JP3780735B2 - インクジェットプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク吐出ノズル等の孔が低コストで且つ所望の形状に高精度に形成されたオリフィス板を備えるインクジェットプリンタヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンタが使用されている。このインクジェットプリンタにおける印字方法は、インクジェットプリンタヘッドのインク吐出ノズルからインクの液滴を吐出させ、このインク滴を紙、布などの被記録材に吸収させて文字や画像等の印字(印刷)を行なうものである。この印字方式は、騒音の発生が少なく、特別な定着処理を要することもなく、しかも高速印字が行えて且つフルカラー印刷も可能な印字方法である。
【0003】
フルカラー印字の場合は、通常、減法混色の三原色であるイエロー(黄色)、マゼンタ(赤色染料名)及びシアン(緑味のある青色)の3色のインクに、文字や画像の黒色部分等に用いられるブラック(黒)を加えた4色のインクを用いて印字する。すなわち、印字ヘッドに各色専用のノズル列を配設し、これらのノズル列からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクを、各々の色の吐出量を制御しながら吐出し、例えば被記録材の1画素に各々のインクを混合吸収させてフルカラーの印字を行う。
【0004】
上記のノズルからインクの液滴を吐出させる方法としては、ピエゾ素子などの電気機械変換素子を用いて、微細に形成されたインク溜り房に機械的変形による圧力を生じさせ、この瞬撥的な圧力により微小ノズルから液滴を吐出させる方法と、微細なインク溜り房に抵抗発熱素子を配して、これに電気パルスを与え、高速でインクを加熱発泡させ、その気泡の成長力を利用して吐出させる方法などがある。
【0005】
図4(a) は、上記のようなインクジェットプリンタヘッド(以下、単に印字ヘッドという)のインク吐出面を模式的に示す平面図であり、同図(b) は、この印字ヘッドが製造されるシリコンウエハを示す図である。同図(a) に示すように、印字ヘッド1は、チップ基板2の最上層に積層されたオリフィス板3に、多数のインク吐出ノズル(以下、単にノズル又はオリフィスという)4が1列に形成され、全体でそのようなノズル列5が4列形成されている。
【0006】
チップ基板2のオリフィス板3が積層されていない上部表層面には後述する発熱抵抗体への共通電極給電端子6や駆動回路へ給電する駆動回路端子7が配設されている。このような印字ヘッド1は、同図(b) に示すように、少なくとも4インチ以上のシリコンウエハ8上に多数区画されたチップ基板2上に、LSI形成技術と薄膜形成技術を用いて一括して形成される。尚、同図(a) には36個のオリフィス4を示しているが、実際には64個、128個又は256個のインク吐出ノズルが一列に形成されているものである。
【0007】
図5(a),(b),(c) は、上記の印字ヘッド1の製造方法を工程順に示す図であり、それぞれ一連の工程において図4(b) に示すシリコンウエハ8のチップ基板2上に形成されていく状態の平面図と断面図を模式的に示している。同図(a),(b),(c) は、上段に平面図を示し、中段は上段のB−B′断面矢視図(同図(a) 参照)、下段は上段のC−C′断面矢視図(同図(a) 参照)である。尚、同図(a),(b),(c) には、図示する上での便宜上、64個(又は128個又は256個)のオリフィス又は発熱素子を、5個のオリフィス又は発熱素子で代表させて示している。また、図5(c) の中段は、図4(a) のA−A′断面矢視拡大図でもある。
【0008】
図5(a),(b),(c) を用いて印字ヘッド1の製造方法について説明する。先ず、工程1として、シリコンウエハのチップ基板上にLSI形成処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ1〜2μmの酸化膜を形成し、次に、工程2として、薄膜形成技術を用いて、Ta(タンタル)−Si(シリコン)−O(酸素)からなる抵抗膜と、Ti/Wによる電極膜を形成し、ホトリソ技術によって電極膜には配線部分のパターンを形成し、抵抗膜には微細な発熱抵抗体(発熱素子)のパターンを形成する。この工程で発熱抵抗体の位置が決められる。
