JP3780127B2 - 膨張弁 - Google Patents
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- F25B2341/068—Expansion valves combined with a sensor
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍サイクルにおいて蒸発器に送り込まれる冷媒の流量制御を行いつつ冷媒を断熱膨張させるための膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
膨張弁には各種のタイプがあるが、蒸発器に送り込まれる高圧冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された弁座孔に対向して弁体を配置し、蒸発器から送り出される低圧冷媒の温度と圧力に対応して弁体を開閉動作させるようにした膨張弁が広く用いられている。
【0003】
そのような膨張弁においては、蒸発器から送り出される低圧冷媒の温度と圧力に対応して動作するパワーエレメントと弁体との間に軸線方向に進退自在にロッドを挟設すると共に、弁体をロッドと反対の方向から圧縮コイルスプリングで付勢し、パワーエレメントによりロッドを介して弁体を開閉動作させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成の膨張弁においては、溶接等によって弁体をロッドに固着したものが少なくないが、ロッドを弁体と逆側から組み付ける構成をとる膨張弁では、弁体はロッドの端面に当接させてあるだけである。
【0005】
そのため、組み立て時に弁体を組み込む際に、弁体が所定の位置から離脱してうまく組み立てることができず、何度も組み付け作業をやり直さなければならなくなって時間を浪費してしまう場合が少なくなかった。
【0006】
そこで本発明は、ロッドと弁体とが固着されていない膨張弁において、組み立て時に弁体を容易に組み込むことができる膨張弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の膨張弁は、蒸発器に送り込まれる高圧冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された弁座孔に対向して弁体を配置し、軸線方向に進退自在に配置されたロッドを、蒸発器から送り出された低圧冷媒の温度と圧力に対応して動作するパワーエレメントと弁体との間に挟設すると共に、弁体をロッドと反対の方向から圧縮コイルスプリングにより付勢した膨張弁において、圧縮コイルスプリングを弁体に近い側へ巻き径が次第に細くなるテーパ状に形成して、弁体を圧縮コイルスプリングの端部に固着し、弁体に対してロッドを固着することなく当接させたものである。
【0008】
そして、圧縮コイルスプリングと弁体とを同じ材質で形成すれば、リサイクル処理を容易に行うことができる。
なお、パワーエレメントからロッドに対して偶力が加わるように構成されていてもよく、その場合、ロッドの端部に当接するパワーエレメント側の部材の当接面がロッドの軸線に対して斜めに傾いて形成されていてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2は本発明の実施の形態の膨張弁を示している。図中、1は蒸発器、2は圧縮機、3は凝縮器、4は、凝縮器3の出口側に接続されて高圧の液体冷媒を収容する受液器、10は膨張弁である。これらによって冷凍サイクルが形成されており、例えば自動車の室内冷房装置(カーエアコン)に用いられる。
【0010】
膨張弁10の本体ブロック11には、蒸発器1から圧縮機2へ送り出される低温低圧の冷媒ガスを通すための低圧冷媒流路12と、蒸発器1に送り込まれる高温高圧の冷媒液を通して断熱膨張させるための高圧冷媒流路13とが形成されている。
【0011】
低圧冷媒流路12は、入口側の端部が蒸発器1の出口に接続され、出口側が圧縮機2の入口に接続されている。高圧冷媒流路13は、入口側の端部が受液器4の出口に接続され、出口側が蒸発器1の入口に接続されている。
【0012】
低圧冷媒流路12と高圧冷媒流路13とは互いに平行に形成されており、これに垂直に本体ブロック11に穿設された貫通孔14が、低圧冷媒流路12と高圧冷媒流路13との間を貫通している。また、低圧冷媒流路12から外方に抜けるように、貫通孔14と同じ向きに形成された開口部には、パワーエレメント30が取り付けられている。
