JP3788116B2 - 単結晶成長用多機能ヒーターおよび単結晶引上装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単結晶引上装置に関し、特に、半導体融液を貯留するルツボを囲むように配置されて単結晶を成長させるためのヒーターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン(Si)やガリウムひ素(GaAs)等の半導体単結晶を成長する方法の一つとして、CZ法が知られている。このCZ法は、大口径、高純度の単結晶が無転位あるいは格子欠陥の極めて少ない状態で容易に得られること等の特徴を有することから、様々な半導体結晶の成長に用いられている方法である。
【0003】
ところで、近年、単結晶の大口径化、高純度化、酸素濃度および不純物濃度等の均一化の要求に伴いこのCZ法も様々に改良され実用に供されている。
上記CZ法の改良型の一つにいわゆる二重ルツボを用いた連続チャージ型磁界印加CZ法(以下、CMCZ法と省略する)が提案されている。この方法は、外部からルツボ内の半導体融液に磁界を印加することにより、前記半導体融液内の対流を抑制し極めて酸素濃度の制御性がよく単結晶化率がよい単結晶を成長させることができ、外側のルツボと内側のルツボとの間に原料を連続供給し長尺の半導体単結晶を容易に得ることができる等の特徴を有する。したがって、大口径かつ長尺の半導体単結晶を得るには最も優れた方法の一つと言われている。
【0004】
上記のCMCZ法を用いた一般的なシリコンの単結晶引上装置は、例えば特開平4−305091号公報に開示されているように、中空の気密容器であるチャンバ内に、半導体融液(加熱融解された半導体単結晶の原料)を貯溜する二重ルツボ、ヒーター、原料供給管がそれぞれ配置され、前記チャンバの外部にマグネットが配置されている。
前記二重ルツボの内ルツボの上方かつ軸線上に配された引上軸にチャックを介して種結晶を吊下げ、引上軸をその軸線回りに回転させつつ引上げるとともに、二重ルツボを上昇させて、半導体融液上部において種結晶を核として半導体単結晶を成長させる。ヒーターは、半導体の原料をルツボ内で加熱・融解するとともに半導体融液を保温するもので、通常、抵抗加熱式のものが用いられる。
【0005】
ここで、図5(a),(b)に示すように、従来のヒーター4は、円筒状のカーボン製ヒーター本体4aの互いに対向する部位に一対の電極1,2が固定されたものであり、ヒーター本体4aには、その上端および下端より交互にスリット3a,3bが形成されている。1つの電源(不図示)により一対の電極1,2に電圧を印加すると、ヒーター本体4aの電流通路は、矢印Xで示すように、上下にジグザグ状となり、効率的に発熱する。
【0006】
なお、上記CMCZ法による単結晶引上装置は、従来例の一例として挙げたものであり、後述する本発明は、CMCZ法による単結晶引上装置に適用されるに限らず、例えば、磁界印加を行わない連続チャージ型CZ法(CCZ法)による単結晶引上装置や、二重ルツボではなく1つのルツボを備えた単結晶引上装置にも適用できる。また、単結晶についても半導体に限らず、例えば酸化物単結晶でもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のヒーターは、ヒーター本体への印加電圧を調節して発熱量を容易に制御できるものの、1つの電源により1つのヒーター本体への印加電圧を制御するために、ヒーターの上下方向(単結晶の成長軸方向)の温度分布を変えることができず、このため、近年のシリコン単結晶の大口径化に伴い、引上げた単結晶の品質を制御することが困難となるという問題点がある。
なお、電源および一対の電極を備えた小型なヒーターを複数個上下方向に配列して構成された多重ヒーターを採用することにより、この多重ヒーターの上下方向の温度分布を容易に調整できるが、その反面、電源および一対の電極を複数組必要な多重ヒーターは大型となり、結果的に、チャンバーの大型化等を招くという不具合が発生する。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、制御電源および一対の電極が1つで済んで大型化せず、かつ上下方向の所望の温度分布を容易かつ自由に設定できる単結晶成長用多機能ヒーターを提供することを目的としている。
