JP3781663B2 - トラヒック情報収集装置およびトラヒック情報収集方法およびプログラムおよび記録媒体 - Google Patents

トラヒック情報収集装置およびトラヒック情報収集方法およびプログラムおよび記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、IPパケット転送装置ならびに装置管理システムから構成されるIP通信網に利用する。特にトラヒック情報の収集技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
IP通信網では、従来のベストエフォートサービスに加えて、Diffserv網(Differentiated Services:Blake, S., Black, D., Carlson, M.,Davies, E., Wang, Z. and W. Weiss,“An Architecture for Differentiated Services”, IETF RFC 2475, December 1998)のように、パケットに優先順位を設け、網内で優先制御を行うことにより、高い優先度のパケットの廃棄率等を低く抑えて品質を確保するような、優先順位に基づく複数のサービスクラスの導入が始まりつつある。このような複数のサービスクラスから構成されるマルチサービス網においては、その利用者が通信を行う時点で実際のトラヒック情報を取得し、それに基づきサービスクラスを選択する必要がある。ここでトラヒック情報とは通信経路上の各リンクのサービスクラス毎の占有帯域と定義し、占有帯域はIPパケット転送装置において1秒間に転送された各パケットのデータサイズの総和に相当する。
【0003】
IP通信網のトラヒック情報を利用者が収集する手段として既に多くのソフトウェアが開発されている。例えば、UNIX Magazine 1998年5月号 pp13−20 “ネットワーク管理(3)”の記事で紹介されているPathcharというソフトウェアは、利用者が自らデータサイズの異なる複数の観測用パケットを送出し、その観測用パケットの到着間隔を測定することにより、経路情報のトラヒック状態を推定するものである。研究開発での利用を主目的とした全世界レベルの広域IP通信網であるThe Internetにおいては、全ての通信装置を監視する管理システムの導入は不可能であるという観点からは効果的な手法であるが、一般にこの種のトラヒック情報収集方式は、正確な情報を推定するために何回も観測用パケットを送出する必要があるため、計測自体がIP通信網への負荷をかけてしまい正確性の限界があるとともに、商用のIP通信網においてはトラヒック情報収集のための料金が余計にかかってしまうという問題点がある。
【0004】
一方、商用のIP通信網においては、通信装置を監視する管理システムが配備され、各通信装置が計測しているトラヒック情報、もしくは専用の監視装置が保持するトラヒック情報を、統合管理する方式が一般に用いられている。例えば、特開2001−94573号公報では、通信装置間の回線を通過するパケットを伝送信号レベルで分岐して取得し、専用の計測装置で分岐して取得したトラヒック情報を格納する方式が開示されており、また、特開平10−200529号公報では、複数の通信装置が計測しているトラヒック情報を通信装置毎の通信手段を用いて集中型の管理システムに集約する方式が開示されており、また、特開2001−69170号公報では、特開2001−94573号公報と同等の計測装置に加え、計測装置の情報を加工することでIP通信網のトラヒック状態を予測する評価装置を導入したトラヒック情報収集の方式が開示されている。これらの方式は基本的には、SNMP(Simple Network Management System:Case, J., Fedor, M., Schoffstall, M. and J. Davin, “Simple Network Management Protocol”, IETF RFC 1157, May 1990)で規定されるシステムモデルに基づくものであり、管理対象となる各通信装置に対応する管理エージェントが、該当通信装置のトラヒック情報を含む管理情報を収集し、集中型の管理マネージャが複数の管理エージェントの情報をSNMPと呼ばれる管理プロトコルを用いて収集するものである。図11は本動作を示す図であり、管理マネージャであるオペレーションサポートシステム(Operation Support System(OSS))が19に対応し、管理エージェントは24〜28の通信ノードに実装されており、ユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13の要求に基づき、OSS19は、SNMPを利用して24〜28の通信ノードに実装される管理エージェントが保持するトラヒック情報を収集する動作を示している。本方式は、特別な観測パケットを用いることなく外部からトラヒック情報を観測するため、正確な情報を収集することが可能であるが、各装置毎の情報を集中型の管理システムで集約して保持する必要があるため、IP通信網の利用者から個々にトラヒック情報の取得要求に対し管理システムの処理負荷が集中する、さらにはトラヒック情報集約のための管理プロトコル処理により管理システムの処理負荷が集中する等の問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のシステムでは、次のような問題点がある。第1の問題点は、トラヒック情報収集のためのオーバヘッドが大きいということである。その理由は、観測パケットを用いる手法では複数の観測パケットを用いる必要があるためであり、管理マネージャを用いる手法では通信装置から情報をアクセスするための管理プロトコルを用いる必要があるためである。
【0006】
第2の問題点は、IP通信網の利用者がサービスクラスを選択するためのトラヒック情報収集の負荷が大きいということである。その理由は、観測パケットを用いる手法では、サービスクラス毎に複数の観測パケットを用いる必要があるためであり、管理マネージャを用いる手法では管理マネージャへの負荷が集中してしまうためである。各利用者がIPパケット転送装置をSNMPを用いてアクセスする手法も考えらるが、この場合は、IPパケット転送装置の運用保守の観点から利用者認証およびアクセス制御等の処理を行う必要があり、各IPパケット転送装置への負荷が大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような背景に行われたものであって、トラヒック情報収集のために特別な観測パケットを用いたり、トラヒック情報収集のための特別な通信プロトコルを必要とすることがなく、IP通信網の利用者に対してサービスクラス毎のトラヒック情報を容易かつ高速に提供可能とし、かつこれを実現する際に、特定のシステムに対して集中的な処理負荷を与えることがないトラヒック情報収集装置およびトラヒック情報収集方法およびプログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、IP通信網を構成する通信装置を、トラヒック情報の検索経路の始点となる要求受付ノード、中間点となる要求中継ノード、終点となる要求終端ノードから構成したことを特徴としている。