【0013】
高圧冷媒流路13の途中には、流路面積を途中で狭く絞った形の弁座孔15が中央部に形成されていて、その弁座孔15に上流側から対向して球状の弁体16が配置されている。ただし、弁体16は少なくとも弁座孔15に対向する側の面が球状であればよい。
【0014】
その結果、弁体16と弁座孔15の入口部との間の隙間の最も狭い部分が高圧冷媒流路13の絞り部になり、そこから蒸発器1に到る下流側の流路内において、高圧冷媒が断熱膨張する。
【0015】
弁体16は例えばステンレス鋼等の金属により形成されており、弁体16が面する弁座孔15の開口端は、テーパ状の面取りがされて外側へ広がった形状に形成されている。
【0016】
弁体16は、圧縮コイルスプリング17によって弁座孔15に接近する方向(即ち、閉じ方向)に付勢されている。弁体16側へ次第に巻き径が細くなるテーパ状に形成された圧縮コイルスプリング17は、弁体16と同様のステンレス鋼等の金属により形成されている。
【0017】
その圧縮コイルスプリング17の径の細い方の端部に、弁体16が溶接等(接着、半田付けその他)によって直接固着されている。圧縮コイルスプリング17をテーパ状に形成することにより、その端部に弁体16を直接固着することができ且つ適切なバネ定数を得ることができる。
【0018】
そして、圧縮コイルスプリング17に弁体16を直接固着したことにより、余分なコストをかけることなく、組み立ての際に弁体16が圧縮コイルスプリング17から脱落しないようになり、また両部材が同材質であることからリサイクル処理が容易である。
【0019】
図1は、組み立て時に弁体16を組み込む際の状態を略示しており、弁体16と圧縮コイルスプリング17とスプリング受け18は矢印A方向から本体ブロック11に組み込まれ、ロッド20はその反対の矢印B方向から組み込まれる。
【0020】
その際に、弁体16は単独ではなく圧縮コイルスプリング17と固着されて一体になっているので、意に反して所定位置から離脱してしまうようなことがなく、組み立て作業を容易に短時間で行うことができる。
【0021】
図2に戻って、圧縮コイルスプリング17が配置された孔19は、弁座孔15と同方向に(したがって、高圧冷媒流路13に対して垂直方向に)本体ブロック11に形成されていて、外方に抜けている。
【0022】
その孔19内には、圧縮コイルスプリング17の基端側を受けるスプリング受け18が外方から圧入固定されており、螺合部がないので、ねじ込みによる切り粉の発生がない。
【0023】
スプリング受け18は内側の端面が塞がった筒状に形成されており、圧縮コイルスプリング17のバネ力が適正値になるように組み立て時に固定位置が調整され、孔19の内周面との間に隙間ができないように組み付けられている。
【0024】
そのように、Oリング等のシール部材を用いることなく、本体ブロック11に対するスプリング受け18の取り付け部分の気密性を確保するためには、例えばネジロック又は溶接等を施してもよいし、スプリング受け18にバネ性の高い材料を用いてスプリングバックにより気密性を得てもよい。
【0025】
貫通孔14内に挿通されたロッド20は、軸線方向に摺動自在に設けられていて、その上端はパワーエレメント30の裏面付近に達し、中間部分が低圧冷媒流路12を垂直に横切って貫通孔14内に嵌合し、下端は、弁座孔15内を通って弁体16の頭部に当接している。なおロッド20は、弁座孔15の壁面との間が冷媒流路になるよう、弁座孔15に比べて細く形成されている。
【0026】
弁体16と当接するロッド20の端面には、断面形状がV字状の円錐状の凹み22が形成されている。その結果、ロッド20の端面に対して弁体16が軽く嵌まり込んだ状態になっているので、弁体16が横方向にガタつかず、したがって弁体16が横方向に振動することによる振動音が発生しない。
【0027】
パワーエレメント30は、剛性の高いステンレス鋼板製のハウジング31によって囲まれており、その外半部分は、ハウジング31と可撓性のある金属製薄板(例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼板)からなるダイアフラム32によって気密に囲まれた気密室30aになっている。
【0028】
気密室30a内には、冷媒流路12,13内に流されている冷媒と同じか又は性質の似ている飽和蒸気状態のガスが封入されていて、ガス封入用の注入孔は、栓34によって閉塞されている。