【0009】
図5(a)は、上記の工程1及び工程2が終了した直後の状態を示している。すなわち、チップ基板2上には共通電極11、共通電極給電端子6(図4(a)参照)、個別配線電極12、多数(図では上述したように5個示している)の発熱抵抗体13、駆動回路14、駆動回路電極パット15及び駆動回路端子7(図4(a)参照)が形成されている。
【0010】
続いて、工程3として、インクシール壁及び個々の発熱素子13に対応するインク溜り房を形成すべく感光性ポリイミドなどの有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高さ20μm程度に形成し、これをパターン化した後に、300℃〜400℃の熱を30分〜60分加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔壁をチップ基板上に形成・固着させる。更に、工程4として、ウェットエッチングまたはサンドブラスト法などにより上記チップ基板の面に溝状のインク供給溝を形成し、更にこのインク供給溝に連通しチップ基板の下面に開口するインク給送孔を形成する。
【0011】
図5(b) は、上述の工程3及び工程4が終了した直後の状態を示している。すなわち、細長いインク供給溝16及びインク給送孔17が形成され、インク供給溝16の左側に位置する共通電極11部分と、右方の個別配線電極12が配設されている部分、及び各発熱抵抗体13と発熱抵抗体13の間に、隔壁18(18、18−1、18−2)が形成されている。上記発熱抵抗体13近傍部分と駆動回路部分に積層される隔壁18は、個別配線電極12及び駆動回路14上の部分18−1を櫛の胴とすれば、各発熱抵抗体13間に伸び出す部分18−2は櫛の歯に相当する形状をなしている。これにより、この櫛の歯を仕切り壁として、その歯と歯の間の付け根部分に発熱抵抗体13が位置する微細な区画部がインク溜り房19として発熱抵抗体13の数だけ形成される。
【0012】
この後、工程5として、ポリイミドからなる厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、その片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例えば厚さ2〜5μmにコーテングし、上記積層構造の最上層に張り付けて、170〜300℃で加熱しながら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、Ni、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μm程度の金属膜を形成する。
【0013】
更に、工程6として、オリフィス板の上の金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチングするマスクを形成し、続いて、オリフィス板をRIEやヘリコン波などの異方性の強いドライエッチングなどにより上記の金属膜マスクに従って18μmφ〜17μmφの孔空けをして多数のノズルを一括形成する。また、上述した給電端子6や駆動回路端子7等の端子部分に対応するオリフィス板部分にも開口を設ける。尚、孔空けはエキシマレーザなどを用いて空けることも可能である。
【0014】
図5(c) 及び前述の図4(a) は、上述した工程5と工程6が終了した直後の状態を示している。すなわち、オリフィス板3が給電端子6及び7の部分を除く全領域を覆っており、隔壁18−2によって形成されているインク溜り房19が上を覆われて、インク供給溝16方向に向く開口部と上方に吐出孔(ノズル)4を個々に備えた隔壁18−2の厚さ(高さ)10μmに対応する高さの微細な区画部を形成している。そして、これらインク溜り房19の開口部とインク供給溝16とを連通させる高さ10μmのインク流路21が形成されている。
【0015】