また、本発明の他の目的は、単結晶成長用多機能ヒーターを備えた単結晶引上装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の単結晶成長用多機能ヒーターは、一対の共通電極と、該一対の共通電極に、上下方向に並ぶように並列に連結された3つのリング状のヒーター構成体とを備え、
前記ヒーター構成体の上端および下端より交互にスリットが形成され、電流経路が上下にジグザグ状になっており、
前記3つのヒーター構成体において、成長させる単結晶の固液界面が下に凸な形状になるように、下ヒーター構成体、上ヒーター構成体、中ヒーター構成体の順にその発熱量が大きくなるよう各ヒーター構成体の電気抵抗が相違して設定され、
各ヒーター構成体の外径は同一になっており、前記ヒーター構成体の電気抵抗は、前記ヒーター構成体の高さ寸法、肉厚寸法および前記スリット数の少なくとも1つのパラメータにより、他のヒーター構成体の電気抵抗と相違するように構成されていることを特徴とする。
本発明の単結晶成長用多機能ヒーターは、単結晶引上装置の単結晶成長用ヒーターにおいて、一対の共通電極と、該一対の共通電極に、上下方向に並ぶように並列に連結された複数のリング状のヒーター構成体とを備え、前記複数のヒーター構成体の少なくとも2つのヒーター構成体の電気抵抗が相違しており、複数のヒーター構成体において、成長させる単結晶の固液界面が下に凸な形状になるように上方のヒーター構成体ほどその発熱量が大きく設定されていることを特徴とするものである。この単結晶成長用多機能ヒーターでは、複数のヒーター構成体の電気抵抗をぞれぞれ適宜設定することにより、複数のヒーター構成体の発熱量を決定し、上下方向の温度分布を設定できる。すなわち、各ヒーター構成体は共通電極に接続されているので、1つの電源により各ヒーター構成体に同一電圧が印加され、電気抵抗の大きいヒーター構成体ほど発熱量が小さくなる。なお、ヒーター構成体の電気抵抗はその高さ寸法や肉厚により設定できる。
【0010】
本発明は、複数のヒーター構成体のうち上方のヒーター構成体ほどその電気抵抗が小さくなっていることにより、上方のヒーター構成体ほどその発熱量を大きく設定することにより、後述するようにピュアシリコンを成長させる際に好適なものとなる。ここで、ヒーター構成体を2つとすることにより、単結晶成長用多機能ヒーターが複雑化せず、コストが嵩まない。
【0011】
本発明は、前記ヒーター構成体の上端および下端より交互にスリットが形成され、電流経路が上下にジグザグ状になっていることができる。ここで、各ヒーター構成体の外径は同一になっており、前記ヒーター構成体の電気抵抗は、前記ヒーター構成体の高さ寸法、肉厚寸法および前記スリット数の少なくとも1つのパラメータにより、他のヒーター構成体の電気抵抗と容易に相違させることができる。
【0012】
また、本発明の単結晶引上装置は、気密容器と、前記気密容器内に設けられて半導体融液を貯溜するルツボと、前記ルツボを囲むように設けられて、前記半導体融液を加熱するため本発明の単結晶成長用多機能ヒーターと、前記半導体融液より単結晶を引上げるための引上げ手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係わる、例えばCMCZ法を用いたシリコンの単結晶引上装置の一例を示す断面図、図2(a),(b)はそれぞれ、図1に示した本発明の結晶成長用多機能ヒーターの一実施形態の平面図および正面図、図3は図2(b)に示した結晶成長用多機能ヒーターを便宜上周方向に展開した状態を示す模式図である。
【0014】
先ず、シリコンの単結晶引上装置の一例について説明する。
図1に示すように、この単結晶引上装置101は、中空の気密容器であるチャンバ102内に二重ルツボ103、後述する本発明のヒーター104、原料供給管105がそれぞれ配置され、前記チャンバ102の外部にマグネット106が配置されている。
【0015】
二重ルツボ103は、略半球状の石英(SiO2)製の外ルツボ111と、該外ルツボ111内に設けられた円筒状の仕切り体である石英(SiO2)製の内ルツボ112とから構成され、該内ルツボ112の側壁には、内ルツボ112と外ルツボ111との間(原料融解領域)と内ルツボ112の内側(結晶成長領域)とを連通する連通孔113が複数個形成されている。
【0016】
この二重ルツボ103は、チャンバ102の中央下部に垂直に立設されたシャフト114上のサセプタ115に載置されており、前記シャフト114の軸線を中心として水平面上で所定の角速度で回転する構成になっている。そして、この二重ルツボ103内には半導体融液(加熱融解された半導体単結晶の原料)121が貯留されている。