【0029】
パワーエレメント30は、全ての部品が例えばステンレス鋼等のような同じ金属材料によって形成されている。したがって、膨張弁10を壊す際には、パワーエレメント30を取り出して容易にリサイクル処理することができる。
【0030】
ダイアフラム32の裏面に面して、大きな皿状に形成されたダイアフラム受け盤33が配置されていて、ダイアフラム受け盤33の裏面にロッド20の端部が当接している。したがってロッド20は、軸線方向に進退自在にダイアフラム受け盤33と弁体16との間に挟み付けられた状態に配置されている。
【0031】
ダイアフラム受け盤33は、図3に斜視図が示されるように、三つの脚状部33aが折り曲げ形成された皿状になっており、板材からプレス加工により形成されている。
【0032】
ダイアフラム受け盤33の裏面の中央部分には斜面36が形成され、脚状部33aは、ハウジング31の内周面に緩く嵌合してダイアフラム受け盤33の姿勢を安定させる機能を有している。また、脚状部33aが折り曲げられることにより切り欠かれた部分が冷媒通路40になっている。
【0033】
ダイアフラム受け盤33に形成された斜面36に当接するロッド20の端面は、滑らかな曲面状に丸められている。ただし、斜面36に当接するロッド20の端面形状は円錐形その他各種の形状をとることができる。
【0034】
本体ブロック11に形成された貫通孔14部分にはロッド20の中間部分が嵌合しており、例えばその嵌合長(L)が10〜15mm程度で、嵌合隙間(e)が0.01〜0.12mm程度に形成されて、これによってロッド20のガタつきが規制され、弁体16部分からの振動音発生が抑制されている。
【0035】
貫通孔14の低圧冷媒流路側開口部14aから少し離れた位置には、ロッド20に突起23が突設されている。この突起23は、ロッド20を側方から押しつぶして形成されている。
【0036】
このように突起23が形成されていることにより、ロッド20がそれ以上貫通孔14内に入り込まないので、組み立て時にロッド20を安定した状態に保持することができる。なお、貫通孔14の低圧冷媒流路側開口部14aは、テーパ状に面取りされている。
【0037】
パワーエレメント30を全体的に囲むように形成されたハウジング31には、本体ブロック11と螺合する螺合部25が外面に形成されている。26はシール部材である。
【0038】
ハウジング31の低圧冷媒流路12に面する部分の中央部分には、ロッド20が端部近傍で摺動自在に嵌合するロッド受け37が形成されており、これによってロッド20のガタ付きが規制されて騒音の発生が抑制されている。
【0039】
ロッド受け37の周囲の低圧冷媒流路12に面する部分には、低圧冷媒流路12内を通過する冷媒をパワーエレメント30内に少量だけ導くための冷媒通過孔38がハウジング31に穿設されており、低圧冷媒流路12内を通過する冷媒の温度と圧力の状態変化がダイアフラム32の裏面に遅延されて緩やかに伝達されるので、膨張弁10が急激な動作変化をしない。
【0040】
このように構成された膨張弁においては、低圧冷媒流路12内を流れる低圧冷媒の温度が下がると、ダイアフラム32の温度が下がって、パワーエレメント30の気密室30a内の飽和蒸気ガスがダイアフラム32の内表面で凝縮する。
【0041】
すると、気密室30a内の圧力が下がってダイアフラム32が変位するので、ロッド20が圧縮コイルスプリング17に押されて移動し、その結果、弁体16が弁座孔15側に移動して高圧冷媒の流路面積が狭くなり、蒸発器1に送り込まれる冷媒の流量が減る。
【0042】
低圧冷媒流路12内を流れる低圧冷媒の温度が上がると、上記と逆の動作により、パワーエレメント30で押されたロッド20によって弁体16が弁座孔15から離れる方向に移動させられ、高圧冷媒の流路面積が広がって、蒸発器1に送り込まれる高圧冷媒の流量が増える。
【0043】
そして、ロッド20が当接するダイアフラム受け盤33側の当接面が斜面36になっていることにより、パワーエレメント30と圧縮コイルスプリング17とからロッド20が受ける力は、軸線の向きを変える方向にロッド20を回転させようとする偶力としても作用する。
【0044】
