JP3783641B2 - モーター制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はモーターの制御装置に関し、特に、交流モーターに流れる高調波電流の制御効果を改善したものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、3相交流モーターの回転に同期して回転するdq軸座標系でモーター電流の基本波成分を制御する基本波電流制御系と、モーター電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdhqh軸座標系でモーター電流の高調波成分を制御する高調波電流制御系とを備え、3相交流モーターの電流制御を行うモーター制御装置を提案している。この装置では、基本波電流制御器の出力である基本波電流制御電圧と高調波電流制御器の出力である高調波電流制御電圧とを加算して電流制御電圧を求め、インバーターなどの電力変換装置によって電流制御電圧に応じた3相交流電圧を生成し、モーターに印加して駆動している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、インバーターで制御可能な交流電流の周波数には、インバーターのキャリア周波数などによって決まる限界がある。モーターの回転速度とともに高調波電流の周波数は基本波電流の周波数よりも早くインバーターの制御限界周波数に達するため、モーターの高速域では高調波電流制御による電流のうねりなどが発生し、モーターの制御性能が低下するという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、モーターの動作状態に応じて最適な高調波電流制御器の制御効果を得ることができるモーター制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、3相交流モーターの回転に同期して回転するdq軸座標系でモーター電流の基本波成分を制御する基本波電流制御器と、モーター電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdhqh軸座標系でモーター電流の高調波成分を制御する高調波電流制御器と、前記基本波電流制御器の出力と前記高調波電流制御器の出力とを加算してモーター電流を制御するための電流制御電圧を算出し、前記電流制御電圧に応じた3相交流電圧を生成して前記モーターに印加する電力変換器とを備えたモーター制御装置であって、高調波電流制御系に前記モーターの動作状態に応じて前記高調波電流制御器の制御効果を変更する制御効果変更回路を備える。
(2) 請求項2のモーター制御装置は、前記制御効果変更回路によって、前記モーターの動作状態に応じて高調波電流制御系の制御ゲインを変更するようにしたものである。
(3) 請求項3のモーター制御装置は、前記制御効果変更回路は、前記モーターの動作状態に応じて変化する可変制御ゲインを前記高調波電流制御器の固定制御ゲインに乗じることを特徴とするモーター制御装置。
(4) 請求項4のモーター制御装置は、前記制御効果変更回路によって、前記モーターの動作状態に応じて変化する可変制御ゲインを前記高調波電流制御器の出力に乗じるようにしたものである。
(5) 請求項5のモーター制御装置は、前記高調波電流制御器の出力を予め設定した上限値から下限値までの範囲に制限する高調波リミッターを備え、前記制御効果変更回路によって、前記高調波リミッターの上限値と下限値を前記モーターの動作状態に応じて変更するようにしたものである。
(6) 請求項6のモーター制御装置は、前記高調波電流制御器の出力を予め設定した上限値から下限値までの範囲に制限する高調波リミッターを備え、前記制御効果変更回路によって、前記モーターの動作状態に応じて変化する可変制御ゲインを前記高調波リミッターの出力に乗じるようにしたものである。
(7) 請求項7のモーター制御装置は、前記モーターの動作状態を回転速度としたものである。
【0006】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、モーターの動作状態に応じて最適な高調波電流制御器の制御効果を得ることができ、モーター電流制御の安定性を向上させることができる。例えば、モーターの高速域における高調波電流制御器の制御効果を変更することによって、モーターの高速域での高調波電流制御による電流のうねりなどの発生を防止することができる。