【0017】
本発明の単結晶成長用多機能ヒーター104は、半導体の原料をルツボ内で加熱・融解するとともに生じた半導体融液121を保温するもので、カーボン製の抵抗加熱式ヒーターである。単結晶成長用多機能ヒーター104については後で詳述する。なお、ヒーター104の詳細構造については後述する。原料供給手段としての原料供給管105は、その下端開口より、所定量の半導体の原料110を外ルツボ111と内ルツボ112との間の半導体融液121面上に連続的に投入するものである。
【0018】
上記の原料供給管105から供給される原料110としては、例えば、多結晶シリコンのインゴットを破砕機等で破砕してフレーク状にしたもの、あるいは、気体原料から熱分解法により粒状に析出させた多結晶シリコンの顆粒が好適に用いられ、必要に応じてホウ素(B)(p型シリコン単結晶を作る場合)やリン(P)(n型シリコン単結晶を作る場合)等のドーパントと呼ばれる添加元素がさらに供給される。また、ガリウムヒ素(GaAs)の場合も同様で、この場合、添加元素は亜鉛(Zn)もしくはシリコン(Si)等となる。
【0019】
上記の単結晶引上装置101により、内ルツボ112の上方かつ軸線上に配された引上軸124にチャック(不図示)を介して種結晶125を吊下げ、引上軸124(引上げ手段)をその軸線回りに回転させつつ引上げるとともに、シャフト114を介して二重ルツボ103を上昇させて、半導体融液121上部において種結晶125を核として半導体単結晶126を成長させる。
【0020】
ところで、上記の単結晶引上装置では、特開昭63ー303894号公報に記載されているように、単結晶を成長する前工程において、外ルツボ111に予め多結晶シリコン塊等の多結晶原料を融解させて半導体融液121を貯溜し、外ルツボ111の上方に配された内ルツボ112を、外ルツボ111内に載置して、二重ルツボ103を形成している。
【0021】
このように多結晶原料を融解後に二重ルツボ103を形成するのは、多結晶原料を完全に融解して半導体融液121を得るために、ヒーター104によって外ルツボ111内の原料を単結晶成長温度以上の温度まで高温加熱する必要があり、この際に、予め内ルツボ112を外ルツボ111内に形成させていると、内ルツボ112に大きな熱変形が生じてしまうからである。
【0022】
したがって、原料を完全に融解した後、ヒーター104による加熱をある程度弱めてから内ルツボ112を外ルツボ111に形成させることによって、初期原料融解保持時の高温加熱を避け、内ルツボ112の変形を抑制している。
【0023】
また、内ルツボ112に形成された連通孔113は、原料供給時に、半導体融液121を外ルツボ111側から内ルツボ112内にのみ流入させるように一定の開口面積以下に設定されている。この理由は、結晶成長領域から半導体融液121が対流により原料融解領域に戻る現象が生じると単結晶成長における不純物濃度および融液温度等の制御が困難になってしまうためである。
【0024】
次に、前記単結晶成長用多機能ヒーター104の詳細について説明する。
図2に示すように、このヒーター104は、カーボン製の一対の共通電極5a,5bと、この一対の共通電極5a,5bに、隙間Sをおいて上下方向に並ぶように並列に連結された複数(本例では3つ)のリング状カーボン製のヒーター構成体6a,6b,6cとを備え、ヒーター構成体6a,6b,6cの電気抵抗は互いに異っており、本例では6c,6a,6bの順に大きくなっている。一対の共通電極5a,5に所望の電圧を印加するための制御電源(不図示)を備えている。なお、一対の共通電極5a,5bと各ヒーター構成体6a,6b,6cとを、一体成形としたり、あるいは例えばねじ止めや接着剤等により連結することができ、ねじ止めによる着脱式の場合には、ヒーター構成体6a,6b,6cを交換したりその上下位置を変更できる。
【0025】
各ヒーター構成体6a,6b,6cの材質、外径Dおよび肉厚T(それぞれ図2(a)参照)は互いに同一で、高さ寸法Hや後述する各スリット7a,7bのピッチP等が相違するのみなので、再上方のヒーター構成体6aを例に挙げて説明する。、ヒーター構成体6aには、その上端および下端より交互に上下方向に延びるスリット7a,7b(切り欠き)が形成され、スリット7a,7bのピッチPは等しくなっている。前記制御電源(不図示)により一対の共通電極5a,5bに電圧(可変)を印加すると、ヒーター構成体6aの電流通路は、矢印Yで示すように、上下にジグザグ状となり、効率的に発熱する。この発熱量は、印加電圧が一定の場合、ヒーター構成体6aの電気抵抗に反比例する。したがって、本例では、各ヒーター構成体6a,6b,6cの発熱量は6b,6a,6cの順に小さくなる。