その結果、ロッド20が進退する際には貫通孔14の内面壁との間において相当に大きな摩擦抵抗が発生するので、高圧冷媒流路13内の高圧冷媒に圧力変動があったとき、ロッド20の動作(即ち弁体16の開閉動作)がそれに対して敏感に反応しないので、高圧冷媒に圧力変動があっても弁体16の動作がそれに対して鋭敏に反応せず、動作が安定している。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばスプリング受け18は図4に示されるように本体ブロック11に対してねじ込まれて取り付けられるものであってもよい。また、弁体16は必ずしも球体に限定されず、円錐形その他の形状であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、圧縮コイルスプリングを弁体に近い側へ巻き径が次第に細くなるテーパ状に形成して、弁体を圧縮コイルスプリングの端部に固着したことにより、ロッドと弁体とが固着されていない膨張弁において、組み立て時に弁体を容易に組み込むことができ、しかも低コストでそれを実現することができる。
【0047】
また、圧縮コイルスプリングと弁体とを同じ材質にすることにより、容易にリサイクル処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の弁体を組み込む際の状態の部分分解縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の膨張弁の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の膨張弁のダイアフラム受け盤の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態のスプリング受けが相違する膨張弁の部分断面図である。
【符号の説明】
12 低圧冷媒流路
13 高圧冷媒流路
15 弁座孔
16 弁体
17 圧縮コイルスプリング
18 スプリング受け
20 ロッド
30 パワーエレメント
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷凍サイクルにおいて蒸発器に送り込まれる冷媒の流量制御を行いつつ冷媒を断熱膨張させるための膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
膨張弁には各種のタイプがあるが、蒸発器に送り込まれる高圧冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された弁座孔に対向して弁体を配置し、蒸発器から送り出される低圧冷媒の温度と圧力に対応して弁体を開閉動作させるようにした膨張弁が広く用いられている。
【0003】
そのような膨張弁においては、蒸発器から送り出される低圧冷媒の温度と圧力に対応して動作するパワーエレメントと弁体との間に軸線方向に進退自在にロッドを挟設すると共に、弁体をロッドと反対の方向から圧縮コイルスプリングで付勢し、パワーエレメントによりロッドを介して弁体を開閉動作させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成の膨張弁においては、溶接等によって弁体をロッドに固着したものが少なくないが、ロッドを弁体と逆側から組み付ける構成をとる膨張弁では、弁体はロッドの端面に当接させてあるだけである。
【0005】
そのため、組み立て時に弁体を組み込む際に、弁体が所定の位置から離脱してうまく組み立てることができず、何度も組み付け作業をやり直さなければならなくなって時間を浪費してしまう場合が少なくなかった。
【0006】
そこで本発明は、ロッドと弁体とが固着されていない膨張弁において、組み立て時に弁体を容易に組み込むことができる膨張弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の膨張弁は、蒸発器に送り込まれる高圧冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された弁座孔に対向して弁体を配置し、軸線方向に進退自在に配置されたロッドを、蒸発器から送り出された低圧冷媒の温度と圧力に対応して動作するパワーエレメントと弁体との間に挟設すると共に、弁体をロッドと反対の方向から圧縮コイルスプリングにより付勢した膨張弁において、圧縮コイルスプリングを弁体に近い側へ巻き径が次第に細くなるテーパ状に形成して、弁体を圧縮コイルスプリングの端部に固着し、弁体に対してロッドを固着することなく当接させたものである。
【0008】
そして、圧縮コイルスプリングと弁体とを同じ材質で形成すれば、リサイクル処理を容易に行うことができる。