これにより、1列に64個(又は128個又は256個)のノズル4の有するノズル列5を4列備えたマルチカラーの印字ヘッド1が多数シリコンウエハ8上に完成する。ここまでが、ウエハの状態で処理される。そして、最後に、工程7として、ダイシングソーなどを用いてシリコンウエハをカッテングして、チップ基板単位毎に個別に分割し、実装基板にダイスボンデングし、端子接続して、実用単位の印字ヘッドが完成する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように、先ずオリフィス板4をチップ基板2の最上層に張り付けて、その後で、下地のパターンつまり発熱抵抗体13の位置に合わせてノズル(オリフィス)4を加工することは、予めオリフィス4を加工したオリフィス板4を張り合わせるよりも、遥かに生産性の高い実用性のある方法であると考えられてきた。
【0017】
しかしながら、オリフィス板をチップ基板の最上層に貼り付けた後でノズルをヘリコン波ドライエッチング等の異方性が強いドライエッチングで一括して空ける揚合、ノズルの直下にある薄膜の発熱抵抗体にダメージを与えてしまうという不具合がしばしば発生して、シリコンウエハの歩留りが低下するという問題が発生する。
【0018】
また、ドライエッチングなどによる孔空け加工は残渣が残り易い。このような残渣があると、ノズルからのインクの吐出に悪影響を与え、また、電極端子部分のその後の接合性に悪影響を与えるという問題もあった。
【0019】
また、生産性が高く実用性があるとはいっても上記孔空け加工にドライエッチングを施す場合のヘリコン波エッチング装置やICPエッチング装置は、装置コストが高いために孔空け工程の加工費が高価になるという問題も有していた。
【0020】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、ノズル等の孔が所望の形状に低コストで且つ高精度に形成されたオリフィス板を備えるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を実現することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットプリントヘッドの製造方法は、基板上に複数の発熱素子と各該発熱素子に対応するインク流路を区画する隔壁とを形成する工程と、前記隔壁を介して前記基板上に積層するオリフィス板を形成しつつ該オリフィス板にインク吐出ノズルを穿設するオリフィス板形成工程と、を有し、
前記発熱素子および前記隔壁を形成する工程は、
駆動回路を形成した前記基板上に、前記駆動回路によって駆動されることによりインクの加熱発泡を行う前記発熱素子と、前記発熱素子に電気接続された共通電極と、個々の前記発熱素子に電気接続された個別配線電極及び駆動回路電極をパターンニングし、前記発熱素子および前記各電極の上に隔壁をパターンニングによって形成する工程と、
前記発熱素子へ共通にインクを供給するためのインク供給溝、および前記インク供給溝に外部からインクを給送するインク給送孔を形成する工程と、を含み、
前記オリフィス板形成工程は、
前記基板上の少なくとも前記隔壁を除く領域に前記電極層の下地膜を上面が隔壁上面と略同一高さとなるように形成する工程と、
前記下地膜および前記隔壁を介して前記基板上に上面が略平坦な電極層を積層する工程と、
前記電極層上面の少なくともインク吐出ノズルに対応する位置に選択的にメッキレジスト膜を形成する工程と、
前記電極層を電極として電気メッキを施し所定の厚さのメッキ層を前記電極層上に形成する工程と、
前記下地膜および前記メッキレジスト膜を除去する工程と、
前記電極層の前記インク吐出ノズルに対向する部分を除去してインク吐出ノズルを貫通させる工程と、を含んで構成される。
【0022】
上記電極層は、例えば請求項2記載のように、上記メッキ層と同一材料で形成されることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1(a),(b),(c),(d) は、一実施の形態におけるインクジェットプリントヘッドの製造方法の主要部の工程の前半部分を示す図である。
【0024】
図2(a),(b),(c),(d) は、上記の図1(d) に続くインクジェットプリントヘッドの製造方法の主要部の工程の後半部分を示す図である。これらの図1(a) 〜(d) 及び図2(a) 〜(d) を用いてインクジェットプリントヘッドの製造方法を以下に説明する。
【0025】
