JP3780470B2 - 複合偏心軸を芯合せする方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大径の円柱状部材と小径の円柱状部材とが平行に一体連設されてなる被加工物の大径部を、加工機械のドライブユニットの回転軸に対して同心に芯合せする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、本発明に係る芯合せ方法および芯合せ装置において取扱いの対象とされる偏心複合軸の例を示し、(A)は小径円柱状ジャーナルと大径偏心軸とが偏心量eで一体連設されたワークの斜視図、(B)は小径円注状ジャーナルと中径円柱状ジャーナルとが同心状に配列されるとともに、大径円柱状偏心軸が偏心量e′で一体連設されたワークの斜視図である。
これらの例のように小径円柱と大径円柱とが複合された偏心軸について、その大径の偏心軸の円柱面を機械加工しようとする場合、加工機のドライブユニットの回転軸(以下、紛らわしくない場合は単にドライブユニットと略称する)に対して偏心軸を芯合せし、かつ、チャックして固定しなければならない。
ところが、この場合、偏心軸の外周面に機械加工を施すのであるから、該偏心軸の外周を把持することは出来ない。
そこで、必然的にジャーナルを把持することによって、当該偏心複合軸をドライブユニットに対して芯合せすることになる。
偏心軸をドライブユニットに対して同心ならしめるので、ジャーナルはドライブユニットに対して当然に偏心している。
これらの状態を総合すると、「ジャーナルを、ドライブユニットに対して偏心させてチャックし、かつ、偏心軸をドライブユニットに対して芯合せする」といった複雑な操作を、高精度で実施しなければならない。
【0003】
図8は、偏心複合軸をドライブユニットに対して芯合せする従来技術を説明するために示したもので、(A)は芯合せ装置を模式的に描いた正面図、(B)は上記芯合せ装置によって偏心複合軸の偏心軸をドライブユニットに芯合せしている状態の模式図である。
(図8(A)参照)説明の便宜上、直交3軸X,Y,Zを想定し、ドライブユニットの中心線に対してZ軸を一致させる。この従来例においてはX軸は水平、Y軸は垂直である。
仮想線1a′のように、ジャーナルをZ軸と平行に、かつZ軸よりも寸法eだけ上方に位置せしめた状態を想定する。上記の寸法eとは、前掲の図7に示したように、偏心複合軸1を形成しているジャーナル1aと偏心軸1bとの偏心量である。
ジャーナルを着座させたとき上記の位置1a′となるように、V受座5が配置され、ドライブユニット3に対して固定されている。
1対の治具・甲4aと治具・乙4bとが設けられている。それぞれの治具は、Y−Z面と平行な位置決め面を形成されるとともに、それぞれの位置決め面を相互に対向せしめており、かつ、それぞれの治具は往復矢印a−b、同a′−b′のようにZ軸に対して接近・離間するよう、しかも、常に双方の位置決め面がZ軸に関して対称に位置するよう、(すなわち、等距離に位置するよう)連動せしめて駆動されるようになっている。
【0004】
前記V受座5の上にジャーナル1aを着座させて載置すると、偏心軸は仮想線で示した1b′付近に位置するが、ジャーナルの軸心Z″を中心として、往復円弧矢印c−c′のように揺動可能であって、その位置は固定されない。しかし、図7aに示した偏心量eと、図8(A)に示した偏心量eとが等しく設定されているので、偏心軸の中心線が円弧c−c′を描くとき、その軌跡はZ軸を通る。
そこで、図8(B)のように1対の治具・甲,乙4a,4bを矢印a,a′のように相互に接近せしめて偏心軸1bに当接せしめると、該偏心軸1bは1対の治具甲,乙に挟まれて、ドライブユニット3に芯合せされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
どのような位置決め、芯合せ技術においても、工業的採算ベースにおいて行なう限り、誤差を完全にゼロならしめることは至難である。
そして、図8(A),(B)に示した従来技術における芯合せは、比較的誤差が大きい。
工作機械のドライブユニットに対する芯合せ精度が低いと、必然的に機械加工精度が低下する。
図8の芯合せにおいて誤差が混入する原因は単純ではないが、このように1対の治具でワークを挟みつけて所定の位置へ強制的に移動させようとすると、ワーク(偏心複合軸)の慣性や、V受座面の摩擦や、1対の治具の連動精度などが影響してきて、1対の治具・甲,乙の片方と偏心軸1bとの間に0.01ミリメートルの間隙を残して位置決め(芯合せ)されてしまうことも珍しくない。
本発明は上述の事情に鑑みて為されたものであって、複合偏心軸の偏心軸部分をドライブユニットに対して迅速,容易、かつ高精度で芯合せすることのできる技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために創作した本発明の基本的原理について、その実施形態に対応する図1を参照して略述すると次の如くである。すなわち、「ジャーナル1aに対して偏心軸1bを偏心量eで一体に連設された偏心複合軸1」の偏心軸1bを、ドライブユニット3の中心軸Zに対して高精度で芯合せするため、(A)図に示すごとく、「ジャーナル1aを着座させたとき、該ジャーナル1aがZ軸に対して寸法eだけ偏心せしめるV受座5」を、ドライブユニットの回転軸に固定し、(B)図のように偏心軸1bをZ軸に接近させる方向に回動しつつ、1対の探触子・上6uと探触子・下6dとによって偏心軸1bをY軸方向に挟みつけ、(C)図のように芯合せ状態になったとき、偏心複合軸1の回動を停止して、ジャーナル1aをV受座5に対して押圧固定する。
【0007】