なお、パワーエレメントからロッドに対して偶力が加わるように構成されていてもよく、その場合、ロッドの端部に当接するパワーエレメント側の部材の当接面がロッドの軸線に対して斜めに傾いて形成されていてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2は本発明の実施の形態の膨張弁を示している。図中、1は蒸発器、2は圧縮機、3は凝縮器、4は、凝縮器3の出口側に接続されて高圧の液体冷媒を収容する受液器、10は膨張弁である。これらによって冷凍サイクルが形成されており、例えば自動車の室内冷房装置(カーエアコン)に用いられる。
【0010】
膨張弁10の本体ブロック11には、蒸発器1から圧縮機2へ送り出される低温低圧の冷媒ガスを通すための低圧冷媒流路12と、蒸発器1に送り込まれる高温高圧の冷媒液を通して断熱膨張させるための高圧冷媒流路13とが形成されている。
【0011】
低圧冷媒流路12は、入口側の端部が蒸発器1の出口に接続され、出口側が圧縮機2の入口に接続されている。高圧冷媒流路13は、入口側の端部が受液器4の出口に接続され、出口側が蒸発器1の入口に接続されている。
【0012】
低圧冷媒流路12と高圧冷媒流路13とは互いに平行に形成されており、これに垂直に本体ブロック11に穿設された貫通孔14が、低圧冷媒流路12と高圧冷媒流路13との間を貫通している。また、低圧冷媒流路12から外方に抜けるように、貫通孔14と同じ向きに形成された開口部には、パワーエレメント30が取り付けられている。
【0013】
高圧冷媒流路13の途中には、流路面積を途中で狭く絞った形の弁座孔15が中央部に形成されていて、その弁座孔15に上流側から対向して球状の弁体16が配置されている。ただし、弁体16は少なくとも弁座孔15に対向する側の面が球状であればよい。
【0014】
その結果、弁体16と弁座孔15の入口部との間の隙間の最も狭い部分が高圧冷媒流路13の絞り部になり、そこから蒸発器1に到る下流側の流路内において、高圧冷媒が断熱膨張する。
【0015】
弁体16は例えばステンレス鋼等の金属により形成されており、弁体16が面する弁座孔15の開口端は、テーパ状の面取りがされて外側へ広がった形状に形成されている。
【0016】
弁体16は、圧縮コイルスプリング17によって弁座孔15に接近する方向(即ち、閉じ方向)に付勢されている。弁体16側へ次第に巻き径が細くなるテーパ状に形成された圧縮コイルスプリング17は、弁体16と同様のステンレス鋼等の金属により形成されている。
【0017】
その圧縮コイルスプリング17の径の細い方の端部に、弁体16が溶接等(接着、半田付けその他)によって直接固着されている。圧縮コイルスプリング17をテーパ状に形成することにより、その端部に弁体16を直接固着することができ且つ適切なバネ定数を得ることができる。
【0018】
そして、圧縮コイルスプリング17に弁体16を直接固着したことにより、余分なコストをかけることなく、組み立ての際に弁体16が圧縮コイルスプリング17から脱落しないようになり、また両部材が同材質であることからリサイクル処理が容易である。
【0019】
図1は、組み立て時に弁体16を組み込む際の状態を略示しており、弁体16と圧縮コイルスプリング17とスプリング受け18は矢印A方向から本体ブロック11に組み込まれ、ロッド20はその反対の矢印B方向から組み込まれる。
【0020】
その際に、弁体16は単独ではなく圧縮コイルスプリング17と固着されて一体になっているので、意に反して所定位置から離脱してしまうようなことがなく、組み立て作業を容易に短時間で行うことができる。
【0021】
図2に戻って、圧縮コイルスプリング17が配置された孔19は、弁座孔15と同方向に(したがって、高圧冷媒流路13に対して垂直方向に)本体ブロック11に形成されていて、外方に抜けている。
【0022】
その孔19内には、圧縮コイルスプリング17の基端側を受けるスプリング受け18が外方から圧入固定されており、螺合部がないので、ねじ込みによる切り粉の発生がない。
【0023】
スプリング受け18は内側の端面が塞がった筒状に形成されており、圧縮コイルスプリング17のバネ力が適正値になるように組み立て時に固定位置が調整され、孔19の内周面との間に隙間ができないように組み付けられている。
【0024】
