JP3779779B2 - 接種装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は生きているマウス等の小動物の決められた部位に、正確に迅速に且つ効率的に、薬剤等を注入する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
医薬品、特にワクチンの製造において、生きている動物の特定の部位に薬液を接種し、目的とする医薬品原料を動物内において培養し、産生させる方法が一般的に行われている。
例えば、日本脳炎ワクチンは、マウスを多量に用いてそれらの脳内に種ウイルス液を注入し、当該ウイルスをマウスの脳内において培養させた後、脳を回収し、産生されたウイルスを抗原材料として製造される。従来、上記のマウスへの接種作業のやり方は、作業者が片方の手でマウスの首の皮の部分を摘むように持ってマウスを固定し、もう一方の手に持った種ウイルスの入った注射器の針をマウスの頭部の特定の場所に正確につき立て、頭蓋骨を貫通させ針を脳内に差込み、種ウイルスを一定量接種注入するという方法がとられていた。このようにマウスの脳内への種ウイルスの注入作業は熟練を要する手作業であり、且つ時間がかかるものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のワクチンの製造過程における接種方法、作業には下記のようにいくつかの問題点があった。
▲1▼高度に熟練を要する手作業のために一度に多くのマウスを処理することが困難である。
▲2▼多くのマウスを処理する場合、作業人数を増やすので人件費の上昇に伴い生産コストも上昇する。
▲3▼作業者は同一作業を長時間繰り返すので、作業ミスによる歩留りの低下や、誤って針を手に刺したり、固定の不十分なマウスに噛みつかれたりする等の労働災害が発生する場合がある。
上記問題点の解決の一手段として、当該接種作業の自動化、すなわち、接種装置の開発が考えられる。しかしながら、生きている動物の動きをコントロールすることが極めて困難であるため、これまでこのような接種装置を開発・実用化した例は無かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる状況下、本願発明者らは鋭意研究を重ねた結果、上述した従来のマウスのような小動物の脳内への注入方法の欠点を排除し、多数の小動物に正確、迅速且つ効率的に薬液を注入する方法及び装置を発明しこれを完成するに至った。
【0005】
本発明の接種装置は、投入された小動物を次の第2の機構に誘導し送り込む作動機構(第1の機構)、送り込まれた小動物を固定する作動機構(第2の機構)、小動物に薬液を注入する作動機構(第3の機構)、注射針の針づまりを検知する機構(第4の機構)及び薬液を注入された小動物を飼育缶に投入する作動機構(第5の機構)より構成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る接種装置は、投入された小動物を次の第2の作動機構に誘導し送り込む作動機構(第1の機構)が、小動物が他に逃げないようにするために周りを囲んだ塀と、その塀に付設された第2の機構へ続くトンネルと、小動物を当該トンネルに追い込むための手段として、塀の内部を沿うように回転するハケ状のもの、または塀で囲まれたフィールドに熱風を送る装置、またはそれらの組合せとで構成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る接種装置は、第1の機構よりトンネルを通って送り込まれた小動物を固定する作動機構(第2の機構)が、トンネルから顔を出した小動物を検知する機構と、小動物の首の部分を固定する首押え、小動物の頬の部分を固定する頬押え並びに小動物が上方に飛び出すのを防止する天井とが各々本体に設置したエアーシリンダのロッドの先端に取り付けられた機構とで構成されていることを特徴としている。また、トンネルの出口付近には、小動物の前方への行き過ぎを防止するために、鼻ストッパが設置されていることが好ましい。
【0008】
請求項5に係る接種装置は、小動物に薬液を注入する作動機構(第3の機構)が、小動物に連続的に薬液が接種可能な注射器と、当該注射器の内筒エンドを押す支持棒が本体に取り付けられたエアーシリンダのロッドに各々固定されている接種機構で構成されていることを特徴としている。さらに、第3の機構には、当該注射器の注射針の破損を防止するために、針ガイドが付設されていることが好ましい。注射針は、当該針ガイドの貫通孔を通して小動物の特定の部位に針を差込み、薬液が接種・注入される。