(2) 請求項2の発明によれば、高調波電流制御の制御効果を連続的に変更でき、モーター電流制御の安定性を確保することができる。
(3) 請求項3の発明によれば、簡単な構成で高調波電流制御の制御効果を変更することができる。
(4) 請求項4の発明によれば、どのような制御則を用いて構成した高調波電流制御系に対しても、簡単な構成で高調波電流制御の制御効果を変更したり、高調波電流制御を停止することができる。
(5) 請求項5の発明によれば、高調波電流制御の制御効果を変更したり、高調波電流制御を停止することができる上に、高調波電流制御器の制御効果を制限した状態での定常運転が可能になる。
(6) 請求項6の発明によれば、高調波電流制御の制御効果を変更したり、高調波電流制御を停止することができる。また、高調波電流制御器の制御効果を制限した状態での定常運転が可能になる。
(7) 請求項7の発明によれば、モーター速度に応じて抑制ゲインを変更することができ、高調波電流制御器の制御効果を連続的に変更することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
−−−発明の第1の実施の形態−−−
図1は第1の実施の形態の構成を示す制御ブロック図である。第1の実施の形態のモーター制御装置は、基本波電流制御系と高調波電流制御系を備えている。基本波電流制御系は、モーター回転に同期して回転するdq軸座標系でモーター電流iu、iv、iwの基本波成分を制御する回路である。一方、高調波電流制御系は、基本波電流制御系のみでモーター電流iu、iv、iwを制御した場合に発生する所定次数n(ただし、nは整数)の高調波成分の周波数で回転する直交座標系(以下、dhqh軸座標系という)、換言すればモーター電流iu、iv、iwの基本波成分の周波数の整数n倍の周波数で回転するdhqh軸座標系において、モーター電流iu、iv、iwに含まれる高調波成分を制御する回路である。
【0008】
基本波電流制御系は、減算器1a、1b、dq軸電流制御器(基本波電流制御器)2、非干渉制御器3、加算器4a、4b、3相/dq変換器5およびdq/3相変換器6から構成される。減算器1aはd軸電流指令値idから実際のd軸電流idを減算し、減算器1bはq軸電流指令値iqから実際のq軸電流iqを減算する。dq軸電流制御器2は、dq軸電流指令値id、iqとdq軸実電流id、iqとの偏差にそれぞれPI(比例積分)制御を施し、実電流id、iqをそれぞれ電流指令値id、iqに一致させるためのdq軸電流制御電圧(基本波電流制御電圧)を演算する。
【0009】
非干渉制御器3は、dq軸座標系に存在する速度起電力を補償するためのd軸補償電圧vd_cmpとq軸補償電圧vq_cmpを演算し、基本波電流制御系の応答性を改善する。加算器4aは、dq軸電流制御器2から出力されるd軸電流制御電圧にd軸補償電圧vd_cmpを加算してd軸電流制御電圧vdを算出する。また、加算器4bは、dq軸電流制御器2から出力されるq軸電流制御電圧にq軸補償電圧vq_cmpを加算してq軸電流制御電圧vqを算出する。
【0010】
3相/dq変換器5は、基本波電流に同期した電気的回転角度θeを用いてdq軸電流制御電圧(基本波電流制御電圧)vd、vqを3相交流の基本波電流制御電圧vu、vv、vwへ変換する。dq/3相変換器6は、基本波電流に同期した電気的回転角度θeを用いてモーター電流(3相交流電流)iu、ivをdq軸実電流id、iqへ変換する。
【0011】
一方、高調波電流制御系は、減算器7a、7b、dhqh軸電流制御器(高調波電流制御器)8、3相/dhqh変換器9、ハイパスフィルター(HPF)10およびdhqh/dq変換器11から構成される。減算器7aはdh軸電流指令値idhから実際のdh軸電流idhを減算し、減算器7bはqh軸電流指令値iqhから実際のqh軸電流iqhを減算する。dhqh軸電流制御器8は、dhqh軸電流指令値idh、iqhとdhqh軸実電流idh、iqhとの偏差にそれぞれPI(比例積分)制御を施し、実電流idh、iqhをそれぞれ電流指令値idh、iqhに一致させるためのdhqh軸電流制御電圧(高調波電流制御電圧)vdh、vqhを演算する。
