JP3783429B2 - 自動車のステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車が前方から衝撃力を受けた時に、コラムアッセンブリーを軸方向に収縮させることによって衝撃力を吸収し、ドライバーへのショックを和らげるように構成された自動車のステアリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は、一般的な自動車におけるステアリング装置の概略構成を示した平面図である。ここにおいて、左右の前輪101 はキングピン102 を軸に回動し、その間がタイロッド103 で連結されている。タイロッド103 の中間部にはステアリングギヤボックス104 が設けられており、ここから延びるジョイントロッド105 が自在継手106 を介してコラムアッセンブリー107 に連結され、コラムアッセンブリー107 の後端にステアリングホイール108 が設けられている。
【0003】
ステアリングギヤボックス104 は、前輪101 との干渉を避けるためにコラムアッセンブリー107 よりも車幅方向の内側に少々オフセットして設けられている。このため、ステアリングギヤボックス104 とコラムアッセンブリー107 の間を連結するジョイントロッド105 には傾斜角αが与えられる。
【0004】
一方、コラムアッセンブリー107 にはコラムブラケット110 が固定されており、その両端部にカプセルと呼称される左右一対の離脱式固定片111 が設けられている。これらの離脱式固定片111 は、図示しないボルト等で車体側に締結固定される。図10は、コラムアッセンブリー107 とコラムブラケット110 と離脱式固定片111 を拡大して示した平面図である。
【0005】
コラムアッセンブリー107 は、内筒113 の後端に外筒114 が軽く圧入されて収縮可能に形成されたコラムパイプ115 を主体としており、このコラムパイプ115 の内部にステアリングシャフト116 が軸支され、ステアリングシャフト116 の後端に前記ステアリングホイール108 が取り付けられる。そして、コラムパイプ115 の外筒114 にコラムブラケット110 が固定される。
【0006】
コラムブラケット110 は鋼板等をプレス成形したものであり、その両端付近には後方に開口する切欠117 が形成され、この切欠117 に離脱式固定片111 が嵌合される。離脱式固定片111 の両側部は切欠117 の周囲に重なり、その重合部に4個の剪断部材118 が貫通するように設けられる。剪断部材118 は、樹脂材料で形成されている。
【0007】
このように構成されたステアリング装置は、自動車が前方から衝撃力を受けてドライバーがステアリングホイール108 に強くぶつかった時に、その衝撃荷重によってコラムパイプ115 とステアリングシャフト116 が軸方向に収縮し、衝撃荷重が吸収されるようになっている。
【0008】
即ち、コラムパイプ115 の内筒113 と外筒114 の接続部が軽い圧入結合であるため、衝撃力を受けた時には外筒114 が内筒113 に対して前方に摺動する。同様に、ステアリングシャフト116 も収縮する。その際、離脱式固定片111 をコラムブラケット110 の切欠117 に係止している剪断部材118 が剪断荷重を受けて剪断(破断)され、切欠117 が離脱式固定片111 から前方に離脱するため、コラムブラケット110 が外筒114 と共に前方へ移動する。従って、コラムアッセンブリー107 の収縮前の長さ107aに対し収縮後の長さ107bが短縮される。なお、離脱式固定片111 は車体側に固定された状態で残る。
【0009】
このように、ドライバーがステアリングホイール108 に強くぶつかった時にはコラムパイプ115 とステアリングシャフト116 が軸方向に収縮し、コラムアッセンブリー107 の長さが短くなるため、ステアリングホイール108 がダッシュパネル側に移動し、ドライバーへのショックが和らげられる。
【0010】
ところで、上述のようにコラムパイプ115 が収縮してコラムブラケット110 が離脱式固定片111 から離脱する際、その離脱方向Aはコラムパイプ115 の軸方向には沿わず、やや車幅方向の中央寄りに傾く。これは、ジョイントロッド105 が傾斜角αを持って傾いている関係上、前方から加わる衝撃力Fがジョイントロッド105 の傾斜角αに平行にコラムアッセンブリー107 に作用し、ドライバーがステアリングホイール108 にぶつかる衝撃力F′の方向(即ち離脱方向A)にも角度αが付くからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにコラムブラケット110 の離脱方向Aがコラムパイプ115 の軸方向に沿わずに傾いているため、剪断部材118 の剪断に要する力が予想以上に大きくなる傾向があり、これにより前方衝撃力を受けた時におけるコラムブラケット110 の離脱荷重が設計値よりも増大し、コラムアッセンブリー107 の部分における衝撃力吸収性が劣化するという懸念がある。