そのように、Oリング等のシール部材を用いることなく、本体ブロック11に対するスプリング受け18の取り付け部分の気密性を確保するためには、例えばネジロック又は溶接等を施してもよいし、スプリング受け18にバネ性の高い材料を用いてスプリングバックにより気密性を得てもよい。
【0025】
貫通孔14内に挿通されたロッド20は、軸線方向に摺動自在に設けられていて、その上端はパワーエレメント30の裏面付近に達し、中間部分が低圧冷媒流路12を垂直に横切って貫通孔14内に嵌合し、下端は、弁座孔15内を通って弁体16の頭部に当接している。なおロッド20は、弁座孔15の壁面との間が冷媒流路になるよう、弁座孔15に比べて細く形成されている。
【0026】
弁体16と当接するロッド20の端面には、断面形状がV字状の円錐状の凹み22が形成されている。その結果、ロッド20の端面に対して弁体16が軽く嵌まり込んだ状態になっているので、弁体16が横方向にガタつかず、したがって弁体16が横方向に振動することによる振動音が発生しない。
【0027】
パワーエレメント30は、剛性の高いステンレス鋼板製のハウジング31によって囲まれており、その外半部分は、ハウジング31と可撓性のある金属製薄板(例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼板)からなるダイアフラム32によって気密に囲まれた気密室30aになっている。
【0028】
気密室30a内には、冷媒流路12,13内に流されている冷媒と同じか又は性質の似ている飽和蒸気状態のガスが封入されていて、ガス封入用の注入孔は、栓34によって閉塞されている。
【0029】
パワーエレメント30は、全ての部品が例えばステンレス鋼等のような同じ金属材料によって形成されている。したがって、膨張弁10を壊す際には、パワーエレメント30を取り出して容易にリサイクル処理することができる。
【0030】
ダイアフラム32の裏面に面して、大きな皿状に形成されたダイアフラム受け盤33が配置されていて、ダイアフラム受け盤33の裏面にロッド20の端部が当接している。したがってロッド20は、軸線方向に進退自在にダイアフラム受け盤33と弁体16との間に挟み付けられた状態に配置されている。
【0031】
ダイアフラム受け盤33は、図3に斜視図が示されるように、三つの脚状部33aが折り曲げ形成された皿状になっており、板材からプレス加工により形成されている。
【0032】
ダイアフラム受け盤33の裏面の中央部分には斜面36が形成され、脚状部33aは、ハウジング31の内周面に緩く嵌合してダイアフラム受け盤33の姿勢を安定させる機能を有している。また、脚状部33aが折り曲げられることにより切り欠かれた部分が冷媒通路40になっている。
【0033】
ダイアフラム受け盤33に形成された斜面36に当接するロッド20の端面は、滑らかな曲面状に丸められている。ただし、斜面36に当接するロッド20の端面形状は円錐形その他各種の形状をとることができる。
【0034】
本体ブロック11に形成された貫通孔14部分にはロッド20の中間部分が嵌合しており、例えばその嵌合長(L)が10〜15mm程度で、嵌合隙間(e)が0.01〜0.12mm程度に形成されて、これによってロッド20のガタつきが規制され、弁体16部分からの振動音発生が抑制されている。
【0035】
貫通孔14の低圧冷媒流路側開口部14aから少し離れた位置には、ロッド20に突起23が突設されている。この突起23は、ロッド20を側方から押しつぶして形成されている。
【0036】
このように突起23が形成されていることにより、ロッド20がそれ以上貫通孔14内に入り込まないので、組み立て時にロッド20を安定した状態に保持することができる。なお、貫通孔14の低圧冷媒流路側開口部14aは、テーパ状に面取りされている。
【0037】
パワーエレメント30を全体的に囲むように形成されたハウジング31には、本体ブロック11と螺合する螺合部25が外面に形成されている。26はシール部材である。
【0038】
ハウジング31の低圧冷媒流路12に面する部分の中央部分には、ロッド20が端部近傍で摺動自在に嵌合するロッド受け37が形成されており、これによってロッド20のガタ付きが規制されて騒音の発生が抑制されている。
【0039】
ロッド受け37の周囲の低圧冷媒流路12に面する部分には、低圧冷媒流路12内を通過する冷媒をパワーエレメント30内に少量だけ導くための冷媒通過孔38がハウジング31に穿設されており、低圧冷媒流路12内を通過する冷媒の温度と圧力の状態変化がダイアフラム32の裏面に遅延されて緩やかに伝達されるので、膨張弁10が急激な動作変化をしない。