以上に説明した原理に基づいて請求項1に係る発明方法の構成は、小径の円柱状のジャーナルの中心線と、大径の円柱状の偏心軸の中心線とを、間隔寸法eで平行に配置されて成る偏心複合軸について、
上記大径の偏心軸の軸心をドライブユニットの回転中心線に対して芯合せする方法において、
前記ドライブユニットの回転中心線をZ軸とする直交座標値X,Y,Zを想定し、
上記ドライブユニットの回転軸に対してV受座を固定するとともに、
該V受座に前記のジャーナルを載置したとき、ジャーナルの中心線がZ軸に対して寸法eだけ偏心して平行となるように、前記V受座の位置および姿勢を設定することにより、「前記偏心複合軸のジャーナルをV受座に着座せしめた状態で、ジャーナルを中心として偏心複合軸を回動せしめたとき、偏心軸の中心線上の点が、X−Y平面上において円弧を描いて、Z軸と交わる状態」ならしめ、
上記偏心複合軸の回転位相を「偏心軸の中心線がZ軸に一致する角位置」から角θだけずらした状態で、そのジャーナルをV受座に載置し、
上記ジャーナルがV受座に着座した状態を保持しつつ、上記の角θを減少せしめる方向に偏心軸をジャーナルの周りに回動せしめ、
該偏心軸の軸心がZ軸を通過しようとするとき、該偏心軸の位置を接触形の位置センサ、もしくは非接触式の位置センサによって検知し、
前記の角θがゼロになって、偏心軸の中心線がZ軸と一致した瞬間に、偏心軸の回動を停止せしめることを特徴とする。
以上に説明した請求項1の発明方法によると、偏心複合軸をジャーナルの周りに回動せしめる操作と、該偏心複合軸の偏心軸の回動角位置を検出する操作と、該偏心軸がZ軸と一致したとき回動を停止せしめる操作とが、互いに独立していて、しかも協働することによって偏心軸の中心線がZ軸と一致した瞬間に、その位置が固定されるので、技術的に格別な困難を伴うこと無く、簡単な手順によって、高精度の芯合せが行なわれる。
従来技術においては「偏心複合軸をジャーナルの周りに回動させること」について明確な配慮が無く、「ジャーナルをV受座に支承されて揺動可能な状態」の偏心軸を両側から挟みつけて中立位置まで回動させていたため、
一つには、偏心複合軸の回転中心が確保されておらず、
一つには、偏心複合軸を回動させる駆動部材と、偏心軸の位置決め治具とが兼用されていて、位置決め用の治具が偏心複合軸の慣性力に拮抗しなければならない、といった不利な技術的条件が重なって、高精度の芯合せが出来なかったのに比して、
本請求項の発明においては、位置センサは偏心軸の位置を検出するだけの役目を受け持っていて、偏心軸を押し動かしたり、動いている偏心軸を押し止めたりする必要が無いので、容易に、かつ正確に偏心軸の位置を検知し、その中心線がZ軸と一致した瞬間に信号を出すことができる。
【0008】
請求項2に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記の値θを90度とし、X軸を水平に設定して、
ドライブユニットの回転軸の回動角位置を制御して「V受座に着座したジャーナルの中心線がZ−X面上に位置する状態」ならしめておき、
前記の偏心複合軸を、「ジャーナルの中心線と偏心軸の中心線とを含む面が、Y−Z面と平行で、かつ、偏心軸がジャーナルの下方に位置する姿勢」ならしめて、ジャーナルをV受座上に載置して着座せしめた後、着座状態を保ちつつ、
該偏心複合軸を、「偏心軸がジャーナルと等高に揃う方向」に、90度回動せしめ、
上記偏心軸がジャーナルと等高に揃いつつある時、該偏心軸の上,下を、1対の探触子で挟みつけることによって、偏心軸の中心線位置を検知することを特徴とする。
以上に説明した請求項2の発明を適用して前記請求項1の発明方法を実施すると、芯合せ作業の対象物である偏心複合軸に加わる重力荷重を合理的に利用して、安定した状態で芯合せ作業を遂行することができ、その結果、請求項1の発明方法をいっそう容易に、かつ、高精度で実施することができる。すなわち、
偏心軸がジャーナルの垂直下方に位置する状態で、該ジャーナルをV受座の上に載置する。この状態で、偏心複合軸を形成しているジャーナルと偏心軸との総合重心は、ジャーナル中心線の垂直下方に位置している。このため、V受座が受ける重力荷重は垂直下方を向いているので、V受座に支えられて振子状に揺動させようとする力が働かない。その結果、V受座は偏荷重や回転摩擦をうけることなくジャーナルを着座せしめて、高精度でジャーナルを所定の位置に保持する。
このV受座は、芯合せ操作の途中では偏荷重も回転摩擦も受けるが、芯合せ作業の初期条件としてジャーナルを高精度で着座させることは、芯合せ結果の精度をいっそう高めるという重要な効果を奏する。
【0009】
請求項3に係る発明方法の構成は、前記請求項1もしくは請求項2の発明方法の構成条件に加えて、前記接触形の位置センサとして、1対の探触子を有するインプロセスゲージを用い、
上記1対の探触子のそれぞれに、「Y軸と交わり、X−Z面に平行なゲージ接触面」を設けておき、
上記1対の接触子それぞれのゲージ接触面によって偏心軸をY軸方向に挟みつけて、該偏心軸の円柱面の中でY座標値が最大の箇所の座標値+yと、最小の箇所の座標値−yとを検出し、
上記の検出値+yと−yとの絶対値が等しくなった瞬間に、偏心軸の中心線がZ軸に一致したものと判定して、偏心複合軸の回動を停止せしめることを特徴とする。
以上に説明した請求項3の発明方法によると、原理的に正確に偏心軸の中心線位置(具体的には、偏心軸の中心線のY座標値)を検出することができる。
この方法においては、1対の探触子それぞれのゲージ接触面をX−Z面に平行ならしめるので、実際に本請求項の発明方法を実施する際は、ゲージ接触面を常にX−Z面と平行な姿勢に保つよう、平行移動させねばならないという技術的な困難を有している。その代り、このゲージ接触面は「面」であって「点」ではない。そして、この接触面のY軸方向移動に際しては、Y軸を交れば足り、必ずしもY軸方向に移動しなくても良いから、該ゲージ接触面を偏心軸の移動に随伴せしめることが容易である。すなわち、探触子のゲージ面部分の案内の直線度の良否が測定精度に影響を及ぼすことが無い。
