JP3780889B2 - 車両運行燃費評価装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を燃費が小の運転をしたか、燃費が大の運転をしたかを評価する車両運行燃費評価装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
同じ車両でも、運転の仕方によって燃料消費量は異なる。つまり、運転の仕方によって燃費は異なる。商業車では、その燃費は運送コストに反映することになるから、運送コストを下げるために、燃費が小となる運転を心掛ける必要がある。しかし、小型商業車はもともと燃料消費量が少なく、近距離を走行するのに使用することが多いので、良い運転をして燃料を節約したとしても、節約量は僅かであり、経済的効果はそれほど大きくない。
【0003】
しかし、大型トラック等の大型商業車では、もともと大量に燃料を消費する上、長距離を運転することが多いので、運転の仕方によっては節約量も大となり、運送コストの低減にも大いに寄与することになる。特に、多くの大型トラックを毎日運行している運送会社等の事業者にとってみれば、各運転者が省燃費の運転をしてくれるか、燃費大の運転をしてしまうかは、運送コストに大きな影響を及ぼす問題である。
そのため、大型商業用車両の運転者には、省燃費の運転をすることが、特に要望されている。
【0004】
燃費の計算は、走行距離と燃料消費量とが分かれば、簡単に求めることが出来る。従って、走行後に燃費が小だったか大だったかは、直ちに知ることが出来る。
しかし、燃費が大であったとしても、運転上の何が原因で燃費が大になったかを判断することは、極めて難しい。なぜなら、燃費は、走行速度,ブレーキ操作,シフトアップ回転数,アイドリング時間等の、運転時におけるいろいろな要因によって影響を受けるからである。
そのため、燃費小の運転となるよう心掛けようとしても、原因が分からなくては、運転のどのような点に気をつけて運転してよいのか分からない。
【0005】
そこで、車両をどのように運転したかということを、運転の要因毎に分析し、省燃費の運転であったか燃費大の運転であったかを評価する技術が、提案され始めている。
そのような提案としては、例えば特開2000−247162号公報のものがある。この公報では、ブレーキ操作も燃費に関係しているから、それも燃費評価の1要素とするとの考え方も開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の技術には、補助ブレーキが装備されている車両において、それをエンジンブレーキとの関係でどのように操作した場合に、燃費の点でどう評価するのか、あるいは燃費の良い運転をするためには補助ブレーキの操作をどう改善したらよいか、等といったことについては明らかではなかった。
本発明は、補助ブレーキをエンジンブレーキ作動中にどの位の時間使用したかにより、具体的,実際的に燃費評価し得るようにすることを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の車両運行燃費評価装置は、車速センサ,クラッチセンサ,ギヤ位置センサ,アクセルセンサおよびブレーキセンサを含み、エンジンブレーキが作動しているか否かを検出する手段と、補助ブレーキが作動しているか否かを検出する手段と、エンジンブレーキが作動している時間を累積記録するエンジンブレーキ累積時間記録部と、補助ブレーキが作動している時間を累積記録する補助ブレーキ累積時間記録部と、エンジンブレーキ累積時間に対する補助ブレーキ累積時間の比率を演算する補助ブレーキ使用比率演算手段と、補助ブレーキ使用比率が大となるにつれて評価点が低くなるよう予め作成した燃費評価点表により、燃費評価をする燃費評価手段とを具えることとした。
【0008】
また、本発明の車両運行燃費評価方法では、エンジンブレーキが作動しているか否かを検出する第1の過程と、補助ブレーキが作動しているか否かを検出する第2の過程と、エンジンブレーキが作動している時間および補助ブレーキが作動している時間を、それぞれ累積記録する第3の過程と、エンジンブレーキ累積時間に対する補助ブレーキ累積時間の比率を演算する第4の過程と、補助ブレーキ使用比率が大となるにつれて評価点が低くなるよう予め作成した燃費評価点表により、燃費評価をする第5の過程とを具えるものとした。
【0009】
(作 用)
エンジンブレーキのみならず補助ブレーキをも動員して制動をかけると、燃費が悪くなるという事実に注目し、補助ブレーキが時間的にどの程度の割合で使われているかにより、燃費の良い運転をしたかどうかを評価する。
エンジンブレーキの作動時間と補助ブレーキの作動時間とを、それぞれ累積記録しておき、エンジンブレーキ作動中のどの位の時間補助ブレーキを作動させているかの比率(補助ブレーキ使用比率)を求める。そして、求めた比率を、該比率が大となるほど評価点が低くしてある燃費評価点表を参照して、運転を数値で評価する。
これにより、エンジンブレーキ,補助ブレーキの操作に関しての運転の仕方を、燃費の観点から具体的に数値で評価することが出来るようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
