JP3780871B2 - Od間走行経路決定装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別コードを送信する車載装置(車両に備え付けた装置、車両に持ち込んだ装置のいずれをも含む。)と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
OD間走行経路とは、一定規模の道路網において、車両が発生してから消滅するまでにたどる走行経路をいう。
前記「発生」とは、より細かな規模の道路網(細街路)や駐車場等から前記一定規模の道路網に車両が進入する場合をいい、前記「消滅」とは、前記一定規模の道路網から、前記細街路や駐車場等に車両が退出する場合をいう。
【0003】
車両一台一台のOD間走行経路が求まると、これを統計的に処理してOD交通量を求めることができる。OD交通量は、起終点交通量ともいわれ、一定規模の道路網のある地点から発生し、他の地点で消滅する、単位時間当たりの車両台数をいう(間藤隆一 他「起終点交通量計測システム」Matsushita Technical Journal Vol. 44 No. 3 Jun. 1998)。
また、ある地点から発生し、一定のルートを通って、他の地点で消滅することを「トリップ」という。OD間走行経路は、このトリップの経路に他ならない。
【0004】
OD交通量が求まると、交通量予測や各種の交通制御の検討や評価に役立てることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
車両の走行経路を計測するために、道路に光ビーコンなどの路上通信装置を設置して、車載装置と双方向通信をして、その車両を追跡するという方法が考えられる。
車両を追跡するには、車両、車載装置又は個人に識別コードを割り当てる(車両又は個人に識別コードを割り当てた場合でも、識別コードを管理するのは車載装置であるから、その車載装置に割り当てたものとみなす。)必要があるが、識別コードをどのように割り当てるかという問題が発生する。次の(a)(b)の割り当て方法がある。
【0006】
(a)識別コードを固定してしまう場合:
識別コードを固定してしまうと、車両が登録されてから廃車されるまで(あるいは車載装置を搭載してから除去するまで)移動した一連の経路(通常何万kmに及ぶ)を1つの走行経路として捕らえてしまうため、OD間走行経路という概念を利用することができなくなってしまい、交通量予測や各種の交通制御の検討や評価に役立てることができなくなる。そこで、走行経路を走行目的ごとに分割する必要がある。
【0007】
(b)識別コードを可変する場合:
車両がエンジンを始動して発生してから、エンジンを切って消滅するまでの走行を1つの走行と捕らえ、そのために、路上通信装置から車載装置に識別コードを割り当て、その車載装置では、エンジンオンの間だけ、割り当てられた当該識別コードを記憶し使用する。
この方法は、エンジンの始動ごとに、走行目的があると考えれば、OD間走行経路が自動的に求まるので都合がよい。
【0008】
ところが、車両がエンジンを切らずにしばらくの時間停車し、その間に目的を達成して、また走行を開始することがある。例えばタクシーの例があげられる。このような場合、前後の走行をそれぞれ別のトリップとして分割した方が、交通量予測や各種の交通制御の検討や評価により役立つデータを提供することができる。
そこで、本発明は、車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、車両のOD間走行経路を求める場合において、車両の一連の走行経路を分割する基準を設け、この基準に従って走行経路を分割し、もって、OD間走行経路をより適切に決定することのできるOD間走行経路決定装置及び方法を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明のOD間走行経路決定装置は、識別コードを送信する車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるための装置であって、前記地上装置は、車両の位置を把握する位置情報把握手段と、車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段と、を必要な構成要素とする。
【0010】
この構成のOD間走行経路決定装置によれば、地上装置は、車載装置の識別コードの情報を収集し、この収集された識別コードの情報及び車両の位置情報に基づいて、当該車両の走行経路を特定する。特定する際に、特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断し、前記一定の分割基準を満たしていると判断された場合には、走行経路を分割する。
そして、走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合はその分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定する。
【0011】