【0009】
トラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末の要求は、要求受付ノードに送出され、要求受付ノードでは、通信装置内でのトラヒック情報収集を指示する情報要求パケットを生成し、自ノードでのトラヒック情報を収集するとともに、経路上の隣接する要求中継ノードに対して情報要求パケットを転送する。
【0010】
要求中継ノードでは、自ノードでのトラヒック情報を収集し、収集した情報を情報回答パケットとして要求受付ノードに送出するとともに、経路上の隣接する要求中継ノードに対して情報要求パケットを転送する。情報要求パケットが、要求終端ノードに到着すると、要求終端ノードでは、自ノードでのトラヒック情報を収集し、収集した情報を情報回答パケットとして要求受付ノードに送出するとともに、受信した情報要求パケットの廃棄を行うことで、情報収集の処理が終了する。
【0011】
したがって、トラヒック情報を推定するための観測用パケットや特別な管理プログラムを用いることなくトラヒック情報収集を可能とし、要求受付ノード、要求中継ノード、要求終端ノードでトラヒック情報収集の処理を分散化しているため、サービスクラス毎の大量な情報を集中的な負荷をかけることなく分散的に収集および加工処理することが可能となるという効果が得られる。
【0012】
すなわち、本発明の第一の観点はトラヒック情報収集装置であって、本発明の特徴とするところは、IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を受信する手段と、この受信する手段により受信した前記要求にしたがって隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信する手段と、前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信する手段と、自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめる手段と、前記トラヒック情報収集を要求した前記端末に前記とりまとめる手段がとりまとめた統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する手段とを備えた要求受付ノードと、前記情報要求パケットを受信する手段と、この受信する手段により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する手段と、前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する手段とを備えた要求中継ノードと、前記情報要求パケットを受信する手段と、この受信する手段により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する手段と、受信した情報要求パケットを廃棄する手段とを備えた要求終端ノードとを備えたところにある。前記トラヒック情報は、サービスクラス毎のリンク容量を含むことが望ましい。
【0013】
これにより、トラヒック情報収集のために特別な観測パケットを用いたり、トラヒック情報収集のための特別な通信プロトコルを必要とすることがなく、また、IP通信網の利用者に対して、サービスクラス毎のトラヒック情報を容易かつ高速に提供可能とし、かつこれを実現する際に、特定のシステムに対して集中的な処理負荷を与えることがない。
【0014】
前記情報要求パケットにはホップ数フィールドが設けられ、前記情報要求パケットを送信する手段は、情報要求パケット生成時に前記ホップ数フィールドに初期値を与える手段を備え、前記情報要求パケットを転送する手段は、転送する毎に前記ホップ数フィールドの値を1増加させる手段を備え、前記情報回答パケットを送信する手段は、受信した情報要求パケットの前記ホップ数フィールドのホップ数情報を当該情報要求に対する情報回答パケットに書込む手段を備えることが望ましい。
【0015】
これにより、要求受付ノードでは、情報回答パケットに書込まれたホップ数から情報回答パケットの経路上の順番を再現することができる。したがって、欠落しているトラヒック情報を検出することができる。欠落しているトラヒック情報については再収集を行う等の対策を実施することができるため、正確なトラヒック情報を収集することができる。
【0016】
前記情報要求パケットを送信する手段は、情報要求パケットに対して要求ごとの識別情報を付与する手段を備え、前記情報回答パケットを送信する手段は、受信した情報要求パケットの前記識別情報を当該情報要求に対する情報回答パケットに書込む手段を備えることが望ましい。
【0017】
これにより、要求受付ノードでは、情報回答パケットに書込まれた識別情報により、受信した複数の情報回答パケットがいずれの情報要求に対する回答であるかを識別できるため、複数のユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を同時に処理することができ、効率の良い運用を行うことができる。
【0018】
前記情報回答パケットには最終ノードフラグが設けられ、前記要求終端ノードは、当該最終ノードフラグを設定する手段を備えることが望ましい。
【0019】
これにより、要求受付ノードでは、情報要求パケットが要求終端ノードまで誤り無く到達したか否かを確認することができるため、情報収集が完了したか未完了かを識別することができる。したがって、トラヒック情報収集処理の失敗を検出することができ、もし、失敗を検出した場合には再度、情報要求パケットを送信する等の処理を行うことができるため、確実なトラヒック情報収集を行うことができる。
【0020】
前記情報要求パケットおよび前記情報回答パケットは、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットとして転送されることが望ましい。
【0021】
ICMPパケットとは、IPデータグラム配送時に経路上のゲートウェイで発生したIPデータグラム転送処理の障害を、送信ホストに対して通知するために開発されたプロトコルを用いるパケットである。情報要求パケットおよび情報回答パケットにこのICMPパケットを用いることにより、これらのパケットは特別なプロトコルを用いることなく、実通信と同一経路にしたがって転送されるために経路変更に柔軟に追従可能であり、実通信に沿った有効なトラヒック情報収集を行うことができる。さらに、多数の観測パケットを用いる従来方式と比較して、適切なコストでトラヒック情報収集を行うことができる。
【0022】
