない)]
Pは不可避的に鋼中へ混入する元素であるが、粒内及び粒界へ偏析しやすく、溶融凝固部及び圧接部の靭性を低下させるため、極力低減することが望ましい。そのため、P含有量の上限は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.04%以下、更に好ましくは0.02%以下とする。
[S:0.05%以下(0%は含まない)]
SはP同様、不可避的に鋼中へ混入する元素であるが、粒内及び粒界へ偏析しやすく、溶融凝固部及び圧接部の靭性を低下させるため、極力低減することが望ましい。そのため、S含有量の上限は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.04%以下、更に好ましくは0.02%以下とする。
[その他の金属元素]
上記C、Si、Mn、P及びS以外の元素は、
Al:1.0%以下(0%を含む)、
N:0.01%以下(0%を含む)、
Ti、V、Nb、Zrの合計で0.1%以下(0%を含む)、
Cu、Ni、Cr及びMoの合計で2.0%以下(0%を含む)、
B:0.01%以下(0%を含む)
Mg、Ca、REMの合計で0.01%以下(0%を含む)であることが好ましい。その他、残部はFe及び不可避的不純物であることが好ましい。不可避的不純物は、鋼の製造時に不可避的に混入する不純物であり、鋼の諸特性を害さない範囲で含有され得る。
一方、本実施形態の接合構造体10は、スポット溶接される高張力鋼板11A,11Bの重ね面の少なくとも一方に、脱炭層13を備えることで、ナゲット14は、高張力鋼板11A,11Bの鋼中の炭素量成分が希釈され、高張力鋼板11A,11Bの炭素量よりもナゲット14の炭素量が低くなる。つまり、ナゲット14の端部、及びコロナボンド15が軟質となり、靭性が向上して、高張力鋼板11A,11B間にギャップgがある状態で溶接されても(図2参照)、良好な剥離強度を有する接合状態となり、割れの発生を抑制することができる。
なお、脱炭層の厚さは、脱炭処理直後のサンプルに対して、光学顕微鏡や電子顕微鏡などによるフェライトを主層とする層の厚さを測定することなどにより判断する。
また、脱炭層13の組織は、フェライト、ベイナイト、マルテンサイトのうち少なくとも1種を含むものとする。軟質な組織ほど割れにくくなるため、脱炭層13は、フェライトを含み、ベイナイトとマルテンサイトのどちらか一種を含む組織であることがより好ましく、フェライトを含み、ベイナイト及びマルテンサイトは含まない組織がさらに好ましい。
脱炭層13を形成することによる割れ防止効果を有効に発揮させるためには、脱炭層13の厚さを5μm以上とし、好ましくは20μm以上、より好ましくは35μm以上、更に好ましくは50μm以上、より更に好ましくは80μm以上とする。しかし、脱炭層13の厚さが過剰に厚くなると、引張強度や疲労強度が低下するため、脱炭層13の厚さは200μm以下とし、好ましくは180μm以下、より好ましくは160μm以下とする。
なお、脱炭層13の上に、亜鉛又は亜鉛合金等の金属めっき皮膜が形成されていてもよい。また、これらの皮膜は、単独に用いた単層、又は複合させて組み合わせた複層で被覆されていてもよい。
また、ナゲット14におけるビッカース硬さは、ナゲット14の靱性に大きく影響し、割れ感受性を大きく左右する。ナゲット14のビッカース硬さが高すぎると、靭性が低く、良好な剥離強度が得られない。このため、ナゲット14の最軟化部におけるビッカース硬さは、700Hv以下であることが好ましく、500Hv以下であることがより好ましく、350Hv以下であることが更に好ましい。しかし、ナゲット14の最軟化部におけるビッカース硬さを200Hv未満とすることは鋼板11の特性上からして困難であるため、ナゲット14の最軟化部におけるビッカース硬さの下限を200Hvとするのがよい。
また、ナゲット14の径D1が大きいほど割れは発生し難い。一方、ナゲット14の径D1が小さすぎると、応力が分散しにくくなり、溶接後に割れが発生しやすくなる。
ここで、後述する実施例の結果で示すように、ナゲットの径D1が、D1>5mmを満足する場合には、たとえ脱炭層13を形成しなくとも、割れは発生し難い。その一方で、第1部材11Aと第2部材11Bの接合部に、ナゲット14が形成されていない(すなわち、ナゲットの径D1=0mm)、又はナゲット14が形成され、ナゲットの径D1が、D1<5mmを満足する場合には、脱炭層13を形成しなければ、溶接後のナゲット14及びコロナボンド15の割れが発生しやすくなる。
