JP3784610B2 - 情報記録再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学的な情報記録再生装置において光学的情報記録再生媒体にデータを記録するためには最適な記録品質が得られるレーザパワーで記録することが必要である。このため、通常、例えばCD−R(Compact Disc Recordable)やCD−RW(Compact Disc Rewritable)などの追記型又は書換え型の光学的情報記録再生媒体にはPCA(Power Calibration Area=パワーキャリブレーションエリア)と呼ばれるレーザパワー調整エリアがあり、記録装置はそのエリアでOPC(Optimum Power Control)と呼ばれる記録レーザパワーの調整を行い、その結果得られたレーザパワーで記録を行うようにしている。
【0003】
記録装置によっては、そのときのOPC結果を装置自身の持つ不揮発性メモリに保存しておき、一旦記録を終了した光学的情報記録再生媒体に対し追記を行う場合、PCAの節約(PCAは例えば試し書きを100回だけ行えるように設定されているため)と時間短縮のため、追記時にはOPCを行わず不揮発性メモリに保存していた前回のOPC結果=記録パワーで記録するようにしたものがある(特開平11−250481号公報中の従来例参照)。
【0004】
しかし、不揮発性メモリに保存した記録パワーをそのまま用いると、光ピックアップの経時変化の他、記録媒体面の特性の不均一性、記録面温度の変化等の様々な要因によって、追記時に真の最適記録パワーからずれたレーザパワーで記録してしまうことがある。
【0005】
このようなことから、上記特開平11−250481号公報では、経時変化等による影響を避けるため、追記動作に先立ち、不揮発性メモリに保存しておいた記録パワーが適正であるか否かをその記録パワーで記録した部分の再生データを評価することにより判断し、適正範囲を越えて問題がある場合には、再度試し書きを行って改めて最適記録パワーを設定するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平11−250481号公報例に示される対応策の場合、不揮発性メモリに保存しておいた記録パワーが適正範囲を越えて問題がある場合には、再度試し書きを行わなくてはならず、OPCを節約し、追記開始までの時間を短縮させるという初期の目的からすると、必ずしも好ましくないものである。
【0007】
そこで、本発明は、当初に行って不揮発性メモリに記憶されたOPC結果を最大限活用することで、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定できる情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、再度試し書きを行うことなく設定する記録パワーの適正度を向上させ得る情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、バッファアンダーランによる記録エラーを防止するためのポーズ/リスタート機能を有する情報記録再生装置の場合に効果的に適用できるようにすることを目的とする。
【0010】
また、パケット単位で記録を行うパケットライトによる記録再生機能を有する情報記録再生装置の場合に効果的に適用できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、情報記録再生媒体に照射する光を発する光源と、前記情報記録再生媒体のパワーキャリブレーションエリアに対する試し書きにより当該情報記録再生媒体に対する前記光源の最適記録パワーに関する値を取得する試し書き手段と、この試し書き手段により取得された前記光源の最適記録パワーに関する値を前記情報記録再生媒体に対応付けて記憶しておく不揮発性記憶手段と、前記情報記録再生媒体に対する追記時に、以前に記録したデータ部領域を再生してその品質を評価する再生品質評価手段と、この再生品質評価手段による評価結果に応じて前記不揮発性記憶手段に記憶された前記最適記録パワーに関する値を校正して追記時の前記光源の記録パワーに関する値を設定するパワー校正設定手段と、を備え、前記不揮発性記憶手段は、最適記録パワーに応じた値Piを記憶し、前記再生品質評価手段は、追記するアドレス以前のデータ部領域を再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定してそのパラメータmと目標値mtとの差mt−mを算出し、前記パワー校正設定手段は、前記再生品質評価手段により算出されたパラメータmと目標値mtとの差mt−mをα倍(αは設計により設定された任意の一定数)した量dPを前記値Piに加算した値を追記時の前記光源の記録パワーに応じた値Pwとして設定することを特徴とする。
【0012】