本発明において偏心複合軸を回転させる場合、その偏心軸の中心線は常にZ軸と平行であるから、「X−Z面に平行なゲージ接触面」は偏心軸に対して線接触する(接触線はZ軸と平行)。これにより、前記の座標値+y,−yが正確に、かつリアルタイムに計測され、高精度の芯合せを支援する。
【0010】
請求項4に係る発明方法の構成は、前記請求項1もしくは請求項2の発明方法の構成要件に加えて、前記接触形の位置センサとして、「Z軸に平行な枢支軸によって、外パス状に枢支された1対の探触子フィンガ」を有するインプロセスゲージを用いるとともに、
上記1対の探触子フィンガの先端に、内側に向けて膨出する凸球面、もしくは凸球面に類似する凸面を形成しておき、
上記1対の探触子フィンガが、前記枢支軸を中心として、常にX軸に関して対称に対向するように該探触子フィンガの開閉回動を連動せしめ、
上記1対の探触子フィンガのそれぞれに設けられた2個の凸球面もしくは凸面の2個が両方とも同時に偏心軸の円柱面に接触した瞬間に、該偏心軸の中心線がZ軸に一致したものと判定して、偏心複合軸の回転を停止せしめることを特徴とする。
以上に説明した請求項4の発明方法によると、簡単なインプロセスゲージを用いて、実用上充分な精度で「偏心軸の中心線がZ軸に一致した瞬間」を検知して芯合せすることができる。
本発明方法においては、回動しつつある偏心軸の中心線の位置を継続的に計測しなければならない。
静止している偏心軸の中心線位置を計測することに比して、移動しつつある偏心軸の中心線位置を継続的に計測することは格段に難しい。
外パス状に枢支された2本の探触個フィンガの自由端付近で偏心軸を挟みつけた場合、その枢支軸を偏心軸に随伴せしめて移動させれば、偏心軸と探触子フィンガとは相対的に静止状態を保つので計測し易いが、探触子フィンガの枢支軸が偏心軸に対して常に同一の位置関係を保つように従動せしめるのは容易なことではない。
こうした観点において本請求項の発明方法によると、1対の探触子フィンガの枢支軸を静止させておいて(X,Y,Z座標系に関して静止させておく意)、偏心軸の中心線がZ軸と一致したことを正確に検知することができる。
【0011】
請求項5に係る発明方法の構成は、前記請求項1もしくは請求項2の発明方法の構成条件に加えて、1対の探触子フィンガを「X軸と交わり、Z軸と平行な枢支軸」により外パス状に枢支し、かつ該1対の探触子フィンガをX軸に近づける方向に弾性的な力を付勢し、
偏心軸がジャーナルの周りに回動して、その中心線がX軸を通過しようとするとき、前記1対の探触子フィンガの先端部で該偏心軸を挟みつける形に接触せしめるとともに、該1対の探触子フィンガのそれぞれがX軸となす角を継続的に計測して、
「双方のフィンガの、X軸に対してなす角」が等しくなった時、前記偏心軸の中心線がZ軸に一致したものと判定して、偏心複合軸の回動を停止せしめることを特徴とする。
以上に説明した請求項5の発明方法によると、簡単なインプロセスゲージを用いて、実用上充分な精度で「偏心軸の中心線がZ軸に一致した瞬間」を検知して芯合せすることができる。
本発明方法においては、回動しつつある偏心軸の中心線の位置を継続的に計測しなければならない。
静止している偏心軸の中心線位置を計測することに比して、移動しつつある偏心軸の中心線位置を継続的に計測することは格段に難しい。
外パス状に枢支された2本の探触子フィンガの自由端付近で偏心軸を挟みつけた場合、その枢支軸を偏心軸に随伴せしめて移動させれば、偏心軸と探触子フィンガとは相対的に静止状態を保つので計測し易いが、探触子フィンガの枢支軸が偏心軸に対して常に同一の位置関係を保つように従動せしめるのは容易なことではない。
こうした観点において本請求項の発明方法によると、1対の探触子フィンガの枢支軸を静止させておいて(X,Y,Z座標系に関して静止させておく意)、偏心軸の中心線がZ軸と一致したことを正確に検知することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の1実施形態を示し、(A)は第1の工程を描いた模式的な端面図、(B)は第2の工程を描いた模式的な端面図、(C)は芯合せを完了した状態の模式的な端面図である。
直交3軸X,Y,Zを想定する。本実施形態においてX軸は水平軸,Y軸は垂直軸、Z軸は水平軸である。本発明を実施する際、X軸,Y軸は必ずとも水平,垂直でなくても良いが、水平,垂直にすることが望ましい。
Z軸は、ドライブユニット3の回転軸の回転中心線に一致せしめる。従って、使用されるドライブユニットの型式によってZ軸が決定されるが、なるべく水平であることが望ましく、大きく傾斜していると技術的な困難を伴う。
偏心複合軸1は、先に図7(A)に斜視図を示したようなを、芯合せ作業の対象とされる部材であって、小径円柱状のジャーナル1aに対して、偏心軸1bは寸法eだけ偏心して平行に一体連設されている。
本実施例は、該偏心軸1bの中心線z′を、ドライブユニット3の中心軸であるZ軸に芯合せしようとするものである。
【0019】
図示のy1−y1′は補助座標軸であって、Y軸と平行に、eだけ離間しX軸と交わっている。すなわち、Y=eなる直線である。
【0020】
ドライブユニットの回転軸(略称:ドライブユニット)3に対して、V受座5が固定的に設置される。このV受座は、V受け、もしくはVブロックとも呼ばれる公知の部材であり、その稜線をZ軸と平行に設置されている。
さらに、該V受座5の上にジャーナル1aを置いて着座(平行な2線で線接触させる意)せしめたとき、該ジャーナル1aの中心線z″が、X軸と交わり、かつ補助座標値y1と交わるように、上記V受座5の位置と姿勢とが設定される。