【0012】
3相/dhqh変換器9は、dq軸座標系から見たdhqh軸座標系の回転角度θeh(=n・θe)と、基本波電流に同期した電気的回転角度θeとを加算した(θeh+θe)を用いて高調波電流制御電圧vdh、vqhを3相交流の高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'へ変換する。ハイパスフィルター10は、dq軸電流id、iqに含まれる基本波成分の周波数の整数n倍の周波数の高調波成分を抽出する。dhqh/dq変換器11は、dq軸座標系から見たdhqh軸座標系の回転角度θeh(=n・θe)を用いて、dq軸座標系における高調波電流をdhqh軸座標系の実電流idh、iqhへ変換する。
【0013】
加算器12a、12b、12cは、3相交流の基本波電流制御電圧vu、vv、vwに高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'を各相ごとに加算し、3相交流の電流制御電圧を生成する。電力変換器13は、バッテリー(不図示)などの直流電源の電力をIGBTなどのスイッチング素子により交流電力に変換するインバーターを備え、3相交流の電流制御電圧に応じた3相交流電圧を生成してモーター14に印加する。モーター14は永久磁石同期式モーターである。なお、モーターの種類はこの実施の形態の永久磁石同期式モーターに限定されず、誘導式などのあらゆる種類の交流モーターを用いることができる。
【0014】
電流センサー15a、15bは、モーター14に流れるU相交流電流iuとV相交流電流ivを検出する。なお、W相交流電流iwはU相交流電流iuとV相交流電流ivによりiw=−iu−ivとして求められる。回転センサー16はモーター14の出力軸に連結され、モーター14の回転に応じたパルス信号を出力する。位相速度演算器17は、回転センサー16からのパルス信号に基づいてモーター14の回転速度ωを演算するとともに、3相交流座標系から見たdq軸座標系(基本波電流座標系)の回転角度θeと、このdq軸座標系から見たdhqh軸座標系(高調波電流座標系)の回転角度θehを検出する。
【0015】
ここで、上述したように、高調波電流の周波数はモーター14の回転速度に比例して高くなるため、高調波電流の周波数が電力変換器13のインバーターで制御可能な周波数を超えないようにする必要がある。そこで、この第1の実施の形態ではモーター14の動作状態に応じて高調波電流制御系の制御ゲインを変更し、常に最適な高調波電流制御の制御効果を得る。
【0016】
図2は、図1に示すモーター制御装置のdhqh軸電流制御器(高調波電流制御器)8の詳細を示す。図において、Kpdh、Kpqhは予め設定された固定の比例ゲイン、Kidh、Kiqhは予め設定された固定の積分ゲイン、sはラプラス演算子である。上述したように、dhqh軸電流制御器8は、dhqh軸電流指令値idh、iqhと実電流idh、iqhの偏差にそれぞれPI演算制御を施す。この第1の実施の形態では、高調波電流制御系の比例ゲインKpdh、Kpqhと積分ゲインKidh、Kiqhにそれぞれ抑制ゲインKcを乗じ、高調波電流制御系の制御ゲインを変更する。抑制ゲインKcは0から1までの値をとる可変制御ゲインである。抑制ゲインKcを0にすれば、高調波電流制御電圧vdh、vqhが0になり、高調波電流制御を停止して高調波電流を0にすることができる。一方、抑制ゲインKcを1にすれば、従来のモーター制御装置における高調波電流制御と同様な制御効果が得られる。
【0017】
図3はモーター回転速度ωに対する抑制ゲインKcの設定例を示す。この例では、高調波電流の周波数が電力変換器13のインバーターで制御可能な周波数を超えるまでは、モーター回転速度ωと無関係に抑制ゲインKcに1を設定し、従来の高調波電流制御と同様な制御効果を得る。高調波電流の周波数が電力変換器13のインバーターで制御可能な周波数を超えるモーター回転速度ωに達したら、インバーターで制御可能な周波数を超えないようにモーター回転速度ωの増加に応じて抑制ゲインKcを低減する。
【0018】
