JP2008173666A - 重ね抵抗溶接方法及び重ね溶接継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナゲット割れ感受性が低く、ナゲット内破断が発生しにくい重ね抵抗溶接方法及び重ね溶接継手を提供する。
【解決手段】引張り強さが340MPa以上で、板厚が0.5〜10mmの高強度鋼板1a,1bを重ね合わせ、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、板厚t1が薄い方の高強度鋼板1aの板厚tminの1/50以上かつ1/5未満である鉄インサート材2を、高強度鋼板1a,1bの間に配置して溶接する。
【選択図】図1
【解決手段】引張り強さが340MPa以上で、板厚が0.5〜10mmの高強度鋼板1a,1bを重ね合わせ、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成を有し、板厚t1が薄い方の高強度鋼板1aの板厚tminの1/50以上かつ1/5未満である鉄インサート材2を、高強度鋼板1a,1bの間に配置して溶接する。
【選択図】図1
Description
本発明は、被接合材を重ね合わせてスポット溶接する重ね抵抗溶接方法及びこの方法で溶接した重ね溶接継手に関し、特に、被接合材間にインサート材を配置して溶接する重ね抵抗溶接方法及び重ね溶接継手に関する。
自動車車体の加工組立工程においては、通常、乗用車1台あたり3000〜5000点という多数のスポット溶接がなされている。従来、このような自動車用途には、表面に亜鉛又は亜鉛合金等からなるめっき層を形成しためっき鋼板が使用されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。例えば、特許文献1には、スポット溶接性を向上させるために、鋼板の表面に、亜鉛めっき層、鉄めっき層又は鉄亜鉛合金めっき層、アルカリ金属等を含む酸化防止層をこの順に形成した合金化亜鉛めっき鋼板が開示されている。また、特許文献2には、溶融亜鉛めっき及び合金化処理が困難な高Si添加高張力鋼板に対して、予備Feめっきを施してから、溶融亜鉛めっき及びその合金化処理を行う際に、予備Feめっきの目付け量、溶融亜鉛めっきの目付け量及び鋼中のSi含有量との関係を規定することにより、めっき又は塗装の密着性向上を図った高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されている。
更に特許文献3には、亜鉛めっき層上にFe−Ni−O系皮膜を金属換算で合計10〜1500mg/m2形成し、更にこのFe−Ni−O系皮膜中のFe及びNiの総含有量に対するFe含有量の比を規定することにより、スポット溶接性向上を図った積層鋼板が開示されている。更にまた、特許文献4には、めっき層の耐剥離性及び摺動特性を向上させるため、最表面のFe含有率が最も高くなるようにめっき層中のFe濃度を傾斜させると共に、めっき表面に微細な凹凸を形成すること等により、このFe含有率が高い相を島状に存在させた合金化溶融めっき鋼板が開示されている。
一方、特許文献5には、引張り強度が1000MPaを超える超高強度鋼板の耐遅れ破壊特性を向上されるため、鋼素材の表面に厚さが1μm以上で、α相からなるFeめっき層を形成することが開示されている。
しかしながら、前述の従来の技術には、以下に示す問題点がある。鋼板が高強度化するに伴い、スポット溶接部の強度が問題となっており、前述した特許文献1〜4に記載されているような亜鉛めっきを表面に施した高張力鋼板を、スポット溶接により重ね抵抗溶接した場合、引張せん断強さに関しては比較的問題が少ないが、十字引張試験を行うと、極端に強度が低下したり、ナゲット内に破断が生じたりしやすいという問題点がある。
また、特許文献5に記載されているようなα相からなるFeめっき層が形成された高張力鋼板は、水素脆化による遅れ破壊を防止することを目的としたものであるため、前述したようなスポット溶接により形成した継手における溶接部の割れ感受性改善については何ら検討がなされていない。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなさなれたものであって、ナゲット割れ感受性が低く、ナゲット内破断が発生しにくい重ね抵抗溶接方法及び重ね溶接継手を提供することを目的とする。