すなわち、本実施形態の接合構造体10は、第1部材11Aと第2部材11Bの接合部には、ナゲット14が形成されていない、又はナゲット14が形成され、ナゲットの径D1は、D1<5mmを満足する場合に、顕著に効果を発揮するものとなる。
よって、脱炭層13を形成することによる効果をより十分に発揮できるのは、好ましくはD1<4mmを満足する場合であり、より好ましくはD1<3mmを満足する場合であり、更に好ましくはD1<2mmを満足する場合であり、より更に好ましくはD1<1mmを満足する場合である。
上述したD1<5mmの条件に関連して、コロナボンド径D2は、D2<7mm、好ましくはD2<6mm、より好ましくはD2<5mmの条件を満足する場合に、脱炭層13を形成することによる効果をより十分に発揮できる。なお、コロナボンド径D2は、当然、ナゲット径D1より大きくなる(D2>D1)。
本実施形態では、高張力鋼板11A,11Bの重ね面の少なくとも一方に、脱炭層13を備えた状態で、抵抗スポット溶接が施されるが、溶接の際の前提条件として、高張力鋼板11A,11B間にギャップgがある状態(ギャップgが0mm超)で溶接される。ギャップgは、図1Aに示すように、溶接箇所における重ね合わせ面間のすきまであり、鋼板11の溶接箇所周辺の部分的な盛り上がり等で、高張力鋼板11A,11B間にギャップgを有したままスポット溶接が行われる場合がある。
ギャップgの上限としては、あまりに大きいと散りが発生しやすくなるため、ギャップgは3mm未満とし、2mm未満とするのが好ましい。3mm未満であれば、鋼板11の溶接箇所に局所的な変形が見られ、コロナボンド15の近傍に局所的な応力が発生する場合であっても、本実施形態を適用することで、割れを抑制できる。
また、ギャップgの下限としては、0mm超であり、本実施形態の効果をより高く発揮するためには、0.5mm以上とするのが好ましく、1.0mm以上とするのがより好ましい。
以上説明したように、本実施形態の接合構造体10によれば、第1部材11Aと第2部材11Bのギャップが0mm超、3mm未満であり、第1部材11Aと第2部材11Bの接合部には、ナゲット14が形成されていない、又はナゲット14が形成される場合には、ナゲット14の径D1は、D1<5mmを満足するとともに、第1部材11Aにおける第2部材11Bとの重ね面と、第2部材11Bにおける第1部材11Aとの重ね面の少なくとも一方には脱炭層13が設けられるので、溶接前において第1部材11Aと第2部材11Bの間にギャップgがある状態で抵抗溶接されても、溶接後にナゲット14及びコロナボンド15の割れが発生し難くなる。
また、本発明の接合構造体の製造方法によれば、高張力鋼板11A,11Bの少なくとも一方の表面に形成された脱炭層13が、高張力鋼板11Aと高張力鋼板11Bの間に介在するように重ね合わせた後、一対の電極12A,12Bによって挟持し、加圧しながら通電することで抵抗溶接するので、溶接後におけるナゲット14及びコロナボンド15の割れを防止できる。
本発明の効果を確認するため、以下に示す実施例、比較例及び参考例では、表1に示す試料A1、A2、B1及びB2の鋼板11を2枚重ね合わせて使用し、下記溶接条件及びギャップgで溶接した後、剥離及び割れの有無を確認した。
表1に示す鋼種S35C及びS45Cの各々に対し、鋼板11の両表面に表面軟質層としての脱炭層13を形成したもの(A2、B2)と、脱炭層を形成しないもの(A1、B1)を準備した。脱炭層13の厚さ(深さ)は、表1及び表2に示すように、鋼種S35C及びS45Cいずれも種々のものを準備した。脱炭層13は、大気炉において700℃〜950℃の温度で15分〜1時間保持する条件により形成された。熱処理により発生したスケールを酸洗処理(酸洗液:10〜50%塩酸、温度:25〜82℃、酸洗時間:20〜3600秒)により除去した。
Figure 2020082104
(溶接条件)
溶接機はエア加圧式単相交流溶接機とし、溶接電極は上下ともに、先端径6mm(先端R40mm)のドームラジアス型(DR電極)のクロム銅電極とした。溶接電極を流れる冷却水量は上下ともに1.5L/minとした。以下、その他の溶接条件を示す。
・通電条件
加圧力:550kgf
電流値:5〜9kA
通電時間:0.3sec
ホールドタイム:0.16sec
・ギャップ
実施例1、実施例2、比較例1、参考例1及び参考例2では、ギャップgを1mmに設定し、実施例3〜6、比較例2〜5及び参考例3では、ギャップgを2mmに設定した。ギャップgは、図2に示すように、125×40mmの高張力鋼板11A,11B間に40×40mm、板厚1mm又は2mmのスペーサ16を両端に挟み、高張力鋼板11A,11Bとスペーサ16とをクランプしてギャップgを設定した。従って、ここで言うギャップgとは、スペーサの板厚Hのことである。
