JP3787608B2 - Abs装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車両の急制動時に車輪のロックを防止するABS(antilock brake system )装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のABS装置においては、歯車を有するハブを車輪に取り付け、その歯車の回転を電磁ピックアップにより検出し、その検出信号に基づいて車輪速度を演算し、その車輪速度と加速度センサからの検出信号とに基づいて車体速度を演算して、車輪速度と車体速度からスリップ率を演算することにより、スリップ率を用いて制御を行っていた。
【0003】
しかし、車体速度を直接求めることは困難であることから、車輪速度と加速度センサからの検出信号とに基づいて車体速度を推測していたので、正確な車体速度を求めることができず、制御が不正確であった。
【0004】
しかも、車体速度が低速になるに従って電磁ピックアップからの検出信号の周期が長くなり、制御の精度が低下していくので、ブレーキペダルを踏み込むことにより車体速度が低下し始めてから車両が停止するまで動作する必要のあるABS装置にとって、極めて不都合である。
【0005】
【発明の開示】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、車体速度の高低や路面状況の変化などに係わらず常に正確な制御を行えるABS装置を提供することを、その課題とする。
【0006】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本願発明の第1の側面によれば、車両の車輪と走行路面との間に作用する路面摩擦力Fに応じた路面摩擦力情報と、車両の車輪とブレーキ装置との間に作用するブレーキトルク力Tに応じたブレーキトルク情報とを得ることができる任意数の第1のセンサを有するABS装置であって、第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報との差に応じた差分パラメータMを演算する差分パラメータ演算手段と、差分パラメータ演算手段により演算された差分パラメータMを補正して積分することにより、車輪のロック時に0になるように車輪速度パラメータMωを演算する車輪速度パラメータ演算手段と、車輪速度パラメータ演算手段により演算された車輪速度パラメータMωを用いてブレーキ装置の液圧を制御するブレーキ液圧制御手段とを備えたことを特徴とする、ABS装置が提供される。
【0008】
路面摩擦力情報やブレーキトルク情報は、各々1個のセンサから直接得てもよいし、センサからの検出信号を演算することにより得てもよい。たとえば路面摩擦力情報は、1個のセンサから直接得ることもできるし、路面摩擦係数μに応じた路面摩擦係数情報を出力するセンサからの検出信号に、車両の重量に応じた定数を乗算して得ることもできる。さらには、複数のセンサからの検出信号を演算することにより得てもよい。
【0009】
第1のセンサとしては、たとえば車両の車軸に作用する各方向の剪断力を検出する、歪ゲージからなる応力センサを用いることができるが、これに限るものではない。
【0010】
ブレーキ液圧制御手段は、たとえばブレーキ装置の油圧配管に組み込まれた電磁弁を制御する。
【0011】
好ましい実施の形態によれば、車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサを有し、車輪速度パラメータ演算手段は、差分パラメータMと、加速度情報に基づく加速度Gとの差を積分することにより、車輪速度パラメータMωを得る。
【0012】
加速度情報は、1個のセンサから直接得てもよいし、センサからの検出信号を演算することにより得てもよい。さらには、複数のセンサからの検出信号を演算することにより得てもよい。
【0013】
差分パラメータMと加速度Gとの差の積分は、差分パラメータMと加速度Gとをディジタルデータとして処理する場合、たとえば所定時間毎に差分パラメータMと加速度Gとの差を演算し、それらを累積加算することにより実現できる。
【0014】
他の好ましい実施の形態によれば、車輪速度パラメータ演算手段は、差分パラメータMと、差分パラメータMのピーク値に応じた第1の閾値に比例した値との差を積分することにより、車輪速度パラメータMωを得る。
【0015】
他の好ましい実施の形態によれば、車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、加速度情報に基づく加速度Gの傾きを演算する加速度変化率演算手段と、加速度変化率演算手段により演算された加速度Gの傾きに応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する。
【0016】
加速度情報に基づく加速度Gの傾きは、加速度Gをディジタルデータとして処理する場合、たとえば所定時間毎に加速度Gを記憶しておき、所定時間前の加速度Gと現在の加速度Gとの差を演算することにより求められる。
【0017】
他の好ましい実施の形態によれば、所定時間毎の車輪速度パラメータMωの差を演算する二点差分演算手段と、二点差分演算手段により演算された車輪速度パラメータMωの差に応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する。
【0018】
他の好ましい実施の形態によれば、今回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値と、前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値との差を演算する路面摩擦力変化量演算手段と、路面摩擦力変化量演算手段により演算された路面摩擦力Fの変化量に応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する。
【0019】
他の好ましい実施の形態によれば、第1の閾値可変手段は、第1の閾値を連続的に変化させる。
【0020】
連続的に変化させるとは、アナログ的に変化させる場合だけではなく、加速度Gの傾き、車輪速度パラメータMωの差、あるいは路面摩擦力Fの差が、所定時間毎に変化した場合に、その変化に応じて必ず第1の閾値を変化させる場合も含む。
【0021】
他の好ましい実施の形態によれば、第1の閾値可変手段は、第1の閾値を段階的に変化させる。
【0022】
段階的に変化させるとは、加速度Gの傾き、車輪速度パラメータMωの差、あるいは路面摩擦力Fの差が、所定時間毎に変化した場合、その変化量が所定値以上の場合に、その変化量に応じて第1の閾値を変化させる場合をいう。
【0023】
他の好ましい実施の形態によれば、車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、加速度情報に基づく加速度Gを積分する加速度積分手段とを有し、ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始時点において車輪速度パラメータMωの値と一致するように加速度積分手段による積分値の軌跡を平行移動させた線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωがリファレンスラインと交差した時点で、ブレーキ液圧の減圧を終了させる。
【0024】