本発明に係る重ね抵抗溶接方法は、被接合材を重ね合わせてスポット溶接する重ね抵抗溶接方法において、前記被接合材は、前記被接合材は、引張り強さが340MPa以上で、板厚が0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板であり、前記被接合材間に、質量%で、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制した組成を有し、前記被接合材のうち薄い方の被溶接材の板厚をtminとしたとき、板厚t1が下記数式(1)で規定される鉄インサート材を配置して溶接することを特徴とする。
この重ね抵抗溶接方法における前記被接合材は、下記数式(2)で表される炭素当量Ceqが0.28以上であることが好ましい。なお、下記数式(2)における[C]はC含有量(質量%)、[Si]はSi含有量(質量%)、[Mn]はMn含有量(質量%)、[P]はP含有量(質量%)、[S]はS含有量(質量%)、[Al]はAl含有量(質量%)である。
また、前記鉄インサート材は、上記数式(2)で表される炭素当量Ceqが0.20以下であることが好ましい。
本発明に係る重ね溶接継手は、前述した重ね抵抗溶接方法で溶接された重ね溶接継手であって、コロナボンドからナゲット径dnの1/5までの領域のナゲット組成は、C含有量(質量%)を[C]、Si含有量(質量%)を[Si]、Mn含有量(質量%)を[Mn]、P含有量(質量%)を[P]、S含有量(質量%)を[S]、Al含有量(質量%)を[Al]としたとき、上記数式(2)で表される炭素当量Ceqが0.24以下であることを特徴とする。
本発明によれば、被接合材の間に炭素当量が低い鉄インサート材を設けているため、重ね抵抗溶接時にこの鉄インサート材によりコロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量を希釈して、ナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、鋼組成における質量%は、単に%と記載する。
先ず、本発明の第1の実施形態に係る重ね抵抗溶接方法について説明する。図1は本実施形態の重ね抵抗溶接方法を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の重ね抵抗溶接方法は、先ず、被接合材である2枚の高強度鋼板1a,1bの間に鉄インサート材2を配置する。そして、これらを1対の溶接電極3a,3bで挟持し、加圧しながら通電することにより、高強度鋼板1a,1bを溶接する。
本実施形態の重ね抵抗溶接方法において溶接される高強度鋼板1a,1bは、引張り強さが340MPa以上で、板厚が0.5〜10mmの冷延鋼板又は熱延鋼板である。また、鉄インサート材2は、C:0.1%以下、Si:1.4%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.1%以下に規制された組成の鋼材(又は鉄材)からなり、その厚さt1は、被接合材のうち薄い方の被溶接材(高強度鋼板1a)の板厚をtminとしたとき、下記数式(3)で規定される。この鉄インサート材2の引張り強さは、例えば440MPa以下である。
次に、本実施形態の重ね抵抗溶接方法で使用する鉄インサート材2に関する数値限定理由について説明する。
組成:C含有量0.1%以下,Si含有量1.4%以下,Mn含有量2.0%以下,P含有量0.15%以下,S含有量0.03%以下,Al含有量0.1%以下
鉄インサート材2に含まれる各成分のうち、C含有量が0.1%を超えるか、Si含有量が1.4%を超えるか、Mn含有量が2.0%を超えるか、P含有量が0.15%を超えるか、S含有量が0.03%を超えるか、又はAl含有量が0.1%を超えると、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手のたがね試験及び十字引張り試験等の剥離方向に応力をかける破壊試験においてナゲット内破断が発生しやすくなる。よって、C含有量は0.1%以下、Si含有量は1.4%以下、Mn含有量は2.0%以下、P含有量は0.15%以下、S含有量は0.03%以下、Al含有量は0.1%以下に規制する。なお、これらの成分の含有量は0%でもよい。また、鉄インサート材は、上記各成分以外に、例えば、Ti:1.0%以下、Nb:0.3%以下、Cr:3.0%以下、Mo:0.5%以下、V:0.3%以下、W:0.3%以下、Zr:0.3%以下、B:0.02%以下を含有していてもよい。なお、鉄インサート材2における上記以外の成分、即ち残部は、Fe及び不可避的不純物である。