【0012】
そこで、図11に示すように、剪断部材の個数を3個に減らしてコラムブラケット110 の離脱荷重を低減させたものがある。この場合は、3個の剪断部材121,122,123 が二等辺三角形状に配列される。即ち、コラムブラケット110 の切欠117 の入口両側に2個の剪断部材121,122 が配置され、切欠117 の奥側に1個の剪断部材123 が配置される。
【0013】
ところが、このように3個の剪断部材121,122,123 を二等辺三角形状に配列したのでは、その前側の剪断部材123 と後側の一方の剪断部材122 がコラムブラケット110 の離脱方向Aに沿って並ぶことになるため、図12(A),(B) に縦断面を示すように、コラムブラケット110 が離脱前の状態(A) からA方向に離脱する際に、(B) のように、剪断された後側の剪断部材122 の中間片122aが、前側の剪断部材123 の両端片123aの間を擦り抜けることになる。このため、両方の剪断部材122,123 の剪断状況(破断形状)によっては上記擦り抜け時の抵抗力に差が生まれ、コラムブラケット110 の離脱荷重にバラツキが生じるので、やはり離脱荷重が設計値以上に高まる懸念があった。
【0014】
また、図10および図11の場合とも、離脱式固定片111 が嵌合される切欠117 の形状が略長方形であり、その長辺が車体の前後方向に平行していてコラムブラケット110 の離脱方向Aには沿っておらず、コラムブラケットがスムーズに離脱しにくい形状であるため、この点もコラムブラケット110 の離脱荷重が設計値よりも増大する原因となっていた。
【0015】
本発明に係る自動車のステアリング装置は、このような問題点を解決するために発明されたものであり、その第1の目的は、自動車が前方から衝撃力を受けた時に、コラムアッセンブリーを支持するコラムブラケットが車体側に固定された離脱式固定片から離脱する際の離脱荷重を軽減させるとともに、上記離脱荷重のバラツキをなくして設計値通りにし、コラムアッセンブリーの部分における衝撃力吸収性の向上を図ることにある。
【0016】
また、本発明に係る自動車のステアリング装置の第2の目的は、右ステアリング車と左ステアリング車との間におけるコラムアッセンブリーの互換性を確立して自動車の生産を容易にすることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、本発明に係る自動車のステアリング装置は、請求項1に記載したように、コラムアッセンブリーの内部にステアリングシャフトが軸支され、上記ステアリングシャフトの先端とステアリングギヤボックスとの間がジョイントロッドにより連結され、上記ジョイントロッドは平面視でその前端が後端よりも車幅方向内側に寄るように傾斜する一方、上記ステアリングシャフトの後端にステアリングホイールが回転一体に取り付けられ、上記コラムアッセンブリーを支持するコラムブラケットに車体側に固定される離脱式固定片が設けられ、上記コラムブラケットと上記離脱式固定片の重合部に複数の剪断部材が貫通するように設けられ、上記ステアリングホイールおよびコラムアッセンブリーにドライバー側から所定値以上の荷重が加わった際に上記剪断部材が剪断されてコラムブラケットが車体側に対し前方に離脱するように構成された自動車のステアリング装置において、上記離脱式固定片1個につき上記剪断部材を3個設け、これら3個の剪断部材のうちの2個を車幅方向に沿うように並べて設け、残る1個の剪断部材を、車幅方向に並ぶ2個の剪断部材うちの片方の前後方向に並べて設け、これら3個の剪断部材が平面視で直角をなし、かつ上記ジョイントロッドの傾斜角に沿って重ならないように設けるとともに、上記コラムブラケットには車体後方に向かって開口する切欠を形成し、この切欠に上記離脱式固定片を嵌合させ、上記切欠の内周部に上記ジョイントロッドの傾斜角に沿う傾斜部を設けたことを特徴とする。
【0018】