従って、情報記録再生媒体に追記を行う際に、以前記録したデータ部領域を再生品質評価手段により再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定してそのパラメータmと目標値mtとの差mt−mを算出し、不揮発性記憶手段に記憶された最適記録パワーに応じた値Piに、算出された差mt−mをα倍した量dPを加算した値をパワー校正設定手段により追記時の光源の記録パワーに応じた値Pwとして設定することで、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定することができる。特に、記憶された最適記録パワーに応じた値Piに対して、一定量を加算するのではなく、算出された差mt−mをα倍した量dPを加算することで、最適値からのずれを吸収でき、より信頼性のある最適記録パワーを設定できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。本実施の形態は、情報記録再生媒体として記録可能な光ディスクであるCD−R/RW(CD−Recordable/Rewritable)1を対象とする情報記録再生装置への適用例を示す。図1はこの情報記録再生装置(ドライブ装置)の構成を示す概略ブロック図である。
【0030】
光ディスク1はスピンドルモータ2によって回転駆動される。スピンドルモータ2はモータドライバ3とサーボ手段4とによって線速度一定(CLV)又は回転数一定(CAV)となるように制御される。光ピックアップ5は特に図示しない光源としての半導体レーザ、光学系、フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、受光素子、ポジションセンサ等を内蔵しており、レーザ光を光ディスク1の記録面に照射する。
【0031】
光ピックアップ5はシークモータによりスレッジ方向(ディスク半径方向)に移動可能とされている。これらのフォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、シークモータは受光素子やポジションセンサから得られる信号に基づきモータドライバ3とサーボ手段4とによってレーザスポットを光ディスク1上の目的の場所に位置させるように制御する。
【0032】
データ再生時には、光ピックアップ5で得られた再生信号をリードアンプ6で増幅して2値化した後、CDデコーダ7に入力してデインターリーブとエラー訂正の処理を行う。さらに、そのデインターリーブとエラー訂正の処理後のデータをCD−ROMデコーダ8に入力してデータの信頼性を高めるためのエラー訂正処理を行う。
【0033】
その後、CD−ROMデコーダ8で処理したデータをバッファマネージャ9によって一旦バッファRAM10に蓄積し、セクタデータとして揃ったときにATAPI/SCSIインタフェース11によってホスト側へ一気に転送する。また、音楽データの場合、CDデコーダ7から出力されるデータをD/Aコンバータ12に入力してアナログのオーディオ信号を取り出す。
【0034】
一方、データ記録時には、ATAPI/SCSIインタフェース11によってホストから転送されたデータを受信すると、そのデータをバッファマネージャ9によって一旦バッファRAM10に蓄積する。バッファRAM10に或る程度のデータが溜まったときにライトを開始するが、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる。その書き込み開始地点はトラックの蛇行によって予め光ディスク1に刻まれているウォブル信号によって求められる。そのウォブル信号にはATIPと称する絶対時間情報が含まれており、ATIPデコーダ13によってATIPの情報を取り出す。
【0035】
また、ATIPデコーダ13が生成する同期信号はCDエンコーダ14に入力されて正確な位置でのデータの書き出しを可能にしている。バッファRAM10のデータは、CD−ROMエンコーダ15やCDエンコーダ14でエラー訂正コードの付加やインターリーブを行ってレーザコントロール回路16、光ピックアップ5を介して光ディスク1に記録される。
【0036】
このような情報記録再生装置は、上述の各部の動作を制御するとともに後述する各機能を実行するためのCPU17、ROM18及びRAM19からなるマイクロコンピュータ20を備えている。また、21は不揮発性メモリである。
【0037】
ここに、CD−R/RWなる光ディスク1のエリア構成を図2に示す。図2は、光ディスク1を半径方向に断面して示す構成図であり、内周側から外周側に向けて、PCA31、PMA(Program Memory Area)32、リードインエリア33、プログラム領域34及び追記領域(Lead Out)35を有する。図2中、斜線を施して示す部分は、記録済部である。
【0038】
このような構成において、本実施の形態の場合、PCA31を利用したOPCにより当該光ディスク1に対する半導体レーザの記録パワーの適正値を予め不揮発性メモリ21に保存しておく方式を前提とする。
【0039】