このように、走行経路を一定の基準に従って分割するという着想に基づいて、不自然さのない、実情に合致したOD間走行経路を適切に決定することができる。したがって、交通量予測や交通量制御に役立てることができる。
前記一定の分割基準として、次のようなものをあげることができる。
(a)走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行速度が、標準的な走行速度と比べて、一定の割合を下回っていること又は一定以上の差で下回っていること(請求項1):
この場合、車両は、渋滞にあっているとは考えられず、駐停車したあるいは徐行していたと考えられるので、途中で走行目的を一度達成したとみなして、走行経路を分割する。
【0012】
(b) 走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行速度が経験上定めたしきい値未満であること(請求項2):
上の(a)のケースと同様、車両は駐停車したあるいは徐行したと考えられるので、走行目的をひとまず達成したとみなして、走行経路を分割する。
(c) 走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行時間が、標準的な走行時間に比べて、一定の割合を上回っていること、又は一定以上の差で上回っていること(請求項3):
走行速度を走行時間と言い換えただけであり、(a)と同様である。
【0013】
(d) 走行経路を構成する隣接する2本のリンクの角度差がしきい値を超えていること(請求項4):
この場合は、走行経路が大きく曲がっているので、一回目の走行目的を達成して帰路についたとみなして、走行経路を分割する。
隣接する2本のリンクであれば、車両がUターンしたことを検知することができる。
【0014】
(e)出発地Oからの通過リンクまでの直線距離又は最短経路距離が連続して一定回数、短くなったことである(請求項5):
この場合は、車両が出発地Oに戻っていると判断することができるので、走行目的をひとまず達成したとみなして、走行経路を分割する。
(f)通過リンクから目的地Dへの直線距離又は最短経路距離sが連続して一定回数、長くなったこと(請求項6):
この場合は、車両が目的地から離れていると判断することができるので、走行目的をひとまず達成したとみなして、走行経路を分割する。
【0015】
(g)経路を走行した距離と、当該経路両端の直線距離又は最短経路距離との比又は差がしきい値以上になったこと(請求項7):
車両が迂回していると考えられるので、途中で走行の目的を一度は達成したと考え、走行経路を分割する。
なお、前記地上装置は、車載装置と通信する複数の路上通信装置と、各路上通信装置の情報を収集するセンター装置とを含み、前記位置情報把握手段は、車両の通過した路上通信装置の設置位置情報に基づき車両の位置を把握するものであり、前記走行経路特定手段は、当該車載装置と通信した路上通信装置が設置されている道路どうしを結ぶことにより、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定するものであってもよい(請求項8)。この構成は、路上通信装置を道路に設置して、路上通信装置により、車載装置の識別コードの情報を収集するという、本発明の実施態様に係るものである。
【0016】
前記走行経路特定手段は、当該車載装置と通信した路上通信装置が設置されている道路どうしを結ぶのに、当該路上通信装置が設置されている道路間の最適経路を算出してもよい(請求項9)。路上通信装置がすべての道路に設置されていない場合に、路上通信装置が設置されている道路同士の間の最適経路(最短距離経路、最短時間経路など)を算出して、その最適経路を車両の走行経路とする。
【0017】
また、前記位置情報把握手段は、車両の位置検出情報を車載装置から通信により取得することにより車両の位置を把握するものであってもよい(請求項10)。この構成は、車載装置の位置検出機能を利用して、車両の位置情報と、車載装置の識別コードの情報とを地上装置に収集する本発明の実施態様に係るものである。
(2)本発明のOD間走行経路決定方法は、請求項1に記載されたOD間走行経路決定装置と同一発明に係る方法である(請求項11)。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、路上ビーコンを利用して車載装置との通信をする本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
−路上ビーコン−
図1は、路上通信装置として機能する路上ビーコンBの設置図である。路上ビーコンBは、ポールの上部、道路を見下ろす位置に配置された投受光器B1と、ポール脇に設置された制御装置B2とを有している。制御装置B2は、後述するセンター装置Aと有線通信回線で接続されている。
【0019】
路上ビーコンBは、所定波長の光を使って車載装置Cと双方向通信をする路上通信機能、及び、短いパルスの光信号を道路に向かって照射して、その反射光により下を通る車両の通過を検知する車両感知機能を備えている。なお、路上ビーコンBの通信媒体は光に限られるものではなく、電波であってもよい。