これにより、ジャーナル1aをV受座5に着座せしめた状態を保って偏心複合軸1を回動させると、偏心軸1bの中心点z′は、ジャーナル1aの中心線z″周りに、「X−Y面に平行な平面」上で円弧を描き、Z軸を通る。この瞬間、偏心軸1bの中心軸z′と一致する。すなわち、目的とする芯合せ状態を現出する。
本実施形態は、次に述べるようにして上記の芯合せ状態を求める。
【0021】
第1の工程においては、本図1(A)に示すように、ジャーナル1aの中心点z″から見たとき、偏心軸1bの中心点z′が、X軸に対して角θを為しているように(すなわち、芯合せ状態から角θだけずれているように)、偏心複合軸1を仮置きする。本実施形態においては上記の角θを90度とした。このような構成によると、上記の仮置き状態において偏心複合軸1の重心がV受座5の真下に来るので安定であり、作業し易い。
さらに、図示を省略するが、ワークである偏心複合軸1を搬送手段(例えばロボットアームの手先)で把持してV受座上にセットする場合、ジャーナル1aを把持して搬送すると、この姿勢(図1(A))が安定であり、従って搬送作業を安全,容易に行ない得る。
この(A)図の状態から、V受座5に対するジャーナル1aの着座を保持しつつ、前記の角θを減少せしめる方向に回動せしめる。
【0022】
図2は、偏心複合軸のジャーナルをV受座に載置して着座せしめた状態を示し、(A)は小径のジャーナルと大径の偏心軸とから成る偏心複合軸の斜視図、(B)は小径のジャーナルおよび中径のジャーナルと大径の偏心軸とから成る偏心複合軸の斜視図である。
符号7を付して仮想線で描いたのは、図3を参照して後に詳述する三ッ爪チャックであって、この三ッ爪チャック7でジャーナルを把持して回動させる。
図2(B)に示したように、ジャーナル2aとジャーナル2cとが異径であっても、同心であれば本発明を適用して芯合せすることができる。図2(B)の例では中径円柱状のジャーナル2aをV受座5′に着座させ、三ッ爪チャック7′で小径のジャーナル2cを把持して、ジャーナルの中心線z″−z″を中心として回動させる。
図1(A)に示した角θを減少せいめる方向に回動させて、上記の角θが微小角Δθになると同図(B)のようになる。本発明を実施する際、角θを増大する方向に回して、そのまま回し続けて角θを減少させることは合理的ではないが、不可能ではなく、本発明の技術的範囲に属する。
上記(B)図のようにして、偏心軸1bの中心z′がZ軸に接近して通過しようとするとき、インプロセスゲージの1対の探触子・上6uと探触子・下6dとにより、偏心軸1bを上下に挟みつけて、該偏心軸1bの中心線z′の位置を検知する(探触子の具体的な構造、および検知方法の詳細は、図5,図6を参照して後に説明する)。
図1(C)に示したように、偏心軸1bがZ軸と同心に揃った瞬間、偏心複合軸1の回動を停止させる。
上記の回動停止は、回転駆動手段のブレーキ機構を作動させて行なう。また、停止させるべき瞬間を検知するためには、前記偏心軸1bの中心線z′の位置検出を継続的に行なう。ここに言う継続的とは、必ずしも連続的であることを要せず、例えばミリ秒単位の短周期で間欠的に検出しても、本発明における継続的検出である。
【0023】
図3は、V受座に着座しているジャーナルを把持して回動せしめる把持回動手段を説明するために示したもので、(A)は三ッ爪チャックでジャーナルを把持しようとしている状態の模式図、(B)は三ッ爪チャックでジャーナルを把持した状態の模式図である。
(図3(A)参照)ドライブユニット3に設置された、V受座5によって偏心複合軸のジャーナル1aが位置決め保持されている。z″はその中心線である。
三ッ爪チャック7はフローティングプレート8によって支持され、z″軸と同心に、ジャーナル1aに対向せしめられている。
上記のフローティングプレートとは、「首振り動を拘束したり解放したりする操作が可能な自在継手」の意である。
本実施形態の三ッ爪チャック7とフローティングプレートとは圧縮空気で作動せしめられる構造であって、三ッ爪チャック7を開くと自在継手機構の首振作動が拘束され、三ッ爪チャック7を閉じ方向に締めつけると自在継手機構の首振作動がフリーになる構造でうる。このような機器は、市販品の中から適宜に選定して使用することができる。
図3(A)の状態から、三ッ爪チャック7をz″軸方向に前進(図の右方)させて、同図(B)のように、三ッ爪チャック7によってジャーナル1aを緩やかに挟みつけ、該三ッ爪チャック7の締付けを強めつつ、フローティングプレート8の拘束を弛めて、自在継手として作動し得る状態ならしめる。このようにして、フローティングプレート8の駆動側(図において左側)から、該フローティングプレート8の被動側(図の右側)に装着されている三ッ爪チャック7に対して純粋な回動力を伝動することができる。すなわち、ジャーナル1aのV受座5に対する着座状態を乱すような力を及ぼすことなく、ジャーナル1aをz″軸周りに回動させることができる。
上記のジャーナル1aをz″軸周りに回動させて、前掲の図1について説明したようにして芯出しを行ない、同図1(C)のように芯合わせされたならば、図3(B)に示したチャックシリンダ9によってジャーナル1aをV受座5に向けて押圧し、強固に把持する。このようにして把持すると、芯合せ工程の次工程においてドライブユニット3を回転させて偏心軸1bを機械加工するための準備が整う。
【0024】
図4は本発明に係る芯合せ方法を実施するために構成した芯合せ装置の1実施形態を示す模式的な部分断面正面図に、制御系統の概要および座標値Y,Zを付記した図である。
本図4において符号3を付して示したのは、前掲の図1,図3で説明したドライブユニット3の全貌である。