このように、離脱式固定片1個につき剪断部材を従来の4個から3個に減少させたので、前方衝撃力を受けた時にコラムブラケットが離脱式固定片から離脱する際の離脱荷重が軽減される。また、これら3個の剪断部材が平面視で直角をなし、ジョイントロッドの傾斜角、即ちコラムブラケットの離脱方向に沿って並ぶことがないため、コラムブラケットの離脱荷重に差が生じにくく、設計値通りの離脱荷重が得られる。これらの点により、コラムアッセンブリーの部分における衝撃力吸収性が向上する。
【0020】
しかも、切欠の形状がジョイントロッドの傾斜角、即ちコラムブラケットの離脱方向に沿うものとなり、コラムブラケットが離脱式固定片からスムーズに離脱可能になるため、コラムブラケットの離脱荷重が予想以上に高まることがなくなり、衝撃力吸収性が一段と向上する。
【0021】
一方、前記第2の目的を達成するため、本発明に係る自動車のステアリング装置は、請求項に記載したように、前記切欠に、前記ジョイントロッドの傾斜角に沿う傾斜部と対称な傾斜部を設けた。これによれば、右ステアリング車と左ステアリング車との間におけるコラムブラケットの互換性、ひいてはコラムアッセンブリー全体の互換性が確立されるため、自動車の生産が容易になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る自動車のステアリング装置の一例を示す全体側面図である。
【0023】
自動車の車体ボディーには、フロントガラスの左右両辺に沿うAピラーと呼ばれる左右一対の柱状部材があり、このAピラーの下端付近同士を連結する補強部材であるA−Aパイプが図1中に符号1で示されている。このA−Aパイプ1は図示しないダッシュパネルの内部を車幅方向に通るように配設される。そして、ステアリング装置2は、次のように構成されている。
【0024】
まず、A−Aパイプ1の一端、即ちステアリングホイール3が設けられる側の端部には、前後一対のステアリングハンガー4,5が設けられており、このステアリングハンガー4,5に、ステアリング装置2の中核をなすコラムアッセンブリー7が懸架される。なお、この実施形態で説明するステアリング装置2は右ステアリング車のものであるため、ステアリングハンガー4,5とコラムアッセンブリー7はA−Aパイプ1の右端寄りに設けられる。
【0025】
図2はコラムアッセンブリー7の拡大図である。コラムアッセンブリー7は、例えばアルミ合金製のパワーステアリングハウジング8と、このパワーステアリングハウジング8から後ろ斜め上方に延びるコラムパイプ9とを備えており、コラムパイプ9の内部にステアリングシャフト10が軸支されている。
【0026】
コラムパイプ9は、内筒11の後端部11aが外筒12の先端内径部に軽く圧入されて接続された収縮可能なパイプとして構成され、内筒11の先端部11bはパワーステアリングハウジング8に堅固に圧入固定される。また、ステアリングシャフト10も同様に収縮可能に構成される。なお、パワーステアリングハウジング8にはパワーアシスト用の電動モーター13が付設される。
【0027】
パワーステアリングハウジング8にはボルト14でハウジングブラケット15が固定されており、このハウジングブラケット15が前側のステアリングハンガー4にボルト16で固定される。一方、コラムパイプ9の外筒12の先端付近に固定されたコラムブラケット17が、離脱式固定片18を介し、ボルト19で後側のステアリングハンガー5に固定される。
【0028】
図1に示すように、ステアリングホイール3はステアリングシャフト10の後端に回転一体に取り付けられる。一方、ステアリングシャフト10の先端には自在継手21を介してジョイントロッド22の上端が連結され、ジョイントロッド22の下端は自在継手23を介してステアリングギヤボックス24に連結される。
【0029】
ステアリングギヤボックス24は、図9に示す従来のステアリングギヤボックス104 と同様に、前輪との干渉を避けるため、コラムアッセンブリー7よりも車幅方向の内側にオフセットして設けられる。このため、コラムアッセンブリー7とステアリングギヤボックス24の間を連結するジョイントロッド22は、平面視でその前端が後端よりも車幅方向内側(ここでは左側)に寄るように傾斜している。
【0030】
図3は、図2の III矢視によるコラムパイプ9とコラムブラケット17と離脱式固定片18の拡大平面図である。コラムブラケット17は、図2にも示したように、略「コ」の字形の断面形状を持つ部材であり、その長手方向が車幅方向に向けられ、前部板17aと後部板17bの部分がコラムパイプ9の外筒12に固着される。
【0031】