他の好ましい実施の形態によれば、ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始時点における車輪速度パラメータMωとそれよりも所定時間前の車輪速度パラメータMωとを結ぶ直線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωがリファレンスラインと交差した時点で、ブレーキ液圧の減圧を終了させる。
【0025】
他の好ましい実施の形態によれば、ブレーキ液圧制御手段は、今回のリファレンスラインの傾きと前回のリファレンスラインの傾きとを比較し、傾きが大きくなっていれば、所定時間を長く選択することにより今回のリファレンスラインを補正し、逆に、傾きが小さくなっていれば、所定時間を短く選択することにより今回のリファレンスラインを補正する。
【0026】
他の好ましい実施の形態によれば、ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始後に、差分パラメータMが、差分パラメータMのピーク値に応じた第2の閾値まで増大した時点を判断し、その時点が所定の最短減圧期間の経過後であり、かつブレーキ液圧の減圧が終了していなければ、その時点でブレーキ液圧の減圧を終了させる。
【0027】
他の好ましい実施の形態によれば、車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、加速度情報に基づく加速度Gを積分する加速度積分手段とを有し、ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始時点において車輪速度パラメータMωの値よりも所定量大きくなるように加速度積分手段による積分値の軌跡を平行移動させた線を急加圧判定ラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧終了後に、車輪速度パラメータMωが急加圧判定ラインと交差した時点で、ブレーキ液圧を急加圧させる。
【0028】
ブレーキ液圧を急加圧させるとは、たとえば、ブレーキ油圧の減圧終了後に、ブレーキ油圧の増圧と保持とを所定時間毎に繰り返して徐々にブレーキ油圧を加圧させる状態から、常にブレーキ油圧を増圧させる状態に移行することをいうが、これに限るものではない。
【0029】
他の好ましい実施の形態によれば、車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、加速度情報に基づく加速度Gを積分する加速度積分手段とを有し、ブレーキ液圧制御手段は、車輪速度パラメータMωが減少から増加に転じたときに、加速度積分手段による積分値の傾きが所定値以下であれば、車輪がオーバースリップしていると判断して、オーバースリップに対処するための制御を行う。
【0030】
オーバースリップに対処するための制御とは、たとえばブレーキ液圧の減圧を開始させることをいうが、これに限るものではない。
【0031】
他の好ましい実施の形態によれば、差分パラメータ演算手段は、第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基づいて、路面摩擦力Fからブレーキトルク力Tを減算した値F−Tを差分パラメータMとして求める。
【0032】
他の好ましい実施の形態によれば、差分パラメータ演算手段は、車輪の半径をR、車輪の回転中心とブレーキ装置のブレーキキャリパとの距離をrとしたときに、第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基づいて、半径Rと距離rとの比R/rと路面摩擦力Fとの積(R/r)Fからブレーキトルク力Tを減算した値(R/r)F−Tを差分パラメータMとして求める。
【0033】
他の好ましい実施の形態によれば、車両の旋回時に、路面摩擦力Fの代わりに、車両の進行方向と直交する方向に車輪に作用するコーナリングフォースFS を用い、このコーナリングフォースFS に応じた路面摩擦力情報とブレーキトルク力Tに応じたブレーキトルク情報とに基づいて差分パラメータMを求める構成とした。
【0034】
他の好ましい実施の形態によれば、車輪の操舵角を検出する操舵角センサを設け、この操舵角センサからの検出信号に基づいて車輪の回転軸芯に直交する方向と車両の進行方向との偏差である横滑り角βを求め、この横滑り角βに基づいてコーナリングフォースFS を求める構成とした。
【0035】
このように本願発明によれば、路面摩擦力Fとブレーキトルク力Tとに基づいて得られる差分パラメータMや、さらにそれに基づいて得られる車輪速度パラメータMωを用いて制御を実行するので、従来のように車輪と共に回転する歯車を用いる制御と比較して、車体速度の高低などに係わらず常に正確な制御を行える。しかも、差分パラメータMや車輪速度パラメータMωは、路面摩擦力Fに含まれるブレーキトルク力Tのクロストーク成分が除去されたパラメータであることからも、制御の精度が向上する。
【0036】
さらに、差分パラメータ演算手段により演算された差分パラメータMを補正して積分することにより、車輪のロック時に0になるように車輪速度パラメータMωを演算するので、実際の車輪速度の挙動に極めて近似した車輪速度パラメータMωを得ることができ、走行路面の状況変化に迅速かつ正確に対応できることからも、制御の精度を一層向上させることができる。
【0037】
また、差分パラメータMだけではなく、車輪速度パラメータMωをも用いるので、差分パラメータMだけで制御した場合のように、オーバースリップ時に波形が乱れて制御が不正確になるという問題を良好に解消でき、特に低μ路面において顕著な効果が得られる。
【0038】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0040】
図1は、本願発明に係るABS装置に設けられたセンサブロックの配置説明図であって、センサブロック1は、車両車軸2に形成された孔3に装着されている。なお孔3は、必ずしも車両車軸2自体に形成する必要はなく、車両車軸2の近傍に形成してもよい。
【0041】
図2は、センサブロック1の外観斜視図であって、このセンサブロック1は、たとえば金属あるいはシリコン系の材料からなる立方体形状の基板5の各表面に、4個の金属抵抗箔からなる応力歪みゲージ6をクロス状に貼着したものである。なお基板5は、必ずしも立方体形状である必要はなく、板状の基板の表裏に応力歪みゲージ6をそれぞれクロス状に設け、それら板状の基板を孔3の内部にたとえば3個設置してもよい。
【0042】
図3は、本願発明に係るABS装置の回路ブロック図であって、このABS装置は、ABS装置全体を制御するCPU(central processing unit )11、CPU11のワークメモリとして用いられるRAM(random access memory)12、各種のプログラムやデータなどが格納されたROM(read only memory)13、およびCPU11とセンサや電磁弁などの入出力機器との間の信号授受を制御するインターフェイス14を備えている。インターフェイス14は、入力されるアナログ信号をディジタル信号に変換する機能や、出力するディジタル信号をアナログ信号に変換する機能などを有しており、インターフェイス14には、車両の車輪と走行路面との間に作用する路面摩擦力Fに比例した電圧を出力する路面摩擦力センサ15と、車両の車輪とブレーキ装置との間に作用するブレーキトルク力Tに比例した電圧を出力するブレーキトルクセンサ16と、車両に作用する加速度(減速度)に比例した電圧を出力する加速度センサ17と、ブレーキ装置の油圧を制御するための電磁弁18とが接続されている。路面摩擦力センサ15、ブレーキトルクセンサ16、および加速度センサ17は、センサブロック1の応力歪みゲージ6により実現されている。