同じく、符号5を付して示したのは、上記ドライブユニット3の回転軸に設置されたV受座であって、前掲の図3におけると同様の断面が表れているが、縮尺が小さいので省略図法を用いてあり、設置位置,姿勢の概要を表している。
同じく7は三ッ爪チャックであって、フローティングプレート8と協働して「ジャーナルの把持回動手段」を形成している。7aは三ッ爪チャック支持,駆動部であって、三ッ爪チャックサーボモータ7bの回転をフローティングプレート8の駆動側(図において右側)に伝動する。図示を省略するが、この三ッ爪チャック支持,駆動部7aはブレーキ機能を備えていて、三ッ爪チャック7のZ″軸周りの回動を制動することができるようになっている。
上記のブレーキ機能は、独立した部材でなくても良い。例えば伝動系の中にウォームギヤが有って逆転を阻止するようになっていても良く、また、サーボモータ7bが自己制動機能を有していても良い。
上記のブレーキ機能は格別に強大であることを要せず、偏心複合軸の偏心軸が芯合せされた状態を暫定的に保持して、チャックシリンダ9より成る把持固定機構が、ジャーナルを把持すれば役目を終える。また、本発明を実施する際、上記チャックシリンダ9によってブレーキ機能を兼ねさせることも不可能ではない。
図示の10は装置のベース部材である。仮想線で示した11は、インプロセスゲージの設置箇所を概要的に示している。該インプロセスゲージについては、図5,図6を参照して後に詳述する。
自動制御装置12は、前掲の図1(A),(B),(C)、および図3(A),(B)については説明した作動を行なわせるように、ドライブユニット3、三ッ爪チャック7、フローティングプレート8、チャックシリンダ9、およびインプロセスゲージ11を制御している。
【0025】
次に、インプロセスゲージの構造,機能について、添付の図5,図6を参照して説明する。
図5は、インプロセスゲージの作動原理を説明するために示したもので、(A)は1実施形態をZ軸方向に見て描いた模式図、(B)は上記と異なる実施形態をZ軸方向に見て描いた模式図、(C)は上記B図に係るインプロセスゲージの作用説明図である。
図5(A)は、理論的に正確な「偏心軸中心線位置検出を行ない得るように構成した例であって、1対の探触子・上6uと、探触子・下6dとが設けられていて、それぞれX−Z面に平行な計測面を有している。これら1対の探触子6u,6dの計測面をX−Z面と平行に保たせつつ、偏心軸1bをY軸方向に挟みつけて、偏心軸1bの外周円柱面の最も高い所(Y座標値最大箇所)の接線χ1と、最も低い所(Y座標値最小箇所)の接線χ2とを検知すれば、偏心軸1bの中心線位置を算出することができる。
この場合、上,下の探触子の計測面は、X−Z面との平行を維持しつつ、Y軸と交わっていれば足り、必ずしもY軸方向に平行移動しなくても良い。しかし、部材を精密に平行移動させることは必ずしも容易ではない。
そこで、図5(B)に示すように、フィンガ状に形成した1対の探触子フィンガ6fを、探触子枢支軸6sによって、外パス状に枢支することが考えられる。
上記の探触子枢支軸6sを、X軸に交わらしめてZ軸と平行に支承すると、探触子の自由端はY軸方向の直線動ではなく、図示d−dのように円弧を描く。
円弧を描くことは支障を生じないが、計測面が探触子枢支軸6sを中心として回動し、平行移動しない。すなわちX−Z面との平行を保たない。
【0026】
上述のごとく平行移動しなくなっても計測精度を落とさないためには、(C)図に示すように、探触子・上6uには下向きの凸球面6tを、探触子・下6dには上向きの凸球面6tを、それぞれ形成すれば良い。このインプロセスゲージによる偏心軸中心線位置の計測が「該偏心軸1bの中心線z′が、上方に平行移動しつつZ軸を通過する微小時間内」に行なわれることを前提として、本図5(C)に示したような外パス形の1対の探触子フィンガ6fによって実用上充分な精度で偏心軸1bの位置を検知するこができる。
図5(C)の実施形態では、1対の探触子フィンガ6fと同6fとを同形同寸に形成し、X軸に関して対称を為すように配設した。本発明を実施する場合、必ずしも輪郭形状を対称ならしめる必要は無いが、機構学的に上,下対称、もしくは対称と等価なように構成する。
また、前記の凸球面6tは必ずしも立体幾何学的な凸球面でなくても良く、凸円錐面、もしくは凸稜など、凸球面に類似する凸面に構成することもできる。要するに、偏心軸1bに対してY軸上で点接触し、または、Z軸と平行に線接触する形状に形成する。
上記1対の探触子フィンガ6fの自由端に形成された凸球面6fによって、偏心軸1bを挟みつけるように、弾性的な傾動力を探触子に付勢する。
上記の弾性的とは、偏心軸1bが芯合せのために回動せしめられる際、その回動を妨げることなく追随し得ることを意味し、必ずしもゴムやバネの力でなくても良く、例えばアームと重錘とを用いた重力荷重によって偏心軸1bを挟みつけるように構成しても良い。
【0027】
図5(C)において、角φは下側の凸球面6tの接触点t′と探触子枢支軸6sとを結ぶ線がX軸と為す角であり、同じく角φ′は上側の凸球面6tの接触点tと探触子枢支軸6sとを結ぶ線がX軸と為す角である。
偏心軸1bが、図示の位置を上方に向けて移動する微小時間について考察すると、φ>φ′の状態からφが減少しφ′が増加する。このとき、φ=φ′となった瞬間が、芯合せされた瞬間である。自動制御装置12(図4参照)によって、角φと角φ′とを継続的に検出するとともに比較して、φ=φ′の瞬間に捉えて偏心複合軸の回動を停止させる。この説明は基本原理であって、実用面において修正を加えることを妨げない。例えばサーボモータ7b(図4)の停止に関して極微小時間Δtのタイムラグが有るならば、φ=φ′になるよりもΔtだけ早めてインプロセスゲージを作動せしめても、本発明の技術的範囲に属する。