即ち、データ記録時は、ATAPI/SCSIインターフェース11を介しホストから送られてきたデータを一旦バッファRAM10に蓄えてから記録を開始するが、過去に記録した光ディスク1で以前記録したときのOPC結果を不揮発性メモリ21に既に記憶している場合を除き、記録前に当該光ディスク1のPCA31エリアにおいてOPCを行い半導体レーザの最適な記録パワーを求める必要がある。OPCのとき光ピックアップ5からの反射光に応じたデータ信号がリードアンプ6によって増幅され、ピーク及びボトム検出回路22により、その上側ピークレベルpkと下側ピーク(ボトム)レベルbtが検出される。検出レベル信号はA/D変換された後、それを基にCPU17などで以下に示すような方法で最適記録パワーを計算しレーザコントロール回路16に記録パワーの指令を出す。
【0040】
例えば、オレンジブックパートIIIにあるように書換え可能な光ディスクであるCD−RWのOPCは、半導体レーザのレーザパワーを多段階に変えながら次式(1)で与えられる変調度mを求め、さらに変調度mと記録パワーの特性から次式(2)で与えられる規格化傾斜γを求める。この規格化傾斜γがγ=γt(γtはディスク固有の所定値)となるときの記録パワーPtを求めることでOPCが実施される。
【0041】
m=(pk−bt)/pk …………(1)
γ=(Δm/Δp)*(p/m) ……(2)
さらに、実際には記録パワーPtをそのまま最適記録パワーとして用いるのでなく、記録パワーPtにディスク固有の定数ρを乗じて、Pt*ρを最適記録パワーとする方が好ましい場合がある。
【0042】
また、追記型の光ディスクとしてはCD−Rがあるが、この場合のOPCはオレンジブックパートIIにあるように次式(3)で与えられるRF信号対称性を表すβ値を測定し、βが目標値βtとなるパワーを求めることで最適記録パワーが決定される。
【0043】
β=(pk+bt)/(pk−bt)………(3)
何れにしても、光ディスク1のPCA31エリアに対する試し書きOPCにより当該光ディスク1に対する半導体レーザの最適記録パワーに関する値を取得する試し書き手段としてのOPC機能及びOPCにより取得された最適記録パワーに関する値Piを当該光ディスク1に対応付けて不揮発性記憶手段としての不揮発性メモリ21に記憶しておくことを前提とする。この際、最適記録パワーに関する値Piと光ディスクとの対応付けは、前述した特開平11−250481号公報中に示されているようにその光ディスクを識別するためのディスク識別コード等を利用すればよい。
【0044】
このような前提の下、本実施の形態では、光ディスク1が当該情報記録再生装置にマウントされ追記指令があった場合にCPU17により、再生品質評価手段及びパワー校正設定手段の機能が実行される。この点について、図3に示す概略フローチャートを参照して説明する。まず、当該情報記録再生装置に光ディスク1がマウントされると(ステップS1)、不揮発性メモリ21に記憶されている当該光ディスク1に対応する最適記録パワーに応じた値Piを確認する(S2)。ついで、当該光ディスク1において追記しようとする追記アドレス直前の2セクタ分のデータ部領域を再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定する(S3)。ここに、再生信号の品質とは、CD−RWの場合であれば変調度m、CD−Rであればβであるが、これらを合わせてパラメータmとする。そして、測定されたパラメータmと前回記録時の目標値mtとの大小関係を比較する(S4)。これらのステップS3及びS4の処理が、光ディスク1に対する追記時に、以前に記録したデータ部領域を再生してその品質を評価する再生品質評価手段の機能として実行される。
【0045】
そして、ステップS4の評価結果に応じて最適記録パワーに関する値を校正する処理が行われる。ここに、目標値mtをmtl<mt<mthとしたとき、評価結果がm>mthの場合には、追記時の設定パワーに応じた値Pwがw=Pi−dPとなるように校正し(S5)、mtl<m<mthの場合には、Pw=Piのままとし(S6)、m<mtlの場合にはPw=Pi+dPとなるように校正し(S7)、追記時の半導体レーザの記録パワーに関する値Pwを設定して追記動作を行わせる(S8)。ここに、ステップS5〜S7の処理が、ステップS4の評価結果に応じて不揮発性メモリ21に記憶された最適記録パワーに関する値Piを校正して追記時の半導体レーザの記録パワーに関する値Pwを設定するパワー校正設定手段の機能として実行される。
【0046】
ここで、注意する点は校正する値は記録パワーそのものだけではなく、記録パワーに応じた値である。例えば、前述した通りCD−RWの場合では、最適な記録パワーはOPCで求まったPtではなく、Ptにディスク固有の定数ρを乗じた値Pt*ρを記録パワーPwとすることがあり、この場合にはPwそのものを校正するするよりもPwに応じた値Ptを校正する方がよいこともあるからである。
【0047】