図2は、路上通信機能に着目した場合の、路上ビーコンBからセンター装置Aにデータを送信する手順を説明するフローチャートである。
【0020】
路上ビーコンBは、車載装置Cからの情報を記憶装置B2に収集する(ステップS1)。車載装置Cから路上ビーコンBに収集されるデータとして、車両の識別コード、車種情報、前回通過したビーコンのコード、前回ビーコンを通過した時点からの走行時間などのデータがある。
前記識別コードは、車両、車載装置又は個人に固有のコードでもよい。また、路上ビーコンBが、特定のタイミングで乱数により発生させ割り当てたコードでもよく、通過車両に順番に割り当てた番号でもよい。
【0021】
一定の送信周期になれば(ステップS2)、センター装置Aにデータを送信する(ステップS3)。センター装置Aは、受信した情報を蓄積する(ステップS4)。
複数の路上ビーコンBから集められ、センター装置Aに蓄積された情報を一覧表にして、表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
―道路網―
図3は、路上ビーコン、カメラ等が設置された幹線道路(以下単に「道路」という)網のエリア地図である。
この地図では、道路は、縦横複数本描かれ、交差点が存在する。交差点間の道路を1リンク単位としてとらえ、上り下りのリンクL1〜LN(図3ではN=48)を構成している。リンク同士の十字接続点が交差点ノードN1,N2,‥‥,N9となっている。
【0024】
路上ビーコンは、各リンクから交差点に進入する位置に設置され、黒い▲印で表されている。なお、路上ビーコンは、図3では、各交差点に設置されたように描かれているが、実際には、設置されていない交差点も存在する。また、交差点に進入する位置以外にも設置されることがある。カメラは、一定範囲の道路を見下ろす形で随所に設置されている。
また、道路の途中から細街路がつながり、道路の途中に店舗や住宅の駐車場が存在している。この図3では、作図の都合上、一部の道路のみに細街路や駐車場を描いているが、実際には、ほとんどの道路に細街路がつながり、駐車場が存在している。
【0025】
―センター装置―
図4は、センター装置A内の機能ブロック図である。センター装置Aは、路上ビーコンBとの間の送受信信号を変換する入力変換部1、カメラの画像信号を変換する入力変換部2、路上ビーコンBの車両感知信号に基づいて、地点交通量(地点を通過する単位時間当たりの車両台数)を算出する交通量計測部3、路上ビーコンBの送受信信号やカメラの画像信号に基づいて、車両の識別コード、通過時刻、車種、前回通過したビーコンのコード、前回ビーコンを通過した時点からの走行時間のデータを取得しメモリに蓄積するデータ集計部4、データ集計部4のメモリに蓄積されたデータを取り出して、そのデータに基づいてOD間走行経路を求めるOD走行経路演算部5、OD間走行経路を統計的に処理することによりOD交通量(Q1)を算出するとともに、交通量計測部3により算出された地点交通量に基づいてOD交通量(Q2)を算出し、両OD交通量(Q1,Q2)に基づいて、最終的なOD交通量(Q)を推定するOD交通量推定部6を備えている。図4の円筒形は、それぞれの部位に所属するメモリを示している。
【0026】
センター装置Aは、コンピュータ、メモリ、入出力装置等を備え、前記交通量計測部3、データ集計部4、OD走行経路演算部5、OD交通量推定部6で行う各処理機能の全部又は一部は、前記メモリに記録されたプログラムをコンピュータが実行することにより実現される。
以下、交通量計測部3、OD走行経路演算部5、OD交通量推定部6で行う各処理を、必要ならばフローチャートを用いて順に説明する。
【0027】
−交通量計測−
交通量計測部3は、入力変換部1から得られる、路上ビーコンBの感知信号に基づいて地点交通量(単位時間(例えば5分間)あたりの車両の通過台数)を算出する。路上ビーコンBはリンクごとに設置されているので、地点交通量もリンクごとに求められる。したがって、以下「リンク地点交通量」という。
さらに交通量計測部3は、占有時間O(単位時間(例えば5分間)内に、各車両kが車両感知器を横切った時間tkの総和Σtk)を検知する。
【0028】
また、交通量計測部3は、次のようにしてリンク旅行時間を計測する。
地点交通量計測値q、占有時間O、及び平均車長(一定値とする)Iを用いて、式V=I・q/Oにより車両の平均速度Vを計算し、これとリンクの長さLを用いて、式T=L/Vによりリンク旅行時間Tを計算する。
また、カメラの計測画像から車両のプレートナンバーをマッチングして車両を同定し、同一車両がリンクの端を通過した時刻とリンクの他の端を通過した時刻とから、リンクを走行するのに要した時間T′を求める。単位時間に通過した車両が複数であれば、各車両のリンク旅行時間T′の平均をとる。
【0029】
そして、以上のようにして求めたリンク旅行時間T若しくはリンク旅行時間T′のいずれか、またはこれらの重み付き平均をとって、リンク旅行時間とする。なお、旅行時間の計測誤差を吸収するためにフィルター値を用いてもよい。また曜日、時間帯、天候等によってばらつきがあるので、過去の統計的な値を加味してもよい。
−OD走行経路演算−
