JP3783243B2 - アルコールの製造方法及びそのための触媒前駆体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アルデヒドの気相水素化反応を行なう際に、望ましくない副生物の生成を抑制し、高収率且つ高選択的に対応する飽和アルコールを製造することのできる、アルコールの製造方法及びそのための触媒前駆体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルデヒドを水素化して対応するアルコールを製造する方法は公知である。例えば、ドイツ特許第931827号においては、不飽和アルデヒドを2段反応で気相下に還元する際、まず第1段反応において、担体に保持させた銅−ニッケル触媒を使用し、第2段反応において変性した銅−担体触媒を使用する方法が記載されている。
【0003】
また、特開昭64−85936号公報には、還元した酸化銅−酸化亜鉛混合物に選択性増進剤を含浸させた組成物を水素化触媒として用いて、アルデヒドの気相水素化反応を行なう方法が記載されている。
さらに、特開昭62−116526号公報においても、還元した酸化銅−酸化亜鉛混合触媒を用いて、気相下に2−エチルヘキセナールの水素化を行なう方法が記載されているが、この場合、少量生成する2−エチルヘキセノール等の不飽和アルコールを除去するために、各々反応条件の異なる3段階の水素化反応器が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ドイツ特許第931827号に記載の方法では、対応する飽和アルコールと共に不飽和アルコールが生成し、飽和アルコールの蒸留精製の際に、非常に困難を伴うことが認められる。
また、特開昭64−85936号公報の方法では、反応生成物中にごく少量のエステルが副生しており、飽和アルコールとして未だ満足する製品が得られていない。さらに、特開昭62−116526号公報の方法を工業的に採用しようとすると、工程が複雑であること、また、反応器のユニット数の多いことが建設費の増加につながるという欠点があった。
【0005】
こうしたアルデヒドの水素化反応の際に副生する不飽和アルコールとしては、例えば2−エチルヘキセナールの水素化反応の際に生ずる2−エチルヘキセノール等が挙げられるが、この不飽和アルコールは、飽和アルコールとの沸点が近接しているため、工業的に精製分離を実施することは容易ではない。また、2−エチルヘキサノール等の飽和アルコールの主要な用途は可塑剤であるが、例えば、2−エチルヘキサノール中に少量であってもこの不飽和アルコールが存在していると、得られたフタル酸ジ−2−エチルヘキシルが黄色に着色する傾向があり、可塑剤としての使用に不適当となる。したがって、工業的な実施の際には、しばしば比較的高温で水素化反応を行ない、不飽和アルコールを完全に水素化することにより対応しているが、この場合、エステル等の副生物の生成量が増加する傾向があり、その結果として飽和アルコールの生産性を低くするという問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討を重ねた結果、アルコールの製造用触媒として、特定の成分を含有する触媒を用いることにより、反応速度を最大にするための高温条件下においても、望ましくない副生物であるエステル、エーテル及び不飽和アルコール等の生成を効果的に抑制できることを見出し、飽和アルコールの生産性を低下させることなく、高収率且つ高選択的にアルコールを製造する方法を確立して本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、水素化触媒の存在下にアルデヒドを気相で水素と反応させて、対応する飽和アルコールを製造する方法において、該水素化触媒として、下記一般式(I)で表わされる成分を含有する触媒前駆体組成物の還元物を用いることを特徴とするアルコールの製造方法、に存する。
【0008】
【化9】
Cu(a)-Cr(b)-Zn(c)-Mn(d)-Ba(e)-X(f) …(I)
【0009】
(式中、XはNi、Pd又はZrを表わし、a〜fは各成分を酸化物に変換した場合の含有量を表わし、以下に示す値である。
a:20〜50重量%
b:0〜50重量%
c:0〜50重量%
d:0.1〜5.0重量%
e:0.1〜5.0重量%
f:0.01〜3.0重量%)
さらに、本発明の要旨は、下記一般式(I):
【0010】
【化10】
Cu(a)-Cr(b)-Zn(c)-Mn(d)-Ba(e)-X(f) …(I)
【0011】
(式中、XはNi化合物、Pd化合物又はZr化合物を表わし、a〜fは各成分を酸化物に変換した場合の含有量を表わし、以下に示す値である。
a:20〜50重量%
b:0〜50重量%
c:0〜50重量%
d:0.1〜5.0重量%
e:0.1〜5.0重量%
f:0.01〜3.0重量%)
で表わされる成分を含有するアルコール製造用の触媒前駆体組成物、に存する。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアルコールの製造方法において使用する触媒としては、下記一般式(I):
【0013】
【化11】