本発明の第二の観点はトラヒック情報収集方法であって、本発明の特徴とするところは、IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を受信して隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信するとともに前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信し、自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめて前記トラヒック情報収集を要求した前記端末に統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する要求受付ノードを配置し、前記情報要求パケットを受信して自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信するとともに前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する要求中継ノードを配置し、前記情報要求パケットを受信して自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信するとともに受信した情報要求パケットを廃棄する要求終端ノードを配置し、前記要求受付ノードおよび前記要求中継ノードおよび前記要求終端ノードの連携により自律分散的にIP通信網における特定の2点間のトラヒック情報の収集を行うところにある。
【0023】
本発明の第三の観点はプログラムであって、本発明の特徴とするところは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報の収集を行う機能を実現させ、この収集を行う機能として、前記トラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を受信する機能と、この受信する機能により受信した前記要求にしたがって隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信する機能と、前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信する機能と、自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめる機能と、前記トラヒック情報収集を要求した前記端末に前記とりまとめる機能がとりまとめた統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する機能とを備えた要求受付ノードに相応する機能と、前記情報要求パケットを受信する機能と、この受信する機能により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する機能と、前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する機能とを備えた要求中継ノードに相応する機能と、前記情報要求パケットを受信する機能と、この受信する機能により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する機能と、受信した情報要求パケットを廃棄する機能とを備えた要求終端ノードに相応する機能とを実現させるところにある。
【0024】
本発明の第四の観点は、本発明のプログラムが記録された前記情報処理装置読取可能な記録媒体である。本発明のプログラムは本発明の記録媒体に記録されることにより、前記情報処理装置は、この記録媒体を用いて本発明のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本発明のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接前記情報処理装置に本発明のプログラムをインストールすることもできる。
【0025】
これにより、コンピュータ装置等の情報処理装置により、トラヒック情報収集のために特別な観測パケットを用いたり、トラヒック情報収集のための特別な通信プロトコルを必要とすることがなく、IP通信網の利用者に対してサービスクラス毎のトラヒック情報を容易かつ高速に提供可能とし、かつこれを実現する際に、特定のシステムに対して集中的な処理負荷を与えることがない、トラヒック情報収集を実現することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明実施例のトラヒック情報収集装置を図1ないし図10を参照して説明する。図1は本発明の実施形態の構成を示すブロック図である。図2は要求受付ノードの内部構成を示すブロック図である。図3は要求中継ノードの内部構成を示すブロック図である。図4は要求終端ノードの内部構成を示すブロック図である。図5は情報要求パケットに格納される情報の例を示す図である。図6は情報回答パケットに格納される情報の例を示す図である。図7は本発明の実施形態のトラヒック情報収集手順を示すフローチャートである。図8は本発明の実施例におけるネットワーク構成例を示す図である。図9は実施例における各ルータからの情報回答パケットの内容例を示す図である。図10は実施例における情報要求元への回答内容を示す図である。
【0027】
本実施例はトラヒック情報収集装置であって、本実施例の特徴とするところは、図1および図2に示すように、IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13からのトラヒック情報収集の要求を受信する要求受付処理部42と、この要求受付処理部42により受信した前記要求にしたがって隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信する情報要求パケット転送処理部45と、前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信する情報回答パケット受付処理部48と、自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめて前記トラヒック情報収集を要求したユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13にとりまとめた統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する要求回答処理部49とを備えた要求受付ノード14と、図3に示すように、前記情報要求パケットを受信する情報要求パケット検出処理部51と、この情報要求パケット検出処理部51により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して要求受付ノード14へこの作成した情報回答パケットを送信するトラヒック情報計測処理部53および情報回答パケット作成処理部54と、前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する情報要求パケット転送処理部52とを備えた要求中継ノード15、16、17と、図4に示すように、前記情報要求パケットを受信する情報要求パケット検出処理部61と、この情報要求パケット検出処理部61により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して要求受付ノード14へこの作成した情報回答パケットを送信するトラヒック情報計測処理部63および情報回答パケット作成処理部64と、受信した情報要求パケットを廃棄する情報要求パケット廃棄処理部62とを備えた要求終端ノード18とを備えたところにある。前記トラヒック情報は、図9および図10に示すように、サービスクラス毎のリンク容量を含む。
【0028】