なお、本図5(C)に表わされているように、本発明において「接触点と探触子枢支軸とを結ぶ線」とは「Z軸方向に見たとき、接触点と探触子の中心線とを結ぶ直線」の意である。
【0028】
図6は、前掲の図5と異なる方式のインプロセスゲージの作動原理を説明するために示したもので、(A)は探触子枢支軸を移動させながら偏心軸の中心線位置を検出する方式の実施形態の模式図、(B)は探触子枢支軸を静止させたままで検出する方式の実施形態の模式図、(C)は上記(A),(B)の実施形態の変形例の模式図である。
【0029】
偏心軸1bがY軸方向に移動しつつある状態で、該偏心軸1bの位置を検出するのであるから、図6(A)のように1対の探触子で偏心軸1bをY軸方向に挟みつけた状態を保持しつつ、探触子枢支軸6sをY軸方向に従動させながら、上側の接触点6aのY座標値+yと、下側の接触点6bのY座標値−yとを継続的に検出すれば、偏心軸1bの中心線位置を算出することができる。
しかし、この図6(A)の方式では、上,下の接触点6a,6bをY軸上に移動せしめる必要が有り、その為には探触子枢支軸6sをZ軸と平行に、かつ、偏心軸1bの中心線と等高に(同一Y座標値に)保持してY軸方向に移動させなければならない。このように探触子枢支軸6sを移動させながら計測することは容易ではないので、該探触子枢支軸6sを静止させておいて偏心軸1bの中心線位置を検出するには図6(B)に示した構成が有効である。
X軸上に、Z軸と平行に、静止させて支承した探触子枢支軸6sによって、1対の探触子フィンガ6fを外パス状に枢支し、図示の角φと角φ′とが常に等しくなるように、双方の探触子フィンガ6fを連動させるとともに、該探触子フィンガ6fを閉じる方向の傾動力を付勢する。
本図6(B)のように、偏心軸1bの中心線z′がZ軸の下方に在るときは、1対の探触子フィンガ6fが閉じようとしたとき、下側の接触点6bが偏心軸1bに当接して上昇を阻止させる。上側の探触子フィンガ6fは、φ=φ′となるように連動せしめられているので、偏心軸1bに対して間隙6cを生じる。
この(B)図の状態から、偏心軸1bが上昇して、その中心線z′がZ軸に一致すると、上,下双方の探触子フィンガ6fの自由端近傍が、同時に偏心軸1bに接触する。
上述の作用により、上,下双方の探触子フィンガ6fが、同時に偏心軸1bに接触した時、偏心軸1bがZ軸に芯合せされたものと判定される。
探触子フィンガが偏心軸に接触したことを検知するについては、例えば探触子フィンガと偏心軸とが電気的に導通したことを検知しても良く、また、探触子フィンガの自由端付近(接触点6a,6bに対応する箇所)に半導体の感圧素子を設けておいても良い。
図6(C)は、探触子・上6uと探触子・下6dとのそれぞれを個別に枢支して、外パス状に類似したインプロセスゲージを構成した例である。このような「外パスに類似した構造」も、本発明における「外パス状」に含むものとする。
【0030】
図示を省略するが、機械的部品である探触子に代えて、光学的なセンサ、もしくは電磁的なセンサを用いて、非接触的に偏心軸の位置を検知することも可能である。
例えば図5(A)において、2本の直線χ1−χ1,およびχ2−χ2のそれぞれに沿わせてレーザービームを投射するとともに、上記それぞれの直線上に受光器を設けておき、双方の受光器の検出照度が等しくなったときに、偏心軸1bが芯合せされたものと判定すれば良い。請求項1に記載した非接触式の位置センサとは、上記の例のような光学的センサ、もしくは電磁式センサを意味している。また、請求項7に記載したインプロセスゲージとは、接触式,非接触式を問わず、ドライブユニットに対して芯合せされようとしている状態の偏心軸の位置を検知し得る機器を総称する意である。
【0031】
【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げて、その構成,機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方法によると、偏心複合軸をジャーナルの周りに回動せしめる操作と、該偏心複合軸の偏心軸の回動角位置を検出する操作と、該偏心軸がZ軸と一致したとき回動を停止せしめる操作とが、互いに独立していて、しかも協働することによって偏心軸の中心線がZ軸と一致した瞬間に、その位置が固定されるので、技術的に格別な困難を伴うこと無く、簡単な手順によって高精度の芯合せが行なわれる。
従来技術においては「偏心複合軸をジャーナルの周りに回動させること」について明確な配慮が無く、「ジャーナルをV受座に支承されて揺動可能な状態」の偏心軸を両側から挟みつけて中立位置まで回動させていたため、
一つには、偏心複合軸の回転中心が確保されておらず、
一つには、偏心複合軸を回動させる駆動部材と、偏心軸の位置決め治具とが兼用されていて、位置決め用の治具が偏心複合軸の慣性力に拮抗しなければならない、といった不利な技術的条件が重なって、高精度の芯合せが出来なかったのに比して、
本請求項の発明においては、位置センサは偏心軸の位置を検出するだけの役目を受け持っていて、偏心軸を押し動かしたり、動いている偏心軸を押し止めたりする必要が無いので、容易に、かつ正確に偏心軸の位置を検知し、その中心線がZ軸と一致した瞬間に信号を出すことができる。
【0032】
請求項2の発明を適用して前記請求項1の発明方法を実施すると、芯合せ作業の対象物である偏心複合軸に加わる重力荷重を合理的に利用して、安定した状態で芯合せ作業を遂行することができ、その結果、請求項1の発明方法をいっそう容易に、かつ、高精度で実施することができる。すなわち、