従って、本実施の形態によれば、光ディスク1に追記を行う際に、以前記録したデータ部領域を再生してその再生品質を評価し、不揮発性メモリ21に記憶された最適記録パワーに関する値をその評価結果に基づき校正して追記時の半導体レーザの記録パワーに関する値を設定することで、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定することができる。より具体的には、光ディスク1に追記を行う際に、以前記録したデータ部領域を再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定してそのパラメータmの目標値mtに対する大小関係を評価し、不揮発性メモリ21に記憶された最適記録パワーに応じた値Piをその評価結果に応じて値Piに対して一定量dPを加減算した値を追記時の半導体レーザの記録パワーに応じた値Pwとして設定することで、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定することができる。
【0048】
本発明の第二の実施の形態を図4に基づいて説明する。第一の実施の形態で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以降の実施の形態でも同様とする)。記録パワーを校正する具体的な方法として、第一の実施の形態では、目標値mtに対して大きいか小さいかに応じて記録パワーに応じた値に一定量dPを加減算するようにしたが、本実施の形態では、目標値mtと測定値対応のパラメータmとの差に一定量αを乗じた量dPを記録パワーに応じた値に加えるようにしたものである。
【0049】
まず、当該情報記録再生装置に光ディスク1がマウントされると(S11)、不揮発性メモリ21に記憶されている当該光ディスク1に対応する最適記録パワーに応じた値Piを確認する(S12)。ついで、当該光ディスク1において追記しようとする追記アドレス直前の2セクタ分のデータ部領域を再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定する(S13)。そして、測定されたパラメータmと前回記録時の目標値mtとの差mt−mを算出する。この差の算出を含むステップS13の処理が、光ディスク1に対する追記時に、以前に記録したデータ部領域を再生してその品質を評価する再生品質評価手段の機能として実行される。
【0050】
引き続き、これらの差mt−mをα倍(αは設計により設定された任意の一定数)した量dPを、不揮発性メモリ21に記憶されている値Piに加算する演算処理を行い、その演算結果を追記時の半導体レーザの記録パワーに応じた値Pwとして校正し設定する(S14)。このステップS14の処理が、パワー校正設定手段の機能として実行される。
【0051】
ステップS14の処理に基づき、追記時の半導体レーザの記録パワーに関する値Pwを設定して追記動作を行わせる(S15)。
【0052】
従って、基本的には第一の実施の形態の場合と同様であるが、特に、記憶された最適記録パワーに応じた値Piに対して、一定量を加算するのではなく、算出された差mt−mをα倍した量dPを加算することで、最適値からのずれを吸収でき、より信頼性のある最適記録パワーを設定することができる。
【0053】
本発明の第三の実施の形態を図5に基づいて説明する。本実施の形態は、光ディスク1に対する記録中にポーズし、一定時間経過後にそのポーズ個所からデータ書き込みをリスタートするポーズ/リスタート機能を有する情報記録再生装置への適用例を示す。
【0054】
一般に、情報記録再生装置では、データ書き込み中に一時停止しないようにしており、ホストから当該情報記録再生装置の書き込み速度以上の転送レートでデータを送らないと書き込みが中断してしまい、次にデータを書き足すことができなくなって書き込みに失敗してしまう。このような現象を一般に“バッファアンダーラン”と称している。このようなバッファアンダーランを防止するために、光ディスクに対するデータの書き込み中にホストからのデータ転送が間に合わないときはデータ書き込みを一時停止し(ポーズ)、ホストからのデータが十分に送られてきたときにデータ書き込みを再開(リスタート)させるポーズ/リスタート機能を持たせた情報記録再生装置があり、例えば、特開平10−49990号公報や特開2000−40302号公報などにより知られている。概略的には、ユーザデータブロックを書き始めてバッファRAM10のデータが残り少なくなると、ポーズライトを実行することで書き込みを一時停止する(ポーズ)。その後、ホストからのデータ転送を待ち、バッファRAM10がデータで一杯になったときにリスタートライトを実行し、ポーズライトでデータ書き込みを一時停止した個所から続けてデータを書き始めさせるものである。ここに、データ書き込みの終点及び始点部分でクロスインタリーブリードソロモン(CIRC)復調によるデータ連続性を維持する書き込みを行うことで、光ディスク1に対してデータの書き込みの一時停止(ポーズ)と再開(リスタート)とを行っても、そのデータを後から連続的かつ正確に読み出すことができる。