図5に示すように、前記情報要求パケットにはホップ数フィールド74が設けられ、要求受付ノード14の情報要求パケット作成処理部43は、情報要求パケット生成時にホップ数フィールド74に初期値を与え、要求中継ノード15、16、17の情報要求パケット転送処理部52は、転送する毎にホップ数フィールド74の値を1増加させ、要求中継ノード15、16、17および要求終端ノード18の情報回答パケット作成処理部54、64は、受信した情報要求パケットのホップ数フィールド74のホップ数情報を当該情報要求に対する情報回答パケットに書込む。
【0029】
また、図5に示すように、要求受付ノード14の情報要求パケット作成処理部43は、情報要求パケットに対して要求ごとの識別情報である検索ID73を付与し、要求中継ノード15、16、17および要求終端ノード18の情報回答パケット作成処理部54、64は、受信した情報情報パケットの検索ID73を当該情報要求に対する情報回答パケットに書込む。
【0030】
また、図6に示すように、前記情報回答パケットには最終ノードフラグが設けられ、要求終端ノード18の情報回答パケット作成処理部64は、当該最終ノードフラグを設定する。
【0031】
前記情報要求パケットおよび前記情報回答パケットは、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットとして転送される。
【0032】
本実施例のトラヒック情報収集装置は、情報処理装置としてのコンピュータ装置により実現することができる。すなわち、コンピュータ装置にインストールすることにより、そのコンピュータ装置に、IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報の収集を行う機能を実現させ、この収集を行う機能として、前記トラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13からのトラヒック情報収集の要求を受信する要求受付処理部42に相応する機能と、この要求受付処理部42に相応する機能により受信した前記要求にしたがって隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信する情報要求パケット転送処理部45に相応する機能と、前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信する情報回答パケット受付処理部48に相応する機能と、自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめて前記トラヒック情報収集を要求したユーザ11もしくはネットワーク管理端末13にとりまとめた統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する要求回答処理部49に相応する機能とを備えた要求受付ノード14に相応する機能と、前記情報要求パケットを受信する情報要求パケット検出処理部51に相応する機能と、この情報要求パケット検出処理部51に相応する機能により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して要求受付ノード14へこの作成した情報回答パケットを送信するトラヒック情報計測処理部53および情報回答パケット作成処理部54に相応する機能と、前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する情報要求パケット転送処理部52に相応する機能とを備えた要求中継ノード15、16、17に相応する機能と、前記情報要求パケットを受信する情報要求パケット検出処理部61に相応する機能と、この情報要求パケット検出処理部61に相応する機能により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して要求受付ノード14へこの作成した情報回答パケットを送信する情報回答パケット作成処理部64に相応する機能と、受信した情報要求パケットを廃棄する情報要求パケット廃棄処理部62に相応する機能とを備えた要求終端ノード18に相応する機能とを実現させるプログラムをコンピュータ装置にインストールすることにより、このコンピュータ装置を用いて実現することができる。
【0033】
本発明のプログラムは、本発明の記録媒体に記録されることにより、コンピュータ装置は、この記録媒体を用いて本発明のプログラムをインストールすることができる。あるいは、本発明のプログラムを保持するサーバからネットワークを介して直接コンピュータ装置に本発明のプログラムをインストールすることもできる。
【0034】
これにより、コンピュータ装置により、トラヒック情報収集のために特別な観測パケットを用いたり、トラヒック情報収集のための特別な通信プロトコルを必要とすることがなく、IP通信網の利用者に対してサービスクラス毎のトラヒック情報を容易かつ高速に提供可能とし、かつこれを実現する際に、特定のシステムに対して集中的な処理負荷を与えることがないトラヒック情報収集装置を実現することができる。
【0035】
以下では、本発明実施例をさらに詳細に説明する。
【0036】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の実施の形態は、IP通信を行うある2点間を示すユーザ端末11、ユーザ端末12と、IP通信網を構成し本発明を実施する要求受付ノード14と、要求中継ノード15〜17と、要求終端ノード18と、各通信ノードの管理システムであるOSS19と、OSS19を利用して管理業務を行うためのネットワーク管理端末13とから構成される。ここで、トラヒック情報収集の要求元は、ユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13であるものとし、トラヒック情報収集の要求は、要求受付ノード14に送出されるものとする。
【0037】
要求受付ノード14は、ユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13からのトラヒック情報収集の要求を受信し、ユーザ認証等のセキュリティ関連処理を行うと共に、通信装置内でのトラヒック情報収集を指示する情報要求パケットを生成し、自ノードでのトラヒック情報を収集し、トラヒック情報を格納した情報回答パケットを作成するとともに、経路上の隣接する要求中継ノード15に対して情報要求パケットを転送する。さらに、以降の要求中継ノード15〜17および要求終端ノード18から送出された情報回答パケットを自ノード分とあわせて集約し、要求元であるユーザ端末11もしくはネットワーク管理端末13へのトラヒック情報収集要求の回答を作成して送出する処理を行う。
【0038】
要求中継ノード15〜17は、隣接する要求受付ノード14もしくは要求中継ノード15〜17から情報要求パケットを受信し、自ノードでのトラヒック情報を収集し、収集した情報を情報回答パケットとして要求受付ノード14に送出するとともに、経路上で次に隣接する要求中継ノード(例えば、要求中継ノード15の場合は要求中継ノード16がこれに相当し、要求中継ノード16の場合は要求中継ノード17がこれに相当する)に対して情報要求パケットを転送する。
【0039】