鉄インサート材2に含まれる各成分のうち、C含有量が0.1%を超えるか、Si含有量が1.4%を超えるか、Mn含有量が2.0%を超えるか、P含有量が0.15%を超えるか、S含有量が0.03%を超えるか、又はAl含有量が0.1%を超えると、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手のたがね試験及び十字引張り試験等の剥離方向に応力をかける破壊試験においてナゲット内破断が発生しやすくなる。よって、C含有量は0.1%以下、Si含有量は1.4%以下、Mn含有量は2.0%以下、P含有量は0.15%以下、S含有量は0.03%以下、Al含有量は0.1%以下に規制する。なお、これらの成分の含有量は0%でもよい。また、鉄インサート材は、上記各成分以外に、例えば、Ti:1.0%以下、Nb:0.3%以下、Cr:3.0%以下、Mo:0.5%以下、V:0.3%以下、W:0.3%以下、Zr:0.3%以下、B:0.02%以下を含有していてもよい。なお、鉄インサート材2における上記以外の成分、即ち残部は、Fe及び不可避的不純物である。
厚さt1:tmin/50以上かつtmin/5未満
鉄インサート材2の厚さt1が、薄い方の被溶接材、即ち、高強度鋼板1aの板厚tminの1/50未満の場合、鉄インサート材2を配置した効果が得られず、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手のたがね試験及び十字引張り試験等の剥離方向に応力をかける破壊試験においてナゲット内破断が発生しやすくなる。一方、鉄インサート材2の厚さt1が高強度鋼板1aの板厚tminの1/5以上になると、高強度鋼板1a,1bの間に形成されるナゲットの総体積に対して、高強度鋼板1a,1bよりも低強度の鉄インサート材2がナゲット内に占める割合が大きくなるため、継手全体としての強度が低下する。よって、鉄インサート材2の厚さt1はtmin/50以上かつtmin/5未満とする。
鉄インサート材2の厚さt1が、薄い方の被溶接材、即ち、高強度鋼板1aの板厚tminの1/50未満の場合、鉄インサート材2を配置した効果が得られず、スポット溶接で重ね抵抗溶接した場合にナゲット割れ感受性が高くなる。その結果、継手のたがね試験及び十字引張り試験等の剥離方向に応力をかける破壊試験においてナゲット内破断が発生しやすくなる。一方、鉄インサート材2の厚さt1が高強度鋼板1aの板厚tminの1/5以上になると、高強度鋼板1a,1bの間に形成されるナゲットの総体積に対して、高強度鋼板1a,1bよりも低強度の鉄インサート材2がナゲット内に占める割合が大きくなるため、継手全体としての強度が低下する。よって、鉄インサート材2の厚さt1はtmin/50以上かつtmin/5未満とする。
また、本実施形態の重ね抵抗溶接方法においては、高強度鋼板1a,1bとして、下記数式(4)で表される炭素当量Ceqが例えば0.28以上の鋼材を使用することができる。本発明は、このように通常のスポット溶接を行うとナゲット割れ感受性が大きくなる鋼材に適用することで、著しい効果を得ることができるものであり、そのナゲット割れ感受性をより低減し、ナゲット内破断の発生を抑制する効果を著しく向上させることができる。なお、下記数式(4)における[C]はC含有量(%)、[Si]はSi含有量(%)、[Mn]はMn含有量(%)、[P]はP含有量(%)、[S]はS含有量(%)、[Al]はAl含有量(%)である。
更に、本実施形態の重ね抵抗溶接方法で使用する鉄インサート材2は、上記数式(4)で表される炭素当量Ceqが0.20以下であることが望ましい。これにより、重ね抵抗溶接した際に、鉄インサート材2により高強度鋼板1a,1bの間に形成されるナゲット内の成分が希釈されるため、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量Ceqを0.24以下に低減することができる。その結果、溶接部におけるナゲット割れ感受性をより低くして、ナゲット内破断の発生を抑制する効果を大幅に向上させることができる。