【0026】
詳述すると、図3に示すように、ai,bi,ci(H)の寸法を変更すれば、各ヒータ構成体6a,6b,6cの発熱量を自由に設定できる。
すなわち、例えばヒータ構成体6aの電気抵抗をRi、印加電圧をV、制御電圧をV、印加時間をTとすると、ヒータ構成体6aの発熱量Qiは以下の式で表せる。
Qi=V2/Ri×T
ここで、Ri=ρ×{(b1+c1)×L/(ai+bi)}/(ai×t)
ρはヒータ構成体(カーボン)の抵抗率、tはヒータ構成体6aの肉厚、また直径Dのヒータ構成体6aではL=πD/2である。
したがって、各ヒーター構成体6a,6b,6cの印加電圧Vは同一なので、Riが小さいほど発熱量は多くなる。
【0027】
以上のように、各ヒーター構成体6a,6b,6cの電気抵抗を、その高さ寸法H、肉厚tおよびスリット数の少なくとも1つのパラメータにより、任意に設定できる。なお、本実施形態では、各ヒーター構成体6a,6b,6cの肉厚tは同一になっている。
したがって、各ヒーター構成体6a,6b,6cの上下方向(単結晶の成長軸方向)の温度分布を自由に設定できるので、近年のシリコン単結晶の大口径化に伴う、引上げた単結晶の品質制御を容易に行える。
また、ヒーター構成体6a,6b,6cの上下の組み込み位置(配列順序)を変更することにより、ヒーター4の上下位置の温度分布が要求によって簡単に得られる。
さらに、制御電源(不図示)および一対の共通電極5a,5bが一組で済んで大型化せず、結果的に、チャンバ102および単結晶引上装置101(それぞれ図1参照)が大型化しない。
【0028】
本実施形態のさらなる効果としては、固液界面の形状を制御できることである。すなわち、例えば、上方のヒーター構成体の発熱量を下方のヒーター構成体の発熱量よりも大きく設定することにより、固液界面を下に凸な形状にすることができる。
【0029】
上記実施形態では、ヒーター構成体6a,6b,6cの数は3つであるが、これに限らず、他の複数個でもよく、発熱量の大小関係も6b,6c,6aの順に限らない。また、全てのヒーター構成体6a,6b,6cの電気抵抗を相互に異らせることに限らず、少なくとも2つのヒーター構成体の電気抵抗を異らせることにより、上下方向の温度分布を設定してもよい。さらに、ヒーター構成体にスリットを形成せずに、高さ寸法Hのみによって電気抵抗を設定してもよい。
【0030】
図4は本発明の単結晶成長用多機能ヒーターの他の実施形態の、図3と同様に周方向に展開した状態を示す模式図である。
このヒーター40は、複数(本例では2つ)のヒーター構成体60a,60bを備え、上方のヒーター構成体60aの発熱量が下方のヒーター構成体60bの発熱量よりも大きく設定されているものであり、特にピュアシリコン成長用に好適なヒーターである。なお、符号70a,70bはヒーター構成体60a,60bの上下端より形成されたスリットを示している。
【0031】
詳述すると、ピュアシリコンについて、図1に示すように、固液界面上の半導体単結晶126の成長軸方向の温度勾配をG、半導体単結晶126の中心部と外周部との温度勾配Gの差をΔGとすると、ΔGが小さいほど、COP(Cryatal Originated Particle)等の成長時導入欠陥の発生を抑制可能であり、また、COPを形成する空洞状欠陥が存在しないだけでなく、微小な転位欠陥等も無い、いわゆるピュアシリコンを成長することも可能である。したがって、高性能デバイス用のシリコン単結晶を製造可能となる。なお、COPは、デバイス特性で重要な酸化膜耐圧やリーク特性を劣化させる原因となる。したがって、本実施形態のように複数のヒーター構成体のうち上方のヒーター構成体の発熱量ほど大きく設定することにより、ピュアシリコンを効果的に成長させることができる。なお、ヒーター構成体60a,60bは2つに限らず、その他の複数個により構成してもよい。
【0032】