Cu(a)-Cr(b)-Zn(c)-Mn(d)-Ba(e)-X(f) …(I)
【0014】
で表わされる成分を含有する触媒前駆体組成物の還元物が用いられる。上記一般式(I)中、XはNi、Pd又はZrを表わし、好ましくは、Pd又はNi、或いはZr又はTiである。また、a〜fは各成分を酸化物に変換した場合の含有量を表わし、
a:20〜50重量%
b:0〜50重量%
c:0〜50重量%
d:0.1〜5.0重量%
e:0.1〜5.0重量%
f:0.01〜3.0重量%
の範囲内の値を任意に組み合わせて選択することができる。
【0015】
上記において各成分の含有量は、組成物中の各成分が酸化物に変換されたものと仮定して計算する。この際、CuはCuOに、CrはCr2 O3 に、ZnはZnOに、MnはMn2 O3 に、BaはBaOに、それぞれ変換する。またX成分はそれぞれ安定な酸化物に変換するが、例えばPdはPdOに、NiはNiOに、ZrはZrO2 に、TiはTiO2 に、それぞれ変換する。
具体的には、上記一般式(I)の中でも、下記一般式(II)で表わされる触媒前駆体組成物を用いることが好ましい。
【0016】
【化12】
CuO(a)-Cr2O3(b)-ZnO(c)-Mn2O3(d)-BaO(e)-X′(f) …(II)
【0017】
(式中、X′はNi化合物、Pd化合物又はZr化合物を表わし、a〜fは各成分(但しX′成分は酸化物に変換して計算する)の含有量を表わし、以下に示す値である。
a:20〜50重量%
b:0〜50重量%
c:0〜50重量%
d:0.1〜5.0重量%
e:0.1〜5.0重量%
f:0.01〜3.0重量%)
上記X′成分の酸化物への変換はX成分についての変換と同様に行なう。
【0018】
また、上記一般式(I)の中でも、b及びcの少くとも一方が0.1〜50重量%であることが好ましく、更には下記一般式(III )又(IV)の前駆体組成物を用いることが好ましい。
【0019】
【化13】
Cu(a)-Cr(b)-Mn(d)-Ba(e)-X(f) …(III )
【0020】
(式中、a〜fは各成分を酸化物に変換した場合の含有量を表わし、以下に示す値である。
a:20〜50重量%
b:20〜50重量%
d:0.1〜5.0重量%
e:0.1〜5.0重量%
f:0.01〜3.0重量%)
【0021】
【化14】
Cu(a)-Zn(c)-Mn(d)-Ba(e)-X(f) …(IV)
【0022】
(式中、a〜fは各成分を酸化物に変換した場合の含有量を表わし、以下に示す値である。
a:20〜50重量%
c:20〜50重量%
d:0.1〜5.0重量%
e:0.1〜5.0重量%
f:0.01〜3.0重量%)
【0023】
本発明で使用する触媒前駆体組成物は、触媒物質を製造するのに適した任意の方法、例えば共沈法又は含浸法等のいずれの方法によっても製造することができる。具体的には、一般式(I)中のX以外の成分を、金属化合物、例えば金属塩の水溶液から混合物として共沈させ、該混合物を対応する酸化物に転化(分解)することにより金属酸化物を製造し、更に、X成分の塩の水溶液、例えば硝酸塩水溶液を前記金属酸化物に含浸させ、空気中で焼成(分解)することにより製造することができる。上記触媒前駆体組成物中のX成分は、周期律表第8族又は第4A族の遷移金属であり、適当な化合物、例えば酸化物等の形態で存在する。通常、本発明の触媒前駆体組成物は、主に酸化物の形態をとるが、その組成物の形態にかかわらず、一般式(I)で表わされる各成分を特定量含むものであればよい。
【0024】
上記方法により製造した触媒前駆体組成物は、場合によっては少量の変性剤を含んでいてもよく、例えば打錠成形や押し出し成形等の公知の方法によりペレット化することができる。
上記触媒前駆体組成物は、アルデヒドの水素化反応に使用される前に、水素等の還元剤の存在下で、150〜350℃、好ましくは170〜300℃の温度範囲に調整しながら、数時間加熱して還元される。還元時に約350℃以上の過度の温度をかけることは触媒の活性を低下させる一因となるため好ましくない。
【0025】
使用する還元剤としては、好ましくは、希釈ガス中に1〜10%の水素を含有する希薄水素流を用いることができ、希釈ガスとしては、窒素ガスを用いるのが好ましい。
原料アルデヒドとしては、通常、炭素数3〜22の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和のアルデヒドが用いられ、単品でも混合アルデヒドとしても用いることができ、少量の不純物を含有していてもよい。
【0026】
具体的には、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、2−エチルヘキサナール、2−エチルブチルアルデヒド、メチル−n−プロピルアセトアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソカプロンアルデヒド、カプリルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、イソノニルアルデヒド、2−プロピルヘプテナール、2−プロピル−4−メチルヘキセナール、n−デカナール、ドデカナール、トリデカナール、ミリスチンアルデヒド、ペンタデカナール、パルミチンアルデヒド、ステアリンアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、エタクロレイン、2−エチル−3−プロピルアクロレイン、クロトンアルデヒド等が挙げられる。