【0055】
本実施の形態では、このようなポーズ/リスタート機能を持たせた情報記録再生装置について、ポーズ中の時間を利用して再生品質評価手段を機能させて記録パワーを校正するようにしたものである。
【0056】
即ち、光ディスク1に対する記録中に記録ポーズが生じた場合(S21)、リスタートする前のポーズ中に、ポーズ直前の記録品質を測定する(S22)。このステップS22の処理が再生品質評価手段の機能として実行される。具体的には、前述した実施の形態のステップS3,S4やS13の場合と同様に、以前に記録したデータ部領域を再生してその品質を評価することにより行われる。この結果に基づき、リスタート時の次記録時のパワーが適正であるかを判断し、適宜校正する処理を行う(S23)。このステップS23の処理が前述した実施の形態のステップS5〜S7やS14の場合と同様に、パワー校正設定手段の機能として実行される。
【0057】
ステップS23の処理に基づき、リスタート時の半導体レーザの記録パワーに関する値Pwを設定してリスタートによる追記動作を行わせる(S24)。
【0058】
従って、本実施の形態によれば、このようなバッファアンダーランによる記録エラーを防止するためにポーズ/リスタート機能を持たせた情報記録再生装置について、ポーズ中の時間を利用して再生品質評価手段を機能させて記録パワーを校正することで、リスタート時に最適な記録パワーで記録を行わせることができる。
【0059】
本発明の第四の実施の形態を図6に基づいて説明する。本実施の形態は、基本的には前述の第三の実施の形態と同様であるが、ポーズ/リスタート機能を利用しつつホストからのデータ転送量の不足等による本来のポーズ事由を待つことなく、所定周期毎に強制的に記録動作をポーズさせて、そのリスタート時に再生品質評価手段を機能させて定期的に記録パワーを校正させるようにしたものである。
【0060】
即ち、所定周期として1分経過する毎に(S25)、光ディスク1に対する記録中に記録をポーズさせ(S21)、リスタートする前のポーズ中に、ポーズ直前の記録品質を測定する(S22)。このステップS22の処理が再生品質評価手段の機能として実行される。具体的には、前述した実施の形態のステップS3,S4やS13の場合と同様に、以前に記録したデータ部領域としてポーズ直前の2セクタ分を再生してその品質を評価することにより行われる。この結果に基づき、リスタート時の次記録時のパワーが適正であるかを判断し、適宜校正する処理を行う(S23)。このステップS23の処理が前述した実施の形態のステップS5〜S7やS14の場合と同様に、パワー校正設定手段の機能として実行される。
【0061】
このように、本実施の形態によれば、リスタート時に最適な記録パワーで安定して記録を行わせることができる。この際、ステップS22における2セクタ分の再生にシーク時間も含めて10ms程度要するとしても、オーバヘッドは殆ど問題にならないレベルとなる。結果として、ランニングOPCができない場合やCAV記録方式の場合にも非常に有効である。ランニングOPC記録しながらRF信号レベルを測定することにより記録動作を行いつつ最適記録パワー制御を行う方法であるが、CD−RWのように記録パルス幅が短く記録中のRF信号レベルのサンプリングが難しい場合などは実施が困難であるが、本実施の形態の場合であれば周期的な記録パワーの校正により最適記録パワーの制御を適正に行える。また、記録位置に応じて最適記録パワーが変化するCAV記録方式でも利用できる。
【0062】
なお、本実施の形態では、1分経過毎に強制的にポーズを行わせるようにしたが、光ディスク1が或る回転数回転する毎に強制的にポーズさせるようにしてもよい。
【0063】
本発明の第五の実施の形態を図7に基づいて説明する。本実施の形態は、基本的には前述の第三、第四の実施の形態と同様に、ポーズ/リスタート機能を利用するものであるが、さらにポーズ前に実際に記録パワー等の記録品質に影響を与える量を振りながら記録することで簡易的なOPCを行わせるようにしたものである。
【0064】
本実施の形態では、光ディスク1が100回転する毎に(S36のY)、記録動作をポーズさせる(S32)例であり、その記録ポーズ直前にそのデータ部領域の9セクタに対して、3セクタずつ記録パワーを3点(3段階)に振って記録を行わせる(S31)。このステップS31の処理が、ポーズ動作制御手段の機能として実行される。この際、記録パワーを3点に変化させることにより、変化させた個所の再生ができなくなってしまうレベルまで変化させることのないように制限する必要がある。そして、強制的なポーズの後に(S32)、ポーズ直前に記録した9セクタ分について再生を行い、その品質を測定する(S33)。このステップS33の処理が再生品質評価手段の機能として実行される。具体的には、前述した実施の形態のステップS3,S4やS13の場合と同様であるが、本実施の形態の場合には、特に直前に記録したデータ部領域9セクタ分を再生してその品質を評価することにより行われる。この結果に基づき、リスタート時の次記録時の最適記録パワーを計算することにより、記録パワーの校正処理を行う(S34)。このステップS34の処理が前述した実施の形態のステップS5〜S7やS14の場合と同様に、パワー校正設定手段の機能として実行されるが、特に、本実施の形態では、3段階に振られた記録パワーの値が考慮されるので、より最適な記録パワーへの校正が可能となる。