【0009】
請求項7に係る接種装置は、注射針の針づまりを検知する機構(第4の機構)が、本体に取り付けられたエアーシリンダのロッドの先端に固定された荷重計と、当該荷重計に連係している、連続注射器の内筒エンドを押す支持棒とで構成され、内筒エンドからの反発力が支持棒を介して荷重計に伝わり、当該反発力の大小により針づまりの有無を検知することを特徴としている。
【0010】
請求項8に係る接種装置は、薬液を注入された小動物を飼育缶に投入する作動機構(第4の機構)が、第1の機構のトンネルの底の床を構成し、本体に取り付けられたエアーシリンダのロッドの先端に固定されている排出シュートからなることを特徴としている。また、好ましくは当該第4の機構においては、当該排出シュートを取り囲むように設置されたロートと、ロートによって一ヶ所に集められた小動物を飼育缶に落し込む機構によって構成されていることを特徴としている。
【0011】
また、上記接種装置は、装置全体を清浄にするために、接種装置の上部に設けられたエアーフィルターユニットと、上記装置全体を覆うカバーとで構成されていることが好ましい。
【0012】
上記接種装置に適用可能な小動物としては、マウス等が挙げられる。また、使用される薬液としては、ワクチン製造用の種ウイルス液等が挙げられる。
【0013】
【作用】
上記構成の接種装置では、接種装置本体のスイッチを作動させることにより、まず装置上部のエアーフィルターユニットが動作し、本体内の空気を循環濾過し本体内を清浄にする。次に小動物に注入する薬液をいれたタンクを装置本体に取り付け、そこからチューブによって接続され液の供給を受けた連続注射器を第3の機構にセットする。
【0014】
かかる準備の後、第1の機構、すなわち多量の小動物を次の第2の機構に誘導し送り込む作動機構の塀に囲まれたフィールド内に適当数の小動物を投入する。投入された小動物はフィールド内を塀の内壁に沿って回転するハケと、フィールド内に一定風量、一定温度で吹き出される熱風の2つにより追い立てられ、塀に付設された第2の機構へと続くトンネルへと入っていく。フィールド内の小動物の数は、一定量になるように連続的に追加投入するとよい。
【0015】
第1の機構から、トンネルを通過した小動物がトンネルから頭部を出すと、第2の機構、すなわち、小動物を固定する作動機構の、トンネルの出口の所に設置されている、小動物のひげまでも検知する高感度センサーによって小動物が検知される。その信号を受けて、小動物の首の真上に位置した首押えがエアーシリンダの力によって下方に瞬時に押し出され、小動物の首を床との間に押さえつけ挟み込む。その押力は小動物にダメージを与えず、且つ小動物を十分固定できる力に調節されておくことが好ましい。その後、一連の動作として、首を固定された小動物の頭部の左右両側に位置している頬押えが、エアーシリンダの力によって小動物の方へと押し出され小動物の頬を左右から挟み込む。ここで当該頬押えの頬に直接触れる部には、スポンジ等の柔らかい素材を貼り付けて小動物を傷つけないようにすることが望ましい。その後、小動物が上方に逃げるのを妨げていた天井がエアーシリンダによりスライドし、小動物の頭部上方に開口部が形成される。
【0016】
続いて、第3の機構、すなわち、小動物に薬液を注入する作動機構の注射器が、小動物の頭部上方の開口部上方より、針ガイドと共にエアーシリンダの力によって下降する。そして、針ガイドが小動物の頭部に接触すると針ガイドの貫通孔を通して注射針が小動物の頭部に刺入され、小動物の頭蓋骨を貫通して脳内に到達したところで下降を停止する。この後、注射器の内筒エンドを押す支持棒が、それを付けた荷重計とともにエアーシリンダの力によって下降し、連続注射器の内筒を下方に押し下げ、注射器内の薬液を一定量小動物の脳内に注入する。
【0017】
この時、第4の機構、すなわち注射針の針づまりを検知する機構において、内筒を押し下げる力に対する反発力の大小が荷重計において測定され、当該測定値はトランスミッター及びコンパレータ等を介して電気信号に変換され、シーケンスコントローラにおいて、予め設定された反発力との差異が判定される。もし、予め設定された反発力より高い場合は、注射針に何か異物が詰まったことを意味し、トラブル表示を示し、接種装置の運転が自動的に停止する。