偏心軸がジャーナルの垂直下方に位置する状態で、該ジャーナルをV受座の上に載置する。この状態で、偏心複合軸を形成しているジャーナルと偏心軸との総合重心は、ジャーナル中心線の垂直下方に位置している。このため、V受座が受ける重力荷重は垂直下方に向いているので、V受座に支えられて振子状に揺動させようとする力が働かない。その結果、V受座は偏荷重や回転摩擦を受けることなくジャーナルを着座せしめて、高精度でジャーナルを所定の位置に保持する。
このV受座は、芯合せ作業の途中では偏荷重も回転摩擦も受けるが、芯合せ作業の初期条件としてジャーナルを高精度で着座させることは、芯合せ結果の精度をいっそう高めるという重要な効果を奏する。
【0033】
請求項3の発明方法によると、原理的に正確に偏心軸の中心線位置(具体的には、偏心軸の中心線のY座標値)を検出することができる。
この方法においては、1対の探触子それぞれのケージ接触面をX−Y面に平行ならしめるので、実際に本請求項の発明方法を実施する際は、ゲージ接触面を常にX−Y面と平行な姿勢に保つよう、平行移動させねばならないという技術的な困難を有している。その代り、このゲージ接触面は「面」であって「点」ではない。そして、この接触面のY軸方向移動に際しては、Y軸と交れば足り、必ずしもY軸方向に移動しなくても良いから、該ゲージ接触面を偏心軸の移動に随伴せしめことが容易である。すなわち、探触子のゲージ面部分の案内の直線度の良否が測定精度に影響を及ぼすことが無い。
本発明において偏心複合軸を回転させる場合、その偏心軸の中心線は常にZ軸と平行であるから、「X−Z面に平行なゲージ接触面」は偏心軸に対して線接触する(接触線はZ軸と平行)。これにより、前記の座標値+y,−yが正確に、かつリアルタイムに計測され、高精度の芯合せを支援する。
【0034】
請求項4の発明方法によると、簡単なインプロセスゲージを用いて、実用上充分な精度で「偏心軸の中心線がZ軸に一致した瞬間」を検知して芯合せすることができる。
本発明方法においては、回動しつつある偏心軸の中心線の位置を継続的に計測しなければならない。
静止している偏心軸の中心線位置を計測することに比して、移動しつつある偏心軸の中心線位置を継続的に計測することは格段に難しい。
外パス状に枢支された2本の探触子フィンガの自由端付近で偏心軸を挟みつけた場合その枢支軸を偏心軸に随伴せしめて移動させれば、偏心軸と探触子フィンガとは相対的に静止状態を保つので計測し易いが、探触子フィンガの枢支軸が偏心軸に対して常に同一の位置関係を保つように従動せしめるのは容易なことではない。
こうした観点において本請求項の発明方法によると、1対の探触子フィンガの枢支軸を静止させておいて(X,Y,Z座標系に関して静止させておく意)、偏心軸の中心線がZ軸と一致したことを正確に検知することができる。
【0035】
請求項5の発明方法によると、簡単なインプロセスゲージを用いて、実用上充分な精度で「偏心軸の中心線がZ軸に一致した瞬間」を検知して芯合せすることができる。
本発明方法においては、回動しつつある偏心軸の中心線の位置を継続的に計測しなければならない。
静止している偏心軸の中心線位置を計測することに比して、移動しつつある偏心軸の中心線を継続的に計測することは格段に難しい。
【0036】
外パス状に枢支された2本の探触子フィンガの自由端付近で偏心軸を挟みつけた場合、その枢支軸を偏心軸に随伴せしめて移動させれば、偏心軸と探触子フィンガとは相対的に静止状態を保つので計測し易いが、探触子フィンガの枢支軸が偏心軸に対して常に同一の位置関係を保つように従動せしめるは容易なことではない。
こうした観点において本請求項の発明方法によると、1対の探触子フィンガの枢支軸を静止させておいて(X,Y,Z座標系に関して静止させておく意)、偏心軸の中心線がZ軸と一致したことを正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示し、(A)は第1の工程を描いた模式的な端面図、(B)は第2の工程を描いた模式的な端面図、(C)は芯合せを完了した状態の模式的な端面図である。
【図2】偏心複合軸のジャーナルをV受座に載置して着座せしめた状態を示し、(A)は小径のジャーナルと大径の偏心軸とから成る偏心複合軸の斜視図、(B)は小径のジャーナルおよび中径のジャーナルと大径の偏心軸とから成る偏心複合軸の斜視図である。
【図3】V受座に着座しているジャーナルを把持して回動せしめる把持回動手段を説明するために示したもので、(A)は三ッ爪チャックでジャーナルを把持しようとしている状態の模式図、(B)は三ッ爪チャックでジャーナルを把持した状態の模式図である。
【図4】本発明に係る芯合せ方法を実施するために構成した芯合せ装置の1実施形態を示す模式的な部分断面正面図に、制御系統の概要および座標軸Y,Zを付記した図である。
【図5】インプロセスゲージの作動原理を説明するために示したもので、(A)は1実施形態をZ軸方向に見て描いた模式図、(B)は上記と異なる実施形態をZ軸方向に見て描いた模式図、(C)は上記B図に係るインプロセゲージの作用説明図である。
【図6】前掲の図5と異なる方式のインプロセスゲージの作動原理を説明するために示したもので、(A)は探触子枢支軸を移動させながら偏心軸の中心線位置を検出する方式の実施形態の模式図、(B)は探触子枢支軸を静止させたままで検出する方式の実施形態の模式図、(C)は上記(A),(B)の実施形態の変形例の模式図である。
【図7】本発明に係る芯合せ方法および芯合せ装置において取扱いの対象とされる偏心複合軸の例を示し、(A)は小径円柱状ジャーナルと大径偏心軸とが偏心量eで一体連設されたワークの斜視図、(B)は小径円柱状ジャーナルと中径円柱状ジャーナルとが同心状に配列されるとともに、大径円柱状偏心軸が偏心量e″で一体連設されたワークの斜視図である。
【図8】偏心複合軸をドライブユニットに対して芯合せする従来技術を説明するために示したもので、(A)は芯合せ装置を模式的に描いた正面図、(B)は上記芯合せ装置によって偏心複合軸の偏心軸をドライブユニットを芯合せしている状態の模式図である。