上述の如く、本実施形態の重ね抵抗溶接方法においては、被接合材である高強度鋼板1a,1bの間に炭素当量Ceqが低い鋼材(又は鉄材)からなり、適正な板厚の鉄インサート材2を配置しているため、重ね抵抗溶接した際に、この鉄インサート材2により高強度鋼板1a,1bの間に形成されるナゲット内の成分が希釈され、コロナボンド近傍のナゲット内組成における炭素当量Ceqを低減することができる。その結果、溶接部におけるナゲット割れ感受性を低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の重ね抵抗溶接方法は、特に、被溶接材である高強度鋼板1a,1bの炭素当量Ceqが0.28以上である場合に有効であり、更に、鉄インサート材2の炭素当量Ceqを0.20以下とすることにより、溶接継手のコロナボンド近傍のナゲット内組成の炭素当量Ceqを0.24以下にまで低減することができ、前述した効果をより高めることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る重ね溶接継手について説明する。図2は本実施形態の重ね継手の構成を示す拡大断面図である。図2に示すように、本実施形態の重ね継手11は、前述した第1の実施形態の重ね抵抗溶接方法により、高強度鋼板1aと高強度鋼板1bとをスポット溶接したものである。そして、重ね継手11におけるナゲット12は、コロナボンドからナゲット径dnの1/5までの領域12aにおいて、上記数式(4)で表される炭素当量Ceqが0.24以下となる組成となっている。
次に、本実施形態の重ね溶接継手のナゲット組成における数値限定理由について説明する。コロナボンドからdn/5までの領域12aのナゲット組成の炭素当量Ceqが0.24を超えると、ナゲット12内の硬さが増すと共に、結晶粒界にP及びS等の金属介在物が偏析しやすくなるため、ナゲット割れ感受性が高くなり、たがね試験及び十字引張り試験等の剥離方向に応力をかける破壊試験においてナゲット内破断が発生しやすくなる。よって、コロナボンドからdn/5までの領域12aのナゲット組成における炭素当量Ceqは0.24以下とする。これにより、ナゲット割れ感受性をより低減し、ナゲット内破断の発生の抑制効果を向上させることができる。
上述の如く、本実施形態の重ね溶接継手においては、被接合材である高強度鋼板1a,1bの間に、炭素当量Ceqが例えば0.20以下と低い組成で、板厚が適正化された鉄インサート材2を配置して重ね抵抗溶接することにより、コロナボンド近傍のナゲット12内組成における炭素当量Ceqを0.24以下としているため、溶接部におけるナゲット割れ感受性が低減し、ナゲット内破断の発生を抑制することができる。
なお、前述した第1及び第2の実施形態においては、板厚が相互に異なる被接合材同士を溶接する場合を例にして説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同じ厚さの被接合材同士の溶接に適用しても同様の効果が得られる。
また、前述した第1及び第2の実施形態においては、平板状の鉄インサート材を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種形状のものを使用することができる。図3(a)及び(b)は鉄インサート材の他の形状を示す側面図であり、図3(c)〜(e)は平面図である。具体的には、平板状以外に、図3(a)に示すような断面が台形状のもの、図3(b)に示すような断面がコーン形のものを使用することもできる。一方、平面形状も、図3(c)に示すような円形状、図3(d)に示すような楕円形状、図3(e)に示すような正方形状、その他六角形状等の多角形状を適用することができる。