【0018】
薬液を注入し終ると、支持棒を付けた荷重計が元に戻り、解放された連続注射器の内筒もバネの力で上方に移動し、元に戻る。この時連続注射器の先端に設けられた逆上弁の機構によって本体に取り付けられた薬液のタンクから新しい薬液がチューブを通って連続注射筒内に供給される。その後、連続注射器を支持しているエアーシリンダが上方に戻ることに伴い、連続注射器も上方に移動し、その先端の注射針が小動物の脳から引き抜かれ元の位置に戻る。次に小動物を固定していた頬押え及び首押えがエアーシリンダの戻る力によって、小動物は固定から解放される。
【0019】
固定から解放された小動物は、第5の機構、すなわち薬液を注入された小動物を飼育缶に投入する作動機構の排出シュートが、エアーシリンダの力によってすばやく下方に開くことによって下方に落下する。このように排出シュートから落下してきたマウスは、排出シュートを取り囲むように設けられたロートによって一ヶ所に集められ、その出口の下方に待っている飼育缶に落し込まれる。小動物が落下した後の排出シュートは一定時間後に元に戻り閉じる。これと同時に、第2の機構において、開いていた天井がエアーシリンダにより再び閉じて、天井を形成し、続いて入ってくる小動物が上方に逃げることを防止する。
【0020】
一方、飼育缶に落とされた小動物が一定数になるとロートの出口のところに設けられたシャッターが閉り、規定数以上の小動物が飼育缶に落ちないようにする。この時一定数に達した飼育缶はエアーシリンダの力によってロートの出口の下方の位置より移動し、かわりに空の飼育缶が入ってきてロートの出口の位置にセットされる。接種された小動物が規定数入った飼育缶はこの後人手によって取り出される。
【0021】
【実施例】
以下、本発明にかかる接種装置を図面を参照して説明する。図1は、本発明の接種装置の好適な一実施例を示す斜視図である。接種装置全体は、ベース(1)及び架台(2)で装置下半分が形成され、ベース(3)及び架台(4)及び天井(5)で上半分が形成されている。
ベース(3)上には、マウスを誘導し、送り込む機構(第1の機構)を構成する、回転柱(6)とそれに接続しているハケ(7)及びフィールド(B)に熱風を送り込むダクト(8)及びフィールドを取り囲んでいる塀(9)と塀(9)から放射状に設けられたトンネル(10)が設置されている。
【0022】
また、上記トンネル(10)の出口には、トンネルに接続して、小動物の頭部を固定する機構(第2の機構)し、脳内に薬液を注入する機構(第3の機構)と注射針の針づまりを検知する機構(第4の機構)がユニット(A)となって設置されている。
【0023】
接種装置の下部にはマウスを飼育缶に投入する機構(第5の機構)の好ましい一態様として、ロート(11)、ガイド(12)が付設されている。さらにガイド(12)上には空の飼育缶(13)、マウスを投入中の飼育缶(14)、規定のマウスになった飼育缶(15)がある。
【0024】
そして、装置の内部全体を清浄にするエアーフィルターユニット(16)(好ましくは高性能エアーフィルターユニット)が装置上部の天井(5)に設置されている。天井(5)には他にも、第1の機構の熱風を吹き出すダクト(8)に熱風を供給するヒーターユニット(17)とターボファン(18)が設置されている。
【0025】
以下、各々の機構について詳述する。
図2は、多量のマウスを次の第2の機構に送り込む機構(第1の機構)の側面図である。接種装置本体の一部であるベース(3)には、底板(20)を介して内筒(21)が固定されている。内筒(21)には円板(23)が固定されており、円板(23)上に固定されたプレート(24)の先端にはモータ(25)が固定されている。円板(23)上には、もう一つプレート(25)が固定されており、その先端にはダクト(8)の先端が固定されている。内筒(21)の外側には、それを取り囲むように外筒(6)が設置されている。外筒の内部、下方には、受け皿(26)が外筒(6)と接続、固定されている。受け皿(26)はスラストベアリング(27)を介して底板(20)と接続されている。一方、外筒の内部、上方にはロングカラー(28)が固定されており、内筒(21)に固定された円板(23)の下部に設けられたカムフォロワー(29)と接触している。
【0026】