エンジンブレーキの他に補助ブレーキをも使用して制動すると、制動力が大となり、短い距離で停止することは出来る。しかしながら、このような停止の仕方をしていると、燃費の点では好ましくない。なぜなら、もっと早くエンジンブレーキを使用していれば、もっと燃料を消費しないで停止することが出来た筈であるからである。
図4は、補助ブレーキ使用と燃費との関係を説明する図である。図4(1)はP0 の地点でエンジンブレーキをかけ始め、そのブレーキだけでP3 の地点で停止した場合を示している。その距離を走行している時間T03の間、ずうっとエンジンブレーキをかけているから、燃料は消費されない。
【0011】
一方、図4(2)は、P0 の地点よりも更に進行したP1 の地点で、エンジンブレーキをかけ始めた場合を示している。エンジンブレーキだけでP3 の地点で停止しようとしても、このままでは停止することは出来ないわけであるから(図4(1)参照)、制動力を増すためP2 の地点で補助ブレーキを作動させ、ようやくP3 の地点で停止することになる。燃料を消費しなかった時間は、P1 からP3 までのT13であり、図4(1)の場合より短くなっている。即ち、図4(2)のようなブレーキのかけ方は、燃料を多く消費するかけ方である。
この原因は、エンジンブレーキをかけるのが遅く、結局、補助ブレーキをも使って制動した点にある。
本発明は、このように、エンジンブレーキ作動時間と補助ブレーキとの作動時間を記録し、それに基づいて燃費の良い運転をしたかどうか評価しようとするものである。
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明の車両運行燃費評価装置のブロック構成図である。図2において、1は車速センサ、2はクラッチセンサ、3はギヤ位置センサ、4はアクセルセンサ、5はブレーキセンサ、6はコントローラ、7は補助ブレーキスイッチ、8はエンジンブレーキ累積時間記録部、9は補助ブレーキ累積時間記録部、10は燃費評価点表格納部である。
コントローラ6は車両に搭載されており、CPUや記憶装置等を具えて、コンピュータ的に構成されている。本発明を動作させるプログラムは、ここに記憶させておく。
【0013】
各センサからコントローラ6へは、それぞれの検出信号が入力される。車速センサ1は車速を検出し、クラッチセンサ2はクラッチの断,接を検出し、ギヤ位置センサ3はギヤ段の位置を検出し、アクセルセンサ4はアクセル開度を検出し、ブレーキセンサ5はブレーキペダルを踏み込んだか否かを検出する。
補助ブレーキスイッチ7は、補助ブレーキを作動させる際にオンするスイッチである。補助ブレーキとして排気ブレーキのみを装備しているのであれば、排気ブレーキ用のスイッチだけであるが、リターダも装備していればリターダ用のスイッチも設けられている。
【0014】
エンジンブレーキ累積時間記録部8は、エンジンブレーキを作動させている時間の累積時間を記録しておく部分であり、例えば時間カウンタや記憶装置により構成される。補助ブレーキ累積時間記録部9は、補助ブレーキを作動させている時間の累積時間を記録しておく部分であり、同じく時間カウンタや記憶装置により構成される。
燃費評価点表格納部10は、エンジンブレーキと補助ブレーキの操作につき、燃費の観点から評価するため、予め定めておいた燃費評価点表を格納しておく部分である。
【0015】
次に、動作について説明する。
図1は、本発明の車両運行燃費評価装置の動作を説明するフローチャートである。図1(1)はメインフローを示し、図1(2)はメインフローのステップ10の中身を示すサブフローである。
ステップ1…運転者の意思による走行時か否かを判断する。このフローチャートは、運転者の運転に対して燃費評価をしようとするものであるから、運転者の意思によらない走行(例、オートクルーズ走行,スピードリミッタ作動中)を行っている場合は除外するためである。運転者の意思による走行を行っている場合のみ、次のステップに進む。(但し、オートクルーズ走行を取り入れての運転をも含めて、運転者の運転だと評価しようとするなら、無理にこのステップを入れて区別する必要はない。この意味で、ステップ1は必須のものではない。)
【0016】
ステップ10…まず、エンジンブレーキが作動しているかどうかを調べる。これは、具体的にはサブフローに示すように行われる。エンジンブレーキを作動させている場合は、クラッチは接とされ、ギヤ位置はニュートラル以外とされ、或る程度の車速以上で走行し(そうでないとエンジンが停止してしまう)、アクセルペダルもブレーキペダルも踏んでいないという状態になっている。そのような状態になっているかどうかを、ステップ11〜15で調べている。
エンジンブレーキは作動していないということであれば、作動が検出されるまで待機する。
【0017】
ステップ20…エンジンブレーキが作動している場合は、作動している時間を計り、今までのエンジンブレーキ作動時間に累積加算して記録する。例えば、このステップに来る毎に1を加算するカウンタを設けておき、走行を終える毎に今までの作動時間に累積加算して、記憶装置に記録する。このフローチャートを0.5秒間隔で流すとすれば、カウント値1は0.5秒に相当することになる。