要求終端ノード18は、隣接する要求中継ノード17から情報要求パケットを受信し、自ノードでのトラヒック情報を収集し、収集した情報を情報回答パケットとして要求受付ノード14に送出するとともに、受信した情報要求パケットの廃棄を行うことで、情報収集の処理要求の終端ノードを越えた伝播を防止する。
【0040】
次に、図1の実施の形態におけるトラヒック情報収集手順を図7を参照して詳細に説明する。(ステップ1)要求受付処理では、トラヒック情報収集の要求を受付け、ユーザ認証等のセキュリティ処理を行う。(ステップ2)情報要求パケット作成処理では、各通信ノードに対するトラヒック情報収集の指示を行う情報要求パケットの生成を行う。情報要求パケットには、ユーザ端末等から受付けた情報収集要求の指定に基づきトラヒック情報を収集したいユーザ端末のアドレス(ソースアドレス、デスティネーションアドレス)等が格納される。
【0041】
(ステップ3)情報要求パケット検出処理では、通信ノードの出力インタフェースにおいて情報要求パケットの検出を行う。検出方法としては、例えば、特定のICMPタイプを持つICMPパケットを使用することで、容易に検出が可能となる。情報要求パケットが検出されると、情報要求パケット転送処理(ステップ4)ならびに、トラヒック情報計測処理(ステップ5)の実行指示を行う。
【0042】
(ステップ4)情報要求パケット転送処理の判断では、情報要求パケットに含まれるデスティネーション端末を調べ自ノードに隣接していない場合は、デスティネーションアドレスに至る経路上で隣接する通信ノードに向けて、情報要求パケットのホップ数を1つ増加させて情報要求パケットの転送を行う。
【0043】
(ステップ5)トラヒック情報計測処理では、各出力インタフェース毎にサービスクラス毎のトラヒック情報を計測し、最新の情報をメモリに保持しており、情報要求パケット検出処理(ステップ3)からの指示により、サービスクラス毎のトラヒック情報を検索し、次ステップに情報を引渡す。
【0044】
(ステップ6)情報回答パケット作成処理では、検索されたトラヒック情報ならびに、検索IDとホップ数のフィールド値を用い、情報回答パケットの作成を行う。さらに、作成された情報回答パケットを、情報要求パケットのソースアドレスで指定される要求受付ノードへ送信する処理を行う。
【0045】
(ステップ7)情報回答パケット受付処理では、経路上の各ノードからの情報回答パケットを検索ID毎に集約する。このとき、最終ノードフラグの立っているパケットのホップ数フィールド値から、経路上のノード数がわかるので、経路上の全てのノードからの回答パケットを受信するまで待ち、全てを受信した時点で次ステップへ移行する。一定時間内に経路上の全てのノードからの情報回答パケットが受信できない場合には、検索失敗の通知を次ステップに行う。
【0046】
(ステップ8)要求回答処理では、ステップ7での情報回答パケットの受信結果から、サービスクラス毎の使用可能帯域を計算して要求元へ回答する。
【0047】
(ステップ9)ステップ3と同一の処理を行う。(ステップ10)ステップ5と同一の処理を行う。(ステップ11)ステップ6と同一の処理を行う。(ステップ12)ステップ4と同一の処理を行う。
【0048】
(ステップ13)情報要求パケット廃棄では、情報要求パケットに含まれるデスティネーション端末が自ノードに隣接しているため、情報要求パケットの廃棄を行い、これ以上の情報要求パケットの転送を防止する。
【0049】
ここで、上記のステップ4ならびにステップ9〜11は(処理グループS14)、トラヒック情報を収集する経路における要求中継ノードならびに要求終端ノードの数分だけ、繰り返し(処理グループS15のように)処理が行われることになる。
【0050】
次に、図2を参照すると、図1に示す要求受付ノード14の詳細が示されている。要求受付ノード41は、要求受付処理部42、情報要求パケット作成処理部43、情報要求パケット検出処理部44、情報要求パケット転送処理部45、トラヒック情報計測処理部46、情報回答パケット作成処理部47、情報回答パケット受付処理部48、要求回答処理部49から構成される。それぞれの処理内容を説明する。
【0051】
要求受付処理部42では、要求元41からのトラヒック情報収集の要求に対し、ユーザ認証等のセキュリティ対策を行い、情報収集の要求を受理すると、情報要求パケット作成処理部43に対して、情報要求パケットを作成するよう指示する。要求元41からのトラヒック情報収集の要求メッセージは、通信先(デスティネーション)のアドレスを含む。
【0052】
情報要求パケット作成処理部43では、図5に示すフォーマットの情報要求パケットを組み立て、経路情報にしたがって情報要求パケットを送出する。ここで、図5のソースアドレス71には自ノードのアドレス、デスティネーションアドレス72には、要求元からのトラヒック情報収集の要求メッセージ内の通信先アドレス、検索ID73は要求受付ノードで一意になる値(たとえば0から始まるシーケンシャルな値)、ホップ数フィールド74には“0”を設定する。
【0053】
情報要求パケット検出処理部44は、自通信ノード出力インタフェースにおいて情報要求パケットの検出を行う。検出方法としては、例えば、特定のICMPタイプを持つICMPパケットを使用することで、容易に検出が可能となる。情報要求パケットが検出されると、トラヒック情報計測処理部46に該当するトラヒック情報を検索するよう指示を行う。また、検索IDとホップ数のフィールド値を情報回答パケット作成処理部47に渡す。
【0054】
情報要求パケット転送処理部45では、情報要求パケットのホップ数を1つ増加させて、次の要求中継ノード15〜17または要求終端ノード18に情報要求パケットを転送する。
【0055】
トラヒック情報計測処理部46では、自通信ノードのインタフェース毎にサービスクラス毎のトラヒック情報を計測し、最新の情報をメモリに保持する。情報要求パケット検出処理部44より検索指示を受けると、サービスクラス毎のトラヒック情報を情報回答パケット作成処理部47に渡す。
【0056】
情報回答パケット作成処理部47では、図6に示すフォーマットの情報回答パケットを作成する。図6において、検索ID81とホップ数フィールド82のフィールド値は情報要求パケット検出処理部44から渡された値を入れ、最終ノードフラグ83は立てない。リンク帯域84ならびにサービスクラス毎の占有帯域85、86は、トラヒック情報計測処理部46から渡された値を格納する。このように作成された情報回答パケットは、情報要求パケットのソースアドレスで指定される要求受付ノード(この場合は、自ノード)へ送出される。
【0057】
情報回答パケット受付処理部48では、経路上の各ノードからの情報回答パケットを検索ID毎に集約する。このとき、最終ノードフラグの立っているパケットのホップ数フィールド値から、経路上のノード数がわかるので、経路上の全てのノードからの回答パケットを受信すると、受信結果を要求回答処理部49に渡す。一定時間内に経路上の全てのノードからの回答パケットが受信できない場合には、検索失敗通知を要求回答処理部49に渡す。
【0058】
要求回答処理部49では、情報回答パケット受付処理部48からの受信結果から、クラスごとの使用可能帯域を計算し、要求元41へ回答する。
【0059】