図5〜図7は、OD走行経路演算部5の行うOD走行経路演算処理を説明するためのフローチャートである。
【0030】
まず、図5を参照して、データ集計部4のメモリに蓄積された所定日数分の車両の識別コード、通過時刻、車種、前回通過したビーコンのコード、前回ビーコンを通過した時点からの走行時間のデータ(表1)を取得する(ステップT1)。そして、このデータを識別コードごとにソートして、メモリに記憶する(ステップT2)。この情報を「基本情報」という。表2は、基本情報の一覧表である。表2によれば、例えば、識別コード“1357”の車載装置の情報が、ひとかたまりにまとめられている。
【0031】
【表2】
【0032】
次に、図6を参照して、基本情報から同一車両識別コードのデータを取り出す(ステップT3)。この同一車両識別コードのデータに基づいて、通過ビーコン順に並べ替える(ステップT5)。これにより、通過したビーコンを通過順に特定できる。また、通過ビーコン間の走行時間を算出することができる。また、最も早く通過し「前回通過したビーコンなし」のフラグが付されている路上ビーコンが車両の発生地点(O)を表し、最新の時点に通過した路上ビーコンが車両の消滅地点(D)を表す。
【0033】
次に、通過ビーコン間の走行経路を求める(ステップT7)。路上ビーコンBは、通常、図3に示すように、交差点ごとに設置されているので、通過ビーコン間の走行経路とは、交差点間を結ぶ道路となる。しかし、路上ビーコンBが交差点ごとに設置されていない場合は、走行経路が一意的に定まらないので、公知のダイクストラ法、ポテンシャル法等に基づいて通過ビーコン間の最適経路を算出する(例えば特開平7−244798号公報参照)。最適経路を算出するには、リンク旅行時間又はリンク距離のいずれをベースとしてもよい。
【0034】
実際に車両が算出された最適経路を走行したかどうか100%確定できないが、最適経路を走行した可能性がもっとも高いので、車両は最適経路を走行したものとみなし、これを走行経路とする。
次に、本発明に関連する、走行経路の分割方法を説明する。
図7を参照して、走行経路におけるリンク走行速度を算出する(ステップT8)。この走行速度は、リンク走行距離をリンク走行時間で割ることにより、算出することができる。
【0035】
さらに、連続する一定数の走行リンク間の角度差を算出する(ステップT9)。「一定数」は正の整数であればよい。2でもよく、3,4などの数でもよい。
図9は、走行リンク間の角度差を説明するための道路地図である。
図9(a)では、車両の走行経路がリンクLa,Lb,Lc,Ldを通る場合を示している。隣り合うリンクLc,Ldの角度差がほぼ180度となっている。
図9(b)は、車両の走行経路を構成するリンクLa,Lb,Lc,Ld,Leのうち、リンクLb,Lc間の角度が90度、リンクLc,Ld間の角度が90度であるが、リンクLb,Ld間の角度が180度である場合を示している。この図9(b)の場合は、1つ飛ばしたリンク間の角度差がほぼ180度となっている。
【0036】
前記「一定数」を2とすれば、図9(a)のような転回する場合に、走行経路が分割される。「一定数」を3とすれば、図9(b)のようなコの字形の方向転換をした場合でも、走行経路が分割される。「一定数」を大きくとればとるほど、緩やかな方向転換をした場合でも、走行経路が分割されるようになる。
ステップT10では、走行経路を分割すべきかどうか判定する。
この判定基準の1つとして、当該車両がリンクを走行した速度が、当該リンクの当該時間帯の標準的な走行速度(例えば前述したように、交通量計測部3において算出したリンク旅行時間を用いて算出した走行速度)に比べて、一定の割合を下回っているときに、走行経路を分割すると判断する。例えば、当該車両のリンク走行速度が1km/hであるのに、当該リンクの当該時間帯の走行速度が50km/hであれば、当該車両は、何らかの要因により、駐停車していたと判断することができるので、走行経路を分割する。前記「一定の割合」は、経験上定められる数値であり、例えば0.1とか0.2とかいう値に設定される。
【0037】
なお、車両がリンクを走行した時間が、当該リンクの当該時間帯の標準的な走行時間と比べて、一定の倍数以上あるときに、走行経路を分割してもよい。リンクの距離は既知なので、走行速度と走行時間は1対1に対応がつく。
当該車両のリンク走行速度がしきい値未満であるときに、車両が駐停車していたとみなして、走行経路を分割することも考えられる。しきい値は、経験上定められる数値であり、例えば0.5km/hに定められる。
【0038】
また、他の判断基準として、すでに図9を用いて説明したように、走行リンク間の角度差がしきい値(例えば150度)を超えているときに、走行経路を分割する。
これ以外に、次のような判断基準も考えられる。図10(a)に示すように、出発地Oからの直線距離又は最短経路距離sが連続して一定回数、短くなった場合に経路を分割する。また図10(b)に示すように、目的地Dへの直線距離又は最短経路距離sが連続して一定回数、長くなった場合に経路を分割する。さらに、図10(c)に示すように、連続する一定数のリンクを走行した距離と、直線距離又は最短経路距離sとの比又は差がしきい値以上になった場合に、経路を分割する。