【0043】
図4は、CPU11がROM13に格納されたプログラムに基づいて動作することにより実現される仮想的な回路ブロック図であって、CPU11は、M演算手段21、G積分手段22、Mω演算手段23、−a演算手段24、急加圧判断手段25、オーバースリップ判断手段26、および電磁弁制御手段27を実現している。これらの回路は、車両のブレーキペダルが踏み込まれることにより、CPU11がROM13に格納されているABS制御プログラムを実行することによって実現される。ブレーキペダルの踏み込みは、図示していないが、ブレーキペダル自体に取り付けられたセンサ、あるいはブレーキ装置の油圧を監視するセンサなどからの検出信号に基づいて、CPU11が判断する。
【0044】
M演算手段21は、路面摩擦力センサ15およびブレーキトルクセンサ16からインターフェイス14を介して入力された路面摩擦力Fとブレーキトルク力Tとに基づいて、差分パラメータM=F−Tを演算する。
【0045】
G積分手段22は、加速度センサ17からインターフェイス14を介して入力された加速度情報としての加速度Gに基づいて、加速度Gを積分する。
【0046】
Mω演算手段23は、M演算手段21からの差分パラメータMと、加速度センサ17からインターフェイス14を介して入力された加速度Gとに基づいて、差分パラメータMと加速度Gとの差M−Gを積分することにより、車輪速度パラメータMωを演算する。
【0047】
−a演算手段24は、路面摩擦力センサ15および加速度センサ17からインターフェイス14を介して入力される路面摩擦力Fおよび加速度Gに基づいて、第1の閾値としての−aを演算する。具体的には、加速度Gを所定時間毎に監視し、今回の加速度Gと前回の加速度Gとの差に基づいて加速度Gの傾きを演算して、その傾きに応じて−aを連続的あるいは段階的に変化させる。さらに−a演算手段24は、今回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値と、前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値との差に応じて、−aを連続的あるいは段階的に変化させる。なお、ブレーキペダルの踏み込み時における初回の−aは、標準的な差分パラメータMのマイナス方向のピーク値に応じて予め決定され、ROM13に記憶されている。
【0048】
急加圧判断手段25は、Mω演算手段23からの車輪速度パラメータMωと、G積分手段22からの積分値とに基づいて、減圧終了の遅れを検出し、急加圧指示信号を生成する。具体的には、ブレーキ油圧の減圧開始時点において車輪速度パラメータMωの値よりも若干大きくなるようにG積分手段22からの積分値の軌跡を平行移動させた線を急加圧判定ラインとして用い、ブレーキ油圧の減圧終了後に、車輪速度パラメータMωが急加圧判定ラインと交差した時点で、減圧終了が遅れたものと判断し、急加圧指示信号を電磁弁制御手段27に出力する。
【0049】
オーバースリップ判断手段26は、Mω演算手段23からの車輪速度パラメータMωと、G積分手段22からの積分値とに基づいて、オーバースリップを検出し、オーバースリップ信号を生成する。具体的には、車輪速度パラメータMωが減少から増加に転じたときに、G積分手段22からの積分値の軌跡の傾きが所定値以下であれば、車輪がオーバースリップしていると判断し、オーバースリップ信号を電磁弁制御手段27に出力する。
【0050】
電磁弁制御手段27は、M演算手段21からの差分パラメータM、Mω演算手段23からの車輪速度パラメータMω、−a演算手段24からの−a、G積分手段22からの積分値、急加圧判断手段25からの急加圧指示信号、およびオーバースリップ判断手段26からのオーバースリップ信号に基づいて、電磁弁18のソレノイドへの通電状態を切り換える。
【0051】
すなわち、M演算手段21は、第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報との差に応じた差分パラメータMを演算する差分パラメータ演算手段を構成している。Mω演算手段23は、差分パラメータ演算手段により演算された差分パラメータMを補正して積分することにより、車輪のロック時に0になる車輪速度パラメータMωを演算する車輪速度パラメータ演算手段を構成している。急加圧判断手段25、オーバースリップ判断手段26、および電磁弁制御手段27は、車輪速度パラメータ演算手段により演算された車輪速度パラメータMωを用いてブレーキ装置の液圧を制御するブレーキ液圧制御手段を構成している。−a演算手段24は、加速度Gの傾きを演算する加速度変化率演算手段を構成している。さらに−a演算手段24は、加速度Gの傾きに応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段を構成している。さらに−a演算手段24は、今回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値と、前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値との差を演算する路面摩擦力変化量演算手段を構成している。さらに−a演算手段24は、路面摩擦力変化量演算手段により演算された路面摩擦力Fの変化量に応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段を構成している。G積分手段22は、加速度Gを積分する加速度積分手段を構成している。
【0052】
次に上記ABS装置の動作を説明する。ブレーキペダルが踏み込まれると、電磁弁制御手段27が、M演算手段21からの差分パラメータMと−a演算手段24からの−aとを監視し、差分パラメータMが−aまで減少した時点で、電磁弁18を制御してブレーキ油圧を減少させる。そして電磁弁制御手段27が、Mω演算手段23からの車輪速度パラメータMωとG積分手段22からの積分値とを監視し、ブレーキ油圧の減圧開始時点において車輪速度パラメータMωの値と一致するようにG積分手段22からの積分値の軌跡を平行移動させた線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωがリファレンスラインと交差した時点で、電磁弁18を制御してブレーキ油圧の減少を終了させ、たとえば10msecの増圧と40msecの油圧保持とを交互に繰り返すことにより、ブレーキ油圧を徐々に増加させる。
【0053】
さらに、電磁弁制御手段27が、M演算手段21からの差分パラメータMと−a演算手段24からの−aとを監視し、−aと等しいかあるいはそれよりも絶対値が若干小さい値である+aを演算して、この+aを第2の閾値として用いて、ブレーキ油圧の減圧開始後に、差分パラメータMが第2の閾値まで増大した時点を判断し、その時点が所定の最短減圧期間の経過後であり、かつブレーキ油圧の減圧が終了していなければ、その時点でブレーキ油圧の減圧を終了させる。すなわち、車輪速度パラメータMωによる減圧終了判断と差分パラメータMによる減圧終了判断とを同時に実行することにより、減圧終了判断の誤りを確実に防止している。
【0054】
以後、上記のようなブレーキ油圧の減少制御と増加制御とが、車両の停止時まで繰り返される。
【0055】