図4はモーター回転速度ωに対する抑制ゲインKcの他の設定例を示す。この例では、高調波電流の周波数が電力変換器13のインバーターで制御可能な周波数を超えるまでは、モーター回転速度ωと無関係に抑制ゲインKcに1を設定し、従来の高調波電流制御と同様な制御効果を得る。高調波電流の周波数が電力変換器13のインバーターで制御可能な周波数を超えるモーター回転速度ωに達したら、抑制ゲインKcに0を設定する。
【0019】
このように、第1の実施の形態によれば、モーターの回転速度に応じて高調波電流制御器8の制御効果を変更するようにしたので、モーターの高速域において高調波電流制御による電流のうねりなどが発生しないように、モーターの高速域での高調波電流制御器8の制御効果を変更することができ、モーター電流制御の安定性を向上させることができる。また、モーターの回転速度に応じて高調波電流制御系の制御ゲインを変更するようにしたので、高調波電流制御の制御効果を連続的に変更でき、モーター電流制御の安定性を確保することができる。さらに、高調波電流制御器8の固定制御ゲインKpdh、Kpqh、Kidh、Kiqhに対してモーターの回転速度に応じて変化する可変制御ゲインKcを乗じるようにしたので、簡単な構成で高調波電流制御の制御効果を変更することができる。
【0020】
なお、この一実施の形態ではモーター回転速度に応じて抑制ゲインKcを変更する例を示すが、例えばモーター電流やモーター電圧などの、高調波電流制御の制御効果を変更したい状況、あるいは高調波電流制御を停止したい状況に応じて抑制ゲインKcを変更してもよい。また、dh軸高調波電流制御に用いる抑制ゲインとqh軸高調波電流制御に用いる抑制ゲインとを異なる値としてもよい。
【0021】
−−−発明の第2の実施の形態−−−
図5は第2の実施の形態の構成を示す制御ブロック図である。なお、図1に示す制御ブロックおよび機器と同様な機能の制御ブロックおよび機器に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。
【0022】
上述した第1の実施の形態では、高調波電流制御系におけるPI制御の比例ゲインKpdh、Kpqhと積分ゲインKidh、Kiqhにそれぞれ抑制ゲインKcを乗じて高調波電流制御の制御効果を変える例を示した。しかし、電流制御はPI制御に限定されず、種々の制御則を用いて電流制御器を構成することができる。例えば、PI電流制御だけでなく、フィードフォワード制御も組み込んだ高調波電流制御系を構成した場合に、第1の実施の形態のようにPI制御の比例ゲインKpdh、Kpqhと積分ゲインKidh、Kiqhだけに抑制ゲイン(可変制御ゲイン)Kcを乗じただけでは、高調波電流制御を停止することができなくなる。
【0023】
そこで、この第2の実施の形態では、PI制御の他にフィードフォワード制御が組み込まれたdhqh軸電流制御器8Aの出力電圧、すなわち高調波電流制御電圧vdh0、vqh0にそれぞれ、乗算器20a、20bで抑制ゲイン(可変制御ゲイン)Kcを乗じる。なお、抑制ゲインKcは0〜1までの値をとる可変制御ゲインであり、図3や図4に示すようにモーターの回転速度に応じて設定してもよいし、例えばモーター電流やモーター電圧などの、高調波電流制御の制御効果を変更したい状況、あるいは高調波電流制御を停止したい状況に応じて設定してもよい。
【0024】
このように、第2の実施の形態によれば、どのような制御則を用いて構成した高調波電流制御系に対しても、簡単な構成で高調波電流制御の制御効果を変更したり、高調波電流制御を停止することができる。
【0025】
なお、この第2の実施の形態では、dhqh軸座標系における高調波電流制御電圧vdh0、vqh0に抑制ゲインKcを乗じて高調波電流制御の制御効果を変える例を示したが、3相交流座標系や2相交流座標系における高調波電流制御電圧に抑制ゲインKcを乗じて高調波電流制御の制御効果を変えるようにしてもよい。
【0026】
また、上述した第1および第2の実施の形態のように、dhqh軸電流制御器8、8Aに積分制御が用いられていると、0<Kc<1の抑制ゲインKcを乗じても定常状態では高調波電流制御の制御効果を変更できなくなるが、Kcを最終的に0にすることによって高調波電流制御を完全に停止することができる。
【0027】
−−−発明の第3の実施の形態−−−