ステップ30…補助ブレーキが作動しているかどうか調べる。これは、補助ブレーキスイッチ7がオンされているかどうかにより、調べることが出来る。
補助ブレーキは、通常、エンジンブレーキ作動中に、制動力が足りないと思われる場合に作動させられる。
【0018】
ステップ40…補助ブレーキが作動させられていれば、その作動時間を計り、今までの補助ブレーキ作動時間に累積加算して記録する。
ステップ50…燃費評価を行えとの指令信号が来たかどうか調べる。来ない場合にはステップ10へ戻る。この指令信号の発生のさせ方は、どのような時点で燃費評価させるかに応じて定めることが出来る。例えば、車両が停止する毎に燃費評価したいということであれば、キースイッチのオフ信号を指令信号とすることが出来るし、定期的に(例、週末とか月末とかに)燃費評価したいということであれば、時計情報を基に指令信号を発するようにすればよい。
【0019】
ステップ60…燃費評価するということになれば、エンジンブレーキ作動時間中に、どの位の時間補助ブレーキが使用されたかという、補助ブレーキ使用比率Wを求める。エンジンブレーキに重ねて補助ブレーキを使用しているということは、制動するに際し、大きな制動力を発生させて無理な制動を行っているということであり、図4で説明した如く、燃費の点では好ましくない。
エンジンブレーキ累積時間をTE とし、補助ブレーキ累積時間をTA とすれば、補助ブレーキ使用比率Wは、次式で求められる。
W=TA /TE
【0020】
ステップ70…求めた補助ブレーキ使用比率Wを、予め定められ燃費評価点表格納部10に格納されている燃費評価点表に照らし、評価点を求める。以上により燃費評価がなされる。
図3は、燃費評価点表の例を示す図である。横軸は補助ブレーキ使用比率であり、縦軸は点数である。横軸の補助ブレーキ使用比率におけるW1 ,W2 等の範囲分けは、車両やエンジン等の種類に応じて適宜に行われる。
【0021】
ステップ60で求めた補助ブレーキ使用比率がWであり、それは図3に示すように補助ブレーキ使用比率W3 〜W4 に入る値であったとすると、評価点は2点と求められる。
図3の燃費評価点表格納部10では、補助ブレーキ使用比率が小の方に高い点が与えられているが、これは、なるべく補助ブレーキは使わない運転をするようにしていれば、燃費は小となるから、それを高く評価するためである。
【0022】
なお、前記した実施形態では車両運行燃費評価装置について述べたが、このような装置により行っている燃費評価方法も、新規な方法である。
【0023】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の車両運行燃費評価装置および方法によれば、エンジンブレーキの作動時間と補助ブレーキの作動時間とを、それぞれ累積記録しておき、エンジンブレーキ作動中のどの位の時間補助ブレーキを作動させているかの比率(補助ブレーキ使用比率)を求める。そして、求めた補助ブレーキ使用比率を、該比率が大となるほど評価点が低くしてある燃費評価点表を参照して、運転を数値で評価するようにしたので、エンジンブレーキ,補助ブレーキの操作に関しての運転の仕方を、燃費の観点から具体的に数値で評価することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両運行燃費評価装置の動作を説明するフローチャート
【図2】本発明の車両運行燃費評価装置のブロック構成図
【図3】燃費評価点表の例を示す図
【図4】補助ブレーキ使用と燃費との関係を説明する図
【符号の説明】
1…車速センサ、2…クラッチセンサ、3…ギヤ位置センサ、4…アクセルセンサ、5…ブレーキセンサ、6…コントローラ、7…エンジンブレーキ累積時間記録部、8…補助ブレーキ累積時間記録部、9…燃費評価点表格納部
Claims (2)
- 車速センサ,クラッチセンサ,ギヤ位置センサ,アクセルセンサおよびブレーキセンサを含み、エンジンブレーキが作動しているか否かを検出する手段と、
補助ブレーキが作動しているか否かを検出する手段と、
エンジンブレーキが作動している時間を累積記録するエンジンブレーキ累積時間記録部と、
補助ブレーキが作動している時間を累積記録する補助ブレーキ累積時間記録部とと、
エンジンブレーキ累積時間に対する補助ブレーキ累積時間の比率を演算する補助ブレーキ使用比率演算手段と、
補助ブレーキ使用比率が大となるにつれて評価点が低くなるよう予め作成した燃費評価点表により、燃費評価をする燃費評価手段と
を具えたことを特徴とする車両運行燃費評価装置。 - エンジンブレーキが作動しているか否かを検出する第1の過程と、
補助ブレーキが作動しているか否かを検出する第2の過程と、
エンジンブレーキが作動している時間および補助ブレーキが作動している時間を、それぞれ累積記録する第3の過程と、
エンジンブレーキ累積時間に対する補助ブレーキ累積時間の比率を演算する第4の過程と、
補助ブレーキ使用比率が大となるにつれて評価点が低くなるよう予め作成した燃費評価点表により、燃費評価をする第5の過程と
を具えたことを特徴とする車両運行燃費評価方法。
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