このとき、−a演算手段24により、加速度センサ17からの加速度Gの傾きに応じて、−aが更新される。すなわち、路面摩擦係数μの大きな路面の場合には車両の減速度が大きくなるから加速度Gの傾きが大きくなり、路面摩擦係数μの小さな路面の場合に上記とは逆に加速度Gの傾きが小さくなるので、路面の状況に応じて第1の閾値である−aを変化させることにより、ブレーキ油圧の減圧開始のタイミングを変化させている。
【0056】
さらに、−a演算手段24により、減圧制御のサイクル毎の路面摩擦力Fの差に応じて、−aが更新される。具体的には、今回の減圧開始時点における路面摩擦力Fと前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fとの差に所定の係数を乗算し、その値と前回の−aの値との積を前回の−aの値から引いた値を今回の−aの値とする。換言すれば、今回の減圧開始時点における路面摩擦力Fと前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fとの差に所定の係数を乗算し、その値に前回の−aの値を乗算した値が、前回の−aの値と今回の−aの値との差になる。すなわち、車体速度の変遷による慣性モーメントの変化に応じて、−aの値を変化させているのである。
【0057】
一方、減圧終了のタイミングが遅れた場合、減圧終了後に車輪速度パラメータMωの値が過剰に大きくなることを利用して、急加圧判断手段25が、減圧終了の遅れを検出し、急加圧指示信号を電磁弁制御手段27に出力する。これにより電磁弁制御手段27が、電磁弁18を制御して、ブレーキ油圧を急激に上昇させる。このブレーキ油圧の上昇により車輪速度パラメータMωの値が急加圧判定ラインまで減少すれば、急加圧判断手段25が、急加圧指示信号の出力を停止する。これにより電磁弁制御手段27が、電磁弁18を制御して、ブレーキ油圧を徐々に増加させる状態に戻す。
【0058】
また、オーバースリップが発生した場合、車輪速度パラメータMωが減少から増加に転じたときに、加速度Gの積分値の傾きが小さいことを利用して、オーバースリップ判断手段26が、車輪がオーバースリップしていると判断し、オーバースリップ信号を電磁弁制御手段27に出力する。これにより電磁弁制御手段27が、電磁弁18を制御して、ブレーキ油圧の減圧を開始するなどの所定の制御を実行する。
【0059】
以下、上記の動作により優れたABS制御を行える理由について、理論的に考察する。
【0060】
図5は、走行中の車両に急ブレーキが作用したことにより車輪がロッキングに至るときの各種パラメータの変化を説明する説明図であって、図5より明らかなように、ブレーキ制動開始の立ち上がり時、路面と車輪との間に十分な摩擦力が残存している期間(0〜t1 )は、ブレーキ油圧Pの上昇に伴って路面摩擦力Fおよびブレーキトルク力Tがブレーキ油圧Pに追随するようにほぼ直線的に増加する。この期間の差分パラメータMの傾きはほぼ一定値である。
【0061】
ところが、路面から車輪に作用する摩擦力が限界点に近づくと、ブレーキトルク力Tがブレーキ油圧Pに従って上昇するにも係わらず、路面摩擦力Fの上昇度は減少を始め、やがてブレーキ油圧Pが路面から得られる摩擦力の限界値に対応した一定圧力に達すると、急速に下降線を描いて減少していく。またブレーキトルク力Tは車輪がロッキングに至るに従って、路面摩擦力Fと同様に急速に減少を始める。このため、この期間(t1 〜t2 )において差分パラメータMは、路面摩擦力Fの上昇度の減少に伴い急速に降下を始め、ブレーキトルクTのピーク点において最下点に達する。その後ブレーキトルク力Tの下降と反比例して上昇し、やがて一定値となる。
【0062】
一般に、ブレーキトルク力Tは路面摩擦力Fに比して非常に大きなこともあり、通常検出される路面摩擦力Fには相当量のブレーキトルク力Tのクロストーク成分が含まれている。よって純粋な路面摩擦力を検出することは非常に困難である。ところで、下記数式1に示す近似の運動方程式において、Fpureは純粋な路面摩擦力、tは路面摩擦力センサ15により検出された路面摩擦力Fに混入したクロストーク成分であり、このクロストーク成分tはブレーキトルク力Tに比例している。したがって、t/Tは定数として定義することができる。よって差分パラメータM=F−Tを用いて制御を行うことにより、ブレーキトルク力Tによるクロストーク成分を排除した制御が可能となり、差分パラメータMの変動は車輪の回転角加速度dω/dtの挙動に近似できると判断できる。なお、下記数式1において、Iは車輪の慣性モーメント、ωは車輪の回転角速度、K1 ,K2 は比例定数である。
【0063】
【数1】
【0064】
そこで、ブレーキ制動開始直後から、路面摩擦力センサ15からの路面摩擦力Fとブレーキトルクセンサ16からのブレーキトルク力Tとに基づいて、M演算手段21により差分パラメータMを逐次演算して、その結果を電磁弁制御手段27に送る。電磁弁制御手段27では、ブレーキ制動開始直後から差分パラメータMを監視し、差分パラメータMの値が−a演算手段24からの−aの値まで小さくなった時点で車輪がロッキングに向かっていると判断し、この時点をABS制御の減圧制御開始タイミングとして、ブレーキ油圧Pを減少させることで車輪のロッキングを回避する。図5における−aは、第1の閾値に相当し、ブレーキ制御における制動力の限界境界線を意味する。
【0065】
ところで、限界境界線は路面摩擦係数μの限界境界に相当するものであり、路面摩擦係数μは路面の状況や車両速度の変化に伴ってリアルタイムに変化する。すなわち限界境界線たる−aもリアルタイムに変化させる必要がある。この−aの変更制御については後述する。
【0066】
ブレーキ油圧Pを増加させると、ブレーキ系の伝達遅れを介してブレーキトルク力Tが増加し、更に伝達遅れを介して路面摩擦力Fが増加する。一般に図5の路面摩擦力Fのピーク値から左側は安定領域、右側は不安定領域と呼ばれているが、この不安定領域には、ロッキングの直前の状況、すなわち車輪は回転しているもののその回転速度が急速に減少を始める、いわゆるオーバースリップ現象が存在し、この時点においてブレーキ油圧Pを減少させることによって、車輪のロッキングは防がれる。
【0067】
一方、ブレーキ油圧Pの増圧もしくは保持中に、差分パラメータMは負の領域方向に大きく移行する。ここで、不安定領域に達する時点で差分パラメータMに境界線たる減圧しきい値基準線として−aを与え、その−aを差分パラメータMと比較すると、図6に示すようにブレーキ油圧減少信号Aが得られ、このブレーキ油圧減少信号Aが得られた時点(t4 )を減圧制御開始タイミングと判断する。この−aは、車輪の安定領域におけるブレーキ油圧Pの不要な減圧を防止するために、現存する最大の路面摩擦係数μによる差分パラメータMより僅かにマイナスの方向に大きな値でなければならない。
【0068】
ブレーキ油圧Pの減圧中は、不安定領域の方向に行き過ぎて差分パラメータMが−aより下方向すなわち負の領域側に大きくなっているときであり、差分パラメータMの挙動はブレーキ油圧Pの減圧の進行に伴って上昇傾向に向かう。これを利用して差分パラメータMが加圧しきい値基準線としての+aにまで回復してきた時点(t5 )で、ブレーキ油圧Pの減圧量が十分であり車輪が再加速をし始めたと判断し、減圧制御を終了して緩加圧制御もしくはパルスステップ技術による段階的なブレーキ油圧Pの増加への移行を行う。この時点での+aは−aとほぼ同等もしくはやや上方に位置しなければならず、−aによって支配される。+aを越える減圧制御は、それ自体が無駄な減圧であり、制動距離の損失を招く。なお、減圧終了の判断は、車輪速度パラメータMωを用いた制御と共に二重に行われている。