そして、図4にさらに拡大して示すように、コラムブラケット17の左右両端には、車体後方に向かって開口する切欠27が形成されている。この切欠27の内周部には、後述するようにコラムブラケット17が離脱する際における離脱方向A、即ちジョイントロッド 22 の傾斜方向に沿う傾斜部27aが設けられている。また、上記傾斜部27aに対称な傾斜部27bが設けられているため、切欠27は台形の形状を有する。
【0032】
さらに、切欠27の右側には前側に貫通孔28aが穿設され、切欠27の左側には前後に貫通孔28b,28cが穿設されている。なお、左右の切欠27における貫通孔28a,28b,28cの位置関係は同一である。
【0033】
一方、離脱式固定片18は、例えばアルミダイキャスト製であり、図4に拡大して示すように、車幅方向の中央部に位置する厚肉の締結部18aと、その右側および左側に伸展するやや薄肉のフランジ部18b,18cとを有しており、締結部18aには前後方向に延びる長円状の固定穴30が形成され、右側のフランジ部18bには前側に貫通孔31aが穿設され、左側のフランジ部18cには前後に貫通孔31b,31cが穿設されている。さらに、左右のフランジ部18b,18cを上下2枚に割くような形でスリット32a,32bが刻設されている。これらのスリット32a,32bは、切欠27の傾斜部27a,27bに沿うように斜めに形成される。
【0034】
離脱式固定片18はコラムブラケット17の切欠27に後方から嵌め込まれる。その際、離脱式固定片18のスリット32a,32bに切欠27の傾斜部27a,27bが差し込まれる。そして、コラムブラケット17と離脱式固定片18の重合部に複数の剪断部材33a,33b,33cが貫通するように設けられる。
【0035】
即ち、離脱式固定片18が切欠27に嵌め込まれると、図5に縦断面を示すように、離脱式固定片18の貫通孔31a,31b,31cが、切欠27の左右に形成された貫通孔28a,28b,28cにそれぞれ整合するようになっており、ここに剪断部材33a,33b,33cが設けられる。剪断部材33a,33b,33cは、溶融した樹脂材料を貫通孔28a,28b,28cと31a,31b,31c内に射出して硬化させることにより形成される。
【0036】
このようにしてコラムブラケット17側に固定された離脱式固定片18は、その固定穴30に下方から前記ボルト19が挿通され、ボルト19は車体側のステアリングハンガー5に締結される。従って、ステアリングハンガー5に左右一対の離脱式固定片18がボルト19で固定され、これらの離脱式固定片18の1個につき、それぞれ3個の剪断部材33a,33b,33cを介してコラムブラケット17の左右両端が固定されることになる。
【0037】
また、上記3個の剪断部材33a,33b,33cのうちの前側の2個である33aと33bは車幅方向に沿うように並べて設けられ、残る1個の剪断部材33cは前左側の剪断部材33bの後方に並ぶように配置され、3個の剪断部材 33 a, 33 b, 33 cが平面視で直角をなすように配置されている。なお、この配置形態に限ることはなく、例えば図6や図7に示すように3個の剪断部材33a,33b,33cを配置してもよい。要するに、3個の剪断部材33a,33b,33cのうちの2個を車幅方向に並べ、残る1個を上記2個の剪断部材の左右いずれか片方の前後方向に並べて配置し、3個の剪断部材 33 a, 33 b, 33 cが平面視で直角をなすように配置するのがポイントである。
【0038】
以上のように構成されたステアリング装置2において、自動車のドライバーがステアリングホイール3を回すと、ステアリングシャフト10とジョイントロッド22が共に回転し、ステアリングギヤボックス24が作動して自動車の前輪が操向される。その際、電動モーター13の出力によりステアリングシャフト10の回転が補助されるため、ステアリングホイール3の回転に必要な腕力が軽減される。
【0039】
また、自動車が前方から衝撃力を受け、ドライバーがステアリングホイール3に強くぶつかった時には、その衝撃荷重によってコラムパイプ9とステアリングシャフト10が軸方向に収縮し、衝撃力が吸収されてドライバーの安全が確保されるようになっている。
【0040】
即ち、ドライバーがステアリングホイール3にぶつかることにより、コラムアッセンブリー7にドライバー側から強い衝撃荷重が加わる。このため、コラムアッセンブリー7の外筒12とコラムブラケット17が前方に押圧され、コラムブラケット17と離脱式固定片18との間に剪断力が働く。上記衝撃荷重が所定値以上であれば、上記剪断力により剪断部材33a,33b,33cが剪断され、コラムブラケット17が離脱式固定片18から離脱して前方に移動する。