【0039】
走行経路を分割すれば、分割後の走行経路をOD間走行経路情報として記録する(ステップT12.T13)。具体的には、車両識別コードに添え字を追加するなどして、分割した走行経路であることが分かるようにする。そして分割されて最初に路上ビーコンとやりとりしたデータの中の「前回通過したビーコンのコード」「前回ビーコンを通過した時点からの走行時間」を“なし”と書き換える。これで、新たな車両の発生が記録されたことになる。
【0040】
分割しない場合は、走行経路をそのままOD間走行経路情報として記録する(ステップT13)。
−OD交通量演算−
車載装置Cを搭載する各車両に対して、以上のOD間走行経路を求めれば、OD交通量の推定処理に進む(図8参照)。
まず、以上のようにして求められた各車両のOD間走行経路を、地域別、時間帯別に分類し、各地域ごと、時間帯ごとに、各車両のOD間走行経路に基づいてOD交通量Q1を算出する(ステップT14)。この場合、車載装置Cを搭載する車両と搭載しない車両との双方、すなわち全車両についてのOD交通量を推定する必要があるので、車載装置Cを搭載する車両のOD交通量に、車載装置Cを搭載する車両と全車両との比率の逆数をかけて、全車両のOD交通量を求める。
【0041】
次に、路上ビーコンBの車両感知信号に基づいて交通量計測部3によって求められたリンク 地点交通量を用いて、OD交通量Q2を算出する(ステップT15)(同じ出願人の特許出願,特願平2000−233430号)。
そして、OD交通量Q1,Q2の重み付き平均をとることにより、尤度の高いOD交通量Qを推定することができる(ステップT16)。
以上のOD交通量Qを用いれば、リンクごとに、各時刻の交通量を予測することができ、交通量予測や交通量制御に役立てることができる。
【0042】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、車載装置にGPS(Global Positioning System)などの車両位置検出機能を持たせ、車載装置から、識別コードと車両検出位置の情報を地上装置に取り込み、地上装置において、前述したセンター装置Aと同様の構成を備えることにより、各車両のOD間走行経路を求めることも可能である。この場合、車載装置と地上装置との通信は、携帯電話、自動車電話、あるいは専用回線を用いて定期的にもしくは不定期に行うこととすればよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明のOD間走行経路決定装置又は方法によれば、OD間走行経路を良好な精度で求めることができる。したがって、OD間走行経路に基づいて精度よくOD交通量を推定することができ、交通量予測や交通量制御に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】路上ビーコンBの配置図である。
【図2】路上ビーコンBからセンター装置にデータを送信する手順を説明するフローチャートである。
【図3】路上ビーコンB、カメラ等が設置された道路網のエリア地図である。
【図4】センター装置の機能ブロック図である。
【図5】OD走行経路演算部5の行うOD走行経路演算処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】OD走行経路演算部5の行うOD走行経路演算処理を説明するためのフローチャートである(図5の続き)。
【図7】OD走行経路演算部5の行うOD走行経路演算処理を説明するためのフローチャートである(図6の続き)。
【図8】OD交通量の算出処理を説明するためのフローチャートである(図7の続き)。
【図9】走行リンク間の角度差により、走行経路を分割する判断基準を説明するための道路地図である。
【図10】走行リンクの距離により、走行経路を分割する判断基準を説明するための道路地図である。
【符号の説明】
1 入力変換部
2 入力変換部
3 交通量計測部
4 データ集計部
5 OD走行経路演算部
6 OD交通量推定部
A センター装置
B 路上ビーコン
B1 投受光器
B2 制御装置
C 車載装置
Claims (11)
- 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行速度が、標準的な走行速度と比べて、一定の割合を下回っていること又は一定以上の差で下回っていることであるOD間走行経路決定装置。 - 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行速度が経験上定めたしきい値未満であることであるOD間走行経路決定装置。 - 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割す る走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行時間が、標準的な走行時間に比べて、一定の割合を上回っていること、又は一定以上の差で上回っていることであるOD間走行経路決定装置。 - 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、走行経路を構成する隣接する2本のリンクの角度差がしきい値を超えていることであるOD間走行経路決定装置。 - 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、出発地Oからの通過リンクまでの直線距離又は最短経路距離が連続して一定回数、短くなったことであるOD間走行経路決定装置。 - 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段 により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、通過リンクから目的地Dへの直線距離又は最短経路距離が連続して一定回数、長くなったことであるOD間走行経路決定装置。 - 車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定装置であって、
前記地上装置は、
車両の位置を把握する位置情報把握手段と、
車載装置の識別コードの情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段により収集された車載装置の識別コードの情報及び位置情報把握手段により把握された車両の位置情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定する走行経路特定手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路が一定の分割基準を満たしているかどうかを判断する分割判断手段と、
分割判断手段により前記一定の分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割する走行経路分割手段と、
走行経路特定手段により特定された走行経路、及び走行経路分割手段により分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定するOD間走行経路決定手段とを有し、
前記一定の分割基準は、経路を走行した距離と、当該経路両端の直線距離又は最短経路距離との比又は差がしきい値以上になったことであるOD間走行経路決定装置。 - 前記地上装置は、車載装置と通信するための複数の路上通信装置と、各路上通信装置の情報を収集するセンター装置とを含み、
前記位置情報把握手段は、車両の通過した路上通信装置の設置位置情報に基づき車両の位置を把握するものであり、
前記走行経路特定手段は、当該車載装置と通信した路上通信装置が設置されている道路どうしを結ぶことにより、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のOD間走行経路決定装置。 - 前記走行経路特定手段は、当該車載装置と通信した路上通信装置が設置されている道路どうしを結ぶのに、当該路上通信装置が設置されている道路間の最適経路を算出するものである請求項8記載のOD間走行経路決定装置。
- 前記位置情報把握手段は、車両の位置検出情報を車載装置から通信により取得することにより車両の位置を把握するものである請求項1から請求項7のいずれかに記載のOD間走行経路決定装置。
- 識別コードを送信する車載装置と地上装置との間の通信に基づいて、当該車両のOD間走行経路を求めるためのOD間走行経路決定方法であって、
前記地上装置は、車載装置の送信する識別コードを受信するとともに、車両の位置を把握し、
この受信された車載装置の識別コード及び把握された車両位置の情報に基づいて、当該車載装置を搭載した車両の走行経路を特定し、
特定された走行経路が、
(1) 走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行速度が、標準的な走行速度と比べて、一定の割合を下回っていること又は一定以上の差で下回っていること、
(2) 走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行速度が経験上定めたしきい値未満であること、
(3) 走行経路を構成するいずれかのリンクにおける当該車両の走行時間が、標準的な走行時間に比べて、一定の割合を上回っていること、又は一定以上の差で上回っていること、
(4) 走行経路を構成する隣接する2本のリンクの角度差がしきい値を超えていること、
(5) 出発地Oからの通過リンクまでの直線距離又は最短経路距離が連続して一定回数、短くなったこと、
(6) 通過リンクから目的地Dへの直線距離又は最短経路距離sが連続して一定回数、長くなったこと、
(7) 経路を走行した距離と、当該経路両端の直線距離又は最短経路距離との比又は差がしきい値以上になったこと、
のうちいずれか1つの分割基準を満たしているかどうかを判断し、
前記分割基準を満たしていると判断された走行経路を分割し、
前記特定された走行経路、及び分割された走行経路がある場合は、その分割された走行経路に基づいて、OD間走行経路を決定することを特徴とするOD間走行経路決定方法。
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