先ず、図1(a) は、図5(b) の中段に示した工程3及び工程4が終了した直後の状態を示しており、分かり易いように、図5(b) と同一の構成部分には図5(b) と同一の番号を付与して示している。すなわち、駆動回路14を形成したシリコンウエハのチップ基板2上に、インクの加熱発泡に必要な発熱抵抗体13と、この発熱抵抗体13に電気接続された共通電極11と個別配線電極12及び駆動回路電極パット15等をパターンニングし、これらの上に感光性ポリイミドなどの有機材料からなる隔壁18を同じくパターンニングによって形成してある。
【0026】
更に、上記各発熱抵抗体13へ共通にインクを供給するためのインク供給溝16と、このインク供給溝16に外部からインクを給送するインク給送孔17をサンドブラスト加工などによって作ってある。これはルーフシューティング型の印字ヘッドの製造中間体である。
【0027】
次に、このウエハの上全面に、図1(b) に示すように、ドライフィルムレジスト22を積層し、このドライフィルムレジスト22を、図1(c) に示すように、インク供給溝16部分から発熱抵抗体13部分までの隔壁18、18間、つまり隔壁18が設けられていない凹部、に残すように露光と現像を施してパターンニングする。この残ったレジストフィルム22は、後述するメッキ用電極を形成するための下地膜となる。
【0028】
そして、更にこのウエハの上の略面一に連なるレジストフィルム22と隔壁18の各上面の全面に、図1(d) に示すように、導電性部材からなるメッキ用電極としてのNiの薄膜23を積層する。このような薄膜の積層方法としては、スパッタリングや蒸着など種々の方法を用いて、およそ0.1〜1μmの厚さまで成膜することが可能である。
【0029】
また、導電性部材はNiに限らず、この後の工程で行う電気メッキ用の共通電極として機能し、電着させる電気メッキ層との密着性が良い部材であれば、他の金属や導電性材料を用いても良い。ここで、導電性薄膜と電気メッキ層との密着性の点を考えたとき、導電性薄膜と電気メッキ層とが同一材料であるほうが良いとは限らない。表面に酸化膜を形成し易いものではかえって密着性が損なわれる場合がある。また、異種金属でも金属間化合物を作り易いものなら良好な密着性が得られる。
【0030】
上記に続いて、Ni薄膜23の上全面にフォトレジスト材をスピンコートなどによって塗布し、図2(a) に示すように、そのフォトレジスト材24を、発熱抵抗体13の上と駆動回路の電極パット15の上の部分、つまり孔を必要とする部分に残るように、露光と現像を施してパターンニングする。
【0031】
次に、薄膜23を電極として電気メッキ法によりオリフィス板となるメッキ層23−2を形成する。電解液中において、電極となるNi薄膜23に電圧を印加し、図2(b) に示すように、Ni薄膜23に同じNiのメッキ層23−2を積層する。上述したように最初のNi薄膜23の厚さは、厚い場合でもおよそ1μm程度のものであるが、この電気メッキによって、その上に厚さが5μm〜50μmのメッキ層を積層することが出来る。この電気メッキでは、発熱抵抗体13に対向するノズルの孔になる部分と、駆動回路の電極の端子部になる電極パット15に対応する部分は、フォトレジスト24によって覆われているので、その部分にメッキが乗ることは無い。
【0032】
また、駆動回路14はポリイミドの隔壁18の層で保護されていて直接には電解液と接触しないので電気液に侵される虞は無い。また、他の構成部分が電気液の影響を受ける虞のある場合には、チップ基板2の裏面つまりウエハ裏面に保護フィルムを貼るとよい。
【0033】
この電気メッキで、図2(b) に示すように、メッキ層23−2を所定の厚さに成膜した後、不用になったフォトレジスト24と、ドライフィルムレジスト22を、図2(c) に示すように剥離して除去する。この剥離において、エッチング用のフォトレジスト24の剥離溶剤はジエチレングリコールエチルエーテル等の反応性の強い薬品を用いるから、これにより、レジストフィルム22のほうも簡単に剥離できる。したがって、エッチング用のフォトレジスト24とレジストフィルム22を同一工程で剥離できる。
【0034】