ロングカラー(28)の外周には溝が設けてあり、モータ(25)のシャフト(32)に取り付けられたプーリー(31)と、丸ベルト(30)を介して接続されている。外筒(6)の中ほどにはバンド(33)がかけられており、バンド(33)に固定されたブランチ(34)、(35)の先端にハケ(7)が固定されている。一方、ベース(3)上には、外筒(6)及びハケ(7)の回転運動範囲内を囲むように塀(9)が設置されており、その塀(9)に囲まれた内側は、小動物を投入するためのフィールド(B)が形成されている。塀(9)の外側には放射状にトンネル(10)が複数個付設されている。トンネル(10)の出口には、第2、第3及び第4の機構がユニット(A)となって設置されている。
【0027】
図3は、小動物を固定する機構(第2の機構)、薬液を注入する機構(第3の機構)及び針づまりを検知する機構(第4の機構)の側面図と系統図である。図4は第2及び第3の機構の斜視図である。ベース(3)上には、ユニットベース(40)が固定されており、ユニットベース(40)上に設けられたエアーシリンダを介して、注射プレート(41)が付設されている。注射プレート(41)上にはエアーシリンダ(42)が固定されており、エアーシリンダ(42)を介してプレート(43)が取り付けられている。プレート(43)には、ブランチ(44)を介して荷重計(45)が付設されている。荷重計(45)には、支持棒(46)が付設されている。また、上記注射プレート(41)には、注射器プレート(47)が付設されており、注射器治具(48)に取り付けられた注射器(49)がローレットピン(50)によって固定されている。注射器(49)には薬液を押し出す内筒エンド(51)及び注射針(52)が付設されている。注射器プレート(47)上には、リニアガイド(55)が固定されており、可動部に取り付けられたプレート(54)には注射針(52)の破損を防止する手段として針ガイド(53)が設けられている。針ガイド(53)には貫通孔があり、注射針(52)が貫通孔に挿通された状態で配置されている。
【0028】
一方、ベース(3)の一部であるベースプレート(59)にはエアーシリンダ(60)が設けられ、シリンダロッド(61)の先端にはプレート(62)を介して首押え(63)が付設されている。また、ベース(3)上は、エアーシリンダを介して頬押え(64)が取り付けられている。さらに、ベース(3)上には、エアーシリンダ(56)が取り付けられ、シリンダロッド(57)の先端には天井(58)が付設されている。また、ベース(3)上には、鼻ストッパ(65)及び高感度センサー(66)が付設されている。
【0029】
注射器(49)の上方に配置された支持棒(46)が取り付けられた荷重計(45)には、トランスミッター(C)、コンパレータ(D)及びシーケンスコントローラ(E)が電気的に連係されており、注射針(52)の針づまりを検知する作動機構(第4の機構)を構成している。
【0030】
図5は薬液を注入された小動物を飼育缶に投入する機構(第5の機構)の側面図である。トンネル(10)の底には排出シュート(70)がある。排出シュート(70)は、シリンダベース(71)に取り付けられたエアーシリンダ(72)のシリンダロット(73)がピン(83)を介して付設されている。架台(2)には、ロートガイド(84)が設置されておりロート(11)がその上に設置されている。ロートガイド(84)にはピンベース(85)が取り付けられている。一方、ロート(11)の下方にはシャッター(74)がある。シャッター(74)には、シャッター治具(86)が取り付けられており、ピン(87)を介してピンベース(85)と接続している。またシャッター(74)は、架台(2)に固定されているアングル(75)に取り付けられたエアーシリンダ(76)のシリンダロッド(77)の先端のピン(88)を介して接続されている。
【0031】
架台(2)には、スライドガイド(12)が固定されており、その上に、空の飼育缶(13)、マウスを投入中の飼育缶(14)、規定の数だけマウスの入った飼育缶(15)がある。ベース(1)上にはエアーシリンダ(81)が取り付けてあり、シリンダロッド(82)の先端には、アングル(83)を介して台車(78)が取り付けられている。台車の左右にはプッシャー(79)(80)が取り付けられている。
【0032】
また図1において、接種装置全体は、ベース(3)より上部は透明なアクリル板等で覆われている。
【0033】