図6は、高調波電流制御電圧を制限するための高調波リミッターを備えたモーター制御装置の制御ブロック図を示す。なお、図1および図5に示す制御ブロックおよび機器と同様な制御ブロックおよび機器に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。
【0028】
基本波リミッター21は、電力変換器13の出力電圧を電源電圧や出力制限に依存した上限値から下限値までの範囲に制限するためのリミット値Vmax、Vminを有し、3相交流の基本波電流制御電圧vu0、vv0、vw0にリミット処理を施して3相交流基本波電流制御電圧vu、vv、vwを出力する。減算器22a、22b、22cは、基本波リミッター21の入出力の差すなわち上下限リミット値の超過分を算出する。
【0029】
dq/3相変換器23は、基本波リミッター21の入出力の差すなわち上下限リミット値の超過分をdq軸座標系における超過分Δvd、Δvqに変換する。乗算器24a、24bはdq軸座標系における超過分Δvd、ΔvqにそれぞれゲインKad、Kaqを乗じ、減算器25a、25bはdq軸電流指令値id、iqからそれぞれ超過分Kad・Δvd、Kaq・Δvqを減じる。
【0030】
つまり、基本波電流制御系において、3相交流基本波電流制御電圧vu、vv、vwの上下限リミット値Vmax、Vminから超過分に応じてdq軸電流指令値id、iqを低減する。これにより、出力電圧制限にともなう基本波電流制御出力の飽和を防止でき、基本波電流制御系の応答性を改善することができる。
【0031】
高調波リミッター26の上下限値は電力変換器13の出力限界により定まる値とすることができるが、基本波電流制御を優先できる高調波リミッター26として、上下限値を基本波電流制御電圧vu、vv、vwに応じて可変とすることができる。高調波リミッター26は、リミット値Vu'max、Vu'min、Vv'max、Vv'min、Vw'max、Vw'minを有し、3相交流の高調波電流制御電圧vu0'、vv0'、vw0'にリミット処理を施し、3相交流の高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'を出力する。減算器27a、27b、27cは、高調波リミッター26の入出力の差すなわち上下限リミット値の超過分を算出する。
【0032】
dhqh/3相変換器28は、高調波リミッター26の入出力の差すなわち上下限リミット値の超過分をdhqh軸座標系における超過分Δvdh、Δvqhに変換する。乗算器29a、29bはdhqh軸座標系における超過分Δvdh、ΔvqhにそれぞれゲインKadh、Kaqhを乗じ、減算器30a、30bはdhqh軸電流指令値idh、iqhからそれぞれ超過分Kadh・Δvdh、Kaqh・Δvqhを減じる。
【0033】
つまり、高調波電流制御系において、3相交流の高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'の上下限リミット値Vu'max、Vu'min、Vv'max、Vv'min、Vw'max、Vw'minから超過分に応じてdhqh軸電流指令値idh、iqhを低減する。これにより、出力電圧制限にともなう高調波電流制御出力の飽和を防止でき、高調波電流制御系の応答性を改善することができる。
【0034】
図7は、高調波リミッター26のリミット値の通常の設定方法を示す。U相を例に上げて説明すると、基本波リミッター21を通過した基本波電流制御電圧vuをリミット値Vmax、Vminから差し引いた値(Vmax−vu)、(Vmin−vu)を高調波リミッター26のリミット値Vu'max、Vu'minとする。なお、V相、W相についても同様な方法でリミット値Vv'max、Vv'min、Vw'max、Vw'minを決定する。このようにして構成される高調波リミッター26によって、基本波電流制御電圧vu、vv、vwを出力した場合の、電力変換器13の余裕分を高調波電流制御に割り当てることができる。
【0035】