【0065】
ステップS34の処理に基づき、リスタート時の半導体レーザの記録パワーに関する値Pwを設定してリスタートによる追記動作を行わせる(S35)。
【0066】
本発明の第六の実施の形態を図8及び図9に基づいて説明する。本実施の形態は、パケットライトによる記録再生機能を有する情報記録再生装置への適用例を示す。
【0067】
一般に、この種の情報記録再生装置では、例えば、特開2000−40302号公報中に示されるように、記録単位をパケット単位とするパケットライトによる記録再生機能を持たせたものがある。このようなパケット単位の場合、そのデータ長が長いこともあり、パケットライト時の媒体面温度の変化や光源パワーの制御のばらつき等によって、記録パワーが最適値からずれてしまうことがある。そこで、本実施の形態では、第二の実施の形態の場合に準じて、或るパケットに対する追記時に、以前に記録したパケットのデータ部領域を再生してその品質を評価して、最適な記録パワーに校正するようにしたものである。
【0068】
まず、当該情報記録再生装置に光ディスク1がマウントされると(S41)、不揮発性メモリ21に記憶されている当該光ディスク1に対応する最適記録パワーを確認する(S42)。ついで、当該光ディスク1において前回記録したパケットの終了直前の2セクタ分のデータ部領域を再生してその品質を評価する(S43)。このステップS43の処理が再生品質評価手段の機能として実行される。具体的には、前述した実施の形態のステップS3,S4やS13の場合と同様に、再生した2セクタ分の品質を評価することにより行われる。
【0069】
この結果に基づき、次のパケットに対する記録時のパワーが適正であるかを判断し、適宜校正する処理を行う(S44)。このステップS44の処理が前述した実施の形態のステップS5〜S7やS14の場合と同様に、パワー校正設定手段の機能として実行される。
【0070】
ステップS44の処理に基づき、次のパケット記録時の半導体レーザの記録パワーを設定して追記動作を行わせる(S45)。
【0071】
ここに、CD−RやCD−RWで用いられているパケットにはデータ長が固定の固定長パケットとデータ長がパケット毎に一定でない可変長パケットとがある。図9にオレンジブックに規定されているパケット36の構成を示す。パケット36の終わりはRun-Out37という2セクタがあり、その後にLink部38の1セクタのうち26EFMフレームを記録して終了する。追記するときの繋ぎ目にはLink部38、Run-In(4セクタ)39の後にユーザデータ部40があるが、例えばLink部38の前のRun-Out37の2セクタでステップS43による記録品質を測定し、Link部38からの記録パワーを校正することで記録パワーを最適に保つことができる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、或るパケットに対する追記時に、以前に記録したパケットのデータ部領域を再生してその品質を評価して、最適な記録パワーに校正することで、このようなパケットライトによる記録再生機能を持たせた情報記録再生装置に関しても、最適な記録パワーで或るパケットに対する追記動作を適正に行わせることができる。
【0073】
なお、特に図示しないが、パケットライトによる記録再生機能を持たせた情報記録再生装置の場合にも、第五の実施の形態の場合に準じて、或るパケットの記録を終了する前にパケットライト動作制御手段により記録品質に影響を及ぼすパラメータをその時のデータ部領域の再生品質に影響を及ぼさない範囲で段階的に変化させて記録させ、次のパケットの記録開始前に、段階的に変化させて記録したデータ部領域を再生してその品質を評価するようにしてもよい。これによれば、記録中のポーズ/リスタートを行う機能を持たない装置でも実施でき、信頼性のある最適記録パワーでパケット記録を続けることができる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、情報記録再生媒体に追記を行う際に、以前記録したデータ部領域を再生品質評価手段により再生してその再生品質を評価し、不揮発性記憶手段に記憶された最適記録パワーに関する値をその評価結果に基づきパワー校正設定手段により校正して追記時の光源の記録パワーに関する値を設定するようにしたので、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定することができる。