図2(c) に示される状態で、発熱抵抗体13に対向するノズルの孔25になる部分と、駆動回路の電極の開口部になる電極パット15の部分にNi薄膜23が残り、隔壁18の上及びインク供給溝16部分から発熱抵抗体13部分間の上方に、Ni薄膜23と電気メッキによるNiメッキ層23−2とが合体した厚さのNiオリフィス層23−3が形成されている。
【0035】
この後、ノズルの孔25部分と電極パット15部分に残っているNi薄膜23を、ライトエッチング(レジスト膜を設けずに短時間で行う簡易エッチング)を行って除去する。このライトエッチング時間は、エッチング対象であるNi薄膜23の厚さが0.2μmの場合では、0.2〜0.6μmの薄膜をエッチングする時間に設定して行う。その結果、エッチング対象ではないNiオリフィス層23−3表面もレジスト膜が設けられていないからエッチングされ、Niオリフィス層23−3が0.2μm〜0.6μmだけ薄くなる。
【0036】
この残っているNi薄膜は、薄膜が厚くても1μmの厚さまでしか無い薄い膜であるから、これを除去する程度の短時間のエッチングでは、ノズルの孔23の径に与える影響は無視できる程度のものであり実用面での問題は発生しない。
【0037】
これにより、図2(d) に示すように、チップ基板2の最上層に、同図(c) のNiオリフィス層23−3がNi薄膜23をエッチングした分だけ上方から薄くなったNiのオリフィス板26が形成され、このオリフィス板26の発熱抵抗体13に対向する部分にノズルの孔25が貫通して形成されると共に、電極パット15が外部に露出して配置されて、ルーフシューティング型の印字ヘッド27が完成する。
【0038】
尚、オリフィス板の材料としては、適用インクに対する耐性があればそれで十分であり、その点で上述したNiも良好な適応性を有している。また、オリフィス板はインクの吐出の際の切れを良くするための撥水性の加工ができるものであることが好ましく、この場合は撥水性のあるメッキ層、例えばNiのF含有複合メッキ層を上述した方法により形成するとよい。
【0039】
また、メッキ用電極としての導電性薄膜は、上記のようにNiを蒸着やスバッタリングによって積層することに限ることなく、他の導電性金属や合金を蒸着、スバッタリング、無電気メッキなどにより薄膜にして被着するようにしても良い。合金ではSn−Ni、Ni−Fe、Fe−Ni−Cr、Cu−Ni、Ni−Mn、Ni−Co等が好ましい。
【0040】
また、導電性薄膜は、薄膜形成処理による金属の成膜に限ることなく、黒鉛微粉、銀微粉、銅微粉、黄銅微粉、Al微粉などを、ドライフィルムのパターンニング後のチップ基板表面に直接塗付するようにしても形成可能である。
【0041】
また、1μmの厚さをエッチングする短時間のエッチングではノズルの孔23の径に与える影響は無視できると述べたが、ノズルの配置密度が細かくなってノズルの孔径が小さくなり、高い精度が要求されて、1μmの厚さのエッチングでもその影響を無視できないという場合は、図2(a) で行う発熱抵抗体13上に形成するフォトレジスト材24のパターンをエッチングされる分を見込んで小さ目に調整するとよい。
【0042】
また、導電性薄膜(Ni薄膜23)の一時的下地を作るために、図1(b) ではウエハの上全面にドライフィルムレジスト22を積層したが、この導電性薄膜のための一時的下地は、ドライフィルムレジストに限ることなく、液状のフォトレジストを用いることも可能である。
【0043】
図3は、液状のフォトレジストを用いる場合の製造工程図であり、上述した図1(b) に対応する工程を示している。同図に示すように、この場合は、ウエハ裏面(図ではチップ基板2の裏面)に保護フィルム28を貼り付ける。これによってインク給送孔17を塞いだ後に、液状フォトレジスト29をスピンコート法などによって塗布し、固化した後、ウエハ裏面に貼り付けておいた保護フィルム28を剥離する。その後、図1(c),(d) 及び図2(a) 〜(d) と同様に処理することができる。
【0044】