【0041】
そして、図8に示すように、コラムパイプ9の外筒12が内筒11に対し前方に摺動してコラムパイプ9の長さが収縮し、同様にステアリングシャフト10の長さも収縮する。このため、コラムアッセンブリー7の収縮後の長さ7bが収縮前の長さ7a(図2参照)に対して大幅に短縮され、ステアリングホイール3がダッシュパネル側に移動してドライバーへのショックが緩和される。
【0042】
このステアリング装置2では、左右一対で設けられた離脱式固定片18の1つ当たりに設けられる剪断部材33a,33b,33cの個数が従来の4個から3個に減少しているので、自動車が前方から衝撃力を受けてコラムブラケット17が離脱式固定片18から離脱する際の離脱荷重が軽減されており、これによってコラムアッセンブリー7の部分における衝撃力吸収性が向上している。
【0043】
また、コラムブラケット17の離脱方向Aは、図3に示すようにコラムパイプ9の軸方向には沿わず、前述したジョイントロッド22の傾斜方向に沿って車幅方向の中央寄りに角度αを持って傾くが、このステアリング装置2では、1つの離脱式固定片18に設けられた3個の剪断部材33a,33b,33cが平面視で直角をなしており、上記離脱方向A、即ちジョイントロッド 22 の傾斜方向に沿って並ぶことがないため、コラムブラケット17の離脱時において、剪断された後側の剪断部材33cの中間片(コラムブラケット17とともに前方へ移動する破片)が前側の剪断部材33bの両端片(離脱式固定片18と共に残る破片)の間を擦り抜けることがない。
【0044】
このため、コラムブラケット17の離脱時において剪断部材33cの中間片による擦り抜け抵抗が発生せず、この擦り抜け抵抗の大小に影響されてコラムブラケット17の離脱荷重にバラツキが生じることもないので、設計値通りの離脱荷重が得られ、この点でも衝撃力吸収性を向上させることができ、ひいてはコラムブラケット17の離脱荷重の設定(設計)が非常に容易になる。
【0045】
さらに、このステアリング装置2では、離脱式固定片18が嵌合される切欠27の内周部に、コラムブラケット17の離脱方向A(ジョイントロッド 22 の傾斜方向)に沿う傾斜部27aが設けられているため、コラムブラケット17が離脱式固定片18からスムーズに離脱することができる。このため、コラムブラケット17の離脱荷重が設計値以上に高まることがなくなり、コラムアッセンブリー7の部分における衝撃力吸収性を一段と向上させることができる。
【0046】
ところで、コラムブラケット17の離脱方向Aは、右ステアリング車と左ステアリング車とでは異なり、本実施形態のような右ステアリング車では離脱方向Aが左斜め前方に指向するが、左ステアリング車の場合では逆に右斜め前方に指向する。しかし、このステアリング装置2では、コラムブラケット17の切欠27に、傾斜部27aと対称な傾斜部27bが設けられているため、コラムブラケット17を右ステアリング車と左ステアリング車との間で共用することができ、どちらの場合もコラムブラケット17を離脱式固定片18からスムーズに離脱させることができる。よって、コラムアッセンブリー全体の互換性が確立され、自動車の生産を容易にすることができる。
【0047】
なお、本発明の実施形態は、必ずしも上述のもののみに限定されることはなく、ステアリング装置2の各部に相違点があっても構わない。例えば、上記実施形態ではコラムパイプ9の内筒11の先端部11bがパワーステアリングハウジング8に圧入され、内筒11の後端部11aが外筒12の先端内径部に圧入される構成であるが、内筒11と外筒12の前後関係を逆にし、外筒12の先端部をパワーステアリングハウジング8に圧入し、外筒12の後端部に内筒11の先端部を圧入し、コラムブラケット17を内筒11に設ける構成等にしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、コラムアッセンブリー7に電動モーター13がアシスト手段として設けられているが、他種のアシスト手段であったり、あるいはアシスト手段を備えないコラムアッセンブリーであっても構わない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自動車のステアリング装置は、コラムブラケットが剪断部材を介して離脱可能に固定される離脱式固定片1個につき上記剪断部材を3個設け、これら3個の剪断部材のうちの2個を車幅方向に沿うように