図8は、第3の実施の形態の高調波リミッター26のリミット値の設定方法を示す。この第3の実施の形態では、図8に示すように、基本波リミッター21を通過した基本波電流制御電圧vuをリミット値Vmax、Vminから差し引いた値(Vmax−vu)、(Vmin−vu)にそれぞれ抑制ゲインKcを乗じた値を、高調波リミッター26のリミット値Vu'max、Vu'minとする。なお、抑制ゲインKcは0から1までの値をとる可変制御ゲインであり、図3や図4に示すようにモーターの回転速度に応じて設定してもよいし、例えばモーター電流やモーター電圧などの高調波電流制御の制御効果を変更したい状況、あるいは高調波電流制御を停止したい状況に応じて設定してもよい。
【0036】
図8ではU相のみを示すが、V相およびW相についても同様な方法でリミット値Vv'max、Vv'min、Vw'max、Vw'minを設定する。このように、高調波リミッター26のリミット値に抑制ゲインKcを乗じることによって、高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'を制限することができ、高調波電流制御の制御効果を変更したり、高調波電流制御を停止することができる。その上、高調波電流制御器8の制御効果を制限した状態での定常運転が可能になる。
【0037】
この第3の実施の形態によれば、高調波リミッター26のリミット値に抑制ゲインKcを乗じることによって、dhqh軸電流制御器8に積分制御が用いられていても、定常状態において高調波電流制御の制御効果を変更することができる。また、dhqh軸電流制御器8に積分制御が用いられている場合でも、抑制ゲインKcに0を設定することによって、最終的には高調波制御を完全に停止させることができる。
【0038】
−−−発明の第4の実施の形態−−−
上述した第3の実施の形態では、高調波リミッター26のリミット値に抑制ゲインKcを乗じることによって高調波電流制御の制御効果を変更したり、あるいは高調波電流制御を停止する例を示したが、高調波リミッター26の出力、すなわち高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'に抑制ゲインKcを乗じるようにした第4の実施の形態を説明する。この第4の実施の形態では、第3の実施の形態の図6に示すモーター制御装置の一部を、図9に示すような構成に変えたものであり、図6に示す制御ブロックおよび機器と同様なものに対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。
【0039】
図9において、高調波リミッター26Aは、図8に示すような抑制ゲインKcを乗じたリミット値を有するリミッターではなく、図7に示すような基本波リミッター21のリミット値Vmax、Vminから基本波電流制御電圧vu、vv、vwを減じて求めたリミット値Vu'max、Vu'min、Vv'max、Vv'min、Vw'max、Vw'minを有するリミッターである。
【0040】
乗算器31a、31b、31cは、高調波リミッター26Aの出力に抑制ゲインKcを乗して高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'を生成し、加算器12a、12b、12cへ出力する。これにより、高調波電流制御電圧vu'、vv'、vw'を制限することができ、高調波電流制御の制御効果を変更したり、高調波電流制御を停止することができる。また、高調波電流制御器8の制御効果を制限した状態での定常運転が可能になる。なお、抑制ゲインKcは0から1までの値をとり、図3や図4に示すようにモーターの回転速度に応じて設定してもよいし、例えばモーター電流やモーター電圧などの高調波電流制御の制御効果を変更したい状況、あるいは高調波電流制御を停止したい状況に応じて設定してもよい。
【0041】
この第4の実施の形態によれば、高調波リミッター26Aの出力に抑制ゲインKcを乗じることによって、dhqh軸電流制御器8に積分制御が用いられていても、定常状態において高調波電流制御の制御効果を変更することができる。また、dhqh軸電流制御器8に積分制御が用いられている場合でも、抑制ゲインKcに0を設定することによって、最終的には高調波制御を完全に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の構成を示す制御ブロック図である。
【図2】 図1に示すモーター制御装置のdhqh軸電流制御器の詳細を示す図である。