更に、鉄インサート材の大きさも特に限定されるものではないが、高強度鋼板1a,1bの間に形成されるナゲットの直径(ナゲット径)dnの2/3以上で、かつナゲット径dn以下にすると、ナゲット内成分の希釈効果は十分に発揮されると共に、コロナボンド部へのインサート材2のはみ出しがなく、シート・セパレーション(板の浮き上がり)が少なくなることから、くぼみが小さい良好な製品形状が得られる。図4はナゲット径dnよりも小さいボタン型のインサート材を使用して重ね抵抗溶接方法する方法を模式的に示す断面図である。図4に示すように、ナゲット径dnと同等以下の大きさの鉄インサート材20を使用して、本発明の重ね抵抗溶接方法で溶接する場合、鉄インサート材20を高強度鋼板1aと高強度鋼板1bとの間に置くだけでもその効果は得られるが、重ね抵抗溶接を行う前に、例えば抵抗溶接及びパーカッション溶接等の周知の接合技術により、予め鉄インサート材20を高強度鋼板1a又は高強度鋼板1bに接合しておくことが望ましい。更にまた、ナゲット径dnよりも小さい鉄インサート材20を使用すると共に、上下電極に先端が平坦な電極を使用し、この電極で高強度鋼板1a,1bを押圧しつつ溶接すると、溶接形態がソリッド・プロジェクション溶接となるため、溶接後の鋼板表面(製品形状)が平滑になると共に、上述したナゲット内成分の希釈効果が得られる。
以下、本発明の実施例及び本発明の範囲から外れる比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、下記表1に示す組成の高強度鋼板を被接合材とし、下記表2に示す組成の鉄インサート材を使用して、図1に示す方法で重ね抵抗溶接して、実施例及び比較例の溶接継手を作製した。溶接は、単相交流式スポット溶接機により、上下1対の電極には直径が16mm、先端径が6mm、先端のRが40であるCr−Cu合金製のDR形電極を使用し、加圧力を2.5kN、通電時間を12サイクル、保持時間を25サイクルとして行った。本実施例においては、これらの溶接条件は一定とし、溶接電流は適宜調整した。なお、下記表1及び表2に示す鋼組成の残部は、Fe及び不可避的不純物である。また、下記表1及び表2におけるT−Alは固溶アルミニウム、並びにアルミニウムの酸化物及び窒化物等の析出物を含めたアルミニウムの総含有量であり、下記表2におけるT−Tiは固溶チタン、並びにチタンの酸化物、炭化物及び窒化物等の析出物を含めた総チタンの総含有量である。更に、下記表1及び表2においては、本発明の範囲から外れるものに下線を付して示している。
次に、実施例及び比較例の各溶接継手について、そのナゲット径dn、コロナボンドからナゲット径dnの1/5までの領域のナゲット組成における炭素当量Ceqを測定すると共に、JIS Z 3137に基づいて十字引張り試験を行い、その破断形態及び引張り強さにより評価した。その結果を下記表3にまとめて示す。なお、下記表3に示す破断形態において、P/Bは母材部プラグ破断を示し、P/Nはナゲット内プラグ破断を示す。また、判定の良否は、母材部プラグ破断でかつ引張り強さが5.0kN以上のものを良好とし、ナゲット内プラグ破断を呈したもの又は引張り強さが5.0kN未満の低強度のものを不可とした。更に、下記表3には溶接時の溶接電流も併せて示す。
上記表3に示すように、鉄インサート材の厚さが本発明の範囲よりも薄い比較例No.2の継手は、ナゲット内プラグ破断で引張り強さは3.4kN/点であった。一方、鉄インサート材の厚さが本発明の範囲を超えている比較例No.3の継手は、母材部プラグ破断であったが引張り強さは4.1kN/点と低強度であった。また、鉄インサート材の組成が本発明の範囲から外れているNo.5の継手は、ナゲット内プラグ破断で引張り強さは3.7kN/点であった。これに対して、本発明の範囲内で作製した実施例No.1、No.4、No.6及びNo.7の継手は、十字引張り試験の結果、母材部プラグ破断となり、ナゲット内破断は発生しなかった。また引張り強さも5.0kN/点以上のレベルにあった。特に、炭素当量Ceqが0.20以下となる組成の鉄インサート材を使用した実施例No.4、No.7の継手は、引張り強さが7.2kN/点と最も高い値を示した。
1a,1b 高強度鋼板
2、20 鉄インサート材
3a,3b 電極
11 重ね溶接継手
12 ナゲット
12a コロナボンドからdn/5までの領域
2、20 鉄インサート材
3a,3b 電極
11 重ね溶接継手
12 ナゲット
12a コロナボンドからdn/5までの領域
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