次に、図3を参照すると、図1に示す要求中継ノード15〜17の詳細が示されている。要求中継ノード15〜17は、情報要求パケット検出処理部51、情報要求パケット転送処理部52、トラヒック情報計測処理部53、情報回答パケット作成処理部54から構成される。それぞれの処理内容を説明する。
【0060】
情報要求パケット検出処理部51は、自通信ノードの出力インタフェースにおいて情報要求パケットの検出を行う。情報要求パケットが検出されると、トラヒック情報計測処理部53の情報を検索するよう指示する。また、検索IDとホップ数フィールドの値を情報回答パケット作成処理部54に渡す。
【0061】
情報要求パケット転送処理部52では、情報要求パケットのホップ数を1つ増加させて、次の要求中継ノード16、17または要求終端ノード18に情報要求パケットを転送する。
【0062】
トラヒック情報計測処理部53では、自通信ノードのインタフェース毎にサービスクラス毎のトラヒック情報を計測し、最新の情報をメモリに保持する。情報要求パケット検出処理部51より検索指示を受けると、サービスクラス毎のトラヒック情報を情報回答パケット作成処理部54へ渡す。
【0063】
情報回答パケット作成処理部54では、図6に示すフォーマットの情報回答パケットを作成する。検索IDとホップ数フィールドの値は情報要求パケット検出処理部51から渡された値を入れ、最終ノードフラグは立てない。作成された情報回答パケットは、情報要求パケットのソースアドレスで指定される要求受付ノードへ送出される。
【0064】
次に、図4を参照すると、図1に示す要求終端ノード18の詳細が示されている。要求終端ノード18は、情報要求パケット検出処理部61、情報要求パケット廃棄処理部62、トラヒック情報計測処理部63、情報回答パケット作成処理部64から構成される。それぞれの処理内容を説明する。
【0065】
情報要求パケット検出処理部61は、自通信ノードの出力インタフェースにおいて情報要求パケットの検出を行う。情報要求パケットが検出されると、トラヒック情報計測処理部62の情報を検索するよう指示する。また、検索IDとホップ数フィールドの値を情報回答パケット作成処理部64に渡す。情報要求パケット廃棄処理部62では、情報要求パケットを廃棄する。
【0066】
トラヒック情報計測処理部63では、自通信ノードのインタフェース毎にサービスクラス毎のトラヒック情報を計測し、最新の情報をメモリに保持する。情報要求パケット検出処理部61より検索指示を受けると、サービスクラス毎のトラヒック情報を情報回答パケット作成処理部64へ渡す。
【0067】
情報回答パケット作成処理部64では、図6に示すフォーマットの回答パケットを作成する。検索IDとホップ数フィールドの値は情報要求パケット検出処理部61から渡された値を入れ、最終ノードフラグを立てる。作成された情報回答パケットは、情報要求パケットのソースアドレスで指定される要求受付ノードへ送出される。
【0068】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図8を参照すると、実施例におけるIP通信網の例が示されており、ユーザ端末11とユーザ端末12との間には、要求受付ノード14としての加入者収容装置A、要求中継ノード15〜17としてのルータA、ルータB、ルータC、要求終端ノード18としての加入者収容装置Bから構成され、各装置はOSS19を介して、ネットワーク管理端末13によって管理されている。
【0069】
IP通信網は複数のサービスクラスを提供するマルチサービス網であり、提供されるサービスクラスは3種類(クラス3、クラス2、クラス1)、優先度がクラス3>クラス2>クラス1の順に設定され、クラス3の通信が最優先されるものとする。各サービスクラスはデータ量に対して課金される従量課金制、各クラスの料金(データ量単価)はクラス3>クラス2>クラス1の順に設定され、クラス3の料金が一番高く設定されているものとする。
【0070】
ここで、ユーザ端末11のユーザAが、ユーザ端末12のユーザBと通信するために、ユーザ端末11からユーザ端末12までの間のトラヒック情報を得たい場合には、ユーザ端末11から加入者収容装置Aに対してトラヒック情報要求を送出する。トラヒック情報要求には、デスティネーションアドレス(ユーザ端末12のアドレス)を指定して要求を行う。
【0071】
加入者収容装置Aは、要求受付ノード14として動作する。加入者収容装置Aは、ユーザ端末11からのトラヒック情報要求に対してユーザ認証を行う。ユーザ認証の方法としては、ユーザIDとパスワードの利用や、ユーザAのIPアドレスのチェック等を用いる。トラヒック情報要求が受理されると、情報要求パケットを作成し、設定されているルーティングテーブルにしたがって出力インタフェースに転送する。出力インタフェースでは、情報要求パケットの検出を行い、出力インタフェースのトラヒック情報の検索を行う。
【0072】
情報要求パケットは、情報要求パケット転送処理部45にてホップ数を1つインクリメントされる(ホップ数1)。情報要求パケットは出力インタフェースよりルータAへ送出される。
【0073】
経路上にあるルータA、ルータB、ルータCはそれぞれ要求中継ノード15〜17として動作する。ルータAでは、加入者収容装置Aからの情報要求パケットを、設定されているルーティングテーブルにしたがって出力インタフェースに転送する。出力インタフェースでは、情報要求パケットの検出を行い、出力インタフェースのトラヒック情報の検索を行う。情報要求パケットは、情報要求パケット転送処理部52にてホップ数を1つインクリメントされる(ホップ数2)。情報要求パケットは出力インタフェースよりルータBへ送出される。情報回答パケット作成処理部54では、トラヒック情報の検索結果と、情報要求パケット検出処理部51で抽出された検索ID、ホップ数(ここではホップ数1)、あらかじめ設定されているリンク帯域を図6に示す情報回答パケットとして作成し、加入者収容装置Aに回答する。ルータBではルータAと同様の処理を行い、情報要求パケットをルータCへ転送する。ルータCも同様の処理を行い、情報要求パケットを加入者収容装置Bに転送する。
【0074】
ユーザ端末12を収容している加入者収容装置Bは、要求終端ノード18として動作する。加入者収容装置Bでは、ルータCより転送された情報要求パケットを、設定されているルーティングテーブルにしたがって出力インタフェースに転送する。出力インタフェースでは、要求パケットの検出を行い、出力インタフェースのトラヒック情報の検索を行う。情報要求パケットは情報要求パケット廃棄処理部62にて廃棄される。情報回答パケット作成処理部64では、トラヒック情報の検索結果と、要求パケット検出部で抽出された検索ID、ホップ数(ここではホップ数4)、あらかじめ設定されているリンク帯域を図6に示す情報回答パケットとして作成し、加入者収容装置Aに回答する。このとき、情報回答パケットの最終ノードフラグには“1”が立てられている。
【0075】