【図3】 モーター回転速度に対する抑制ゲインKcの設定例を示す図である。
【図4】 モーター回転速度に対する抑制ゲインKcの他の設定例を示す図である。
【図5】 第2の実施の形態の構成を示す制御ブロック図である。
【図6】 第3の実施の形態の構成を示す制御ブロック図である。
【図7】 高調波リミッターのリミット値の通常の設定方法を示す図である。
【図8】 第3の実施の形態の高調波リミッターのリミット値の他の設定方法を示す図である。
【図9】 第4の実施の形態の構成を示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
1a、1b 減算器
2 dq軸電流制御器
3 非干渉制御器
4a、4b 加算器
5 3相/dq変換器
6 dq/3相変換器
7a、7b 減算器
8、8A dhqh軸電流制御器
8a、8b 加算器
9 3相/dhqh変換器
10 ハイパスフィルター
11 dhqh/dq変換器
12a、12b、12c 加算器
13 電力変換器
14 モーター
15a、15b 電流センサー
16 回転センサー
17 位相速度演算器
20a、20b 乗算器
21 基本波リミッター
22a、22b、22c 減算器
23 dq/3相変換器
24a、24b 乗算器
25a、25b 減算器
26、26A 高調波リミッター
27a、27b、27c 減算器
28 dhqh/3相変換器
29a、29b 乗算器
30a、30b 減算器
31a、31b、31c 乗算器

Claims (7)

  1. 3相交流モーターの回転に同期して回転するdq軸座標系でモーター電流の基本波成分を制御する基本波電流制御器と、
    モーター電流の基本波成分の周波数の整数倍の周波数で回転するdhqh軸座標系でモーター電流の高調波成分を制御する高調波電流制御器と、
    前記基本波電流制御器の出力と前記高調波電流制御器の出力とを加算してモーター電流を制御するための電流制御電圧を算出し、前記電流制御電圧に応じた3相交流電圧を生成して前記モーターに印加する電力変換器とを備えたモーター制御装置であって、
    高調波電流制御系に前記モーターの動作状態に応じて前記高調波電流制御器の制御効果を変更する制御効果変更回路を備えることを特徴とするモーター制御装置。
  2. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記制御効果変更回路は、前記モーターの動作状態に応じて高調波電流制御系の制御ゲインを変更することを特徴とするモーター制御装置。
  3. 請求項2に記載のモーター制御装置において、
    前記制御効果変更回路は、前記モーターの動作状態に応じて変化する可変制御ゲインを前記高調波電流制御器の固定制御ゲインに乗じることを特徴とするモーター制御装置。
  4. 請求項2に記載のモーター制御装置において、
    前記制御効果変更回路は、前記モーターの動作状態に応じて変化する可変制御ゲインを前記高調波電流制御器の出力に乗じることを特徴とするモーター制御装置。
  5. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記高調波電流制御器の出力を予め設定した上限値から下限値までの範囲に制限する高調波リミッターを備え、
    前記制御効果変更回路は、前記高調波リミッターの上限値と下限値を前記モーターの動作状態に応じて変更することを特徴とするモーター制御装置。
  6. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記高調波電流制御器の出力を予め設定した上限値から下限値までの範囲に制限する高調波リミッターを備え、
    前記制御効果変更回路は、前記モーターの動作状態に応じて変化する可変制御ゲインを前記高調波リミッターの出力に乗じることを特徴とするモーター制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかの項に記載のモーター制御装置において、
    前記モーターの動作状態は回転速度であることを特徴とするモーター制御装置。
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