【符号の説明】
1…偏心複合軸、1a…ジャーナル、1b…偏心軸、2…偏心複合軸、2a…ジャーナル、2b…偏心軸、2c…ジャーナル、3…ドライブユニット、4…治具・甲、4b…治具・乙、5…V受座、5′…V受座、6a…上側接触点、6b…下側接触点、6d…探触子・下、6f…探触子フィンガ、6u…探触子・上、7…三ッ爪チャック、8…フローティングプレート、9…チャックシリンダ、10…ベース部材、11…インプロセスゲージ、12…自動制御装置、a,a′,b…従来技術における位置決め治具の動きを表す矢印、c,c′…従来技術における偏心複合軸の揺動を示す往復矢印、d…探触子の軌跡円弧、e…偏心量、t…接触点。

Claims (5)

  1. 小径の円柱状のジャーナルの中心線と、大径の円柱状の偏心軸の中心線とを、間隔寸法eで平行に配置されて成る偏心複合軸について、
    上記大径の偏心軸の軸心をドライブユニットの回転中心線に対して芯合せする方法において、
    前記ドライブユニットの回転中心線をZ軸とする直交座標軸X,Y,Zを想定し、
    上記ドライブユニットの回転軸に対してV受座を固定するとともに、
    該V受座に前記のジャーナルを載置したとき、ジャーナルの中心線がZ軸に対して寸法eだけ偏心して平行となるように、前記V受座の位置および姿勢を設定することにより、「前記偏心複合軸のジャーナルをV受座に着座せしめた状態で、ジャーナルを中心として偏心複合軸を回動せしめたとき、偏心軸の中心線上の点が、X−Y平面上において円弧を描いて、Z軸と交わる状態」ならしめ、
    上記偏心複合軸の回転位相を「偏心軸の中心線がZ軸に一致する角位置」から角θだけずらした状態で、そのジャーナルをV受座に載置し、
    上記ジャーナルがV受座に着座した状態を保持しつつ、上記の角θを減少せしめる方向に偏心軸をジャーナルの周りに回動せしめ、
    該偏心軸の軸心がZ軸を通過しようとするとき、該偏心軸の位置を接触形の位置センサ、もしくは非接触式の位置センサによって検知し、
    前記の角θがゼロになって、偏心軸の中心線がZ軸と一致した瞬間に、偏心軸の回動を停止せしめることを特徴とする、ドライブユニットに対して複合偏心軸を芯合せする方法。
  2. 前記の値θを90度とし、X軸を水平に設定して、
    ドライブユニットの回転軸の回動角位置を制御して「V受座に着座したジャーナルの中心線がZ−X面上に位置する状態」ならしめておき、
    前記の偏心複合軸を、「ジャーナルの中心線と偏心軸の中心線とを含む面が、Y−Z面と平行で、かつ、偏心軸がジャーナルの下方に位置する姿勢」ならしめて、ジャーナルをV受座上に載置して着座せしめた後、着座状態を保ちつつ、
    該偏心複合軸を、「偏心軸がジャーナルと等高に揃う方向」に、90度回動せしめ、
    上記偏心軸がジャーナルと等高に揃いつつある時、該偏心軸の上,下を、1対の探触子で挟みつけることによって、偏心軸の中心線位置を検知することを特徴とする、請求項1に記載したドライブユニットに対して複合偏心軸を芯合せする方法。
  3. 前記接触形の位置センサとして、1対の探触子を有するインプロセスゲージを用い、
    上記1対の探触子のそれぞれに、「Y軸と交わり、X−Z面に平行なゲージ接触面」を設けておき、
    上記1対の探触子それぞれのゲージ接触面によって偏心軸をY軸方向に挟みつけて、該偏心軸の円柱面の中でY座標値が最大の箇所の座標値+yと、最小の箇所の座標値−yとを検出し、
    上記の検出値+yと−yとの絶対値が等しくなった瞬間に、偏心軸の中心線がZ軸に一致したものと判定して、偏心複合軸の回動を停止せしめることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載したドライブユニットに対して複合偏心軸を芯合せする方法。
  4. 前記接触形の位置センサとして、「Z軸に平行な枢子軸によって、外パス状に枢支された1対の探触子フィンガ」を有するインプロセスゲージを用いるとともに、
    上記1対の探触子フィンガの先端に、内側に向けて膨出する凸球面、もしくは凸球面に類似する凸面を形成しておき、
    上記1対の探触子フィンガが、前記枢支軸を中心として、常にX軸に関して対称に対向するように該探触子フィンガの開閉回動を連動せしめ、
    上記1対の探触子フィンガのそれぞれに設けられた2個の凸球面もしくは凸面の2個が両方とも同時に偏心軸の円柱面に接触した瞬間に、該偏心軸の中心線がZ軸に一致したものと判定して、偏心複合軸の回転を停止せしめることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載したドライブユニットに対して複合偏心軸を芯合せする方法。
  5. 1対の探触子フィンガを「X軸と交わり、Z軸と平行な枢支軸」により外パス状に枢支し、かつ該1対の探触子フィンガをX軸に近づける方向に弾性的な力を姿勢し、
    偏心軸がジャーナルの周りに回動して、その中心線がX軸を通過しようとするとき、前記1対の探触子フィンガの先端部で該偏心軸を挟みつける形に接触せしめるとともに、該1対の探触子フィンガのそれぞれがX軸となす角を継続的に計測して、
    「双方のフィンガの、X軸に対してなす角」が等しくなった時、前記偏心軸の中心線がZ軸に一致したものと判定して、偏心複合軸の回動を停止せしめることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載したドライブユニットに対して複合偏心軸を芯合せする方法。
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