【0069】
差分パラメータMは、上記数式1により車輪の回転角加速度dω/dtの挙動に近似できることは既述のとおりである。そこで、下記数式2より、差分パラメータMの積分値Mωは車輪速度VW の挙動に近似的に表現できると判断できる。なお下記数式2において、Rは車輪有効半径である。また、下記数式3に差分パラメータMの積分値Mωと車輪速度VW との関係式を示す。下記数式3において、k,Cは定数である。また、図7にブレーキ制御による車輪速度VW に近似した積分値Mωの挙動を示す。
【0070】
【数2】
【0071】
【数3】
【0072】
図7に示すように、基本的に実際の制御において取得される差分パラメータMは、車輪のロッキング時において車輪速度VW が0の値に帰するに対し、常に負の領域に存在するため、積分値Mωを車輪速度VW に近似できるように補正しなければならないという問題が残存する。またこの期間における車両の相対的な減速度は、車輪に作用する力が静摩擦係数による力から動摩擦係数による力に変化することにより慣性的な力になるため、減速度は一定となる。
【0073】
そこで図8に示すように、加速度センサ17からの加速度Gを用いて、M−Gを積分することにより、車輪速度パラメータMωを演算する。このように、加速度Gをゼロドリフトラインとして用いることによって差分パラメータMを補正した後に積分することにより、実際の制御における車輪速度VW と同等な挙動を有する車輪速度パラメータMωが得られる。
【0074】
ブレーキ制御開始直後から車輪ロックに至るまでの間に、差分パラメータMが、ゼロドリフトラインよりも正の方向に位置する期間が存在する。この期間における車輪の回転角加速度の変化量は微少であり、実際のABS制御において無視してもよい期間、すなわち安定領域であると判断できる。従ってブレーキ制御開始直後から差分パラメータMがゼロドリフトラインに達するまでの期間は、ABS制御をする必要がないと判定する要因になり得る。
【0075】
車輪速度パラメータMωを減圧制御終了判定に用いるために、図9に示すように、リファレンスラインとして相対的な車両の減速度である加速度Gの積分値を利用している。すなわち、減圧制御開始時点の車輪速度パラメータMωを切片に持ちかつ加速度Gの積分値の軌跡と平行な曲線をリファレンスラインとして算出することで、リファレンスラインと車輪速度パラメータMωとの交点を車輪速度が安定領域にまで十分回復した減圧制御終了タイミングとして判断している。
【0076】
このようにすれば、後述のように所定時間前の車輪速度パラメータMωの値を利用して直線のリファレンスラインを演算する方式のように、制御参照ポイントは経験値的に予め設定されたパラメータであり、かつリファレンスラインの設定条件が車輪速度パラメータMωの挙動変化による制御参照ポイントの選択のみに頼っているため、実際の制御においては膨大な数の制御参照ポイントを設定しなければならないという問題を解消でき、走行路面の状況に対応したリアルタイムな制御を容易に行える。
【0077】
減圧制御期間中に車輪速度が十分に回復しているにも係わらず過剰に減圧制御を行った場合、車輪速度は相対的な車体速度に近づく傾向を示し、スリップ率の損失を招く。この期間において図10に示すように車輪速度パラメータMωも同様にリファレンスラインを越え、相対的な車両の減速度である加速度Gの積分値の軌跡に漸近する。通常、減圧制御終了後はパルスステップコントロール制御による緩やかな加圧を実施するが、過剰な減圧制御が発生した場合、スリップ率の損失が解消されず、結果として制動距離の損失を招く要因となる。そこでリファレンスラインと加速度Gの積分値の軌跡との間に、加速度Gの積分値の軌跡と平行な急加圧判定ラインを設定し、車輪速度パラメータMωが急加圧判定ラインを越えた場合に今までの緩やかな加圧制御から急加圧制御へ移行する。これによって損失したスリップ率の速やかな回復を図り、車輪速度パラメータMωが再び急加圧判定ラインまで戻ってきた時点でスリップ率の損失が解消されたものと判断し、通常の緩やかな加圧制御に戻す。
【0078】
逆に減圧制御開始タイミングが遅れる、もしくは車輪速度が十分に回復する以前に減圧制御が終了してしまった場合、既述のオーバースリップ現象が発生する。オーバースリップが発生すると、車輪速度パラメータMωは、図11に示すように、相対的な車両の減速度である加速度Gの積分値に近づく傾向を示し、これは車輪速度が回復する場合と線形相似である。またこの期間中の相対的な車両の減速度である加速度Gは、0に近い一定値、すなわち車輪に作用する動摩擦係数μに支配された減速度に収束する。この車輪速度パラメータMωと、車両の相対的な減速度である加速度Gとの両者の特性を利用し、双方の特性が同時に発生した場合をオーバースリップ発生タイミングと判断できる。したがって、車輪速度パラメータMωが減少から増加に転じたときに、加速度Gの積分値の傾きが所定値以下であれば、車輪がオーバースリップしていると判断すればよい。オーバースリップと判断した場合、現在の制御すなわちブレーキ油圧Pの増加を終了して油圧減圧制御への移行を行う。
【0079】
上記の差分パラメータMと+aとによる減圧制御終了判断は、いわば各パラメータや設定値を予め定めて制御する予測制御技術であり、この予測制御技術と車輪速度パラメータMωを用いた場合のような学習制御技術とを併用して減圧終了判断を行うことは、ひとつの制御に対して複数の確認機構が成り立つことであり、より誤判断が少なくより安全な制御が可能となる。
【0080】
一般に路面摩擦力Fや路面摩擦係数μは、制御中の路面の種類、例えば乾燥アスファルト路から濡れたアスファルト路への変化や、車体速度の変遷やギヤ位置による慣性モーメントの大小に対応して変化する。従来のABS制御装置は、主とする制御パラメータをスリップ率や車輪減速度に置き換え、その設定値すなわち車輪の安定限界を検出するための値を変化させる方式を採用している。しかしながら、従来のABS装置に使用されている歯車状の車輪速度センサは、低速になる程そのセンシングが悪くなるという応答性上の問題や、スリップ率を算出するのに必要な車体速度を車輪速度による推定値に頼っているため、その信頼性に欠けるという問題が残存する。
【0081】
そこで図12に示すように、差分パラメータMが−aと交差する点αと前回の制御サイクル時の交点である点βとにおける路面摩擦力Fの値の比較を行い、その差だけ−aもしくはその傾きを深くする。すなわち、車輪の安定限界の底を下方へ引き下げる。これをブレーキ制動開始直後から常に監視し、連続的に実施することで、−aを段階的もしくは連続的に変化させることにより、車体速度の変遷による慣性モーメントの変化に対応した−aの制御を実現できる。
【0082】
さらに、加速度Gの傾きに応じて−aを段階的もしくは連続的に変化させることにより、路面状況の変化に対応した−aの制御を実現できる。
【0083】
すなわち、従来のABS装置に採用されている歯車状の車輪速センサの欠点を排除したリアルタイムセンシング可能な、かつ路面状況や車両のギヤ位置による慣性モーメントの大小に適応した制御が実現する。
【0084】