上記各実施形態では単結晶引上装置としてCMCZ法を採用したが、他の単結晶製造方法を適用しても構わない。例えば、磁界印加を行わない連続チャージ型CZ法(CCZ法)を採用したり、二重ルツボではなく1つのルツボを備えた単結晶引上装置でもよい。また、単結晶についても半導体に限らず、酸化物単結晶等を成長させるためのヒーターに本発明を適用してもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりに構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
本発明は、複数のヒーター構成体の電気抵抗をぞれぞれ適宜設定することにより、複数のヒーター構成体の発熱量を決定し、上下方向の温度分布を設定できる。すなわち、各ヒーター構成体は共通電極に接続されているので、1つの電源により各ヒーター構成体に同一電圧が印加され、電気抵抗の大きいヒーター構成体ほど発熱量が小さくなる。したがって、各ヒーター構成体の上下方向(単結晶の成長軸方向)の温度分布を自由に設定できるので、近年のシリコン単結晶の大口径化に伴う、引上げた単結晶の品質制御を容易に行える。また、制御電源および一対の共通電極が一組で済んで大型化せず、結果的に、チャンバおよび単結晶引上装置が大型化しない。
【0034】
本発明は、複数のヒーター構成体のうち上方のヒーター構成体ほどその電気抵抗が小さくなっていることにより、上方のヒーター構成体ほどその発熱量を大きく設定することにより、ピュアシリコンを成長させる際に好適なものとなる。ここで、ヒーター構成体を2つとすることにより、単結晶成長用多機能ヒーターが複雑化せず、コストが嵩まない。
【0035】
本発明は、前記ヒーター構成体の上端および下端より交互にスリットが形成され、電流経路が上下にジグザグ状になっているものである。ここで、各ヒーター構成体の外径は同一になっており、前記ヒーター構成体の電気抵抗を、前記ヒーター構成体の高さ寸法、肉厚寸法および前記スリット数の少なくとも1つのパラメータにより、他のヒーター構成体の電気抵抗と容易に相違させることができる。さらに、本発明は、上記効果を備えた単結晶引上装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる、例えばCMCZ法を用いたシリコンの単結晶引上装置の一例を示す断面図である。
【図2】 (a),(b)はそれぞれ、図1に示した本発明の単結晶成長用多機能ヒーターの一実施形態の平面図および正面図である。
【図3】 図2(b)に示した単結晶成長用多機能ヒーターを便宜上周方向に展開した状態を示す模式図である。
【図4】 本発明の単結晶成長用多機能ヒーターの他の実施形態の、図3と同様に周方向に展開した状態を示す模式図である。
【図5】 (a),(b)はそれぞれ、従来の単結晶引上装置のヒーターの平面図および正面図である。
【符号の説明】
5a,5b,50a,50b 共通電極
6a,6b,6c,60a,60b ヒーター構成体
7a,7b,70a,70b スリット
101 単結晶引上装置
102 チャンバ
103 二重ルツボ
104,40 単結晶成長用多機能ヒーター
121 半導体融液
126 半導体単結晶
Claims (2)
- 単結晶引上装置の単結晶成長用ヒーターにおいて、
一対の共通電極と、該一対の共通電極に、上下方向に並ぶように並列に連結された3つのリング状のヒーター構成体とを備え、
前記ヒーター構成体の上端および下端より交互にスリットが形成され、電流経路が上下にジグザグ状になっており、
前記3つのヒーター構成体において、成長させる単結晶の固液界面が下に凸な形状になるように、下ヒーター構成体、上ヒーター構成体、中ヒーター構成体の順にその発熱量が大きくなるよう各ヒーター構成体の電気抵抗が相違して設定され、
各ヒーター構成体の外径は同一になっており、前記ヒーター構成体の電気抵抗は、前記ヒーター構成体の高さ寸法、肉厚寸法および前記スリット数の少なくとも1つのパラメータにより、他のヒーター構成体の電気抵抗と相違するように構成されていることを特徴とする単結晶成長用多機能ヒーター。 - 気密容器と、前記気密容器内に設けられて半導体融液を貯溜するルツボと、前記ルツボを囲むように設けられて、前記半導体融液を加熱するため請求項1に記載の単結晶成長用多機能ヒーターと、前記半導体融液より単結晶を引上げるための引上げ手段と、を備えていることを特徴とする単結晶引上装置。
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1999
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