各ノード(14〜18)からの回答は加入者収容装置Aの情報回答パケット受付処理部48にて集約される。ここで、最終ノードフラグの検出を行い、最終ノードフラグの検出されたパケットからホップ数を抽出する。ここではホップ数4が抽出されるので、ホップ数0、ホップ数1、ホップ数2、ホップ数3の回答パケットが受信されていることを確認する。ここで、加入者収容装置Aではあらかじめ決められた時間内に回答パケットが受信されるものとし、時間内に最終ノードフラグが検出されない場合または経路途中のホップ数のパケットが受信されない場合は情報要求パケットまたは情報回答パケットが廃棄されたものとして、検索失敗を通知する。加入者収容装置Aの要求回答処理部49では、受信した情報回答パケットの回答内容から、トラヒック情報の回答をユーザ端末11に送る。例えば、情報回答パケットの回答内容が図9のような場合(ホップ0は加入者収容装置Aのトラヒック情報検索結果)、ユーザ端末11に対しての回答は各クラスの使用可能帯域(その帯域でデータ通信してもパケット廃棄されることなく相手端末までデータ転送が可能な最大帯域)を通知することとすると、ユーザ端末11からユーザ端末12までの経路上でのリンク容量は、全ホップ中での最小の容量となり、各クラスの使用可能帯域は各ホップにおけるリンク占有可能帯域の最小のものとなるため、図10のようになる。図9の例において、例えばクラス2についてはホップ2においてリンク占有可能帯域が最小となり、その値は、空き帯域(30)を含むクラス2より低位クラスの占有帯域の合計(30+10)となる。
【0076】
本実施例のサービスへの適用例として、ストリーム通信サービスのように、ユーザが特定のスループットを要求するようなサービスの例について説明する。回答結果として図10の結果を得たユーザが40の帯域で通信したいと思うと、サービスクラスとしてクラス2を選択すれば40の帯域が確保できることがわかる。ここで、クラス1を選択すると、40の帯域は確保できないので要求される品質を提供できない。また、クラス3を選択すると要求帯域は確保できるが、通信コストが多くかかることとなる。
【0077】
また、別のサービスへの適用例としてバルク通信サービスのような、ユーザが帯域を可変できるサービスの例について説明する。ユーザはクラス1の料金で通信をしたいのだが、使用可能な帯域はどれくらいか知るためにトラヒック情報を要求する。このときの回答を図9のとおりとすると、ユーザは20の帯域であればクラス1の料金でパケット廃棄されることなく通信できることがわかる。ここで、30の帯域でデータ送信する場合には、すべてのデータが相手に到達する保証はないため、通信コストを無駄にする可能性がある。
【0078】
また、本実施例のサービスへの適用例として通信品質/通信料金に関する要求条件をユーザが指定し、ユーザAPがトラヒック情報を定期的に要求することにより、データ送出帯域や選択サービスクラスを自動制御するサービスも考えられる。
【0079】
(実施例まとめ)
以上説明したように、本発明においては、次のような効果を奏する。
【0080】
第1の効果は、トラヒック情報の推測のための特別な観測パケットや、トラヒック情報収集のための特別な通信プロトコルを必要とすることがない、ということにある。その理由は、各通信ノードにおいて管理格納されているトラヒック情報を、ICMP等を利用した情報要求パケットならびに情報回答パケットを用いて収集することを可能としたためである。
【0081】
第2の効果は、IP通信網の利用者に対して、サービスクラス毎のトラヒック情報を容易かつ高速に提供可能とし、かつこれを実現する際に、特定のシステムに対して集中的な処理負荷を与えることがない、ということにある。その理由は、各通信ノードにおいて情報要求パケットならびに情報回答パケットを処理する形態としたことにより、情報要求パケット1個と、ホップ数分の情報回答パケットのみの少ないパケット数で情報収集を可能としていることと、トラヒック情報収集処理を経路上の複数の通信ノードで分散処理するためである。さらに要求受付ノードで収容端末のトラヒック情報要求を受付け、ユーザ認証や結果集約等の処理を行うため、複数のIP通信網利用者に対して分散的な処理を可能としたためである。
【0082】
第3の効果は、要求中継ノードから個別に送信されてきた情報回答パケットの経路上の順番を、要求受付ノードにおいて再現することができることにある。その理由は、情報要求パケットにホップ数フィールドを設け、転送毎に1増加させ、情報回答パケットにコピーする処理を行っているためである。
【0083】
第4の効果は、要求受付ノードは複数のユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からの要求を、同時に処理することができることにある。その理由は、情報要求パケットにIDフィールドを設け、情報回答パケットにコピーする処理を行っているためである。
【0084】
第5の効果は、IP網内でのパケット廃棄によるトラヒック情報収集処理の失敗を検出することができることにある。その理由は、情報回答パケットに最終ノードフラグを設け、要求終端ノードにおいてフラグを立てる処理を行っているためである。
【0085】
第6の効果は、トラヒック情報収集が正確であり、ユーザ端末が適切なコストで通信を行うことができることにある。その理由は、情報要求パケットが実通信と同一経路に従って転送されるため、経路変更に柔軟に追従可能であり、情報収集結果を用いることによりパケット廃棄が発生しない帯域でデータ送出を行うことを可能としているためである。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トラヒック情報収集のために特別な観測パケットを用いたり、トラヒック情報収集のための特別な通信プロトコルを必要とすることがなく、IP通信網の利用者に対してサービスクラス毎のトラヒック情報を容易かつ高速に提供可能とし、かつこれを実現する際に、特定のシステムに対して集中的な処理負荷を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】要求受付ノードの内部構成を示すブロック図。
【図3】要求中継ノードの内部構成を示すブロック図。
【図4】要求終端ノードの内部構成を示すブロック図。
【図5】情報要求パケットに格納される情報の例を示す図。
【図6】情報回答パケットに格納される情報の例を示す図。
【図7】本発明の実施形態のトラヒック情報収集手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施例におけるネットワーク構成例を示す図。
【図9】実施例における各ルータからの情報回答パケットの内容例を示す図。
【図10】実施例における情報要求元への回答内容を示す図。
【図11】従来のトラヒック情報収集方式を説明するための図。
【符号の説明】
11、12 ユーザ端末
13 ネットワーク管理端末
14 要求受付ノード
15〜17 要求中継ノード
18 要求終端ノード
19 オペレーションサポートシステム(OSS)
24〜28 通信ノード
41 要求元
42 要求受付処理部
43 情報要求パケット作成処理部
44、51、61 情報要求パケット検出処理部
45、52 情報要求パケット転送処理部
46、53、63 トラヒック情報計測処理部
47、54、64 情報回答パケット作成処理部
48 情報回答パケット受付処理部
49 要求回答処理部
62 情報要求パケット廃棄処理部
71 ソースアドレス
72 ディスティネーションアドレス