図13は、本願発明の別の実施形態におけるCPU11により実現される仮想的な回路ブロック図であって、この実施形態においては、Mω演算手段31が、M演算手段21からの差分パラメータMと、−a演算手段32からの−aに比例した値との差を積分することにより、車輪速度パラメータMωを演算する。また、−a演算手段32が、加速度Gの傾きに応じて−aを変化させる代わりに、所定時間毎の車輪速度パラメータMωの差に応じて−aを変化させる。また電磁弁制御手段33が、ブレーキ油圧の減圧開始時点における車輪速度パラメータMωとそれよりも所定時間前すなわち制御参照ポイントの車輪速度パラメータMωとを結ぶ直線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ油圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωがリファレンスラインと交差した時点で、ブレーキ油圧の減圧を終了させる。さらに電磁弁制御手段33が、今回のリファレンスラインの傾きと前回のリファレンスラインの傾きとを比較し、傾きが大きくなっていれば、所定時間を長く選択することにより制御参照ポイントを前側にずらせて今回のリファレンスラインを補正し、逆に、傾きが小さくなっていれば、所定時間を短く選択することにより制御参照ポイントを後側にずらせて今回のリファレンスラインを補正する。他の動作は図4に示す回路ブロックの場合と同様である。
【0085】
すなわち、Mω演算手段31は、差分パラメータMと、差分パラメータMのピーク値に応じた第1の閾値に比例した値との差を積分することにより、車輪速度パラメータMωを得る車輪速度パラメータ演算手段を構成している。−a演算手段32は、所定時間毎の車輪速度パラメータMωの差を演算する二点差分演算手段を構成している。さらに−a演算手段32は、二点差分演算手段により演算された車輪速度パラメータMωの差に応じて第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段を構成している。電磁弁制御手段33は、ブレーキ液圧の減圧開始時点における車輪速度パラメータMωとそれよりも所定時間前の車輪速度パラメータMωとを結ぶ直線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωがリファレンスラインと交差した時点で、ブレーキ液圧の減圧を終了させるブレーキ液圧制御手段を構成している。さらに電磁弁制御手段33は、今回のリファレンスラインの傾きと前回のリファレンスラインの傾きとを比較し、傾きが大きくなっていれば、所定時間を長く選択することにより今回のリファレンスラインを補正し、逆に、傾きが小さくなっていれば、所定時間を短く選択することにより今回のリファレンスラインを補正するブレーキ液圧制御手段を構成している。
【0086】
以下、上記の動作により優れたABS制御を行える理由について、理論的に考察する。
【0087】
先ず車輪速度パラメータMωの演算に際して、図14に示すように、差分パラメータMが車輪ロック状態において減速度と同様に一定値に達することを利用し、車輪ロック期間における差分パラメータMの値M0 と同等なゼロドリフトラインすなわち−aに比例した値を有する直線を基準線として用いることで補正する。このゼロドリフトラインを基準線と想定する、すなわち原点をゼロドリフトラインにまで移動させることによって、実際の制御における車輪速度VW と同等な挙動を有する車輪速度パラメータMωが得られる。
【0088】
ブレーキ制御開始直後から車輪ロックに至るまでの間で差分パラメータMは、ゼロドリフトラインよりも正の方向にある期間が存在する。この期間における車輪加速度の変化量は微少であり、実際のABS制御において無視してもよい期間、すなわち安定領域であると判断できる。従ってブレーキ制御開始直後からゼロドリフトラインにまで差分パラメータMが達するまでの期間はABS制御をする必要がないと判定する要因になり得る。
【0089】
図15は、車輪速度パラメータMωの挙動を利用したブレーキ減圧終了判断のタイミングを説明する説明図であって、ブレーキ油圧Pの減圧終了判断において、制御の過程で前回の制御サイクルにおけるパラメータを記憶しておき、それを基にして今回の制御サイクルの制御条件を定める学習制御技術を応用することは、非常に有効な手段のひとつである。つまり通常は車輪速度VW に近似する車輪速度パラメータMωと等しく変化し、減圧制御を開始した瞬間から、その時の車輪速度パラメータMωの値Mω0 を初期値とし、図15に示すような定められた傾きで変化するリファレンスラインを算出する。リファレンスラインは、初期値Mω0 とそれから一定時間遡った制御参照ポイントにおけるMω1 とを通る直線であり、近似的な安定領域における車輪速度パラメータMωの変化量に相当する。よって車輪速度パラメータMωとリファレンスラインとの交点において、車輪速度が安定領域にまで十分回復したものと判断でき、この時点を減圧終了タイミングとする。
【0090】
一般に、ブレーキ制御中の路面状況は刻一刻と変化しており、車輪速度VW の疑似的なパラメータである車輪速度パラメータMωによる油圧減圧制御終了判断のタイミングに関しても路面の状況に逐次対応させる必要がある。つまり油圧減圧制御を開始した時点における車輪速度VW に比例して変化する車輪速度パラメータMωを参照するポイントを複数個設定し、前回において制御がなされたリファレンスラインの傾きと今回新たに算出されたリファレンスラインの傾きとを比較することで車輪ロックの進行状態が判明し、その傾きの変化率の大小によって適切な制御参照ポイントを選択することが可能である。例を挙げると、リファレンスラインの変化率が大きい場合、路面状態が滑りやすく変化し車輪ロックが急速に進行していると判断でき、前回よりも油圧減圧開始時点と制御参照ポイントとの間の期間が長くなるように制御参照ポイントを設定してやることで傾きの緩やかなリファレンスラインを設定し、減圧制御期間を稼いでやる。逆にリファレンスラインの変化率が小さな場合は、車輪ロックが前回よりも緩やかである、すなわち前回の制御と比較して減圧制御期間を短縮できると判断でき、前回よりも油圧減圧開始時点と制御参照ポイントとの間の期間が短くなるように制御参照ポイントを設定してやることで傾きの急なリファレンスラインを選択すれば良い。従って制御参照ポイントに選択の幅を与えることは、車輪ロックの進行状況による過小減圧や車輪ロック回避後の過剰な減圧を抑えることが可能となり、路面の変化による情報をダイレクトに受ける車輪の状況変化に対応した制御が可能となる。
【0091】
また、ブレーキ制御中の路面状況の変移に関しては、車輪速度Vw の挙動に近似できる車輪速度パラメータMωの二点差分式より導出される値により推定可能である。二点差分とはある規定時間における車輪速度パラメータMωの変化量をリアルタイムに求めたもので、車輪速度Vw の変化量に相当する。
【0092】
たとえば、ブレーキ制動制御中の車両が通過する路面の状況が、濡れたアスファルト路面から乾燥したアスファルト路面に変化した場合、前半部の濡れたアスファルト路面走行時は、路面に現存する摩擦係数μは低く、−aを相対的に小さくしなければならない。当然ながら差分パラメータMも小さくなり、その積分値に対応する車輪速度パラメータMωの変化量も小さくなる。しかしながら、車両が乾燥したアスファルト路面に突入すると、路面に現存する摩擦係数μが大きくなって、−aを深くすることができ、結果として車輪速度パラメータMωの変化量が増大する。この車輪速度パラメータMωの変異点が、路面状況の変化により路面摩擦係数μが大きく変わる変移点に相当し、各々の路面状況に則した−aの設定が可能となる。
【0093】