【0075】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明を実現する上で、より具体的に、情報記録再生媒体に追記を行う際に、以前記録したデータ部領域を再生品質評価手段により再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定してそのパラメータmの目標値mtに対する大小関係を評価し、不揮発性記憶手段に記憶された最適記録パワーに応じた値Piをその評価結果に応じて値Piに対して一定量dPを加減算した値をパワー校正設定手段により追記時の光源の記録パワーに応じた値Pwとして設定するようにしたので、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定することができる。
【0076】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明の具体的な実現方法が提供される。
【0077】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明を実現する上で、より具体的に、情報記録再生媒体に追記を行う際に、以前記録したデータ部領域を再生品質評価手段により再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定してそのパラメータmと目標値mtとの差mt−mを算出し、不揮発性記憶手段に記憶された最適記録パワーに応じた値Piに、算出された差mt−mをα倍した量dPを加算した値をパワー校正設定手段により追記時の光源の記録パワーに応じた値Pwとして設定するようにしたので、追記時に再度試し書きを行う必要なく、記録パワーを適正に設定することができ、特に、記憶された最適記録パワーに応じた値Piに対して、一定量を加算するのではなく、算出された差mt−mをα倍した量dPを加算することで、最適値からのずれを吸収でき、より信頼性のある最適記録パワーを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の情報記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】光ディスクのエリア構成を示す断面図である。
【図3】記録パワーの設定処理例を示す概略フローチャートである。
【図4】本発明の第二の実施の形態の記録パワーの設定処理例を示す概略フローチャートである。
【図5】本発明の第三の実施の形態の記録パワーの設定処理例を示す概略フローチャートである。
【図6】本発明の第四の実施の形態の記録パワーの設定処理例を示す概略フローチャートである。
【図7】本発明の第五の実施の形態の記録パワーの設定処理例を示す概略フローチャートである。
【図8】本発明の第六の実施の形態の記録パワーの設定処理例を示す概略フローチャートである。
【図9】パケット構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 情報記録再生媒体
21 不揮発性記憶手段
31 パワーキャリブレーションエリア
S3,S4 再生品質評価手段
S5〜S7 パワー校正設定手段
S13 再生品質評価手段
S14 パワー校正設定手段
S22 再生品質評価手段
S23 パワー校正設定手段
S31 ポーズ動作制御手段
S33 再生品質評価手段
S34 パワー校正設定手段

Claims (1)

  1. 情報記録再生媒体に照射する光を発する光源と、
    前記情報記録再生媒体のパワーキャリブレーションエリアに対する試し書きにより当該情報記録再生媒体に対する前記光源の最適記録パワーに関する値を取得する試し書き手段と、
    この試し書き手段により取得された前記光源の最適記録パワーに関する値を前記情報記録再生媒体に対応付けて記憶しておく不揮発性記憶手段と、
    前記情報記録再生媒体に対する追記時に、以前に記録したデータ部領域を再生してその品質を評価する再生品質評価手段と、
    この再生品質評価手段による評価結果に応じて前記不揮発性記憶手段に記憶された前記最適記録パワーに関する値を校正して追記時の前記光源の記録パワーに関する値を設定するパワー校正設定手段と、を備え、
    前記不揮発性記憶手段は、最適記録パワーに応じた値Piを記憶し、
    前記再生品質評価手段は、追記するアドレス以前のデータ部領域を再生してその品質の評価を司るパラメータmを測定してそのパラメータmと目標値mtとの差mt−mを算出し、
    前記パワー校正設定手段は、前記再生品質評価手段により算出されたパラメータmと目標値mtとの差mt−mをα倍(αは設計により設定された任意の一定数)した量dPを前記値Piに加算した値を追記時の前記光源の記録パワーに応じた値Pwとして設定することを特徴とする情報記録再生装置。
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