次に上記構成の接種装置の動作について図1〜5を参照して説明する。
接種装置本体のスイッチを入れ動作をスタートさせると、天井(5)上に取り付けてあるエアーフィルターユニット(16)が動作し、接種装置本体内のベース(3)より上部の空気を清浄にする。次にマウスの脳内に注入する種ウイルス液を入れたタンクを装置本体の架台(4)上に設けられたフック等に吊り下げ、そこから、接種ユニット(A)にセットした注射器(49)にチューブを接続し、種ウイルス液を供給する。
【0034】
かかる準備の後、フィールド(B)内に適当数のマウスを投入する。フィールド(B)内ではモータ(25)の回転力がシャフト(32)、プーリー(31)、丸ベルト(30)、ロングカラー(28)を通して外筒(6)に伝えられる。その後、その回転力が外筒(6)にバンド(33)で接続されたハケ(7)に伝わり、ハケ(7)は常に塀(9)の内側を沿うように回転し続ける。また、天井(5)上に設けられたヒーターユニット(17)ではターボファン(18)から送られた空気をヒーターで熱し、ダクト(8)を通して、フィールド(B)内に供給し、フィールド(B)内を規定温度以上の環境にする。規定温度とは、マウスが嫌い、かつダメージを与えない範囲の温度を意味し、35〜45℃の範囲である。当該規定温度は、さらに、38〜42℃であることが好ましい。
【0035】
かかる状況のフィールド(B)内に投入されたマウスは、ハケ(7)の接触と高い温度を嫌がり、出口を求めてフィールド内を走り回る。そして最後にフィールド(B)を形成する塀(9)に設けられたトンネル(10)の穴へと頭から飛び込んでいく。図1ではトンネル(10)の数は4個となっているが、それに限定されるものではない。ここで重要なことは、マウスがハケの接触並びに高い温度を嫌がるということである。本発明者は、このようなマウスの性質を察知し、この性質を利用して初めてマウスの動きをコントロールすることを可能としたのである。
【0036】
フィールド(B)内の劣悪な環境から逃れるため、マウスはトンネル(10)内を接種ユニット(A)の方へと進む。図1では接種ユニット(A)の数は4セットになっているがそれに限定されるものではない。そして、トンネル(10)からマウスが頭部を出すと、マウスのひげまでも検知する高感度センサー(66)によってその存在を検知される。その瞬間、ベースプレート(59)に取り付けられたエアーシリンダ(60)が動作し、シリンダロッド(61)の先端に取り付けられた首押え(63)が下降し、マウスの首を排出シュート(70)の上面との間に挟み込む。ここで大事なことは、マウスが前方に飛び出すことを防止するためにベース(3)上に取り付けた鼻ストッパ(65)が、マウスの鼻先が鼻ストッパ(65)に触れる付近で、マウスの首の部分が首押え(63)の真下にくるように配置されていることである。
【0037】
続いて、首を固定されたマウスの頬の両側に位置している頬押え(64)がエアーシリンダの力によってマウスの方へ押し出され、マウスの頬を左右から挟み込み、マウスの頭部を完全に固定する。マウスの頬に直接接触するところは、マウスを保護するためにスポンジ(100)のような柔らかい素材をつけておくことが好ましい。頬押え(64)が頭部を固定した信号を受けて、これまでマウスが上方に逃げるのを防止するためマウスの頭部の上方に配置していた天井(58)がシリンダの力でスライドし、マウスの頭部の上方に開口部が形成される。
【0038】
以上、マウスの頭部の固定・位置決めが全て終った時点で、その信号を受けて、ユニットベース(40)上に設けられたエアーシリンダの力で注射プレート(41)に固定された注射器(49)が針ガイドと共に下降を開始する。まず、針ガイド(53)がマウスの頭部に接触する。注射プレート(41)はなおも下降しようとするが、針ガイド(53)は、プレート(54)を介してリニアガイド(55)に取り付けられているため、マウスの頭部に接触したところで下降を停止する。一方、注射プレート(41)上に設けられた注射器(49)はなおも下降を続け、針ガイド(53)の貫通孔を通って注射針(52)をマウスの頭部につきたて、頭蓋骨を貫通し、脳内に針を刺入させ、一定の深さまで到達した時点で下降が停止する。
【0039】