なお上記各実施形態においては、M演算手段21が、路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基づいて、路面摩擦力Fからブレーキトルク力Tを減算した値F−Tを差分パラメータMとして求めるように構成したが、必ずしもこのようにする必要はない。たとえば、車輪の半径をR、車輪の回転中心とブレーキ装置のブレーキキャリパとの距離をrとしたときに、路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基づいて、半径Rと距離rとの比R/rと路面摩擦力Fとの積(R/r)Fからブレーキトルク力Tを減算した値(R/r)F−Tを差分パラメータMとして求めてもよい。半径Rおよび距離rは、ABS装置が搭載される車両に応じて予め決まっているので、定数R/rの値も既知であり、その定数R/rはたとえばROM13に記憶させておく。
【0094】
すなわち、車輪の半径をR、車輪の回転中心とブレーキ装置のブレーキキャリパとの距離をrとすれば、タイヤトルクはRF、ブレーキトルクはrTであり、上記数式1は下記数式4のように表されるので、(R/r)F−Tを差分パラメータMとして用い得ることは明らかである。
【0095】
【数4】
【0096】
このようにすれば、車両が停止したときの差分パラメータMが0になり、制御が容易になる。また、ブレーキ装置の作動時における差分パラメータMのピーク値が時間的に早く現れるので、第1の閾値である−aに到達するのも早いことから、オーバースリップの発生が起こり難くなる。
【0097】
またこのようにした場合、図16に示すように差分パラメータMの値がプラス側に移行することがあるが、このときには、第2の閾値+aを第1の閾値−aよりも小さな値にすればよい。すなわち、差分パラメータMの値がマイナス側であってもプラス側であっても、第2の閾値+aの絶対値が第1の閾値−aの絶対値よりも小さくなるようにすればよい。もちろん、第2の閾値+aを第1の閾値−aと等しくしてもよく、その場合には差分パラメータMの値がマイナス側であるかプラス側であるかを考慮する必要がない。
【0098】
また、車両の旋回時に、路面摩擦力Fの代わりに、車両の進行方向と直交する方向に車輪に作用するコーナリングフォースFS を用い、このコーナリングフォースFS に応じた路面摩擦力情報とブレーキトルクTに応じたブレーキトルク情報とに基づいて差分パラメータMを求めるようにしてもよい。もちろん、ブレーキ制御は各車輪毎に各別に実行する。すなわち、車両の旋回時においては、内輪側と外輪側とで車輪に作用する力が異なり、内輪側の車輪がロッキングを起こし易いが、コーナリングフォースFS を用いてブレーキ制御を実行することにより、このような問題が解消され、適切な制御を行えるものと考えられる。
【0099】
ところで、タイヤのコーナリング特性に関するFiala の理論を用いてコーナリングフォースFS を導出すると、コーナリングフォースFS は近似的にコーナリングパワーKと横滑り角βとの積Kβで表せることが公知の事実として知られている。ここで、コーナリングパワーKはタイヤのトレッド形状および材質によって決定される定数であり、横滑り角βは車輪の回転軸芯に直交する方向と車両の進行方向との偏差である。また、一般的には、横滑り角βは車輪の操舵角に基づいて求められる。したがって、車輪の操舵角を検出する操舵角センサを設けることにより、車両の旋回時に、操舵角センサからの検出信号に基づいて横滑り角βを求め、この横滑り角βとコーナリングパワーKとによりコーナリングフォースFS を求めて、このコーナリングフォースFS を路面摩擦力情報として用いて差分パラメータMを演算し、この差分パラメータMに基づいてブレーキ制御を行うようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係るABS装置に設けられたセンサブロックの配置説明図である。
【図2】 本願発明に係るABS装置に設けられたセンサブロックの外観斜視図である。
【図3】 本願発明に係るABS装置の回路ブロック図である。
【図4】 本願発明に係るABS装置に備えられたCPUにより実現される仮想的な回路ブロック図である。
【図5】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図6】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図7】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図8】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図9】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図10】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図11】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図12】 本願発明に係るABS装置における各部信号波形図である。
【図13】 別の実施形態におけるABS装置に備えられたCPUにより実現される仮想的な回路ブロック図である。
【図14】 別の実施形態におけるABS装置の各部信号波形図である。
【図15】 別の実施形態におけるABS装置の各部信号波形図である。
【図16】 プラス側に移行した差分パラメータの波形図である。
【符号の説明】
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 インターフェイス
15 路面摩擦力センサ
16 ブレーキトルクセンサ
17 加速度センサ
18 電磁弁
21 M演算手段
22 G積分手段
23 Mω演算手段
24 −a演算手段
25 急加圧判断手段
26 オーバースリップ判断手段
27 電磁弁制御手段
31 Mω演算手段
32 −a演算手段
33 電磁弁制御手段
Claims (18)
- 車両の車輪と走行路面との間に作用する路面摩擦力Fに応じた路面摩擦力情報と、車両の車輪とブレーキ装置との間に作用するブレーキトルク力Tに応じたブレーキトルク情報とを得ることができる任意数の第1のセンサを有するABS装置であって、
前記第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報との差に応じた差分パラメータMを演算する差分パラメータ演算手段と、
前記差分パラメータ演算手段により演算された差分パラメータMを補正して積分することにより、前記車輪のロック時に0になるように車輪速度パラメータMωを演算する車輪速度パラメータ演算手段と、
前記車輪速度パラメータ演算手段により演算された車輪速度パラメータMωを用いて前記ブレーキ装置の液圧を制御するブレーキ液圧制御手段とを備えたことを特徴とする、ABS装置。 - 前記車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサを有し、
前記車輪速度パラメータ演算手段は、差分パラメータMと、前記加速度情報に基づく加速度Gとの差を積分することにより、車輪速度パラメータMωを得る、請求項1に記載のABS装置。 - 前記車輪速度パラメータ演算手段は、差分パラメータMと、差分パラメータMのピーク値に応じた第1の閾値に比例した値との差を積分することにより、車輪速度パラメータMωを得る、請求項1に記載のABS装置。
- 前記車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、
前記加速度情報に基づく加速度Gの傾きを演算する加速度変化率演算手段と、