【0027】
使用する原料アルデヒドとしては、オキソプロセス(ヒドロホルミル化)、すなわちオレフィンを一酸化炭素及び水素と触媒の存在下において反応させて、オレフィン性基の炭素原子の1つにホルミル基を付加する反応の、生成混合物の一部か或いは全部のいずれかを使用することもできる。オキソプロセスから得た原料アルデヒドとしては、例えば、イソブチルアルデヒドとn−ブチルアルデヒドとの混合物、イソノニルアルデヒド等が挙げられる。
【0028】
また、原料アルデヒドは、オキソプロセスと異なるプロセス、例えばオレフィン或いは飽和炭化水素の酸化反応やアルドール縮合等によって得ることもできる。アルドール縮合から得た原料アルデヒドとしては2−エチルヘキセナール、2−プロピルヘプテナールと2−プロピル−4−メチルヘキセナールとの混合物等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、水素化触媒の存在下にアルデヒドを気相状態で水素と反応させる。水素としては、実質的に純粋な水素ガスを単独で使用することができるが、例えば、アルデヒド及び触媒に対し不活性な他のガスと混和して供給することもできる。水素と混合するのに適した不活性ガスとしては窒素、メタン等が挙げられる。
【0030】
反応域における水素の濃度は臨界的なものではないが、通常、還元すべきアルデヒドに対し化学量論量を越える過剰の水素が存在するべきである。通常、水素対アルデヒドのモル比は約3〜400、好ましくは約5〜200とする。炭素原子2〜12個を含有するアルデヒドの場合、水素対アルデヒドのモル比は約3〜30の範囲であるのが好ましい。
【0031】
水素化反応の温度は、通常100〜250℃で行なわれるが、本発明の水素化触媒の選択性を最も有効に利用するために、好ましくは150〜200℃の範囲で行なわれる。また反応圧力は、通常0〜10kg/cm2 Gの範囲で行なわれる。10kg/cm2 Gを超える圧力を用いた場合には、反応選択性には問題はないが、アルデヒドを完全に気化させるために多大なエネルギーを要するため有利ではない。
【0032】
本発明における水素化反応は、気化させたアルデヒドの蒸気流と水素含有ガスとを一緒にして、所望の温度及び圧力において、上記一般式(I)で表わされる触媒前駆体組成物の還元物上にもたらすことにより達成され、例えば、固定触媒床反応装置の様な流通(連続)方式で行なうのが好ましい。
また、水素化反応は、恒温方式、断熱方式のいずれの方法でも行なうことができ、特に本発明においては、反応熱を有用な熱源として、例えば高圧水蒸気を発生させる等して水素化反応に循環することができる。
【0033】
水素化反応生成物から回収した未反応の水素及びアルデヒドは、水素化反応域に再循環させて使用することができる。また、得られた粗アルコール生成物は、分別蒸留等により更に精製してもよいが、通常、特に精製操作を行なわなくともそのまま製品として十分に使用することが可能である。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例1〜4及び比較例1〜3においては、公知の共沈法により調製した、下記の組成の触媒前駆体組成物を使用した。各成分の含有量は重量%を表わす。
【0035】
実施例1(A触媒)
硝酸第二銅3水和物〔Cu(NO3 )2 ・3H2 O〕水溶液に硝酸マンガン水溶液を加え銅及びマンガンを含有する溶液を調整した。他方、重クロム酸アンモニウム〔(NH4 )2 Cr2 O7 〕をアンモニア水溶液に溶解しクロム含有溶液を調整した。
【0036】
前記の銅及びマンガンを含有する溶液を60℃に加熱後、同温度に維持しながら攪拌下、該溶液の中に前記のクロム含有溶液を滴下していった。この時、沈澱物が一部形成されたが、さらにpH調整をするために希硝酸を加え、攪拌を続け沈澱物の形成を完結させた。この後、沈澱物を濾別し、更に濾別された沈澱物を十分水洗した。こうして得られた沈澱物を100℃で12時間乾燥し、銅、クロム、マンガンからなる粉末を得た。この粉末に水酸化バリウム〔Ba(OH)2 ・8H2 O〕温水用液を加え攪拌しながら蒸発乾固した。
【0037】
こうして得られた銅、クロム、マンガン、バリウムからなる粉末に、硝酸ニッケル水溶液を加え100℃で攪拌混合し蒸発乾固した。得られた銅 クロム−マンガン−バリウム−ニッケルを含む粉末を空気中で350℃の温度で3時間焼成して、以下に示すA触媒を得た。
【0038】
【化15】
CuO(39.4)-Cr2O3(41.9)-Mn2O3(1.5)-Ba0(1.7)-NiO(1.0)
【0039】
(このA触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(31.5)-Cr(28.7)-Mn(1.0)-Ba(1.5)-Ni(0.8) である。)
実施例2(B触媒)
実施例1に準ずる方法で、以下に示すB触媒を調製した。
【0040】