更に、上述の製造方法においては、メッキ用電極層の下地膜としてレジストフィルムやフォトレジストを配置したが、この下地膜を省略し、メッキ用電極層として金属箔等の金属フィルムプレートを隔壁を介して基板上に配置してメッキ用電極とし、上述の方法と同様に電気メッキを行うことによっても、上述の製造方法による場合と同等のオリフィス板を形成することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、発熱素子や隔壁を形成した基板上にオリフィス板を形成しつつインク吐出ノズル等の孔を穿設するので、インク吐出ノズルや配線電極接続用の孔等が所望の形状で高精度に且つ短時間で歩留り良く低コストで形成されたオリフィス板を備えたインクジェットプリンタヘッドの製造が可能となる。
【0046】
また、ドライエッチングによる場合のように残渣が残らないので、インク流路の障害や電極接続の障害等の不具合が発生せず、これにより、信頼性の高い高性能のインクジェットプリンタヘッドの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b),(c),(d) は一実施の形態におけるインクジェットプリントヘッドの製造方法の主要部の工程の前半部分を示す図である。
【図2】 (a),(b),(c),(d) はインクジェットプリントヘッドの製造方法の主要部の工程の後半部分を示す図である。
【図3】液状のフォトレジストを用いる場合の製造工程図である。
【図4】 (a) はインクジェットプリンタヘッドのインク吐出面を模式的に示す平面図、(b) は印字ヘッドが製造されるシリコンウエハを示す図である。
【図5】 (a),(b),(c) は従来のインクジェットプリンタヘッドの製造方法を工程順に示す平面図と断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタヘッド(印字ヘッド)
2 チップ基板
3 オリフィス板
4 インク吐出ノズル(ノズル、オリフィス)
5 ノズル列
6 共通電極給電端子
7 駆動回路端子
8 シリコンウエハ
11 共通電極
12 個別配線電極
13 発熱抵抗体
14 駆動回路
15 駆動回路の電極パット
16 インク供給溝
17 インク給送孔
18(18、18−1、18−2) 隔壁
19 インク溜り房
21 インク流路
22 ドライフィルムレジスト(下地膜)
23 Ni薄膜(導電体膜)
23−2 メッキ層
23−3 オリフィス層
24 フォトレジスト材
25 ノズルの孔
26 オリフィス板
27 ルーフシューティング型印字ヘッド
28 保護フィルム
29 液状フォトレジスト
Claims (2)
- 基板上に複数の発熱素子と各該発熱素子に対応するインク流路を区画する隔壁とを形成する工程と、前記隔壁を介して前記基板上に積層するオリフィス板を形成しつつ該オリフィス板にインク吐出ノズルを穿設するオリフィス板形成工程と、を有し、
前記発熱素子および前記隔壁を形成する工程は、
駆動回路を形成した前記基板上に、前記駆動回路によって駆動されることによりインクの加熱発泡を行う前記発熱素子と、前記発熱素子に電気接続された共通電極と、個々の前記発熱素子に電気接続された個別配線電極及び駆動回路電極をパターンニングし、前記発熱素子および前記各電極の上に隔壁をパターンニングによって形成する工程と、
前記発熱素子へ共通にインクを供給するためのインク供給溝、および前記インク供給溝に外部からインクを給送するインク給送孔を形成する工程と、を含み、
前記オリフィス板形成工程は、
前記基板上の少なくとも前記隔壁を除く領域に前記電極層の下地膜を上面が隔壁上面と略同一高さとなるように形成する工程と、
前記下地膜および前記隔壁を介して前記基板上に上面が略平坦な電極層を積層する工程と、
前記電極層上面の少なくともインク吐出ノズルに対応する位置に選択的にメッキレジスト膜を形成する工程と、
前記電極層を電極として電気メッキを施し所定の厚さのメッキ層を前記電極層上に形成する工程と、
前記下地膜および前記メッキレジスト膜を除去する工程と、
前記電極層の前記インク吐出ノズルに対向する部分を除去してインク吐出ノズルを貫通させる工程と、を含むことを特徴とするインクジェットプリントヘッドの製造方法。 - 前記電極層は、前記メッキ層と同一材料で形成されることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリントヘッドの製造方法。
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