【0040】
このように構成された膨張弁においては、低圧冷媒流路12内を流れる低圧冷媒の温度が下がると、ダイアフラム32の温度が下がって、パワーエレメント30の気密室30a内の飽和蒸気ガスがダイアフラム32の内表面で凝縮する。
【0041】
すると、気密室30a内の圧力が下がってダイアフラム32が変位するので、ロッド20が圧縮コイルスプリング17に押されて移動し、その結果、弁体16が弁座孔15側に移動して高圧冷媒の流路面積が狭くなり、蒸発器1に送り込まれる冷媒の流量が減る。
【0042】
低圧冷媒流路12内を流れる低圧冷媒の温度が上がると、上記と逆の動作により、パワーエレメント30で押されたロッド20によって弁体16が弁座孔15から離れる方向に移動させられ、高圧冷媒の流路面積が広がって、蒸発器1に送り込まれる高圧冷媒の流量が増える。
【0043】
そして、ロッド20が当接するダイアフラム受け盤33側の当接面が斜面36になっていることにより、パワーエレメント30と圧縮コイルスプリング17とからロッド20が受ける力は、軸線の向きを変える方向にロッド20を回転させようとする偶力としても作用する。
【0044】
その結果、ロッド20が進退する際には貫通孔14の内面壁との間において相当に大きな摩擦抵抗が発生するので、高圧冷媒流路13内の高圧冷媒に圧力変動があったとき、ロッド20の動作(即ち弁体16の開閉動作)がそれに対して敏感に反応しないので、高圧冷媒に圧力変動があっても弁体16の動作がそれに対して鋭敏に反応せず、動作が安定している。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばスプリング受け18は図4に示されるように本体ブロック11に対してねじ込まれて取り付けられるものであってもよい。また、弁体16は必ずしも球体に限定されず、円錐形その他の形状であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、圧縮コイルスプリングを弁体に近い側へ巻き径が次第に細くなるテーパ状に形成して、弁体を圧縮コイルスプリングの端部に固着したことにより、ロッドと弁体とが固着されていない膨張弁において、組み立て時に弁体を容易に組み込むことができ、しかも低コストでそれを実現することができる。
【0047】
また、圧縮コイルスプリングと弁体とを同じ材質にすることにより、容易にリサイクル処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の弁体を組み込む際の状態の部分分解縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の膨張弁の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の膨張弁のダイアフラム受け盤の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態のスプリング受けが相違する膨張弁の部分断面図である。
【符号の説明】
12 低圧冷媒流路
13 高圧冷媒流路
15 弁座孔
16 弁体
17 圧縮コイルスプリング
18 スプリング受け
20 ロッド
30 パワーエレメント
Claims (4)
- 蒸発器に送り込まれる高圧冷媒が通る高圧冷媒流路の途中を細く絞って形成された弁座孔に対向して弁体を配置し、軸線方向に進退自在に配置されたロッドを、上記蒸発器から送り出された低圧冷媒の温度と圧力に対応して動作するパワーエレメントと上記弁体との間に挟設すると共に、上記弁体を上記ロッドと反対の方向から圧縮コイルスプリングにより付勢した膨張弁において、上記圧縮コイルスプリングを上記弁体に近い側へ巻き径が次第に細くなるテーパ状に形成して、上記弁体を上記圧縮コイルスプリングの端部に固着し、上記弁体に対して上記ロッドを固着することなく当接させたことを特徴とする膨張弁。
- 上記圧縮コイルスプリングと上記弁体とが同じ材質である請求項1記載の膨張弁。
- 上記パワーエレメントから上記ロッドに対して偶力が加わるように構成されている請求項1又は2記載の膨張弁。
- 上記ロッドの端部に当接する上記パワーエレメント側の部材の当接面が上記ロッドの軸線に対して斜めに傾いて形成されている請求項3記載の膨張弁。
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