(剥離及び割れの有無の確認)
溶接後の接合構造体10は、溶接部の外観を目視観察することで、剥離の有無を確認した。なお、剥離とは、高張力鋼板11A,11B同士が接合されておらず、完全に分離している状態のことである。さらに、剥離が確認されない場合、X線透過試験、及び断面マクロ観察より割れの有無を確認した。断面マクロ観察位置は、継手長手方向と平行な面とした。割れの有無の確認は、エッチングなしで行い、ナゲット径の測定は、ピクリン酸飽和水溶液によるエッチングを行って測定した。
高張力鋼板11A,11Bの脱炭層13の深さ、両高張力鋼板11A,11B間のギャップgを変更して行った試験の評価結果として、ナゲット径D1、コロナボンド径D2及び「剥離及び割れの有無」をまとめて表2に示す。
Figure 2020082104
表2に示すように、接合面に脱炭層13を有する高張力鋼板11同士を溶接した実施例1〜6の接合構造体10は、ギャップgの大きさ(1mm又は2mm)にかかわらず、すべて割れや剥離がなく、良好な接合構造体10が得られることがわかる。
一方、接合面に脱炭層13を有しない高張力鋼板11同士を溶接した比較例1〜5の接合構造体10は、ギャップgの大きさにかかわらず、溶接後に割れ又は剥離が確認された。
なお、参考例1〜3から分かるように、ナゲット径D1が5mm以上の場合には、たとえ脱炭層13を形成しなくとも、溶接後に割れ又は剥離が確認されないものの、例えば、比較例1から分かるように、ナゲット径D1が5mm未満の場合には、脱炭層13を形成しなければ、溶接後に割れ又は剥離が確認された。
一方、例えば、実施例1や実施例2から分かるように、脱炭層13を形成した場合には、たとえナゲット径D1が5mm未満であっても、溶接後に割れ又は剥離が確認されなかった。
このことから、第1部材11Aと第2部材11Bの接合部には、ナゲット14が形成されていない、又はナゲット14が形成され、ナゲットの径D1は、D1<5mmを満足する場合に、本発明の効果を顕著に発揮することが実験的に示された。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、上記説明では、2枚の高張力鋼板11A,11Bの溶接について説明したが、高張力鋼板の枚数は2枚に限定されず、2枚以上の複数枚の溶接であっても同様である。
10 接合構造体
11 高張力鋼板
11A 高張力鋼板(第1部材)
11B 高張力鋼板(第2部材)
12A,12B 電極
13 脱炭層
14 ナゲット
15 コロナボンド
16 スペーサ
17 接合部
D1 ナゲット径
D2 コロナボンド径
g ギャップ(隙間)
t 板厚

Claims (4)

  1. 高張力鋼からなる第1部材と、前記第1部材に重ねられ、高張力鋼からなる第2部材とが抵抗溶接されてなる接合構造体であって、
    前記第1部材と前記第2部材のギャップが0mm超、3mm未満であり、
    前記第1部材と前記第2部材の接合部には、ナゲットが形成されていない、又は前記ナゲットが形成される場合には、前記ナゲットの径D1は、D1<5mmを満足するとともに、
    前記第1部材における前記第2部材との重ね面と、前記第2部材における前記第1部材との重ね面の少なくとも一方には脱炭層が設けられることを特徴とする接合構造体。
  2. 前記第1部材及び前記第2部材のうち少なくとも一方の前記高張力鋼の炭素量が0.35質量%以上である、請求項1に記載の接合構造体。
  3. 前記ナゲットの周囲には、コロナボンドが形成され、
    前記コロナボンドの径D2は、D1<D2、かつ、D2<7mmである、請求項1又は2に記載の接合構造体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合構造体の製造方法であって、
    前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方の表面に形成された前記脱炭層が、前記第1部材と前記第2部材の間に介在するように、前記第1部材と前記第2部材を重ね合わせた後、一対の電極によって前記第1部材と前記第2部材とを挟んで、加圧しながら通電することで、前記第1部材と前記第2部材を抵抗溶接する接合構造体の製造方法。
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