前記加速度変化率演算手段により演算された加速度Gの傾きに応じて前記第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する、請求項3に記載のABS装置。 - 所定時間毎の車輪速度パラメータMωの差を演算する二点差分演算手段と、
前記二点差分演算手段により演算された車輪速度パラメータMωの差に応じて前記第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する、請求項3に記載のABS装置。 - 今回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値と、前回の減圧開始時点における路面摩擦力Fの値との差を演算する路面摩擦力変化量演算手段と、
前記路面摩擦力変化量演算手段により演算された路面摩擦力Fの変化量に応じて前記第1の閾値を変化させる第1の閾値可変手段とを有する、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のABS装置。 - 前記第1の閾値可変手段は、第1の閾値を連続的に変化させる、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のABS装置。
- 前記第1の閾値可変手段は、第1の閾値を段階的に変化させる、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のABS装置。
- 前記車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、
前記加速度情報に基づく加速度Gを積分する加速度積分手段とを有し、
前記ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始時点において車輪速度パラメータMωの値と一致するように前記加速度積分手段による積分値の軌跡を平行移動させた線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωが前記リファレンスラインと交差した時点で、ブレーキ液圧の減圧を終了させる、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のABS装置。 - 前記ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始時点における車輪速度パラメータMωとそれよりも所定時間前の車輪速度パラメータMωとを結ぶ直線をリファレンスラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧開始後に、車輪速度パラメータMωが前記リファレンスラインと交差した時点で、ブレーキ液圧の減圧を終了させる、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のABS装置。
- 前記ブレーキ液圧制御手段は、今回のリファレンスラインの傾きと前回のリファレンスラインの傾きとを比較し、傾きが大きくなっていれば、前記所定時間を長く選択することにより今回のリファレンスラインを補正し、逆に、傾きが小さくなっていれば、前記所定時間を短く選択することにより今回のリファレンスラインを補正する、請求項10に記載のABS装置。
- 前記ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始後に、差分パラメータMが、差分パラメータMのピーク値に応じた第2の閾値まで増大した時点を判断し、その時点が所定の最短減圧期間の経過後であり、かつブレーキ液圧の減圧が終了していなければ、その時点でブレーキ液圧の減圧を終了させる、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載のABS装置。
- 前記車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、
前記加速度情報に基づく加速度Gを積分する加速度積分手段とを有し、
前記ブレーキ液圧制御手段は、ブレーキ液圧の減圧開始時点において車輪速度パラメータMωの値よりも所定量大きくなるように前記加速度積分手段による積分値の軌跡を平行移動させた線を急加圧判定ラインとして用い、ブレーキ液圧の減圧終了後に、車輪速度パラメータMωが前記急加圧判定ラインと交差した時点で、ブレーキ液圧を急加圧させる、請求項1ないし請求項12のいずれかに記載のABS装置。 - 前記車両に作用する加速度に応じた加速度情報を得ることができる任意数の第2のセンサと、
前記加速度情報に基づく加速度Gを積分する加速度積分手段とを有し、
前記ブレーキ液圧制御手段は、車輪速度パラメータMωが減少から増加に転じたときに、前記加速度積分手段による積分値の傾きが所定値以下であれば、前記車輪がオーバースリップしていると判断して、オーバースリップに対処するための制御を行う、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載のABS装置。 - 前記差分パラメータ演算手段は、前記第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基づいて、路面摩擦力Fからブレーキトルク力Tを減算した値F−Tを差分パラメータMとして求める、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のABS装置。
- 前記差分パラメータ演算手段は、前記車輪の半径をR、前記車輪の回転中心と前記ブレーキ装置のブレーキキャリパとの距離をrとしたときに、前記第1のセンサからの路面摩擦力情報とブレーキトルク情報とに基づいて、前記半径Rと前記距離rとの比R/rと路面摩擦力Fとの積(R/r)Fからブレーキトルク力Tを減算した値(R/r)F−Tを差分パラメータMとして求める、請求項1ないし請求項14のいずれかに記載のABS装置。
- 車両の旋回時に、路面摩擦力Fの代わりに、車両の進行方向と直交する方向に車輪に作用するコーナリングフォースFS を用い、このコーナリングフォースFS に応じた路面摩擦力情報とブレーキトルク力Tに応じたブレーキトルク情報とに基づいて差分パラメータMを求める構成とした、請求項1ないし請求項16のいずれかに記載のABS装置。
- 車輪の操舵角を検出する操舵角センサを設け、この操舵角センサからの検出信号に基づいて車輪の回転軸芯に直交する方向と車両の進行方向との偏差である横滑り角βを求め、この横滑り角βに基づいて前記コーナリングフォースFS を求める構成とした、請求項17に記載のABS装置。
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-
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- 1998-01-21 JP JP00961498A patent/JP3787608B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2009056818A (ja) * | 2007-08-29 | 2009-03-19 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 車両走行路面状態推定システム |
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