その後、注射プレート(41)に取り付けられたエアーシリンダ(42)が動作し、プレート(43)、ブランチ(44)を介して取り付けられている荷重計(45)が下降を開始する。荷重計(45)に取り付けられた支持棒(46)は、内筒エンド(51)に接触し、内筒エンド(51)を押し下げ、内筒に入った種ウイルス液を注射針(52)を通して一定量マウスの脳内に注入する。
【0040】
この時、内筒エンド(51)を押し下げる力は、反発力となって、支持棒(46)を通って荷重計(45)に伝わる。当該反発力は、荷重計(45)、トランスミッター(C)及びコンパレータ(D)を経由して電気信号に変換され、シーケンスコントローラ(E)に伝えられる。シーケンスコントローラ(E)では、予め設定された反発力との差異を常時判断させる。高い場合は、注射針(52)に何か異物が詰まったと判断して、トラブル表示を出し接種装置の運転を停止する。
【0041】
接種装置で大事なことは、必ず、一定量の薬液を目的とする部位に確実に注入することである。従って、接種装置は、注射針(52)が詰まったことを検知するシステムが具備されていることが必須要件となる。今回、本発明者らは、この注射針(52)の針づまりを検知するシステムを開発することができた由、接種装置の開発が可能となったのである。
【0042】
以上の動作が終了すると、エアーシリンダ(42)並びにユニットベース(40)に取り付けられたエアーシリンダが原点に戻るに伴い、支持棒(46)等並びに注射プレート(41)も原点に戻る。注射プレート(41)の移動に伴い注射針(52)がマウスの脳内から引き抜かれる。
【0043】
支持棒(46)の押圧から解放された内筒エンド(51)はバネの力で元に戻り、この時、内筒内に生じた真空圧で新しい種ウイルス液がタンクからチューブを通って供給される。マウスの脳内への注入が完了し、注射針(52)が引き抜かれると、それまで、マウスの頭部を固定していた首押え(63)及び頬押え(64)が一瞬にして元に戻り、マウスを解放する。
【0044】
マウスが固定から解放された瞬間、マウスの真下で床を構成していた排出シュート(70)が、シリンダベース(71)に取り付けられたエアーシリンダ(72)のシリンダロッド(73)が戻る力で下方に円弧状に開き、マウスは下方に落下する。マウスが落下した後、排出シュート(70)は一定時間後、元の位置に戻り、再び床を形成する。これと同時に、トンネルの出口の上方部に形成されていた開口部は天井(58)がエアーシリンダにより再び閉じることにより、天井を構成し、続いてトンネルを通過してくる小動物が上方に逃げることを防止する。
【0045】
排出シュート(70)からランダムに落下してきたマウスは、ロート(11)により、ロート下に待機している飼育缶に集められる。落下してきたマウスが一定数に達すると、ロート下方に設けられ、これまで円弧状に左右に開いていたシャッター(74)は、架台(2)に取り付けられたエアーシリンダ(76)のシリンダロット(77)により閉じられる。規定数のマウスで満たされた飼育缶(14)は、ベース(1)に取り付けられたエアーシリンダ(81)のシリンダロッド(82)の先端にアングル(83)を介して接続している台車(78)のプッシャー(80)が、シリンダロッド(82)の元に戻る力によって図5の右方向に移動することによって押され、図5のHの位置に運び出される。Hの位置に運び出された規定数のマウスで満たされた飼育缶は人手により取り出される。この時、Fの位置に空の飼育缶(13)を事前に置くことによって、同時にプッシャー(79)によって、Gの位置に新しい空の飼育缶が供給される。Gの位置に新しい飼育缶が供給されると、再びロート(11)下方のシャッター(74)が開き、規定数に達するまでマウスを落し込む。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明に係る接種装置を使用することで、以下のような効果が得られる。
▲1▼従来手作業で行っていた行程を機械で行うことにより、一度に多くの小動物に薬液を接種することが可能となる。
▲2▼その結果、人件費が少なくなり、生産コストの低減が達成できる。
▲3▼また、手作業を機械で行うことにより、作業ミスによる歩留りの低下や、作業者の労働災害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の接種装置の斜視図である。
【図2】 小動物を注入機構に送り込む機構の側面図である。
【図3】 小動物を固定する機構、小動物に薬液を注入する機構及び針づまりを検知する機構の側面図及び系統図である。