73、81 検索ID
74、82 ホップ数フィールド
83 最終ノードフラグ
84 リンク帯域
85 クラスxの占有帯域
86 クラスyの占有帯域

Claims (9)

  1. IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を受信する手段と、
    この受信する手段により受信した前記要求にしたがって隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信する手段と、
    前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信する手段と、
    自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめる手段と、
    前記トラヒック情報収集を要求した前記端末に前記とりまとめる手段がとりまとめた統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する手段と
    を備えた要求受付ノードと、
    前記情報要求パケットを受信する手段と、
    この受信する手段により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する手段と、
    前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する手段と
    を備えた要求中継ノードと、
    前記情報要求パケットを受信する手段と、
    この受信する手段により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する手段と、
    受信した情報要求パケットを廃棄する手段と
    を備えた要求終端ノードと
    を備えたことを特徴とするトラヒック情報収集装置。
  2. 前記トラヒック情報は、サービスクラス毎のリンク容量を含む請求項1記載のトラヒック情報収集装置。
  3. 前記情報要求パケットにはホップ数フィールドが設けられ、
    前記情報要求パケットを送信する手段は、情報要求パケット生成時に前記ホップ数フィールドに初期値を与える手段を備え、
    前記情報要求パケットを転送する手段は、転送する毎に前記ホップ数フィールドの値を1増加させる手段を備え、
    前記情報回答パケットを送信する手段は、受信した情報要求パケットの前記ホップ数フィールドのホップ数情報を当該情報要求に対する情報回答パケットに書込む手段を備えた
    請求項1記載のトラヒック情報収集装置。
  4. 前記情報要求パケットを送信する手段は、情報要求パケットに対して要求ごとの識別情報を付与する手段を備え、
    前記情報回答パケットを送信する手段は、受信した情報情報パケットの前記識別情報を当該情報要求に対する情報回答パケットに書込む手段を備えた
    請求項1記載のトラヒック情報収集装置。
  5. 前記情報回答パケットには最終ノードフラグが設けられ、
    前記要求終端ノードは、当該最終ノードフラグを設定する手段を備えた
    請求項1記載のトラヒック情報収集装置。
  6. 前記情報要求パケットおよび前記情報回答パケットは、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケットとして転送される
    請求項1記載のトラヒック情報収集装置。
  7. IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を受信して隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信するとともに前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信し、自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめて前記トラヒック情報収集を要求した前記端末に統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する要求受付ノードを配置し、
    前記情報要求パケットを受信して自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信するとともに前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する要求中継ノードを配置し、
    前記情報要求パケットを受信して自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信するとともに受信した情報要求パケットを廃棄する要求終端ノードを配置し、
    前記要求受付ノードおよび前記要求中継ノードおよび前記要求終端ノードの連携により自律分散的にIP通信網における特定の2点間のトラヒック情報の収集を行うことを特徴とするトラヒック情報収集方法。
  8. 情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、IP通信網における特定の2点間のトラヒック情報の収集を行う機能を実現させ、
    この収集を行う機能として、
    前記トラヒック情報収集の要求を行うユーザ端末もしくはネットワーク管理端末からのトラヒック情報収集の要求を受信する機能と、
    この受信する機能により受信した前記要求にしたがって隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを送信する機能と、
    前記隣接する他通信装置から自装置以外の複数の通信装置のトラヒック情報が書込まれた情報回答パケットを受信する機能と、
    自装置内のトラヒック情報および受信した前記情報回答パケットに書込まれたトラヒック情報をとりまとめる機能と、
    前記トラヒック情報収集を要求した前記端末に前記とりまとめる機能がとりまとめた統括的なトラヒック情報を含む情報回答パケットを送信する機能と
    を備えた要求受付ノードに相応する機能と、
    前記情報要求パケットを受信する機能と、
    この受信する機能により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する機能と、
    前記情報要求パケットの送信元以外の隣接する他通信装置へ前記要求を含む情報要求パケットを転送する機能と
    を備えた要求中継ノードに相応する機能と、
    前記情報要求パケットを受信する機能と、
    この受信する機能により受信した前記情報要求パケットに含まれる前記要求にしたがって自装置内のトラヒック情報により情報回答パケットを作成して前記要求受付ノードへこの作成した情報回答パケットを送信する機能と、
    受信した情報要求パケットを廃棄する機能と
    を備えた要求終端ノードに相応する機能と
    を実現させることを特徴とするプログラム。
  9. 請求項8記載のプログラムが記録された前記情報処理装置読取可能な記録媒体。
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