並べて設け、残る1個の剪断部材を、車幅方向に並ぶ2個の剪断部材うちの片方の前後方向に並べて設け、これら3個の剪断部材が平面視で直角をなし、かつジョイントロッドの傾斜角に沿って重ならない位置に設けるとともに、上記コラムブラケットには車体後方に向かって開口する切欠を形成し、この切欠に上記離脱式固定片を嵌合させ、上記切欠の内周部に上記ジョイントロッドの傾斜角に沿う傾斜部を設けたため、自動車が前方から衝撃力を受けて車体側に固定された離脱式固定片からコラムブラケットが離脱する際における離脱荷重を軽減させるとともに、上記離脱荷重のバラツキをなくし、コラムアッセンブリーの部分における衝撃力吸収性を向上させることができる。
【0050】
しかも、切欠の形状をジョイントロッドの傾斜角、即ちコラムブラケットの離脱方向に沿わせてコラムブラケットを離脱式固定片からスムーズに離脱可能にし、コラムアッセンブリーの部分における衝撃力吸収性を一段と向上させることができる。
【0051】
さらに、本発明に係る自動車のステアリング装置は、前記切欠に、前記ジョイントロッドの傾斜角に沿う傾斜部と対称な傾斜部を設けたので、右ステアリング車と左ステアリング車との間におけるコラムアッセンブリーの互換性を確立し、自動車の生産を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車のステアリング装置の一例を示す全体側面図。
【図2】図1に示すコラムアッセンブリーの拡大図。
【図3】図2の III矢視によるコラムパイプとコラムブラケットと離脱式固定片の拡大平面図であり、本発明の一実施形態を示す図。
【図4】コラムブラケットの右端付近と、ここに取り付けられる離脱式固定片を示す拡大図。
【図5】図4中の V-V線に沿うコラムブラケットと離脱式固定片と剪断部材の縦断面図。
【図6】剪断部材の別な配置例を示す図。
【図7】剪断部材の別な配置例を示す図。
【図8】コラムアッセンブリー収縮後のステアリング装置を示す左側面図。
【図9】一般的な自動車におけるステアリング装置の概略構成を示す平面図。
【図10】従来の技術を示すステアリング装置の平面図。
【図11】従来の技術を示すステアリング装置の平面図。
【図12】図11の XII-XII線に沿う縦断面図であり、(A) はコラムブラケット離脱前の状態を示す図、(B) はコラムブラケット離脱後の状態を示す図。
【符号の説明】
2 ステアリング装置
3 ステアリングホイール
7 コラムアッセンブリー
9 コラムパイプ
10 ステアリングシャフト
11 内筒
12 外筒
17 コラムブラケット
18 離脱式固定片
22 ジョイントロッド
24 ステアリングギヤボックス
27 切欠
27a,27b 傾斜部
33a,33b,33c 剪断部材
A コラムブラケットの離脱方向

Claims (2)

  1. コラムアッセンブリーの内部にステアリングシャフトが軸支され、上記ステアリングシャフトの先端とステアリングギヤボックスとの間がジョイントロッドにより連結され、上記ジョイントロッドは平面視でその前端が後端よりも車幅方向内側に寄るように傾斜する一方、上記ステアリングシャフトの後端にステアリングホイールが回転一体に取り付けられ、上記コラムアッセンブリーを支持するコラムブラケットに車体側に固定される離脱式固定片が設けられ、上記コラムブラケットと上記離脱式固定片の重合部に複数の剪断部材が貫通するように設けられ、上記ステアリングホイールおよびコラムアッセンブリーにドライバー側から所定値以上の荷重が加わった際に上記剪断部材が剪断されてコラムブラケットが車体側に対し前方に離脱するように構成された自動車のステアリング装置において、上記離脱式固定片1個につき上記剪断部材を3個設け、これら3個の剪断部材のうちの2個を車幅方向に沿うように並べて設け、残る1個の剪断部材を、車幅方向に並ぶ2個の剪断部材うちの片方の前後方向に並べて設け、これら3個の剪断部材が平面視で直角をなし、かつ上記ジョイントロッドの傾斜角に沿って重ならないように設けるとともに、上記コラムブラケットには車体後方に向かって開口する切欠を形成し、この切欠に上記離脱式固定片を嵌合させ、上記切欠の内周部に上記ジョイントロッドの傾斜角に沿う傾斜部を設けたことを特徴とする自動車のステアリング装置。
  2. 前記切欠に、前記ジョイントロッドの傾斜角に沿う傾斜部と対称な傾斜部を設けた請求項1に記載の自動車のステアリング装置。
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