【化16】
CuO(39.4)-Cr2O3(41.9)-Mn2O3(1.5)-Ba0(1.7)-PdO(0.1)
【0041】
(このB触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(31.5)-Cr(28.7)-Mn(1.0)-Ba(1.5)-Pd(0.09)である。)
実施例3(C触媒)
実施例1に準ずる方法で、以下のC触媒を調製した。
【0042】
【化17】
CuO(39.4)-Cr2O3(41.9)-Mn2O3(1.5)-Ba0(1.7)-ZrO2(1.0)
【0043】
(このC触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(31.5)-Cr(28.7)-Mn(1.0)-Ba(1.5)-Zr(0.7) である。)
実施例4(D触媒)
実施例1に準ずる方法で、以下のD触媒を調製した。
【0044】
【化18】
CuO(40.2)-ZnO(35.9)-Mn2O3(1.5)-Ba0(1.7)-NiO(1.0)
【0045】
(このD触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(32.1)-Zn(28.8)-Mn(1.0)-Ba(1.5)-Ni(0.8) である。)
比較例1(E触媒)
実施例1に準ずる方法で、以下のE触媒を調製した。
【0046】
【化19】
CuO(39.4)-Cr2O3(41.9)-Mn2O3(1.5)-Ba0(1.7)
【0047】
(このE触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(31.5)-Cr(28.7)-Mn(1.0)-Ba(1.5) である。)
比較例2(F触媒)
実施例1に準ずる方法で、以下のF触媒を調製した。
【0048】
【化20】
CuO(37.8)-Cr2O3(36.1)-Mn2O3(1.8)
【0049】
(このF触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(30.2)-Cr(24.7)-Mn(1.3) となる。)
比較例3(G触媒)
実施例1に準ずる方法で、以下のG触媒を調製した。
【0050】
【化21】
CuO(49.3)-ZnO(45.1)
【0051】
(このG触媒を一般式(I)で表現すると、Cu(39.4)-Zn(36.2) となる。)
実施例5〜8及び比較例4〜6
内径約2.4cm(1インチ)を有するステンレス単管反応器に各触媒約10ccを仕込み、次いで反応器中に窒素ガスを供給し、反応器の内温を170℃まで昇温させた。続いて該窒素ガスを、10容量%の水素を含有する窒素ガスに切り替え、反応器内温を250℃まで2〜3℃/分の速度で昇温させた後、各触媒について約3時間還元を行なった。さらに、反応器内温を300℃まで2〜3℃/分の速度で昇温させた後、約2時間上記触媒の還元を行なった。
【0052】
還元終了後、反応器内温を180℃に設定し、上記窒素ガスを90容量%以上の水素を含有する窒素ガスに切り替え、反応系内の圧力を4.6kg/cm2 Gに維持した。ロジウム含有触媒によるプロピレンのヒドロホルミル化反応及び苛性ソーダ触媒によるアルドール縮合によって得られた純度99%以上の2−エチルヘキセナール(以下、EPAという)を完全に気化させ、前述の水素含有ガスと共に上記反応器へ供給した。
【0053】
上記したEPAの供給速度は液基準で15cc/hrであり、水素含有ガスの供給速度は水素/EPAのモル比が約22となるように調節して供給した。得られた反応生成物をコンデンサーに採取し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行なった。結果を表−1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
表−1の結果より明らかなように、本発明の方法による水素化反応においては、特に不飽和アルコールの副生が効果的に抑制されるので、得られたアルコールを対応する可塑剤にした場合の着色試験性能は大きく改善される。
【0056】
【発明の効果】
本発明の特定の触媒前駆体組成物の還元物を用いて、アルデヒドの気相水素化反応を行なうことにより、高温条件下においてもエステル、エーテル及び不飽和アルコール等の副生物の生成を抑制し、対応する飽和アルコールを高収率且つ高選択的に製造することが可能となる。さらに、本発明によれば水素化の際に発生する反応熱を、熱源として有効に利用することができるため工業的な利用価値が高い。
Claims (12)
- b及びcの少くとも一方が0.1〜50重量%である請求項1又は2に記載のアルコールの製造方法。
- X成分がPd又はNiである請求項1〜5のいずれかに記載のアルコールの製造方法。
- 圧力が0〜10kg/cm2G、温度が100〜250℃の条件下で反応を行なう請求項1〜6のいずれかに記載のアルコールの製造方法。
- b及びcの少くとも一方が0.1〜50重量%である請求項8又は9に記載の触媒前駆体組成物。
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