【図4】 小動物に薬液を注入する機構の斜視図である。
【図5】 小動物を飼育缶に投入する機構の側面図である。
【符号の説明】
1…接種装置のベース、2…架台、3…ベース、4…架台、5…天井、6…回転柱、7…ハケ、8…ダクト、9…塀、10…トンネル、11…ロート、12…ガイド、13…空の飼育缶、14…小動物を投入中の飼育缶、15…規定数の小動物で満たされた飼育缶、16…エアーフィルターユニット、17…ヒーターユニット、18…ターボファン、A…接種ユニット、B…フィールド、41…注射プレート、45…荷重計、46…支持棒、47…注射器プレート、49…注射器、51…内筒エンド、52…注射針、53…針ガイド、58…天井、63…首押え、64…頬押え、65…鼻ストッパ、66…高感度センサー、70…排出シュート
Claims (12)
- 投入された小動物を次の第2の機構に誘導し送り込む作動機構(第1の機構)、送り込まれた小動物を固定する作動機構(第2の機構)、小動物に薬液を注入する作動機構(第3の機構)、注射針の針づまりを検知する作動機構(第4の機構)及び薬液を注入された小動物を飼育缶に投入する作動機構(第5の機構)より構成される接種装置において、当該第1の機構が、小動物が他に逃げないようにするために周りを囲んだ塀と、その塀に付設された第2の機構へ続くトンネルと、小動物を当該トンネルへ追い込むための手段として、(1)塀の内側を沿うように回転するハケ状のもの、または(2)塀で囲まれたフィールドに熱風を送る装置、またはそれらの組合せとで構成されることを特徴とする接種装置。
- 第1の機構より送り込まれた小動物を固定する作動機構(第2の機構)が、トンネルから頭部を出した小動物を検知する機構と、小動物の首の部分を固定する首押え、小動物の頬の部分を固定する頬押え並びに小動物が上方に飛び出すのを防止する天井とが各々本体に設置されたエアーシリンダのロッドの先端に取り付けられた固定機構とで構成されることを特徴とする請求項1に記載の接種装置。
- 前記第2の機構において、小動物がトンネルを出た後、前方への行き過ぎを防止するための鼻ストッパが設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の接種装置。
- 小動物に薬液を注入する作動機構(第3の機構)が、小動物に連続的に薬液が接種可能な注射器及び当該注射器の内筒エンドを押す支持棒が本体に取り付けられたエアーシリンダのロッドに各々固定されている接種機構で構成されることを特徴とする請求項1に記載の接種装置。
- 前記第3の機構において、当該注射器の注射針の破損を防止する手段として針ガイドが付設されており、当該針ガイドに設けられた貫通孔を通して当該注射針が小動物に刺入されることを特徴とする請求項1または4に記載の接種装置。
- 注射針の針づまりを検知する作動機構(第4の機構)が、本体に取り付けられたエアーシリンダのロッドの先端に固定された荷重計と、当該荷重計に取り付けられた、連続注射器の内筒エンドを押す前記支持棒とで構成され、内筒エンドからの反発力が支持棒を介して荷重計に伝わり、当該反発力の大小により針づまりの有無を検知することを特徴とする請求項1に記載の接種装置。
- 薬液を注入された小動物を飼育缶に投入する作動機構(第5の機構)が、第1の機構のトンネルの底の床を構成し、本体に取り付けられたエアーシリンダのロッドの先端に固定されている排出シュートからなることを特徴とする請求項1に記載の接種装置。
- 前記第5の機構が、前記排出シュートと、排出シュートを取り囲むように設置されたロートと、ロートによって一ヶ所に集められた小動物を飼育缶に落し込む機構によって構成されていることを特徴とする前記請求項1または7記載の接種装置。
- 装置全体を清浄にする機構(第6の機構)を有する請求項1に記載の接種装置。
- 前記第6の機構が、接種装置の上部に設けられたエアーフィルターユニットと、上記装置全体を覆うカバーとで構成されていることを特徴とする請求項1または9に記載の接種装置。
- 当該小動物がマウスであることを特徴とする前記請求項1から10のいずれかに記載の接種装置。
- 当該薬液がワクチン製造用の種ウイルス液であることを特徴とする前記請求項1から11のいずれかに記載の接種装置。
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